JP4577936B2 - 強度・延性・靱性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ばね,メタルガスケット,メタルマスク,フラッパーバルブ,スチールベルト等の用途に適する強度・延性・靱性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、Hv400〜490程度の硬さを有し、各種ばね,メタルガスケット,メタルマスク等の高強度用途に用いられているステンレス鋼として以下のものが挙げられる。
【0003】
(A)SUS301やSUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼を冷間圧延によって硬化させた加工硬化型ステンレス鋼。このタイプは、冷間加工によって誘起されたマルテンサイト自体の硬さ利用するものである。
【0004】
(B)SUS630に代表される析出硬化型ステンレス鋼。このタイプのものは、時効処理前においては硬さが低く、加工性に優れ、時効処理後においては析出強化による高強度を発現し、かつ溶接軟化抵抗も高いという特長を有する。このため、このタイプのものは溶接が必要なばね材やスチールベルト等に多く用いられている。本出願人は、この種のステンレス鋼において靱性やねじり特性を改善した鋼を提案し、特開平7−157850号公報,特開平8−74006号公報に開示した。
【0005】
(C)焼鈍状態あるいは圧延率数%の調質圧延状態で高強度を有する焼入れ硬化型ステンレス鋼。このタイプは、オーステナイト相あるいはオーステナイト相+フェライト相の温度領域から室温へ焼き入れして得られるマルテンサイト相を利用して高強度を図るものであり、高価な析出硬化元素を要せず製造工程も比較的少ないことから、原料コスト・製造コストともに比較的安価である。本出願人はこの種のステンレス鋼として、スチールベルト用低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼を特公昭51−31085号公報に、また面内異方性の小さい高延性高強度の複相組織ステンレス鋼を特開昭63−7338号公報にそれぞれ紹介した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のステンレス鋼はそれぞれ次のような欠点を有している。
(A)の加工硬化型ステンレス鋼では、強度・ばね特性を高いレベルで得るために、かなり強度の冷間加工を施して多量のマルテンサイトを形成させる必要がある。しかも加工温度が高いとマルテンサイトが形成されにくくなるため、材料温度が上昇しないように低速で冷間加工しなければならず、生産性は低い。また、加工によって誘起されるマルテンサイトの生成量は鋼のオーステナイト安定度に非常に敏感である。このため、一定の冷間加工を付与しても、若干の成分変動があるだけで一定のマルテンサイト量が得られず、製品特性にバラツキが生じ易い。
【0007】
(B)の析出硬化型ステンレス鋼では、Cu,Al,Ti,Moといった析出硬化元素を含有させる必要がある。これらの元素は一般的に高価であるため原料コストが高くなる。また、時効炉が必要で多大な初期設備投資が要求されるとともに、多工程となるので製造コストも高くつく。
【0008】
(C)の焼入れ硬化型ステンレス鋼は、一般的に(A)や(B)のステンレス鋼に比べ強度が低い。この種のステンレス鋼で、強度向上を目的として調質圧延を施したり、あるいはC,Nを多量に含有させると靱性が損なわれ易い。このため、靱性を確保しながら高いレベルの強度をこの種のステンレス鋼で実現することは必ずしも容易ではなく、現実に、そのような鋼は見当たらない。
【0009】
本発明者らは、高強度と延性・靱性を兼ね備えたステンレス鋼材を安価に製造する技術を種々検討してきた。その結果、上記(C)の焼入れ硬化型ステンレス鋼において未だ開発の余地が残されていることがわかってきた。そこで本発明の目的は、(C)の焼入れ硬化型ステンレス鋼において、Cu,Al,Ti,Mo等の析出硬化元素を含有させることなく、(A)の加工硬化型ステンレス鋼の代表的鋼種であるSUS301並みの高い強度を有し、かつ延性および靱性に優れた鋼材を実現することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究の結果、前記(C)の焼入れ硬化型ステンレス鋼に分類されるマルテンサイト系ステンレス鋼において、C,NおよびNiの含有量を調整し、かつδフェライト量と残留オーステナイト量を適切にコントロールした上で、適正条件での時効処理を施すことによって、従来の焼入れ硬化型ステンレス鋼よりも高い強度,靱性およびばね特性を呈し、加工硬化型ステンレス鋼よりも製造性に優れかつ製品特性のバラツキが少なく、析出硬化型ステンレス鋼よりも安価な高強度鋼が得られることがわかってきた。以下にその手段を示す。
