JP4834284B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種のポータブルな電気・電子機器の多様化、小型化、軽量化の進展に伴い、その駆動源として使用される二次電池に対しても、多様化、小型化、軽量化の要望が強まっている。
【0003】
そのような二次電池として、有機電解液を用いた非水溶媒二次電池の研究・開発が最近盛んに行われており、その一部は既に実用化されている。この非水溶媒二次電池は、一般に、高エネルギー密度を有し、貯蔵・保管時における自己放電も少なく、また環境温度が−20〜60℃という広い範囲でも電流を取り出すことができるという利点を備えている。
【0004】
この非水溶媒二次電池の正極活物質としては、V2O5やMn酸化物のようにその結晶構造内に直接Li+が可逆的に出入りできるような材料や、LiMn2O4のように、充放電に関与するLi源がLi+として配位結合した状態にあるスピネル型の結晶構造を有する材料などが用いられている。また、非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,2−ジメトキシエタン(DME)及びジエチルカーボネート(DEC)よりなる群から選択される1種類以上の非水溶媒に電解質(LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiPF6及びLiN(CF3SO2)2よりなる群から選択される少なくとも1種類)を溶解せしめたものなどが用いられている。
【0005】
このような非水溶媒二次電池のうち正極活物質としてLiCoO2を用いる二次電池は、起電力が約4Vと高く、しかも理論エネルギー密度が正極活物質当たり約1kWh/kgという大きな値を持つ。既に、この二次電池は、小型、軽量化が進む携帯電話を始めとしてモバイル機器用電源として実用化されている。
【0006】
しかしながら、LiCoO2のようなリチウム含有コバルト酸化物は、熱安定性に劣るため、過充電時に電池が異常に発熱して発火に至る危険性がある。
【0007】
過充電時の安全性を高めるために非水電解液にシクロヘキシルベンゼンを添加することが、特開2002−203594号公報(特許文献1)などに提案されている。特許文献1には、0.001〜5重量%のジスルフィド誘導体と、0.1〜5重量%のシクロヘキシルベンゼンとを含む非水電解液をリチウム二次電池に用いることにより、過充電時のシクロヘキシルベンゼンの分解反応により分解被膜を形成し、過充電時の安全性を向上させることが記載されている。
【0008】
しかしながら、シクロヘキシルベンゼンの分解反応が発熱反応であるため、特許文献1に記載されたリチウム二次電池によると、シクロヘキシルベンゼンの発熱と過充電電流によるジュール熱とによって電池温度が急激に上昇し、セパレータが溶融により破膜して正極と負極が短絡し、熱暴走に至るという問題点がある。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−203594号公報(特許請求の範囲、段落[0016]〜段落[0018])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温放電特性を損なうことなく、過充電時の急激な温度上昇を抑制することが可能な非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解質二次電池は、正極と、
負極と、
前記正極と前記負極の間に配置され、厚さが10〜22μmの範囲内で、かつ透気度が200(sec./100mL)以上、800(sec./100mL)未満の範囲内であるセパレータと、
電池容量1mAh当り0.09mg〜0.16mgのシクロヘキシルベンゼンと、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジメトキシプロパン及びビニレンカーボネートよりなる群から選択される1種以上の溶媒とからなる非水溶媒{アミン系芳香族、スルフィド系芳香族、R−SLiで示される(Rはアリル基など芳香族を含む置換基)芳香族、ホスファイト系芳香族及びキノン系芳香族のいずれかを含有するものを除く}、及び、前記非水溶媒に溶解される電解質からなる非水電解質と
を具備することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態について説明する。
【0013】
この非水電解質二次電池は、容器と、容器内に収納される正極と、容器内に収納される負極と、前記正極と前記負極の間に配置され、厚さが10〜22μmの範囲内で、かつ透気度が200(sec./100mL)以上、800(sec./100mL)未満の範囲内であるセパレータと、容器内に収納され、電池容量1mAh当り0.09mg〜0.16mgのシクロヘキシルベンゼンを含む非水電解質とを具備する。
【0014】
以下、正極、負極、セパレータ、非水電解質及び容器について説明する。
【0015】
1)正極
この正極は、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2)を挙げることができる。
【0016】
この正極は、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、得られた合剤スラリーを集電体である基板の片面もしくは両面に塗布し、乾燥して薄板状にしたものを所望する大きさに裁断することにより作製される。あるいは、正極活物質を導電剤および結着剤と共にペレット状に成形したものを正極としたり、正極活物質、導電剤および結着剤を混練したものをシート化し、それを集電体に貼着して正極を得ても良い。
