JP4209514B2 - 高いばね特性を有する高靱性調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板およびその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ばね,メタルガスケット,メタルマスク,フラッパーバルブ,スチールベルトなどの高強度ステンレス鋼分野のうち特に高いばね特性が要求される用途に好適に適用できる、ばね特性と靱性に優れた安価な調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種ばね,メタルガスケット,メタルマスク,スチールベルトなどの高強度用途に用いられているステンレス鋼として以下のものが挙げられる。
【0003】
(A)SUS301やSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼を冷間圧延によって硬化させた「加工硬化型ステンレス鋼」。これは、冷間加工によって誘起されたマルテンサイト自身の硬さを利用するものである。
【0004】
(B)SUS630に代表される「析出硬化型ステンレス鋼」。これは、時効処理前の硬さが低く、加工性に優れる。時効処理後では析出硬化による高強度を発現し、溶接軟化抵抗も高いので、この特徴を活かして溶接が必要な各種ばね,スチールベルト等に用いられている。本出願人らもこの種のステンレス鋼において靱性や捩り特性を改善したものを特開平7−157850号公報,特開平8−74006号公報として紹介した。
【0005】
(C)焼鈍状態あるいは圧延率数%の調質圧延状態で高強度を有する「焼入れ硬化型ステンレス鋼」。これは、オーステナイト相あるいはオーステナイト相+フェライト相の温度領域から室温へ焼入れして得られるマルテンサイト相を利用して高強度化を図るものであり、高価な析出硬化元素を要せず製造工程も比較的少ないことから、原料コスト・製造コストとも比較的安価である。本出願人らもこの種のステンレス鋼として、スチールベルト用低炭素マルテンサイト系ステンレス鋼を特公昭51−31085号公報に、また面内異方性の小さい高延性高強度の複相組織ステンレス鋼を特開昭63−7338号公報にそれぞれ紹介した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のステンレス鋼はそれぞれ次のような欠点を有している。
(A)の加工硬化型ステンレス鋼では、強度・ばね特性を高いレベルで得るために、かなり強度の冷間加工を施して多量のマルテンサイトを形成させる必要がある。しかも加工温度が高いとマルテンサイトが形成されにくくなるため、材料温度が上昇しないように低速で冷間加工しなければならず、生産性も低い。また、若干の成分変動でもオーステナイト相の安定度が変化するため、一定の冷間加工を付与しても一定のマルテンサイト量が得られず、製品特性にバラツキが生じやすい。
【0007】
(B)の析出硬化型ステンレス鋼では、Cu,Al,Ti,Moといった時効硬化元素を必要とする。これらは一般に高価であるため、原料コストが高くなる。また、時効炉が必要で多大な初期設備投資が要求されるとともに、多工程となるため製造コストも高くつく。
【0008】
(C)の焼入れ硬化型ステンレス鋼では、(A)や(B)のステンレス鋼と比べ強度が低い。そのうえ、強度向上を図るために調質圧延を施すと靱性が損なわれる。その結果、靱性を確保しながら高いレベルの強度をこの種のステンレス鋼で実現することは容易ではなく、現実に、そのような鋼は出現していない。
【0009】
近年、各種ばね,メタルガスケット,メタルマスクなどの高強度用途では、高いばね特性と靱性とを両立させた高強度ステンレス鋼板であって、しかも安価なものが強く要求されている。従来のステンレス鋼では、前記(A)〜(C)のいずれの鋼種においても、このような厳しい要求に十分対応できるものは見当たらない。本発明は、かかる現状に鑑み、高いばね特性と靱性を兼ね備え、しかも原料コストおよび製造コストを低く抑えることのできる高強度ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、詳細な研究の結果、前記(C)の焼入れ硬化型ステンレス鋼に分類される新規な鋼板によって上記目的が達成されることを見出した。