【0011】
請求項1の発明は、質量%で、C:0.03超え〜0.10%,Si:0.2〜2.0%,Mn:1.0%以下,P:0.06%以下,S:0.006%以下,Ni:2.0〜5.0%,Cr:14.0〜17.0%,N:0.03超え〜0.10%,B:0〜0.0070%(無添加を含む)を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、下記(1)式で定義されるA値が−1.8以上となり、かつ下記(2)式で定義されるH値が380以上となる化学組成を有するマルテンサイト系ステンレス鋼の1〜10%調質圧延材に、均熱温度350〜500℃,均熱時間0〜120分の時効処理を施す、強度・延性・靱性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法である。
A値=30(C+N)−1.5Si+0.5Mn+Ni−1.3Cr+11.8 ・・(1)
H値=363C−12Si−14Mn−26Ni−18Cr−107N+818 ・・(2)
【0012】
ここで、均熱温度とは、概念的には、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材の肉厚方向の温度が均一になって一定の材料温度を維持するようになったときの当該材料温度を意味するが、現実的には、そのような温度を明確に把握することは困難であり、また、鋼材温度が炉温に近づくと昇温速度は非常に小さくなって、実質的に肉厚方向の温度が均一になった場合と変わらない冶金学的状態に到達してしまう。そこで本発明では、均熱温度を以下のように定義する。すなわち、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材表面の昇温速度が2℃/秒以下となったときの当該鋼材表面温度T1(℃)と、その後冷却を開始するまでの間における鋼材表面の最高到達温度T2(℃)の平均値、(T1+T2)/2で表される温度を均熱温度とする。鋼材表面の温度は、例えば鋼材表面にスポット溶接した熱電対によって測定することができる。
【0013】
また、均熱時間とは、概念的には、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材の肉厚方向の温度が均一になった後、一定の鋼材温度を維持している時間を意味するが、本発明では以下のように定義する。すなわち、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材表面の昇温速度が2℃/秒以下となった時点から、冷却を開始した時点までの時間を均熱時間とする。なお、「均熱時間0分」とは、鋼材表面の昇温速度が2℃/秒以下となったのち直ちに冷却を開始する場合を意味する。
【0014】
B含有量の0%は、Bが無添加である場合を意味する。(1)式および(2)式右辺の元素記号の箇所には、それぞれの元素の含有量を質量%で表した値が代入される。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1の製造方法において、時効処理に供する鋼材を「1〜10%調質圧延材」から「1〜10%調質圧延材を素材として製品加工された鋼材」に変えたものである。ここで、「焼鈍材を素材として製品加工された鋼材」とは、焼鈍材に打抜き,せん断,曲げ,プレス成形,穴あけ,切削,研削等の機械的加工を施して、目的とする製品(例えば各種機械部品)の形状もしくはそれに近い形状、または中間製品の形状に加工された鋼材をいう。また、その「製品加工」には、途中で1回または複数回の中間焼鈍を実施する場合も含まれる。例えば1回の中間焼鈍を実施する場合の「製品加工」は「1次加工→中間焼鈍→2次加工」というようになる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の製造方法において、鋼材がB:0.0010〜0.0070質量%を含有するものである点を規定したものである。