【0017】
前記導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛などのカーボン材、金属粉、導電性酸化物等を挙げることができる。
【0018】
前記結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−6フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)−フッ化ビニリデン三元共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン(FEP)−フッ化ビニリデン三元共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデン三元共重合体、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデン三元共重合体、フッ化ビニル−フッ化ビニリデン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0019】
前記集電体としては、例えばアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔等を用いることができるが、引っ張り強度、電気化学的な安定性および捲回時の柔軟性等を考慮するとアルミニウム箔が最も好ましい。この時の箔の厚さとしては、8μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0020】
前記正極活物質は、電極作製時における基板との密着性、電気化学特性を考慮し、平均粒径D50が2〜20μmの範囲であることが好ましい。また、前記正極活物質の比表面積は、正極の活物質充填密度および充放電効率を向上させ、かつ非水電解質の分解反応を抑制する観点から0.5〜2m2/gであることが好ましい。
【0021】
2)負極
負極は負極活物質を含む。この負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵、放出する化合物を挙げることができる。
【0022】
前記リチウムイオンを吸蔵、放出する化合物としては、例えば、リチウムをドープすることが可能なポリアセタール、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性高分子、リチウムイオンをドープすることが可能な有機物焼結体からなる炭素材、リチウム金属酸化物等を挙げることができる。
【0023】
前記炭素材には、様々な種類のものを使用することができる。例えば、黒鉛系炭素、黒鉛結晶部と非晶部が混在したような炭素、結晶層の積層に規則性のない乱層構造をとる炭素材等を挙げることができる。
【0024】
前記炭素材を含む負極は、具体的に次のような方法により作製される。前記炭素材および結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、この合剤スラリーを集電体の片面もしくは両面に塗布し、乾燥して薄板状にしたものを、所望する大きさに裁断することにより負極を得る。あるいは、炭素材を結着剤とともに成形したペレットを負極として用いたり、炭素材及び結着剤を混練し、シート化したものを集電体に貼着することにより負極を得ても良い。
【0025】
前記結着剤としては、前述した正極で説明したものと同様なものを挙げることができる。
【0026】
前記集電体としては、例えば銅箔、ニッケル箔等を用いることができるが、銅箔がもっとも好ましい。箔からなる集電体は、引っ張り強度及び電気化学的な安定性を向上することができるばかりか、捲回時の柔軟性を高くすることができる。前記集電体の厚さは、8μm以上、20μm以下であることが好ましい。
【0027】
3)セパレータ
このセパレータは、厚さが10〜22μmの範囲内で、かつ透気度が200(sec./100mL)以上、800(sec./100mL)未満の範囲内である多孔質シートから形成される。
【0028】
多孔質シートとしては、例えば、多孔質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。前記多孔質シートは、例えば、ポリオレフィン及びセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料から形成されていることが好ましい。前記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができる。中でも、ポリエチレンか、あるいはポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるため、好ましい。
【0029】
セパレータの透気度を前記範囲に規定するのは以下に説明する理由によるものである。透気度を200(sec./100mL)未満にすると、過充電時にセパレータが溶融により破膜して短絡に至りやすいため、過充電時の発火発生率が高くなる。一方、透気度を800(sec./100mL)以上にすると、セパレータのリチウムイオン透過性が低下するため、低温放電特性が低下する。また、過充電時、セパレータへのCHB析出反応が生じないため、過充電時に異常高温に至り、破裂や発火を招く恐れがある。透気度のより好ましい範囲は250〜750(sec./100mL)であるが、電極群作製時のセパレータの切断を防止し、かつ十分な充放電サイクル特性を得るために透気度は300〜750(sec./100mL)の範囲内にすることがさらに好ましい。
