JP4843136B2 - 粘度指数向上剤及び潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘度指数向上剤及び潤滑油組成物に関する。詳しくは、エンジン油等の潤滑油に有用な粘度指数向上剤及び潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の気運が高まり、自動車の省燃費性がより一層要求されてきている。自動車の省燃費性を向上させるには、エンジン油に粘度指数向上剤を添加してマルチグレード化する方法がある。日本国内では、ディーゼルエンジン自動車に使用されているエンジン油の30%近くは、粘度指数向上剤を添加したマルチグレード油になっている。このマルチグレード油には、エチレン・プロピレン共重合体からなる粘度指数向上剤(以下OCP系粘度指数向上剤と略す。)が使用されている。
しかし、今後、さらに省燃費性が要求された場合、エンジン油の低粘度化が要求される。この場合、エンジン油としては、粘度指数が高いこと、及び高温高せん断粘度(以下TBS粘度と略す。)が低いことが望ましい。しかしOCP系粘度指数向上剤では、TBS粘度が高いという欠点があり、省燃費性のさらなる向上には寄与しない。
一方、アルキル(メタ)アクリレート重合体からなる粘度指数向上剤(以下PMA系粘度指数向上剤と略す。)を使用したエンジン油は、OCP系粘度指数向上剤を使用した場合と比べTBS粘度が低いということから現行のOCP系粘度指数向上剤を使用したエンジン油よりさらに優れた省燃費性が期待できる。
【0003】
しかし、PMA系粘度指数向上剤を使用したエンジン油においても、長時間使用後、TBS粘度が高くなるという問題点があり、この点を改良すべく各種の提案がなされている。例えは、特定のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含有したPMA系粘度指数向上剤(特開平5−22389号公報、特開平5−287028号公報等)が提案されている。しかしながら、エンジン油劣化に伴い生成するスラッジの分散性には優れるが、TBS粘度の抑制には十分な効果は示さない。また、PMA系粘度指数向上剤を使用したエンジン油は、コーキング量が多いという問題点があり、さらなる改良が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意検討した結果、耐コーキング性、粘度特性の良好な粘度指数向上剤、及び、潤滑油組成物を見いだし本発明に至った。
すなわち本発明は、架橋構造を有するアルキル(メタ)アクリレート系重合体(A)からなり、該(A)の数平均分子量が5,000〜200,000、溶解性パラメーターが8.4〜9.4、HLB値が2.5〜9.0、示差走査線熱量計により測定した結晶化ピーク温度が0℃以下である粘度指数向上剤;及び、潤滑油組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に於て用いられる架橋構造を有するアルキル(メタ)アクリレート系重合体(A)は、数平均分子量が5,000〜200,000、溶解性パラメーターが8.4〜9.4、HLB値が2.5〜9.0、示差走査線熱量計により測定した結晶化ピーク温度が0℃以下であるものであれば特に限定はない。各値が上記範囲外の場合、基油への溶解性、粘度特性、耐コーキング性、抗乳化性が劣るものとなる。
好ましくは、数平均分子量が7,000〜180,000、特に7,500〜160,000、溶解性パラメーターが8.5〜9.3、特に8.6〜9.3、HLB値が3.0〜8.0、特に3.0〜7.5、示差走査線熱量計により測定した結晶化ピーク温度が−10℃以下、特に−15℃以下である。
尚、本発明の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによるポリスチレンに換算し求めた数平均分子量である。
本発明の溶解度パラメーターは、Fedors法[Poym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]によって算出される値である。
本発明のHLB値は、グリフィンのHLB(「新・界面活性剤入門」三洋化成工業株式会社発行P128)によって算出される値である。
本発明の示差走査熱量計による結晶化ピーク温度は、PERKIN−ELMER社製UNIXDSC7を使用し、粘度指数向上剤5mgを試料とし、10℃/分の等温速度で140℃から−75℃まで冷却したときに観測される結晶化ピークトップの温度である。
【0006】
(A)としては、架橋構造を有するアルキル(メタ)アクリレート系重合体であれば特に限定はなく、
▲1▼アルキル(メタ)アクリレート(a1)単位と多官能ビニル単量体(a2)単位と必要により他の単量体(b)単位を有する重合体;