請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法において、時効処理の均熱時間を特に0〜60分に規定したものである。請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法において、時効処理の均熱温度を450±20℃にコントロールする点を規定したものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明では、前記(C)に分類される鋼の化学組成を厳密に調整することによって焼鈍段階での強度レベルをビッカース硬さHv380以上の高レベルとした上で、さらに時効処理を施すことによって一段と強度レベルを向上させる。その時効処理では、Cu,Al,Ti,Mo等によるいわゆる「析出強化」を利用するのではなく「ひずみ時効」の現象を利用する。また、その時効処理によって強度のみならず延性・靱性をも向上させるのである。以下、本発明を特定するための事項について説明する。
【0020】
Cは、高温でのδフェライト相の生成を抑制し、かつ固溶強化により鋼の強度を上昇させ、さらにひずみ時効による強度向上効果を発現させる上で重要な元素である。有効な固溶強化能およびひずみ時効による硬化能を得るためには0.03質量%を超えるC含有が必要である。しかし、C含有量が高くなるに伴い焼鈍後および調質圧延後の延性・靱性が低下するとともに、時効処理による延性・靱性改善効果も薄れてくる。このような弊害はC含有量が0.10質量%を超えると顕著に現れるようになる。したがって、C含有量は0.03超え〜0.10質量%に規定する。
【0021】
Siは、固溶強化能が大きく、マトリックスを強化する。この作用はSi含有量が0.2質量%以上で顕著に現れる。しかし、2.0質量%を超えてSiを含有させても固溶強化作用は飽和するとともに、δフェライト相の生成が助長されることによる延性および靱性の劣化が目立つようになる。したがって、Si含有量は、0.2〜2.0質量%に規定する。
【0022】
Mnは、高温域でのδフェライト相の生成を抑制する。しかし、多量のMn含有は焼鈍後の残留オーステナイト量を多くさせ、強度・ばね特性を劣化させる原因となる。このため、Mn含有量は1.0質量%以下に規定する。より好ましいMn含有量の範囲は0.2〜0.6質量%である。
【0023】
Pは、靱性および耐食性を悪化させる原因となるので、少ないほど望ましい。
本発明ではP含有量は0.06質量%まで許容できる。
【0024】
Sは、MnS等の非金属介在物として鋼中に存在し、その量が多くなると靱性に悪影響を及ぼす。また、熱間圧延時には粒界に偏析して熱間加工割れや肌荒れの原因となる。熱間加工割れは概ね0.01質量%以下のS含有量でほぼ解消される。
しかし熱延時の肌荒れはS含有量が0.006質量%を超えると顕著になり、その結果、冷延時に耳切れを起こす等のトラブルが発生しやすくなる。このため、本発明ではS含有量を0.006質量%以下に制限する。
【0025】
Niは、同じオーステナイト生成元素であるCおよびNの一部を置換して、多量のC,N添加による靱性低下を防止する上で有効である。また、δフェライト相の生成を抑制する。本発明で対象とする合金系においてこれらの効果を有効に得るには、少なくとも2.0質量%以上のNi含有が必要である。しかし、5.0質量%を超えて多量のNiを含有させると、残留オーステナイト量が多くなりすぎ、強度低下を招く。この場合、C,Nを低減して残留オーステナイト量の低減を図ろうとすると、C,Nによる固溶強化能が十分発揮できず、高強度化は望めない。したがって本発明ではNiの添加が必須であり、その含有量を2.0〜5.0質量%に規定する。
【0026】
Crは、優れた耐食性を得るために、本発明では14.0質量%以上の含有が望ましい。しかし、Cr含有量が16.5質量%を超えると、鋳造状態および最終製品のδフェライト量が多くなる。若干のδフェライト相は延性・靱性などにそれほど悪影響を及ぼさないが、17.0質量%を超えるCrを含有させると、δフェライト相の増加に起因して良好な延性・靱性・ばね特性を得るのが困難になるとともに、冷延時には耳切れが発生しやすくなり、歩留り低下をもたらす。この場合、成分調整によってδフェライト相の生成抑制を図ろうとすると、オーステナイト生成元素の多量添加が必要となるが、これでは最終焼鈍後に多量のオーステナイト相が残留して強度の低下を招くこととなる。したがって、Cr含有量は14.0〜17.0質量%の範囲に規定する。
