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JP3048481B2 - 集束した炭素繊維及びその製造方法並びに炭素繊維強化熱可塑性樹脂 - Google Patents

集束した炭素繊維及びその製造方法並びに炭素繊維強化熱可塑性樹脂

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Publication number
JP3048481B2
JP3048481B2 JP4346758A JP34675892A JP3048481B2 JP 3048481 B2 JP3048481 B2 JP 3048481B2 JP 4346758 A JP4346758 A JP 4346758A JP 34675892 A JP34675892 A JP 34675892A JP 3048481 B2 JP3048481 B2 JP 3048481B2
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JP
Japan
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carbon fiber
resin
polyurethane resin
carbon fibers
weight
Prior art date
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JP4346758A
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昭治 三沢
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Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂の強化材
として有用な集束した炭素繊維及びその製造方法並びに
炭素繊維強化熱可塑性樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、炭素繊維を各種マトリックスに混
合、分散させて成る繊維強化成形材料は、炭素繊維の優
れた特性、例えば、高強度、高剛性、低比重、高電気伝
導性、低熱膨張率、高耐摩耗性などを有していることか
ら、巾広い用途が期待され、工業的に重要な材料として
注目されている。
【0003】通常、炭素繊維は、数百〜数百万本の極め
て細い繊維からなる束であるが、この炭素繊維を各種マ
トリックスに混合、分散させて繊維強化成形材料を得る
場合、該炭素繊維の取扱い性を容易にして、混合、分散
の行程における作業性を高めるために、あらかじめ多数
の細い炭素繊維をサイジング剤で集束した後、カッティ
ングした炭素短繊維が用いられる。
【0004】このような場合、サイジング剤で集束され
た炭素短繊維の集束が十分でないと、マトリックス樹脂
への混合、分散の行程において種々の問題が生じ、例え
ば、フィーダーで供給する際に炭素短繊維の毛玉ができ
たり、樹脂との摩擦により開繊し綿状になりやすく、そ
の結果、供給行程で詰まりが生じ、定量的に供給できな
くなりマトリックス中に繊維を均一に分散させることが
できないとか、定常的に樹脂組成物を得るのが困難にな
り生産性が低下する等の問題が生じる。従って、効率良
く、品質の良い炭素繊維強化成形材料を得る為には、集
束性の高い樹脂でサイジングした炭素短繊維を用いなけ
ればならない。
【0005】又、サイジング剤には、繊維の集束性を高
める働きと同時に、炭素繊維とマトリックスとの界面結
合力を高め、繊維強化樹脂複合材料の破壊強さをより高
くし、補強効果をより高める働きも要求される。その
為、炭素短繊維のサイジング剤は、集束性と成形品物性
に優れ、しかも集束した炭素短繊維を得られるものでな
ければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、炭素短繊維で補
強されたポリカーボネート樹脂では、炭素短繊維のサイ
ジング剤として、熱可塑性ポリウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、ナイロン樹脂等が使用されている。ポリカーボネ
ート樹脂は、高い耐熱性を有する為、強化繊維材料の混
練、混入時の押し出し加工をする際、押出機の温度が高
く、炭素短繊維のサイジング剤が熱分解を起こし、その
分解物が押し出しベント口を詰まらせるなどの問題を生
じている。
【0007】又、成形加工でも、同様に高い射出成形温
度のために、炭素短繊維のサイジング剤が熱分解し、こ
れらの分解物が、金型に堆積してその清掃に時間が費や
され、生産性が低下したり、分解物が成形品の表層に付
着して外観が悪くなり、不良品の発生が多くなったりし
ている。更に、サイジング剤が分解した低分解物が、ポ
リカーボネート樹脂の分子量を低下させ、成形条件を狂
わせるために安定に成形出来なくなり、生産性が低下す
る等の問題が生じている。
【0008】ポリウレタン樹脂でサイジングされた炭素
短繊維は、他の樹脂では得られ難い柔軟性と弾性を持つ
ウレタン樹脂が、強い被膜を形成するため、集束性が強
く、押し出し加工性に優れたものとなる。更に、ウレタ
ンの強い被膜が炭素繊維の表層を覆っていることから、
押出機中の混練に際しても、ウレタン被膜が炭素繊維を
保護し、繊維の破損を防止するため、成形品中の炭素繊
維の長さが長く保たれ、その結果、成形品物性が著しく
