JP4504524B2 - 延伸フィルムの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光フィルムの用途や寒冷紗などの農業用途などに適したポリビニルアルコールフィルムからなる延伸フィルムの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。このLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲーションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、従来の白黒表示からカラー表示に推移してきたことから、従来品以上に色相に優れた偏光板が求められている。
【0003】
通常の偏光板は、ポリビニルアルコールフィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記し、また、これの原料であるポリビニルアルコールをポリビニルアルコール系重合体といい、これを「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染色することにより製造した偏光フィルムに、三酢酸セルロース(TAC)膜などの保護膜を貼り合わせた構成をしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
PVAフィルムを一軸延伸すると、PVA分子に吸着(染色)した二色性物質が配向するため、偏光フィルムとなる。そこで、二色性物質を高配向させて偏光性能を高めるためには、PVAフィルムを可能な限りの延伸倍率で延伸することが必要である。しかし、PVAフィルムの延伸倍率が高すぎると、延伸フィルムが切断したり表面にクラックが発生し、これが偏光性能を低下させたり光学斑発生の原因となるため、適宜延伸倍率を下げた状態で延伸が行われてきた。また、延伸速度が速すぎても逆に遅すぎても、クラックの発生が顕著となる。このような現象は、PVA樹脂の重合度が高い場合や1,2−グリコール結合量が小さい場合、またフィルムの幅が広い場合に特に顕著に現われ、その対策が求められている。
【0005】
また、寒冷紗の製造時にもPVAフィルムの一軸延伸が行われており、耐水性を向上させるためにはPVAフィルムの延伸倍率を高くするほど好ましいが、切断や表面クラックなど偏光フィルム製造時と同様の問題が発生する。
【0006】
本発明の目的は、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光フィルムの用途や寒冷紗などの農業用途などに適したPVAフィルムからなる延伸フィルムの製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の延伸フィルムの製造法は、PVAフィルムを一軸延伸して延伸フィルムを製造する際に、延伸速度を100〜1000%/分とし、かつ、限界延伸倍率(X)と延伸倍率(Y)の関係を、X−3≦Y<X−0.2の範囲とする。好ましくは、限界延伸倍率(X)と延伸倍率(Y)の関係を、X−2≦Y<X−0.2の範囲とする。
ここで、限界延伸倍率(X)とは、PVAフィルムを切断するまで延伸した際に、切断が発生した時点の延伸倍率のことである。延伸倍率(Y)とは、PVAフィルムが延伸を経て偏光フィルム等の製品となったとき、PVAフィルムの単位長さが延伸された倍率のことである。
【0008】
本発明によれば、PVAフィルムから延伸フィルムを製造する際の切断やフィルム表面のクラックの発生を抑制することができる。
【0009】
以上の製造法は、平均重合度2000以上のPVAフィルムに、また、フィルム幅が2m以上のPVAフィルムに、さらに、1,2−グリコール結合量1.4以下のPVAフィルムに好適に適用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のPVAフィルムを構成するPVAとしては、ビニルエステル系モノマーを重合して得られたビニルエステル系重合体をけん化し、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位としたものを用いることができる。このビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができ、これらのなかでも酢酸ビニルを用いるのが好ましい。
【0011】
ビニルエステル系モノマーを共重合させる際に、必要に応じて、共重合可能なモノマーを、発明の効果を損なわない範囲内(好ましくは15モル%以下、より好ましくは5モル%以下の割合)で共重合させることもできる。
【0012】
このようなビニルエステル系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30のオレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ドデシルアクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロールメタクリルアミドおよびその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類を挙げることができる。
【0013】
PVAフィルムを構成するPVAの平均重合度は、フィルムの強度の点から500以上が好ましく、偏光性能の点からは1000以上がより好ましく、2000以上がさらに好ましく、3500以上が特に好ましい。さらに、PVAの重合度の上限は、フィルムの製膜性の点から10000以下が好ましい。本発明は、従来困難であった平均重合度2000以上のPVAフィルムにも適用できて、このフィルムを良好に延伸できる。
【0014】
前記PVAの重合度(Po )はJIS K 6726に準じて測定される。すなわちPVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
