JP4812157B2 - 免疫増強作用を有する低分子化βグルカンを含有する医薬品素材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、免疫力を増強し、種々の細菌、ウイルス感染やガンの発生を予防する作用を有する水溶性βグルカン、及び該水溶性βグルカンを有効成分として含有する食品素材、化粧品素材、医薬品素材及びそれら素材の加工品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
生体は、主として免疫系の作用によって、細菌やウイルス等の微生物、或いは生体内で発生する腫瘍等の攻撃から守られている。近年、免疫機能に作用し、これを増強する効果を有する生体応答修飾物質(以下BRMと略記)を用いたインフルエンザ予防或いはガン治療に関する研究が注目されている。
【0003】
BRMの免疫増強効果は、先ず、生体内の様々な細胞にBRMが作用し、腫瘍壊死因子(以下TNFと略記)、インターロイキン類、インターフェロン類等のサイトカインと総称される物質産生が活性化、誘導されることにより生じる。誘導されたこれらの物質は、免疫担当細胞に作用し免疫系を活性化する。サイトカインのうち、TNFは、単球やマクロファージから放出されるものであって、細胞増殖作用や抗ウイルス作用を示すことが知られている。インターロイキン類としては、IL1〜IL12の存在が知られている。そのうちIL1は、感染、炎症、種々の免疫反応等に伴い、主として単球やマクロファージから産生される分子量17500のペプチドホルモンである。インターフェロン類は、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γの3つが知られている。インターフェロン−γは、分子量が約2万の糖蛋白質であって、抗ウイルス作用、マクロファージやナチュラルキラー細胞等の免疫担当細胞の活性化や分化誘導に作用し免疫調節因子として注目されている。
【0004】
これらサイトカインを単離精製して、或いは遺伝子組換えによって調製し、それぞれを投与してウイルス感染治療或いはガン治療に応用する研究が行われているが、免疫増強作用は、多くの細胞が協奏的に働き、はじめて効果を発揮するものであり、それぞれのサイトカインのバランスが重要で、未だ多くのサイトカインをバランスよく投与する方法が見出されておらず、ガン治療を達成するには至っていないのが現状で、これらの課題克服の目的に使用されるBRMへの期待は大きい。
【0005】
BRMとしては、微生物由来の多糖類、或いは細胞壁成分等では酵母菌体、乳酸菌菌体等が知られている。また、シイタケ抽出多糖類であるレンチナン或いはその他胆子菌類のβグルカン類も有効であることが知られている。
しかし、これら微生物や胆子菌は、培養に手間がかかり、特殊な設備を必要とする。また、これら微生物や胆子菌由来のβグルカン或いはその他多糖類の抽出は、操作が煩雑であると共に、精製工程も煩雑で、コスト及び操作時間が多大にかかり、得られるBRMが高価なものとなってしまう問題がある。
【0006】
水溶性βグルカンのBRMの作用、即ち免疫増強作用に関しては、胆子菌培養物或いは子実体の熱水抽出物に同作用が認められている。
しかし、これらのキノコ類では、重量平均分子量200万〜20万の高分子量のβグルカンに免疫増強作用が認められている。
また、イネ科植物由来の重量平均分子量が10万を超える比較的高分子量のβグルカンに免疫増強作用のあることは知られているが、その免疫増強作用は満足できるものではなく、また重量平均分子量が10万以下に低分子化されたβグルカンについての免疫増強作用に関しては未知であった。
【0007】
このように免疫増強作用が認められているβグルカンは、重量平均分子量が10万を超える高分子量のものである。一般的に高分子量のβグルカンは、粘性が高く、水に溶解させるのが難しい。そのため、食品、化粧品、医薬品等の素材として使用する場合、加熱操作や長時間の攪拌操作等が必要になり、熱による変性や分子修飾のためのコストが高くなる等の問題があり、機能性を保持した、より低分子量のβグルカンが望まれている。
【0008】