向上する。
【0009】一般的に成形品の力学物性は、炭素繊維と
マトリックスの濡れ性及び界面結合力を高めることによ
って向上するものと考えられている。一方、炭素繊維を
用いるもう1つの目的に成形品の導電性の向上がある。
しかし、力学物性とは逆に、導電性は炭素繊維とマトリ
ックスの濡れ性が劣る程向上する。これは、濡れが良く
なると、濡れた樹脂が炭素繊維の表層を覆い、それが絶
縁被膜層を形成し導電性を低下させるためである。つま
り、濡れ性を低下させ、炭素繊維どうしをできるだけ裸
で接触させることが導電性を向上させることになる。
【0010】従って、これ迄に力学物性と導電性の相反
する両特性を同時に満足させるサイジング剤を見いだす
ことは極めて困難であった。しかし、ポリウレタン樹脂
は、成形品中の繊維長を長く保存することにより、相反
する特性である力学物性と導電性を共に向上できること
から炭素短繊維の集束剤としては、極めて優れたサイジ
ング剤である。
【0011】但し、ポリウレタン樹脂は、エポキシ等の
サイジング剤に比べ熱分解温度が低いために、ポリカー
ボネート樹脂での使用は、困難であった。よってポリウ
レタン樹脂の優れた特性を生かしその使用を可能にする
為には、耐熱性の向上及び更に高い集束力をもたせてサ
イジング量を減少することによって、トータルの熱分解
量を少なくすることが望まれている。
【0012】一方、エポキシ樹脂は、炭素繊維との濡れ
性が良く、炭素繊維とマトリックスとの接着性を向上さ
せ,成形品物性の特に力学強度を向上させている。しか
し、エポキシ樹脂は、濡れ性が良すぎるため、逆に、成
形品の導電性を低下させたり、又ウレタン樹脂に比べサ
イジング剤の集束能力に劣る。炭素短繊維の集束性を維
持させるためには、サイジング量を多く必要とし、その
為、サイジング量に比例して熱分解量が多くなるという
問題を引き起こしている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
を解決したものである。即ち、本発明は下記の(1)〜
(3)の通りである。 (1)ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂とが炭素繊維に
対して0.2〜3重量%サイジングされており、前記ポ
リウレタン樹脂が硬化剤により架橋している集束した炭
素繊維。 (2)ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂の混合比とが2
/8〜7/3の水系エマルジョンに炭素繊維を接触又は
浸漬した後、加熱しポリウレタン樹脂を硬化剤により架
橋せしめる、集束した炭素繊維の製造方法。 (3)ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂とが炭素繊維に
対して0.2〜3重量%サイジングされており、前記ポ
リウレタン樹脂が硬化剤により架橋している集束した炭
素繊維を切断して得た炭素短繊維5〜50重量%と熱可
塑性樹脂95〜5重量%とからなる炭素繊維強化熱可塑
性樹脂。
【0014】本発明におけるサイジング剤は、熱硬化性
ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂を混合したサイジング
剤である。ポリウレタン樹脂は、硬化剤で硬化されるこ
とによって耐熱性が向上し、押し出し及び成形加工時の
ウレタンの熱分解の発生が抑制され、また、硬化したポ
リウレタン樹脂は、繊維の集束性も向上することから少
ないサイジング量で集束化炭素短繊維が得られ、減量し
たサイジング量に比例し熱分解量も少なくすることがで
きる。
【0015】さらに、熱硬化性ポリウレタン樹脂とエポ
キシ樹脂を混合することによって、それぞれ単独に用い
る場合よりも炭素短繊維の集束性が向上するため、さら
にサイジング量を減らすことが可能となり、押し出し及
び成形加工時の熱分解量を著しく減らすことができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明で用いるポリウレタン樹脂は、特に
限定されず、分子内に2個以上のイソシアネート基を有
するイソシアネート類の少なくとも1種および分子内に
2個以上の水酸基を有するポリオール類の少なくとも1
種を反応させて得られる公知のものが使用できる。イソ
シアネート類としては、1,6−ヘキサンジイソシアネ
ート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、
2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,
4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,
4′−水酸化ジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,
4′−ジフェニルジイソシアネート、フェニレン1,4
−ジイソシアネート、フェニレン2,6−ジイソシアネ
ート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート
などが挙げられる。
【0017】また、ポリオール類としては、エチレング
リコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブ
チレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、ポリカーボネートジオール、ネオペンチ
ルグリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイ
ド付加物、水素化ビスフェノール類のアルキレンオキサ
イド付加物などのアルコール性水酸基を2個有するグリ
コール類やポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどの
ポリエーテルジオール類、ポリエチレンアジペート、ポ
リプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポ
リテトラメチレンアジペート、ポリペンタメチレンアジ
ペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリカプロラ
クトンジオールなどのポリエステルジオール類やトリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリ
ン、ペンタエリスリトールなどのアルコール性水酸基を
3個以上有する多価アルコール類などが挙げられる。
【0018】中でも好ましいポリオールは、ポリエーテ
ルジオール類やポリエステルジオール類である。本発明
のポリウレタン樹脂の硬化剤としては、イソシアネー
ト、好ましくはブロックイソシアネートを用いることが
できる。ブロックイソシアネートとしては、前記例示の
イソシアネートを用いることができる。
【0019】ブロック剤としては、アルコール類、フェ
ノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチ
レン類、メルカプタン類、アミン類、イミド類、酸アミ
ド類、イミダゾール類、尿素類、カルバミン酸塩類、イ
ミン類、亜硫酸塩類等が用いられる。ブロックイソシア
ネートの配合量は、ポリウレタン樹脂のNCO基とブロ
ックイソシアネートのウレタン基が当量にある量が好ま
しく、よって、ブロックイソシアネートで架橋されたポ
リウレタン樹脂は、NCO/OH>1のいわゆる熱硬化
性ポリウレタン樹脂である。
【0020】又、ポリウレタン樹脂の架橋剤にブロック
イソシアネートを使用することにより、水系エマルジョ
ンのサイジング剤も使用でき、溶剤系に比べ溶剤の回収
の必用性がなく経済的で、危険性がなく、さらに環境問
題に対しても汚染が無い等の利点がある。更に、架橋反
応を促進するために、触媒を用いることも好ましく、例
えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、オク
チル酸すず、ジブチルすずジラウリレート、1,3−ジ
アセトキシテトラブチルスタノキサンなどをエマルジョ
ン溶液に加えても良い。
【0021】本発明で用いるエポキシ樹脂は、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ
樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾール型エポキシ
樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキ
シ樹脂等である。特に本発明を効果的に発揮させるため
に、分子量の異なる2種以上のエポキシ樹脂を混合して
用いることが好ましい。
【0022】又、本発明で用いるエポキシ樹脂の好まし
い分子量は、800〜5000の範囲、更に好ましくは
900〜4000の範囲である。分子量が800未満で
は熱硬化性ポリウレタン樹脂との混合による炭素短繊維
の集束性の向上効果が得られにくく、また5000を越
えると得られる炭素短繊維強化成形材料の物性が低下す
る可能性がある。
【0023】本発明の炭素繊維にサイジング剤を被覆処
理するには、例えば、ポリウレタン樹脂の水系エマルジ
ョンとブロックイソシアネートの水系エマルジョン、更
にエポキシ樹脂の水系エマルジョンとを混合した溶液
に、炭素繊維のロービングを接触若しくは浸漬させて、
従来公知の方法、例えば熱風乾燥、赤外線乾燥、マイク
ロウェーブ乾燥などの手法により、加熱処理を施し、炭
素繊維の表面に被覆されたポリウレタン樹脂をブロック
イソシアネートで架橋し、熱硬化性ポリウレタン樹脂と
エポキシ樹脂が被覆された炭素繊維を得る。
【0024】本発明で用いる炭素短繊維のサイジング剤
の熱硬化性ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂の混合比率
は、熱硬化性ポリウレタン樹脂が20〜70重量%であ
ることが好ましい。熱硬化性ポリウレタン樹脂が20重
量%未満では、集束性の優れる熱硬化性ポリウレタンの
樹脂量が少なくなる場合がある。一方、熱硬化性ポリウ
レタン樹脂が70重量%を越えると、射出成形時に発生
する熱分解量が多くなり、マトリックス樹脂の分子量低
下を引き起こす可能性がある。
【0025】より好ましい熱硬化性ポリウレタン樹脂と
エポキシ樹脂の混合比率は、熱硬化性ポリウレタン樹脂
が30〜65重量%である。本発明のサイジング剤の被
覆量は、炭素繊維の重量に対して、0.2〜3重量%の
範囲にあることが必要である。この量が0.2重量%未
満では炭素短繊維の集束性が不十分で押し出し時の作業
性が悪い。サイジング量が3重量%を越えると押し出し
及び成形加工時の熱分解量が多くなり生産性が低下した
り、又得られる成形品の分子量低下や機械物性が低下
し、本発明の効果が十分に発揮されない。
【0026】特に好ましい被覆量は、0.3〜2.5重
