JP4545356B2 - 亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性が良好なアクリル系接着剤組成物に関する。さらに詳しくは、金属素材の接着、特に亜鉛メッキ鋼板の接着に好ましく使用され、耐熱性が良好なアクリル系接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アクリル系接着剤としては嫌気性接着剤、熱硬化型接着剤及び第二世代のアクリル系接着剤(SGA)等が知られている。また、近年、鋼板や亜鉛メッキ鋼板の接着にアクリル系接着剤が用いられるようになりつつある。
【0003】
嫌気性接着剤は、接着剤組成物を被着体間において圧着して空気を遮断することにより硬化するものである。このような、嫌気性接着剤組成物は、圧着する際に接着剤組成物の一部が被着体からハミ出した場合、ハミ出した部分が空気に接触するために硬化しない。又、被着体間のクリアランスが大きい場合も硬化しない。
【0004】
熱硬化型接着剤は(メタ)アクリレートモノマーと有機過酸化物が主成分であり、加熱により有機過酸化物を分解し、硬化させる接着剤である。熱硬化型接着剤は、硬化させる為に、別途硬化炉を設ける必要があり、多大な設備投資が必要であると共に、加熱に要するエネルギー消費も大きい。
【0005】
これらに対し、第二世代のアクリル系接着剤(SGA)は二液性接着剤で、作業性に優れ、剥離強度や衝撃強度が高く、ハミ出し部分の硬化も良好であり、硬化のために加熱を必要としない特徴があり、広く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアクリル系接着剤を使用して鋼板や亜鉛メッキ鋼板を接着し、接着後、鋼板や亜鉛メッキ鋼板を焼き付け塗装して製品にする場合には、焼き付け塗装時に高温で加熱する必要があるため、従来のアクリル系接着剤による接着部が劣化し、強度低下を起こす問題があった。
【0007】
このような、アクリル系接着剤の熱劣化防止に関しては、従来より種々提案されている。例えば、特開昭58−173174号公報や特開昭58−174476号公報には耐熱性の高いポリシロキサンやエチレン−アクリルゴムを配合して熱劣化を防止する方法が提案されている。又、特開昭62−129372号公報には(メタ)アクリレート成分にエポキシ基を有する(メタ)アクリレートを配合して熱劣化を防止する方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、これらの方法は、被着体が鋼板やアルミニウム等の金属の場合は有効であるが、被着体が亜鉛メッキ鋼板で有る場合には有効ではないという問題があった。
【0009】
本発明は、これらの課題を解決するために、鋭意検討を行い、ついにリン酸塩を配合することによって、亜鉛メッキ鋼板に対する熱劣化を防止できる、との知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、(1)(i)、(ii)及び(vi)を含有してなり、組成比は質量比で(i):(ii)=50〜95:5〜50であり、(vi)の使用量が(i)と(ii)の合計100質量部に対して0.05〜10質量部である重合性ビニルモノマー100質量部、(2)重合開始剤0.1〜20質量部及び(3)バナジルアセチルアセトネートを含有してなる還元剤0.05〜15質量部を含有してなる組成物100質量部と(4)ポリリン酸アンモニウムを含有してなるリン酸塩2〜10質量部を含有してなる亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物であり、
(i)メチルメタクリレート
(ii)2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(vi)アシッドホスホキシエチルメタクリレート
(1)(i)、(ii)及び(vi)を含有してなり、組成比は質量比で(i):(ii)=50〜95:5〜50であり、(vi)の使用量が(i)と(ii)の合計100質量部に対して0.05〜10質量部である重合性ビニルモノマー100質量部、(2)重合開始剤0.1〜20質量部及び(3)バナジルアセチルアセトネートを含有してなる還元剤0.05〜15質量部を含有してなる組成物100質量部と(4)ポリリン酸アンモニウムを含有してなるリン酸塩2〜10質量部を含有してなる亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物であり、
(i)メチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレート
(ii)2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(vi)アシッドホスホキシエチルメタクリレート
エラストマー成分を含有してなる該亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物であり、パラフィン類を含有してなる該亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物であり、酸化防止剤を含有してなる該亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物であり、該亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物を二剤に分け、第一剤が少なくとも(2)重合開始剤を含有してなり、第二剤が少なくとも(3)還元剤を含有してなる該亜鉛メッキ鋼板用二剤型接着剤組成物であり、該亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物を二剤に分け、第一剤が少なくとも(1)(i)及び(ii)を含有してなる重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(4)リン酸塩、エラストマー成分、パラフィン類、酸化防止剤を含有してなり、第二剤が少なくとも(1)(i)、(ii)及び(vi)を含有してなる重合性ビニルモノマー、(3)還元剤、エラストマー成分、パラフィン類、酸化防止剤を含有してなる該亜鉛メッキ鋼板用二剤型接着剤組成物であり、第一剤及び第二剤を別々に貯蔵した後、両剤を同時に又は別々に被着体に塗布して接触、硬化して接着することを特徴とする該亜鉛メッキ鋼板用二剤型接着剤組成物の接着方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する硬化性樹脂組成物は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤及び(4)リン酸塩を含有するものである。