【0011】
請求項1の発明は、質量%で、C:0.03%超え〜0.15%,Si:0.2〜2.0%,Mn:1.0%以下,P:0.06%以下,S:0.01%以下,Ni:2.0〜6.0%,Cr:14.0〜17.8%,N:0.03%超え〜0.12%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物であり、下記(1)式で定義されるH値が380〜480、下記 (2) 式で定義されるM値が 60 以上、かつ下記 (3) 式で定義されるA値が− 3.0 以上となる化学組成を有し、残留オーステナイトが 25 体積%以下,δフェライトが 10 体積%以下( 0 体積%を含む),残部マトリックスがマルテンサイトからなり平均旧オーステナイト粒径が35μm以下である焼鈍鋼板を調質圧延してなる金属組織を有し、ばね限界値が1100N/mm2以上の特性を有する調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板である。
H値=363C−12Si−14Mn−26Ni−18Cr−107N+818 ・・(1)
M値=− 1667( C+N ) − 28 Si− 33 Mn− 61 Ni− 41.7 Cr+ 1305 ・・ (2)
A値= 30( C+N ) − 1.5 Si+ 0.5 Mn+Ni− 1.3 Cr+ 11.8 ・・ (3)
【0012】
ここで、(1)〜 (3)式右辺の元素記号の箇所には、それぞれの元素の含有量を質量%で表した値が代入される。旧オーステナイト粒径とは、焼鈍時の加熱温度で生成していたオーステナイト相における粒径であり、焼鈍後のマルテンサイトにおいて形跡を残している。ばね限界値はJIS H 3130に準じた測定値であり、幅10mm,長さ約150mmの短冊状試験片を用いた場合の永久たわみ量が0.1mmとなる時の値を採用する。調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板とは、焼鈍後に調質圧延が施された状態のマルテンサイト系ステンレス鋼板をいう。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ばね限界値を 1300 N/ mm 2 以上に規定したものである。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1で規定した化学組成を有し、残留オーステナイトが 25 体積%以下,δフェライトが 10 体積%以下( 0 体積%を含む),残部マトリックスが焼入れマルテンサイトからなり平均旧オーステナイト粒径が35μm以下である金属組織を有する焼鈍鋼板に対し、圧延率1〜10%の調質圧延を施す、ばね特性と靱性に優れた調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板の製造法である。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1で規定した化学組成を有する鋼板に対して、 950 〜 1050 ℃の温度に 0 〜 300 秒保持する焼鈍を施した後、圧延率1〜10%の調質圧延を施す、ばね特性と靱性に優れた調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板の製造法である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項3または4の発明において、調質圧延の圧延率を3〜10%に規定したものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
発明者らは研究の結果、C,Nの添加量を調整しNiを適量添加したマルテンサイト系ステンレス鋼において、従来の焼入れ硬化型ステンレス鋼よりも高い強度および靱性を呈し、加工硬化型ステンレス鋼よりも製造性に優れかつ製品特性のバラツキも少なく、析出硬化型ステンレス鋼よりも安価な高強度鋼板が得られることを知見した。しかも、得られた鋼板に調質圧延を施すとばね限界値が飛躍的に向上することがわかった。ただし、単に高強度化した鋼板に調質圧延を施しても、常に高い靱性およびばね特性が得られるわけではない。詳細な検討の結果、焼鈍後層状に生成するδフェライトを極力低減し、かつ残留オーステナイト量が一定以下となる特定の化学組成範囲に調整するとともに、旧オーステナイト粒径の粗大化を防止すること、さらには、調質圧延の圧下率を適正範囲に調整することが非常に重要であることが明らかとなった。以下、本発明を特定するための事項について説明する。
