以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタを示す一部破断斜視図である。コネクタ10は、外枠12、基板14、および、積層サージ吸収部品26を備えている。
外枠12は、軸線X方向に延びる角筒状をなしている。具体的に、外枠12は、内孔を画成する内面12a、12b、12c、及び12dを有している。内面12aと内面12bは、互いに略平行であり、内面12cと内面12dは互いに略平行である。また、内面12a及び内面12bに対して、内面12c及び内面12dは、略直交している。この外枠12の内面12a上には、基板14が設けられている。
基板14は、外枠12の内面12aに固定されている。基板14の一方の主面14aは、内面12bと離間している。この基板14と内面12bとの間には、コネクタ10に接続される外部コネクタが挿入される。
基板14の主面14a上には、外部コネクタとの接続のための第1の電源配線パターン15、第2の電源配線パターン(例えば、接地パターン)16、第1の信号配線パターン17、第2の信号配線パターン18、および、グランドパターン19が設けられている。
第1の電源配線パターン15および第2の電源配線パターン16は、軸線X方向に延びる導体パターンである。第1の電源配線パターン15および第2の電源配線パターン16は、コネクタ10に接続される機器と外部コネクタに接続される機器との間で電源電力を供給するための配線である。第1の電源配線パターン15と第2の電源配線パターン16との間には、第1の信号配線パターン17と第2の信号配線パターン18とが設けられている。
第1の信号配線パターン17と第2の信号配線パターン18とは、軸線X方向に延びる導体パターンであり、軸線X方向に順に設けられている。この第1の信号配線パターン17の軸線X方向における一方側の端部は、第1の端子20として用いられる。また、第2の信号配線パターン18の軸線X方向における他方側の端部は、第2の端子22として用いられる。第1の信号配線パターン17と第2の信号配線パターン18との間には、グランドパターン19が設けられている。グランドパターン19は、軸線X方向に直交する方向に延びる導体パターンである。グランドパターン19は、グランド端子24として用いられる。グランドパターン19は、例えば、ビアおよび基板14の主面14aに対向する主面上に設けられた導体パターンを介して、接地パターンとなっている第2の電源配線パターン16に接続されている。なお、グランドパターン19は、基板14の主面14a上に設けられた導体パターンを介して、接地パターンとなっている第2の電源配線パターン16に接続されていても良い。さらにグランドパターン19は、ビアおよび基板14の主面14aに対向する主面上に設けられた導体パターンを介して、他の接地パターンに接続されて接地されていても良い。また、第1の信号配線パターン17と第2の信号配線パターン18との間には、積層サージ吸収部品26が搭載されている。
積層サージ吸収部品26は、略直方体の積層体28の表面に、第1の電極30、第2の電極32、および、第3の電極34、36を有している。第1の電極30は第1の信号配線パターン17に接続されており、第2の電極32は第2の信号配線パターン18に接続されている。第3の電極34、36はグランドパターン19に接続されている。積層サージ吸収部品26は、積層体28内部に形成された導体パターンによってサージ吸収回路を構成している。
このように、コネクタ10は、第1の端子20と、第2の端子22と、グランド端子24と、サージ吸収回路とを備えており、第1の端子20に接続される機器または外部コネクタと、第2の端子22に接続される機器または外部コネクタとを接続することが可能となっている。
次に、第1の実施の形態のコネクタ10に適用可能なサージ吸収回路について説明する。図2は、第1の実施の形態に係るコネクタに適用可能なサージ吸収回路を示す回路図である。図2に示すサージ吸収回路40は、第1の入出力端子40a、第2の入出力端子40b、第3の入出力端子40c、第1のインダクタ42、第2のインダクタ44、および、サージ吸収素子46を有している。
第1の入出力端子40aは、積層サージ吸収部品26の第1の電極30であり、第2の入出力端子40bは、積層サージ吸収部品26の第2の電極32である。また、第3の入出力端子40cは、積層サージ吸収部品26の第3の電極34、36である。
第1のインダクタ42の一端は第1の入出力端子40aに接続されており、第1のインダクタ42の他端はノードN1に接続されている。ノードN1には第2のインダクタ44の一端が更に接続されており、この第2のインダクタ44の他端は第2の入出力端子40bに接続されている。これらの第1のインダクタ42と第2のインダクタ44とは電磁気的に結合している。具体的には、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44とは、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合している。すなわち、第1の入出力端子40aから第2の入出力端子40bに向かう方向又はその逆方向に電流が流れている場合に、その電流によって第1のインダクタ42及び第2のインダクタ44に生じる磁界の向きが同一となり、その結果、互いのインダクタンスが増加するように結合している。第1のインダクタ42と第2のインダクタ44との結合係数は、0.01より大きく1以下であることが好ましい。
上記のノードN1には、第1のサージ吸収素子46の一端が更に接続されている。第1のサージ吸収素子46の他端は第3の入出力端子40cに接続されている。第1のサージ吸収素子46は、本実施の形態では、ZnOなどの金属酸化物からなるバリスタである。第1のサージ吸収素子46は、端子間電圧が所定の電圧より小さいときには、端子間に大きな抵抗値を有する。一方、第1のサージ吸収素子46は、端子間電圧が所定の電圧より大きいときには、端子間の抵抗値を小さくすることによって端子間に電流を流し、端子間の電圧を所定の電圧にクランプする。なお、所定の電圧とは、第1のサージ吸収素子46の特性で定まる値である。
したがって、第1の入出力端子40aに電圧レベルが小さい信号が入力されるときには、サージ吸収回路40は、第1のサージ吸収素子46の端子間の抵抗値が大きいので、信号を第2の入出力端子40bに出力する。同様に、第2の入出力端子40bに電圧レベルが小さい信号が入力されるときには、サージ吸収回路40は、第1のサージ吸収素子46の端子間の抵抗値が大きいので、信号を第1の入出力端子40aに出力する。
一方、第1の入出力端子40aに静電サージが入力されると、サージ吸収回路40は、第1のサージ吸収素子46によって第1の入出力端子40aと第3の入出力端子40cとの端子間の抵抗値が小さくなり、第1の入出力端子40aと第3の入出力端子40cとの端子間に電流を流し、ノードN1の電圧をクランプする。このようにして、サージ吸収回路40は、第1の入出力端子40aに静電サージが入力されても、第2の入出力端子40bに出力される電圧を低減する。
同様に、第2の入出力端子40bに静電サージが入力されると、サージ吸収回路40は、第1のサージ吸収素子46によって第2の入出力端子40bと第3の入出力端子40cとの端子間の抵抗値が小さくなり、第2の入出力端子40bと第3の入出力端子40cとの端子間に電流を流し、ノードN1の電圧をクランプする。このようにして、サージ吸収回路40は、第2の入出力端子40bに静電サージが入力されても、第1の入出力端子40aに出力される電圧を低減する。
図3は、図2に示すサージ吸収回路を等価的に示す回路図である。第1のインダクタ42および第2のインダクタ44は、電磁気的に結合しているので、2つのインダクタ48、50と負性インダクタ(負性誘導素子)52とで等価的に表わすことができる。また、第1のサージ吸収素子46は、並列に接続された可変抵抗素子と浮遊容量素子(浮遊容量成分)54とで等価的に表すことができるが、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子54のみで近似することができる。
図3に示す等価回路では、インダクタ48の一端は第1の入出力端子40aに接続されており、インダクタ48の他端はノードN2に接続されている。ノードN2には更にインダクタ50の一端も接続されており、インダクタ50の他端は第2の入出力端子40bに接続されている。また、ノードN2には負性インダクタ52の一端も接続されており、負性インダクタ52の他端は浮遊容量素子54の一端に接続されている。浮遊容量素子54は、第3の入出力端子40cに接続されている。
ここで、第1のインダクタ42のインダクタンスおよび第2のインダクタ44のインダクタンスをLzとし、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44との結合係数の値をKzとすると、インダクタ48のインピーダンスおよびインダクタ50のインダクタンスは「(1+Kz)・Lz」となり、負性インダクタ52のインダクタンスは「−Kz・Lz」となる。また、浮遊容量素子54の容量値をCzとする。これより、図3に示すサージ吸収回路40の入力インピーダンスは、下式(1)で表される。
上記(1)式によれば、Kz=±1とすると、右辺のωを含む第2項が0となり、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。ただし、Kz=−1の場合にはZin=0となるので適当でない。
更に、Kz=1とし、下式(2)を満たすようにLzを設定すれば、サージ吸収回路40の入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路40に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoに整合させることができる。
このように、本実施の形態のサージ吸収回路40によれば、静電サージ低減に優れた第1のサージ吸収素子46を有しているので、静電サージを低減することができる。また、本実施の形態のサージ吸収回路40によれば、電磁気的に結合された第1のインダクタ42と第2のインダクタ44とを有しているので、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44との結合係数を設定することが可能である。更に、本実施の形態のサージ吸収回路40によれば、当該サージ吸収回路40の入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子46の浮遊容量成分に対して第1のインダクタ42のインダクタンスと第2のインダクタ44のインダクタンスとを設定することが可能である。したがって、このサージ吸収回路40は、静電サージ低減に優れており、且つ、広帯域にわたってインピーダンス整合を可能とする。故に、このサージ吸収回路40を備える本実施の形態のコネクタ10は、送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
[第1の実施の形態のコネクタに適用可能なサージ吸収回路の変形例1]
図4は、第1の実施の形態のコネクタに適用可能な変形例1に係るサージ吸収回路を示す回路図である。図4に示すサージ吸収回路40Aは、サージ吸収回路40と同様の要素に加えて、更に第1の容量素子56を有している。
第1の容量素子56の一端は、第1の入出力端子40aと第1のインダクタ42の一端とを接続するためのノードN3に接続されている。第1の容量素子56の他端は、第2の入出力端子40bと第2のインダクタ44の他端とを接続するためのノードN4に接続されている。
図5は、図4に示すサージ吸収回路を等価的に表す回路図である。サージ吸収回路40と同様に、電磁気的に結合している第1のインダクタ42および第2のインダクタ44は、2つのインダクタ48、50と負性インダクタ(負性誘導素子)52とで表すことができる。また、第1のサージ吸収素子46は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)54のみで近似することができる。
第1のインダクタ42のインダクタンスおよび第2のインダクタ44のインダクタンスをLzとし、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44との結合係数の値をKzとすると、インダクタ48のインダクタンスおよびインダクタ50のインダクタンスは「(1+Kz)Lz」となり、負性インダクタ52のインダクタンスは「−KzLz」となる。また、第1の容量素子56の容量値をCsとし、浮遊容量素子54の容量値をCzとする。これより、図5に示すサージ吸収回路40Aの入力インピーダンスは、下式(3)で表される。
上記(3)式によれば、下式(4)を満たすようにCsを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
更に、下記(4)式を満たすようにCsを設定し、下式(5)を満たすようにLzを設定すれば、サージ吸収回路40Aの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路40Aに接続される伝送線路の特性インピーダンスZoに整合させることができる。
上記(4)式および(5)式からも分かるように、変形例1のサージ吸収回路40Aによれば、Kzを任意に選ぶことができる。すなわち、変形例1のサージ吸収回路40Aでは、Kzを変更することによってCsおよびLzを変更することができるので、サージ吸収回路40よりも柔軟性の高い回路設計が可能となる。
