本発明による脱硫方法においては、被吸着物質である硫黄化合物の種類と、最も影響の大きい競合物質である芳香族分の含有量によって効率的に機能する吸着剤群の中から吸着剤を1種類以上選定することにより、液体炭化水素中に含まれる全ての硫黄化合物を効率的に除去することができる。
〔吸着剤の選択方法〕 有機硫黄化合物を含む液体炭化水素に含まれる芳香族分が20質量%以上か20質量%未満かで効果的な吸着剤が異なる。また、6種類の硫黄化合物のタイプごとに効果的な吸着剤が異なる。そこで、有機硫黄化合物を含む液体炭化水素の脱硫に用いる1種類以上の吸着剤の選定において、液体炭化水素に含まれる芳香族分及び有機硫黄化合物を測定し、有機硫黄化合物は、メルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類に分類し、各吸着剤またはそれらの組み合わせについて、上述の吸着剤選択指数C[-]を算出し、この指数の大きいものから1種類または複数の吸着剤を選択する。吸着剤選択指数Cが150以上、特には200以上の吸着剤を用いることが好ましい。
〔液体炭化水素〕 脱硫対象の液体炭化水素は、石油留分など、硫黄化合物を含む液体炭化水素である。石油留分は、原油を蒸留、分解、水素化、異性化などの精製処理を経て得られた炭化水素を主成分とする液体であり、主に含まれる炭化水素の沸点は30〜400℃であり、含まれる硫黄分が500ppm以下、特には200ppm以下であることが好ましい。硫黄化合物の吸着を阻害する窒素化合物の含有量が少ない、例えば10ppm以下の石油留分が好ましい。好ましく用いられるこのような石油留分としては、軽油留分、灯油留分、ガソリン留分などが例示される。これらの留分は軽油、灯油、ガソリン、燃料電池用炭化水素燃料などの石油製品の原料として用いられる。
軽油留分は、炭素数16〜20程度の炭化水素を主体とする。密度(15℃)0.820〜0.880g/cm3、沸点範囲140〜390℃程度で、パラフィン系炭化水素が多い。灯油留分は、炭素数12〜16程度の炭化水素を主体とする。密度(15℃)0.790〜0.850g/cm3、沸点範囲150〜320℃程度で、パラフィン系炭化水素が多い。
ガソリン留分は、炭素数4〜11程度の炭化水素を主体とする。密度(15℃)0.783g/cm3以下、沸点範囲30〜220℃程度である。自動車及びその他類似のガソリンエンジンに使用するため、接触分解、接触改質、アルキレーションなどで、オクタン価が高い留分を得ている。一般に、芳香族及び低沸点のイソパラフィン、オレフィンはオクタン価が高い。
芳香族化合物は、分子レベルでも吸着剤に強力に吸着されて硫黄化合物と競争吸着となるが、多くの石油留分には数%〜50%程度含まれるので影響が大きい。特に、全芳香族分が20質量%程度より大きくなると、芳香族分の影響が極めて大きく、NaY型ゼオライトなどの吸着量は著しく小さくなる。一方、オレフィン分も硫黄化合物と競争吸着となるが、芳香族分に比べると影響は少ない。そこで、芳香族分を指標とし、芳香族分が20質量%より大きい場合と小さい場合とで効果的な吸着剤の種類が異なることを見出した。
芳香族分の測定方法は、日本工業規格(Japanese Industrial Standards)JIS K 2536(この規格は、石油製品中の炭化水素成分を蛍光指示薬吸着法によって飽和炭化水素、オレフィン炭化水素、芳香族炭化水素の3種類の炭化水素タイプに類別して定量する方法、及びガソリン中のベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、メチルターシャリーブチルエーテルなどをガスクロマトグラフ法で定量する方法について規定する)、石油学会(Japan Petroleum Institute)規格JPI−5S−52−99(ガソリン−全組成分析法−キャピラリーカラムガスクロマトグラム法、一般にPONA分析と呼ばれる方法)、石油学会規格JPI−5S−49−97(石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法)、英国石油協会(The Institute of Petroleum)規格IP標準法391/95(屈折率検出器を用いた高速液体クロマトグラフによる中間留出物の芳香族炭化水素の分析)など、一般的に知られた方法による。
芳香族化合物は、分子レベルでも吸着剤に強力に吸着されて硫黄化合物と競争吸着となるので、有機硫黄化合物を吸着除去する前に、可能な限り芳香族化合物は除去することが好ましい。例えば、蒸留分離、膜分離、溶媒抽出、吸着分離などの分離操作、水素化反応などの化学反応、非芳香族炭化水素による稀釈などにより、液体炭化水素に含まれる芳香族分を20質量%未満に、好ましくは10質量%以下に、特に好ましくは、5質量%以下に低下させた後に吸着剤により脱硫することが好ましい。
本発明では、液体炭化水素中に含まれる有機硫黄化合物をメルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類の6タイプに分類する。液体炭化水素中に含まれる有機硫黄化合物は、これら6タイプの何れかに分類する必要がある。有機硫黄化合物の構造が複雑であったりするために分類が困難である硫黄化合物については、複数のタイプに帰属させ、どちらのタイプにも効果的な吸着剤を選定することもできる。
硫黄化合物の分析には、硫黄化合物検出器を備えたガスクロマトグラフ(GC)を用いる方法が好ましい。そのような検出器としては、化学発光検出器(Sulfur Chemiluminescence Detector:SCD)、原子発光検出器(Atomic Emission Detector:AED)、炎光光度検出器(Flame Photometric Detector:FPD)、質量検出器(Mass Selective Detector:MSD)が挙げられるが、化学発光検出器が好ましい。GC−SCDによる分析において、各ピークを分類し、全面積に対する各分類の面積を求めることで、全硫黄分(全有機硫黄化合物に含まれる硫黄元素重量)に対する各分類に属する硫黄化合物の硫黄分(その有機硫黄化合物に含まれる硫黄元素重量)の割合が求められる。なお、あるタイプの有機硫黄化合物が主成分であるとは、通常、その割合が0.3以上、好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上である。
メルカプタン類は、メルカプト基(−SH)を有する硫黄化合物RSH(Rはアルキル基やアリール基など炭化水素基)であり、チオールまたはチオアルコールとも呼ばれる。メルカプト基は反応性が高く、特に金属と容易に反応する。代表的なメルカプタン類として、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン(ターシャリーブチルメルカプタンを含む)、ペンチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、チオフェノール(フェニルメルカプタン、フェンチオール、分子式C6H6S、分子量110)やチオクレゾール(メルカプトトルエン、分子式C7H8S、分子量124)やチオキシレノール(メルカプトキシレン、ジメチルフェニルメルカプタン、分子式C8H10S、分子量138)やチオカルバクロール(2−メルカプト−p−シメン、5−イソプロピル−2−メチルチオフェノール、分子式C10H14S、分子量166)やジチオカテコール(o−フェニレンジメルカプタン、o−メルカプトベンゼン、1,2−ジスルフヒドリルベンゼン、分子式C6H6S2、分子量142)やジチオヒドロキノン(ジチオハイドロキノン、p−フェニレンジメルカプタン、p−ジメルカプトベンゼン、1,4−ジスルフヒドリルベンゼン、分子式C6H6S2、分子量142)やジチオレゾルシン(m−フェニレンジメルカプタン、m−ジメルカプトベンゼン、1,3−ジスルフヒドリルベンゼン、分子式C6H6S2、分子量142)やジチオール(トルエン−3,4−ジチオール、3,4−ジメルカプトトルエン(分子式C7H8S2、分子量156)やトリチオフロログルシン(C6H6S3、分子量166)などのチオフェノール類Ar-SH(Arはアリール基)、チオナフトール(ナフチルメルカプタン、メルカプトナフタリン、分子式C10H8S、分子量160)、チオベンズヒドロール(ベンズヒドリルメルカプタン、α−メルカプトジフェニルメタン、分子式C13H12S、分子量200)及びこれらの誘導体が挙げられる。
スルフィド類は、チオエーテルとも呼ばれ、硫化アルキル及び硫化アリールの総称であり、一般式R-S-R’(R及びR’はアルキル基やアリール基など炭化水素基)で表わされる硫黄化合物である。硫化水素の水素2原子をアルキル基などで置換した形の化合物である。ジスルフィド類もスルフィド類に含める。ジスルフィドは二硫化物の意味である。二硫化アルキル及び二硫化アリールの総称であり、一般式R-S-S-R’(R及びR’はアルキル基など炭化水素基)で表わされる硫黄化合物である。ジスルフィド結合(S-S)は、メルカプト基(-SH)の酸化段階の一つであり、自然界にもタンパク質中に存在する。
スルフィド類は、鎖状スルフィド類と環状スルフィド類に分けられる。特にモルデナイトの吸着特性が鎖状スルフィド類と環状スルフィド類とで大きく異なるので、2つのタイプに分類する必要がある。
鎖状スルフィド類は、スルフィド類のうち、硫黄原子を異原子として含む複素環をもたない硫黄化合物である。代表的な鎖状スルフィド類として、ジメチルスルフィド、メチルエチルスルフィド、メチルプロピルスルフィド、ジエチルスルフィド、メチルブチルスルフィド、エチルプロピルスルフィド、メチルペンチルスルフィド、エチルブチルスルフィド、ジプロピルスルフィド、メチルヘキシルスルフィド、エチルペンチルスルフィド、プロピルブチルスルフィド、メチルヘプチルスルフィド、エチルヘキシルスルフィド、プロピルペンチルスルフィド、ジブチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、メチルエチルジスルフィド、メチルプロピルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、メチルブチルジスルフィド、エチルプロピルジスルフィド、メチルペンチルジスルフィド、エチルブチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、メチルヘキシルジスルフィド、エチルペンチルジスルフィド、プロピルブチルジスルフィド、メチルヘプチルジスルフィド、エチルヘキシルジスルフィド、プロピルペンチルジスルフィド、ジブチルジスルフィド、チオアニソール(硫化メチルフェニル、分子式C7H8S、分子量124)、チオフェネトール(硫化エチルフェニル、分子式C8H10S、分子量138)、チオベンゾフェノン(分子式C13H10S、分子量198)などのチオケトン類RCSR’(R及びR’はアルキル基やアリール基など炭化水素基)及びこれらの誘導体が挙げられる。
