JP4438329B2 - 有機物を含む廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物を含む廃棄物をセメント原料の一部として資源利用することのできる有機物を含む廃棄物の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般廃棄物や産業廃棄物は、その大部分が、最終処分場に埋立処理されるか、あるいは焼却処理後に最終処分場に埋立処理されることになる。
【0003】
そして、例えば、石油精製工場跡地などの油混じりの土壌や、洗浄に利用されたトリクロロエチレン等の有機物で汚染された土壌や、下水処理場で発生する汚泥や、ダイオキシン類を含むごみ焼却灰等や、ごみ焼却施設等のダイオキシン類を発生させる施設の解体によって生じたがれき類、煉瓦屑、コンクリート塊、施設内装材等や、ごみ焼却施設周辺のダイオキシン類で汚染された土壌等や、石膏ボード、ガラスウール、パルプスラッジ、壁紙などの繊維類や、燃焼によってダイオキシン類を生ずる危険性のあるプラスチック成形品、化学繊維等の有機塩素系廃棄物についても、同様な方法で処分されてきた。
【0004】
ところが、近年、焼却処理場や最終処分場に関して、環境等への配慮が厳しき状況になっていることから、その焼却処理場や最終処分場を新たに確保することが困難な状況になってきている。
【0005】
したがって、有機物を含む廃棄物については、環境に悪影響を与えることなく、再資源化を図ることが社会的に重要な課題となってきている。
このため、有機物を含む廃棄物をセメント原料の一部として有効活用する方法が推進されてきている。
【0006】
この場合、有機物を含む廃棄物は、セメント原料の一部としてセメント製造設備における原料粉砕乾燥工程に投入され、ロータリーキルンから導入された排ガスによって加熱乾燥を受けながら粉砕された後、プレヒータを介してロータリーキルンに供給され、当該ロータリーキルンにおいてセメントクリンカに焼成されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記有機物を含む廃棄物の処理方法では、排ガスによる加熱によって、油等の有機物が蒸発し、当該排ガスを浄化処理するための電気集塵機の電極に付着し、その集塵機の性能を著しく低下させたり、臭気を発生させたりすることがある。また、上述したコンクリート塊や繊維類等を粉砕した場合にも、その粉塵が電気集塵機に付着して、その集塵性能を著しく低下さることになる。
【0008】
ただし、有機物を含む廃棄物を、上記原料乾燥粉砕工程を経ることなくロータリーキルン側に投入した場合には、これらの廃棄物が性状的に塊状、板状等のものを含んでいることから、セメントクリンカの品質に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、環境に悪影響を及ぼすことなく、かつ電気集塵機の性能低下をきたすことなく、高品質のセメントクリンカを製造するための資源として有効に活用することのできる有機物を含む廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の有機物を含む廃棄物の処理方法は、セメント原料を乾式ミルで粉砕し、プレヒータにおいて予熱した後に、セメント焼成用のロータリーキルンに投入してセメントクリンカを製造するに際して、有機物を含む廃棄物に、流動性を与えるための溶媒および石灰系廃棄物を加えて湿式ミルで粉砕した後に固液分離し、得られたケーキを上記ロータリーキルンの窯尻部に投入し、上記有機物を含む廃棄物の有機成分を燃料の一部として消費するとともに、残分をセメント原料の一部として利用することにより上記有機物を含む廃棄物を処分することを特徴とする。また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、固液分離した液体を溶媒として再利用することを特徴とする。
【0011】