【0030】
セパレータの透気度は、100cm3の空気がセパレータを透過するのに要した時間(秒)を意味し、JIS(日本工業規格)P8117に規定する方法により測定することができる。
【0031】
セパレータの厚さを前記範囲に規定するのは以下に説明する理由によるものである。厚さを10μm未満にすると、過充電時にセパレータが溶融した際に破膜しやすくなる。一方、厚さが22μmを超えると、セパレータのリチウムイオン透過性が低下するため、低温放電特性が低下する。厚さのより好ましい範囲は、14〜20μmである。
【0032】
4)非水電解質
この非水電解質は、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を含む非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質とを含むものである。また、CHB量は、電池容量1mAh当り0.09mg〜0.16mgの範囲内である。
【0033】
非水電解質には、液状またはゲル状の形態を有するものを使用することができる。液状非水電解質は、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解させることにより調製される。一方、ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化したものを含む。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリレート(PMMA)及びポリビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)から選ばれる少なくとも1種類を用いることができる。
【0034】
電池容量1mAh当りのCHB量を0.09mg未満にすると、過充電時にセパレータにCHBが析出して生じるマイクロショートの発生率が低下するため、過充電時に異常高温に至り、破裂や発火を生じる可能性がある。一方、電池容量1mAh当りのCHB含有量が0.16mgを超えると、非水電解質のイオン伝導度が低下するため、低温放電特性が低下する。CHB含有量のより好ましい範囲は、電池容量1mAh当り0.09〜0.13mgである。
【0035】
CHBの量をB(mg)にし、かつ電池容量をA(mAh)にした際に下記(1)式を満足することが望ましい。
【0036】
A/20<B<A/5 (1)
CHB量(B)を(A/20)mgより少なくすると、過充電時に破裂や発火を生じる恐れがある。一方、CHB量(B)が(A/5)mgを超えると、低温放電特性のみならず、室温での放電特性や充放電サイクル寿命が低下する恐れがある。
【0037】
非水溶媒には、CHB以外の他の溶媒(以下、第2の溶媒と称す)を含有させることができる。第2の溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、1,3−ジオキソラン、1,3−ジメトキシプロパン、ビニレンカーボネート(VC)等を挙げることができる。第2の溶媒には、前述した種類の中から選ばれる1種または2種以上の混合溶媒を使用することができる。
【0038】
前記リチウム塩(電解質)としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、四塩化アルミニウムリチウム(LiAlCl4)などを挙げることができる。前記リチウム塩には、前述した種類の中から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。中でも、ホウフッ化リチウム(LiBF4)は、初充電時におけるガス発生を抑制できるため、好ましい。
【0039】
前記リチウム塩の前記非水溶媒に対する溶解量は、1〜3モル/Lにすることが好ましい。より好ましくは2〜2.5モル/Lの範囲である。
【0040】
5)容器
容器の形状は、例えば、有底円筒形、有底角筒形、袋状、カップ状等にすることができる。
【0041】
前記容器は、例えば、樹脂、樹脂層を含むシート、金属板、金属フィルム等から形成することができる。
【0042】
前記樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィンなどを挙げることができる。
【0043】
前記シートに含まれる樹脂層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等から形成することができる。前記シートとしては、金属層と、前記金属層の両面に配置された保護層とが一体化されたシートを用いることが望ましい。前記金属層は、水分を遮断する役割をなす。前記金属層は、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄、銅、ニッケル等を挙げることができる。中でも、軽量で、水分を遮断する機能が高いアルミニウムが好ましい。前記金属層は、1種類の金属から形成しても良いが、2種類以上の金属層を一体化させたものから形成しても良い。前記2つの保護層のうち、外部と接する保護層は前記金属層の損傷を防止する役割をなす。この外部保護層は、1種類の樹脂層、もしくは2種類以上の樹脂層から形成される。一方、内部保護層は、前記金属層が非水電解液により腐食されるのを防止する役割を担う。この内部保護層は、1種類の樹脂層、もしくは2種類以上の樹脂層から形成される。また、かかる内部保護層の表面に熱可塑性樹脂を配することができる。
