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JP4559044B2 - 潜在捲縮性繊維用ポリエステル樹脂、及びこれを用いた潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 - Google Patents

潜在捲縮性繊維用ポリエステル樹脂、及びこれを用いた潜在捲縮性ポリエステル複合繊維 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、織編物や紡績糸、不織布とした場合に優れた伸縮性や風合いを付与することができる潜在捲縮性ポリエステル複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維は、耐候性や耐薬品性、ウォッシュアンドウェアー性等の優れた特性を有し、衣料用、産業資材用等、種々の用途に使用されている。
【0003】
従来、合成繊維に伸縮性を付与する方法としては、熱収縮特性の異なるポリマーをサイドバイサイド、又は偏心芯鞘構造に複合した潜在捲縮性繊維とする方法が数多く提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2では、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略する。)との複合繊維が開示されている。
しかしながら、これらの複合繊維では,良好な伸縮性を付与するために潜在捲縮を十分に発現させる条件で熱処理すれば糸が硬化するため風合いが悪くなり、一方、風合いを優先させるために潜在捲縮の発現を抑える条件で熱処理すると、発現する捲縮数が不足するため、この繊維から得られる不織布は伸縮性が低いという問題があった。
【0004】
また、特許文献3には、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン(以下、BAEOと略する。)2〜7モル%とイソフタル酸(以下、IPAと略する)5〜13モル%を共重合したポリエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルとPETとの複合繊維が開示されている。
しかし、この共重合ポリエステルは融点が低く、結晶性に乏しいことから、乾燥時に樹脂同士が融着するという問題がある。同様に、共重合ポリエステルは結晶性に乏しく、得られる複合繊維を製造する際の熱処理温度を高くすることができないために繊維の収縮率が高く、熱安定性や潜在捲縮発現性に劣ったものであり、さらに不織布作成時の熱処理により風合いが硬いものとなりやすい。一方で、繊維の収縮率を低くするために繊維製造時の熱処理温度を高くすると、繊維や不織布等の風合いが硬いものとなり、潜在捲縮発現性にも劣ったものとなりやすいという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−10737号公報
【特許文献2】
特公平4−5769号公報
【特許文献3】
特許第3028711号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決し、優れた潜在捲縮性能を有し、伸縮性や風合い、弾性回復性の優れた紡績糸、織編物、不織布を製造できる潜在捲縮性ポリエステル複合繊維と不織布を提供することを技術的な課題とするものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記した潜在捲縮性ポリエステル複合繊維の問題を解決するために、鋭意検討を行った結果、IPA及びビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物を特定の範囲で共重合したポリエステル樹脂を用いて複合繊維を構成することにより、目的とする潜在捲縮性ポリエステル複合繊維が得られることを見出して本発明に到達した。
すなわち本発明は、次の構成を有するものである。
(1)エチレンテレフタレート単位を主体としたポリエステル樹脂を構成する酸成分のうち、IPAが1〜8モル%であり、グリコール成分のうち、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物が1〜12モル%であり、かつ極限粘度が0.58〜0.80であるポリエステル樹脂(A)と、PET又はPETを主体とするポリエステル樹脂(B)とからなることを特徴とする潜在捲縮性ポリエステル複合繊維。
(2)170℃における無荷重下の熱処理で50個以上/25mmのスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性能を有することを特徴とする上記(1)記載の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維。