従って、本発明の目的は、体内におけるTNFをはじめとするサイトカインの産生を促進し、その作用を増強させ、抗体産生能或いは免疫作用全体を増強することによって各種感染症や腫瘍発生の予防に役立つ、低分子量の水溶性βグルカンを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、高分子量のβグルカンを低分子化することによって得られた低分子量の水溶性βグルカンが、高分子量のβグルカンに比較してより強い免疫増強作用を有することを見出し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は、免疫増強作用のための医薬品素材であって、重量平均分子量が5000〜10万に低分子化された大麦粉由来の水溶性βグルカンを有効成分として含有する医薬品素材を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の低分子化された水溶性βグルカンは、抗体産生増強作用或いはサイトカイン特にTNFの産生促進作用を有する免疫増強作用を有し、特に、食品、化粧品及び医薬品等の素材として適している。
【0019】
本発明のβグルカンは、植物、特にイネ科植物由来のものが好ましく、食品素材として最も適当である。イネ科植物の例としては、米類、小麦類、トウモロコシ類、ヒエ類、アワ類、キビ類、大麦類、オーツ麦類(カラス麦類)、ライ麦類等が挙げられ、好ましくは、大麦類、オーツ麦類、さらに好ましくは大麦類である。これらのイネ科植物には、ワキシー蛋白質を発現し、アミロース合成される粳系統のもの或いはこの蛋白質の作用の欠失した餅化系統のものがあるが、本発明においては何れも材料とすることができる。
【0020】
本発明の低分子化された水溶性βグルカンの水溶性とは、65℃の温水に完全に溶解する性質をいう。完全に溶解する性質は、サンプルを蒸留水に対して1重量%となるように添加し、10分間撹拌溶解させた後、沈殿が目視によって確認されないこと、660nmの吸光度による濁度測定において、対照の溶解水に対して、O.D.値が0.4以下である性質をいう。本発明の水溶性βグルカンは、このような水溶性を有するため、食品、化粧品、医薬品等の素材として扱いやすく、加工の手間がかからず、コストも抑えることができる。
【0021】
本発明の水溶性βグルカンは、低分子量である。ここでいう低分子量とは、水溶性であり、且つ免疫増強作用を有すればよい。その中でも、特に重量平均分子量が10万以下の水溶性βグルカンが、免疫増強作用に優れ、食品、化粧品、医薬品等の素材としても優れている。その中でも、重量平均分子量5000〜10万のものが好ましく。更に重量平均分子量1万〜6万のものがより好ましい。
【0022】
本発明の水溶性βグルカンは、分子量10万未満のβグルカンの含有量の割合が、全βグルカンの80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、さらに95重量%以上がより好ましく、100重量%のものが最も好ましい。
【0023】
本発明の低分子化された水溶性βグルカンは、イネ科植物等の原料から直接得ることができ、また原料から抽出精製された高分子量のβグルカンを低分子化して得ることもできる。
【0024】
穀類から高分子量のβグルカンを得る方法としては、例えば、多ろう質大麦を原料とし、水抽出により製造する方法(特公平4−11197号公報)、或いは、大麦、オーツ麦を原料として、アルカリ抽出、中和、アルコール沈殿により、重量平均分子量10万〜100万のβグルカンを得る方法(特公平6−83652号公報)等がある。これらの製造方法で得られたβグルカンは、高分子量であるため、このままでは粘性が高く水に再可溶させるのが難しい。これらの高分子量のβグルカンを低分子化して本発明の低分子化水溶性βグルカンを得ることができる。
【0025】
高分子量のβグルカンを低分子化する方法としては、公知である多糖類の加水分解反応の何れもが利用可能である。例えば、水溶性多糖類は、酸存在下に加圧加熱により加水分解することが知られており、これを利用して高分子量のβグルカンを低分子化することができる。また、酵素による加水分解反応を利用した低分子化も有効で、酵素としては、1/3βグルカナーゼ等を用いることができる。以上のように、原料から抽出精製された高分子量のβグルカンから本発明の低分子化水溶性βグルカンを得ることができる。
