JP4430331B2 - 半導体ウェハ研磨用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウェハ研磨用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)は、半導体ウェハの平坦化を行う技術であり、半導体の一層の高性能化および高集積化を達成する上で、必要不可欠なものになっている。
【0003】
CMP工程では、図4に示すように、研磨定盤1に貼付されたパッド2に、ウェハ3の被研磨面がパッド2に接するようにウェハ3を載せ、ウェハ3に加圧ヘッド4を押し付けてウェハ3に一定の荷重をかけかつ研磨用組成物5をパッド2表面に供給しながら、パッド2と加圧ヘッド4とを回転させることによって、ウェハ3の研磨が行われる。
【0004】
研磨用組成物は、研磨粒子を含む水性スラリーであり、ウェハの被研磨面に形成される膜の材質などに応じて、種々の研磨粒子の中から適当なものが選択される。その中でも、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカ系研磨粒子を含む水性スラリーである研磨用組成物(たとえば、特許文献1参照)が汎用されている。しかしながら、このような研磨用組成物を用いてウェハの研磨を行うと、パッド表面にシリカ被膜が形成されるグレージングという現象が起こり、パッド表面がガラス状になる。その結果、パッドの研磨能力が著しく低下し、パッドの寿命が短くなる。
【0005】
シリカ系研磨粒子を含む研磨用組成物において、グレージングを防止するためには、研磨促進剤であるアミン類(ピペラジン、水酸化テトラメチルアンモニウムなど)の含有量を増加させるか、もしくは無機アルカリ(たとえば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)の含有量を増加させることで研磨用組成物のpHを上昇させるのが有効である。実際、このような研磨促進剤を含む研磨用組成物は種々知られており、たとえば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカ系研磨剤と置換基を有しまたは有さないピペラジンとを含む組成物(たとえば、特許文献2参照)、シリカゾルまたはシリカゲルと水溶性アルキルアミンとを含む組成物(たとえば、特許文献3参照)、シリカゾルまたはシリカゲルと水溶性アルキルアミンと水溶性第4級アルキルアンモニウム塩または水溶性第4級アルキルアンモニウム塩基とを含む組成物(たとえば、特許文献4参照)、コロイダルシリカとエチレンジアミン4酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸などの錯化剤とを含み、エチレンジアミンなどのアミン類を添加してpH9以上に調整した組成物(たとえば、特許文献5参照)などが挙げられる。
【0006】
しかしながら、研磨促進剤であるアミンを高濃度で存在すると、組成物はpH11以上になる。このような高アルカリ性の下では、コロイダルシリカなどの研磨粒子の分散安定性が損なわれる。特に研磨用組成物を希釈して研磨に使用することを想定した場合、希釈前のアミン濃度は更に高くなり、研磨粒子の凝集および溶解が生じる。また、原液もしくは希釈後の組成物でも高アルカリ性の溶液では、ウェハ研磨時の局所的な高温および高圧付加によって、研磨剤の凝集、沈降および溶解などが起こり、研磨用組成物そのものの研磨能力が低下する。しかも、アミンはウェハ表面の荒れを引き起こし、ウェハの平坦化を行うというCMP本来の目的を果たすことができない。
【0007】
また、ピペラジンは水に対する溶解度が高いものの、これをシリカなどのコロイド状研磨粒子が存在する水系において、組成物全量の5重量%を超える高濃度で存在させると、ヒペラジンの溶解安定性が低下し、析出するおそれがある。すなわち研磨粒子の分散安定性にも悪影響をおよぼす。たとえば、保管時の外気温の変化、とくに5度以下の低温においては、ピペラジンの析出、研磨剤の凝集、沈降などが起こる。したがって、この組成物を用いても研磨能力が発揮できず、グレージングを防止できない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭52−47369号公報
【特許文献2】
特開昭62−30333号公報
【特許文献3】
米国特許第4169337号明細書
【特許文献4】
特開昭58−225177号公報
【特許文献5】
特開昭63−272460号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ウェハの研磨速度および研磨後のウェハの平坦化度を損なうことなく、グレージングを防止し、パッドの耐用性を向上させることができ、しかも研磨粒子の凝集、沈降および溶解、研磨促進剤の析出などが起こらない半導体ウェハ研磨用組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、研磨粒子、研磨促進剤、pH調整剤およびアルコール類を含み、残部が水であり、水溶性高分子物質を含まない組成物であって、組成物全体に対して、研磨粒子を0.05〜20重量%、研磨促進剤としてピペラジンを0.1〜5重量%、アルコール類として炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールを0.1〜5重量%、pH調整剤を0.01〜5重量%含有し、組成物のpHが10〜11.5に調整されてなることを特徴とする半導体ウェハ研磨用組成物である。
【0011】
本発明に従えば、研磨粒子0.05〜20重量%を分散させかつ研磨促進剤としてピペラジン0.1〜5重量%を含有し、およびpH調整剤を溶解させる溶媒として、水と炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールを組成物全重量に対して0.1〜5重量%含有する混合溶媒を用い、pH調整剤を0.01〜5重量%を加えて組成物のpHを10〜11.5に調整することによって、水溶性高分子物質を含まず、研磨促進剤を高濃度で含む高アルカリ性下であっても、研磨粒子の凝集、沈降および溶解を防ぎ、研磨促進剤の析出などが起こり難く、グレージングを防止し、パッドの耐用性すなわちパッドの寿命を向上させることができる半導体ウェハ研磨用組成物が提供される。