ここで、有機物を含む廃棄物としては、例えばガソリン、潤滑油、作動油等の油分を含む土壌等や、洗浄剤としのトリクロロエチレン等を含む土壌等や、下水処理場で発生する汚泥や、ダイオキシン類を含むごみ焼却灰等や、ごみ焼却施設等のダイオキシン類を発生させる施設の解体によって生じたがれき類、煉瓦屑、コンクリート塊、施設内装材等や、ごみ焼却施設周辺のダイオキシン類で汚染された土壌等や、石膏ボード、ガラスウール、パルプスラッジ、壁紙などの繊維類や、燃焼によってダイオキシン類を生ずる危険性のあるプラスチック成形品、化学繊維等の有機塩素系廃棄物、その他のものが上げられる。
【0012】
これらの廃棄物を湿式ミルで粉砕する場合、粉砕により温度が上がらないので、例えばトリクロロエチレン等の低沸点の有機物を含む廃棄物であっても、その有機物の気化を防止しながら当該廃棄物を溶媒と共に粉砕混合することができる。
【0013】
上記廃棄物の粉砕物は、セメント焼成工程に投入することにより、有機物は燃料の一部として消費することができ、土壌分、煉瓦屑、コンクリート塊等はセメント原料の一部(粘土や石灰石等の一部)として、セメントクリンカの製造に利用することができる。従って、セメント焼成のための燃料費の節減を図ることができるとともに、粘土や石灰石等のセメント原料の節減を図ることができる。また、廃棄物を上記のように粉砕することによって、当該廃棄物に含まれるレキ分(石ころ等)を細かく粉砕することができるので、セメントクリンカを高品質な状態に維持することができる。
【0014】
また、廃棄物の粉砕物は通常のセメント原料とは別ルートでセメント焼成工程に直接投入されることになり、ロータリーキルンの排ガスを利用する原料乾燥粉砕工程に通すことがないので、油等の有機成分が蒸発し、排ガスを浄化処理するための電気集塵機の電極に付着して、当該電気集塵機の性能を著しく低下させたり、臭気を発生したりするおそれがない。また、コンクリート塊や繊維類等を粉砕することによって生じた粉塵が電気集塵機の電極に付着して、当該電気集塵機の性能を低下させることも防止することができる。
【0015】
なお、廃棄物の粉砕物が上述のように通常のセメント原料とは別ルートでセメント焼成工程に投入されることから、上記湿式ミルは、通常のセメント製造設備にはないものを当該セメント製造設備と一体または別体のものとして設置することになる。
【0016】
また、湿式ミルによって溶媒とともに粉砕混合されたスラリー状の廃棄物は、固液分離して固形分をケーキ状にしてから投入する。この場合に、請求項2に記載の発明のように、分離した液体を溶媒として再利用することもできる。また、有機物が油で、溶媒として水を添加した場合は、油水分離を行って、油は燃料として利用し、水は溶媒として再利用することも可能である。
【0017】
また、煉瓦屑やコンクリート塊等の大きな塊状の廃棄物については、クラッシャにかけて粉砕した後に、湿式ミルに投入することが好ましい。
さらに、湿式ミルに投入する前に、有機物を含む廃棄物を溶媒と攪拌混合した後、ふるいにかけて、ふるい網上の粒径の大きな例えば油等の有機分の少ない土壌を分離回収して、通常のセメント原料として原料粉砕乾燥工程に投入し、網下の粒径の細かい有機分の多い例えば土壌だけを湿式ミルに投入するようにしてもよい。この場合、ふるい網上の粒径の大きな土壌等はクラッシャにかけて粉砕した後に、湿式ミルに投入してもよい。
【0018】
また、廃棄物に含まれるVOCなどの有機物は、上述のように、セメント焼成工程の高温雰囲気内に投入されることによって焼却されることになる。
この場合、ロータリーキルンの窯尻部は、少なくとも800℃以上の高温になることから、有機物を投入することによって、当該有機物を着火温度以上の雰囲気で確実に焼却することができることはもちろんのこと、低温燃焼時にはダイオキシン類を発生させるような有機塩素系の有機物であっても、そのダイオキシン類の発生を確実に防止することができる。しかも、既にダイオキシン類となっている有機物については、上記800℃以上の高温雰囲気で、2秒間以上滞留させることにより、無害のものに分解することができる。