本発明で使用する(1)重合性ビニルモノマーは、ラジカル重合可能であればいかなるものでもよいが、硬化速度等の点で、重合性ビニルモノマーは重合性(メタ)アクリル酸誘導体であることが好ましい。また、重合性ビニルモノマー100質量部中、重合性(メタ)アクリル酸誘導体が70質量部以上であることがより好ましく、重合性ビニルモノマーが全て重合性(メタ)アクリル酸誘導体であることが最も好ましい。
【0012】
ここで重合性(メタ)アクリル酸誘導体とは、重合性アクリル酸誘導体、又は重合性メタクリル酸誘導体をいう。これらは通常、液状のものが使用される。重合性(メタ)アクリル酸誘導体としては例えば、次のようなものが挙げられる。
【0013】
(i) 一般式
Z−O−R1
で示される単量体。
式中、Zは(メタ)アクリロイル基、 CH2=CHCOOCH2−CH(OH)CH2 −基又はCH2 =C(CH3)COOCH2−CH(OH)CH2 −基を示し、R1は水素、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基、テトラヒドロフルフリル基、グリシジル基、ジシクロペンチル基、ジシクロペンテニル基又は(メタ)アクリロイル基を示す。
【0014】
このような単量体としては例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、グリセロール(メタ)アクリレート及びグリセロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
(ii) 一般式
Z−O−(R2O) p −R1
で示される単量体。
式中、Z及びR1は前述の通りである。R2は−C2H4−、−C3H6−、−CH2CH(CH3)−、−C4H8−又は−C6H12 −を示し、pは1〜25の整数を表す。
【0016】
このような単量体としては例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
(iii) 一般式
【化1】
で示される単量体。
式中、Z及びR2は前述の通りである。R3は水素又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、qは0〜8の整数を表す。
【0018】
このような単量体としては例えば、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン及び2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0019】
(iv) 前記(i)、(ii)又は(iii)記載の単量体に含まれない多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル。
【0020】
このような単量体としては例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
(v) (メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタンプレポリマー。
このような単量体は、例えば水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、有機ポリイソシアネート及び多価アルコールを反応することにより得られる。
【0022】
ここで水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。
【0023】
又有機ポリイソシアネートとしては例えば、トルエンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0024】
多価アルコールとしては例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0025】
(vi) 下記一般式(I)て示される酸性リン酸化合物。
【化2】
式中、Rは CH2=CR4CO(OR5)m −基(但し、R4は水素又はメチル基、R5は−C2H4−、−C3H6−、−CH2CH(CH3)−、−C4H8−、−C6H12 −又は
【化3】
を示し、mは1〜10の整数を表す。)を示し、nは1又は2の整数を表す。
【0026】
この一般式(I)で示される酸性リン酸化合物としては例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート及びビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)フォスフェート等が挙げられる。
以上、(i)〜(vi)の単量体は、1種又は2種以上を使用することができる。
これらの中では、接着性が良好である点で、(i)、(ii)及び(vi)からなる群の1種以上が好ましく、(i)、(ii)及び(vi)を併用することがより好ましい。(i)と(ii)を併用した場合、その組成比は質量比で(i):(ii)=50〜95:5〜50が好ましく、60〜80:20〜40がより好ましい。(vi)の使用量は、(i)と(ii)の合計100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、0.1〜7質量部がより好ましい。