量%の範囲である。本発明において、素材として用いる
炭素短繊維については特に制限はなく、各種の公知の炭
素繊維、例えばレーヨン、ポリアクリロニトリル、ピッ
チ、リグニン、炭化水素ガスなどを用いて製造された炭
素質繊維や黒鉛質及びこれらに金属をコーティングし
た、金属被覆炭素繊維などの中から任意に選んで用いる
ことが出来る。好ましくは、ポリアクリロニトリルから
得られた炭素繊維や黒鉛質繊維が用いられる。
【0027】本発明の目的は、このようにして、集束化
炭素短繊維を提供することにあるが、繊維強化成形材料
に用いられる他の充填剤、例えばガラス繊維、アラミド
繊維、炭化ケイ素繊維、金属繊維、ボロン繊維などに対
しても本発明を応用できる。本発明の集束化炭素短繊維
を用いて、繊維強化成形材料を製造するには、ガラス繊
維強化成形材料の製造における公知の方法を応用するこ
とができる。
【0028】例えば、カッティングした集束化炭素短繊
維を押出機を用いてマトリックス樹脂と溶融混練するこ
とによって炭素繊維強化成形材料を製造することができ
る。成形材料には充填剤として、集束化炭素短繊維以外
のもの、例えばガラス、炭酸カルシウム、金属酸化物、
カーボンブラックなどの粉末状やフレーク状の添加剤な
どを、必要に応じて、含有させてもよい。
【0029】また、前記炭素繊維強化成形材料に用いら
れるマトリックス樹脂としては、一般に市販されてい
る、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンエ
ーテル、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリオレフィン、ABS樹脂、ポリエーテ
ル、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリサルホン、
ポリエーテルサルホン、ポリウレタン、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂などのポリマー類やこれらのコポリマ
ー類などの公知のマトリックスを挙げることができる。
【0030】特にポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリ
エステル樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹
脂は、成形品の機械物性と導電性を顕著に向上させるた
め好ましい。更に、本発明に用いられるサイジング剤
は、ポリカーボネート樹脂成形時のポリカーボネート樹
脂の分子量低下を抑制し、成形品を安定に生産でき、成
形品の物性低下も無くなるなどの利点がある。
【0031】ポリカーボネート樹脂は、従来のポリカー
ボネート樹脂の製法と同様の方法、即ち、芳香族ジヒド
ロキシ化合物とホスゲン又は炭酸ジエステルとを反応さ
せてなるものである。この場合芳香族ジヒドロキシ化合
物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(一般名ビスフェノールA)、テトラメチルフ
ェノールA、テトラエチルビスフェノールA、テトラブ
ロムビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロム−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホンなどが挙げられる。
【0032】特に好ましいポリカーボネート樹脂は、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系、
とりわけビスフェノールAを主成分とするポリカーボネ
ートである。平均分子量15,000〜100,000
のものが好適である。
【0033】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。尚、実施例における測定方法は次の通りである。 (1)繊維強化成形材料の力学的物性 JIS K6810に準拠して測定した。 (2)繊維強化成形材料の導電性 射出成形品を50mm×90mm×2.5mmに切り出
し、導電性ペーストを一辺50mmの正方形の平行な2
辺上に塗り、その間の電気抵抗値をもって、表面抵抗率
(Ω)とした。 (3)ポリカーボネート樹脂の分子量 ゲル浸透クロマトグラフィー(東曹 HLC802
0)、カラム(東曹TSK−GEL(G4000Hx
L、G5000HxL各1本))、カラム温度40℃、
溶剤THFで測定し、分子量はポリスチレン換算値より
重量平均値を算出した。
【0034】
【実施例1】ポリウレタン樹脂の水系エマルジョン(松
本油脂製薬社製 KP−2807)の固形分重量44g
とブロックイソシアネートの水系エマルジョン(松本油
脂製薬社製 CAT−11)の固形分重量6gとで、熱
硬化性ポリウレタン樹脂が50gになるようなエマルジ
ョンに、分子量約1000のビスフェノールA型エポキ
シ樹脂の水系エマルジョンの固形分重量50gを加え、
熱硬化性ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂の重量比が1
対1の溶液を調整した。
【0035】このサイジング溶液に、ポリアクリロニト
リル系炭素繊維(新旭化成カーボンファイバー社製、ハ
イカーボロン12Kf系単繊維数12000本)を浸漬
し、炭素繊維に対し1.5重量%のサイジング剤を付着
させ、180℃で5分間熱風乾燥しポリウレタン化合物
の架橋と乾燥を行った。このようにして得られた、集束