また、本発明の低分子化水溶性βグルカンは、WO98/13056号国際公報に記載の方法等により、原料穀物から直接抽出して得ることもできる。
【0026】
本発明の低分子化された水溶性βグルカンの中でも最も好ましいものは、大麦由来の低分子化水溶性βグルカンであり、このものは、免疫増強作用に優れており、特に体内におけるTNF類、インターロイキン類、インターフェロン類等のサイトカインの産生を促進し、その作用による抗体産生等の免疫力を増強させる効果に優れ、これらの効果の中でも特に抗体産生増強作用が、重量平均分子量10万以上の高分子量のβグルカンに比較して著しく優れている。
【0027】
また、本発明の低分子化された水溶性βグルカンを、食品、化粧品、医薬品等の素材又はそれら素材の加工品に含有させて使用する場合、0.1〜90重量%含有させることが好ましい。
また、本発明の低分子化された水溶性βグルカンの免疫増強作用は単独で十分発現しうるものであるが、乳酸菌又は乳酸菌菌体成分と併用することで、さらに免疫増強作用が増し好ましい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。尚、特に記述がない限り、実施例中の%は重量によるものであり、分子量は重量平均分子量である。
【0029】
実施例1(低分子化水溶性βグルカンの製造)
市販の大麦を粉砕し、24メッシュの篩にて通過分を大麦粉とした。該大麦粉500gに水2.5L(リットル)を加え、55℃に加温後、2時間攪拌抽出した。抽出後、混合液を遠心力1500Gで10分間遠心分離し、2.2Lの上清を得た。この上清を冷却、凍結し、−10℃で24時間放置した。解凍後、沈殿したβグルカンを濾過分離し、80℃にて加熱乾燥し、15gのβグルカン粗抽出物を得た。このβグルカン粗抽出物に水300mlを加え、90℃にて完全に溶解させた後、−20℃に冷却し、24時間凍結保存した。解凍後、沈殿したβグルカンを濾過分離し、凍結乾燥し、10gのβグルカン精製物(サンプルA)を得た。
【0030】
このサンプルAを1%となるように蒸留水に加え、65℃に加温し、10分間放置したところ、溶解し透明の水溶液となった。660nmによる吸光度は、蒸留水を対照として、O.D.値0.127を示した。
次に、サンプルAの分子量をゲル濾過クロマトグラフィーにて次のようにして測定した。サンプルAを蒸留水に濃度1%となるように加え、沸騰水中で溶解させた。分離には温度50℃でゲル濾過カラムSuperose6HR(ファルマシア製)を用い、分子量マーカーとしてShodexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)を用いた。蒸留水を溶出液とし、流速0.6ml/min.で溶出画分を屈折計(RI)でモニタリングした。プルラン標準物の分子量より、サンプルAの分子量を測定した結果、その分子量は10万〜5000に分布し、分子量10万以上のピークはわずかであり(3%以下)、分子量が低下するほど含量は多くなり、主成分は分子量4万であった。また分子量5000以下のβグルカンはわずかであった(5%以下)。
【0031】
比較例2(高分子量のβグルカンの製造)
市販の大麦を粉砕し、24メッシュの篩にて通過分を大麦粉とした。該大麦粉500gに水2.5Lを加え、55℃に加温後、30分間攪拌抽出した。抽出後、混合液を遠心力1500Gで10分間遠心分離し、2.2Lの上清を得た。この上清を冷却、凍結し、−10℃で24時間放置した。解凍後、沈殿したβグルカンを濾過分離し、80℃にて加熱乾燥し、5gのβグルカン粗抽出物を得た。このβグルカン粗抽出物に水500mlを加え、煮沸して溶解させた後、−20℃に冷却し、24時間凍結保存した。解凍後、沈殿したβグルカンを濾過分離し、凍結乾燥し、3.6gのβグルカン精製物(サンプルB)を得た。
【0032】
このサンプルBを1%となるように蒸留水に加え、65℃に加温し、10分間溶解を試みたが、サンプルBは沈殿が認められ全ては溶解しなかった。660nmの吸光度を測定したところ、O.D.値1.74を示した。
