SRAMのメモリセルを4個のMOSトランジスタで構成することは、素子数が少ない分、メモリセルのチップ占有面積を小さくすることができる。しかしながら、4個のMOSトランジスタで構成されたメモリセル(「4Tメモリセル」という)は、以下に述べるように幾つかの欠点があるため、SRAMセル構成の主流には至らない。
〔1〕第1に、4Tメモリセルは情報を保持するための製造及び設計マージンの確保が難しい。
4Tメモリセルがアレイ状に配置されて成るSRAM(これを「4T−SRAM」と略記する)の情報保持条件を説明する。図3に示される4Tメモリセルは、互いにクロス結合された一対のドライバMOSトランジスタMN1,MN2と、この一対のドライバMOSトランジスタのクロス結合ノードを、ワード線WLの電位レベルに応じて、対応するデータ線対BL,BL*(*はローアクティブ又は信号反転を意味する)に結合するための一対のトランスファMOSトランジスタMP1,MP2とを含んで成る。上記ドライバMOSトランジスタMN1,MN2はnチャネル型とされ、上記トランスファMOSトランジスタMP1,MP2はpチャネル型とされる。MOSトランジスタMP1のドレインがハイレベル、MOSトランジスタMP2のドレインをローレベルとする。MOSトランジスタMP1が流すことができるドレイン電流をIt−1とし、MOSトランジスタMP2が流すことができるドレイン電流をIt−2とする。MOSトランジスタMP1とpチャンネル型MOSトランジスタMP2は、どちらもオフ電流であり、サブスレッショルド電流が流れる。サブスレッショルド電流は、熱励起で決まる電流であり、Vdsによる電流差は小さく、MOSトランジスタMP1とMOSトランジスタMP2は、殆ど同じオフ電流を流すことができる。
MOSトランジスタMN2がオンしており、It−2よりはるかに大きな電流駆動能力を持つためにローレベル電位の保持は容易である。
MOSトランジスタMN1はオフしており、そのリーク電流をId−1とすると、It−1よりId−1が小さいことがハイレベル電位の保持条件となる。
図4には4Tメモリセルの温度特性が示される。
図4において、Id−2はMOSトランジスタMN2のゲート電流、Id−3はMOSトランジスタMN1のバンド間トンネル電流(GIDL;Gate Induced Drain Leakage)、Id−4はMOSトランジスタMN1のサブスレッショルド電流である。Id−1は、Id−2とId−3とId−4の総和であり、温度に対して単独のリーク電流メカニズムでは決まらない複雑な電流特性をもつ。一方、ハイレベル電位を保持する必要性からId−1よりIt−1が大きいためにMOSトランジスタMP1に流れる電流はId−1となる。
チップ非選択モード時メモリセル消費電流は、It−2とId−1の和で表されるが、It−1よりId−1が小さいため、メモリセル消費電流はほぼIt−2で決定される。
図4において、It−2はメモリセル消費電流についての所定の規格値である。一方、ハイレベル電位を保持するために、Id−1に対してある程度マージンを持ってIt−1を全温度範囲で確保する必要がある。トランスファMOSトランジスタのオフリーク電流許容範囲は図4のIt−1とIt−2の間に入る必要がある。このように4T−SRAMを低スタンバイ電流で使用すると、It−2が小さくなり、トランスファMOSトランジスタのオフリーク電流許容範囲が狭くなる。
〔2〕第2に、4Tメモリセルは実用的な速度で動作させるのが困難とされる。
大容量SRAMで一般的に採用されている高抵抗負荷又は薄膜トランジスタ(「TFT」と略記する)負荷型等のメモリセルは、ウェーハ上にnチャネル型MOSトランジスタのみで構成されるためウェル分離を必要としない。それに対して、4Tメモリセルは、nチャネル型MOSトランジスタが2個とpチャネル型MOSトランジスタが2個で1ビットが構成されるために、ウェル分離が必要であり、その分、セルサイズが大きい。
セルサイズの縮小化を図るため、TFT型メモリセルで採用されているTFTをトランスファMOSトランジスタに適用することが考えられる。しかしながら、4T−SRAMのトランスファMOSトランジスタは、データ線を駆動するために大きな電流を流す必要がある。
しかしながら、TFTで採用されているMOSトランジスタは薄膜であり、大きな電流を流すことが難しく、実用的な速度で動作させることが困難である。
上記〔1〕,〔2〕の理由により、4Tメモリセルは制御が難しく、セルサイズが大きいため、工業的に採用されることが殆どなかった。
MOSトランジスタを薄膜から積層構造に変更することで4Tメモリセルの面積を縮小することができる。積層トランジスタを採用すると、トランスファMOSトランジスタのウェル領域にコンタクトを取り、トランスファMOSトランジスタのソース電位と同電位とすることが特性の安定上望ましいが、積層トランジスタのウェルにコンタクトをとると、メモリセル面積の増大や工程の増加が必要となる。そのために、ウェル領域をフローティングとするのが経済的に有利であるが、ウェル領域がフローテングになると、ヒストリー効果と称されるMOS特性変動があり、安定的なメモリセル動作を阻害する。次に、このヒストリー効果の影響について説明する。