Po =([η]×103 /8.29)(1/0.62)
【0015】
前記PVAフィルムを構成するPVAのけん化度は、偏光フィルムの耐久性の点から95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましく、99.9モル%以上が特に好ましい。一方、フィルムの染色性の点からは99.99モル%以下が好ましい。前記けん化度とは、けん化によりビニルアルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニルアルコール単位にけん化されている単位の割合を示したものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の方法により測定を行った。
【0016】
前記PVAフィルムの原料として用いるPVAの1,2−グリコール結合量に関しては特に限定はないが、本発明では、従来、良好な延伸が困難であった1,2−グリコール結合量が1.4モル%以下のPVAフィルムにも適用できて、このフィルムを良好に延伸できる。1,2−グリコール結合量は、500MHzのプロトンNMR(JOEL GX−500)で測定したPVAのピークより求めた。PVAをけん化度99.9モル%以上にけん化して、メタノール洗浄を行った後、90℃で2日間減圧乾燥した。そして、DMSO−d6に溶解し、トリフルオロ酢酸を数滴加え、500MHzのプロトンNMRで80℃の測定を行った。ビニルアルコール単位のメチン由来のピークは3.2〜4.0ppm(積分値A)に帰属され、1,2−グリコール結合の一つのメチン由来のピークは3.25ppm(積分値B)に帰属される。そこで、次式で1,2−グリコール結合の含有量を算出する。
1,2−グリコール結合量(mol%)=B/A×100
【0017】
前記PVAフィルムを製造する際には、可塑剤として多価アルコールを添加することが好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。これらのなかでも、延伸性の向上効果から、エチレングリコールまたはグリセリンが好適に使用される。
【0018】
多価アルコールの添加量としては、PVA100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がさらに好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。一方、1重量部より少ないと、染色性や延伸性が低下する場合があり、30重量部より多いと、フィルムが柔軟になりすぎて取り扱い性が低下する場合がある。
【0019】
また、PVAフィルムを製造する際には、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種類としては特に限定はないが、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデシルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエステル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルなどのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリコールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなどのアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型などのノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活性剤の1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0020】
界面活性剤の添加量としては、PVA100重量部に対して0.01〜1重量部が好ましく、0.02〜0.5重量部がさらに好ましく、0.05〜0.3重量部が特に好ましい。0.01重量部より少ないと、延伸性向上や染色性向上の効果が現れにくく、1重量部より多いと、フィルム表面に溶出してブロッキングの原因になり、取り扱い性が低下する場合がある。
【0021】
前記PVAフィルムを製造する方法としては、例えば、PVAを溶剤に溶解したPVA溶液を使用して、流延製膜法、湿式製膜法(貧溶媒中への吐出)、乾湿式製膜法、ゲル製膜法(PVA水溶液を一旦冷却ゲル化した後、溶媒を抽出除去し、PVAフィルムを得る方法)、およびこれらの組み合わせによる方法や、含水PVA(有機溶剤などを含んでいても良い)を溶融して行う溶融押出製膜法などを採用することができる。これらのなかでも流延製膜法および溶融押出製膜法が透明性の高いPVAフィルムが得られることから好ましい。
【0022】
PVAフィルムを製造する際に使用されるPVA溶液の揮発分濃度は50〜90重量%が好ましく、55〜80重量%がさらに好ましい。揮発分濃度が50%より小さいと、粘度が高くなるため製膜が困難となる場合がある。また、揮発分濃度が90%より大きいと、粘度が低くなってフィルムの厚み均一性が損なわれ易い傾向がある。
【0023】
前記PVAフィルムの平均厚みは30〜100μmが好ましく、50〜80μmがより好ましい。30μm以下または100μm以上では、延伸時に切断する場合がある。厚み精度は平均厚みに対して、±5μm以内であることが好ましく、±3μm以内であることがさらに好ましく、±2μm以内であることが特に好ましい。厚み精度が±5μmを超えると、製造した偏光フィルムの光学ムラが大きくなる場合がある。
【0024】
前記PVAフィルムの原料として用いるPVAの1,2−グリコール結合量に関しては特に限定はない。本発明では、従来、良好な延伸が困難であった1,2−グリコール結合量が1.4モル%以下のフィルムでも良好に延伸できる。