環状スルフィド類は、スルフィド類のうち、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環をもち、芳香族性をもたない(五原子環又は六原子環で尚且つ二重結合を2個以上もつ複素環をもたない)硫黄化合物である。代表的な環状スルフィド類として、テトラヒドロチオフェン(硫化テトラメチレン、分子式C4H8S、分子量88.1)、チオクロマン(ジヒドロベンゾチオピラン、分子式C9H10S、分子量150)、チアアダマンタン(分子式C9H14S、分子量154)、トリチオアセトン、ジチオアセトンなどのチオケトン類RCSR’(R及びR’はアルキル基やアリール基など炭化水素基)、チオベンズアルデヒド(分子式C7H6S、分子量122)の三量体、1,4−ジチアン(ジエチレンジスルフィド、分子式C4H8S2、分子量120)、ジチオラン(分子式C3H6S2、分子量106)及びこれらの誘導体が挙げられる。
チオフェン類は、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環式化合物のうち、複素環が五原子環又は六原子環で且つ芳香族性をもち(複素環に二重結合を2個以上有し)、さらに複素環がベンゼン環と縮合していない硫黄化合物及びその誘導体である。複素環同士が縮合した化合物も含む。チオフェンは、チオフランとも呼ばれ、分子式C4H4Sで表わせる、分子量84.1の硫黄化合物である。その他の代表的なチオフェン類として、メチルチオフェン(チオトレン、分子式C5H6S、分子量98.2)、チアピラン(ペンチオフェン、分子式C5H6S、分子量98.2)、チオフテン(分子式C6H4S2、分子量140)、テトラフェニルチオフェン(チオネサル、分子式C20H20S、分子量388)、ジチエニルメタン(分子式C9H8S2、分子量180)及びこれらの誘導体が挙げられる。
ベンゾチオフェン類は、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環式化合物のうち、複素環が五原子環又は六原子環で且つ芳香族性をもち(複素環に二重結合を2個以上有し)、さらに複素環が1個のベンゼン環と縮合している硫黄化合物及びその誘導体である。ベンゾチオフェンは、チオナフテン、チオクマロンとも呼ばれ、分子式C8H6Sで表わせる、分子量134の硫黄化合物である。その他の代表的なベンゾチオフェン類として、メチルベンゾチオフェン、ジメチルベンゾチオフェン、トリメチルベンゾチオフェン、テトラメチルベンゾチオフェン、ペンタメチルベンゾチオフェン、ヘキサメチルベンゾチオフェン、メチルエチルベンゾチオフェン、ジメチルエチルベンゾチオフェン、トリメチルエチルベンゾチオフェン、テトラメチルエチルベンゾチオフェン、ペンタメチルエチルベンゾチオフェン、メチルジエチルベンゾチオフェン、ジメチルジエチルベンゾチオフェン、トリメチルジエチルベンゾチオフェン、テトラメチルジエチルベンゾチオフェン、メチルプロピルベンゾチオフェン、ジメチルプロピルベンゾチオフェン、トリメチルプロピルベンゾチオフェン、テトラメチルプロピルベンゾチオフェン、ペンタメチルプロピルベンゾチオフェン、メチルエチルプロピルベンゾチオフェン、ジメチルエチルプロピルベンゾチオフェン、トリメチルエチルプロピルベンゾチオフェン、テトラメチルエチルプロピルベンゾチオフェンなどのアルキルベンゾチオフェン、チアクロメン(ベンゾア−γ−ピラン、分子式C9H8S、分子量148)、ジチアナフタリン(分子式C8H6S2、分子量166)及びこれらの誘導体が挙げられる。
ジベンゾチオフェン類は、1個以上の硫黄原子を異原子として含む複素環式化合物のうち、複素環が五原子環又は六原子環で且つ芳香族性をもち(複素環に二重結合を2個以上有し)、さらに複素環が2個のベンゼン環と縮合している硫黄化合物及びその誘導体である。ジベンゾチオフェンはジフェニレンスルフィド、ビフェニレンスルフィド、硫化ジフェニレンとも呼ばれ、分子式C12H8Sで表わせる、分子量184の硫黄化合物である。4−メチルジベンゾチオフェンや4,6−ジメチルジベンゾチオフェンは、水素化精製における難脱硫化合物として良く知られている。その他の代表的なジベンゾチオフェン類として、トリメチルジベンゾチオフェン、テトラメチルジベンゾチオフェン、ペンタメチルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルジベンゾチオフェン、オクタメチルジベンゾチオフェン、メチルエチルジベンゾチオフェン、ジメチルエチルジベンゾチオフェン、トリメチルエチルジベンゾチオフェン、テトラメチルエチルジベンゾチオフェン、ペンタメチルエチルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルエチルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルエチルジベンゾチオフェン、メチルジエチルジベンゾチオフェン、ジメチルジエチルジベンゾチオフェン、トリメチルジエチルジベンゾチオフェン、テトラメチルジエチルジベンゾチオフェン、ペンタメチルジエチルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルジエチルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルジエチルジベンゾチオフェン、メチルプロピルジベンゾチオフェン、ジメチルプロピルジベンゾチオフェン、トリメチルプロピルジベンゾチオフェン、テトラメチルプロピルジベンゾチオフェン、ペンタメチルプロピルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルプロピルジベンゾチオフェン、ヘプタメチルプロピルジベンゾチオフェン、メチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、ジメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、トリメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、テトラメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、ペンタメチルエチルプロピルジベンゾチオフェン、ヘキサメチルエチルプロピルジベンゾチオフェンなどのアルキルジベンゾチオフェン、チアントレン(ジフェニレンジスルフィド、分子式C12H8S2、分子量216)、チオキサンテン(ジベンゾチオピラン、ジフェニルメタンスルフィド、分子式C13H10S、分子量198)及びこれらの誘導体が挙げられる。
本発明による吸着剤は、金属系吸着剤、X型ゼオライト吸着剤、Y型ゼオライト吸着剤、活性炭吸着剤、フェリエライト吸着剤、モルデナイト吸着剤、シリカゲル吸着剤などから選択される。以下、各吸着剤について概説する。
〔金属系吸着剤〕 金属系吸着剤、好ましくは、酸化銅担持吸着剤は、全てのタイプの硫黄化合物を吸着することが可能であるが特にメルカプタン類の吸着性能が優れており、また、メルカプタン類などは化学吸着(収着)するので、芳香族分の影響が少なく、硫黄化合物濃度が低くても高い吸着性能を有するため、液体炭化水素にメルカプタン類が含まれている場合に選択される吸着剤の一つであり、特に硫黄化合物濃度が低い場合に好んで選択される吸着剤の一つであり、芳香族分が20質量%以上の場合にも選択され得る吸着剤の一つである。
また、酸化亜鉛吸着剤は、硫化水素の吸着剤(化学吸着剤、収着剤)として知られているが、メルカプタン類の吸着性能にも優れており、また、芳香族分の影響が少なく、硫黄化合物濃度が低くても高い吸着性能を有するため、液体炭化水素にメルカプタン類が含まれている場合に選択される吸着剤の一つである。
金属系吸着剤としては、アルミナや活性炭などの多孔質担体に金属成分を担持したもの、アルミナなどと金属成分を混合した後に成形品としたものなどが用いることができる。金属の種類としては、銀、水銀、銅、カドミウム、鉛、モリブデン、亜鉛、コバルト、マンガン、ニッケル、白金、パラジウム、鉄やこれらの酸化物を用いることができる。安全性や経済性などから、好ましいのは銅、亜鉛、ニッケルである。中でも銅は、安価な上に、常温付近から300℃程度の広い温度範囲で、また還元処理を行わない酸化銅の状態のまま、且つ、水素非存在下でも硫黄化合物の吸着に優れた性能を示すので特に好ましい。多孔質担体に銅成分が担持された比表面積150m2/g以上、好ましくは200m2/g以上の吸着剤を用いることができる。尚、水素共存下で使用すれば、メルカプタン類以外の硫黄化合物の吸着を促進することも可能である。また、使用後の硫黄と化学反応した金属成分は、800〜900℃で酸素と反応させることなどにより再生することが可能である。
金属系吸着剤としては、多孔質担体としては、比表面積が200m2/g以上の耐火性無機物を用いることができ、特にアルミナ担体、活性炭などが好ましく用いられる。このアルミナ担体は、アルミナを主成分とする多孔質の粒子であり、通常、直径0.5〜5mm特には、1〜3mmの球状であることが好ましい。球状は、シリンダー型(円柱状)などと比べて、外表面から吸着剤中心までの平均距離が短く、平均濃度勾配を大きくできるので、吸着する硫黄化合物の細孔内拡散に関して有利である。破壊強度が3.0kg/ペレット以上、特には3.5kg/ペレット以上であることが吸収剤の割れを生じないので好ましい。通常、破壊強度は、木屋式錠剤破壊強度測定器(富山産業株式会社)等の圧縮強度測定器により測定される。
多孔質担体を構成するアルミナの結晶性及び種類は問わないが、一般に触媒担体として用いられるγ-アルミナの場合、比表面積及び細孔容積が大きく、尚且つ破壊強度が高い担体の作製は難しい。活性アルミナのような非晶質のアルミナ担体が、摩耗率が少なく、粉末の生成が少ないので好ましく用いられる。