炭素繊維を長さ6mmに切断して集束化炭素短繊維を製
造し、さらに160℃、2時間熱処理を行い、未反応の
ポリウレタンを架橋させた。
【0036】得られた集束化炭素短繊維30%に、ビス
フェノールAタイプのポリカーボネート樹脂70%を加
え、V型ブレンダーでドライブレンドした。このドライ
ブレンド物を、スクリュウ・フィーダー付の二軸押出機
にて混練、押出したが、連続10時間運転してもストラ
ンド切れもなく、押出量(15kg/hr)も一定であ
った。得られたストランドをペレタイズし、繊維強化成
形材料を得た。次いで東芝製IS75E型射出成形機に
て、評価用試験片を得、曲げ強度、曲げ弾性率、表面抵
抗を測定した。又、成形品の一部を塩化メチレンに溶解
し、炭素短繊維を取り除き、ポリカーボネート樹脂の分
子量を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
【比較例1】実施例1における混合サイジング剤の内、
エポキシ樹脂を除いた熱硬化性ポリウレタン樹脂だけを
用いて炭素繊維に対し1.5重量%付着させた以外は、
実施例1と同様にして、炭素短繊維を得、成形品を作成
しその物性を測定した。成形品の一部を塩化メチレンに
溶解し、ポリカーボネート樹脂の分子量を測定した結
果、分子量低下が大きかった。その結果を表1に示す。
【0038】
【比較例2】実施例1において、エポキシ樹脂だけを用
いて炭素繊維に対し2.5重量%付着させた以外は、実
施例1と同様にして、集束化炭素短繊維を得た。押し出
し行程において、スクリュウ・フイーダーでの炭素短繊
維の詰まりや、押出機ホッパーにおける食い込み不良が
生じ、ストランド切れが多発し炭素短繊維強化成形材料
を得ることが出来なかった。
【0039】
【比較例3】実施例1において、エポキシ樹脂だけを用
いて炭素繊維に対し5.5重量%付着させた以外は、実
施例1と同様にして、集束化炭素短繊維を得た。押し出
し行程において、連続5時間運転してもストランド切れ
もなく、押し出しは安定していたが、ベント口にサイジ
ング剤の低分解物が詰まりベント引きの減圧度が悪くな
った。
【0040】得られたペレットを実施例1と同様にして
評価し、その結果を表1に示す。
【0041】
【実施例2】実施例1における混合サイジング剤の内、
炭素繊維に対し0.3重量%付着させた以外は、実施例
1と同様にして、集束化炭素短繊維を得た。その結果を
表1に示す。
【0042】
【実施例3】実施例1における混合サイジング剤の内、
炭素繊維に対し2.5重量%付着させた以外は、実施例
1と同様にして、集束化炭素短繊維を得た。その結果を
表1に示す。
【0043】
【比較例4】実施例1における混合サイジング剤の内、
炭素繊維に対し0.1重量%付着させた以外は、実施例
1と同様にして、集束化炭素短繊維を得た。押し出し行
程において、スクリュウ・フイーダーでの炭素短繊維の
詰まりや、押出機ホッパーにおける食い込み不良が生
じ、ストランド切れが多発し炭素短繊維強化成形材料を
得ることが出来なかった。
【0044】
【比較例5】実施例1における混合サイジング剤の内、
炭素繊維に対し3.2重量%付着させた以外は、実施例
1と同様にして、集束化炭素短繊維を得た。その結果を
表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明のサイジング剤は、耐熱性の向上
と、少ないサイジング量で、炭素短繊維の集束性を高
め、押し出し作業を向上させると共に、押し出し及び成
形時のサイジング剤の熱分解量を著しく減らし、炭素短
繊維強化成形材料及び成形品の生産性を安定させ、更
に、サイジング剤の熱分解物による、成形品のマトリッ
クスの分子量低下を抑制することができる。又、成形品
の力学物性と導電性の相反する両物性を同時に満足させ
ることも出来る。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂とが炭
    素繊維に対して0.2〜3重量%サイジングされてお
    り、前記ポリウレタン樹脂が硬化剤により架橋している
    集束した炭素繊維。
  2. 【請求項2】 硬化剤がブロックイソシアネートである
    請求項1記載の集束した炭素繊維。
  3. 【請求項3】 ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂の混合
    比とが2/8〜7/3の水系エマルジョンに炭素繊維を
    接触又は浸漬した後、加熱しポリウレタン樹脂を硬化剤
    により架橋せしめる、集束した炭素繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 硬化剤がブロックイソシアネートである
    請求項3記載の集束した炭素繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリウレタン樹脂とエポキシ樹脂とが炭
    素繊維に対して0.2〜3重量%サイジングされてお
    り、前記ポリウレタン樹脂が硬化剤により架橋している
    集束した炭素繊維を切断して得た炭素短繊維5〜50重
    量%と熱可塑性樹脂95〜5重量%とからなる炭素繊維
    強化熱可塑性樹脂。
  6. 【請求項6】 硬化剤がブロックイソシアネートである
    請求項5記載の炭素繊維強化熱可塑性樹脂。
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