次に、サンプルBの分子量をゲル濾過クロマトグラフィーにて次のようにして測定した。サンプルBを蒸留水に濃度1%となるように加え、沸騰水中で溶解させた。分離には50℃でゲル濾過カラムSuperose6HR(ファルマシア製)を用い、分子量マーカーとしてShodexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)を用いた。蒸留水を溶出液とし、流速0.6ml/min.で溶出画分を屈折計(RI)でモニタリングした。その結果、プルラン標準物の分子量より、サンプルBの分子量を測定した結果、その分子量分布は、分子量50万〜15万に分布し、主成分は分子量30万であった。分子量10万以下の低分子化βグルカンは認められなかった。
【0033】
試験例1(腹空内細胞数の変動)
先ず、実施例1で得られたサンプルA(本発明の低分子化水溶性βグルカン)を10mMリン酸緩衝液(pH6.9)100μlに溶解し、0.32〜20mgの量でICRマウス6週齢メスの腹空に投与し、6時間後に腹空細胞を採取し、顕微鏡下、その細胞数をカウントした。その結果、投与量に比例して細胞数は増加し、未投与マウスに比較すると、2〜3倍となった。増加した全細胞数に対する好中球数の割合をカウントしたところ、投与量に従い増加し、0.32mg投与で約10倍、1mg投与で20倍、5mg投与で30倍に増加した。増加した細胞中の好中球数の割合は1mg投与で増加細胞の70%を超えていた。臨床的に使用されている免疫増強剤であるシイタケ抽出物由来の精製レンチナンは1mg投与で、細胞数が3倍、好中球数は30倍、割合は80%であった。細菌由来のOK−432の投与では0.2mg投与で細胞数は5倍、好中球は60倍、割合は90%であった。
【0034】
次に、前記サンプルAを投与し、経時的な細胞の質的変化を検討した。前記サンプルAの10mgをマウス腹空に投与し、6、12、24、48、72時間後に細胞を採取し免疫担当細胞である好中球、マクロファージ、リンパ球の数をカウントした。その結果、総細胞数は、24時間で最大となり未投与の10倍であった。好中球は24時間後に最大となり、その後48時間後には急激に減少し、72時間後にはほぼ正常値であった。マクロファージは、12時間以降増加し48時間で最大を示した。リンパ球数も48時間後に最大を示した。
レンチナンでは、12時間後に総細胞数が最大となり、その後減少した。好中球数は6時間後が最大でその後減少した。好中球の数は前記サンプルAでは24時間まで減少せず、レンチナンに比較すると持続力があった。レンチナン投与のマウスにおけるマクロファージとリンパ球の変化は前記サンプルAとほぼ同様であった。尚、上記細胞数のカウントは、腹空細胞をスライドガラスに塗布し、核染色して形態学的な変化より好中球、マクロファージ、リンパ球に類別してカウントした。
また、細胞の顕微鏡観察により、前記サンプルAの投与後48時間の細胞観察において、マクロファージの活発な貪食作用の結果と考えられる形態学的特徴と、劇的な好中球の減少を認めた。このような変化はレンチナン、OK−432、その他では認められず、前記サンプルAの投与で特異的に認められることであった。
【0035】
試験例2(腹空内細胞より産生されるTNF量の変動)
実施例1で得られたサンプルAを投与したマウスより得た腹空細胞を用いて、TNF−αの産生能を評価した。先ず、前記サンプルAを10mMリン酸緩衝液(pH6.9)100μlに溶解し、ICRマウス6週齢メスに0〜10mgとなるよう腹空投与した。3日後、腹空細胞を採取し、無血清培養液で洗浄後、同培養液にて各ウェルに5×105cellsとなるよう調整して添加した。さらに乳酸菌菌体を20μg/mlとなるように各ウェルに添加し、全量を200μlとし、2時間37℃にて放置した。培養上清のTNF−α濃度をELISA測定キット(ENDOGEN社製TNF−2 ELISAKIT EN−2601−90)を用いて測定した。その結果、前記サンプルAの0.3mg投与で51pg/ml、1mg投与で128pg/ml、3mg投与で141pg/mlと濃度依存的に産生されるTNF−αの濃度は増加した。無添加の場合、25pg/mlであり、その産生量は前記サンプルAに特異的であった。
【0036】