多孔質担体として用いられる活性炭は、炭素を主成分とする多孔質の粒子である。通常、主に平均直径0.8〜1.7mmの不定形である。担体の破壊強度が3.0kg/ペレット以上、特には3.5kg/ペレット以上であることが吸収剤の割れを生じないので好ましい。
好ましく用いられる酸化銅担持吸着剤には、銅成分が担持されている。銅成分が吸収剤重量に対し銅元素重量として0.1〜15重量%、特には1〜10重量%含有されることが好ましい。銅のみが担持されていることが好ましく、吸着剤に含まれる遷移金属の元素重量として、70重量%以上、特には95重量%以上が銅成分であることとが好ましい。銅の吸着剤粒子外表面への偏析を防ぐため、単位比表面積当たりの銅成分重量を0.7mg/m2以下、特には0.5mg/m2以下とすることが好ましい。メルカプタン類の吸着容量を増やすためには、銅成分が多い方が好ましく、単位比表面積当たりの銅成分重量を0.3〜0.7mg/m2とすることが特に好ましい。また、必要に応じて銅以外の成分をさらに担持することも可能である。銅以外の成分として、亜鉛や鉄を担持することもできるが、銅以外の担持は少ない方が、例えば、他の金属成分がその金属元素重量として0.1mg/m2以下、特には0.02mg/m2以下であることが好ましい。
担体細孔内に銅が担持されたアルミナ担体は、銅とアルミナとの相互作用により緑色を帯びる。比表面積に対して銅の濃度が高過ぎると、アルミナとの相互作用が無い状態で黒色の酸化銅となる。この黒色の酸化銅は、容易に離脱するので、使用中に離脱して下流の触媒の被毒となる可能性があり、黒色の酸化銅が生成しない様にする必要がある。したがって、担持された銅が緑色を呈することが好ましく、黒色を呈する吸収剤の利用は好ましくない。具体的には、吸収剤に含まれる黒色の粒子の割合が、10%以下、特には5%以下であることが好ましい。
酸化銅担持吸着剤の比表面積は150m2/g以上、好ましくは200m2/g以上である。比表面積が200m2/g未満では、硫黄化合物のうちアルキルチオフェン類の吸着容量が著しく小さくなるため、吸着剤の比表面積を200m2/g以上、特には、250m2/g以上とすることが好ましい。機械的強度を得るため、細孔直径0.1μm以上の細孔の容積であるマクロ孔容積を0.2ml/g以下、特には、0.15ml/g以下とすることが好ましい。なお、通常、比表面積、全細孔容積は、窒素吸着法により、マクロ孔容積は水銀圧入法により測定される。窒素吸着法は簡便で、一般に用いられており、様々な文献に解説されている。例えば、鷲尾一裕:島津評論、48(1)、35-49 (1991)、ASTM (American Society for Testing and Materials) Standard Test Method D 4365-95などである。
酸化亜鉛吸着剤は、一般に硫化水素の吸着剤として用いられる、酸化亜鉛含有量90質量%以上、比表面積10m2/g以上、球状又はシリンダー型(円柱状)の吸着剤を用いることができる。
〔ゼオライト〕 X型ゼオライト吸着剤、好ましくは、NaX型ゼオライト吸着剤は、全てのタイプの硫黄化合物を吸着することが可能であるが特にメルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類の吸着性能が優れており、また、芳香族分の影響が比較的少ないため、液体炭化水素にメルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類が含まれている場合に選択される吸着剤の一つであり、芳香族分が20質量%以上の場合にも選択され得る吸着剤の一つである。
Y型ゼオライト、好ましくは、NaY型ゼオライト吸着剤及びL型ゼオライト吸着剤、好ましくは、KL型ゼオライト吸着剤は、全てのタイプの硫黄化合物を吸着することが可能であるが、芳香族分の影響が大きい。芳香族分が20質量%未満、好ましくは5質量%以下の場合に選択される吸着剤の一つであるが、芳香族分が20質量%以上の場合には選択されない。
モルデナイト吸着剤、好ましくは、Naモルデナイト吸着剤及びフェリエライト吸着剤、好ましくは、Kフェリエライト吸着剤は、メルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類を吸着することが可能であるが特に鎖状スルフィド類の吸着性能が優れており、また、細孔径がNaY型ゼオライトよりも小さいことも働いて芳香族分の影響が比較的少ないため、液体炭化水素に鎖状スルフィド類が含まれている場合に選択される吸着剤の一つであり、芳香族分が20質量%以上の場合にも選択され得る吸着剤の一つである。
ゼオライトは、一般式:xM2/nO・Al2O3・ySiO2・zH2O(ここで、nは陽イオンMの価数、xは1以下の数、yは2以上の数、zは0以上の数)で表される結晶性含水アルミノシリケートの総称である。ゼオライトの構造は、International Zeolite Association(IZA)のStructure Commissionのホームページhttp://www.iza-structure.org/などに詳しく示されているが、Si又はAlを中心とするSiO4又はAlO4の四面体構造が三次元的に規則正しく配列した構造である。AlO4の四面体構造は負に帯電しているので、アルカリ金属やアルカリ土類金属等の電荷補償陽イオンを細孔や空洞内に保持している。電荷補償陽イオンは、プロトン等の別の陽イオンと容易に交換することが可能である。また、酸処理等により、SiO2/Al2O3モル比が高まり、酸強度が増加して固体酸量が減少する。硫黄化合物の吸着には酸強度はあまり影響しないので、固体酸量を低下させないことが好ましい。
フォージャサイト型ゼオライト(FAU)は、骨格構造の構成単位が4員環、6員環及び6員二重環である。ミクロ細孔は三次元構造であり、入口は非平面12員環で形成された円形で、結晶系は立方晶である。フォージャサイト型の天然ゼオライトであるホージャス石は、分子式(Na2,Ca,Mg)29・Al58Si134O384・240H2Oなどで表わされ、ミクロ細孔径が7.4×7.4Å、単位胞の大きさが24.74Åである。フォージャサイト型の合成ゼオライトとしては、X型とY型が存在する。NaX型ゼオライトはNa88[(AlO2)88(SiO2)104]・220H2Oなどで示され、有効直径10Å程度までの分子を吸着可能である。NaY型ゼオライトは、有効直径8Å程度までの分子を吸着可能である。本発明に好ましく用いられるフォージャサイト型ゼオライトは、一般式:xNa2O・Al2O3・ySiO2で表され、X<1、かつ、y<10が好ましく用いられる。SiO2/Al2O3モル比は、10mol/mol以下が好ましく用いられる。
モルデナイト(MOR)は、骨格構造の構成単位が4員環、5員環及び8員環である。ミクロ細孔は一次元構造及び三次元構造であり、入口は非平面12員環及び8員環で形成された楕円形で、結晶系は斜方晶である。天然ゼオライトであるモルデナイトとしては、モルデンフッ石があり、分子式Na8Al8Si40O96・24H2Oなどで表わされ、ミクロ細孔径が12員環で6.5×7.0Åの一次元構造と8員環で2.6×5.7Åの三次元構造の二つのチャンネルをもち、両者は連結しており、単位胞の大きさは18.1×20.5×7.5Åである。モルデナイトは、合成ゼオライトとしても存在する。Naモルデナイトは、有効直径7Å程度までの分子を吸着可能である。本発明に好ましく用いられるモルデナイトは、一般式:xNa2O・Al2O3・ySiO2で表され、X<1、かつ、y<20で表される。SiO2/Al2O3モル比は、20mol/mol以下が好ましく用いられる。
L型ゼオライト(LTL)は、Union Carbide社のLinde Divisionにより開発された。IZAのコードネームは、Linde Type LからLTLとなっている。骨格構造の構成単位が4員環、6員環及び8員環である。ミクロ細孔は一次元構造であり、入口は12員環で形成された円形で、結晶系は六方晶である。分子式(K6,Na3)・Al9Si27O72・21H2Oなどで表わされ、典型的にはミクロ細孔径が7.1×7.1Å、単位胞の大きさが18.40×18.40×7.52Åである。KL型ゼオライトは式K9Al9Si27O72・xH2Oなどで示され、KLゼオライトは有効直径8Å程度までの分子を吸着可能である。
フェリエライト(FER)は、骨格構造の構成単位が5員環、6員環及び8員環である。ミクロ細孔は一次元構造であり、入口は10員環及び8員環で形成された楕円形で、結晶系は斜方晶である。フェリエライト型の天然ゼオライトであるフェリエライト石は、分子式(Mg2,Na2)29・Al6Si30O72・18H2Oなどで表わされ、ミクロ細孔径が10員環で4.2×5.4Åの一次元構造と8員環で3.5×4.8Åの一次元構造の二つのチャンネルをもち、両者は連結しており、単位胞の大きさは19.156×14.127×7.489Åである。Kフェリエライトは有効直径4Å程度までの分子を吸着可能である。
本発明に用いられるゼオライトの性状としては、結晶化度が80%以上、特に90%以上が、結晶子径が5μm以下、特に1μm以下が、また、平均粒子径が30μm以下、特に10μm以下が、比表面積は300m2/g以上、特には400m2/g以上が好ましい。
NaX型ゼオライト、NaY型ゼオライト及びNaモルデナイトは、電荷補償陽イオンがナトリウムであるX型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイトであり、KL型ゼオライト、Kフェリエライトは、電荷補償陽イオンがカリウムであるL型ゼオライト、フェリエライトである。電荷補償陽イオンが水素であると、チオフェン類やベンゾチオフェン類などが硫黄化合物同士、或いはトルエンなどの芳香族と室温でも反応してオリゴマー状の重質物が生成し、吸着剤表面を被覆して硫黄化合物の吸着を阻害するので好ましくない。電荷補償陽イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セリウムなどのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、鉛、銀、ランタンなどの遷移元素などが好ましい。特に電荷補償陽イオンとしてアルカリ金属イオンを有するゼオライトが好ましく用いられる。
