JP4433563B2 - 有機ケイ素化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な有機ケイ素化合物に関し、さらに詳しくは、フェノール性水酸基がシリル化保護された有機置換基を有するハロゲノシランに関する。
【0002】
【従来の技術】
フェノール性水酸基がシリル化によって保護された有機ケイ素化合物として4-トリメチルシロキシフェニルトリメチルシラン等の各種の化合物が知られている。
また、ケイ素原子がフェノール基を含有する有機基の炭素原子に結合したフェノール誘導体として1,3-ビス(p-ヒドロキシフェニル)テトラメチルジシロキサン等が知られている。
しかし、フェノール性水酸基の水素原子がトリアルキルシリル基で置換され、かつ、フェノール基を有する有機基の末端炭素原子にハロゲノシリル基のようなケイ素官能基が結合している有機ケイ素化合物は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ハロゲノシリル基のようなケイ素官能基は、Si-OH基等に変換することもでき、シロキサン結合、Si-Si結合、Si-C結合等を容易に生成させることができる。また、シリル基で保護されたフェノール基は、容易にフェノール基を生成させることができ、例えば、アルカリ可溶性能を発揮させることができる。
本発明は、フェノール性水酸基がシリル化保護された有機置換基を有する新規なハロゲノシランを提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、ケイ素官能基とシリル基で保護されたフェノール基を有する有機ケイ素化合物は、有機合成などの中間原料や各種材料に対するカップリング剤として有用であることを見出し、その知見に基いて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式で表される有機ケイ素化合物である。
【0005】
【化2】
【0006】
(式中、R1は炭素数1から6のアルキレン基を示し、R2は炭素数1から4のアルキル基を示し、Xはハロゲンを示し、Yは水素原子またはメトキシ基を示す)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
上記一般式において、R1は炭素数1から6のアルキレン基である。R1は、直鎖状、分枝状のいずれでもよく、好ましい具体例として、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、2−メチルトリメチレン基及び3−メチルトリメチレン基などがある。本発明の化合物を合成する反応が容易であることおよび原料の入手のしやすさから、最も好ましいR1は炭素数が3の直鎖状炭化水素である。
【0008】
上記一般式において、 R2は炭素数1から4のアルキル基である。 R2は、直鎖状、分枝状のいずれでもよく、好ましい具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基がある。本発明の化合物を合成する反応が容易であることおよび原料の入手のしやすさから、特に好ましいR2はメチル基である。但し、本発明の化合物の安定性が必要な場合や、特殊な用途には、tert-ブチル基も好ましい。
【0009】
上記一般式において、トリアルキルシリルオキシ基の存在位置は、 R1に対して、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでも良いが、本発明の化合物を容易に合成できること、およびフェノールとしての機能を十分に発揮させるためには、パラ位が好ましい。
【0010】
上記一般式におけるXはハロゲンである。原料入手の容易さから、最も好ましいXは塩素である。
上記一般式におけるYは水素原子またはメトキシ基である。
但し、トリアルキルシリルオキシ基が R1に対してパラ位にあるときは、原料入手の容易さからYはメトキシ基であることが好ましい。
【0011】
好ましい本発明の化合物は、以下の構造式で示される化合物[1]である。
【0012】
【化3】
【0013】
本発明の化合物は、例えば次のようにして容易に高収率で製造することができる。
即ち、上記化合物[1]を例にとると、オイゲノールにアミン存在下でトリメチルクロロシランを反応させて、先ず下記化合物[2]を得る。
【0014】
【化4】
【0015】
好ましいアミンは、トリエチルアミン、ピリジンなどである。
好ましい反応温度は、常温またはその前後であり、例えばオイゲノールに溶媒とアミンを加え、氷冷下にトリメチルクロロシランを滴下した後、常温に戻すか若干加温し、あるいは溶媒の沸点近くで還流を行う。
好ましい溶媒は、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、トルエン、キシレン、ガソリン、リグロインのような炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類等である。
反応終了後、溶媒とアミンを留去し、減圧蒸留によって化合物[2]を単離する。
【0016】
次に、このようにして得られた化合物[2]を、ジメチルクロロシランと反応させ、本発明の化合物[1]を得る。