【0022】
Cは、固溶強化により鋼の強度を上昇させ、かつ高温でのδフェライトの生成を抑制する重要な元素である。有効な固溶強化能を得るためには0.03質量%を超える添加が必要である。しかし、C含有量が多くなるに伴い焼鈍後に多量のオーステナイトが残留し、高強度を得るのが困難になるばかりでなく、靱性・ばね特性も劣化する。特に0.15質量%を超えると調質圧延後においても多量のオーステナイトが残留し、好ましくない。したがって、C含有量は0.03質量%超え〜0.15質量%とする。
【0023】
Siは、固溶強化能が大きく、マトリックスを強化する。この作用はSi含有量が0.2質量%以上で顕著に現れる。しかし、2.0質量%を超えて含有させても固溶強化作用は飽和するとともに、δフェライト相の生成が助長されることによる靱性,ばね特性の劣化が目立つようになる。したがって、Si含有量は0.2〜2.0質量%とした。
【0024】
Mnは、高温域でのδフェライト相の生成を抑制する。しかし、多量のMn含有は焼鈍後の残留オーステナイト量を多くし、強度・ばね特性の低下原因となる。このため、Mn含有量は1.0質量%以下とする。なお、好ましいMn含有量の範囲は0.2〜0.6質量%である。
【0025】
Pは、靱性および耐食性を劣化させる原因となるので、少ないほど望ましい。P含有量は0.06質量%以下に規定する。
【0026】
Sは、MnSなどの非金属介在物として鋼中に存在し、靱性に悪影響を及ぼす。また、熱間加工時には粒界に偏析して熱間加工性を著しく劣化させる。S含有量は少ないほど望ましく、0.01質量%以下に規定する。
【0027】
Niは、同じオーステナイト生成元素であるC,Nの一部を置換して多量のC,N添加による靱性低下を防止するうえで有効である。また、δフェライト相の生成を抑制する。本発明の合金系において焼鈍後のδフェライト量を十分少なくし、かつ高靱性を維持するためには最低2.0質量%以上のNi含有が必要である。しかし、6.0質量%を超えて多量に含有させると残留オーステナイト量が多くなりすぎ、強度低下をもたらす。この場合、C,Nを低減して残留オーステナイト量の低減を図ろうとするとC,Nによる固溶強化能が十分発揮できず、強度不足をきたすことになる。したがって本発明ではNiの添加が重要であり、その含有量を2.0〜6.0質量%に規定する。
【0028】
Crは、耐食性を得るために本発明では14.0質量%以上必要である。しかし、16.5質量%を超えるとδフェライト量が多くなる。若干のδフェライトは調質圧延後のばね限界値にそれほど悪影響を及ぼさないが、17.8質量%を超えるCrを含有させるとδフェライト量が急激に多くなり、調質圧延後のばね限界値は低いものとなる。したがって、Cr含有量は14.0〜17.8質量%とする。
【0029】
Nは、Cと同様δフェライトの生成を抑制するとともに、固溶強化作用により強度向上に寄与する。また、Cの一部をNで置換してCの多量含有を抑制することにより、焼鈍後冷却時における粒界近傍でのCr炭化物析出に起因した耐食性劣化を回避することができる。このようなNの作用を有効に得るためには、少なくとも0.03質量%を超えるN含有が必要である。しかし、0.12質量%を超えて多量に添加すると、焼鈍後残留オーステナイト量が多くなりすぎ、良好な強度・ばね特性が得られない。この際、Nよりも固溶強化能が大きいCを低減すると高強度が得られなくなるという弊害が生じる。したがって、N含有量は0.03質量%超え〜0.12質量%とする。
【0031】