ゼオライト吸着剤は、上述のゼオライトをそのまま用いることもできるが、これらのゼオライトを30重量%以上、特に60重量%以上含む成形体が好ましく用いられる。形状としては、濃度勾配を大きくするため、差圧が大きくならない範囲で小さい形状、特には球状が好ましい。球状の場合の大きさは、直径が0.5〜5mm、特には、1〜3mmが好ましい。円柱状の場合には、直径が0.1〜4mmφ、特には、0.12〜2mmφで、長さは直径の0.5〜5倍、特には、1〜2倍が好ましい。
ゼオライト吸着剤の比表面積は、硫黄化合物の吸着容量に大きく影響するので、200m2/g以上、特には300m2/g以上が好ましい。ゼオライト吸着剤に関しては、硫黄化合物との競争吸着となる芳香族が存在しない場合に、ゼオライトの種類によらず、各吸着剤が吸着しやすい硫黄化合物の単位重量当たりに吸着され得る最大重量は比表面積S[m2/g]にほぼ比例する。発明者の実験値から、吸着剤1kgに吸着され得る硫黄化合物の最大値は0.4×S[g]で表わされる。細孔直径10Å以下の細孔容積は、硫黄化合物の吸着容量を大きくするために、0.10ml/g以上、特には、0.20ml/g以上とすることが好ましい。また、細孔直径10Å以上0.1μm以下の細孔容積は、硫黄化合物の細孔内拡散速度を大きくするために、0.05ml/g以上、特には、0.10ml/g以上とすることが好ましい。細孔直径0.1μm以上の細孔容積は、成形体の機械的強度を高くするために、0.3ml/g以下、特には、0.25ml/g以下とすることが好ましい。
ゼオライトを成形品として使用する場合には、特開平4−198011に記載のように、半製品を成形した後、乾燥及び焼成しても良いし、ゼオライト粉末に必要に応じてバインダー(粘結剤)を混合して、成形した後、乾燥及び焼成しても良い。
バインダーとしては、たとえば、アルミナ、スメクタイトなどの粘土、水ガラス等の無機質系粘結剤などが例示される。これらの粘結剤は、成形できる程度に使用すればよく、特に限定されるものではないが、原料に対して通常0.05〜30重量%程度が使用される。シリカ、アルミナ、他のゼオライトなどの無機微粒子や活性炭などの有機物を混合して、ゼオライトが吸着しにくい硫黄化合物の吸着性能を向上したり、メソ孔及びマクロ孔の存在量を増やしたりして硫黄化合物の拡散速度を向上しても良い。また、金属との複合化により吸着性能を向上させても良い。粒子の場合、通常、主に平均直径0.8〜1.7mmの不定形であり、担体の破壊強度が3.0kg/ペレット以上、特には3.5kg/ペレット以上であることが吸収剤の割れを生じないので好ましい。
〔アルミナ吸着剤〕 アルミナ吸着剤は、アルミナを主成分とし、好ましくは95重量%以上がアルミニウムの酸化物または水和酸化物からなる多孔質の粒子である。通常、直径0.5〜5mm特には、1〜3mmの球状であることが好ましい。球状は、シリンダー型(円柱状)などと比べて、外表面から吸着剤中心までの平均距離が短く、平均濃度勾配を大きくできるので、吸着する硫黄化合物の細孔内拡散に関して有利である。比表面積が200m2/g以上であることが好ましい。
アルミナの結晶性及び種類は問わないが、一般に触媒担体として用いられるγ−アルミナの場合、比表面積及び細孔容積が大きく、尚且つ破壊強度が高い担体の作製は難しい。活性アルミナのような非晶質のアルミナ担体が、摩耗率が少なく、粉末の生成が少ないので好ましく用いられる。
〔シリカゲル吸着剤〕 シリカゲル吸着剤は、メルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類を吸着することが可能であるが特に鎖状スルフィド類、環状スルフィド類の吸着性能が優れており、また、芳香族分の影響が比較的少ないため、液体炭化水素に鎖状スルフィド類、環状スルフィド類が含まれている場合に選択される吸着剤の一つであり、芳香族分が20質量%以上の場合にも選択され得る吸着剤の一つである。
シリカゲルは、二酸化珪素の無定形多孔質凝集体の総称である。シリカゲルの表面はシラノール基(Si−OH)で覆われており、弱い酸性を示し、水素結合性や極性である。このシラノール基はシリカゲルの物性や化学反応性などから幾つかのグループに分類されるが、自由シラノール基グループは吸着サイトになり、また、化学反応性も高い。表面修飾剤との反応により親水性は制御可能であり、表面水素結合性シラノール基で覆われた表面は反応性が低い。
〔活性炭〕 繊維状活性炭は、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類の吸着性能が優れているが、相対的にベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類の吸着性能が、特にジベンゾチオフェン類の吸着性能が優れており、また、芳香族分の影響も少ないため、液体炭化水素にベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類が含まれている場合に選択される吸着剤の一つであり、芳香族分が20質量%以上の場合にも選択され得る吸着剤の一つである。このように各吸着剤には得意、不得意があることが判明したので、これらの吸着剤を組み合わせることでほとんど全ての有機硫黄化合物の除去が可能となる。
活性炭は孔隙構造の発達した炭素材料であり、吸着剤や触媒担体として広く工業的に用いられており、その形状から不定形活性炭と繊維状活性炭に分類することができる。不定形活性炭は、炭素の微結晶の無秩序な乱層構造から成っている多孔質体である。基本的には疎水性であり、被吸着物質は非晶質部分や結晶子間の表面に物理吸着する。天然物を原料とした不定形活性炭などは5質量%程度の酸素が含まれており、表面に含酸素官能基を有し、若干の親水性を示す。この表面官能基の種類と量は、製造時の賦活化方法などによって影響を受ける。
無煙炭のように天然のままでも吸着活性を示す炭素材料も存在するが、一般には有機物(炭素質物質)である活性炭原料を炭化し、必要に応じて賦活して製造されるが、特にその製法が限定されるものではない。活性炭の原料としては、多くの炭素質物質が考えられ、原料の種類によって製造条件が異なる。原料としては、植物系の木材、のこくず、ヤシ殻、パルプ廃液などと、化石燃料系の石炭、石油重質油、或いはそれらを熱分解したピッチやコークスなどを用いることができる。繊維状活性炭は、合成高分子、タールピッチや石油系ピッチを紡糸した繊維を出発原料とする。石炭は石炭化度の違いによって褐炭、瀝青炭、無煙炭に分類される。合成高分子としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニルビニリデン樹脂、廃プラスチックなどが原料として挙げられる。
炭化とは有機物の加熱変化によっておこる結合の解裂と、より安定な結合への組替えをもたらす分解、重縮合、芳香族環化など、炭素が濃縮される一連の多種多様の化学反応の総称である。原料を熱処理して、コークやチャーを得ることができる。この炭化反応過程で水、酸化炭素、軽質の炭化水素が揮発すると同時に液体が溜出する。活性炭の吸着特性に大きな影響を及ぼす細孔構造は、炭化温度とともに変化する。一般に、活性炭の製造にあたっては、600〜800℃の範囲で炭化が行われ、炭材(炭化された材料)が製造されるが、その条件が特に限定されるものではない。
活性炭の製造における炭化後の賦活方法としては、ガス賦活、薬品賦活を挙げることができる。我が国では、水蒸気を用いるガス賦活法が主流であるが、粉末活性炭の製造では、現在も塩化亜鉛を用いる薬品賦活法が用いられている。また、近年、新たな薬品賦活法であるアルカリ賦活法も報告されている。
ガス賦活法は、物理的な活性化とも言われ、炭材を高温で水蒸気、二酸化炭素、酸素などと接触反応させて、微細な多孔質の活性炭を製造する方法である。賦活過程は二段階で進行すると考えられており、第一段階の加熱過程では未組織化部分が選択的に分解消費され、炭素結晶間の閉ざされていた微細な孔隙が開放されて、比表面積が急激に増加する。第二段階のガス化反応過程では、炭素結晶などが反応消耗して、メソ孔及びマクロ孔が形成される。
薬品賦活法は、原料に賦活薬品を均等に含浸させて、不活性ガス雰囲気中で加熱・焼成することにより、薬品の脱水及び酸化反応により、微細な多孔質の活性炭を製造する方法である。賦活薬品は、塩化亜鉛、硫酸、ホウ酸、硝酸、塩酸、リン酸、リン酸ナトリウム、塩化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、塩化カリウム、過マンガン酸カリウム、硫化カリウム、チオシアン酸カリウムやその他の脱水、酸化、浸食性の薬品が用いられる。薬品賦活では、炭素質原料に対して、含浸させる薬品の質量比が活性化の重要な尺度で、質量比が小さい場合にはミクロ孔を生成し、質量比が大きくなるにつれて孔径の大きい細孔を発達させて細孔容積も増大する。
使用する硫酸は濃硫酸(濃度30〜40質量%程度)が好ましい。また含浸後の熱処理は、通常は非酸化性雰囲気中200〜300℃程度で4〜6時間程度行う。近年、KOHなどを用いる特殊な薬品賦活法により、石油コークスから比表面積3,000m2/g以上の活性炭が製造され、吸着容量が格段に優れていることが報告されている(H. March, D. Crawford: Carbon, 20, 419 (1982)、A. N. Wennerberg, T. M. O'Grady: US Patent 4082694)。我が国でも、石油コークス、石油ピッチ、石炭ピッチ、ヤシ殻など様々な炭材を用いて研究され、活性炭の高機能化が検討されている。特に、水蒸気賦活等の方法では細孔を生成することのできない光学的異方性ピッチ系炭素繊維のようなソフトカーボンに対して有効な方法である。この製造法では、質量比にして炭材原料の1〜5倍程度のアルカリ(主としてKOH)を用いている点が大きな特色であり、原料混合物を賦活性ガス雰囲気中で400〜900℃の所定の温度で処理して賦活する。反応後、内容物を取り出し、充分水洗いを繰り返すことにより、アルカリ分は溶出して活性炭が得られる。得られた活性炭は、比表面積と細孔容積がともに極めて大きな値となり、他の賦活法よりも吸着性能に優れた活性炭を製造できる可能性がある。このような賦活方法は、例えば、特開平5−247731にも示される。