【0027】
Nは、Cと同様、δフェライト相の生成を抑制するとともに、固溶強化作用によって強度向上に寄与する。また、Cの一部をNで置換してCの多量添加を抑制することにより、延性および靱性の劣化を回避することができる。このようなNの作用を有効に得るためには、少なくとも0.03質量%を超えるN含有が必要である。しかし、0.10質量%を超えて多量にNを含有させると、残留オーステナイト量が多くなりすぎるために、十分な高強度化が達成できないことがある。この場合、C含有量の低減によって残留オーステナイト量の増加を回避しようとすると、CはNよりも固溶強化能が大きいこともあって結局十分な高強度は得られない。したがって、Nの含有量は0.03超え〜0.10質量%に規定する。
【0028】
Bは、本発明では冷間圧延時における耳切れを抑制し、高い歩留りを得る上で有効な元素である。また、焼鈍後の冷却過程で、場合によってはSが粒界に偏析して室温での延性および靱性の低下をきたすことがあるが、Bはこの弊害を小さくする作用を有する。これらのBの作用は0.0010質量%以上の含有で有効に現れる。一方、0.0070質量%を超えて多量に含有させても上記効果は飽和するとともに、B系析出物の粒界析出による最終製品の靱性低下が顕著となる。したがって、Bを含有させる場合には、0.0010〜0.0070質量%の範囲とすることが望ましい。なお、本発明においてBは必ずしも必要な添加元素ではない。すなわち、Bは無添加であってもよいし、また0.0010質量%未満の範囲で含有していても構わない。
【0029】
前記(1)式で定義されるA値は、本発明で規定する成分系の鋼材において、焼鈍後のδフェライト量と良い対応関係を示す指標である。このA値が−1.8以上となる成分組成において、冷間圧延性および最終製品の延性・靱性に対するδフェライトの悪影響を回避することができる。したがって本発明では、A値が−1.8以上となる成分組成に限定する。
【0030】
前記(2)式で定義されるH値は、本発明で規定する成分系の鋼材において、焼鈍後のビッカース硬さと良い対応関係を示す指標である。このH値が380以上となる成分組成において、時効処理後の硬さはほぼHv400以上となり、昨今のユーザーニーズを満足させる強度レベルが達成される。
【0031】
前記特開平7−157850号公報,特開平8−74006号公報に開示されているような従来の析出硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼では、Cu,Al,Ti,Mo等の析出硬化元素による時効硬化を利用するため、時効処理によって上昇する強度レベルの変化量は著しく、例えば時効処理前後の硬さの変化はHv値で150〜200程度にもなる。しかし本発明の場合、Cu,Al,Ti,Mo等の析出硬化元素を含有させることなくマルテンサイト系ステンレス鋼の高強度化を図ることを重要な課題としている。このため時効処理での強化機構も「ひずみ時効」を利用する点で、上記従来の「析出硬化」を利用するものとは本質的に相違する。
【0032】
本発明では、基本的に焼入れ硬化によって強度を上昇させ、そのうえで時効処理を施し、一層の強度向上を図るのである。その時効処理においては「ひずみ時効」を利用するのであるから、上記従来の析出硬化型鋼のような時効処理での極めて著しい強度上昇を意図するものではない。したがって本発明では、時効処理前の段階において、既にある程度高い強度レベルに達していることが必要となる。そこで、焼鈍後に安定して高い強度レベルが得られるように、鋼の化学組成範囲を厳密に規定するという手法を採用するのである。その意味で、前記H値の規定は本発明において極めて重要な意味をなす。
【0033】
以上の規定に従って化学組成が調整された鋼は、溶製後、公知の製造プロセスに従って熱間圧延および冷間圧延を受け、その後、鋼板としての最終焼鈍が施される。ここで、冷間圧延前には通常、中間焼鈍が施され、「中間焼鈍→冷間圧延」の工程は必要に応じて複数回繰り返して付与される場合もある。鋼板としての最終焼鈍では、その冷却過程で焼入れ処理が施される。本発明でいう「焼鈍材」とは、この最終焼鈍を終えた材料を意味し、前記(2)式に従うH値は、この焼鈍材におけるビッカース硬さを推定する指標である。
【0034】
この焼鈍材は、必要に応じて調質圧延、あるいは更に製品加工が施され、時効処理に供される。最終焼鈍後の製造プロセスを例示すると以下のようになる。( )は最終焼鈍後のプロセスにおける出発材料、〔 〕は目的鋼材である。