【0044】
前記金属板及び前記金属フィルムは、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムから形成することができる。
【0045】
本発明に係る非水電解質二次電池は、円筒形、角形、薄型等の様々な形態にすることができる。そのうちの薄型リチウムイオン二次電池を図1及び図2を参照して詳細に説明する。
【0046】
図1に示すように、容器1内には、電極群2が収納されている。前記電極群2は、正極、セパレータおよび負極からなる積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。前記積層物は、図2に示すように、(図の下側から)セパレータ3、正極層4と正極集電体5と正極層4を備えた正極6、セパレータ3、負極層7と負極集電体8と負極層7を備えた負極9、セパレータ3、正極層4と正極集電体5と正極層4を備えた正極6、セパレータ3、負極層7と負極集電体8を備えた負極9がこの順番に積層されたものからなる。前記電極群2は、最外層に前記負極集電体8が位置している。帯状の正極リード10は、一端が前記電極群2の前記正極集電体5に接続され、かつ他端が前記容器1から延出されている。一方、帯状の負極リード11は、一端が前記電極群2の前記負極集電体8に接続され、かつ他端が前記容器1から延出されている。
【0047】
なお、前述した図1、図2においては、正極と負極がセパレータを介在させて扁平形状に捲回された電極群を用いたが、正極と負極をセパレータを介して折り畳むことにより得られる電極群や、正極と負極をセパレータを介在させて積層した電極群などを使用しても良い。
【0048】
以上説明したように本発明に係る非水電解質二次電池は、厚さが10〜22μmの範囲内で、かつ透気度が200(sec./100mL)以上、800(sec./100mL)未満の範囲内であるセパレータと、電池容量1mAh当り0.09mg〜0.16mgのシクロヘキシルベンゼン(CHB)を含む非水電解質とを備えているため、過充電時、CHBの分解反応により生成した分解生成物がセパレータに析出しやすく、この析出物により正極と負極の間にマイクロショート(僅かな電圧降下を伴う短絡)を生じさせることができる。セパレータへのCHBの析出やマイクロショートの発生により過充電電流が消費され、消費された分、過充電電流によるジュール熱の発生を抑えることができるため、電池温度の急激な上昇を抑制することができ、セパレータの溶融による破膜、つまり内部短絡を防止することができる。その結果、正極の熱暴走反応を回避することができるため、過充電時の破裂及び発火を防止することができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
(実施例1)
<正極の作製>
LiCoO2粉末を100重量部にアセチレンブラック5重量部を添加し、これらをボールミルで1時間混合した後、ポリフッ化ビニリデンが4重量%溶解されたN−メチル−2−ピロリドン溶液を加え、さらに混合することにより合剤スラリーを調製した。この合剤スラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に塗布し、乾燥した後、加熱ロールプレスすることにより、正極を得た。
【0051】
<負極の作製>
メソフェーズピッチ系炭素繊維をアルゴンガス雰囲気下で3000℃にて黒鉛化し、さらに2400℃の塩素ガス雰囲気下で熱処理して黒鉛化炭素粉末を合成した。続いて、前記黒鉛化炭素粉末100重量部と、セルロース繊維粉末1重量部と、ポリフッ化ビニリデン5重量%が溶解されているN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合することにより、合剤スラリーを調製した。この合剤スラリーを厚さ12μmの銅箔に塗布し、乾燥した後、加熱ロールプレスすることにより、負極を得た。
【0052】
<セパレータ>
厚さが20μmで、透気度が250(sec./100mL)のポリプロピレン製微多孔フィルムをセパレータとして用意した。
【0053】
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を体積比率(EC:MEC)が1:1になるように混合して非水溶媒を調製した。得られた非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )をその濃度が1モル/Lになるように溶解させて、非水電解液を調製した。
【0054】
<電池の組み立て>
あらかじめ正極の集電タブとして厚さ100μm、長さ70mmのアルミニウムリボンが所定の位置に超音波溶接され、かつ短絡防止のためのポリイミド製保護テープが溶接部位に貼付された前記正極、セパレータ、およびあらかじめ負極の集電タブとして厚さ100μm、長さ70mmの銅リボンが所定の位置に超音波溶接され、かつ短絡防止のためのポリイミド製保護テープが溶接部位に貼付された前記負極をそれぞれこの順序で積層した後、扁平状に捲回し、30秒間プレスして電極群を作製した。
【0055】