活性炭による吸着特性は、本質的には活性炭の表面と吸着質分子との接触、及びその場における相互作用エネルギーによって決まる。従って、細孔分布と吸着質分子径との関係、及び吸着質分子の構造とその物性により相互作用の強度が重要となる。また、液相吸着では、多くの場合、多成分系競争吸着であり、溶媒中での溶質分子の状態が関係して複雑である。本発明者らは、硫黄化合物の吸着容量は、単に比表面積だけに比例するのではないことを見出した。比表面積が大きい粉末活性炭よりも相対的に比表面積の小さい繊維状活性炭の方が、吸着容量が大きい。様々な原因が考えられるが、活性炭の細孔構造が大きく影響しているものと考えられる。
繊維状活性炭は、炭素繊維を活性炭原料として用いたものであり、粒状活性炭と比較した場合、吸着速度が非常に大きいこと、低濃度における吸着量が高いこと、フェルト状など多様な形状に加工可能であることなどの特長を有する。一般に炭素繊維とは、PAN(ポリアクロニトリル)繊維、強力レーヨン、石油ピッチ、石炭ピッチ等を溶融紡糸したピッチ繊維を用い、空気中200〜400℃で熱酸化架橋反応を行った後、窒素中800〜1500℃で熱処理し、2000℃で熱処理して炭素含有量の高い黒鉛化した繊維である。
ピッチには、等方性ピッチと異方性ピッチがある。等方性ピッチから製造された炭素繊維は安価であるが、分子配向性が悪いため強度が低い。これに対し光学的異方性(メソフェース)ピッチから製造される炭素繊維は、高度の分子配向性を有しており、優れた機械的性質を示す。光学的異方性ピッチ系炭素繊維においては、繊維内部における黒鉛層面の配向制御が重要である。この配向は、紡糸時のピッチ粘度、紡糸速度、冷却速度、ノズル構造等の紡糸工程においてほぼ制御される。吸着剤用途の光学的異方性ピッチ系活性炭素繊維は、繊維中の黒鉛層面の配向がいわゆるラジアル配向であることが好ましい。紡糸方法としては、溶融紡糸、遠心紡糸、渦流紡糸、メルトブロー紡糸等があるが、いずれの方法を用いてもよい。
ピッチは、熱可塑性有機化合物であり、繊維形態を保持したまま炭化処理するためには、紡糸の後、通常は不融化処理が行われ、不融化繊維が得られる。この不融化は常法により液相、気相で連続的に不融化処理することが可能であるが、通常、空気、酸素、NO2等の酸化性雰囲気中で行う。例えば、空気中での不融化においては、平均昇温速度1〜15℃/分で、処理温度範囲が100〜350℃程度の温度域で行われる。
不融化繊維は、そのままでも次の賦活処理工程に用いることが出来るが、低揮発分を多く含むため、軽度炭化処理を行い、軽度炭化繊維とすることが望ましい。この処理は、窒素等の不活性ガス中で行われるが、処理温度範囲としては400℃以上700℃以下である。不融化繊維或いは軽度炭化繊維は、マット、フェルト状のままでも賦活し吸着剤とすることが出来るが、薬品との均一混合、賦活反応による表面の均一性のために、賦活前に粉砕(ミルド化)することも可能である。過度に細かいと均一な賦活が困難となるので5μm以上とすることが好ましい。ミルド化の方法としては、ビクトリーミル、ジェットミル、クロスフローミル、高速回転ミル等を用いることが有効である。ミルド化を効率よく行うためには、例えばブレードを取付けたローターを高速で回転することにより、繊維を寸断する方法が適切である。
本発明の活性炭吸着剤は、粒状、繊維状、粉末又は成形品のいずれでも使用することが可能であるが、連続的に使用し、繰り返し再生する場合には、活性炭の成形品として使用することが好ましい。形状は、粒状、ハニカム状、マット状、フェルト状などとすることができる。粒状で使用する場合には、充填密度、吸着速度及び圧力損失の関係から、例えば、0.3から3mm程度の小さな球形に近い形状が好ましい。成形品として使用する場合には、粉末を成形した後、炭化処理し、次いで賦活処理しても良いし、賦活化処理後に成形し、乾燥及び焼成しても良い。成形する際には必要に応じてバインダー(粘結剤)を使用することができる。バインダーとしては、たとえば、タールピッチ、タール相溶性樹脂、膨張黒鉛、リグニン、糖蜜、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース(CMC)、フェノール樹脂などの合成樹脂、ポリビニルアルコール、デンプン等の有機質系粘結剤、スメクタイト、水ガラス等の無機質系粘結剤などが例示される。これらの粘結剤は、成形できる程度に使用すればよく、特に限定されるものではないが、原料に対して通常0.05〜2重量%程度が使用される。シリカ、アルミナ、ゼオライトなどの無機物を混合して、活性炭が吸着しにくい硫黄化合物の吸着性能を向上したり、メソ孔及びマクロ孔の存在量を増やして硫黄化合物の拡散速度を向上しても良い。また、金属との複合化により吸着性能を向上させても良い。粒子の場合、通常、主に平均直径0.8〜1.7mmの不定形であり、担体の破壊強度が3.0kg/ペレット以上、特には3.5kg/ペレット以上であることが吸収剤の割れを生じないので好ましい。
〔吸着剤の組み合わせ〕 吸着剤は、上述のように2種類以上となる場合もある。複数種類の吸着剤の配置方法は、炭化水素と順次接触させる方法、吸着剤を物理的に混合した後に接触させる方法、吸着剤粒子を製造する際に、混合して同一粒子とした物に接触させる方法などがある。
炭化水素と順次接触させる方法は、吸着除去が容易な硫黄化合物に対する吸着剤から配置することにより、吸着除去が困難な硫黄化合物を効率的に吸着除去できること、特殊な吸着剤をわざわざ製造する必要がないことなどから、好ましく用いられる。吸着除去が容易かどうかは各硫黄化合物の濃度に依存すること、また、差圧や吸着剤の量、再生の容易さなども大きな要因であることから、吸着剤の順番は一概には言えないが、メルカプタン類の吸着除去は比較的容易である場合が多いので、最初にメルカプタン類吸着除去のための吸着剤と接触させることが好ましい場合が多い。また、メルカプタン類が金属系吸着剤と接触するとジスルフィド類が生成する場合が有ることからも、メルカプタン類吸着除去のための吸着剤は、上流に配置することが好ましい。メルカプタン類に次いで吸着除去が容易な場合が多いのは鎖状スルフィド類なので、メルカプタン類吸着除去のための吸着剤の次には鎖状スルフィド類吸着除去のための吸着剤を接触させることが好ましい場合が多い。一方、吸着除去が最も困難なのはチオフェン類であるので、チオフェン類吸着除去のための吸着剤は最後に接触させることが好ましい場合が多い。次いで困難なのはベンゾチオフェン類であるので、ベンゾチオフェン類吸着除去のための吸着剤はチオフェン類吸着除去のための吸着剤が接触する直前に接触させることが好ましい場合が多い。
〔接触の条件〕 接触させる条件としては、圧力は、常圧〜50kg/cm2G、好ましくは常圧〜10kg/cm2G、特には0.1〜3kg/cm2Gが好ましい。流量は、LHSVで0.1〜100hr−1、特には0.5〜20hr−1が好ましい。吸着処理を行う温度は、150℃以下が好ましく、特には0〜100℃が好ましい。硫黄化合物のうち、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類については、概ね低い吸着温度の方での吸着容量が大きい。特に、150℃より高い温度では、チオフェン類の吸着容量が著しく小さい。メルカプタン類については、金属系吸着剤や酸化亜鉛に対しては高い吸着温度の方が好ましいが、酸化銅担持アルミナに対しては温度の影響は少ないので、室温でも十分に活性を有する。
吸着剤は、吸着剤の前処理として、吸着した微量の水分を除去することが好ましい。水分が吸着していると、硫黄化合物の吸着を阻害するばかりか、炭化水素導入開始直後に吸着剤から脱離した水分が炭化水素に混入する。ゼオライト、酸化銅担持吸着剤、酸化亜鉛、シリカゲル、アルミナは130〜500℃、望ましくは350〜450℃程度で乾燥することが好ましい。不定形活性炭及び繊維状活性炭の場合は、空気などの酸化雰囲気下ならば100〜200℃程度で乾燥することが好ましい。200℃以上では酸素と反応して重量が減少するので好ましくない。一方、窒素などの非酸化雰囲気下では100〜800℃程度で乾燥することが可能である。400〜800℃で熱処理を行うと、有機物や含有酸素が除去され、吸着性能が向上するので特に好ましい。
吸着剤の脱着再生は、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、不定形活性炭、繊維状活性炭については、吸着脱硫後の吸着剤は、トルエン、アルコール、アセトンなどの溶剤による洗浄、窒素雰囲気下での加熱、減圧下での加熱などにより、容易に脱着再生させ、繰り返し使用することが可能である。特に、非酸化雰囲気下(通常は窒素雰囲気下)及び/又は減圧下で加熱することにより、短時間で十分な再生が可能である。また、直接的に脱着剤としては機能しないが、加熱源として水又は水蒸気を使用することも可能である。金属系吸着剤や酸化亜鉛の場合は、溶剤による洗浄、窒素雰囲気下での加熱、減圧下での加熱などによる脱着再生は限定的である。還元及び/又は酸化により硫黄分を除去する必要がある。
以下本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
〔酸化遷移金属担持アルミナ吸着剤〕 酸化遷移金属担持アルミナ吸着剤として、オリエントキャタリスト社製酸化銅担持アルミナNK−311(銅含有量:7.6質量%、比表面積S:264m2/g、X=0.3×S+120=199、Y=0.02、Ta=8、Tb=2、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=2、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=1、Pb=0.3、Pc=0.3、Pd=0.3、Pe=0.5、Pf=0.1)を粉末にしたもの(以下、「酸化銅担持アルミナ」という)、及び酸化ニッケル担持アルミナ(酸化ニッケル含有量:50質量%、比表面積S:50m2/g、X=0.3×S+120=135、Y=0.02、Ta=8、Tb=2、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=2、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=1、Pb=0.3、Pc=0.3、Pd=0.3、Pe=0.5、Pf=0.1)を粉末にしたもの(以下、「ニッケル担持アルミナ」という)を用いた。