(a).(焼鈍材)→時効処理→〔高強度鋼板素材〕
(b).(焼鈍材)→調質圧延→時効処理→〔高強度鋼板素材〕
(c).(焼鈍材)→製品加工→時効処理→〔高強度部品〕
(d).(焼鈍材)→調質圧延→製品加工→時効処理→〔高強度部品〕
このうち、(b)および(d)が本発明に相当する。
【0035】
ここで、〔高強度部品〕には最終製品と中間製品が含まれる。また、プロセス(c)(d)の「製品加工」には、途中で1回または複数回の中間焼鈍を挟む場合が含まれる。例えば1回の中間焼鈍を挟む場合の「製品加工」は「1次加工→中間焼鈍→2次加工」となる。
【0036】
プロセス(a)(b)では、通常、連続熱処理ラインを用いて鋼帯の状態で時効処理が施される。得られた〔高強度鋼板素材〕は、主として打抜きやスリット等の簡単な加工工程を経て、メタルガスケット,メタルマスク,フラッパーバルブ,スチールベルト等の、平面状あるいは帯状の部品用途に供される。一方、プロセス(c)(d)は、曲げ,プレス成形等の比較的複雑な機械加工が必要な部品用途に適している。この場合の時効処理の方法としては、加工部品をベルトコンベアに載せて熱処理炉に通す連続的な処理方法と、バッチ式の熱処理炉を用いる方法が挙げられる。
【0037】
プロセス(b)(d)のように、調質圧延を施すことは、本発明において高強度と優れたばね特性を付与する上で有効である。ただし、調質圧延率が増加するに伴い、鋼材の延性・靱性は低下するようになる。このため、強度・ばね特性と、延性・靱性の両面から調質圧延率を検討する必要がある。発明者らの調査の結果、例えば0.5%といったわずかな調質圧延率でも、強度・ばね特性の改善効果が認められた。しかし、調質圧延率があまり低いと特性が安定しにくく、また、1%以上の調質圧延率を確保することによって多くのばね用途に適用できる優れたばね特性が得られることから、調質圧延率は1%以上とすることが望ましい。一方、調質圧延率が10%を超えると延性面・靱性面での問題が生じるとともに、高強度化に起因して圧延負荷が増大し、作業性・生産性が低下する。このため、調質圧延を施す場合には1〜10%の圧延率とすることが望ましい。
【0038】
本発明では、時効処理を施すことによって「ひずみ時効」を生じさせ、鋼材の強度レベルを一層高いものにする。この強度上昇作用は、時効処理の均熱温度が350℃以上で明確に現れる。しかし、均熱温度が500℃を超えると急激に強度が低下するとともに、強度のバラツキも大きくなる。したがって、時効処理は均熱温度350〜500℃の範囲で行う必要がある。なお、後述の実施例で示すように、均熱温度が450℃付近で時効処理後の硬さはピークとなる。このため、予め使用する熱処理炉において材料温度の時間曲線(ヒートカーブ)を求めておき、均熱温度の目標値を450℃に設定した制御を行うことが望ましい。その際、均熱温度を450±20℃の範囲(すなわち下限430℃,上限470℃)にコントロールすることが非常に好ましい。
【0039】
上記350〜500℃の均熱温度範囲であれば、均熱時間0分であっても有効な硬化作用が得られるが、均熱時間を長くした方が材料特性は安定化しやすい。種々検討した結果、120分以内の均熱時間範囲において強度向上効果が得られるが、それより長時間の時効処理は、作業効率の低下および製造コストの上昇というマイナスの効果を大きくすることがわかった。このため、本発明では時効処理の均熱時間を0〜120分に規定する。ただし、均熱時間が60分を超えると材料特性の安定化効果はほぼ飽和するとともに、均熱温度が比較的高い場合には60分を超える時間域で硬化の度合いが小さくなる傾向を示す。したがって、均熱時間は0〜60分とすることが一層望ましい。より詳しくは、均熱温度が470℃を超え500℃以下の場合に、特に0〜60分の均熱時間とすることが効果的である。また、均熱温度が例えば350℃以上430℃未満といった比較的低温の場合には、均熱時間があまり短いと、鋼材の場所による到達温度が不均一となりやすく、それに伴い材料特性のバラツキが大きくなる恐れもあるので、この場合には1分以上の均熱時間を確保することが望ましい。
【0040】
時効処理を連続熱処理ラインで行う場合には、例えば均熱1分というような短時間の制御も比較的容易である。しかし、バッチ式の炉で行う場合には、現実の操業現場で均熱時間を例えば数分以下といった短時間にコントロールすることは一般的に困難である。そのような場合、個々の操業現場によって事情は異なるが、概ね10〜120分の範囲で最も効率の良い均熱時間を選択することができる。