【0027】
又、重合性(メタ)アクリル酸誘導体以外の重合性ビニルモノマーとしては例えば、スチレン、α−アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルエーテル、ジビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、及び、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニル等のビニルエステル等が挙げられる。
【0028】
本発明で使用する(2)重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては例えば、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの中では、反応性の点で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
【0029】
重合開始剤の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。0.1質量部未満では硬化速度が遅いおそれがあり、20質量部を越えると貯蔵安定性が悪くなるおそれがある。
【0030】
本発明で使用する(3)還元剤は、前記重合開始剤と反応し、ラジカルを発生する還元剤であれば使用できる。代表的な還元剤としては例えば、第3級アミン、チオ尿素誘導体及び遷移金属塩等が挙げられる。
【0031】
第3級アミンとしては例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。チオ尿素誘導体としては例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、シブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素及びエチレンチオ尿素等が挙げられる。
遷移金属塩としては例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅及びバナジルアセチルアセトネート等が挙げられる。これらの中では、チオ尿素誘導体が好ましく、エチレンチオ尿素がより好ましい。
【0032】
還元剤の使用量は重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.05〜15質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。0.05質量部未満だと硬化速度が遅いおそれがあり、15質量部を越えると未反応の還元剤が残り、接着性が低下するおそれがある。
【0033】
本発明で使用する(4)リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛及びリン酸アルミニウム等の金属リン酸塩、これら金属リン酸塩の水和物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ナトリウム及びポリリン酸カリウム等のポリリン酸塩、リン酸アンモニウム、エチレンジアミンのリン酸塩やジエチレントリアミンのリン酸塩等のリン酸アミン塩並びにグアニジンのリン酸塩等が挙げられる。これらの中では、硬化速度、接着性及び取り扱いが容易な点で、ポリリン酸塩が好ましく、ポリリン酸アンモニウムがより好ましい。
【0034】
ポリリン酸アンモニウムとしては、ポリリン酸アンモニウムを微粒子化したものが好ましく、粒子表面が化学的に未処理のもの、熱硬化性樹脂でマイクロカプセル化したものが用いられる。
【0035】
リン酸塩の配合量は、(1)重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(3)還元剤成分を含有する組成物100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、2〜8質量部がより好ましい。1質量部未満だと熱劣化を防止する効果が得られないおそれがあり、10質量部を越えると逆に熱劣化を助長するおそれがある。
【0036】
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、エラストマー成分を配合することにより接着性を向上させることができるので、下記に示すようなエラストマー成分を配合することが好ましい。エラストマー成分とは、常温でゴム状弾性を有する高分子物質をいい、(メタ)アクリル系モノマーに溶解又は分散できるエラストマー成分の使用が好ましい。
このようなエラストマー成分としては、アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体(MBAS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS) 、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、並びに、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、線状ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム及びブタジエンゴム等の各種合成ゴム、天然ゴム、スチレン−ポリブタジエン−スチレン系合成ゴムといったスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン−EPDM合成ゴムといったオレフィン系熱可塑性エラストマー、並びに、カプロラクトン型、アジペート型及びPTMG型といったウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコールマルチブロックポリマーといったポリエステル系熱可塑性エラストマー、ナイロン−ポリオールブロック共重合体やナイロン−ポリエステルブロック共重合体といったポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、並びに、塩ビ系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマー成分は相溶性が良ければ、1種又は2種以上が使用できる。