〔酸化亜鉛系吸着剤〕 酸化亜鉛吸着剤として、オリエントキャタリスト社製酸化亜鉛吸着剤NK−301H(酸化亜鉛含有量:99質量%、比表面積S:10m2/g、X=0.3×S+120=123、Y=0.02、Ta=8、Tb=2、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=2、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=1、Pb=0.1、Pc=0.05、Pd=0.05、Pe=0.05、Pf=0.1)を粉末にしたもの(以下、「酸化亜鉛」という)を用いた。
〔Y型ゼオライト吸着剤〕 Y型ゼオライト吸着剤として、東ソー株式会社製NaY型ゼオライト粉末HSZ−320NAA(SiO2/Al2O3比:5.5mol/mol、比表面積S:700m2/g、X=0.4×S=280、Y=0.5、Ta=1、Tb=2、Tc=5、Td=3、Te=2、Tf=5、Ua=0.5、Ub=0.5、Uc=0.8、Ud=0.8、Ue=0.8、Uf=0.8、Pa=1、Pb=0.8、Pc=1、Pd=1、Pe=1、Pf=1)を用いた(以下、「NaY型ゼオライト」という)。
〔X型ゼオライト系吸着剤〕 X型ゼオライト吸着剤として、和光純薬工業社製NaX型ゼオライト粉末F−9(SiO2/Al2O3比:2.5mol/mol、比表面積S:591m2/g、X=0.4×S=236、Y=0.1、Ta=1、Tb=2、Tc=5、Td=3、Te=2、Tf=5、Ua=0.5、Ub=0.5、Uc=0.8、Ud=0.8、Ue=0.8、Uf=0.8、Pa=1、Pa=1、Pb=0.8、Pc=1、Pd=0.8、Pe=1、Pf=0.5)を用いた(以下、「NaX型ゼオライト」という)。
〔L型ゼオライト系吸着剤〕 L型ゼオライト吸着剤として、東ソー株式会社製KL型ゼオライト粉末HSZ−500KOA(SiO2/Al2O3比:6.1mol/mol、比表面積S:280m2/g、X=0.4×S=112、Y=0.035、Ta=1、Tb=2、Tc=5、Td=3、Te=2、Tf=5、Ua=1、Ub=1、Uc=1.6、Ud=1.6、Ue=1.6、Uf=1.6、Pa=1、Pb=1、Pc=0.8、Pd=0.8、Pe=0.8、Pf=0.3)を用いた(以下、「KL型ゼオライト」という)。
〔モルデナイト吸着剤〕 モルデナイト吸着剤として東ソー株式会社製Naモルデナイト粉末HSZ−642NAA(SiO2/Al2O3比:18.3mol/mol、比表面積S:360m2/g、X=0.4×S=144、Y=0.015、Ta=1、Tb=2、Tc=5、Td=3、Te=2、Tf=5、Ua=1、Ub=1、Uc=1.6、Ud=1.6、Ue=1.6、Uf=1.6、Pa=0.5、Pb=1、Pc=0.3、Pd=0.3、Pe=0.1、Pf=0.05)を用いた(以下、「Naモルデナイト」という)。
〔フェリエライト吸着剤〕 フェリエライト吸着剤として、東ソー株式会社製Kフェリエライト粉末HSZ−720KOA(SiO2/Al2O3比:18.2mol/mol、比表面積S:170m2/g、X=0.4×S=68、Y=0.003、Ta=1、Tb=2、Tc=5、Td=3、Te=2、Tf=5、Ua=1、Ub=1、Uc=1.6、Ud=1.6、Ue=1.6、Uf=1.6、Pa=0.5、Pb=1、Pc=0.1、Pd=0.1、Pe=0.05、Pf=0.03)を用いた(以下、「Kフェリエライト」という)。
〔不定形活性炭吸着剤〕 不定形活性炭吸着剤としてAldrich社製不定形活性炭粉末Darco KB(比表面積S:1,500m2/g、X=0.15×S+50=275、Y=0.02、Ta=2、Tb=1、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=6、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=0.4、Pb=0.3、Pc=0.4、Pd=0.4、Pe=0.7、Pf=1)を用いた(以下、「不定形活性炭」という)。
〔繊維状活性炭吸着剤〕 繊維状活性炭吸着剤として、繊維状活性炭A粉末(比表面積S:2,669m2/g、全細孔容積:1.36cm3/g、平均細孔径:20Å、マイクロポア比表面積:2,630m2/g、マイクロポア細孔容積:1.29cm3/g、X=0.15×S+50=450、Y=0.02、Ta=2、Tb=1、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=6、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=0.2、Pb=0.3、Pc=0.3、Pd=0.4、Pe=0.7、Pf=1)、繊維状活性炭B粉末(比表面積S:1,155m2/g、全細孔容積:0.44cm3/g、平均細孔径:15Å、マイクロポア比表面積:1,137m2/g、マイクロポア細孔容積:0.40cm3/g、X=0.15×S+50=223、Y=0.02、Ta=2、Tb=1、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=6、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=0.2、Pb=0.3、Pc=0.3、Pd=0.4、Pe=0.7、Pf=1)、及び、繊維状活性炭Cとして短繊維状(クラレケミカル社製繊維状活性炭FR−25、比表面積S:2,749m2/g、全細孔容積:0.96cm3/g、平均細孔径:14Å、マイクロポア比表面積:2,741m2/g、マイクロポア細孔容積:0.94cm3/g、X=0.15×S+50=462、Y=0.02、Ta=2、Tb=1、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=6、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=0.2、Pb=0.3、Pc=0.3、Pd=0.4、Pe=0.7、Pf=1)を用いた。
〔アルミナ吸着剤〕 アルミナ吸着剤として、Alcoa社製活性アルミナF−200(比表面積S:350m2/g、X=0.15×S+50=103、Y=0.02、Ta=2、Tb=2、Tc=2、Td=1、Te=2、Tf=2、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=1、Pb=0.6、Pc=0.3、Pd=0.6、Pe=1、Pf=0.3)を粉末にしたもの(以下、「活性アルミナ」という)を用いた。
〔シリカゲル吸着剤〕 シリカゲル吸着剤として、和光純薬工業社製シリカゲルWAKOGEL-G(比表面積S:687m2/g、X=0.15×S+50=153、Y=0.05、Ta=2、Tb=8、Tc=5、Td=1、Te=2、Tf=2、Ua=1、Ub=1、Uc=1、Ud=1、Ue=1、Uf=1、Pa=0.8、Pb=0.8、Pc=1、Pd=0.7、Pe=1、Pf=0.1)を粉末にしたもの(以下、「シリカゲル」という)を用いた。
〔吸着剤の前処理〕 酸化銅担持アルミナ、酸化亜鉛、NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、Naモルデナイト、シリカゲル及び活性アルミナは400℃で3時間、不定形活性炭及び繊維状活性炭は150℃で3時間乾燥した。
〔モデル油の調製〕 6種類の硫黄化合物タイプ(メルカプタン類、鎖状スルフィド類、環状スルフィド類、チオフェン類、ベンゾチオフェン類、ジベンゾチオフェン類)について、n−ブチルメルカプタン(BM)、ジメチルスルフィド(DMS)、テトラヒドロチオフェン(THT)、2−メチルチオフェン(2MT)、ベンゾチオフェン(BT)、ジベンゾチオフェン(DBT)をそれぞれモデル硫黄化合物として選定し、デカン溶媒(ノルマルデカン)、トルエン溶媒或いはデカンとトルエンの混合溶媒で各硫黄化合物濃度を10質量%に稀釈したモデル油を調製した。
〔モデル油の浸せき式吸着実験方法〕 各モデル油4.0gに各吸着剤1.0gを室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後のモデル油に含まれる硫黄化合物含有量をガスクロマトグラフで分析することにより吸着剤の吸着容量を測定した。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−1〕 デカン溶媒でBMを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:0質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:1、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表1に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、酸化銅担持アルミナの吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−2〕 トルエン溶媒でBMを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:90質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:1、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表2に示す。吸着剤選択指数の大きい酸化銅担持アルミナ、ニッケル担持アルミナ、酸化亜鉛、NaX型ゼオライトの吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−3〕 デカン溶媒でDMSを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:0質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:1、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表3に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライトの吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−4〕 トルエン溶媒でDMSを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:90質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:1、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表4に示す。