このように、変形例1のサージ吸収回路40Aによれば、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44との結合係数および第1の容量素子56の容量値を設定することが可能である。更に、変形例1のサージ吸収回路40Aによれば、当該サージ吸収回路40Aの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子46の浮遊容量成分に対して第1のインダクタ42と第2のインダクタ44とのそれぞれのインダクタンス、および、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44との結合係数を設定することが可能である。故に、サージ吸収回路40に代えて変形例1のサージ吸収回路40Aを備える本実施の形態のコネクタ10は、送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
上記の説明では、第1のサージ吸収素子46を浮遊容量素子54のみで近似したが、実際には、第1のサージ吸収素子46には浮遊誘導素子(浮遊誘導成分)も含まれている。図6は、第1のサージ吸収素子の等価的な回路図である。図6に示す第1のサージ吸収素子46は、並列に接続された可変抵抗素子58および浮遊容量素子54と、これらに直列に接続された浮遊誘導素子59とで表される。この浮遊誘導素子59もサージ吸収回路40の入力インピーダンスを周波数に対して変動させる原因となる。すなわち、この浮遊誘導素子59も高速な送受信信号の劣化の原因となる。
しかしながら、変形例1のサージ吸収回路40Aによれば、電磁気的に結合されている第1のインダクタ42および第2のインダクタ44が負性インダクタ52を有するので、この負性インダクタ52によって第1のサージ吸収素子46に含まれる浮遊誘導素子59をキャンセルすることができる。ただし、見かけ上、結合が小さくなった状態と同じになるため、KzとLzはそのままで、Csを下記(6)式とする。
ただし、Leは浮遊誘導素子59のインダクタンスであり、KzLz≧Leである。上記(6)式を満たすようにCsを設定することによって、第1のサージ吸収素子46に浮遊容量素子54と浮遊誘導素子59とが含まれていても、サージ吸収回路40Aの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路40Aに接続される伝送線路の特性インピーダンスZoに整合させることができる。
このように、変形例1のサージ吸収回路40Aによれば、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44との電磁気的結合によって、第1のサージ吸収素子46の浮遊誘導成分をキャンセルする負性誘導成分を得ることができる。更に、入力インピーダンスが、伝送線路の特性インピーダンスと整合し、且つ広帯域にわたって一定に維持されるように、第1のインダクタ42と第2のインダクタ44とのそれぞれのインダクタンス、結合係数、および第1の容量素子56の容量値を、設定することが可能である。故に、サージ吸収回路40に代えて変形例1のサージ吸収回路40Aを備える本実施の形態のコネクタ10は、送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
[第1の実施の形態のコネクタに適用可能なサージ吸収回路の変形例2]
図7は、第1の実施の形態のコネクタに適用可能な変形例2に係るサージ吸収回路を示す回路図である。図7に示すサージ吸収回路40Bは、第1のインダクタと第2のインダクタとが電磁気的に結合していない点において、変形例1のサージ吸収回路40Aと異なっている。サージ吸収回路40Bの他の構成は、変形例1のサージ吸収回路40Aと同一である。
サージ吸収回路40Bは、サージ吸収回路40Aにおいて、電磁気的に結合している第1のインダクタ42および第2のインダクタ44の代わりに、それぞれ、電磁気的に結合していない第1のインダクタ60および第2のインダクタ62を備えている。第1のインダクタ60と第2のインダクタ62との結合係数の値は、0.01以下であることが好ましい。
ここで、第1のインダクタ60のインダクタンスおよび第2のインダクタ62のインダクタンスをLxとし、第1の容量素子56の容量値をCxとする。第1のサージ吸収素子46は小信号の高速信号に対して浮遊容量素子(浮遊容量成分)54のみで近似し、この浮遊容量素子54の容量値をCzとする。これより、図7に示すサージ吸収回路40Bの入力インピーダンスは、下式(7)で表される。
上記(7)式によれば、下式(8)を満たすようにCxを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
更に、下記(8)式を満たすようにCxを設定し、下式(9)を満たすようにLxを設定すれば、サージ吸収回路40Bの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路40Bに接続される伝送線路の特性インピーダンスZoに整合させることができる。
このように、変形例2のサージ吸収回路40Bによれば、静電サージ低減に優れた第1のサージ吸収素子46を有しているので、静電サージを低減することができる。また、変形例2のサージ吸収回路40Bによれば、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1の容量素子56の容量値を設定することが可能である。更に、変形例2のサージ吸収回路40Bによれば、当該サージ吸収回路40Bの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子46の浮遊容量成分に対して第1のインダクタ60のインダクタンスと第2のインダクタ62のインダクタンスとを設定することが可能である。したがって、変形例2のサージ吸収回路40Bは、静電サージ低減に優れており、且つ、広帯域にわたってインピーダンス整合を可能とする。故に、サージ吸収回路40に代えて変形例2のサージ吸収回路40Bを備える本実施の形態のコネクタ10は、送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
[第2の実施の形態]
図8は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタを示す一部破断斜視図である。コネクタ10Aは、基板14の代わりに基板14Aを備えており、積層サージ吸収部品26に代えて積層サージ吸収部品26Aを備えている点において第1の実施の形態のコネクタ10と異なっている。コネクタ10Aの他の構成は、コネクタ10と同様である。コネクタ10Aは、例えばUSBコネクタである。
基板14Aは、外枠12の内面12aに固定されている。基板14Aの一方の主面14aは、外枠12の内面12aと対向する内面12bと離間している。この基板14Aと外枠12の内面12bとの間には、コネクタ10Aに接続される外部コネクタが挿入される。基板14Aの主面14a上には、外部コネクタと接続されるために、第1の電源配線パターン15、第2の電源配線パターン(例えば、接地パターン)16、第1の信号配線パターン17、第2の信号配線パターン18、第3の信号配線ライン66、第4の信号配線ライン67、および、グランドパターン68が設けられている。
第1の電源配線パターン15、第2の電源配線パターン(例えば、接地パターン)16、第1の信号配線パターン17、および、第2の信号配線パターン18は、コネクタ10における対応の配線パターンと同様の導体パターンである。したがって、第1の信号配線パターン17の軸線X方向における一方側の端部は、第1の端子20として用いられ、第2の信号配線パターン18の軸線X方向における他方側の端部は、第2の端子22として用いられる。
第3の信号配線パターン66は、第1の信号配線パターン17と第2の電源パ配線ターン16との間に設けられており、第4の信号配線パターン67は、第2の信号配線パターン18と第2の電源配線パターン16との間に設けられている。第3の信号配線パターン66と第4の信号配線パターン67とは、軸線X方向に延びる導体パターンであり、軸線X方向に順に設けられている。第3の信号配線パターン66における軸線X方向における一方側の端部は、第3の端子70として用いられる。第4の信号配線パターン67における軸線X方向における他方側の端部は、第4の端子72として用いられる。
第3の信号配線パターン66の他端部と第1の信号配線パターン17の他端部との間、および、第4の信号配線パターン67と第2の信号配線パターン18との間には、グランドパターン68が設けられている。グランドパターン68は、軸線X方向に延びる導体パターンである。グランドパターン68は、グランド端子24として用いられる。グランドパターン68は、例えば、基板14Aの主面14a上に設けられた導体パターンを介して、接地パターンとなっている第2の電源配線パターン16に接続されている。なお、グランドパターン68は、ビアおよび基板14Aの主面14aに対向する主面上に設けられた導体パターンを介して、接地パターンとなっている第2の電源配線パターン16に接続されていても良い。さらにグランドパターン68は、ビアおよび基板14Aの主面14aに対向する主面上に設けられた導体パターンを介して、他の接地パターンに接続されて接地されていても良い。
第1の信号配線パターン17と第2の信号配線パターン18との間、および、第3の信号配線パターン66と第4の信号配線パターン67との間には、積層サージ吸収部品26Aが搭載されている。
積層サージ吸収部品26Aは、略直方体の積層体74の表面に、第1の電極76、第2の電極77、第3の電極78、第4の電極79、第5の電極80、81、第6の電極82、第7の電極83を有している。第1の電極76は第1の信号配線パターン17に接続されており、第2の電極77は第2の信号配線パターン18に接続されている。第3の電極78は第3の信号配線パターン66に接続されており、第4の電極79は第4の信号配線パターン67に接続されている。第5の電極80、81は、グランドパターン68に接続されている。第6の電極82および第7の電極83は、それぞれ積層体74内部に形成された導体パターンを接続するために設けられている。積層サージ吸収部品26Aは、積層体74内部に形成された導体パターンによってサージ吸収回路を構成している。
このように、コネクタ10Aは、第1の端子20と、第2の端子22と、第3の端子70と、第4の端子72と、グランド端子24と、サージ吸収回路とを備えており、第1の端子20および第3の端子70に接続される機器や外部コネクタと、第2の端子22および第4の端子72に接続される機器や外部コネクタとを接続することが可能となっている。
次に、第2の実施の形態のサージ吸収回路について説明する。図9は、第2の実施の形態のコネクタに適用可能なサージ吸収回路を示す回路図である。サージ吸収回路86は、第1の入出力端子86a、第2の入出力端子86b、第3の入出力端子86c、第4の入出力端子86d、第5の入出力端子86e、第1のインダクタ88、第2のインダクタ90、第1のサージ吸収素子92、第3のインダクタ94、第4のインダクタ96、および、第2のサージ吸収素子98を有している。
第1の入出力端子86aは、積層サージ吸収部品26Aの第1の電極76であり、第2の入出力端子86bは、積層サージ吸収部品26Aの第2の電極77である。第3の入出力端子86cは、積層サージ吸収部品26Aの第3の電極78であり、第4の入出力端子86dは、積層サージ吸収部品26Aの第4の電極79である。第5の入出力端子86eは、積層サージ吸収部品26Aの第5の電極80、81である。
第1のインダクタ88の一端は第1の入出力端子86aに接続されており、第1のインダクタ88の他端はノードN5に接続されている。ノードN5には第2のインダクタ90の一端が更に接続されており、この第2のインダクタ90の他端は第2の入出力端子86bに接続されている。これらの第1のインダクタ88と第2のインダクタ90とは電磁気的に結合している。具体的には、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90とは、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合している。すなわち、第1の入出力端子86aから第2の入出力端子86bに向かう方向又はその逆方向に電流が流れている場合に、その電流によって第1のインダクタ88及び第2のインダクタ90に生じる磁界の向きが同一となり、その結果、互いのインダクタンスが増加するように結合している。第1のインダクタ88と第2のインダクタ90との結合係数は、0.01より大きく1以下であることが好ましい。
上記のノードN5には、第1のサージ吸収素子92の一端が更に接続されている。第1のサージ吸収素子92の他端はノードN6に接続されており、ノードN6には更に第5の入出力端子86eが接続されている。第1のサージ吸収素子92は、第1の実施の形態の第1のサージ吸収素子46と同様に、ZnOなどの金属酸化物からなるバリスタである。