(3)上記(1)又は(2)記載の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を使用した不織布。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、エチレンテレフタレート単位を主体としたものであり、酸成分の内、IPAが1〜8モル%、グリコール成分の内、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物が1〜12モル%共重合されていることが必要であり、好ましいIPAの共重合量は2〜6モル%、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物の共重合量は4〜10モル%である。
【0009】
IPAの共重合量が1モル%未満では、得られる複合繊維の収縮特性が不十分なものになるとともに、複合繊維の強度が高くなるために不織布の切断性に劣るものとなる。一方、IPAが8モル%を超えると、ポリマーの融点が低下し、得られる複合繊維は熱安定性に劣るものとなり、さらに複合繊維の強度が低いものとなるため、織編物や不織布等の用途には適さないものとなる。
【0010】
また、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物の共重合量が1モル%未満では、得られる複合繊維の収縮特性が不十分なものとなり、不織布とした場合、その伸長率や伸長回復率が小さく、十分な伸縮性能が発揮されない。一方、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物の共重合量が12モル%を越えると、ポリエステル樹脂の融点が低く、耐熱性が劣るものとなるので好ましくない。
【0011】
ここで、本発明におけるポリエステル樹脂(A)に用いるビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドの付加モル数は2〜4モルであることが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数が2モル未満では反応性に乏しく、また、アルキレンオキサイドの付加モル数が4モルを超えると、得られるポリエステル樹脂の色調が悪化するとともに、ガラス転移温度が低いものとなるために、繊維化した際の熱処理温度を高くすることができず、その結果、得られる繊維は熱安定性に劣るものとなりやすい。
また、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンに付加するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが挙げられる。
【0012】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)の極限粘度は、0.58〜0.80であることが必要である。極限粘度が0.58未満では、十分な潜在捲縮性能を有するものが得られない。また、極限粘度が0.80を超えると、紡糸時にニーリングは発生し、糸切れが多発する等、紡糸操業性が著しく悪化する。
【0013】
また、本発明におけるポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度は70℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度が70℃未満では、得られたポリエステル樹脂を乾燥する際にブロッキングが生じやすく、また、複合繊維とした際の熱処理温度を低くする必要があるため、この樹脂を用いた複合繊維の収縮率が大きくなり、熱安定性に劣るものとなりやすい。
【0014】
なお、本発明におけるポリエステル樹脂(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合成分を含有させてもよく、例えば、テレフタル酸(以下、TPAと略する。)及びIPA以外の酸成分としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、水添ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、オルソフタル酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、エチレングリコール(以下、EGと略する。)以外のグリコール成分としてはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、トリシクロデカングリコール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0015】
さらに、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐光性改良剤、難燃剤、制電剤、抗菌剤、セラミック等種々の改質剤や添加剤を含有していてもよい。
【0016】
本発明におけるポリエステル樹脂(A)を製造する方法は、特に制限されるものではないが、例えば、TPAまたはそのエステル形成性誘導体と、EGをエステル化反応又はエステル交換反応させ、ここで得られたポリエステルオリゴマーを重合反応釜に移した後に、IPA及びビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物、重合触媒等を添加し、減圧下で溶融重合反応を行うことで得ることができる。重合触媒は、通常アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、コバルト等の金属化合物が用いられ、反応温度は260〜280℃とすることが好ましい。