図5のトランスファMOSトランジスタMP1において、ワード線がローレベルに遷移すると、ゲート・ウェル領域間容量C1によるカップリングによりウェルノードの電位が低下する。しかしながら図6に示されるように、ソース・ウェル領域間ダイオードD1がオンして、データ線電位はVfまでしか下がらない。その後、ハイレベルに遷移すると、ゲート・ウェル領域間容量C1によりウェルノードの電位が上昇する。その後、ウェルノードの電位は、図7に示されるように、ダイオードD1の逆方向リーク電流により徐々に低下する。
また、ハイレベルノード電位は、ワード線がローレベルに遷移すると、ゲート・ドレイン間容量C2カップリングにより低下しかける。しかしながら、トランスファMOSトランジスタMP1がオンするために、ハイレベルノード電位はデータ線電位近くまで速やかに上昇する。その後、図8に示されるように、ワード線がハイレベルに遷移すると、ゲート・ドレイン間容量C2により、ハイレベルノード電位はデータ線電位より上昇する。
このようにワード線を動作させた直後と、ワード線を動作させてから十分に時間が経過した場合とでは、トランスファMOSトランジスタのウェルノードの電位が異なり特性が変わってくる。このように、前の状態により特性が変化する現象を「ヒストリー効果」という。そしてこの場合、ウェルノードの電位が上昇すると、トランスファMOSトランジスタのしきい値(Vth)の絶対値が上昇し、前に述べたトランスファMOSトランジスタが流し得る電流が低下する。これにより、製造・設計マージンが低下する。
さらに、ハイレベルノードの上昇は、ドライバMOSトランジスタにとって過電圧印加となるため、4T−SRAMの信頼性の低下につながる。
本発明の目的は、半導体記憶装置の信頼性の向上を図るための技術を提供することにある。
本発明の別の目的は、半導体記憶装置の製造・設計マージンの拡大を図るための技術を提供することにある。
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、複数のワード線と、このワード線に交差するように配置された複数のデータ線と、上記ワード線と上記データ線との交差箇所に設けられたメモリセルと、上記メモリセルからのデータ読み出し又は上記メモリセルへのデータ書き込みが可能とされるチップ選択モードと、上記メモリセルからのデータ読み出し及び上記メモリセルへのデータ書き込みが不可能とされるチップ非選択モードとの切り換えを可能とするモード切り換え手段とを含む半導体記憶装置において、上記メモリセルは、互いにクロス結合された一対のドライバMOSトランジスタと、上記一対のドライバMOSトランジスタのクロス結合ノードを、上記ワード線の電位レベルに応じて上記データ線に結合可能な一対のトランスファMOSトランジスタとを含んで構成する。そして、上記チップ選択モード時の非選択ワード線に接続されたメモリセルにおける上記トランスファMOSトランジスタに流れる電流を、上記チップ非選択モード時よりも大きくなるように制御可能な制御手段を設ける。
上記の手段によれば、上記制御手段は、上記チップ選択モード時の非選択ワード線に接続されたメモリセルにおける上記トランスファMOSトランジスタに流れる電流を、上記チップ非選択モード時よりも大きくなるように制御する。このことが、チップ選択モード時のトランスファMOSトランジスタのオフ電流を増大させ、ヒストリー効果でトランスファMOSトランジスタのオフ電流が低減することに起因する情報破壊の防止を達成する。
また、上記トランスファMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧を制御することにより、上記チップ選択モードの非選択ワード線に接続されたメモリセルにおける上記トランスファMOSトランジスタのオフ電流を、上記チップ非選択モード時におけるオフ電流よりも増大させるための制御手段を設けるようにしても、上記手段と同様に、ヒストリー効果でトランスファMOSトランジスタのオフ電流が低減することに起因する情報破壊の防止を達成する。
そしてチップ非選択時の低消費電力化と、チップ選択時の高ノイズ耐性の向上を達成するには、チップ選択モード時における非選択データ線電位レベルが、上記チップ非選択モード時よりも高くなるように制御可能な制御手段を設けると良い。
さらに、非選択ワード線の電位レベルを決定するための電源回路は、上記トランスファMOSトランジスタのゲート電圧レベルにかかわらず、上記トランスファMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧を所定レベルに制限するためのリファレンス電圧を生成するリファレンス回路と、上記リファレンス回路の出力電圧に基づいて、上記非選択ワード線に供給される電圧を出力可能な出力回路とを含んで構成することができる。