【0025】
本発明のPVAフィルムの幅については特に限定はないが、本発明では、従来良好な延伸が困難であった幅2m以上のPVAフィルムにも適用できて、このフィルムを良好に延伸できる。
【0026】
本発明のPVAフィルムから偏光フィルムを製造するには、例えばPVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥処理、さらに必要に応じて熱処理を行えばよい。各工程の順序は特に限定はなく、また、染色と一軸延伸などの二つの工程を同時に実施しても構わない。また、各工程を複数回繰り返しても良い。
【0027】
染色は一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれでも可能であるが、PVAは一軸延伸により結晶化度が上がりやすく、染色性が低下することがあるため、一軸延伸に先立つ任意の工程または一軸延伸工程中において染色するのが好ましい。
【0028】
染色に用いる染料としては、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 17、19、154;ダイレクトブラウン 44、106、195、210、223;ダイレクトレッド 2、23、28、31、37、39、79、81、240、242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、78、90、98、151、168、202、236、249、270;ダイレクトバイオレット9、12、51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレクトイエロー8、12、44、86、87;ダイレクトオレンジ 26、39、106、107などの二色性染料などが、1種または2種以上の混合物で使用できる。通常染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶液中に浸漬させることにより行うが、PVAフィルムに混ぜて製膜するなど、その処理条件や処理方法は特に制限されるものではない。
【0029】
前記PVAフィルムの長さ方向に行う一軸延伸は、湿式延伸法または乾熱延伸法が使用でき、温水(前記染料を含有する溶液中や後記固定処理浴中でも良い)中または吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で行っても良い。このとき、延伸倍率(Y)は4倍以上が好ましく、5倍以上が特に好ましい。延伸倍率(Y)が4倍より小さいと、実用的に十分な偏光性能や耐久性能が得られにくい。延伸は一段階で目的の延伸倍率(Y)まで行ってもよいが、二段階以上の多段延伸を行った方がさらにネックイン(幅方向の収縮)が小さくなって、光学性能の均一性に効果がある。延伸温度は特に限定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿式延伸)する場合は30〜90℃が、また乾熱延伸する場合は50〜180℃が好適である。延伸後のPVAフィルムの厚みは、3〜75μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
【0030】
本発明では、限界延伸倍率(X)と延伸倍率(Y)の関係は、X−3≦Y<X−0.2であり、X−2≦Y<X−0.2であることがより好ましく、X−1.5≦Y<X−0.3とすることが特に好ましい。
【0031】
延伸時の速度は100〜1000%/分とし、好ましくは200%以上とし、さらに好ましくは300%以上とする。また、800%以下が好ましく、700%以下がさらに好ましい。100%以下や1000%以上の場合には延伸フィルム表面にクラックが発生し、切断しやすくなるため好ましくない。
【0032】
PVAフィルムへの上記染料の吸着を強固にすることを目的に、固定処理を行う。固定処理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸およびホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴中にヨウ素化合物を添加しても良い。
【0033】
PVAフィルムの乾燥処理(熱処理)は30〜150℃で行うのが好ましく、50〜150℃で行うのがより好ましい。
【0034】
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、かつ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板として使用される。保護膜としては、通常、セルロースアセテート系フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルム等が使用される。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。実施例、比較例に記載されているクラックについては目視により観察し、二色性比の算出は以下の方法により実施した。
二色性比
得られた偏光フィルムの偏光性能を評価する指数として二色性比を使用した。この二色性比は、日本電子機械工業会規格(EIAJ)LD−201−1983に準拠し、分光光度計を用いて、C光源、2度視野にて測定、計算して得られた透過率TS (%)とP(%)を使用して下記の式から求めた。
【0036】
実施例1