【0019】
したがって、有機物を含む廃棄物を、環境に悪影響を及ぼすことなく、セメント製造設備における電気集塵機の性能低下を防止しながら、高品質のセメントクリンカを製造するための資源として有効に利用することができる。
【0020】
請求項1の方法における上記溶媒として、廃油、廃液、汚泥、水、流動剤のうちの少なくとも1種を用いることを特徴とする。
【0021】
ここで、廃液としては、パルプ工場で出てくる廃液、市場などから回収された牛乳や飲料水、アルコールなどが使用できる。また、汚泥としては、下水処理場で出てくる汚泥などが使用できる。また、流動剤としては、主に水の添加量を減らす減水剤(界面活性剤)などを上げることができる。そして、廃油、廃液、牛乳、飲料水、アルコール、汚泥等は、本来廃棄すべきものであるから、その廃棄処理を同時に行うことができるという利点がある。
【0022】
さらに、石灰系廃棄物等のほとんどがセメント成分となるので、それらが廃棄物であればその廃棄物を有効に処理することができる上に、セメントクリンカの組成を適正な範囲に保つための処理剤として活用することができる。
【0023】
また、仮に、上記窯尻部で、上記ダイオキシン類が完全に分解されずに残るようなことがあっても、その後に通過するロータリーキルン内では1450℃以上の温度で数10分以上加熱されることになるので、上記ダイオキシン類がセメントクリンカ中に残ることがない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態として示した有機物を含む廃棄物の処理方法を実施するセメント製造設備の概要を示す図である。
このセメント製造設備は、乾式ミル1、原料サイロ2、プレヒータ3、ロータリーキルン5、電気集塵機10を備えている。また、図1において、21は原料供給流路、31は排ガス流路である。
【0025】
セメント原料(石灰石、粘土、珪石、鉄原料)Gは、必要に応じてドライヤを経て、原料粉砕乾燥工程としての乾式ミル1に投入される。これらのセメント原料Gは、乾式ミル1において、ロータリーキルン5から供給される排ガスのもとで、加熱粉砕されて原料サイロ2に導入された後、原料供給流路21を介してプレヒータ3に供給され、当該プレヒータ3にて予熱された後、セメント焼成用のロータリーキルン5に投入されて焼成され、セメントクリンカとなる。なお、セメント焼成工程とは、プレヒータ3による予熱工程からロータリーキルン5によるセメントクリンカの焼成工程までをいい、プレヒータ3から後述する窯前部5Aまでの間の装置に対応する。
【0026】
乾式ミル1は、プレヒータ3および排ガス流路31を介して、ロータリーキルン5からの排ガスが導入されることによって、セメント原料Gの粉砕および乾燥を同時に行うようになっている。また、電気集塵機10は、上記排ガスを大気側に放出する前に浄化処理するようになっている。
【0027】
プレヒータ3は、下方から上方に向けて複数のサイクロン3a、3b、3c、3dを多段に接続した多段サイクロン式のものであり、粉砕されたセメント原料Gを、ロータリーキルン5の排ガスを利用して、所定温度(800〜900℃)まで予熱する。ロータリーキルン5は、若干下流側へ下方傾斜した横向き円筒状のキルンシェルを有し、このキルンシェルをその中心軸線回りに回転させながら、重油や微粉石炭を燃料とするバーナー6で加熱することで、プレヒータ3から供給されるセメント原料Gを温度1450℃以上に昇温して焼成反応させて、セメントクリンカを生成する。その後、セメントクリンカは、ロータリーキルン5の後段側に設けられた窯前部5Aに連結されたクーラー7により冷却されて、仕上げ工程8へ送られる。以上は通常のセメント製造設備における操業と同様である。
【0028】
そして、このセメント製造設備には、通常のセメント製造設備に加えて、主として湿式ミル11とスラリーポンプ12を備えた有機物を含む廃棄物の処理設備100が設けられている。