本発明で対象とする鋼板は、各成分元素の含有量が上記の範囲にあるとともに、前記(1)式で定義されるH値が380〜480になるように化学組成が調整されていなくてはならない。このH値は、本発明で規定する成分系の鋼板に関して、焼鈍後のビッカース硬さにほぼ対応する指標である。H値を380以上に調整すると、調質圧延後に、各種ばね材やメタルガスケット,メタルマスク,スチールベルトなどの高強度用途において望まれる1100N/mm2以上のばね限界値が得られるようになり、調質圧延率を5%程度に上げたときは1300N/mm2以上の特に望ましいばね限界値が達成可能になる。一方、H値が480を超えるような化学組成では調質圧延後の靱性が急激に低下するようになる。したがって、H値が380〜480になるように化学組成を規定する。
【0032】
焼鈍後の鋼板における旧オーステナイト粒径は、調質圧延後の靱性に大きな影響を及ぼす。調査の結果、焼鈍鋼板の平均旧オーステナイト粒径が35μmを超えて大きくなると靱性が急激に低下することが明らかになった。したがって、本発明では平均旧オーステナイト粒径が35μm以下になるように焼鈍鋼板の金属組織を調整しておくことが極めて重要である。
【0033】
残留オーステナイトは、強度およびばね特性を低下させる要因になる。本発明は残留オーステナイトによる靱性改善作用を利用して高靱性を得ようとするものではないので、金属組織的観点からは基本的に残留オーステナイトは少ない方がよい。しかし、ことさらに残留オーステナイトの低減を図ることは、C等の強化元素を過剰に制限することにもなり、本発明において有益ではない。調査の結果、焼鈍後において残留オーステナイトが25体積%以下に抑えられていれば、目的とする強度・ばね特性を得るうえで支障がないことが確認された。残留オーステナイトが25体積%を超えるような焼鈍鋼板を使用すると、調質圧延後においてトータルのマルテンサイト量が不足し、結果、強度・ばね特性の向上が不十分となる。各種ばね材やメタルガスケット,メタルマスク,スチールベルトなどの高強度用途に用いる場合、調質圧延後の鋼板において残留オーステナイト量が15体積%以下になっていることが望ましい。
【0034】
δフェライトは、ばねなどの薄鋼板に加工熱処理された後に圧延方向に層状に分布するようになる。このδフェライトはマトリックスのマルテンサイトに比べはるかに強度が低く、焼鈍後の調質圧延によってもあまり高強度化されない。そのため、δフェライトが多く存在する鋼板は、ばねなどの製品に加工されて繰り返し応力を受けると、δフェライトの軟質な層に起因してへたりやすく、ばね特性に劣るものとなる。この意味で、δフェライト量は少ないほど好ましい。発明者らの研究の結果、本発明で規定する成分系の鋼において、調質圧延後のばね特性に対するδフェライトの弊害は、焼鈍後の鋼板中のδフェライト量が10体積%を超えると顕著になることがわかった。したがって、本発明では焼鈍鋼板中のδフェライト量を10体積%以下に規定する。
【0035】
前記(2)式で定義されるM値は、本発明で規定する成分系の鋼板に関して、焼鈍後の冷却過程でオーステナイトからマルテンサイトに変態し始めるMs点と良い対応関係を示す指標である。発明者らによる多くの実験の結果、M値が60以上となる化学組成にしたとき残留オーステナイトが25体積%以下の焼鈍鋼板が得られ、調質圧延後に各種ばね材やメタルガスケット,メタルマスク,スチールベルトなどに適した高い強度・ばね特性を呈するものが得られることが明らかになった。したがって、M値が60以上となるように化学組成を調整することが望ましい。
【0036】
前記(3)式で定義されるA値は、本発明で規定する成分系の鋼板に関して、焼鈍後のδフェライト量と良い対応関係を示す指標である。発明者らの詳細な検討の結果、A値が−3.0以上となる化学組成にしたとき焼鈍後のδフェライト量を10体積%以下に抑制することができ、調質圧延後のばね特性に対するδフェライトの弊害が解消されることが確認された。したがって、A値が−3.0以上となるように化学組成を調整することが望ましい。
【0037】
調質圧延は、本発明において高強度と優れたばね特性を付与するための重要な手段である。ただし、調質圧延率が増加するに伴い、鋼板の靱性は低下してくる。このため、強度・ばね特性と、靱性の両面から調質圧延の圧下率を適正範囲に定める必要がある。発明者らの調査の結果、上記の化学組成および金属組織に調整された焼鈍鋼板に調質圧延を施す限りにおいて、以下の事実が明らかになった。▲1▼調質圧延率が1%程度以下と低い領域では調質圧延率の増加に伴って0.2%耐力およびばね限界値が急激に上昇する。▲2▼調質圧延率が1%以上でばね限界値が1100N/mm2以上と、多くのばね用途に適用できる優れたばね特性が得られる。▲3▼調質圧延率が3%以上になると0.2%耐力およびばね限界値とも上昇率が緩やかになり、かつ、ばね限界値が1300N/mm2以上と、特に高いばね特性が要求される用途にも好適に使用できる極めて優れたばね特性が得られる。▲4▼調質圧延率が10%を超えるとシャルピー衝撃値が50J/cm2を下回る場合も出現し、靱性面で適用範囲が大きく制限されるようになるとともに、強度・ばね特性の向上効果も小さい。以上の点は、後述の図4〜6で実証する。