けん化度99.9モル%、重合度2400、1,2−グリコ−ル結合量1.4モル%のPVAと、グリセリン12%からなる厚み75μm、幅2.5mのPVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作成した。すなわち、PVAフィルムをヨウ素濃度0.5g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットルの30℃の染色液中に1分間浸漬させて染色を行った。次に50℃の4%ホウ酸水溶液中において、延伸速度500%/分で、延伸倍率(Y)が5.5倍となるように延伸した。この延伸条件での限界延伸倍率(X)は、6.5倍であった。さらに、ヨウ化カリウム40g/リットル、ホウ酸40g/リットルの35℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行った。これを20℃の蒸留水で10秒間水洗した後、定長下、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
【0037】
得られた偏光フィルムの透過率は44.0%、偏光度は99.6%、二色性比は48.8であった。偏光フィルムの表面にクラックは認められなかった。
【0038】
実施例2
けん化度99.9モル%、重合度4000、1,2−グリコ−ル結合量1.2モル%のPVAと、グリセリン12%からなる厚み80μm、幅2.8mのPVAフィルムを染色、一軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フィルムを作成した。すなわち、PVAフィルムをヨウ素濃度0.5g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ酸濃度40g/リットルの30℃の染色液中に1分間浸漬させて染色を行った。次に60℃の4%ホウ酸水溶液中において、延伸速度300%/分で、延伸倍率(Y)が7.1倍となるように延伸した。この延伸条件での限界延伸倍率(X)は、8.5倍であった。さらに、ヨウ化カリウム40g/リットル、ホウ酸40g/リットルの35℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行った。これを20℃の蒸留水で10秒間水洗した後、定長下、40℃で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行った。
【0039】
得られた偏光フィルムの透過率は44.5%、偏光度は99.3%、二色性比は48.1であった。偏光フィルムの表面にクラックは認められなかった。
【0040】
比較例1
延伸倍率(Y)を6.4倍にした以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを製造して偏光フィルムの作成を行い、透過率44.3%、偏光度99.3%、二色性比46.4の偏光フィルムを得た。偏光フィルムの表面にはクラックが発生しており、製品として不適であった。
【0041】
比較例2
延伸倍率(Y)を3倍にした以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを製造して偏光フィルムの作成を行い、透過率43.3%、偏光度97.6%、二色性比29.3の偏光フィルムを得た。偏光フィルムの表面にはクラックが発生していなかったが、偏光性能が低く不適であった。
【0042】
比較例3
延伸速度80%/分とし、延伸倍率(Y)を4.6倍にした以外は実施例1と同様に延伸フィルムの製造を行って偏光フィルムの作成を行い、透過率43.5%、偏光度99.2%、二色性比39.5の偏光フィルムを得た。偏光フィルムの表面にはクラックが発生しており製品として不適であった。
【0043】
比較例4
延伸速度1200%/分とし、延伸倍率(Y)を4.8倍にした以外は実施例1と同様にして、延伸フィルムを製造して偏光フィルムの作成を行い、透過率43.3%、偏光度99.5%、二色性比41.9の偏光フィルムを得た。偏光フィルムの表面にはクラックが発生しており、製品として不適であった。
【0044】
以上の実施例においては、偏光フィルム用のPVAフィルムを製造する場合について説明したが、本発明は、これ以外に寒冷紗などの農業用フィルムの製造法にも適用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明の製造法によれば、PVAフィルムから延伸フィルムを製造する際の切断やフィルム表面のクラックの発生を抑制することができ、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光フィルムの用途や寒冷紗などの農業用途などに適したPVAフィルムからなる延伸フィルムを得ることができる。
Claims (5)
- ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸して延伸フィルムを製造する際に、延伸速度が100〜1000%/分であり、かつ、限界延伸倍率(X)と延伸倍率(Y)との関係が下記の(1)式で示される範囲であることを特徴とする延伸フィルムの製造法。
X−3≦Y<X−0.2‥‥(1) - 前記限界延伸倍率(X)と前記延伸倍率(Y)との関係が下記の(1´)式で示される範囲であることを特徴とする請求項1に記載の延伸フィルムの製造法。
X−2≦Y<X−0.2‥‥(1´) - 平均重合度が2000以上のポリビニルアルコールフィルムを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の延伸フィルムの製造法。
- フィルム幅が2m以上のポリビニルアルコールフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の延伸フィルムの製造法。
- 1,2−グリコール結合量が1.4以下のポリビニルアルコール樹脂からなるポリビニルアルコールフィルムを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の延伸フィルムの製造法。
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