一方、第3のインダクタ94の一端は第3の入出力端子86cに接続されており、第3のインダクタ94の他端はノードN7に接続されている。ノードN7には第4のインダクタ96の一端が更に接続されており、この第4のインダクタ96の他端は第4の入出力端子86dに接続されている。これらの第3のインダクタ94と第4のインダクタ96とは電磁気的に結合している。具体的には、第3のインダクタ94と第4のインダクタ96とは、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合している。すなわち、第3の入出力端子86cから第4の入出力端子86dに向かう方向又はその逆方向に電流が流れている場合に、その電流によって第3のインダクタ94及び第4のインダクタ96に生じる磁界の向きが同一となり、その結果、互いのインダクタンスが増加するように結合している。第3のインダクタ94と第2のインダクタ96との結合係数は、0.01より大きく1以下であることが好ましい。
上記のノードN7には、第2のサージ吸収素子98の一端が更に接続されている。第2のサージ吸収素子98の他端はノードN6に接続されている。第2のサージ吸収素子98は、第1の実施の形態の第1のサージ吸収素子46と同様に、ZnOなどの金属酸化物からなるバリスタである。
したがって、第1の入出力端子86aおよび第3の入出力端子86cに電圧レベルが小さい差動信号が入力されるときには、第1のサージ吸収素子92の端子間の抵抗値および第2のサージ吸収素子98の端子間の抵抗値が大きいので、サージ吸収回路86は、差動信号を第2の入出力端子86bおよび第4の入出力端子86dに出力する。同様に、第2の入出力端子86bおよび第4の入出力端子86dに電圧レベルが小さい差動信号が入力されるときには、第1のサージ吸収素子92の端子間の抵抗値および第2のサージ吸収素子98の端子間の抵抗値が大きいので、サージ吸収回路86は、差動信号を第1の入出力端子86aおよび第3の入出力端子86cに出力する。
一方、第1の入出力端子86aに静電サージが入力されると、第1のサージ吸収素子92によって第1の入出力端子86aと第5の入出力端子86eとの端子間の抵抗値が小さくなり、サージ吸収回路86は、第1の入出力端子86aと第5の入出力端子86eとの端子間に電流を流し、ノードN5の電圧をクランプする。また、第3の入出力端子86cに静電サージが入力されると、第2のサージ吸収素子98によって第3の入出力端子86cと第5の入出力端子86eとの端子間の抵抗値が小さくなり、サージ吸収回路86は、第3の入出力端子86cと第5の入出力端子86eとの端子間に電流を流し、ノードN7の電圧をクランプする。このようにして、サージ吸収回路86は、第1の入出力端子86aまたは第3の入出力端子86cに静電サージが入力されても、第2の入出力端子86bまたは第4の入出力端子86dに出力される電圧を低減する。
同様に、第2の入出力端子86bに静電サージが入力されると、第1のサージ吸収素子92によって第2の入出力端子86bと第5の入出力端子86eとの端子間の抵抗値が小さくなり、サージ吸収回路86は、第2の入出力端子86bと第5の入出力端子86eとの端子間に電流を流し、ノードN5の電圧をクランプする。また、第4の入出力端子86dに静電サージが入力されると、第2のサージ吸収素子98によって第4の入出力端子86dと第5の入出力端子86eとの端子間の抵抗値が小さくなり、サージ吸収回路86は、第4の入出力端子86dと第5の入出力端子86eとの端子間に電流を流し、ノードN7の電圧をクランプする。このようにして、サージ吸収回路86は、第2の入出力端子86bまたは第4の入出力端子86dに静電サージが入力されても、第1の入出力端子86aまたは第3の入出力端子86cに出力される電圧を低減する。
図10は、図9に示すサージ吸収回路を等価的に示す回路図である。第1のインダクタ88および第2のインダクタ90は、電磁気的に結合しているので、2つのインダクタ100、102と負性インダクタ(負性誘導素子)104とで等価的に表わすことができる。同様に、第3のインダクタ94および第4のインダクタ96も、電磁気的に結合しているので、2つのインダクタ106、108と負性インダクタ(負性誘導素子)110とで等価的に表わすことができる。また、上記したように、第1のサージ吸収素子92は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)112のみで近似することができる。同様に、第2のサージ吸収素子98は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)114のみで近似することができる。
図10に示す等価回路では、インダクタ100の一端は第1の入出力端子86aに接続されており、インダクタ100の他端はノードN8に接続されている。ノードN8には更にインダクタ102の一端も接続されており、インダクタ102の他端は第2の入出力端子86bに接続されている。また、ノードN8には負性インダクタ104の一端も接続されており、負性インダクタ104の他端は浮遊容量素子112の一端に接続されている。浮遊容量素子112の他端はノードN6に接続されており、ノードN6には第5の入出力端子86eも更に接続されている。
一方、インダクタ106の一端は第3の入出力端子86cに接続されており、インダクタ106の他端はノードN9に接続されている。ノードN9には更にインダクタ108の一端も接続されており、インダクタ108の他端は第4の入出力端子86dに接続されている。また、ノードN9には負性インダクタ110の一端も接続されており、負性インダクタ110の他端は浮遊容量素子114の一端に接続されている。浮遊容量素子114の他端はノードN6に接続されている。
ここで、第1のインダクタ88、第2のインダクタ90、第3のインダクタ94、および、第4のインダクタ96のそれぞれのインピーダンスをLzとし、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90との結合係数の値、および、第3のインダクタ94と第4のインダクタ96との結合係数の値をKzとすると、インダクタ100、インダクタ102、インダクタ106、およびインダクタ108のそれぞれのインダクタンスは「(1+Kz)・Lz」となり、負性インダクタ104および負性インダクタ110それぞれのインダクタンスは「−Kz・Lz」となる。また、浮遊容量素子112および浮遊容量素子114それぞれの容量値をCzとする。これより、図10に示すサージ吸収回路86の第1の入出力端子86aと第3の入出力端子86cとの端子間の入力インピーダンスは、下式(10)で表される。なお、サージ吸収回路86の第2の入出力端子86aと第4の入出力端子86dとの端子間の入力インピーダンスも下記(10)式で表される。
上記(10)式によれば、Kz=±1とすると、右辺のωを含む第2項が0となり、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。ただし、Kz=−1の場合にはZin=0となるので適当でない。
更に、Kz=1とし、下式(11)を満たすようにLzを設定すれば、サージ吸収回路86の入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86のそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
このように、本実施の形態のサージ吸収回路86によれば、静電サージ低減に優れた第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98を有しているので、静電サージを低減することができる。また、本実施の形態のサージ吸収回路86によれば、電磁気的に結合された第1のインダクタ88と第2のインダクタ90とを有しており、電磁気的に結合された第3のインダクタ94と第4のインダクタ96とを有しているので、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90との結合係数および第3のインダクタ94と第4のインダクタ96との結合係数を設定することが可能である。更に、本実施の形態のサージ吸収回路86によれば、当該サージ吸収回路86の入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子92の浮遊容量成分に対して第1のインダクタ88のインダクタンスと第2のインダクタ90のインダクタンスとを設定することが可能であり、第2のサージ吸収素子98の浮遊容量成分に対して第3のインダクタ94のインダクタンスと第4のインダクタ96のインダクタンスとを設定することが可能である。したがって、本実施の形態のサージ吸収回路86は、静電サージ低減に優れており、且つ、広帯域にわたってインピーダンス整合を可能とする。故に、このサージ吸収回路86を備える本実施の形態のコネクタ10Aは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
[第2の実施の形態のコネクタに適用可能なサージ吸収回路の変形例1]
図11は、第2の実施の形態のコネクタに適用可能な変形例1に係るサージ吸収回路を示す回路図である。図11に示すサージ吸収回路86Aは、サージ吸収回路86と同様の要素に加えて、更に第1の容量素子116および第2の容量素子118を有している。
第1の容量素子116の一端は、第1の入出力端子86aと第1のインダクタ88の一端とを接続するためのノードN10に接続されている。第1の容量素子116の他端は、第2の入出力端子86bと第2のインダクタ90の他端とを接続するためのノードN11に接続されている。
第2の容量素子118の一端は、第3の入出力端子86cと第3のインダクタ94の一端とを接続するためのノードN12に接続されている。第2の容量素子118の他端は、第4の入出力端子86dと第4のインダクタ96の他端とを接続するためのノードN13に接続されている。
図12は、図11に示すサージ吸収回路を等価的に表す回路図である。サージ吸収回路86と同様に、電磁気的に結合している第1のインダクタ88および第2のインダクタ90は、2つのインダクタ100、102と負性インダクタ(負性誘導素子)104とで表すことができる。電磁気的に結合している第3のインダクタ94および第4のインダクタ96は、2つのインダクタ106、108と負性インダクタ(負性誘導素子)110とで表すことができる。また、第1のサージ吸収素子92は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)112のみで近似することができ、第2のサージ吸収素子98は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)114のみで近似することができる。
第1のインダクタ88、第2のインダクタ90、第3のインダクタ94、および、第4のインダクタ96それぞれのインピーダンスをLzとし、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90との結合係数の値、および、第3のインダクタ94と第4のインダクタ96との結合係数の値をKzとすると、インダクタ100、インダクタ102、インダクタ106、およびインダクタ108それぞれのインダクタンスは「(1+Kz)・Lz」となり、負性インダクタ104および負性インダクタ110それぞれのインダクタンスは「−Kz・Lz」となる。また、第1の容量素子116および第2の容量素子118それぞれの容量値をCsとし、浮遊容量素子112および浮遊容量素子114それぞれの容量値をCzとする。これより、図12に示すサージ吸収回路86Aの第1の入出力端子86aと第3の入出力端子86cとの端子間の入力インピーダンスは、下式(12)で表される。なお、サージ吸収回路86Aの第2の入出力端子86bと第4の入出力端子86dとの端子間の入力インピーダンスも下記(12)式で表される。
上記(12)式によれば、下式(13)を満たすようにCsを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
更に、下記(13)式を満たすようにCsを設定し、下式(14)を満たすようにLzを設定すれば、サージ吸収回路86の入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86のそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
上記(13)式および(14)式からも分かるように、変形例1のサージ吸収回路86Aによれば、Kzを任意に選ぶことができる。すなわち、変形例1のサージ吸収回路86Aでは、Kzを変更することによってCsおよびLzを変更することができるので、サージ吸収回路86よりも柔軟性の高い回路設計が可能となる。
このように、変形例1のサージ吸収回路86Aによれば、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90との結合係数、第3のインダクタ94と第4のインダクタ96との結合係数、第1の容量素子116の容量値、および、第2の容量素子118の容量値を設定することが可能である。更に、変形例1のサージ吸収回路86Aによれば、当該サージ吸収回路86Aの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子92の浮遊容量成分および第2のサージ吸収素子98の浮遊容量成分に対して、第1のインダクタ88、第2のインダクタ90、第3のインダクタ94、および、第4のインダクタ96それぞれのインダクタンス、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90との結合係数、および、第3のインダクタ94と第4のインダクタ96との結合係数を設定することが可能である。故に、サージ吸収回路86に代えて変形例1のサージ吸収回路86Aを備える本実施の形態のコネクタ10Aは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