吸着剤選択指数の大きいNaX型ゼオライト、Naモルデナイト、Kフェリエライト、シリカゲルの吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−5〕 デカン溶媒でTHTを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:0質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:1、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表5に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライトの吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−6〕 トルエン溶媒でTHTを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:90質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:1、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表6に示す。吸着剤選択指数の大きいNaX型ゼオライト、シリカゲル、活性炭の吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−7〕 デカン溶媒で2MTを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:0質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:1、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表7に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライトの吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−8〕
デカン溶媒とトルエン溶媒とを7:3で混合した溶媒で2MTを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:27質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:1、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表8に示す。吸着剤選択指数の大きいNaX型ゼオライト、活性炭の吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−9〕 デカン溶媒でBTを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:0質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:1、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表9に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、活性炭の吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−10〕 デカン溶媒とトルエン溶媒とを7:3で混合した溶媒でBTを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:27質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:1、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表10に示す。吸着剤選択指数の大きいNaX型ゼオライト、活性炭の吸着容量が大きいことがわかる。
〔モデル油の浸せき式吸着実験−11〕 トルエン溶媒でDBTを10質量%に稀釈したモデル油(芳香族分A:90質量%、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:1)について、各種吸着剤の吸着実験を実施した。吸着剤選択指数と吸着容量を表11に示す。吸着剤選択指数の大きい活性炭の吸着容量が大きいことがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−1〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト及び繊維状活性炭Aについて、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。流動接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:21質量%、全硫黄分:62ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0.02、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.15、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.03、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.19、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0.58、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.7115g/ml、窒素分23ppm、沸点範囲25.5〜212.5℃)に、燃料油:吸着剤=20g:3gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表12に示す。吸着剤選択指数の大きい活性炭、NaX型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−2〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、繊維状活性炭C、NaY型ゼオライトと繊維状活性炭Cを50質量%:50質量%の比率で混合したもの及びNaX型ゼオライトと繊維状活性炭Cを50質量%:50質量%の比率で混合したものについて、ガソリンの吸着脱硫性能を評価した。FCCガソリン基材(芳香族分A:21質量%、全硫黄分:31ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0.03、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.39、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.03、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.32、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0.23、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.7283g/ml、窒素分10ppm、沸点範囲33.5〜212.0℃)に、FCCガソリン基材:吸着剤=20g:2gの比率で吸着剤を10℃で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表13に示す。吸着剤選択指数の大きい50質量%NaX型ゼオライト+50質量%繊維状活性炭C、100質量%NaX型ゼオライト、100質量%繊維状活性炭Cの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−3〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト及び繊維状活性炭A及び繊維状活性炭Bについて、軽油の吸着脱硫性能を評価した。超深度脱硫軽油A(芳香族分A:18質量%、全硫黄分:38ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0.03、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0.97、密度(15℃)0.8377g/ml、窒素分1ppm、沸点範囲206.0〜367.0℃)に、軽油A:吸着剤=20g:3gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表14に示す。吸着剤選択指数の大きい繊維状活性炭の場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−4〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、繊維状活性炭A及び繊維状活性炭Bについて、軽油の吸着脱硫性能を評価した。超深度脱硫軽油B(芳香族分A:20質量%、全硫黄分:31ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0.03、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0.97、密度(15℃)0.8377g/ml、窒素分2ppm、沸点範囲171.5〜374.0℃)に、軽油B:吸着剤=20g:3gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表15に示す。