JP4811899B2 - キレート系重金属処理剤の必要添加量の決定方法及び薬注制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、重金属含有排水にキレート系重金属処理剤を加えて該排水中の重金属成分を除去するに当たり、キレート系重金属処理剤の必要添加量を、簡易かつ的確に決定する方法と、この方法により求めた必要添加量に基いて、効果的な薬注制御を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メッキ排水、塗装排水等の重金属含有排水は、銅、クロム、亜鉛、鉛、マンガン、鉄、ニッケル、カドミウム等の重金属を含むものであり、これらの重金属含有排水は、水質汚濁防止法等により適切な処理を行うことが義務づけられている。
【0003】
従来、重金属含有排水の処理法としては、下記のようなものがある。
▲1▼ 苛性ソーダ、消石灰等のアルカリ剤を添加して、その重金属水酸化物(不溶化)を形成するpHで凝集沈殿処理を行う方法
▲2▼ ジチオカルバミン酸基を主体とするキレート系重金属処理剤を添加して、凝集沈殿処理を行う方法
▲3▼ 硫化物を添加して凝集沈殿処理する方法
このうち、▲1▼のアルカリ剤による方法では、重金属の除去率が不十分である;アルカリpH域で処理するため放流時に中和処理が必要であり、処理装置の構成が複雑になる;排水中に有機酸等を含有する場合、それと重金属が錯化合物を形成して除去が困難になる;スラッジの発生量が多い;といった問題点がある。
【0004】
また、▲3▼の硫化物による方法では、低コストで比較的高い重金属除去率が得られるものの、臭気(硫化水素臭)の発生があり、作業環境が悪いという欠点がある。
【0005】
これに対して、▲2▼のキレート系重金属処理剤による方法では、臭気の問題もなく、また、重金属の除去率が高く、中性pH域で処理できるため、中和の必要もなく、更に、排水中に有機酸等を含有して重金属と錯化合物を形成した場合でも、重金属除去率が比較的高いことから、最も優れた方法であると言える。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、キレート系重金属処理剤による方法では、キレート系重金属処理剤は一般的に高価であるため処理コストが高騰し、また、排水の重金属濃度に対してキレート系重金属処理剤が過剰添加となった場合には、処理効果が悪化するという欠点がある。このため、重金属含有排水の日常の水質変動にかかわらず、キレート系重金属処理剤を定量添加で処理すると、キレート系重金属処理剤添加量が不足する場合も過剰添加の場合にも重金属成分を十分に除去し得ず、処理水質が低下する上に、過剰添加の場合には経済性が著しく損なわれる。
【0007】
本発明は上記従来の問題点を解決し、重金属含有排水にキレート系重金属処理剤を加えて該排水中の重金属成分を除去するに当たり、キレート系重金属処理剤の必要添加量を、簡易かつ的確に決定する方法と、この方法により求めた必要添加量に基いて、効果的な薬注制御を行う方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のキレート系重金属処理剤の必要添加量の決定方法は、重金属含有排水にキレート系重金属処理剤を加えて該排水中の重金属成分を除去するための該キレート系重金属処理剤の必要添加量を決定する方法において、該重金属含有排水のpHを、pH6〜8の中性付近でpHの変動幅を±0.5以内に抑えながら該排水にキレート系重金属処理剤を添加し、このキレート系重金属処理剤の添加量と、このキレート系重金属処理剤の添加前後の該排水の酸化還元電位の変化量を測定し、この測定結果に基いて、前記必要添加量を決定する方法であって、前記キレート系重金属処理剤の添加量に対して、該酸化還元電位の変化量が最大となる時のキレート系重金属処理剤の添加量を必要添加量とすることを特徴とする。本発明の中で酸化還元電位の変化量とは電位測定点とその前の測定点との電位差の絶対値を指し、後述する酸化還元電位の傾きとはそれら2つの測定点間の添加量に対する電位の増加割合のことをいう。測定間隔は添加量が一定間隔となるようにするのが望ましい。
【0010】