上記の説明では、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98をそれぞれ浮遊容量素子112、浮遊容量素子114のみで近似したが、実際には、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98には、図6に示すように、浮遊誘導素子(浮遊誘導成分)も含まれている。この浮遊誘導素子もサージ吸収回路86の入力インピーダンスを周波数に対して変動させる原因となる。すなわち、この浮遊誘導素子も高速な送受信信号の劣化の原因となる。
しかしながら、変形例1のサージ吸収回路86Aによれば、電磁気的に結合されている第1のインダクタ88および第2のインダクタ90が負性インダクタ104を有するので、この負性インダクタ104によって第1のサージ吸収素子92に含まれる浮遊誘導素子をキャンセルすることができる。また、変形例1のサージ吸収回路86Aによれば、電磁気的に結合されている第3のインダクタ94および第4のインダクタ96が負性インダクタ110を有するので、この負性インダクタ110によって第2のサージ吸収素子98に含まれる浮遊誘導素子をキャンセルすることができる。ただし、見かけ上、結合が小さくなった状態と同じになるため、KzとLzはそのままで、Csを下記(15)式とする。
ただし、Leは浮遊誘導素子のインダクタンスであり、KzLz≧Leである。上記(15)式を満たすようにCsを設定することによって、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98に浮遊容量素子と浮遊誘導素子とが含まれていても、サージ吸収回路86Aの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86のそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
このように、変形例1のサージ吸収回路86Aによれば、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90との電磁気的結合によって、第1のサージ吸収素子92の浮遊誘導成分をキャンセルする負性誘導成分を得ることができ、第3のインダクタ94と第4のインダクタ96との電磁気的結合によって、第2のサージ吸収素子98の浮遊誘導成分をキャンセルする負性誘導成分を得ることができる。更に、入力インピーダンスが、伝送線路の特性インピーダンスと整合し、且つ広帯域にわたって一定に維持されるように、第1のインダクタ88と第2のインダクタ90とのそれぞれのインダクタンス、結合係数、第3のインダクタ94と第4のインダクタ96とのそれぞれのインダクタンス、結合係数、第1の容量素子116および第2の容量素子118それぞれの容量値を、設定することが可能である。故に、サージ吸収回路86に代えて変形例1のサージ吸収回路86Aを備える本実施の形態のコネクタは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
[第2の実施の形態のコネクタに適用可能なサージ吸収回路の変形例2]
図13は、第2の実施の形態のコネクタに適用可能な変形例2に係るサージ吸収回路を示す回路図である。図13に示すサージ吸収回路86Bは、第1のインダクタ88、第2のインダクタ90、第3のインダクタ94および第4のインダクタ96のそれぞれに代えて、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126を有している点において、サージ吸収回路86と異なっている。第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126は、互いに電磁気的に結合している。
第1のインダクタ120の一端は第1の入出力端子86aに接続されており、第1のインダクタ120の他端はノードN5に接続されている。ノードN5には第2のインダクタ122の一端が更に接続されており、この第2のインダクタ120の他端は第2の入出力端子86bに接続されている。
一方、第3のインダクタ124の一端は第3の入出力端子86cに接続されており、第3のインダクタ124の他端はノードN7に接続されている。ノードN7には第4のインダクタ126の一端が更に接続されており、この第4のインダクタ126の他端は第4の入出力端子86dに接続されている。
第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126は互いに電磁気的に結合している。具体的には、第1のインダクタ120と第2のインダクタ122とは、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合しており、第3のインダクタ124と第4のインダクタ126とは、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合している。また、第1のインダクタ120と第3のインダクタ124とは、それぞれに差動信号が印加された場合に、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合しており、第2のインダクタ122と第4のインダクタ126とは、それぞれに差動信号が印加された場合に、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合している。第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126の互いの結合係数は、0.01より大きく1以下であることが好ましい。
図14は、図13に示すサージ吸収回路を等価的に表す回路図である。サージ吸収回路86と同様に、電磁気的に結合している第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126は、インダクタ128、130、132、134と負性インダクタ(負性誘導素子)136、138とで表すことができる。また、第1のサージ吸収素子92は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)112のみで近似することができ、第2のサージ吸収素子98は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)114のみで近似することができる。
図14に示す等価回路では、インダクタ128の一端は第1の入出力端子86aに接続されており、インダクタ128の他端はノードN8に接続されている。ノードN8には更にインダクタ130の一端も接続されており、インダクタ130の他端は第2の入出力端子86bに接続されている。また、ノードN8には負性インダクタ136の一端も接続されており、負性インダクタ136の他端は浮遊容量素子112の一端に接続されている。
また、インダクタ132の一端は第3の入出力端子86cに接続されており、インダクタ132の他端はノードN9に接続されている。ノードN9には更にインダクタ134の一端も接続されており、インダクタ134の他端は第4の入出力端子86dに接続されている。また、ノードN9には負性インダクタ138の一端も接続されており、負性インダクタ138の他端は浮遊容量素子114の一端に接続されている。
第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126それぞれのインピーダンスをLzとし、第1のインダクタ120と第2のインダクタ122との結合係数の値、および、第3のインダクタ124と第4のインダクタ126との結合係数の値をKzとし、第1のインダクタ120と第3のインダクタ124との結合係数の値、および、第2のインダクタ122と第4のインダクタ126との結合係数の値をKcとすると、インダクタ128、インダクタ130、インダクタ132、およびインダクタ134それぞれのインダクタンスは「(1+Kz+Kc)・Lz」となり、負性インダクタ136および負性インダクタ138それぞれのインダクタンスは「−Kz・Lz」となる。また、浮遊容量素子112および浮遊容量素子114それぞれの容量値をCzとする。これより、図14に示すサージ吸収回路86Bの第1の入出力端子86aと第3の入出力端子86cとの端子間の入力インピーダンスは、下式(16)で表される。なお、サージ吸収回路86Bの第2の入出力端子86bと第4の入出力端子86dとの端子間の入力インピーダンスも下記(16)式で表される。
上記(16)式によれば、下式(17)を満たすようにKzおよびKcを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
更に、下記(17)式を満たすようにKzおよびKcを設定し、下式(18)を満たすようにLzを設定すれば、サージ吸収回路86Bの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86Bのそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
上記(17)式および(18)式からも分かるように、変形例2のサージ吸収回路86Bによれば、KzおよびKcを任意に選ぶことができる。すなわち、変形例2のサージ吸収回路86Bでは、KzおよびKcを変更することによってLzを変更することができるので、サージ吸収回路86よりも柔軟性の高い回路設計が可能となる。
このように、変形例2のサージ吸収回路86Bによれば、静電サージ低減に優れた第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98を有しているので、静電サージを低減することができる。また、変形例2のサージ吸収回路86Bによれば、電磁気的に結合された第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126を有しているので、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126のそれぞれの結合係数を設定することが可能である。更に、変形例2のサージ吸収回路86Bによれば、当該サージ吸収回路86Bの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98のそれぞれの浮遊容量成分に対して、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126とのそれぞれのインダクタンス、結合係数を設定することが可能である。したがって、変形例2のサージ吸収回路86Bは、静電サージ低減に優れており、且つ、広帯域にわたってインピーダンス整合を可能とする。故に、サージ吸収回路86の代わりに変形例2のサージ吸収回路86Bを備える本実施の形態のコネクタ10Aは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
上記の説明では、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98をそれぞれ浮遊容量素子112、浮遊容量素子114のみで近似したが、実際には、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98には、図6に示すように、浮遊誘導素子(浮遊誘導成分)も含まれている。この浮遊誘導素子のインダクタンスをLeとすると、図13に示すサージ吸収回路86Bの第1の入出力端子86aと第3の入出力端子86cとの端子間の入力インピーダンスは、下式(19)で表される。
上記(19)式によれば、下式(20)を満たすようにKz、Kc、およびLzを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
上記(20)式を満たすようにKz、Kc、およびLzを設定することによって、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98に浮遊容量素子と浮遊誘導素子とが含まれていても、サージ吸収回路86Bの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86Bのそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
このように、変形例2のサージ吸収回路86Bによれば、当該サージ吸収回路86Bの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させ、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98のそれぞれの浮遊容量成分および浮遊誘導成分に対して、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126とのそれぞれのインダクタンス、結合係数を設定することが可能である。
[第2の実施の形態に係るコネクタに適用可能なサージ吸収回路の変形例3]
図15は、第2の実施の形態のコネクタに適用可能な変形例3に係るサージ吸収回路を示す回路図である。図15に示すサージ吸収回路86Cは、変形例2のサージ吸収回路86Bと同様の要素に加えて、更に第1の容量素子116および第2の容量素子118を有している。