アルミニウム箔の両面をポリエチレンで覆った厚さ100μmのラミネートフィルムを、プレス機により矩形のカップ状に成形し、得られた容器内に電極群と非水電解液と下記表1に示す添加量のシクロヘキシルベンゼン(CHB)とを収納し、前述した図1、図2に示す構造を有する理論容量が1000mAh(電池容量Aが1000mAh)の薄型非水電解質二次電池を組み立てた。注液工程から密封工程までは、Ar雰囲気下で露点−80℃以下に制御されたグローブボックス内にて行った。
【0056】
(実施例2〜14及び比較例1〜10)
電池の理論容量、CHB添加量及びセパレータの透気度を下記表1に示すように設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の薄型非水電解質二次電池を組み立てた。
【0057】
得られた二次電池について以下に説明する過充電試験と低温放電特性評価を行ない、その結果を下記表1に示す。
【0058】
<過充電試験>
1CmA、6Vで定電流定電圧充電を行い、その際の最高温度を測定すると共に、電圧と電流の変化から短絡の有無を測定し、これらの結果を下記表1に示す。表1において「セパレータ破膜」はセパレータの溶融により正極と負極が直に接触して電圧が0Vに降下したことを示す。また、過充電試験中に微小な電圧降下が観察されたものをマイクロショートが生じたと判定し、電圧降下が全く見られなかったものを「短絡なし」と判定した。
【0059】
<低温放電特性>
1Cの電流で4.2Vの定電流・定電圧充電を3時間行った後、−20℃で1時間放置し、次いで−20℃の低温環境下で放電レート0.5C、放電終止電圧3.0Vの条件で放電させた場合の放電容量を測定した。得られた低温放電容量を、室温において同条件で放電した場合の放電容量を100%として表し、その結果を−20℃放電容量維持率として下記表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、CHB量が0.09〜0.16(mg/mAh)で、かつセパレータ透気度が200(sec./100mL)以上、800(sec./100mL)未満である実施例1〜14の二次電池は、過充電時の最高温度が130℃より低く、かつ低温放電特性に優れていることが理解できる。過充電時の急激な温度上昇が抑えられたのは、CHBのセパレータへの析出反応が生じたためであると推測される。この際、CHB量が0.1(mg/mAh)以上で、かつセパレータの透気度が450(sec./100mL)未満であると、マイクロショートの発生率が高くなるため、温度上昇抑制の効果がより高くなる。
【0062】
これに対し、CHB量が0.09(mg/mAh)未満の比較例1〜3の二次電池は、過充電時の最高温度が150℃を超え、セパレータの透気度が800(sec./100mL)未満の比較例1,2に至ってはセパレータが溶融により破膜した。セパレータの透気度が800(sec./100mL)である比較例4〜8の二次電池では、CHB量が0.09〜0.16(mg/mAh)であっても、過充電時の最高温度が150℃を超えるか、あるいは低温放電特性が低くなった。このことから、セパレータの透気度が800(sec./100mL)以上であると、CHB量が0.09〜0.16(mg/mAh)であってもCHBのセパレータへの析出及びCHB析出によるマイクロショートが起きないために過充電時に急激な温度上昇が生じることと、過充電時の温度上昇を抑えるためにCHB添加量を多くすると、CHB量が0.09〜0.16(mg/mAh)であっても低温放電特性が低下することが理解できる。
【0063】
一方、CHB量が0.16(mg/mAh)より多い比較例9〜10の二次電池は、過充電時の最高温度が130℃より低いが、低温放電特性が劣っていた。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、低温放電特性に優れ、かつ過充電時の急激な温度上昇が抑制された非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる非水電解質二次電池の一実施形態である薄型非水電解質二次電池を示す断面図。
【図2】 図2は図1のA部を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1…容器本体、2…電極群、3…正極、4…負極、5…セパレータ、6…蓋板、7…外部保護層、8…内部保護層、9…金属層、10…正極端子、11…負極端子。
Claims (1)
- 正極と、
負極と、
前記正極と前記負極の間に配置され、厚さが10〜22μmの範囲内で、かつ透気度が200(sec./100mL)以上、800(sec./100mL)未満の範囲内であるセパレータと、
電池容量1mAh当り0.09mg〜0.16mgのシクロヘキシルベンゼンと、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジメトキシプロパン及びビニレンカーボネートよりなる群から選択される1種以上の溶媒とからなる非水溶媒{アミン系芳香族、スルフィド系芳香族、R−SLiで示される(Rはアリル基など芳香族を含む置換基)芳香族、ホスファイト系芳香族及びキノン系芳香族のいずれかを含有するものを除く}、及び、前記非水溶媒に溶解される電解質からなる非水電解質と
を具備することを特徴とする非水電解質二次電池。
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