キレート系重金属処理剤は、キレート形成基(ジチオカルバミン酸基)を持ち、この基が排水中の重金属イオンと反応して不溶化物を作り沈殿を生成する。こうして反応する重金属イオンがなくなり、フリーのキレート系重金属処理剤濃度が増加すると、酸化還元電位(ORP)が低下する。請求項1の方法は、このORPの変化を利用したものである。
【0011】
請求項1の方法は、このキレート系重金属処理剤の添加量に対するORPの変化量が一定ではなく、急変すること、そしてこの急変する点がキレート系重金属処理剤の最適添加量であること、即ち、例えば図3に示す如く、ORP及びその傾きを縦軸、薬注量を横軸としたグラフにおいて、薬注量が増加すると傾きが次第に小さくなり、傾きの最小値をとった後、再び傾きが大きくなり、キレート系重金属処理剤添加量に対するORP値の急変する点を変化量の最大値として求めることができることを利用したものであり、この最大値付近に処理対象排水中の重金属イオンとキレート系重金属処理剤との反応の終点があると推測される。
【0012】
このORP測定において、検水の重金属含有排水のpHを一定に保つことは極めて重要であり、このpHを一定に保つことから、以下の理由により、ORPの測定精度を高め、これによりORPの変化量を正確に求め、この結果に基づいて的確な薬注を行える。即ち、本発明は、ORPの値が水中残留キレート系重金属処理剤の濃度に依存することを利用するものであるが、ORPはpHの変化により変動する。本発明では、検水のpHを一定に保ち、pHの変化によるORPの変動を排除することによって、精度良くORPの測定を行うことができる。
【0013】
なお、本発明において、検水である重金属含有排水のpHを一定に保つということは、ORP測定中の重金属含有排水のpHの変動幅を概ね±0.5以内に抑えることを指す。
【0014】
本発明のキレート系重金属処理剤の薬注制御方法は、重金属含有排水にキレート系重金属処理剤を加えて該排水中の重金属成分を除去する際のキレート系重金属処理剤の薬注量を制御する方法において、このような本発明のキレート系重金属処理剤の必要添加量の決定方法に従って求めた必要添加量に従ってキレート系重金属処理剤の薬注制御を行うことを特徴とするものである。
【0015】
この方法においては、求められた必要添加量の値を現場に表示して、その値を基に管理者が手動で薬注ポンプの吐出量設定を変更しても良いが、求められた必要添加量の値に基いて自動的に薬注ポンプの吐出量の設定変更がされるような構成とすることが省力化の面で好ましい。また、重金属含有排水量の変化を検知して、キレート系重金属処理剤の添加量をそれに対応するよう、変更させる機能を持たせることでさらに処理精度を高めることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明のキレート系重金属処理剤の薬注制御法により重金属含有排水を処理する排水処理系の実施の形態を示す系統図であり、図2はORP自動計測器の構成を示す系統図である。
【0018】
この排水処理系では、重金属含有排水に中和槽1で酸(HCl等)又はアルカリ(NaOH等)のpH調整剤を添加してpH調整した後、反応槽2に導入し、薬剤貯槽3から薬注ポンプP1でキレート系重金属処理剤を添加して反応させ、反応液に無機凝集剤を添加して第1凝集槽4で凝集処理し、次いで高分子凝集剤を添加して第2凝集槽5で凝集処理し、凝集処理液を沈殿池6で固液分離し、得られた上澄水を処理水として放流する。また、分離された汚泥は脱水機7で脱水処理する。
【0019】
中和槽1から反応槽2に重金属含有排水の中和処理液を送給する配管には、サンプリングライン8が接続されており、サンプリングした試料液(サンプリング水)のORPをORP自動計測器9で計測するように構成されている。このORP計測値は、制御演算器10に入力され、ORP計測値に基いてキレート系重金属処理剤の必要添加量が算出される。この算出結果は薬注ポンプP1の制御信号としてインバーター等のポンプ制御器11に出力され、ポンプ制御器11により薬注ポンプP1が制御され、キレート系重金属処理剤の適正な薬注が行われる。
【0020】
このように、重金属含有排水(の中和処理液)のORPの計測及びこの計測値に基く適正薬注量(キレート系重金属処理剤の必要添加量)の算出を一定の間隔で行うことにより、安定な薬注制御を行って効率的な処理を行うことができる。