第1の容量素子116の一端は、第1の入出力端子86aと第1のインダクタ120の一端とを接続するためのノードN10に接続されている。第1の容量素子116の他端は、第2の入出力端子86bと第2のインダクタ122の他端とを接続するためのノードN11に接続されている。
第2の容量素子118の一端は、第3の入出力端子86cと第3のインダクタ124の一端とを接続するためのノードN12に接続されている。第2の容量素子118の他端は、第4の入出力端子86dと第4のインダクタ126の他端とを接続するためのノードN13に接続されている。
図16は、図15に示すサージ吸収回路を等価的に表す回路図である。サージ吸収回路86Bと同様に、電磁気的に結合している第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126は、インダクタ128、130、132、134と負性インダクタ(負性誘導素子)136、138とで表すことができる。また、第1のサージ吸収素子92は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)112のみで近似することができ、第2のサージ吸収素子98は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)114のみで近似することができる。
第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126それぞれのインピーダンスをLzとし、第1のインダクタ120と第2のインダクタ122との結合係数の値、および、第3のインダクタ124と第4のインダクタ126との結合係数の値をKzとし、第1のインダクタ120と第3のインダクタ124との結合係数の値、および、第2のインダクタ122と第4のインダクタ126との結合係数の値をKcとすると、インダクタ128、インダクタ130、インダクタ132、およびインダクタ134それぞれのインダクタンスは「(1+Kz+Kc)・Lz」となり、負性インダクタ136および負性インダクタ138それぞれのインダクタンスは「−Kz・Lz」となる。また、第1の容量素子116および第2の容量素子118それぞれの容量値をCsとし、浮遊容量素子112および浮遊容量素子114それぞれの容量値をCzとする。これより、図16に示すサージ吸収回路86Cの第1の入出力端子86aと第3の入出力端子86cとの端子間の入力インピーダンスは、下式(21)で表される。なお、サージ吸収回路86Cの第2の入出力端子86bと第4の入出力端子86dとの端子間の入力インピーダンスも下記(21)式で表される。
上記(21)式によれば、下式(22)を満たすようにCsを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
更に、下記(22)式を満たすようにCsを設定し、下式(23)を満たすようにLzを設定すれば、サージ吸収回路86Cの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86Cのそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
上記(22)式および(23)式からも分かるように、変形例3のサージ吸収回路86Cによれば、KzおよびKcを任意に選ぶことができる。すなわち、変形例3のサージ吸収回路86Cでは、KzおよびKcを変更することによってCsおよびLzを変更することができるので、サージ吸収回路86よりも柔軟性の高い回路設計が可能となる。
このように、変形例3のサージ吸収回路86Cによれば、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126との結合係数と、第1の容量素子116および第2の容量素子118それぞれの容量値とを設定することが可能である。更に、変形例3のサージ吸収回路86Cによれば、当該サージ吸収回路86Cの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98の浮遊容量成分に対して、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126それぞれのインダクタンス、結合係数を設定することが可能である。故に、サージ吸収回路86の代わりに変形例3のサージ吸収回路86Cを備える本実施の形態のコネクタは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
上記の説明では、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98をそれぞれ浮遊容量素子112、浮遊容量素子114のみで近似したが、実際には、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98には、図6に示すように、浮遊誘導素子(浮遊誘導成分)も含まれている。
しかしながら、変形例3のサージ吸収回路86Cによれば、電磁気的に結合されている第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126が負性インダクタ136、138を有するので、負性インダクタ136によって第1のサージ吸収素子92に含まれる浮遊誘導素子をキャンセルすることができ、負性インダクタ138によって第2のサージ吸収素子98に含まれる浮遊誘導素子をキャンセルすることができる。ただし、見かけ上、結合が小さくなった状態と同じになるため、KzとLzはそのままで、Csを下記(24)式とする。
ただし、Leは浮遊誘導素子のインダクタンスであり、KzLz≧Leである。上記(24)式を満たすようにCsを設定することによって、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98に浮遊容量素子と浮遊誘導素子とが含まれていても、サージ吸収回路86Cの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86Cのそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
このように、変形例3のサージ吸収回路86Cによれば、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126の電磁気的結合によって、第1のサージ吸収素子92の浮遊誘導成分および第2のサージ吸収素子98の浮遊誘導成分をキャンセルする負性誘導成分を得ることができる。更に、入力インピーダンスが、伝送線路の特性インピーダンスと整合し、且つ広帯域にわたって一定に維持されるように、第1のインダクタ120、第2のインダクタ122、第3のインダクタ124、および、第4のインダクタ126それぞれのインダクタンス、結合係数、および、第1の容量素子116および第2の容量素子118それぞれの容量値を、設定することが可能である。故に、サージ吸収回路86の代わりに変形例3のサージ吸収回路86Cを備える本実施の形態のコネクタ10Aは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
[第2の実施の形態のコネクタに適用可能なサージ吸収回路の変形例4]
図17は、第2の実施の形態のコネクタに適用可能な変形例4に係るサージ吸収回路を示す回路図である。図17に示すサージ吸収回路86Dは、第1のインダクタ88、第2のインダクタ90と、第3のインダクタ94、および第4のインダクタ96それぞれに代えて、第1のインダクタ140、第2のインダクタ142、第3のインダクタ144と、および第4のインダクタ146を有している点において、サージ吸収回路86Aと異なっている。サージ吸収回路86Dにおいては、第1のインダクタ140と第3のインダクタ144とが電磁気的に結合しており、第2のインダクタ142と第4のインダクタ146とが電磁気的に結合している。
第1のインダクタ140の一端は第1の入出力端子86aに接続されており、第1のインダクタ140の他端はノードN5に接続されている。ノードN5には第2のインダクタ142の一端が更に接続されており、この第2のインダクタ142の他端は第2の入出力端子86bに接続されている。
一方、第3のインダクタ144の一端は第1の入出力端子86cに接続されており、第3のインダクタ144の他端はノードN7に接続されている。ノードN7には第4のインダクタ146の一端が更に接続されており、この第4のインダクタ146の他端は第2の入出力端子86dに接続されている。
第1のインダクタ140と第3のインダクタ144とは電磁気的に結合しており、第2のインダクタ142と第4のインダクタ146とは電磁気的に結合している。具体的には、第1のインダクタ140と第3のインダクタ144とは、それぞれに差動信号が印加された場合に、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合しており、第2のインダクタ142と第4のインダクタ146とは、それぞれに差動信号が印加された場合に、互いにインダクタンスを増加させるように磁気結合している。第1のインダクタ140と第3のインダクタ144との結合係数、および、第2のインダクタ142と第4のインダクタ146との結合係数は、0.01より大きく1以下であることが好ましい。
第1のインダクタ140、第2のインダクタ142、第3のインダクタ144、および、第4のインダクタ146それぞれのインピーダンスをLzとし、第1のインダクタ140と第3のインダクタ144との結合係数の値、および、第2のインダクタ142と第4のインダクタ146との結合係数の値をKcとする。また、第1の容量素子116および第2の容量素子118それぞれの容量値をCsとする。第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98は、小信号の高速信号に対しては浮遊容量素子(浮遊容量成分)のみで近似することができ、その浮遊容量素子の容量値をCzとする。これより、図17に示すサージ吸収回路86Dの第1の入出力端子86aと第3の入出力端子86cとの端子間の入力インピーダンスは、下式(25)で表される。なお、サージ吸収回路86Dの第2の入出力端子86bと第4の入出力端子86dとの端子間の入力インピーダンスも下記(25)式で表される。
上記(25)式によれば、下式(26)を満たすようにCsを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
更に、下記(26)式を満たすようにCsを設定し、下式(27)を満たすようにLzを設定すれば、サージ吸収回路86Dの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86Dのそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
上記(27)式からも分かるように、変形例4のサージ吸収回路86Dによれば、Kcを任意に選ぶことができる。すなわち、変形例4のサージ吸収回路86Dでは、Kcを変更することによってLzを変更することができるので、サージ吸収回路86よりも柔軟性の高い回路設計が可能となる。
このように、変形例4のサージ吸収回路86Dによれば、静電サージ低減に優れた第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98を有しているので、静電サージを低減することができる。また、変形例4のサージ吸収回路86Dによれば、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1の容量素子116および第2の容量素子118それぞれの容量値を設定することが可能である。更に、変形例4のサージ吸収回路86Dによれば、電磁気的に結合された第1のインダクタ140と第3のインダクタ144とを有しており、電磁気的に結合された第2のインダクタ142と第4のインダクタ146とを有しているので、当該サージ吸収回路86Dの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収素子98それぞれの浮遊容量成分に対して、第1のインダクタ140、第2のインダクタ142、第3のインダクタ144、および、第4のインダクタ146それぞれのインダクタンス、第1のインダクタ140と第3のインダクタ144との結合係数、第2のインダクタ142と第4のインダクタ146との結合係数を設定することが可能である。したがって、変形例4のサージ吸収回路86Dは、静電サージ低減に優れており、且つ、広帯域にわたってインピーダンス整合を可能とする。故に、サージ吸収回路86の代わりに変形例4のサージ吸収回路86Dを備える本実施の形態のコネクタ10Aは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
[第2の実施の形態のコネクタに適用可能なサージ吸収回路の変形例5]
図18は、第2の実施の形態のコネクタに適用可能な変形例5に係るサージ吸収回路を示す回路図である。図18に示すサージ吸収回路86Eは、第1のインダクタ、第2のインダクタ、第3のインダクタ、及び第4のインダクタが互いに電磁気的に結合されていない点において、サージ吸収回路40Aと異なっている。サージ吸収回路86Eの他の構成は、変形例1のサージ吸収回路86Aと同一である。
サージ吸収回路86Eにおいては、第1のインダクタ148と第2のインダクタ150との結合係数の値は、0.01以下であることが好ましく、第3のインダクタ152と第4のインダクタ154との結合係数の値は、0.01以下であることが好ましい。