また、前記サンプルAを投与したマウスより得た腹空細胞を用いて、TNF−α産生能の経時変化を評価した。サンプルAの3mgを10mMリン酸緩衝液(pH6.9)100μlに溶解し、ICRマウス6週齢メスに腹空投与した。0〜7日後、腹空細胞を採取し、無血清培養液で洗浄後、同培養液にて各ウェルに5×105cellsとなるよう調整して添加した。さらに乳酸菌菌体を20μg/mlとなるように各ウェルに添加し、全量を200μlとし、2時間37℃にて放置した。培養上清のTNF−α濃度をELISA測定キット(ENDOGEN社製TNF−2 ELISAKIT EN−2601−90)を用いて測定した。その結果、前記サンプルA投与直後では18pg/ml、1日後で84pg/ml、3日後で130pg/ml、5日後に121pg/ml、7日後に98pg/mlとTNF−αの産生量は経日的に増加し、その産生能は7日間持続していた。
【0037】
試験例3
実施例1で得られたサンプルA及び比較例1で得られたサンプルBをマウスに投与し、その抗体産生増強の作用を解析した。
先ず、抗原としてウシ・血漿ガンマーグロブリン1mgをPBS(リン酸緩衝液)の1mlに溶解させ1mg/mlの抗原液を調整した。前記サンプルA又はBの500μgをPBSの1mlに加え、加熱溶解させた。前記サンプルAは、50℃に加温することで瞬時に溶解した。前記サンプルBは、50℃に加温することでは溶解せず、90℃に30分間放置し溶解させた。抗原液とサンプル溶液を当量混合し、マウスの腹空に100μlづつ投与した。マウスは、Balbcマウス4週齢、メスを用い、各サンプル5匹を1群とした。2週間後に1回目と同様にして追加免疫した。尚、ウシ・血漿ガンマーグロブリン0.5mgをPBSの1mlに溶解させ0.5mg/mlとし、マウスに100μl投与した群を対照とした。追加免疫後2週間で採血し、トータルの抗体産生量(IgG,IgM,IgA抗体量)の差をELISAにて測定した。尚、ELISAは、先ず、免疫に用いたウシ・血漿ガンマーグロブリンを10μg/mlの濃度で96マイクロプレート(ヌンク社製・マキシソープ)にプレートコーティングして、血清の希釈液を1時間、37℃にて反応後、さらにペルオキシターゼを標識した抗マウス・イムノグロブリン抗体を2次抗体として1時間、37℃で反応させた。次に、オルトフェニレンジアミン溶液(和光純薬社製)を発色剤として用いて、10分間37℃に放置後、2M硫酸で反応を停止後、490nmの吸光度を測定した。
【0038】
次に、マウスより採取した血液を遠心分離し、血清を得て、これを×10〜×5120倍に0.2%BSA(牛血清アルブミン)を含むPBS−Tween溶液(ソルビタンモノエステルであるTween20をPBSに0.05%となるように溶解したもの)にて希釈し、抗体価を測定した。その結果、2560倍に希釈した血清の抗ウシ・血漿ガンマーグロブリン抗体価をO.D.値の平均値として比較すると、サンプルA投与群(n=5)は0.703±0.1、サンプルB投与群(n=5)は0.491±0.075、対照群(n=5)は0.315±0.090であった。
この試験からサンプルA投与群の抗体価はサンプルB投与群よりも高値を示し、前記サンプルAの抗体産生増強効果が認められた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の低分子化された水溶性βグルカンは、体内におけるTNFをはじめとするサイトカインの産生を促進し、その作用を増強させ、抗体産生能或いは免疫作用全体を増強することによって各種感染症や腫瘍発生の予防に役立つものである。
Claims (4)
- 免疫増強作用のための医薬品素材であって、重量平均分子量が5000〜10万に低分子化された大麦粉由来の水溶性βグルカンを有効成分として含有する医薬品素材。
- 分子量が10万未満のβグルカンの含有量の割合が、全βグルカンの80重量%以上である請求項1記載の医薬品素材。
- 水溶性βグルカンを0.1〜90重量%含有する請求項1又は2記載の医薬品素材。
- さらに乳酸菌又は乳酸菌菌体成分を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬品素材。
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