【0021】
図1の排水処理系にあっては、重金属含有排水の処理を行う現場でのORP自動計測器9の計測結果と制御演算器10の算出結果を通信端末12を経て電話回線で遠隔地のセンターの中央監視装置13に送信すると共に、この中央監視装置13からの設定変更(例えば、計測間隔の設定変更、補正係数等の制御設定値の変更等)を電話回線で通信端末12を経て制御演算器10に送信可能とされており、現地/センター相互のデータ通信で遠隔地における処理状況の把握及び監視と遠隔制御が行えるように構成されている。
【0022】
次に、本発明において、キレート系重金属処理剤の必要添加量を算出するためのORP自動計測器9の構成について図2を参照して説明する。
【0023】
このORP自動計測器は、通常、図1に示す如く、中和槽1で中和された重金属含有排水を取り出すためのサンプリングライン8に設けられる。
【0024】
図2のORP自動計測器における計算手順は次の通りである。
【0025】
▲1▼ ORP計測動作が始まると、原水側(サンプリングライン)の電磁弁V1と計測槽21の底部の流出入用の電磁弁V2が開となり、計測槽21に測定対象のサンプリング水が流入する。計測槽21内のレベルスイッチ22の所定値でこれらの電磁弁V1,V2が閉となり、サンプリング水の流入は停止する。
【0026】
▲2▼ 計測槽21内のモーター攪拌機23によって、サンプリング水を攪拌し、かつこのサンプリング水のpHを一定に保ちながら、薬液槽24内のキレート系重金属処理剤の所定量(一定量)をポンプP2により一定間隔で添加する。この添加は連続的でも断続的でも構わないが、添加後のORP測定値を安定して計測するためには、必要量を短時間で添加できるような薬注ポンプ吐出量に設定して、添加後攪拌によって十分混合し、一定時間経過後、ORP測定するのが望ましい。
【0027】
なお、本発明においては、このORPの測定に当たり、pHの変化によるORP値の変動を排除して測定精度を高めるために、計測槽21内のサンプリング水のpHを一定に保つ。このため、計測槽21にはpH計30を設け、この結果に基いて図示しないpH調整剤添加手段により、必要に応じて酸又はアルカリのpH調整剤を添加することにより、ORP測定中のサンプリング水のpHの変化を±0.5以内に抑える。
【0028】
即ち、このサンプリング水は、中和槽1でpH調整剤が添加された重金属含有排水であり、pHは所定範囲内とされているが、ORP測定中のキレート剤添加等の要因で変動し、その変動幅は通常±2.0で一定とは言えず、従って、本発明ではこのようなサンプリング水のORP測定中のpHを測定し、必要に応じてpH調整剤を添加することにより、pHを一定に保つ。
【0029】
なお、このORP測定中のサンプリング水のpHは、重金属含有排水の処理条件のpH(即ち、例えばキレート系重金属処理剤を添加する反応槽2のpH)の範囲内で一定に保つことが好ましく、重金属含有排水やキレート系重金属処理剤の種類、処理設備の仕様等によっても異なるが、通常はpH6〜8の中性付近でpH一定とする。
【0030】
▲3▼ ▲2▼の動作を繰り返してORPの計算値信号をA/D変換器28で変換して制御演算器10に入力する。制御演算器10では、図3に示すようなキレート系重金属処理剤添加量とORP測定値との関係を求め(以下、このキレート系重金属処理剤添加量とORP測定値との関係線を「滴定曲線」と称す場合がある。)、また、キレート系重金属処理剤添加量に対するORPの変化量、即ち、各キレート系重金属処理剤添加量における滴定曲線の傾きを求める。このORP変化量は、滴定曲線において、隣接2点のキレート系重金属処理剤添加量におけるORP測定値の変化量をとれば良い。そして、この変化量を数点ずつ平均して、キレート系重金属処理剤添加量とORP変化量との関係を求め(以下、このキレート系重金属処理剤添加量とORP変化量との関係線を「傾き曲線」と称す場合がある。)、この傾き曲線が最小値をとるキレート系重金属処理剤添加量をキレート系重金属処理剤の必要添加量とする。
【0031】
その後、計測槽21内のモーター攪拌を止め、計測槽21の流出入用の電磁弁V2と排液出口側の電磁弁V3を開にしてサンプリング水を排出する。
【0032】
▲4▼ 排出後、ORP計25のORP電極26を清浄に保つために、電磁弁V4を開として水道水等の清水を洗浄ノズル27から吐出させて洗浄する。