ここで、第1のインダクタ148、第2のインダクタ150、第3のインダクタ152、および、第4のインダクタ154それぞれのインダクタンスをLxとし、第1の容量素子116および第2の容量素子118の容量値をCxとする。第1のサージ吸収素子92は小信号の高速信号に対して浮遊容量素子(浮遊容量成分)のみで近似し、この浮遊容量素子の容量値をCzとする。これより、図18に示すサージ吸収回路86Eの第1の入出力端子86aと第3の入出力端子86cとの端子間の入力インピーダンスは、下式(28)で表される。なお、サージ吸収回路86Eの第2の入出力端子86bと第4の入出力端子86dとの端子間の入力インピーダンスも下記(28)式で表される。
上記(28)式によれば、下式(29)を満たすようにCsを設定すれば、入力インピーダンスZinは周波数に依存せず一定になることがわかる。
更に、下記(29)式を満たすようにCxを設定し、下式(30)を満たすようにLxを設定すれば、サージ吸収回路86Eの入力インピーダンスZinを、サージ吸収回路86Eのそれぞれの入出力端子に接続される伝送線路の特性インピーダンスZoの2倍のインピーダンスに整合させることができる。
このように、変形例5のサージ吸収回路86Eによれば、静電サージ低減に優れた第1のサージ吸収素子92および第2のサージ吸収回路98を有しているので、静電サージを低減することができる。また、変形例5のサージ吸収回路86Eによれば、広帯域にわたって入力インピーダンスを一定に維持するように、第1の容量素子116の容量値および第2の容量素子118の容量値を設定することが可能である。更に、変形例5のサージ吸収回路86Eによれば、当該サージ吸収回路86Eの入力インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスとを整合させるように、第1のサージ吸収素子92の浮遊容量成分に対して第1のインダクタ148のインダクタンスと第2のインダクタ150のインダクタンスとを設定することが可能であり、第2のサージ吸収素子98の浮遊容量成分に対して第3のインダクタ152のインダクタンスと第4のインダクタ154のインダクタンスとを設定することが可能である。したがって、変形例5のサージ吸収回路86Eは、静電サージ低減に優れており、且つ、広帯域にわたってインピーダンス整合を可能とする。故に、サージ吸収回路86の代わりに変形例5のサージ吸収回路86Eを備える本実施の形態のコネクタ10Aは、差動の送受信信号を劣化させることなく、静電サージを低減することができる。
次に、上述したサージ吸収回路を構成する積層サージ吸収部品の構造について詳細に説明する。
[第1の実施の形態の変形例1のサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の構造]
図19は、第1の実施の形態のコネクタにおける変形例1に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品を一部破断して示す斜視図である。図19に示す積層サージ吸収部品26は、略直方体の形状の積層体28と、第1の電極30と、第2の電極32と、第3の電極34、36とから構成されている。
第1の電極30は、積層体28の軸線Xに直行する第1の面28aと、この第1の面28aに直交する四つの面それぞれにおける第1の面28a側の一部とに設けられている。
第2の電極32は、積層体28の軸線X方向に第1の面28aと対向する第2の面28bと、この第2の面28bに直交する四つの面それぞれにおける第2の面28b側の一部とに設けられている。
第3の電極34は、積層体28の軸線Xに平行な第3の面28cの中央部において積層体28の積層方向に延びるように設けられている。同様に、第4の電極36は、積層体28の軸線Xに平行な第4の面28dの中央部において積層方向に延びるように設けられている。これらの第1の電極30、第2の電極32および第3の電極34、36の材料には、金、白金、銀、銅、鉛、これらの合金等の導体が用いられる。
図20は、図19に示す積層体を層ごとに分解して示す分解斜視図である。積層体28は、絶縁層200、202、204、206、208、半導体層210および絶縁層212と、これらの絶縁層および半導体層に設けられた導体パターンとによって構成されている。
絶縁層200は、絶縁性を有する材料であって、例えば、ガラスエポキシ樹脂、フッ素樹脂、セラミック等の誘電体材料からなる。絶縁層200は、絶縁層202の一方の主面202a上に設けられている。
この絶縁層202は、例えば絶縁層200と同一の材料からなる。絶縁層200の一方の主面202a上には、導体パターン214が形成されている。導体パターン214は、絶縁層200によって覆われている。導体パターン214は、略長方形の導体パターン214aと、軸線X方向に延びる細い導体パターン214bとからなる。導体パターン214bの一端214cは、積層体28の第1の面28aの一部をなす絶縁層202の一縁に沿って設けられており、第1の電極30に接続されている。また、導体パターン214bの他端は、導体パターン214aと接続されている。かかる導体パターン214が設けられた絶縁層202は、絶縁層204の一方の主面204a上に設けられている。
この絶縁層204の一方の主面204a上には、導体パターン216が設けられている。導体パターン216は、導体パターン216a及び216bを含んでいる。導体パターン216aは、導体パターン214aと対向するように設けられている。また、導体パターン216bの一端216cは、積層体28の第2の面28bをなす絶縁層204の一縁に沿って設けられており、第2の電極32に接続されている。この導体パターン216bの他端は、導体パターン216aに接続されている。
導体パターン214および導体パターン216は、例えば、金、白金、銀、銅、鉛、これらの合金等の導体からなる。絶縁層202および絶縁層204は、例えば絶縁層200と同一な材料からなる。
導体パターン214の導体パターン214aと導体パターン216の導体パターン216aとは、積層体28の積層方向において互いに重なっている。このようにして、導体パターン214および導体パターン216と絶縁層202とによって、第1の容量素子56が形成されている。
かかる導体パターン216が設けられた絶縁層204は、絶縁層206の一方の主面206a上に設けられている。この絶縁層206の一方の主面206a上には、コイル218が設けられている。コイル218は、導体パターンとして構成されている。かかる導体パターンは、導体パターン214と同一な材料からなり、絶縁層206は、絶縁層200と同一な材料からなる。
コイル218は、一端218a及び他端218bを有している。コイル218の一端218aは、積層体28の第1の面28aの一部を構成する絶縁層206の一縁に沿って設けられており、第1の電極30に接続されている。このコイル218は、上記した第1のインダクタ42として用いられるものであり、その他端218bは、ビアを介してコイル220の一端220aに接続されている。このコイル220は、第2のインダクタ44として用いられる。
コイル220は、絶縁層208の一方の主面208a上に設けられた導体パターンである。絶縁層208は、絶縁層200と同一の材料によって構成されており、コイル220は、導体パターン214と同一の材料によって構成されている。
コイル220は、軸線Xに直交する積層方向において、コイル218と少なくとも一部が重なるように設けられている。すなわち、コイル218とコイル220とは、所望の値の結合係数が得られるように、互いに電磁気的に結合されている。
このコイル220の他端220bは、積層体28の第2の面28bの一部を構成する絶縁層208の一縁に沿って設けられており、第2の電極32に接続されている。また、コイル220の一端220aは、ビアを介して導体パターン222に接続されている。
導体パターン222は、半導体層210の一方の主面210a上に設けられている。導体パターン222は、軸線X方向に直交する方向に延びている。この導体パターン222に半導体層210を介して対向するように、絶縁層212の一方の主面212a上に、導体パターン224が設けられている。導体パターン224は、軸線X方向に直交する方向に延びており、その一端224a及び他端224bはそれぞれ、積層体28の第3の面28c及び第4の面28dに沿って設けられており、第3の電極34及び36に接続されている。
これら導体パターン222,224は、例えば導体パターン214と同一な材料からなり、絶縁層212は、例えば絶縁層200と同一な材料からなる。また、半導体層210は、ZnOを主成分とする半導体セラミック材料からなる。このようにして、導体パターン222、導体パターン224、及び、当該導体パターン222と導体パターン224とによって挟まれた半導体層210とは、バリスタ、すなわちサージ吸収素子46を構成している。
積層体28は、上述のように導体パターンが形成された各層を積層して圧着した後に、一体焼成することによって形成される。導体パターンの各々は、例えば、印刷技術やエッチング技術で形成される。また、この積層体28の表面に第1の電極30、第2の電極32、および、第3の電極34、36を形成することによって、図19に示す積層サージ吸収部品26が形成される。
このような積層サージ吸収部品26からなる変形例1のサージ吸収回路40Aは、インダクタ、サージ吸収素子および容量素子が一体に形成されているので、小型であり、且つ、浮遊容量成分を小さくすることができる。
なお、第1の実施の形態のコネクタにおけるサージ吸収回路40用の積層サージ吸収部品は、上記の積層体28において、導体パターン214が設けられた絶縁層202および導体パターン216が設けられた絶縁層204を除いた構成を有することができる。
[第1の実施の形態の変形例2に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の構造]
次に、第1の実施の形態のコネクタにおける変形例2に係るサージ吸収回路40B用の積層サージ吸収部品ついて説明する。サージ吸収回路40B用の積層サージ吸収部品は、略直方体の積層体28Aの表面に、図19に示す積層サージ吸収部品26と同様に、第1の電極30、第2の電極32および第3の電極34,36が設けられてなるものである。
図21は、第1の実施の形態のコネクタにおける変形例2に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の積層体を層ごとに分解して示す分解斜視図である。図21に示す積層体28Aは、コイル218が設けられた絶縁層206に代えて、コイル230及び導体パターン232が設けられた絶縁層226を有しており、且つ、コイル220が設けられた絶縁層208に代えて、コイル234及び導体パターン236が設けられた絶縁層228を有している点において、積層体28と異なっている。また、積層体28Aは、導体パターン214が設けられた絶縁層202および導体パターン216が設けられた絶縁層204を除いた構成となっている。積層体28Aのその他の構成は、積層体28と同様である。
絶縁層226の一方の主面226a上には、コイル230が設けられている。コイル230は、導体パターンとして構成されている。コイル230は、上記した第1のインダクタ60として用いられるものである。このコイル230の一端230aは、軸線Xに直交する一方の面の一部を構成する絶縁層226の一縁に沿って設けられており、第1の電極30に接続されている。コイル230の他端230bは、ビアを介してコイル234の一端234aに接続されている。
コイル234は、絶縁層228の一方の主面228a上に設けられている。コイル234は、導体パターンとして構成されている。コイル234は、上記した第2のインダクタ62として用いられるものである。このコイル234の他端234bは、軸線Xに直交する他方の面の一部を構成する絶縁層228の一縁に沿って設けられており、第2の電極32に接続されている。
コイル230とコイル234とは、軸線Xに直交する積層方向に対して、それぞれ重ならないように設けられている。すなわち、コイル230によって生成される磁界とコイル234によって生成される磁界とが互いに影響を及ぼし合わず、結合係数が0.01以下となるように、コイル230とコイル234とが形成されている。
また、絶縁層226の一方の主面226a上には、導体パターン232が更に設けられている。導体パターン232は、略長方形の導体パターン232aと、導体パターン232bとを含んでいる。導体パターン232bの一端232cは、例えば、第1の電極30に接続されており、導体パターン232bの他端は導体パターン232aに接続されている。
また、絶縁層228の一方の主面228a上には、導体パターン236が更に設けられている。導体パターン236は、長方形の導体パターン236aと、導体パターン236bとからなる。この導体パターン236bの一端236cは、例えば、第2の電極32に接続されており、導体パターン236bの他端は導体パターン236aに接続されている。
導体パターン232aと導体パターン236aとは、軸線X方向に直交する積層方向に重なっている。このように軸線X方向において対向する導体パターン232および導体パターン236と、当該導体パターン232および導体パターン236によって挟まれた絶縁層226とによって、容量素子56が構成されている。