【0041】
本発明で規定する化学組成の鋼材に対して、上記条件での時効処理を施したとき、強度のみならず延性・靱性も向上することが、本発明者らの実験により確かめられている。
【0042】
【実施例】
〔実施例1〕
表1に示す化学組成を有する鋼を溶解し、各鋼とも100kgの鋼塊から熱間圧延を経て板厚4.0mmの熱延板を製造した。表1中、A1およびA2が本発明で規定する化学組成を有する発明対象鋼、B1は比較鋼のSUS301(加工硬化型ステンレス鋼)である。なお、表1には発明対象鋼についてA値およびH値も記載した。
【0043】
【表1】
【0044】
A1,A2の熱延板に中間焼鈍,冷間圧延を施して板厚約2mmと約1mmの鋼帯とし、これらに1010℃×1分の最終焼鈍を施し、一部の材料について更に圧延率5%の調質圧延を施して、「焼鈍鋼板」および「調質圧延鋼板」を得た。比較鋼のB1は加工硬化型ステンレス鋼であるため、焼鈍後に圧延率45%の冷間圧延を行い、板厚約2mmと約1mmの「調質圧延鋼板」とした。これらの鋼板に、バッチ式電気炉を用いて均熱温度300〜600℃の範囲で均熱時間30分の時効処理を施した。時効処理後のサンプルについて、ビッカース硬さ,伸び,Vノッチシャルピー衝撃値を測定した。シャルピー衝撃試験のみ板厚約2mm、それ以外の試験はいずれも板厚約1mmのサンプルを用いた。各試験片は圧延方向が長手方向となるように採取した。試験結果を図1〜3に示す。図1〜3において、時効処理温度350〜500℃の範囲にある黒塗り丸印および黒塗り三角印のプロットが本発明例に相当する。なお、図中の温度はいずれも均熱温度を意味する。
【0045】
図1に示されるように、本発明対象鋼A1,A2では焼鈍鋼板,調質圧延鋼板ともに、時効処理によって硬さの上昇が認められる。350℃以上でその上昇の度合いは大きくなり、450℃前後で硬さのピークが現れる。しかし、500℃を超えると硬さは急激に低下し、時効処理前よりも低くなる。このことから、時効処理温度は350〜500℃の範囲が適切であることがわかる。特に、450±20℃の範囲にコントロールすれば、その材料において最も高い硬さレベルを安定して実現できる。
【0046】
図2,図3に示されるように、本発明対象鋼A1,A2では焼鈍鋼板,調質圧延鋼板ともに時効処理によって伸び,シャルピー衝撃値の上昇が認められる。これに対し比較鋼B1は、350〜500℃の範囲の加熱によって伸び,シャルピー衝撃値とも劣化している。以上のことから、本発明の製造方法に従うと、析出硬化型元素を含有しない安価な焼入れ硬化型ステンレス鋼において、加工硬化型である従来鋼SUS301と同等の強度を有しながらも、SUS301より優れた延性・靱性を有する鋼材が得られることが確認された。
【0047】
〔実施例2〕
表1に示した発明対象鋼A1の調質圧延鋼板から200mm角のサンプルを切り出し、バッチ式電気炉に装入して、均熱温度を450℃または500℃とし、均熱時間を0〜120分の範囲で変化させた条件で時効処理を行った(バッチ式時効処理)。また、A1の調質圧延鋼板を鋼帯の状態で連続熱処理炉に通板し、均熱温度450℃で、均熱時間が0分または10分の条件で時効処理を行った(連続時効処理)。これらの実験で得られた均熱時間と硬さの関係を図4に示す。
【0048】
図4に示されるように、均熱時間が0分であっても十分な硬さの上昇が認められる。また、連続時効処理の場合もバッチ式時効処理とほぼ同様の硬化作用が見られる。一方、均熱温度が500℃のバッチ式時効処理の例のように、時効処理温度が比較的高いと、60分以内の均熱時間域において硬さのピークが見られ、60分を超える均熱時間では硬化の度合いが小さくなることがわかる。したがって、特に均熱温度が高い場合には、均熱時間を60分以内とするのが効果的である。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、Cu,Al,Ti,Moといった時効硬化元素を含有させることなく、比較的安価なマルテンサイト系の焼入れ硬化型ステンレス鋼の範疇において、加工硬化型のSUS301並みの高い強度を有し、かつ延性および靱性に優れた鋼材の製造が実現できた。したがって本発明は、各種ばねやメタルガスケット,メタルマスク,スチールベルト等の高強度部材用途においてコストパフォーマンスの高い鋼材の提供を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】材料の硬さに及ぼす時効処理温度の影響を示したグラフである。