この有機物を含む廃棄物の処理設備100は、有機物を含む廃棄物Aと溶媒Bの混合粉砕物(破砕物)Cを、スラリーポンプ12で抜き出して固液分離した後に、得られたケーキをロータリーキルン5の前段側に設けられた窯尻部5Bに直接投入するようになっている。
【0029】
有機物を含む廃棄物Aとしては、例えばガソリン、潤滑油、作動油等の油分を含む土壌等や、洗浄剤としのトリクロロエチレン等を含む土壌等や、下水処理場で発生する汚泥や、ダイオキシン類を含むごみ焼却灰等や、ごみ焼却施設等のダイオキシン類を発生させる施設の解体によって生じたがれき類、煉瓦屑、コンクリート塊、施設内装材等や、ごみ焼却施設周辺のダイオキシン類で汚染された土壌等や、石膏ボード、ガラスウール、パルプスラッジ、壁紙などの繊維類(特にダイオキシンで汚染された繊維類)や、燃焼によってダイオキシン類を生ずる危険性のあるプラスチック成形品、化学繊維等の有機塩素系廃棄物、その他のものが上げられる。
【0030】
ダイオキシン類とは、2、3、7、8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシンおよびその類縁化合物を指し、ジベンゾ−p−ジオキシン核に1〜8個の塩素原子が置換したポリクロロジベンゾ−p−ジオキシン類(PCDDs)およびジベンゾフラン核に1〜8個の塩素原子が置換したポリクロロジベンゾフラン類(PCDFs)等を包含するものである。このダイオキシン類は、800℃以上の高温雰囲気で、2秒間以上滞留させることにより分解することができる。
【0031】
また、溶媒Bとしては、廃油、廃液、汚泥、水、流動剤のうちの少なくとも1種を用いるのが望ましい。廃液としては、パルプ工場で出てくる廃液、市場などから回収された牛乳や飲料水、アルコールなどが使用できる。また、汚泥としては、下水処理場で出てくる汚泥などが使用できる。また、流動剤としては、主に水の添加量を減らす減水剤(界面活性剤)などを上げることができる。
【0032】
そして、廃油、廃液、牛乳、飲料水、アルコール、汚泥等は、本来廃棄すべきものを流動性を与える溶媒として有効に利用した後に、無害のものに処理することができるという利点がある。
また、これらの溶媒を用いることで、有機物を含む廃棄物Aに流動性を与えることができるので、湿式ミル11での混合粉砕を、温度の上昇をきたすことなく円滑且つ確実に行うことができる。したがって、例えばトリクロロエチレン等の低沸点の有機物を含む廃棄物Aであっても、その有機物の気化を防止しながら当該廃棄物Aを溶媒Bと共に粉砕混合することができる。
【0033】
上記有機物を含む廃棄物Aは、廃棄物ホッパ14に一時的に蓄えられながら、順次、コンベヤ15によって湿式ミル11に搬送されるようになっている。
また、溶媒Bは、溶媒ホッパ16に一時的に蓄えられながら、配管17aおよびポンプ17bによって湿式ミル11に圧送され、上記廃棄物Aとともに湿式ミル11内に供給されるようになっている。
湿式ミル11で破砕混合されたスラリー状の混合粉砕物Cは、スラリータンク18に一時的に蓄えられるとともに、このスラリータンク18からスラリーポンプ12で抜き出されて固液分離された後に、得られたケーキが窯尻部5Bに投入されるようになっている。
【0034】
次に有機物を含む廃棄物Aを処理する場合の方法を説明する。
まず、有機物を含む廃棄物Aに、流動性を与えるための溶媒Bを加えて湿式ミル11で粉砕する。その後、これをセメント製造設備のロータリーキルン5の窯尻部5Bに投入して、セメント原料Gの一部としてセメントクリンカの製造のために使われる。すなわち、ロータリーキルン5の窯尻部5Bに投入された有機物を含む廃棄物Aと溶媒Bの混合粉砕物Cは、セメント原料Gと共に焼成されて、セメントクリンカとして排出される。
【0035】
このようにロータリーキルン5の窯尻部5Bに、有機物を含む廃棄物Aと溶媒Bの混合粉砕物Cを投入することにより、有機分は燃料の一部として、ロータリーキルン5で消費することができ、土壌分、煉瓦屑、コンクリート塊等はセメント原料の一部(粘土や石灰石等の一部)として、セメントクリンカの製造に利用することができる。