なお、絶縁層226および絶縁層228は、例えば絶縁層200と同一な材料からなり、コイル230、導体パターン232、コイル234、および、導体パターン236は、例えば導体パターン214と同一の材料からなる。
このような積層サージ吸収部品からなる変形例2のサージ吸収回路40Bは、インダクタ、サージ吸収素子、および、容量素子が一体に形成されているので、小型であり、且つ、浮遊容量成分を小さくすることができる。
[第2の実施の形態の変形例1に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の構造]
図22は、第2の実施の形態のコネクタにおける変形例1に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品を示す斜視図である。図22に示す積層サージ吸収部品26Aは、略直方体の形状の積層体74と、第1の電極76と、第2の電極77と、第3の電極78と、第4の電極79と、第5の電極80、81と、第6の電極82と、第7の電極83とから構成されている。
第1の電極76、第5の電極80、および、第3の電極78は、積層体74の軸線Xに直行する第1の面74aに順に並んで設けられている。第1の電極76、第5の電極80、および、第3の電極78は、それぞれ、軸線Xに直交する積層方向に延びるように形成されている。
一方、第2の電極77、第5の電極81、および、第4の電極79は、積層体74の軸線X方向に第1の面74aと対向する第2の面74bに順に並んで設けられている。第2の電極77、第5の電極81、および、第4の電極79は、それぞれ、軸線Xに直交する積層方向に延びるように形成されている。
第6の電極82は、積層体74の軸線Xに平行な第3の面74cの中央部において積層体74の積層方向に延びるように設けられている。同様に、第7の電極83は、積層体74の軸線Xに平行な第3の面74cに対向する第4の面74dの中央部において積層体74の積層方向に延びるように設けられている。これらの第1の電極76、第2の電極77、第3の電極78、第4の電極79、第5の電極80、81、第6の電極82、および、第7の電極83の材料には、金、白金、銀、銅、鉛、これらの合金等の導体が用いられる。
図23は、図22に示す積層体を層ごとに分解して示す分解斜視図である。積層体74は、絶縁層240、242、244、246、248、半導体層250および絶縁層252と、これらの絶縁層および半導体層に設けられた導体パターンとによって構成されている。
絶縁層240は、絶縁性を有する材料であって、例えば、ガラスエポキシ樹脂、フッ素樹脂、セラミック等の誘電体材料からなる。絶縁層240は、絶縁層242の一方の主面242a上に設けられている。
この絶縁層242は、例えば絶縁層240と同一の材料からなる。絶縁層240の一方の主面242a上には、導体パターン254,255が形成されている。導体パターン254,255は、絶縁層240によって覆われている。導体パターン254は、略長方形の導体パターン254aと、軸線X方向に延びる細い導体パターン254bとからなる。導体パターン254bの一端254cは、積層体74の第2の面74bの一部をなす絶縁層242の一縁に沿って設けられており、第2の電極77に接続されている。また、導体パターン254bの他端は、導体パターン254aと接続されている。
一方、導体パターン255は、略長方形の導体パターン255aと、軸線X方向に延びる細い導体パターン255bとからなる。導体パターン255bの一端255cは、積層体74の第2の面74bの一部をなす絶縁層242の一縁に沿って設けられており、第4の電極79に接続されている。また、導体パターン255bの他端は、導体パターン255aと接続されている。かかる導体パターン254,255が設けられた絶縁層242は、絶縁層244の一方の主面244a上に設けられている。
この絶縁層244の一方の主面244a上には、導体パターン256,257が設けられている。導体パターン256は、導体パターン256a及び256bを含んでいる。導体パターン256aは、導体パターン254aと対向するように設けられている。また、導体パターン256bの一端256cは、積層体74の第1の面74aをなす絶縁層244の一縁に沿って設けられており、第1の電極76に接続されている。この導体パターン256bの他端は、導体パターン256aに接続されている。
一方、導体パターン257は、導体パターン257a及び257bを含んでいる。導体パターン257aは、導体パターン255aと対向するように設けられている。また、導体パターン257bの一端257cは、積層体74の第1の面74aをなす絶縁層244の一縁に沿って設けられており、第3の電極78に接続されている。この導体パターン257bの他端は、導体パターン257aに接続されている。
導体パターン254,255および導体パターン256,257は、例えば、金、白金、銀、銅、鉛、これらの合金等の導体からなる。絶縁層242および絶縁層244は、例えば絶縁層240と同一な材料からなる。
導体パターン254の導体パターン254aと導体パターン256の導体パターン256aとは、積層体74の積層方向において互いに重なっている。このようにして、導体パターン254および導体パターン256と、当該導体パターン254と導体パターン256とで挟まれた絶縁層242とによって、第1の容量素子116が形成されている。
また、導体パターン255の導体パターン255aと導体パターン257の導体パターン257aとは、積層体74の積層方向において互いに重なっている。このようにして、導体パターン255および導体パターン257と、当該導体パターン255と導体パターン257とで挟まれた絶縁層242とによって、第2の容量素子118が形成されている。
かかる導体パターン256,257が設けられた絶縁層244は、絶縁層246の一方の主面246a上に設けられている。この絶縁層246の一方の主面246a上には、コイル258,259が形成されている。コイル258,259は、それぞれ導体パターンとして構成されている。かかる導体パターンは、導体パターン254と同一な材料からなり、絶縁層246は、絶縁層240と同一な材料からなる。
コイル258は、一端258a及び他端258bを有している。コイル218の一端258aは、積層体74の第1の面74aの一部を構成する絶縁層246の一縁に沿って設けられており、第1の電極76に接続されている。このコイル258は、上記した第1のインダクタ88として用いられるものである。コイル258の他端258bは、積層体74の第3の面74cの一部を構成する絶縁層246の一縁に沿って設けられており、第6の電極82を介してコイル260の一端260aに接続されている。このコイル260は、第2のインダクタ90として用いられる。
一方、コイル259は、一端259a及び他端259bを有している。コイル259の一端259aは、積層体74の第1の面74aの一部を構成する絶縁層246の一縁に沿って設けられており、第3の電極78に接続されている。このコイル259は、上記した第3のインダクタ94として用いられるものである。コイル259の他端259bは、積層体74の第4の面74dの一部を構成する絶縁層246の一縁に沿って設けられており、第7の電極83を介してコイル261の一端261aに接続されている。このコイル261は、第4のインダクタ96として用いられる。
コイル260,261は、それぞれ絶縁層248の一方の主面248a上に設けられた導体パターンである。絶縁層248は、絶縁層240と同一の材料によって構成されており、コイル260,261は、それぞれ導体パターン254と同一の材料によって構成されている。
コイル260は、軸線Xに直交する積層方向において、コイル258と少なくとも一部が重なるように設けられている。すなわち、コイル258とコイル260とは、所望の値の結合係数が得られるように、互いに電磁気的に結合されている。また、コイル261は、軸線Xに直交する積層方向において、コイル259と少なくとも一部が重なるように設けられている。すなわち、コイル259とコイル261とは、所望の値の結合係数が得られるように、互いに電磁気的に結合されている。
コイル260の他端260bは、積層体74の第2の面74bの一部を構成する絶縁層248の一縁に沿って設けられており、第2の電極77に接続されている。また、コイル260の一端260aは、第6の電極82を介して導体パターン262の一端262aに接続されている。
一方、コイル261の他端261bは、積層体74の第2の面74bの一部を構成する絶縁層248の一縁に沿って設けられており、第4の電極79に接続されている。また、コイル261の一端261aは、第7の電極83を介して導体パターン263の一端263aに接続されている。
導体パターン262,263は、半導体層250の一方の主面250a上に設けられている。導体パターン262は、軸線X方向に交差する方向に延びている。同様に、導体パターン263も、軸線X方向に交差する方向に延びている。これらの導体パターン262の他端部262bおよび導体パターン263の他端部263bに半導体層250を介して対向するように、絶縁層252の一方の主面252a上に、導体パターン264が設けられている。導体パターン264は、軸線X方向に延びており、その一端264a及び他端264bはそれぞれ、積層体74の第1の面74a及び第2の面74bに沿って設けられており、第5の電極80及び81に接続されている。
これら導体パターン262,263,264は、例えば導体パターン254と同一な材料からなり、絶縁層252は、例えば絶縁層240と同一な材料からなる。また、半導体層250は、ZnOを主成分とする半導体セラミック材料からなる。このようにして、導体パターン262の他端部262b、当該他端部262bに対向する導体パターン264の一部、及び、当該導体パターン262と導体パターン264とによって挟まれた半導体層250とは、バリスタ、すなわち第1のサージ吸収素子92を構成している。
同様に、導体パターン263の他端部263b、当該他端部263bに対向する導体パターン264の一部、及び、当該導体パターン263と導体パターン264とによって挟まれた半導体層250とは、バリスタ、すなわち第2のサージ吸収素子98を構成している。
このような積層サージ吸収部品26Aからなる変形例1のサージ吸収回路86Aは、インダクタ、サージ吸収素子および容量素子が一体に形成されているので、小型であり、且つ、浮遊容量成分を小さくすることができる。
なお、第2の実施の形態のサージ吸収回路86は、上記の積層体74において、導体パターン254,255が設けられた絶縁層242および導体パターン256,257が設けられた絶縁層244を除いた積層サージ吸収部品から構成されればよい。
[第2の実施の形態の変形例3に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の構造]
次に、第2の実施の形態のコネクタにおける変形例3に係るサージ吸収回路86C用の積層サージ吸収部品ついて説明する。サージ吸収回路86C用の積層サージ吸収部品は、略直方体の積層体74Aの表面に、図22に示す積層サージ吸収部品26Aと同様に、第1の電極76と、第2の電極77と、第3の電極78と、第4の電極79と、第5の電極80、81と、第6の電極82と、第7の電極83とが設けられてなるものである。
図24は、第2の実施の形態のコネクタにおける変形例3に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の積層体を層ごとに分解して示す分解斜視図である。積層体74Aは、コイル258,259が設けられた絶縁層246およびコイル260,261が設けられた絶縁層248に代えて、コイル274が設けられた絶縁層266、コイル275が設けられた絶縁層268、コイル276が設けられた絶縁層270、および、コイル277が設けられた絶縁層272を有している点において、積層体74と異なっている。積層体74Aのその他の構成は、積層体74と同様である。
絶縁層266の一方の主面266a上には、コイル274が設けられている。コイル274は、導体パターンとして構成されている。コイル274は、上記した第4のインダクタ126として用いられるものである。このコイル274の一端274aは、軸線Xに直交する一方の面の一部を構成する絶縁層266の一縁に沿って設けられており、第4の電極79に接続されている。コイル274の他端274bは、軸線Xに並行な一方の面の一部を構成する絶縁層266の一縁に沿って設けられており、第7の電極83を介してコイル275の一端275aに接続されている。
コイル275は、絶縁層268の一方の主面268a上に設けられている。コイル275は、導体パターンとして構成されている。コイル275は、上記した第3のインダクタ124として用いられるものである。このコイル275の他端275bは、軸線Xに直交する他方の面の一部を構成する絶縁層268の一縁に沿って設けられており、第3の電極78に接続されている。コイル275が形成されている絶縁層268は、絶縁層270の一方の主面270a上に設けられている。
絶縁層270の一方の主面270a上には、コイル276が設けられている。コイル276は、導体パターンとして構成されている。コイル276は、上記した第1のインダクタ120として用いられるものである。このコイル276の一端276aは、軸線Xに直交する一方の面の一部を構成する絶縁層270の一縁に沿って設けられており、第1の電極76に接続されている。コイル276の他端276bは、軸線Xに並行な他方の面の一部を構成する絶縁層270の一縁に沿って設けられており、第6の電極82を介してコイル277の一端277aに接続されている。