▲2▼アルキル(メタ)アクリレート(a1)単位と活性水素原子含有基を有するのモノビニル単量体(a3)単位と必要により他の単量体(b)単位を有する重合体を該活性水素原子含有基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物により伸長反応させた重合体;
▲3▼アルキル(メタ)アクリレート(a1)単位と活性水素原子含有基と反応可能な官能基を有するモノビニル単量体(a4)単位と必要により他の単量体(b)単位を有する重合体を活性水素原子含有基を2個以上有する化合物により伸長反応させた重合体
が挙げられる。
これらのうち、好ましくは▲1▼の重合体である。
【0007】
▲1▼の重合体(A)において、アルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、特に限定はないが、通常、炭素数1〜50の直鎖又は分枝アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルペタアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレートなど)が挙げられる。溶解性の観点から好ましくは、炭素数8〜22の直鎖又は分枝アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。
【0008】
多官能ビニル単量体(a2)としては、基油への溶解性の観点からホモポリマーの溶解度パラメーターが8.3〜12.5、特に8.6〜12.0のものが好ましい。
【0009】
(a2)の官能基数は、通常、2〜6官能、好ましくは2官能である。又、ビニル単量体(a2)の官能基としては、エチレン性不飽和基、例えばビニル基、(メタ)アクロイル基、アリル基、プロペニル基等が挙げられる。
(a2)のうちで、剪断安定性の観点から、好ましいものは(メタ)アクロイル基を有するもの、特に(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートは、アルキレングリコール、もしくは2個以上の活性水素を含有する化合物にアルキレンオキサイドを開環付加させて得られるポリアルキレングリコールを、(メタ)アクリル酸で脱水・エステル化させ、又は、低級(C1〜4)アルキル(メタ)アクリレートで脱アルコール・エステル化することで容易に得られる。
2個以上の活性水素を含有する化合物としては、例えば、水、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、多価フェノール、脂肪族、脂環族、芳香族モノアミン(炭素数1〜22のモノアルキルアミン、アニリン等)、ポリアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)が挙げられる。
【0010】
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、イソブチレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、炭素数5〜27のα−オレフィンオキサイド、トリメチルエチレンオキサイド、テトラメチルエチレンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイド、1,1−ジフェニルエチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ブタジエンモノキサイド、エピフルオヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−クロロエチルグリシギルエーテル、メタクリルクロリドエポキサイドが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜12のアルキレンオキサイドであり、さらに好ましくは、炭素数3〜6のアルキレンオキサイドである。
【0011】
アルキレンオキサイドの開環付加反応は、2個以上の活性水素を含有する化合物を、必要により適当な溶媒(鉱物油、キシレン等)中、触媒[アニオン重合触媒(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;メトキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルカリ金属アルコラート化合物;テトラブチルアミン等のアルキルアミン)、カチオン重合触媒(例えば、アルミニウム、アンチモン、硼素、燐、鉄、亜鉛、チタン等の塩化物;塩酸、臭酸、硫酸、過塩素酸等の鉱酸)、配位アニオン重合触媒(例えば、トリエトキシ鉄等の金属アルコシドやアルカリ土類金属化合物と、アセチルアセトン等の活性水素化合物やルイス酸を組み合わせたもの)等]の存在化、合成できる。経済性、生産性の観点から好ましくは、アニオン重合触媒による合成である。アニオン重合は、加熱しながらアルキレンオキサイド(a1)を加えることにより、容易に合成できる。反応温度としては、70〜150℃、好ましくは90〜130℃である。