【0012】
本発明の半導体ウェハ研磨用組成物を用いてウェハの研磨を行うと、従来の研磨用組成物と同等またはそれ以上の研磨速度およびウェハの平坦化度を達成することができ、さらに研磨後のウェハ表面における荒れの発生もない。
【0014】
本発明によれば、パッド寿命、研磨速度、得られるウェハの表面平坦化度などをさらに向上させることができる。
【0015】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、前述の研磨粒子が、珪素、アルミニウム、セリウム、チタンおよびジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の金属を含む金属酸化物であることを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、研磨粒子は、特定の金属から選ばれる1種または2種以上を含む金属酸化物が好ましく、シリカが特に好ましい。さらに研磨粒子の含有量を特定の範囲にするのが好ましい。これによって、本発明組成物を用いてウェハを研磨する際の研磨速度がさらに向上する。
【0020】
本発明に従えば、研磨促進剤としてピペラジンを用いかつその含有量を特定の範囲にすることが特に好ましい。これによって、パッドのグレージングが一層防止され、パッドの耐用性がさらに向上する。
【0021】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、前述のpH調整剤が錯化剤および有機酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0022】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、前述の錯化剤がエチレンジアミン4酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ニトリロ3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N’−4酢酸および1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−4酢酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0023】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、前述の有機酸が炭素数2〜6のモノカルボン酸、炭素数2〜6のジカルボン酸、炭素数3〜6のトリカルボン酸およびアスコルビン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、pH調整剤としては錯化剤および有機酸が好ましく、特定の錯化剤および有機酸がさらに好ましく、それらを特定量用いることが特に好ましい。これによって、研磨剤の分散安定性を向上させることができ、高い表面平坦化度(低い表面粗度)を有するウェハを得ることができる。
【0027】
また本発明の半導体ウェハ研磨用組成物は、炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールの含有量が、組成物全量の0.1〜5重量%であることを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールの含有量が、組成物全量の0.1〜5重量%であることによって、グレージングの発生がさらに防止され、パッド寿命の一層の延長がもたらされる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体研磨用組成物は、研磨粒子、研磨促進剤、pH調整剤およびアルコール類を含み、残部が水であり、水溶性高分子物質を含まない組成物であって、組成物全体に対して、研磨粒子を0.05〜20重量%、研磨促進剤としてピペラジンを0.1〜5重量%、アルコール類として炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールを0.1〜5重量%、pH調整剤を0.01〜5重量%含有し、組成物のpHが10〜11.5に調整されてなる水性スラリーである。
【0030】
本発明組成物のpHは10.0〜11.5、より好ましくは10.5〜11.0である。pHが10を著しく下回ると、充分な研磨速度が得られない可能性がある。pHが11.5を超えると、研磨後のウェハの表面平坦化度が不充分になり、研磨を行う本来の目的が達成されないおそれがある。また、研磨粒子の分散安定性にも悪影響をおよぼすおそれもある。
【0031】
本発明組成物は、各成分の含有量を研磨に用いるのに適した範囲に調整したものでもよく、または各成分の含有量を高めに設定しておき、研磨の際に水を用いて1〜30倍程度に希釈し、各成分の含有量が研磨に適した範囲になるように調整してもよい。
【0032】
なお、以下における各成分の含有量は、研磨に適した含有量である。
研磨粒子としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、珪素、アルミニウム、セリウム、チタン、ジルコニウムなどから選ばれる1種または2種以上の金属を含む金属酸化物が挙げられる。該金属酸化物の具体例としては、たとえば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化セリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。これらの中でも、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカが好ましい。研磨粒子は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0033】