コイル277は、絶縁層272の一方の主面272a上に設けられている。コイル277は、導体パターンとして構成されている。コイル277は、上記した第2のインダクタ122として用いられるものである。このコイル277の他端277bは、軸線Xに直交する他方の面の一部を構成する絶縁層272の一縁に沿って設けられており、第2の電極77に接続されている。
コイル274、コイル275、コイル276、および、コイル277は、軸線Xに直交する積層方向に対して、少なくとも一部が互いに重なるように設けられている。すなわち、コイル274、コイル275、コイル276、および、コイル277は、所望の値の結合係数が得られるように、互いに電磁気的に結合されている。
なお、コイル274,275,276,277は、例えば導体パターン254と同一の材料からなり、絶縁層266,268,270,272は、例えば絶縁層240と同一な材料からなる。
このような積層サージ吸収部品からなる変形例3のサージ吸収回路86Cは、インダクタ、サージ吸収素子、および、容量素子が一体に形成されているので、小型であり、且つ、浮遊容量成分を小さくすることができる。
なお、第2の実施の形態の変形例2のサージ吸収回路86Bは、上記の積層体74Aにおいて、導体パターン254,255が設けられた絶縁層242および導体パターン256,257が設けられた絶縁層244を除いた積層サージ吸収部品から構成されればよい。
[第2の実施の形態の変形例4に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の構造]
次に、第2の実施の形態の変形例4に係るサージ吸収回路86D用の積層サージ吸収部品ついて説明する。サージ吸収回路86D用の積層サージ吸収部品は、略直方体の積層体74Bの表面に、図22に示す積層サージ吸収部品26Aと同様に、第1の電極76と、第2の電極77と、第3の電極78と、第4の電極79と、第5の電極80、81と、第6の電極82と、第7の電極83とが設けられてなるものである。
図25は、第2の実施の形態のコネクタにおける変形例4に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の積層体を層ごとに分解して示す分解斜視図である。積層体74Bは、コイル258,259が設けられた絶縁層246、コイル260,261が設けられた絶縁層248、導体パターン262,263が設けられた半導体層250,および、導体パターン264が設けられた絶縁層252に代えて、コイル288,290、292,294が設けられた絶縁層280、コイル289,293が設けられた絶縁層282、導体パターン296,297が設けられた絶縁層284、および導体パターン298が設けられた絶縁層286を有している点において、積層体74と異なっている。積層体74Bのその他の構成は、積層体74と同様である。
絶縁層280の一方の主面280a上には、コイル288,290,292,294が設けられている。コイル288,290,292,294は、それぞれ導体パターンとして構成されている。コイル288の一端288aは、軸線Xに直交する一方の面の一部を構成する絶縁層280の一縁に沿って設けられており、第1の電極76に接続されている。コイル288の他端288bは、ビアを介してコイル289の一端289aに接続されている。
一方、コイル292の一端292aは、軸線Xに直交する一方の面の一部を構成する絶縁層280の一縁に沿って設けられており、第3の電極78に接続されている。コイル292の他端292bは、ビアを介してコイル293の一端293aに接続されている。
コイル289およびコイル293は、絶縁層282の一方の主面282a上に設けられている。コイル289およびコイル293は、導体パターンとして構成されている。コイル289は、ほぼ二等分された第1の部分289bと第2の部分289cとを有している。同様に、コイル293は、ほぼ二等分された第1の部分293bと第2の部分293cとを有している。コイル289の第1の部分289bとコイル288とは、第1のインダクタ140として用いられるものであり、コイル293の第1の部分293bとコイル292とは、第3のインダクタ144として用いられるものである。
コイル289の他端289dはビアを介して絶縁層280に設けられたコイル290の一端290aに接続されている。また、コイル293の他端293dはビアを介して絶縁層280に設けられたコイル294の一端294aに接続されている。コイル290の他端290bは、軸線Xに直交する他方の面の一部を構成する絶縁層280の一縁に沿って設けられており、第2の電極77に接続されている。コイル294の他端294bは、軸線Xに直交する他方の面の一部を構成する絶縁層280の一縁に沿って設けられており、第4の電極79に接続されている。このコイル290とコイル289の第2の部分289cとは、第2のインダクタ142として用いられるものであり、コイル294とコイル293の第2の部分293cとは、第4のインダクタ146として用いられるものである。
コイル288とコイル292とは、近接して設けられている。すなわち、コイル288とコイル292とは、所望の値の結合係数が得られるように、互いに電磁気的に結合されている。同様に、コイル290とコイル294とは、近接しており、所望の値の結合係数が得られるように、互いに電磁気的に結合されている。
なお、コイル288,289,290,292,293,294は、例えば導体パターン254と同一の材料からなり、絶縁層280,282は、例えば絶縁層240と同一な材料からなる。
コイル289の第1の部分289bと第2の部分289cとの間の部分は、ビアを介して導体パターン296に接続されており、コイル293の第1の部分293bと第2の部分293cとの間の部分は、ビアを介して導体パターン297に接続されている。
導体パターン296,297は、半導体層284の一方の主面284a上に設けられている。半導体層284は、絶縁層286の一方の主面286a上に設けられている。絶縁層286の一方の主面286a上には、導体パターン298が設けられている。導体パターン298は、軸線X方向に延びる導体パターン298aと軸線X方向に直交する導体パターン298bとを有している。導体パターン298aの一端298cおよび他端298dは、それぞれ、積層体74Bの軸線Xに直交する一方の面および他方の面に沿って設けられており、第5の電極80,81に接続されている。導体パターン298bは、軸線X方向に直交する積層方向に導体パターン296および導体パターン297と重なるように設けられている。導体パターン298bの一端は導体パターン298aに接続している。
導体パターン296,297,298は、例えば導体パターン254と同一の材料からなり、絶縁層286は、例えば絶縁層240と同一な材料からなる。また、半導体層284は、ZnOを主成分とする半導体セラミック材料からなる。このようにして、導体パターン296、当該導体パターン296に対向する導体パターン298の一部、及び、当該導体パターン296と導体パターン298とによって挟まれた半導体層284とは、バリスタ、すなわち第1のサージ吸収素子92を構成している。
同様に、導体パターン297、当該導体パターン297に対向する導体パターン298の一部、及び、当該導体パターン297と導体パターン298とによって挟まれた半導体層284とは、バリスタ、すなわち第2のサージ吸収素子98を構成している。
このような積層サージ吸収部品からなる変形例4のサージ吸収回路86Dは、インダクタ、サージ吸収素子および容量素子が一体に形成されているので、小型であり、且つ、浮遊容量成分を小さくすることができる。
[第2の実施の形態の変形例5に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の構造]
次に、第2の実施の形態のコネクタにおける変形例5に係るサージ吸収回路86E用の積層サージ吸収部品ついて説明する。サージ吸収回路86E用の積層サージ吸収部品は、略直方体の積層体74Cの表面に、図22に示す積層サージ吸収部品26Aと同様に、第1の電極76と、第2の電極77と、第3の電極78と、第4の電極79と、第5の電極80、81と、第6の電極82と、第7の電極83とが設けられてなるものである。
図26は、第2の実施の形態のコネクタにおける変形例5に係るサージ吸収回路用の積層サージ吸収部品の積層体を層ごとに分解して示す分解斜視図である。積層体74Cは、コイル258,259が設けられた絶縁層246と、コイル260,261が設けられた絶縁層248とに代えて、コイル304,306、308,310が設けられた絶縁層300と、コイル305,309が設けられた絶縁層302とを有している点において、積層体74と異なっている。積層体74Cのその他の構成は、積層体74と同様である。
絶縁層300の一方の主面300a上には、コイル304,306,308,310が設けられている。コイル304,306,308,310は、それぞれ導体パターンとして構成されている。コイル304の一端304aは、軸線Xに直交する一方の面の一部を構成する絶縁層300の一縁に沿って設けられており、第1の電極76に接続されている。コイル304の他端304bは、ビアを介してコイル305の一端305aに接続されている。
一方、コイル308の一端308aは、軸線Xに直交する一方の面の一部を構成する絶縁層300の一縁に沿って設けられており、第3の電極78に接続されている。コイル308の他端308bは、ビアを介してコイル309の一端309aに接続されている。
コイル305およびコイル309は、絶縁層302の一方の主面302a上に設けられている。コイル305およびコイル309は、導体パターンとして構成されている。コイル305は、ほぼ二等分された第1の部分305bと第2の部分305cとを有している。同様に、コイル309は、ほぼ二等分された第1の部分309bと第2の部分309cとを有している。コイル305の第1の部分305bとコイル304とは、第1のインダクタ148として用いられるものであり、コイル309の第1の部分309bとコイル308とは、第3のインダクタ152として用いられるものである。
コイル305の他端305dはビアを介して絶縁層300に設けられたコイル306の一端306aに接続されている。また、コイル309の他端309dはビアを介して絶縁層300に設けられたコイル310の一端310aに接続されている。コイル306の他端306bは、軸線Xに直交する他方の面の一部を構成する絶縁層300の一縁に沿って設けられており、第2の電極77に接続されている。コイル310の他端310bは、軸線Xに直交する他方の面の一部を構成する絶縁層300の一縁に沿って設けられており、第4の電極79に接続されている。このコイル306とコイル305の第2の部分305cとは、第2のインダクタ150として用いられるものであり、コイル310とコイル309の第2の部分309cとは、第4のインダクタ154として用いられるものである。
コイル304,306,308,310とは、互いに離間しており、コイル305とコイル309とは、互いに離間している。すなわち、コイル304,306,308,310それぞれによって生成される磁界が、コイル304,306,308,310における他のコイルの磁界に影響を及ぼさず、結合係数が0.01以下となるように、コイル304,306,308,310が形成されている。また、コイル305によって生成される磁界とコイル309によって生成される磁界とが互いに影響を及ぼし合わず、結合係数が0.01以下となるように、コイル305とコイル309とが形成されている。
コイル305の第1の部分305bと第2の部分305cの間の部分は、第6の電極82に接続されており、コイル309の第1の部分309bと第2の部分309cの間の部分は、第7の電極83に接続されている。
コイル304,305,306,308,309,310は、例えば導体パターン254と同一な材料からなり、絶縁層300,302は、絶縁層240と同一な材料からなる。
このような積層サージ吸収部品からなる変形例5のサージ吸収回路86Eは、インダクタ、サージ吸収素子および容量素子が一体に形成されているので、小型であり、且つ、浮遊容量成分を小さくすることができる。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。
本実施の形態ではUSB用コネクタの一例を示したが、本発明のコネクタの形態は、本実施の形態に限られるものではない。本実施の形態のサージ吸収回路は様々な形態のコネクタに搭載可能である。
また、本実施の形態では、サージ吸収素子として、ZnOなどの金属酸化物からなるバリスタが用いられたが、サージ吸収素子には、Si等の半導体からなるPN接合素子、モリブデンからなるサージ吸収素子、および、電極間の放電を利用するギャップ式放電素子などが適用できる。
また、本実施の形態では、サージ吸収回路を実現する積層サージ吸収部品を例示したが、サージ吸収回路を実現する方法は本実施の形態に限られるものではない。積層サージ吸収部品の積層体の構成は、本実施の形態に限らず様々な形態であってもよい。また、サージ吸収回路は、上記した基板14、14A上に直接形成されてもよい。
10…コネクタ、12…外枠、14…基板、20…端子、22…端子、24…グランド端子、26…積層サージ吸収部品、40…サージ吸収回路、42…第1のインダクタ、44…第2のインダクタ、46…サージ吸収素子、56…容量素子。