【0038】
このように、少しでも調質圧延を施せば強度・ばね特性の改善効果が得られることがわかった。しかし、調質圧延率が低い領域では特性が安定しにくいし、圧延率1%以上で多くのばね用途に適用できる優れたばね特性が得られることから、本発明では調質圧延率を1%以上とすることが望ましい。一方、調質圧延率が10%を超えると靱性面での問題が生じるし、高強度化に起因して圧延負荷が大きくなることから作業性・生産性が悪化する。このため、調質圧延率は10%以下とすることが望ましい。調質圧延率を3%以上にすると、極めて高いばね限界値を呈する高強度鋼板が特性のバラツキを抑えて安定的に得られるようになることから、本発明では調質圧延の圧延率を3〜10%とすることが特に好ましい。
【0039】
先に述べたように、本発明では高靱性を得るうえで平均旧オーステナイト粒径が35μm以下に調整された焼鈍鋼板を作ることが重要である。このような金属組織は焼鈍温度を1050℃以下とすることによって達成できることがわかった。焼鈍温度が低いほど結晶粒は微細になるが、950℃未満の低温にすると靱性向上に対する旧オーステナイト粒径微細化の効果は飽和し、逆に炭化物などの残留あるいは析出により強度,靱性とも低下する傾向にある。したがって、焼鈍温度は950〜1050℃の範囲とすることが望ましい。この温度範囲での好ましい保持時間は0〜300秒である。なお後述するように焼鈍温度1030℃付近で調質圧延後の延びおよび靱性が最も高くなる現象が見られるので、特に焼鈍温度を1020〜1040℃の範囲に厳密にコントロールすることが好ましい。
【0040】
【実施例】
〔実施例1〕
表1に示す化学組成を有する鋼を溶解し、各鋼とも100kgの鋼塊から熱間圧延を経て板厚4.0mmの熱延板を製造した。その後、冷間圧延・熱処理を繰り返して、最終的に1030℃で60秒保持する焼鈍を施した。この焼鈍鋼板に、圧下率5%の調質圧延を施し、板厚2.0mmと1.0mmの調質圧延鋼板を得た。表1において、A1〜A8が本発明で規定する化学組成を有した発明対象鋼、B1〜B8が比較鋼、C1が従来鋼のSUS301である。C1は加工硬化型ステンレス鋼であるため、このC1のみ焼鈍後に圧下率50%の冷間圧延を行い、板厚2.0mmと1.0mmの冷間圧延鋼板とした。
【0041】
【表1】
【0042】
C1を除く各供試材について、焼鈍鋼板の旧オーステナイト粒径,残留オーステナイト量,δフェライト量を測定した。平均旧オーステナイト粒径は倍率400倍において切断法で求めた。残留オーステナイト量は振動試料型磁力計を用いて、試料の飽和磁化と100%強磁性体の飽和磁化との比率より求めた。δフェライト量は板厚断面の光学顕微鏡組織における面積率より求めた。また、調質圧延鋼板(C1は冷間圧延鋼板)の0.2%耐力,引張強さ,伸び,Vノッチシャルピー衝撃値,ばね限界値を測定した。Vノッチシャルピー衝撃試験のみ板厚2.0mm、他の試験はいずれも板厚1.0mmの供試材を用い、試験片は圧延方向が長手方向となるように採取した。ばね限界値はJIS H 3130に準じて幅10mm,長さ約150mmの短冊状試験片を用いた場合の永久たわみ量が0.1mmとなる時の試験器目盛りより算出した。表2に平均旧オーステナイト粒径以外の上記試験結果を示す。焼鈍鋼板の平均旧オーステナイト粒径は全ての発明例および比較例のものが22〜27μmの範囲であった。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示されるように、焼鈍鋼板の平均旧オーステナイト粒径≦35μm,残留オーステナイト量≦25体積%,およびδフェライト量≦10体積%を満たす発明例のものは、圧下率5%の調質圧延鋼板において、0.2%耐力≧1300N/mm2,引張強さ≧1400N/mm2,伸び≧5.5%,シャルピー衝撃値≧50J/cm2,ばね限界値≧1300N/mm2の特性を有しており、優れた強度・靱性と、極めて高いばね特性を兼ね備えていることがわかる。