又、末端メタクリル変性したポリブタジエンも使用できる。
これらの中では、化合物に対する溶解性及び接着性の点で、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体及び/又はアクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましく、メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体とアクリロニトリル−ブタジエンゴムの併用がより好ましい。
エラストマー成分の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して5〜50質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。5質量部未満だと粘度及び接着性が低下するおそれがあり、50質量部を越えると粘度が高すぎて作業上不都合が生じるおそれがある。
【0037】
本発明の硬化性樹脂組成物には粘度の調整や粘性・流動性の調整のために、微粉末シリカ等を配合できる。
【0038】
又、本発明の硬化性樹脂組成物は空気に接している部分の硬化を迅速にするために各種パラフィン類を配合することができる。パラフィン類としては例えば、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、カルナバろう、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう、セレシン及びカンデリラろう等が挙げられる。これらの中では、パラフィンが好ましい。パラフィン類の融点は40〜100℃が好ましい。
【0039】
パラフィン類の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましい。0.1質量部未満だと空気に接している部分の硬化が悪くなるおそれがあり、5質量部を越えると接着強度が低下するおそれがある。
【0040】
更に、本発明の硬化性樹脂組成物には、貯蔵安定性を改良する目的で重合禁止剤を含む各種の酸化防止剤等を配合することができる。酸化防止剤としては例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、パラベンゾキノン、2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、トリフェニルホスファイト、フェノチアジン及びN−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中では、p−メトキシフェノール、パラベンゾキノン及びハイドロキノンモノメチルエーテルからなる群の1種以上が好ましい。
【0041】
酸化防止剤の使用量は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して0.001〜3質量部が好ましい。0.001質量部未満だと効果がないおそれがあり、3質量部を越えると硬化強度が低下するおそれがある。
なお、これらの他に、本発明の硬化性樹脂組成物には、所望により可塑剤、充填剤、着色剤又は防錆剤等を配合することもできる。
【0042】
本発明の硬化性樹脂組成物は、二剤型の接着剤組成物として使用することができる。二剤型の接着剤組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、成分を第一剤及び第二剤に分け、第一剤に少なくとも重合開始剤を、第二剤に少なくとも還元剤を別々に貯蔵する。二剤型の接着剤組成物は貯蔵安定性に優れる点で好ましい。この場合、両剤を同時に又は別々に被着体に塗布して接触、硬化することによって、二剤型の接着剤組成物として使用できる。
【0043】
本発明の硬化性樹脂組成物により、被着体を接合して接合体を作製することができる。被着体の素材は、紙、木材、セラミック、ガラス、陶磁器、ゴム、プラスチック、モルタル、コンクリート及び金属等制限はないが、被着体が金属の場合、優れた接着性を示す。金属の中では、耐食性が大きいために自動車等の構造材に用いることができる点で、亜鉛メッキ鋼板は好ましい被着体の素材である。
【0044】
【実施例】
以下実験例により本発明を更に詳細に説明する。なお、以下、各物質の使用量の単位は質量部で示す。各物質については、次のような略号を使用した。なお、パラフィンの融点は56℃である。
(略号)
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴム
MBAS:メチルメタクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン共重合体
酸性リン酸化合物:アシッドホスホキシエチルメタクリレート
【0045】
又各種物性については、次のようにして測定した。
(剥離接着強さ)
JIS K−6854「接着剤のはく離接着強さ試験方法」記載の「浮動ローラー法はく離試験」に従い、試験を実施した。
被着体:電気亜鉛メッキ鋼板燐酸処理(SECC−P)
板厚:0.4mm鋼板と1.6mm鋼板の接着
接着方法:一方の被着体に第一剤と第二剤を等量混合したものを塗布した。その後、直ちにもう一方の被着体を重ね合わせて貼り合わせた後、室温で24時間養生したものを試料とした。
後処理:下記(ア)、(イ)の処理を行った試料につき、剥離接着強さを測定した。