【0017】
次に、本発明の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維について説明する。
本発明の複合繊維は、先に述べた本発明のポリエステル樹脂(A)と、PET又はPETを主体とするポリエステル樹脂(B)からなるものであり、ポリエステル樹脂(B)としては、実質的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステルが用いられ、中でもPETが好ましい。
また、これら2種のポリエステル樹脂(A)及び(B)の複合形態としては、サイドバイサイド型や偏心芯鞘型が挙げられ、捲縮発現性の点からサイドバイサイド型で接合したものが好ましい。
【0018】
本発明の複合繊維を構成するポリエステル樹脂の極限粘度については、ポリエステル樹脂(A)の極限粘度は先に述べたように0.58〜0.80であることが必要であり、一方、ポリエステル樹脂(B)の極限粘度は0.44〜0.66であることが好ましい。ポリエステル樹脂(B)の極限粘度が0.44未満では、紡糸時にニーリングが発生し、糸切れが多発する等、紡糸操業性が悪化しやすく、極限粘度が0.66を超えると、十分な潜在捲縮性能を有するものが得られ難くなる。
また、両ポリエステル樹脂の極限粘度の差は0.2以下であることが好ましい。
極限粘度の差が0.2を超えると、紡糸時にニーリングが発生し、糸切れが多発する等、紡糸操業性が悪化しやすくなる。
【0019】
ポリエステル複合繊維を構成するポリエステル樹脂(A)と(B)の比率は、体積比率で3/7〜7/3の範囲であることが好ましい。体積比率が(A)/(B)=3/7未満では複合繊維を熱処理した際の捲縮発現数が乏しいものとなりやすく、体積比率が(A)/(B)=7/3を超えると紡糸時にニーリングが発生し、糸切れが多発する等、紡糸操業性が悪化しやすくなる。
【0020】
なお、本発明のポリエステル複合繊維を構成するポリエステル樹脂(B)には、ポリエステル樹脂(A)と同様に、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合成分を含有させてもよい。さらに、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐光性改良剤、難燃剤、制電剤、抗菌剤、セラミック等種々の改質剤や添加剤を含有させてもよい。
【0021】
本発明のポリエステル複合繊維は、170℃における無荷重下の熱処理で50個以上/25mmのスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性能を有することが好ましく、その好ましい上限150個/25mmである。
伸縮性を有する織編物及び不織布を得るためには、捲縮を発現させたとき、織編物や不織布を構成する繊維が30個以上/25mmのスパイラル捲縮を有するようにすることが好ましく、そのためには原糸の状態で50個以上/25mmのスパイラル捲縮発現能を有することが好ましい。したがって、170℃における無荷重下の熱処理で50個未満/25mmのスパイラル捲縮を発現するものであると、この繊維から得られる織編物や不織布が伸縮性に乏しいものとなりやすく、また150個/25mmを超えると、捲縮が小さくて不織布の伸縮性が小さくなりやすい。
なお、無荷重下の熱処理とは、オーブン等の熱処理機の中に、繊維を1本ずつ、収縮しても緊張しないように十分に弛ませた状態でセットし、170℃で15分間加熱処理することをいう。
【0022】
以上のように、本発明の複合繊維は潜在捲縮性能を有し、後加工工程での熱処理により捲縮が発現するものである。織編物とする際には、染色や精練工程での熱処理によって、また、不織布とする際には、ニードルパンチ処理やウォータージェット処理をした後の熱処理によって捲縮を発現させるのが一般的である。
【0023】
本発明のポリエステル複合繊維は、短繊維、長繊維のいずれでもよく、長繊維の場合、マルチフィラメント、モノフィラメントのどちらでもよい。
短繊維とする場合、潜在捲縮性能として上記のようなスパイラル捲縮を発現する能力を有すると同時に、8〜18個/25mmの機械捲縮が付与されていることが好ましい。一般にネップや未開繊部の発生は、捲縮数や捲縮形態と密接な関係にあり、機械捲縮数が8個未満/25mmでは未開繊部が発生しやすく、18個/25mmを超えるとネップが発生しやすい。また、梳綿工程以前でスパイラル捲縮を発現させた場合、ネップが発生しやすく、ウェブの均斉度が悪くなるほか、ウェブの素抜けが発生しやすい。
機械捲縮を付与する方法としては、一般的なスタッフィングボックス式、加熱ギヤ式等が採用される。
【0024】