この反応は触媒の存在下で行われ、好ましい触媒として、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金等の第8属から第10属金属の単体、有機金属錯体、金属塩、金属酸化物等がある。通常、白金系の触媒が使用され、好ましい白金系触媒として、塩化白金酸六水和物(H2PtCl6・6H2O)、cis-PtCl2(PhCN)2(Phはフェニル基を表わす。)、白金カーボン等がある。好ましい触媒の使用量は、化合物[2]の量に対して、0.1ppmから1,000ppmである。
また、化合物[2]とジメチルクロロシランとのヒドロシリレーション反応は通常加熱下で行われる。反応温度の制御操作は、外部からの加熱およびジメチルクロロシランの供給速度に依存するため、一概に決められないが、通常、反応温度を60℃〜110℃の範囲に保持することで、ヒドロシリレーション反応を円滑に継続させることができる。この温度が60℃未満ではヒドロシリレーション反応が円滑に継続されず、110℃を超えると、暴走反応が引き起こされる恐れがある。
上記のようにして得た化合物[1]は、通常、減圧蒸留によって容易に単離することができる。
【0017】
本発明の新規な有機ケイ素化合物は、ケイ素原子に結合した加水分解性のハロゲン原子が存在するため、他の有機ケイ素化合物(ポリマーを含む)との反応によりシロキサン結合を形成したり、無機化合物中のシラノール基とカップリング反応させることができる。
一方、フェノール性水酸基の水素原子に置換しているアルキルジメチルシリル基は、酸性ないしアルカリ性の条件下で加水分解により容易に脱離してフリーのフェノール基を生成させ、このフェノール基は本発明の化合物において炭素官能性基またはアルカリ水溶性基として機能する。
このように、本発明の化合物はケイ素官能性および保護された炭素官能性をもつ複反応性ケイ素化合物として機能する。
本発明の化合物は、そのため、有機合成の中間原料、ポリマー樹脂の合成原料、ポリマーの改質剤、無機化合物の表面処理剤等として有用である。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を参考例および実施例によって具体的に説明する。
【0019】
参考例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた反応器を乾燥窒素雰囲気下にして、オイゲノール164.2g(1.0mol)、トルエン300g、およびピリジン87.0g(1.1mol)を仕込み、氷水浴で冷却しつつ攪拌下にトリメチルクロロシラン119.5g(1.1mol )を徐々に滴下した。滴下終了後、2時間、加熱・還流・攪拌放置した。その後、ろ過により溶液層を分離し、ついで溶剤と未反応物を減圧蒸留により留去したのち、引き続き、減圧蒸留によって、沸点92〜96℃/130Paの無色透明の液体196.5gを得た。
この液体について270MHzの1H-NMRの測定を行ったところ、第1図のスペクトルを得た。δ値とその帰属は第1表のとおりであった。これにより得られた液体は、オイゲノールの水酸基の水素原子がトリメチルシリル基で置換された下記化合物[2]であることが確認できた。収率は理論量に対して83.1%であった。
【0020】
【化5】
【0021】
【表1】
【0022】
【化6】
【0023】
実施例1
攪拌機、温度計及び冷却管を備えた反応器を乾燥窒素雰囲気下にして、参考例1で合成した化合物[2]100.0g(423mmol)を仕込み、系内を攪拌させながらオイルバスで加熱した。内温度が80℃に達したところで、白金触媒であるcis-PtCl2(PhCN)2を30mg加えた。その後、系内の温度が90℃前後になるように、ジメチルクロロシラン46.2g(488mmol )を徐々に滴下した。滴下終了後、2時間、100℃で攪拌放置した。その後、減圧蒸留により未反応物を留去し、引き続き、減圧蒸留によって、沸点115〜125℃/10Paで無色透明の液体113.0gを得た。
この液体について270MHzの1H-NMRの測定を行ったところ、第2図のスペクトルを得た。δ値とその帰属は第2表のとおりであった。これにより得られた液体は、フェノール性水酸基の水素原子がシリル化保護された有機置換基を含有するクロロシランである化合物[1]であることが確認できた。収率は理論量に対して80.7%であった。
【0024】
【化7】
【0025】
【表2】
【0026】
【化8】
【0027】
【発明の効果】
本発明によって、新規な有機ケイ素化合物である、フェノール性水酸基がシリル化保護された有機置換基を有するハロゲノシランが提供される。
本発明の新規な有機ケイ素化合物は、ケイ素官能性および保護された炭素官能性をもつ複反応性ケイ素化合物として機能する。
本発明のケイ素系化合物は、有機合成の中間原料、ポリマー樹脂の合成原料、ポリマーの改質剤、無機化合物の表面処理剤として有用である。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で得られた生成物の1H-NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られた生成物の1H-NMRスペクトルである。
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