(ア)後処理無し
(イ)加熱処理:180℃×60分(熱風乾燥機使用)
試料の剥離接着強さ(単位:kN/m)は、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、引張速度100mm/分で測定した。
(固着時間)
温度23℃、湿度50%環境化で、JIS K−6850に従い、一方の試験片(100mm×25mm×1.6mm、サンドブラスト処理したSPCC)の片面に接着剤組成物の第一剤と第二剤をスタティックミキサーで混合塗布し、その後直ちにもう一方の試験片を重ねて貼り合わせ、固着時間測定用試料とした。試料の固着時間は、温度23℃湿度50%の環境化で塗布直後からプッシュプルゲージ(model 1S KOMURA社製)で、0.1MPa以上の接着強さを発現する時間を固着時間とした。
(作業性)
剥離接着強さ試験において、第一剤と第二剤を等量混合した接着剤組成物を試験片に塗布しやすかった場合を○、少し塗布しにくかった場合を△、粘度が高く塗布しにくかった場合を×とした。
【0046】
実験例1
表1に示す組成の樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物を用いて、表2に示す組成の二剤型接着剤組成物を調製し、物性を評価した。結果を表2に示す。
【表1】
【表2】
実験例2
表3に示す組成の樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を用いて、表4に示す組成の二剤型接着剤組成物を調製したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表4に示す。
【表3】
【表4】
実験例3
表5に示す組成の二剤型接着剤組成物を調製し、固着時間と作業性を評価したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表5に示す。
【表5】
【0047】
【発明の効果】
本発明の硬化性樹脂組成物によって、接着性、作業性及び耐熱性に優れた接合体が得られるので、産業上の有益性は大きい。被着体として金属、特に亜鉛メッキ鋼板を用いた場合、接着後焼き付け塗装しても熱劣化しないために自動車等の構造材に用いることができる。硬化速度に与える影響が無い。
Claims (8)
- (1)(i)、(ii)及び(vi)を含有してなり、組成比は質量比で(i):(ii)=50〜95:5〜50であり、(vi)の使用量が(i)と(ii)の合計100質量部に対して0.05〜10質量部である重合性ビニルモノマー100質量部、(2)重合開始剤0.1〜20質量部及び(3)バナジルアセチルアセトネートを含有してなる還元剤0.05〜15質量部を含有してなる組成物100質量部と(4)ポリリン酸アンモニウムを含有してなるリン酸塩2〜10質量部を含有してなる亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物。
(i)メチルメタクリレート
(ii)2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(vi)アシッドホスホキシエチルメタクリレート - (1)(i)、(ii)及び(vi)を含有してなり、組成比は質量比で(i):(ii)=50〜95:5〜50であり、(vi)の使用量が(i)と(ii)の合計100質量部に対して0.05〜10質量部である重合性ビニルモノマー100質量部、(2)重合開始剤0.1〜20質量部及び(3)バナジルアセチルアセトネートを含有してなる還元剤0.05〜15質量部を含有してなる組成物100質量部と(4)ポリリン酸アンモニウムを含有してなるリン酸塩2〜10質量部を含有してなる亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物。
(i)メチルメタクリレート及び2−エチルヘキシルメタクリレート
(ii)2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(vi)アシッドホスホキシエチルメタクリレート - エラストマー成分を含有してなる請求項1又は2記載の亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物。
- パラフィン類を含有してなる請求項1〜3のうちの1項記載の亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物。
- 酸化防止剤を含有してなる請求項1〜4のうちの1項記載の亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物。
- 請求項1〜5のうちの1項記載の亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物を二剤に分け、第一剤が少なくとも(2)重合開始剤を含有してなり、第二剤が少なくとも(3)還元剤を含有してなる亜鉛メッキ鋼板用二剤型接着剤組成物。
- 請求項1〜5のうちの1項記載の亜鉛メッキ鋼板用接着剤組成物を二剤に分け、第一剤が少なくとも(1)(i)及び(ii)を含有してなる重合性ビニルモノマー、(2)重合開始剤、(4)リン酸塩、エラストマー成分、パラフィン類、酸化防止剤を含有してなり、第二剤が少なくとも(1)(i)、(ii)及び(vi)を含有してなる重合性ビニルモノマー、(3)還元剤、エラストマー成分、パラフィン類、酸化防止剤を含有してなる請求項1〜5のうちの1項記載の亜鉛メッキ鋼板用二剤型接着剤組成物。
- 第一剤及び第二剤を別々に貯蔵した後、両剤を同時に又は別々に被着体に塗布して接触、硬化して接着することを特徴とする請求項6又は7記載の亜鉛メッキ鋼板用二剤型接着剤組成物の接着方法。
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