【0033】
▲5▼ 以降、ORPの計測時には上記動作を繰り返す。
【0034】
本発明では、特に、一定時間間隔、例えば0.5〜2時間間隔、より具体的には1時間毎でサンプリング水を採取して、図2に示すようなORP自動計測器で、一定時間、例えば10〜120秒、具体的には30秒間隔で一定量ずつキレート系重金属処理剤を添加、攪拌してORPを計測し、図3に示すような滴定曲線及び傾き曲線から傾きの最小値を求め、この最小値をとるキレート系重金属処理剤添加量を必要添加量とする。
【0035】
このようにして求められた必要添加量に基いて、本発明に従って薬注制御を行う場合は、前記滴定曲線において、必要添加量とされたキレート系重金属処理剤添加量の前後の数点の添加量範囲内で、目標とする処理水中の重金属濃度の達成状況等に基づいてキレート系重金属処理剤の薬注量を制御するように薬注制御手段を設定することにより、より細かな薬注量の調整を行うことができる。
【0036】
なお、本発明で使用されるキレート系重金属処理剤としては、ジアルキルジチオカルバミン酸塩、ピペラジンビスジチオカルバミン酸塩、シクロアルキルジチオカルバミン酸塩、ジチオカルバミン酸塩、ピロリジンジチオカルバミン酸塩などの錯体形成性の官能基を持つ化合物等が挙げられるが、何らこれに限定されるものではない。
【0037】
本発明の方法は、特に、Zn,Ni,Cu,Pb等の重金属イオンを1〜50mg/L程度の濃度で含有する重金属含有排水に好適に適用されるが、この好適な重金属イオン濃度は、重金属イオンの種類によって異なり、この範囲よりも高濃度であっても低濃度であっても適用可能である。
【0038】
このような本発明の方法は、キレート系重金属処理剤との反応が可能な重金属イオンを含有する重金属含有排水に適用可能であるが、重金属イオンに限らず、キレート系重金属処理剤と反応して不溶性の塩を形成する物質を含有する排水であれば本発明を有効に適用することができる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0040】
実施例1
図1に示す排水処理系にて、下記性状の自動車工場の重金属含有排水(Ni含有排水)を原水とし、これをNaOHでpH7.5に調整した後、キレート系重金属処理剤(栗田工業(株)製「ウェルクリンK800」の1重量%水溶液)を添加し、その後無機凝集剤(ポリ硫酸第二鉄)、アニオン性高分子凝集剤(ポリアクリルアミド)を添加して処理するに当たり、本発明に従って、薬注制御を行った。
〔Ni含有排水性状〕
pH:7.3
SS:150mg/L
Ni:5.0mg/L
【0041】
キレート系重金属処理剤の必要添加量は、下記ORP試験により求めた。
〈ORP試験〉
原水のpH調整処理液(pH7.5)を1Lサンプリングし、キレート系重金属処理剤を30秒毎に10mg/Lずつ追加添加し、ORPの連続計測を行った。このとき、サンプリング水のpHを計測し、pHが7.5で一定となるように必要に応じてNaOH又はHClを添加した。
【0042】
キレート系重金属処理剤の添加量毎のORP測定値に対して、次のように、前1点のキレート系重金属処理剤添加量とからORPの変化量を求め、キレート系重金属処理剤添加量前後2点、計3点のORPの変化量を平均し、この平均変化量とキレート系重金属処理剤添加量との関係から、平均変化量の最も大きい点をキレート系重金属処理剤の必要添加量とした。平均変化量の最も大きい点を特定するには、重金属処理剤の添加量との関係において、変化割合つまりグラフの傾きとして把握すると特定が容易である。
【0043】
即ち、図3に示す、キレート系重金属処理剤の添加量とORP測定値との関係(滴定曲線)において、例えば、キレート系重金属処理剤を50mg/L添加したときのORP値(ORP50)とキレート系重金属処理剤を40mg/L添加したときのORP値(ORP40)とから、滴定曲線の傾きを求めこれをキレート系重金属処理剤添加量50mg/LのときのORPの傾き(ΔORP50)とした。このようにして求めたキレート系重金属処理剤添加量40mg/LのときのORPの傾き(ΔORP40)、キレート系重金属処理剤50mg/LのときのORPの傾き(ΔORP50)及びキレート系重金属処理剤60mg/LのときのORPの傾き(ΔORP60)を平均して、キレート系重金属処理剤50mg/LのときのORPの傾きとした。