吸着剤選択指数の大きい繊維状活性炭の場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−5〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、酸化銅担持アルミナ、酸化ニッケル担持アルミナ及び酸化亜鉛について、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:30質量%、全硫黄分:77ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0.19、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.02、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.04、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.41、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0.33、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.7406g/ml、窒素分30ppm、沸点範囲36.5〜203.0℃)に、燃料油:吸着剤=6g:1gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表16に示す。吸着剤選択指数の大きいNaX型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−6〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライト、Naモルデナイト及びKフェリエライトについて、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:27質量%、全硫黄分:39ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0.52、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.01、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.04、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.25、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0.19、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.7276g/ml、窒素分21ppm、沸点範囲26.0〜215.0℃)に、燃料油:吸着剤=9g:2gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表17に示す。吸着剤選択指数の大きいNaX型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−7〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、酸化銅担持アルミナ、酸化ニッケル担持アルミナ及び酸化亜鉛について、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:2質量%、全硫黄分:19ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0.60、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.01、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.01、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.38、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.6634g/ml、窒素分<1ppm、沸点範囲32.0〜105.5℃)に、燃料油:吸着剤=6g:1gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表18に示す。吸着剤選択指数の大きいNaX型ゼオライト、NaY型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−8〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライト、Naモルデナイト、Kフェリエライト及び酸化銅担持アルミナについて、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:1質量%、全硫黄分:3ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0.24、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.10、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.66、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.6568g/ml、窒素分<1ppm、沸点範囲31.0〜88.5℃)に、燃料油:吸着剤=9g:2gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表19に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−9〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライト、Naモルデナイト、Kフェリエライト及び酸化銅担持アルミナについて、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:2質量%、全硫黄分:17ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.55、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.01、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.43、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.6667g/ml、窒素分4ppm、沸点範囲32.5〜114.0℃)に、燃料油:吸着剤=9g:2gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表20に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−10〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライト、Naモルデナイト、Kフェリエライト及び酸化銅担持アルミナについて、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:2質量%、全硫黄分:26ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.49、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.02、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.49、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.6704g/ml、窒素分5ppm、沸点範囲32.5〜121.0℃)に、燃料油:吸着剤=9g:2gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表21に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−11〕 NaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライト、Naモルデナイト及びKフェリエライトについて、ガソリン基材の吸着脱硫性能を評価した。接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:2質量%、全硫黄分:24ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0.54、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.02、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.02、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.42、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.6704g/ml、窒素分3ppm、沸点範囲33.5〜102.5℃)に、燃料油:吸着剤=9g:2gの比率で吸着剤を室温で24時間以上浸せきし、浸せき前後の燃料油の硫黄濃度を測定した。吸着剤選択指数と浸せき後の硫黄濃度を表22に示す。吸着剤選択指数の大きいNaY型ゼオライト、NaX型ゼオライト、KL型ゼオライトの場合に硫黄濃度が低下していることがわかる。
〔燃料油の浸せき式吸着実験−12〕 NaY型ゼオライト成形品(バインダー:アルミナ20wt%、ペレット径:1.5mmφ)について、ガソリン基材の繰り返し吸着脱硫性能を評価した。NaY型ゼオライト成形品79gに、接触分解(FCC)ガソリン基材(芳香族分A:2質量%、全硫黄分:26ppm、全硫黄分に対するメルカプタン類の硫黄分の割合Ra:0、全硫黄分に対する鎖状スルフィド類の硫黄分の割合Rb:0.49、全硫黄分に対する環状スルフィド類の硫黄分の割合Rc:0.02、全硫黄分に対するチオフェン類の硫黄分の割合Rd:0.49、全硫黄分に対するベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Re:0、全硫黄分に対するジベンゾチオフェン類の硫黄分の割合Rf:0、密度(15℃)0.6704g/ml、窒素分5ppm、沸点範囲32.5〜121.0℃)を吸着剤が完全に浸せきされるまで注ぎ、15〜60分後にFCCガソリン基材を吸着剤から分離する操作を繰り返した。各回でのFCCガソリン基材注入液量及び硫黄濃度を表23に示す。7回目程度まで硫黄分は1ppm以下となることがわかる。