【0036】
従って、セメント焼成のための燃料費の節減を図ることができるとともに、粘土や石灰石等のセメント原料Gの節減を図ることができる。また、廃棄物Aを上記のように湿式ミル11で粉砕することによって、当該廃棄物Aに含まれるレキ分(石ころ等)を細かく粉砕することができるので、ロータリーキルン5で生成されるセメントクリンカを高品質な状態に確実に維持することができる。
【0037】
しかも、粉砕された廃棄物Aは、通常のセメント原料Gとは別ルートで窯尻部5Bに直接投入されることになり、ロータリーキルン5の排ガスを利用した乾式ミル1を通過することがないので、油等の有機成分が蒸発し、電気集塵機10の電極(図示せず)に付着して、当該電気集塵機10の性能を著しく低下させたり、臭気を発生したりするおそれがない。さらに、コンクリート塊や繊維類等を粉砕することによって生じた粉塵が電気集塵機10の電極に付着して、当該電気集塵機10の性能を低下させることも防止することができる。
【0038】
また、廃棄物Aに含まれるVOCなどの有機物は、窯尻部5Bの800〜1100℃の高温雰囲気内に投入されることによって焼却されることになる。
この場合、有機物は、着火温度以上に加熱されて焼却することになるとともに、低温燃焼時にはダイオキシン類を発生させるような有機塩素系の有機物であっても、そのダイオキシン類の発生を確実に防止することができる。しかも、既にダイオキシン類となっている有機物については、上記800℃以上の高温雰囲気で、2秒間以上滞留させることにより、無害のものに分解することができる。
【0039】
また、仮に、ダイオキシン類が完全に分解されるに残るようなことがあったとしても、その後のロータリーキルン5の1450℃以上の雰囲気内を数10分以上の時間をかけて通過することによって、当該ダイオキシン類を無害のものに確実に分解することができる。すなわち、ダイオキシン類がセメントクリンカ中に残ることがない。
【0040】
したがって、有機物を含む廃棄物Aを、環境に悪影響を及ぼすことなく、セメント製造設備における電気集塵機10の性能低下を防止しながら、高品質のセメントクリンカを製造するための資源として有効に活用することができる。
【0041】
また、石灰系廃棄物を積極的に混入させることにより、石灰系廃棄物等がほとんどセメント成分となるので、上記廃棄物を有効処分ができる上、セメントクリンカの組成を適正な範囲に保つことができることから、石灰系以外の廃棄物Aについても大量投入が可能になるという利点がある。
【0042】
ここで、湿式ミル11から出てくるスラリー状の混合粉砕物Cを、ロータリーキルン5の窯尻部5Bに投入するに際して、前述のように、固液分離してケーキ状にしてから投入する。固液分離する場合には、分離した液体を溶媒Bとして再利用することも可能である。
【0043】
また、煉瓦屑やコンクリート塊等の大きな塊状の廃棄物Aについては、クラッシャにかけて粉砕した後に、湿式ミル11に投入することが好ましい。
さらに、湿式ミル11に投入する前に、有機物を含む廃棄物Aを溶媒Bと攪拌混合した後で、ふるいにかけて、ふるい網上の粒径の大きな有機分の少ない土壌等を分離回収して、セメント原料Gとして乾式ミル1に投入し、網下の粒径の細かい有機分の多い土壌等だけを湿式ミル11に投入するようにしてもよい。また、ふるい網上の粒径の大きな土壌はクラッシャにかけて粉砕した後に、湿式ミルに投入してもよい。
【0044】
次に処理方法の実施例を挙げる。
《処理方法1》
油分0.1%〜30%(重量比)を含む土に、水(重量比30〜300%)と流動剤(重量比0〜10.0%)とを加えて湿式ミル11に投入し、約1〜60分間粉砕する。こうして得られたスラリー状の混合粉砕物を直接、ロータリーキルン5の窯尻部5Bに投入する。または、上記スラリー状の混合粉砕物を脱水した後、得られたケーキを、ロータリーキルン5の窯尻部5Bに投入し、油混じり水は溶媒として再利用する。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、有機物を含む廃棄物に、流動性を与えるための溶媒を加えて湿式ミルで粉砕した後、これをセメント焼成工程に投入してセメントクリンカを製造するようにしたので、有機物を含む廃棄物の有機物成分を、燃料の一部として消費することができるし、その他の成分を、セメント原料の一部(粘土等の一部)として、セメントクリンカの製造に利用することができる。従って、有機物を含む廃棄物を有効活用しながら処分できると共に、セメント原料である粘土等の成分や焼成のための燃料を節約することができる。
【0046】
また、廃棄物を上記のように粉砕することによって、当該廃棄物に含まれるレキ分(石ころ等)を細かく粉砕することができるので、セメントクリンカを高品質な状態に維持することができる。
【0047】
また、廃棄物の粉砕物は通常のセメント原料とは別ルートでセメント焼成工程に直接投入されることになり、ロータリーキルンの排ガスを利用する原料乾燥粉砕工程に通すことがないので、油等の有機成分が蒸発し、排ガスを浄化処理するための電気集塵機の電極に付着して、当該電気集塵機の性能を著しく低下させたり、臭気を発生したりするおそれがない。また、コンクリート塊や繊維類等を粉砕することによって生じた粉塵が電気集塵機の電極に付着して、当該電気集塵機の性能を低下させることも防止することができる。
【0048】
さらに、ロータリーキルンの窯尻部は、少なくとも800℃以上の高温になることから、上記有機物を投入することによって、当該有機物を着火温度以上の雰囲気で確実に焼却することができることはもちろんのこと、低温燃焼時にはダイオキシン類を発生させるような有機塩素系の有機物であっても、そのダイオキシン類の発生を確実に防止することができる。しかも、既にダイオキシン類となっている有機物については、上記800℃以上の高温雰囲気で、2秒間以上滞留させることにより、無害のものに分解することができる。
【0049】
したがって、有機物を含む廃棄物を、環境に悪影響を及ぼすことなく、セメント製造設備における電気集塵機の性能低下を防止しながら、高品質のセメントクリンカを製造するための資源として有効に利用することができる。
【0050】
さらに、廃液として、パルプ工場で出てくる廃液、市場などから回収された牛乳や飲料水、アルコールなどが使用でき、汚泥として、下水処理場で出てくる汚泥などが使用できる。したがって、本来廃棄すべきものである廃油、廃液、牛乳、飲料水、アルコール、汚泥を、溶媒として有効に利用しながら廃棄処分できるという利点がある。
【0051】
また、石灰系廃棄物等のほとんどがセメント成分となるので、それらが廃棄物であればその廃棄物を有効に処理することができる上に、セメントクリンカの組成を適正な範囲に保つための処理剤として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態として示した有機物を含む廃棄物の処理方法を実施
するセメント製造設備の概略構成図である。
【符号の説明】
A 有機物を含む廃棄物
B 溶媒
C 混合粉砕物(粉砕物)
G セメント原料
3 プレヒータ
5 ロータリーキルン
5B 窯尻部
11 湿式ミル
Claims (2)
- セメント原料を乾式ミルで粉砕し、プレヒータにおいて予熱した後に、セメント焼成用のロータリーキルンに投入してセメントクリンカを製造するに際して、
有機物を含む廃棄物に、流動性を与えるための溶媒および石灰系廃棄物を加えて湿式ミルで粉砕した後に固液分離し、得られたケーキを上記ロータリーキルンの窯尻部に投入し、上記有機物を含む廃棄物の有機成分を燃料の一部として消費するとともに、残分をセメント原料の一部として利用することにより上記有機物を含む廃棄物を処分することを特徴とする有機物を含む廃棄物の処理方法。 - 固液分離した液体を溶媒として再利用することを特徴とする請求項1に記載の有機物を含む廃棄物の処理方法。
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