上記リファレンス回路は、上記トランスファMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧を所定レベルに制限し、このことが、必要以上に低リーク負荷となるのを防止する。上記リファレンス回路は、上記データ線に供給される電圧が印加される第1MOSトランジスタと、上記第1MOSトランジスタに直列接続された定電流源と、上記第1MOSトランジスタと上記定電流源との直列接続ノードの電圧が供給される非反転入力端子と、上記データ線に供給される電圧が印加される反転入力端子とを有する演算増幅器とを含めることで容易に構成することができる。このとき、上記演算増幅器は、上記非反転入力端子からの信号取り込みを可能とする第2MOSトランジスタと、上記第2MOSトランジスタに差動結合され、上記反転入力端子からの信号取り込みを可能とする第3MOSトランジスタとを含んで構成することができる。その場合において、上記第2MOSトランジスタと上記第3MOSトランジスタとのゲート幅の比率によって所定のオフセットを容易に設定することができる。
上記メモリセルを構成するMOSトランジスタの温度、製造ばらつきを補正するには、上記第1MOSトランジスタを、上記メモリセルにおける上記トランスファMOSトランジスタと等しい構造とし、上記定電流源には、上記メモリセルにおける上記ドライバMOSトランジスタと等しい構造の第2MOSトランジスタを並列接続すると良い。
チップ選択モード時においてヒストリー効果によりトランスファMOSトランジスタMP1のウェルノードの電位が上がってトランスファMOSトランジスタのオフ電流が低下するのを回避するには、上記チップ選択モードからチップ非選択モードへ遷移されるとき、上記差動回路の出力ノードを一時的にローレベルにすることにより、上記第1MOSトランジスタのウェルノードの電位を上昇可能な第4MOSトランジスタを設けると良い。
メモリセルのチップ占有面積の低減を図るには、上記トランスファMOSトランジスタを、上記ドライバMOSトランジスタに縦積みすると良い。その場合において、上記トランスファMOSトランジスタをpチャンネル型MOSトランジスタとすることができる。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、トランスファMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧を制御して、チップ選択モード時のトランスファMOSトランジスタのオフ電流を多くすることにより、ヒストリー効果でトランスファMOSトランジスタのオフ電流が低減することに起因する情報破壊を防止することができるため、半導体記憶装置の信頼性の向上を図ることができる。
また、チップ非選択時のデータ線電位を低下させてメモリセルのハイノード電位を低減することにより、バンド間トンネル電流(GIDL)や、ゲートリーク等のデバイスリーク電流を低減することができるので、製造・設計マージンを拡大することができる。
図10には、本発明にかかる半導体記憶装置の一例である4T−SRAMの構成例が示される。図10に示されるように、この4T−SRAM100は、特に制限されないが、電源回路11、ロウデコーダ12、カラムデコーダ13、I/Oバッファ14、センスアンプ及びライトドライバ15、カラム選択回路16、メモリセルアレイ17を含む。
上記メモリセルアレイ17は、複数のワード線WLと、このワード線WLに交差するように配置された複数のビット線対BL,BL*と、上記ワード線と上記ビット線との交差箇所に配置された複数の4TメモリセルMCとを含む。この4TメモリセルMCは後に詳述するように、スタティック型メモリセルとされる。
ロウデコーダ12は、チップセレクト信号CSがイネーブル状態とされた状態で、ロウアドレス信号をデコードすることにより、上記複数のワード線WLの中から1本のワード線WLを選択レベルに駆動するための信号を生成する。チップセレクト信号CSがディスエーブル状態とされた期間(チップ非選択モード時)においては、全てのワード線は非選択レベルとされる。
電源回路11は、後に詳述するように、チップセレクト信号CSに基づいて、ワード線WLやビット線対BL,BL*の電位をチップ選択モード時とチップ非選択モード時とで切り換える機能を含む。このとき、チップセレクト信号CSは、チップ選択モード時とチップ非選択モード時とを識別するのに利用される。例えば、チップセレクト信号CSがイネーブルとされている場合には、4T−SRAM100はチップ選択モードとされ、メモリセルアレイ17からのデータ読み出しや、当該メモリセルへのデータ書き込みが可能とされる。それに対して、チップセレクト信号CSがディスエーブルの場合には、4T−SRAM100はチップ非選択モードとされ、データのリードライトは不可能とされる。