これに対し比較例のB1,B2は個々の成分元素の含有量はそれぞれ規定範囲にあるもののH値が高すぎるため本発明規定の化学組成を満たしておらず、結果、シャルピー衝撃値が低い。B3は逆にH値が低すぎるため圧下率5%の調質圧延を施してもばね限界値が1300N/mm2に達していない。B4,B5は個々の成分元素の含有量はそれぞれ規定範囲にあるもののM値が低いため焼鈍鋼板の残留オーステナイト量が25体積%を超えており、結果、調質圧延による0.2%耐力およびばね限界値の向上が不十分である。B6,B7は個々の成分元素の含有量はそれぞれ規定範囲にあるもののA値が低いため焼鈍鋼板のδフェライト量が10体積%を超えており、結果、B6ではシャルピー衝撃値が低くばね限界値の向上が不十分であり、B7ではばね限界値が1100N/mm2にも達していない。B8はC含有量が0.15質量%を超えて高いため、マトリックスへの多量のC固溶に起因してシャルピー衝撃値が低い。
【0045】
〔実施例2〕
表1のA1およびA4について、920〜1100℃で60秒加熱する焼鈍を施し、その後圧延率5%の調質圧延を施し、調質圧延材の引張特性およびシャルピー衝撃値を調べた。その結果を図1〜3に示す。図中の各プロットには調質圧延前の焼鈍鋼板における平均旧オーステナイト粒径を数値で付記してある。図1〜3に示されるように、調質圧延後の引張強さに及ぼす焼鈍温度の影響は小さいが、伸びおよびシャルピー衝撃値は焼鈍温度に大きく依存する。伸び,シャルピー衝撃値とも焼鈍温度1030℃付近でピークがあり、それ以上の温度では低下する。特に1050℃を超える温度域での低下が著しい。表1の発明例中最も強度が高いA4では、焼鈍温度1070℃,1100℃の例でシャルピー衝撃試験片の破面に部分的にへき開面が観察され、やや脆性的になる。これは、焼鈍時にオーステナイト相の結晶粒が粗大化し、靱性が低下したものと考えられる。これらの結果より、調質圧延後に優れた延性および靱性を確保するためには、焼鈍温度を1050℃以下にしてオーステナイト結晶粒径が35μmを超えないようにすることが重要であることが確認された。
【0046】
〔実施例3〕
表1のA1およびA4について、1030℃で60秒加熱する焼鈍を施し、その後圧延率0.5〜12%の調質圧延を施し、調質圧延材の引張特性およびシャルピー衝撃値を調べた。その結果を図4〜6に示す。図4〜6に示されるように、0.2%耐力,ばね限界値,シャルピー衝撃値とも調質圧延率に依存して変化する。0.2%耐力およびばね限界値は圧延率1%までの調質圧延により急激に向上する。つまり、本発明で規定する化学組成および金属組織に調整された焼鈍鋼板は、わずかの調質圧延でも耐力,ばね限界値が大きく向上する性質を有していることがわかる。また、調質圧延率が約3%以上になると0.2%耐力およびばね限界値の変化は緩やかになる。一方、シャルピー衝撃値は調質圧延率の増加に伴い低下する。特にA4鋼のように強度の高い鋼では調質圧延率が10%を超えると脆性的になる傾向がある。したがって、調質圧延は圧延率10%以下の範囲で行うことが重要である。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、調質圧延後に高強度・高靱性を維持しつつ従来よりもばね特性を一層向上させたマルテンサイト系ステンレス鋼板が得られる。この鋼板は高い特性を有するにもかかわらず原料コスト・製造コストも低く抑えられるので、各種ばねやメタルガスケット,マタルマスク等の高強度部材の用途において極めてコストパフォーマンスの高い鋼材が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼鈍温度と5%調質圧延後の引張強さの関係を表すグラフである。
【図2】焼鈍温度と5%調質圧延後の伸びの関係を表すグラフである。
【図3】焼鈍温度と5%調質圧延後のシャルピー衝撃値の関係を表すグラフである。
【図4】調質圧延率と0.2%耐力の関係を表すグラフである。
【図5】調質圧延率とばね限界値の関係を表すグラフである。