【図2】材料の伸びに及ぼす時効処理温度の影響を示したグラフである。
【図3】材料のシャルピー衝撃値に及ぼす時効処理温度の影響を示したグラフである。
【図4】材料の硬さに及ぼす時効処理時間の影響を示したグラフである。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.03超え〜0.10%,
Si:0.2〜2.0%,
Mn:1.0%以下,
P:0.06%以下,
S:0.006%以下,
Ni:2.0〜5.0%,
Cr:14.0〜17.0%,
N:0.03超え〜0.10%,
B:0〜0.0070%(無添加を含む)
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、下記(1)式で定義されるA値が−1.8以上となり、かつ下記(2)式で定義されるH値が380以上となる化学組成を有するマルテンサイト系ステンレス鋼の1〜10%調質圧延材に、均熱温度350〜500℃,均熱時間0〜120分の時効処理を施す、強度・延性・靱性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法。
A値=30(C+N)−1.5Si+0.5Mn+Ni−1.3Cr+11.8 ・・(1)
H値=363C−12Si−14Mn−26Ni−18Cr−107N+818 ・・(2)
ここで、「均熱温度」とは、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材表面の昇温速度が2℃/秒以下となったときの当該鋼材表面温度T1(℃)と、その後冷却を開始するまでの間における鋼材表面の最高到達温度T2(℃)の平均値、(T1+T2)/2で表される温度をいう。「均熱時間」とは、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材表面の昇温速度が2℃/秒以下となった時点から、冷却を開始した時点までの時間をいう。 - 質量%で、
C:0.03超え〜0.10%,
Si:0.2〜2.0%,
Mn:1.0%以下,
P:0.06%以下,
S:0.006%以下,
Ni:2.0〜5.0%,
Cr:14.0〜17.0%,
N:0.03超え〜0.10%,
B:0〜0.0070%(無添加を含む)
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、下記(1)式で定義されるA値が−1.8以上となり、かつ下記(2)式で定義されるH値が380以上となる化学組成を有するマルテンサイト系ステンレス鋼の1〜10%調質圧延材を素材として製品加工された鋼材に対し、均熱温度350〜500℃,均熱時間0〜120分の時効処理を施す、強度・延性・靱性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼材の製造方法。
A値=30(C+N)−1.5Si+0.5Mn+Ni−1.3Cr+11.8 ・・(1)
H値=363C−12Si−14Mn−26Ni−18Cr−107N+818 ・・(2)
ここで、「均熱温度」とは、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材表面の昇温速度が2℃/秒以下となったときの当該鋼材表面温度T1(℃)と、その後冷却を開始するまでの間における鋼材表面の最高到達温度T2(℃)の平均値、(T1+T2)/2で表される温度をいう。「均熱時間」とは、鋼材を加熱した場合の昇温過程において、鋼材表面の昇温速度が2℃/秒以下となった時点から、冷却を開始した時点までの時間をいう。 - 鋼材がB:0.0010〜0.0070質量%を含有するものである請求項1または2に記載の製造方法。
- 時効処理の均熱時間が0〜60分である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 時効処理の均熱温度を450±20℃にコントロールする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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