次に、本発明の不織布は、上記した潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を使用したものであり、伸縮性や風合いが優れたものである。この不織布は、少なくともその一部に本発明の複合繊維を使用したものであるが、不織布の伸縮性や風合いを一層向上させるためには、全ての繊維に本発明の複合繊維を使用することが好ましい。
【0025】
次に、本発明の複合繊維の製造方法について、短繊維とする一例を用いて説明する。
先に述べたようにして得られた潜在捲縮性繊維用ポリエステル樹脂(A)と、通常の重合方法で得られたポリエステル樹脂(B)とを用いて、通常の溶融紡糸機に供給し、サイドバイサイド型で製糸した後、糸条を冷却後に未延伸糸又は半未延伸糸として一旦捲き取るか、あるいは、捲き取ることなしに引き続いて延伸、熱処理等を行って目的の繊維を得る。
【0026】
この際、使用するポリエステル樹脂の極限粘度や極限粘度差を前述した範囲内にすることの他に、複合体積比、紡糸速度、延伸倍率及び熱処理温度等を適切に選定することにより、得られる繊維の潜在捲縮性能を調整することができる。例えば、複合体積比5/5のサイドバイサイド型複合繊維とする場合は、通常の複合紡糸装置を用いて、引取り速度1200m/分で溶融紡糸し、集束して糸条束とした後、延伸温度40〜90℃、延伸倍率2〜5倍で延伸した後、熱処理温度100〜210℃で熱処理し、その後、切断して短繊維とする。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂のように、グリコール成分としてBAEOではなく、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物を共重合することにより、得られるポリエステル樹脂の結晶性を維持しつつ、繊維に優れた潜在捲縮性能を付与することが可能となり、このポリエステル樹脂を一方の構成成分とした潜在捲縮性ポリエステル繊維、及びこの繊維から得られる不織布や紡績糸、織編物は、伸縮性や風合い等に優れたものとなる。
【0028】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
各測定、評価項目は以下の方法に従った。
(1)極限粘度([η])の測定
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)の測定
セイコー電子工業社製示差走査熱量計SSC5200を用いて、10℃/分の昇温速度で測定した。
(3)繊度
JIS−L−1015−7−5−1−1Aの方法により測定した。
(4)強伸度
JIS−L−1015−7−7−1の方法により測定した。
(5)捲縮数
JIS−L−1015−7−12−1の方法により測定した。
(6)捲縮発現数
得られたポリエステル複合繊維を収縮しても緊張しないように十分に弛ませた状態で1本ずつセットし、熱処理機を用いて170℃で15分間の加熱処理を行った後、(5)と同様の方法により測定した。
(7)経時変化
得られた短繊維50kgを圧縮梱包し、40℃の恒温室に2カ月間保管した後、原綿の強度、伸度及び捲縮数を(4)、(5)に従って測定し、次の2段階で評価した。
○:すべての測定値の変化率が20%未満である。
×:少なくとも1つの測定値の変化率が20%以上である。
(8)目付
JIS−L−1085の方法により、20cm×20cmの試料質量を測定し、1m2当たりの質量(g/m2)として算出した。
(9)不織布の伸長率
縦(機械方向)150mm、横(機械方向に直交する方向)25mmの試料を作成し、機械方向に30gの荷重をかけた時の長さL0と、機械方向に240gの荷重をかけた時の長さL1を測定し、次式より伸長率を算出した。なお、伸長率が80%以上のものを合格とした。
伸長率(%)=〔(L1−L0 )/L0 〕×100
(10)伸長弾性率
弾性回復率の大きなものは伸長回復率が良好であることから、JIS−L−1015−7−10Bの方法により伸長弾性率を測定した。なお、伸長弾性率が85%以上のものを合格とした。
(11)風合い
得られた不織布の風合い(柔軟性、触感等)を5人のパネラーによる官能評価を行い、4人以上が下記の判断基準で風合い良好と判断したものを合格とした。
○:風合いが良好(軟らかい、表面が滑らか等)。
×:風合いに劣る(硬い、表面がザラザラする等)。
(12)不織布切断性
小野田製作所製D型カッターを用いて、縦(機械方向)150mm、横(機械方向に直交する方向)25mmの試料を横方向に切断し、切断面に飛び出した繊維の本数をもとに下記判断基準で切断性を評価した。なお、◎及び○を合格とした。
◎:飛び出した繊維 0本/25mm
○:飛び出した繊維 1〜5本/25mm
×:飛び出した繊維 6本以上/25mm
【0029】
実施例1