研磨粒子の粒子径は特に制限されず、研磨対象の半導体の種類などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は10〜300nm程度、好ましくは50〜100nm程度である。
【0034】
研磨剤の含有量は研磨用組成物全量の0.05〜20重量%であり、好ましい含有量は、0.1〜3.0重量%である。0.05重量%未満では、研磨速度が不充分になる可能性がある。一方、20重量%を大幅に超えると、研磨剤の分散安定性が低下し、研磨の際の局所的な高温、高圧の付加などによって研磨剤の凝集、沈殿が起こり、ウェハ表面に荒れ、スクラッチなどが生じるおそれがある。
【0035】
研磨促進剤としてのピペラジンには、置換基を有するピペラジンが包含される。置換基を有するピペラジンとしては、たとえば、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどの、水酸基、アミノ基などを有することのある炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状のアルキル基が窒素原子に置換したピペラジンなどが挙げられる。研磨促進剤たるピペラジンは、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0036】
研磨促進剤の含有量は研磨用組成物全量の0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜5重量である。0.1重量%未満では、グレージングの防止効果が不充分になる可能性がある。一方8重量%を超えると、研磨促進剤の溶解安定性が低下し、温度および圧力の変化によって研磨促進剤の析出および粒子の凝集、溶解が起こるおそれがある。
【0037】
pH調整剤としては、錯化剤および有機酸から選ばれる1種または2種以上を使用する。
【0038】
錯化剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、エチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)、ニトリロ3酢酸(NTA)、トリエチレンテトラミン6酢酸(TTHA)、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N’−4酢酸(EGTA)、1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−4酢酸(CDTA)などが挙げられる。これらの中でも、研磨後のウェハが研磨の際などに生じる金属イオンによって汚染されることを防止するという観点から、EDTA、DTPA、TTHAなどが好ましく、TTHAは二核錯体を形成するので特に好ましい。錯化剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0039】
有機酸としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリン酸、乳酸などの炭素数2〜6のモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸などの炭素数2〜6のジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸などの炭素数3〜6のトリカルボン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。有機酸には、前記カルボン酸類およびアスコルビン酸の塩も包含される。これらの中でもクエン酸、マロン酸などが好ましい。有機酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0040】
pH調整剤は、通常、研磨用組成物のpHが10〜11.5となる量が使用される。研磨用組成物のpHを10〜11.5の範囲に調整するためのpH調整剤の含有量は、pH調整剤そのものの種類、他の成分の種類および含有量などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は研磨用組成物全量の0.01〜5重量%である。0.01重量%未満では、pHを10〜11.5の範囲に調整できない可能性がある。一方5重量%を超えると、研磨粒子の分散安定性が損なわれ、研磨粒子の凝集、沈降などが起こるおそれがある上、pHの低下により研磨能力自体が低下する可能性がある。
【0041】
アルコール類は、たとえば、ピペラジンなどの研磨促進剤および他成分の溶解助剤として作用する。すなわちアルコール類を加えることによって、高濃度の研磨促進剤を用いても、研磨促進剤が析出することなく安定して水中に存在し、さらに温度および圧力の変化などによって析出することがない。したがって、本発明の研磨用組成物は非常に保存安定性の高いものとなる。また、この研磨組成物を調製する際にも研磨促進剤の水への溶解を促進させる働きをもつ。
【0042】
アルコール類としては、炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールが好ましい。炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールとしては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールなどの炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状の脂肪族飽和アルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは、アルキル部分に水酸基などの置換基を有していてもよい。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノールなどの炭素数1〜3のものが特に好ましい。これらのアルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0043】