開環付加反応は、特に限定はなく、単独付加、2種類以上を併用し付加してもよい。2種類以上併用付加の場合、ランダム状付加またはブロック状付加でもよい。
【0012】
(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのうちで、好ましいものは下記一般式(1)で表されるものである。
R1−O−(XO)p−R2 (1)
{式中、R1、R2は(メタ)アクリロイル基である。Xは炭素数2〜27のアルキレン基、pは1〜250の数を示す。pが2以上の場合のXは同一でも異なっていてもよく、(XO)p部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。}
【0013】
上記以外の(a2)としては、その他のポリ(メタ)アクリロイル化合物[例えば、(メタ)アクリル酸とポリイソシアネートもしくはポリアミンとの反応物];ポリビニル化合物[ジビニルアルカン、ジビニルベンゼン、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル];ポリ(メタ)アリル化合物[ポリ(メタ)アリルエーテル、例えば一般式(1)でR1、R2 が(メタ)アリル基に置き変わったもの];ポリプロペニル化合物[ポリプロペニルエーテル、例えば一般式(1)でR1、R2 がプロペニル基に置き変わったもの]などが挙げられる。
【0014】
▲1▼の重合体(A)中の(a2)の含有重量は、通常、下記式(2)で表される範囲である。
0.005×{(a2Mn)/(AMn)}≦ Y ≦ 6×{(a2Mn)/(AMn)} (2)
[式中、Yは(A)中の(a2)含有重量%、(a2Mn)は、(a2)の数平均分子量、(AMn)は(A)の数平均分子量である。]
基油への溶解性、粘度特性、剪断安定性の観点から、好ましくは下記式(3)で表される範囲である。
0.01×{(a2Mn)/(AMn)} ≦ Y ≦ 2×{(a2Mn)/(AMn)} (3)
【0015】
▲1▼の重合体(A)は構成単位として、上記(a1)及び(a2)以外のラジカル重合性の他の単量体(b)を含有することもできる。
(b)としてはアルキル(メタ)アクリレート以外の、アルキル基の炭素数1〜30の不飽和モノ又は/及びポリカルボン酸エステル類(ブチルクロトネート、オクチルクロトネート、ドデシルクロトネート、ジブチルマレエート、ジオクチルフマレート、ジラウリルマレエート、ジステアリルフマレート、ジオクチルイタコネート、ジラウリルイタコネートなど);ビニル芳香族化合物(スチレン、ビニルトルエンなど);ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);アルファオレフィン類(デセン、ドデセンなど);カルボン酸化合物類(無水マレイン酸、メタアクリル酸、クロトン酸、イタコン酸など);アクロレイン;共役ジエン(ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど);アセチレン;置換アセチレン[アルキルアセチレン(プロピン、1−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシンなど)、アリールアセチレン(フェニルアセチレン、p−メチルフェニルアセチレンなど)];アルキルビニルエーテル[通常、炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基を有するアルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、トリデシルビニルエーテル、テトラデシルビニルエーテル、ペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテルなど];アルキルアリルエーテル[通常、炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基を有するアルキルアリルエーテル(メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、アミルアリルエーテル、ヘキシルアリルエーテル、ヘプチルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、ノニルアリルエーテル、デシルアリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、トリデシルアリルエーテル、テトラデシルアリルエーテル、ペンタデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテルなど];窒素原子、硫黄原子から選ばれる1種以上の原子を有する単量体[N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドン、ビニルピリジン、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数は通常1〜4)、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は、通常1〜4)、ビニルイミダゾール、モルフォリノアルキレン(メタ)アクリレート等や、アミノフェノチアジン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾリン、アミノメルカプトチアゾール、アミノピペリジン残基を有する(メタ)アクリレート誘導体]が挙げられ、これらのうち1種以上の単量体を含有することができる。
これらのうち好ましいものは、ビニル芳香族化合物、アルキルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基の炭素数は通常1〜4)、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は、通常1〜4)及びN−アリールフェニレンジアミン残基を有する(メタ)アクリレート誘導体であり、特に好ましいものは、スチレン、及び炭素数2〜6のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルである。
【0016】
重合体(A)中の、単量体(b)の含量は通常、重合体(A)に基づいて0〜10重量%であり、好ましくは、重合体(A)に基づいて0〜5重量%である。
【0017】
▲1▼の重合体(A)は、通常の方法によって容易に得ることができる。例えば前記した単量体類を鉱物油や溶剤中でラジカル重合することにより得られる。この場合、重合触媒としてアゾ系(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリルなど)や過酸化物系(例えば、ベンゾイルパーオキシド、クミルパーオキシド、ラウリルパーオキシドなど)を用いることができる。
【0018】
▲2▼の重合体(A)において、アルキル(メタ)アクリレート(a1)および他の単量体(b)としては、▲1▼で挙げられたものと同様である。
活性水素原子含有基を有するのモノビニル単量体(a3)としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートが挙げられる。
重合体(A)中の、単量体(a3)の含有重量は、通常、下記式(4)で表される範囲である。
0.005×{(a3Mn)/(AMn)}≦ Z ≦ 6×{(a3Mn)/(AMn)} (4)
[式中、Zは(A)中の(a3)含有重量%、(a3Mn)は、(a3)の数平均分子量、(AMn)は(A)の数平均分子量である。]
基油への溶解性、粘度特性、剪断安定性の観点から、好ましくは下記式(5)で表される範囲である。
0.01×{(a3Mn)/(AMn)} ≦ Z ≦ 2×{(a3Mn)/(AMn)} (5)
単量体(b)の含量は通常、重合体(A)に基づいて0〜10重量%であり、好ましくは、重合体(A)に基づいて0〜5重量%である。
該活性水素原子含有基と反応可能な官能基を2個以上有する化合物としては、イソシアネート基含有化合物[4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルジイソシアネート等]、カルボキシル基含有化合物[炭素数2〜40の脂肪族ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸など)、炭素数8〜24の芳香族ポリカルボン酸(例えば、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸など)]およびエポキシ基含有化合物[ビスフェノールA型エポキシ樹脂、環状脂肪族ジエポキサイド(1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンなど)、ポリオキシアルキレン型(アルキレン基の炭素数2〜4;重合度2〜100)エポキシ樹脂など]が挙げられる。
該化合物の使用量Sは、下式(6)で表される。
S={Z×(cMn)}/{(a3Mn)×(a3T)×(cT)} (6)
[式中、Zは重合体(A)中の(a3)含有重量%、(a3Mn)は(a3)の数平均分子量、(cMn)は該化合物の数平均分子量、(a3T)は(a3)の官能基数、(cT)は、該化合物の官能基数である。]
【0019】