【0044】
このようにして求めた平均の傾きから、図3に示すような傾き曲線を得、その最小値を示すキレート系重金属処理剤添加量が80mg/Lであることを求めた。
【0045】
このキレート系重金属処理剤添加量80mg/Lで薬注制御を行ったところ、キレート系重金属処理剤の過剰添加を防止して、Ni0.1mg/L以下の高水質処理水を安定に得ることができた。
【0046】
比較例1
実施例1において、ORP試験の際にpH管理を行わなかったこと以外は同様にして滴定曲線を求めたところ、図4に示す如く、実施例1で得られた滴定曲線とは異なり、なだらかな下り勾配の滴定曲線となり、この滴定曲線から平均変化量を求めても、実施例1のようにORP変化量の明確な最大値を得ることができず、キレート系重金属処理剤の最適添加量を求めることはできなかった。
【0047】
なお、ORP試験中、pH管理を行わなかったため、キレート剤の添加によりサンプリング水のpHは7.3〜8.5の範囲で変動した。
【0048】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、重金属含有排水にキレート系重金属処理剤を加えて該排水中の重金属成分を除去するに当たり、キレート系重金属処理剤の必要添加量を、簡易かつ的確に決定することができ、この値に基いて、効果的な薬注制御を行うことができることから、
▲1▼ キレート系重金属処理剤の過剰添加が防止され、薬剤コストの低減、処理コストの低減を図ることができる。
▲2▼ 日常の重金属含有排水の水質変動に即時的に対応してキレート系重金属処理剤を過不足なく適正量で薬注することができるため、処理水水質が安定し、常に目標基準値以下の高水質処理水を安定かつ確実に得ることができる。
といった優れた効果を得ることができる。
【0049】
特に、本発明に係る薬注制御によれば、重金属含有排水の水質変動に対応した薬注量の変更を自動制御で行うことができ、運転管理作業の大幅な軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキレート系重金属処理剤の薬注制御法により重金属含有排水を処理する排水処理系の実施の形態を示す系統図である。
【図2】ORP自動計測器の構成を示す系統図である。
【図3】実施例1における滴定曲線と傾き曲線を示すグラフである。
【図4】実施例1における滴定曲線と比較例1における滴定曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 中和槽
2 反応槽
3 薬剤貯槽
4 第1凝集槽
5 第2凝集槽
6 沈殿池
7 脱水機
8 サンプリングライン
9 ORP自動計測器
10 制御演算器
11 ポンプ制御器
12 通信端末
13 中央監視装置
21 計測槽
24 薬液槽
25 ORP計
26 ORP計電極
27 洗浄ノズル
28 A/D変換器
30 pH計
Claims (2)
- 重金属含有排水にキレート系重金属処理剤を加えて該排水中の重金属成分を除去するための該キレート系重金属処理剤の必要添加量を決定する方法において、
該重金属含有排水のpHを、pH6〜8の中性付近でpHの変動幅を±0.5以内に抑えながら該排水にキレート系重金属処理剤を添加し、このキレート系重金属処理剤の添加量と、このキレート系重金属処理剤の添加前後の該排水の酸化還元電位の変化量を測定し、この測定結果に基いて、前記必要添加量を決定する方法であって、
前記キレート系重金属処理剤の添加量に対して、該酸化還元電位の変化量が最大となる時のキレート系重金属処理剤の添加量を必要添加量とすることを特徴とするキレート系重金属処理剤の必要添加量の決定方法。 - 重金属含有排水にキレート系重金属処理剤を加えて該排水中の重金属成分を除去する際のキレート系重金属処理剤の薬注量を制御する方法において、
請求項1に記載のキレート系重金属処理剤の必要添加量の決定方法に従って求めた必要添加量に従ってキレート系重金属処理剤の薬注制御を行うことを特徴とするキレート系重金属処理剤の薬注制御方法。
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