アルコール類の含有量は、アルコール類そのものの種類、他の成分の種類および含有量、研磨対象である半導体の種類などの各種条件に応じて適宜選択できるけれども、研磨用組成物全量の0.1〜5重量%である。0.1重量%未満では、温度および圧力などの変化によって、研磨促進剤などが水中に析出する可能性がある。さらに研磨剤の分散安定性が損なわれる可能性もある。一方5重量%を大幅に超えると、研磨能力に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0044】
本発明の研磨組成物は、研磨粒子、研磨促進剤、pH調整剤およびアルコール類の適量を用い、さらに必要に応じて他の添加剤の適量を用い、かつ水を用いて全量を100重量%とし、これらの成分を一般的な混合手段に従って混合することによって製造することができる。ここで使用する水は特に制限されないけれども、用途を考慮すると、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水などが好ましい。
【0045】
本発明の研磨用組成物を用いてウェハの研磨を行うに際しては、従来の研磨用組成物に代えて本発明の研磨用組成物を用いる以外は、従来のウェハ研磨と同様に行うことができる。
【0046】
本発明の研磨用組成物は、ウェハのCMP加工全般において研磨用組成物として使用できる。具体的には、ウェハに形成された薄膜、たとえば、W、Cu、Ti、Taなどの金属膜、TiN、TaN、Si3N4などのセラミックス膜、SiO2、p−TEOSなどの酸化膜、HSQ膜、メチル化HSQ膜、SiLK膜、ポーラス膜などの低誘電膜などの薄膜が形成されたウェハの研磨に好適に使用できる。
【0047】
また本発明の研磨用組成物は、半導体ウェハのCMP加工に限定されず、それ以外の用途で金属、セラミックスなどを研磨する際にも、好適に使用できる。
【0048】
[実施例]
以下に実施例、比較例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
【0049】
実施例1および比較例1〜3
表1に示す割合(重量%)で各成分を水に混合、溶解し、本発明および比較例の研磨用組成物を調製した。なお、コロイダルシリカとしては、平均粒子径70nmのものを用いた。
【0050】
【表1】
【0051】
比較例4
市販の研磨用組成物(商品名:Nalco2350、Nalco社製)を比較のために用いた。この研磨組成物は、研磨時に純水で20倍希釈して用い、そのときの研磨粒子濃度は、約2.5重量%である。
【0052】
試験例1(研磨用組成物の保存安定性評価)
実施例1および比較例1〜3の研磨用組成物を5℃で10日間保存したのちに、目視観察を行ったところ、実施例1のものではピペラジンの析出およびコロイダルシリカの凝集は認められなかった。これに対し、比較例2のものでは、ピペラジンが多量に析出し、コロイダルシリカの凝集も認められた。また比較例1においては、ピペラジンの析出は見られなかったが、これよりわずかにピペラジン濃度を上昇させるとピペラジンの析出が生じたことから、比較例1がアルコールなしでピペラジンが析出しない上限濃度である。研磨用組成物を静置している際の外的温度変化(5℃未満)および研磨時の局所的な環境下では、実施例1の方が比較例1よりは研磨粒子の分散安定性がより優れた状態にある。さらに実施例1と比較例1との差は、研磨組成物を調製する際、実施例1の組成ではピペラジンが容易に溶解できたのに対し、比較例1では溶解に時間を要した。以上の結果から、本発明の研磨用組成物は、アルコールを含むことによって、優れた保存安定性を有し、ピペラジンなどの成分を析出させることがないので、常に、優れたグレージング防止効果を有していることが判る。
【0053】
試験例2(パッドの耐用性評価)
研磨装置(商品名:Strasbagh6CA)を用い、パッド(商品名:Suba650、ロデール・ニッタ社製)を実施例1、比較例3の研磨用組成物の6倍希釈液(水で6倍に希釈)および比較例4の研磨用組成物を300ml/分の割合で供給し、かつ直径4インチ×3枚のシリコンウェハに約29.4×103Pa(300gf/cm2)の圧力をかけながら、研磨定盤を115rpmおよび加圧ヘッドを100rpmでそれぞれ回転させ、40分間研磨を行った。研磨終了後、ウェハ重量を測定し、1分間平均除去量を算出して研磨速度(μm/分)とした。
【0054】
上記の研磨を繰り返し行い、シリコンウェハは1回ごとに未研磨のものに取替え、パッドは同一のものを用いた。結果を図1に示す。
【0055】
図1において、○は実施例1の組成物、●は比較例3の組成物および□は比較例4の組成物の結果をそれぞれ示す。図1から明らかなように、研磨速度0.7μm/分をパッド耐性の寿命とした場合、本発明組成物を用いると、同一のパッドで9回の研磨を行うことができるのに対し、比較例3および4の組成物では5回目でパッドのガラス化が顕著になり、それ以上パッドを使用することができなかった。
【0056】
試験例3(研磨速度評価)
研磨用組成物の供給割合を5リットル/分および研磨時間を30分とする以外は、試験例2と同様にして、研磨速度(μm/分)を求めた。結果を図2に示す。
【0057】
図2において、(a)は実施例1の組成物、(b)は比較例3の組成物、(c)は比較例4の結果をそれぞれ示す。図2から、本発明組成物による研磨速度は、比較用組成物(比較例3)と同等またはそれ以上であり、従来の組成物(比較例4)より著しく高いことが明らかである。
【0058】
試験例4(平坦化度評価)
試験例3で得られた研磨後のシリコンウェハの平坦化度を評価するため、表面粗度Ra(nm)およびrms(nm)を測定した。装置は、走査型白色干渉計(商品名:Zygo Maxim GP200、Zygo社製 3次元表面情報解析顕微鏡)を用いた。結果を図3に示す。