▲3▼の重合体(A)において、アルキル(メタ)アクリレート(a1)および他の単量体(b)としては、▲1▼で挙げられたものと同様である。
活性水素原子含有基と反応可能な官能基を有するモノビニル単量体(a4)としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキル(炭素数1〜18)エステル、フマル酸モノアルキル(炭素数1〜18)エステル、(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル類(メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジルなど)が挙げられる。
重合体(A)中の、単量体(a4)の含有重量は、通常、下記式(7)で表される範囲である。
0.005×{(a4Mn)/(AMn)}≦ W ≦ 6×{(a4Mn)/(AMn)} (7)
[式中、Wは(A)中の(a4)含有重量%、(a4Mn)は、(a4)の数平均分子量、(AMn)は(A)の数平均分子量である。]
基油への溶解性、粘度特性、剪断安定性の観点から、好ましくは下記式(8)で表される範囲である。
0.01×{(a4Mn)/(AMn)} ≦ W ≦ 2×{(a4Mn)/(AMn)} (8)
単量体(b)の含量は通常、重合体(A)に基づいて0〜10重量%であり、好ましくは、重合体(A)に基づいて0〜5重量%である。
活性水素原子含有基を2個以上有する化合物としては、例えば、水、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、多価フェノール、脂肪族、脂環族、芳香族モノアミン(炭素数1〜22のモノアルキルアミン、アニリン等)、ポリアミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等)が挙げられる。
該化合物の使用量Uは、下式(9)で表される。
U={W×(dMn)}/{(a4Mn)×(a4T)×(dT)} (9)
[式中、Wは重合体(A)中の(a4)含有重量%、(a4Mn)は(a4)の数平均分子量、(dMn)は該化合物の数平均分子量、(a3T)は(a3)の官能基数、(dT)は、該化合物の官能基数である。]
【0020】
本発明の粘度指数向上剤は、他の任意成分、例えば清浄剤(スルフォネート系、サリシレート系、フェネート系、ナフテネート系のもの等)、分散剤(イソブテニルコハク酸イミド系、マンニッヒ縮合物系等)、抗酸化剤(ジンクジチオフォスフェート、アミン系、ヒンダードフェノール系等)、油性剤(脂肪酸系、脂肪酸エステル系等)、摩擦摩耗調整剤(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンカーバメイト等)、極圧剤(硫黄リン系、クロル系等)を含んでいてもよい。
【0021】
本発明の粘度指数向上剤は、石油中間流出油、特に潤滑油用基油に有用である。
本発明の潤滑油組成物における潤滑油用基油として好ましいものは、少なくとも炭素数18〜40のワックスを含有する鉱物油であり、例えば、50〜300ニュートラルの粘度範囲にある鉱物油、及び、鉱物油の高粘度指数化処理基油が挙げられる。高粘度指数化処理基油としては、オランダ国特許第7613854号、特開平5−214349号公報等に挙げられたものである。
【0022】
本発明の潤滑油組成物中に含まれる粘度指数向上剤の量は、通常、0.01〜40重量%であり、好ましくは、0.05〜35重量%である。
【0023】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例における使用原料の略号の意味は以下の通りである。
【0024】
[多官能ビニル単量体(a2)の合成例]
撹拌装置、加熱装置、温度計、窒素吹き込み管を備えた反応容器に、表1に示すカルボキシル基含有化合物、及び、水酸基含有化合物を、カルボキシル基と水酸基の当量比[(COOH基/OH基)=(1.1/1.0)]となる割合で合計重量が2000gとなる量を仕込み、さらに硫酸10g、ベンゾキノン10gを仕込み、空気を吹き込みながら120℃で4時間脱水、エステル化反応を行った。次に120℃、減圧下で過剰のカルボキシル基含有化合物を取り除いた後、常圧に戻し40℃以下になるまで冷却した。冷却後、10%水酸化ナトリウム溶液2000gを加え撹拌混合し、その混合物を静置分離した。上層を取り、更に2000gの水で5回水洗後、表1記載の多官能ビニル単量体(a2)を得た。
【0025】
【表1】
【0026】
[重合体の合成例]