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にTPAとEGとのモル比が1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPaの条件で、エステル化反応を8時間行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。このPETオリゴマー49.2kgを重縮合反応缶に移送した後、IPA0.8kg、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのエチレンオキサイド2モル付加物(以下、BSEOと略する。)5.9kg、EG5.9kg、二酸化チタンの34%EGスラリー0.5kg、三酸化アンチモンの2%EG溶液1.1kgをそれぞれ添加し、反応器を徐々に減圧して60分後に1.2hPa以下とし、温度275℃で撹拌しながら4時間重合反応を行い、常法により払い出して極限粘度0.71のポリエステル樹脂(A)を得た。
【0030】
このポリエステル樹脂(A)と、通常の重合方法で得られた極限粘度0.57のPETであるポリエステル樹脂(B)とを用い、複合体積比5/5で、複合溶融紡糸装置によって、円形紡糸孔を344個有する紡糸口金を用い、紡糸温度290℃、引取速度1150m/分、吐出量204g/分で、サイドバイサイド型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸をトウ状に集束し、延伸倍率2.4倍、延伸温度70℃で延伸し、160℃で緊張熱処理を行い、スタッフィングボックスで機械捲縮を付与した後、切断して繊維長51mmの短繊維を得た。
【0031】
この短繊維をオープナーで開繊し、梳綿機でカーディングして35g/m2の目付のウェブを作成した。次いで、ウェブをウォータージェット処理し、その後に170℃のオーブン中で5分間の無荷重下熱処理を行い、不織布を得た。
【0032】
実施例2〜3,比較例1〜6
ポリエステル樹脂(A)の共重合成分や共重合量を表1に示したように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂(A)及び短繊維、不織布を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜6で得られたポリエステル樹脂の特性値、原綿物性及び不織布性能を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、実施例1〜3のポリエステル樹脂を用いたポリエステル複合繊維は優れた捲縮発現性能を有し、この繊維から得られた不織布の伸長性能も良好なものであった。
【0035】
一方、比較例1は、ポリエステル樹脂(A)の共重合成分がBSEOのみであるため、得られた不織布は伸縮性に乏しいものであり、不織布の切断性も劣るものであった。比較例2は、IPA共重合量が多いため、得られたポリエステル樹脂(A)が結晶性に乏しいものとなり、得られた複合繊維は熱安定性に劣り、経時変化が大きく、さらに不織布の風合いが硬いものであった。比較例3は、ポリエステル樹脂(A)の共重合成分がIPAのみであるため、得られた短繊維の熱処理後での捲縮発現数が少なく、不織布も伸縮性能に劣るものであった。比較例4は、BSEO共重合量が多いため、得られたポリエステル樹脂(A)が結晶性に乏しいものとなり、得られた複合繊維は熱安定性に劣り、経時変化が大きく、さらに風合いも硬いものであった。比較例5は、ポリエステル樹脂(A)の極限粘度が低いため、得られた短繊維の熱処理後での捲縮発現数が乏しく、不織布も伸縮性能に劣るものであった。比較例6は、ポリエステル樹脂(A)の極限粘度が高いため、紡糸時のニーリング角が大きく、紡糸操業性が悪くて短繊維を得ることができなかった。比較例7は、BSEOではなく、BAEOを共重合したものであるため、ポリエステル樹脂(A)が結晶性に乏しいものであり、得られた複合繊維は熱安定性に劣り、経時変化が大きいものであった。
【0036】
本発明の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維は、織編物や紡績糸、不織布とした場合に優れた伸縮性や風合いを付与できる
また、この潜在捲縮性ポリエステル複合繊維から得られる不織布や紡績糸、織編物は、伸縮性能に優れたものである。

Claims (3)

  1. エチレンテレフタレート単位を主体としたポリエステル樹脂を構成する酸成分のうち、イソフタル酸が1〜8モル%であり、グリコール成分のうち、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンのアルキレンオキサイド付加物が1〜12モル%であり、かつ極限粘度が0.58〜0.80であるポリエステル樹脂(A)と、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル樹脂(B)とからなることを特徴とする潜在捲縮性ポリエステル複合繊維。
  2. 170℃における無荷重下の熱処理で50個以上/25mmのスパイラル捲縮を発現する潜在捲縮性能を有することを特徴とする請求項記載の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維。
  3. 請求項又は記載の潜在捲縮性ポリエステル複合繊維を使用した不織布。
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