【図6】調質圧延率とシャルピー衝撃値の関係を表すグラフである。
Claims (5)
- 質量%で、C:0.03%超え〜0.15%,Si:0.2〜2.0%,Mn:1.0%以下,P:0.06%以下,S:0.01%以下,Ni:2.0〜6.0%,Cr:14.0〜17.8%,N:0.03%超え〜0.12%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物であり、下記(1)式で定義されるH値が380〜480、下記 (2) 式で定義されるM値が 60 以上、かつ下記 (3) 式で定義されるA値が− 3.0 以上となる化学組成を有し、残留オーステナイトが 25 体積%以下,δフェライトが 10 体積%以下( 0 体積%を含む),残部マトリックスがマルテンサイトからなり平均旧オーステナイト粒径が35μm以下である焼鈍鋼板を調質圧延してなる金属組織を有し、ばね限界値が1100N/mm2以上の特性を有する調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板。
H値=363C−12Si−14Mn−26Ni−18Cr−107N+818 ・・(1)
M値=− 1667( C+N ) − 28 Si− 33 Mn− 61 Ni− 41.7 Cr+ 1305 ・・ (2)
A値= 30( C+N ) − 1.5 Si+ 0.5 Mn+Ni− 1.3 Cr+ 11.8 ・・ (3) - ばね限界値が1300N/mm2以上の特性を有する請求項1に記載の調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板。
- 質量%で、C:0.03%超え〜0.15%,Si:0.2〜2.0%,Mn:1.0%以下,P:0.06%以下,S:0.01%以下,Ni:2.0〜6.0%,Cr:14.0〜17.8%,N:0.03%超え〜0.12%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物であり、下記(1)式で定義されるH値が380〜480、下記(2)式で定義されるM値が60以上、かつ下記(3)式で定義されるA値が−3.0以上となる化学組成を有し、残留オーステナイトが 25 体積%以下,δフェライトが 10 体積%以下( 0 体積%を含む),残部マトリックスが焼入れマルテンサイトからなり平均旧オーステナイト粒径が35μm以下である金属組織を有する焼鈍鋼板に対し、圧延率1〜10%の調質圧延を施す、ばね特性と靱性に優れた調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板の製造法。
H値=363C−12Si−14Mn−26Ni−18Cr−107N+818 ・・(1)
M値=−1667(C+N)−28Si−33Mn−61Ni−41.7Cr+1305 ・・(2)
A値=30(C+N)−1.5Si+0.5Mn+Ni−1.3Cr+11.8 ・・(3) - 質量%で、C:0.03%超え〜0.15%,Si:0.2〜2.0%,Mn:1.0%以下,P:0.06%以下,S:0.01%以下,Ni:2.0〜6.0%,Cr:14.0〜17.8%,N:0.03%超え〜0.12%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物であり、下記(1)式で定義されるH値が380〜480、下記(2)式で定義されるM値が60以上、かつ下記(3)式で定義されるA値が−3.0以上となる化学組成の鋼板に対して、 950 〜 1050 ℃の温度に 0 〜 300 秒保持する焼鈍を施した後、圧延率1〜10%の調質圧延を施す、ばね特性と靱性に優れた調質圧延マルテンサイト系ステンレス鋼板の製造法。
H値=363C−12Si−14Mn−26Ni−18Cr−107N+818 ・・(1)
M値=−1667(C+N)−28Si−33Mn−61Ni−41.7Cr+1305 ・・(2)
A値=30(C+N)−1.5Si+0.5Mn+Ni−1.3Cr+11.8 ・・(3) - 調質圧延の圧延率が3〜10%である請求項3または4に記載の製造法。
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