【0059】
図3において、(a)は実施例1の組成物および(b)は比較例3の組成物の結果をそれぞれ示す。図3から、本発明の研磨用組成物を用いて研磨を行うと、表面粗度が低く、すなわち平坦化度の高い研磨後ウェハが得られることが明らかである。
【0060】
実施例2
EDTAの0.10重量%に代えてDPTAを同じ重量%を使用する以外は、実施例1と同様に操作し、本発明の研磨用組成物(pH11.0)を調製した。このものは、実施例1の研磨用組成物と同等のパッド寿命延長効果および研磨速度を示した。
【0061】
実施例3
EDTAの0.10重量%に代えてTTHAを同じ重量%を使用する以外は、実施例1と同様に操作し、本発明の研磨用組成物(pH11.0)を調製した。実施例1の研磨用組成物と同等のパッド寿命延長効果および研磨速度を示した。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、研磨剤を分散させかつ研磨促進剤としてのピペラジンおよびpH調整剤を溶解させる溶媒として、水と炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールとの混合溶媒を用いることによって、高アルカリ性下であっても、研磨剤の凝集および溶解、研磨促進剤の析出などを起こすことがなく、ウェハ表面における荒れの発生もなく、グレージングが防止されてパッドの寿命を延ばすことができ、ウェハの研磨速度および平坦化度を向上させることができ、しかも保存安定性に優れ、気温および気圧の変化による成分の析出、研磨粒子の凝集、沈降および溶解が起こり難い半導体ウェハ研磨用組成物が提供される。
【0063】
本発明によれば、本発明組成物のpHを10.0〜11.5という範囲に調整することによって、パッド寿命、研磨速度、得られるウェハの表面平坦化度(表面粗度)などをさらに向上させることができる。
【0064】
本発明によれば、研磨粒子としてコロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカ系研磨粒子を用いることによって、本発明組成物のウェハ研磨速度をさらに向上させることができる。
【0065】
本発明によれば、研磨促進剤としてピペラジンを5重量%前後の高濃度で用いることによって、パッドのグレージングが一層防止され、パッドの寿命がさらに延びる。
【0066】
本発明によれば、pH調整剤として錯化剤および有機酸を用いることによって、研磨粒子の分散安定性を向上させることができるとともに、研磨ウェハの表面に荒れ、スクラッチなどが生じるのを防止することができる。
【0067】
本発明によれば、アルコール類として炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールを用いることによって、研磨用組成物中における研磨促進剤などの溶解速度、溶解安定性が向上し、温度および圧力の変化による研磨促進剤の析出、研磨粒子の凝集、沈降および溶解などがなく、研磨促進剤が高濃度で溶解した状態を維持できる。したがって、本発明の研磨用組成物は、常に、優れたグレージング防止効果を発揮でき、パッド寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例3、4の研磨用組成物を用いて研磨を行う際の研磨パッドの寿命を示すグラフである。
【図2】実施例1および比較例3、4の研磨用組成物を用いて研磨を行う際の研磨速度を示すグラフである。
【図3】実施例1および比較例3の研磨用組成物を用いて研磨を行う際の、研磨後のウェハ表面の表面粗度を示すグラフである。
【図4】CMP工程を簡略的に示す図面である。
Claims (5)
- 研磨粒子、研磨促進剤、pH調整剤およびアルコール類を含み、残部が水であり、水溶性高分子物質を含まない組成物であって、組成物全体に対して、研磨粒子を0.05〜20重量%、研磨促進剤としてピペラジンを0.1〜5重量%、アルコール類として炭素数1〜6の脂肪族飽和アルコールを0.1〜5重量%、pH調整剤を0.01〜5重量%含有し、組成物のpHが10〜11.5に調整されてなることを特徴とする半導体ウェハ研磨用組成物
- 研磨粒子が、珪素、アルミニウム、セリウム、チタンおよびジルコニウムから選ばれる1種または2種以上の金属を含む金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載の半導体ウェハ研磨用組成物。
- pH調整剤が錯化剤および有機酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体ウェハ研磨用組成物。
- 錯化剤がエチレンジアミン4酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン3酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸、ニトリロ3酢酸、トリエチレンテトラミン6酢酸、ヒドロキシエチルイミノ2酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N’−4酢酸および1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−4酢酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項3記載の半導体ウェハ研磨用組成物。
- 有機酸が炭素数2〜6のモノカルボン酸、炭素数2〜6のジカルボン酸、炭素数3〜6のトリカルボン酸およびアスコルビン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項3記載の半導体ウェハ研磨用組成物。
Priority Applications (1)
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