撹拌装置、加熱装置、温度計、窒素吹き込み管を備えた反応器に、トルエンを28g仕込み窒素雰囲気下に85℃に加熱する。撹拌しながら開始剤である2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルを表2記載量をトルエン100gに溶解した溶液および表2記載の単量体を合計重量1000gを、それぞれ反応容器に4時間かけて等速度で全量を仕込み、仕込み終了から2時間85℃で重合反応を行なった。反応終了後、130℃でトルエンをトッピング除去し、重合体1〜7、及び比較重合体8、9を得た。尚、数平均分子量、溶解性パラメーター、HLB値、示差走査熱量計による吸熱ピーク温度を表3に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
(使用例1〜7、及び、比較使用例1〜3)
表4記載の粘度指数向上剤、及び、SJグレードパッケージ5%を、溶剤精製油A(粘度指数100の2000ニュートラル油)及び溶剤精製油B(粘度指数100の100ニュートラル油)に加え、エンジン油を作成した。その際、100℃動粘度を10.5〜10.9mm/s2、且つ、−20℃のCCS粘度を3000cPになるよう溶剤精製油AとBの配合量を調整した。
省燃費性に関係するTBS粘度(150℃、せん断速度106/秒)及び粘度指数を測定した。その結果を表4に示した。
さらにこれらのエンジン油を以下の方法で酸化安定性試験、及び、パネルコーキング試験を実施した。その結果を表4に示した。
【0030】
(酸化安定性試験の方法)
エンジン油をJIS−K2514に従い、165.5℃で120時間酸化安定性試験を実施した。試験前後でのTBS粘度(150℃、せん断速度106/秒)を測定した。
【0031】
(パネルコーキング試験の方法)
エンジン油をパネルコーキング試験法Fed−791Bに従い、パネル温度275℃、エンジン油温度120℃で4時間パネルコーキング試験を実施した。
試験後、パネルをペンタンで洗浄後、コーキング量を重量法で測定した。
【0032】
【表4】
【0033】
表4からわかるように、本発明の粘度指数向上剤は、通常のアルキル(メタ)アクリレート系重合体からなる粘度指数向上剤を使用した潤滑油油(比較使用例1、比較使用例2)と比べ、酸化安定性試験後のTBS粘度が低く保つことができ、さらに、コーキング量が著しく低減できる。
また、OCP系粘度指数向上剤を使用した場合(比較使用例3)と比べ、粘度指数が高く、酸化安定性試験前後のTBS粘度が著しく低く、さらに、コーキング量も低減できている。
【0034】
【発明の効果】
以上の実施例から明らかなように、本発明の粘度指数向上剤を使用したエンジン油は、従来の粘度指数向上剤を使用したエンジン油と比べ、コーキング量が低減され、且つ、酸化劣化後においてもTBS粘度を低く保つことができること、及び、粘度指数が高いことから今後の自動車の省燃費性の要求に対応できる優れたエンジン油を提供することができる。
さらに、本発明の粘度指数向上剤は、上記特徴に加え、フレキシブルなエーテル結合を架橋構造中に有する場合には、剪断安定性が特に優れ、エンジン油以外の潤滑油(例えばギア油、ATF、トラクション油、ショックアブソーバー油)の粘度数向上剤としても、極めて有用である。
Claims (4)
- 架橋構造を有するアルキル(メタ)アクリレート系重合体(A)からなり、該(A)が炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)単位と下記一般式(1)で表される(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(a2)単位を有するものであって、(A)の数平均分子量が72,020〜84,450、溶解性パラメーターが9.0〜9.1、HLB値が2.3〜2.6、示差走査線熱量計により測定した結晶化ピーク温度が−59〜−52℃である粘度指数向上剤。
R1−O−(XO)p−R2 (1)
{式中、R1、R2は(メタ)アクリロイル基である。Xは炭素数2〜4のアルキレン基、pは5.2〜103.4の数を示す。pが2以上の場合のXは同一でも異なっていてもよく、(XO)p部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。} - (a2)が8.3〜12.5の溶解度パラメーターを有するホモポリマーを形成する単量体である請求項1記載の粘度指数向上剤。
- (A)中の(a2)の含有量が、下記式(2)を満たす範囲内のものである請求項1又は2記載の粘度指数向上剤。
0.005×{(a2Mn)/(AMn)} ≦Y ≦ 6×{(a2Mn)/(AMn)}(2)
[式中、Yは(A)中の(a2)の重量%、(a2Mn)は、(a2)の数平均分子量 、(AMn)は(A)の数平均分子量である。] - 潤滑油基油と、請求項1〜3のいずれか記載の粘度指数向上剤0.01〜40重量%を含有してなる潤滑油組成物。
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