カラムデコーダ13は、入力されたカラムアドレス信号をデコードすることにより、カラム選択信号を生成する。このカラム選択信号はカラム選択回路16に伝達される。
I/Oバッファ14は、上記メモリセルアレイ17からの読み出しデータを外部出力したり、メモリセルアレイ17への書き込みデータを外部から取り込む。
センスアンプ及びライトドライバ15は、上記メモリセルアレイ17からの読み出しデータを増幅するセンスアンプ部と、メモリセルアレイ17への書き込みデータに基づいてコモン線やビット線を駆動するためのライトドライバ部とを含む。
カラム選択回路16は、上記カラムデコーダ13からのカラム選択信号に基づいて、上記複数のビット線対BL,BL*をコモン線に選択的に結合するための複数のカラムスイッチを含んで成る。カラム選択信号に基づいてビット線対BL,BL*が選択的にコモン線に結合されることにより、当該ビット線を介して、対応するメモリセルからのデータ読み出し、及び対応するメモリセルへのデータ書き込みが可能とされる。
図1には、上記電源回路11の構成例が示される。
図1に示されるように、上記電源回路11は、第1電源回路111と、第2電源回路112とを含んで成る。第1電源回路111は、第1高電位側電圧Vdd1を出力する。この第1高電位側電圧Vdd1は、プリチャージ用のpチャンネル型MOSトランジスタMP3,MP4を介してデータ線対BL,BL*に供給される。第2電源回路112は、第2高電位側電圧Vdd2を生成する。この第2高電位側電圧Vdd2は、ロウデコーダ12にその動作用電源として給電される。本例では、4TメモリセルMCは、ハイレベル電位(Vdd2レベル)が非選択状態とされる。
4TメモリセルMCは、互いにクロス結合された一対のnチャネル型のドライバMOSトランジスタMN1,MN2と、この一対のMOSトランジスタのクロス結合ノードを、ワード線WLの電位レベルに応じて、対応するデータ線対BL,BL*(*は信号反転を意味する)に結合するための一対のpチャネル型のトランスファMOSトランジスタMP1,MP2とを含んで成る。pチャネル型MOSトランジスタMP3,MP4は、データ線BL,BL*のプリチャージ用の素子であり、所定のプリチャージ制御信号CONTによって動作制御される。
第1高電位側電圧Vdd1は、プリチャージ用のpチャネル型MOSトランジスタMP3を介してトランスファMOSトランジスタMP1,MP2のソース電極に伝達され、第2高電位側電圧Vdd2は、ロウデコーダ12を介してトランスファMOSトランジスタMP1,MP2のゲート電極に伝達される(図2参照)。このとき、トランスファMOSトランジスタMP1,MP2のオフ電流を以下のように制御することができる。
チップ選択モード時においては、図2に示されるように、第1高電位側電圧Vdd1、第2高電位側電圧Vdd2がトランスファMOSトランジスタMP1,MP2に印加された場合において、トランスファMOSトランジスタMP1,MP2のオフ時にソース・ドレインに流れる電流(オフ電流)の絶対値が、チップ非選択モード時のオフ電流の絶対値より大きくなるように電源回路11において制御される。このオフ電流の制御は、トランスファMOSトランジスタMP1,MP2のゲート・ソース間電圧Vgsを制御することにより実現される。すなわち、動作時のゲート・ソース間電圧Vgsを、チップ非選択モード時のゲート・ソース間電圧Vgsより小さくすることでオフ電流が制御される。このようなゲート・ソース間電圧Vgsは、電源回路11の出力電圧(Vdd1,Vdd2)レベルを切り換えることで可能とされる。チップ選択モードとチップ非選択モードとの切り換えは、この4T−SRAM100に供給されるチップセレクト信号CSに基づいて行われる。すなわち、チップセレクト信号CSがイネーブル状態とされると、ロウデコーダ12によってロウアドレス信号のデコードが行われることで、対応するワード線WLが選択レベルに駆動され、メモリセルアレイ17からのデータ読み出し又はメモリセルアレイ17へのデータ書き込みが可能とされる。これがチップ選択モード(通常動作モード)とされる。これに対して、チップセレクト信号CSがディスエーブル状態とされると、ロウデコーダ12によって全てのワード線WLは非選択レベルに固定され、メモリセルアレイ17からのデータ読み出し及びメモリセルアレイ17へのデータ書き込みが不可能とされる。これがチップ非選択モード(待機モード)とされる。上記チップセレクト信号CSは、ロウデコーダ12を介して上記電源回路11へ伝達される。上記電源回路11は、上記チップセレクト信号CSに基づいて上記トランスファMOSトランジスタMP1,MP2のオフ電流制御を行う。このような意味で電源回路11は、本発明における制御手段の一例とされる。
図11には、上記第1電源回路111の構成例が示される。
上記第1電源回路111は、特に制限されないが、図11に示されるように、第1定電圧Vrefを発生させるための第1定電圧発生回路111Aと、その後段に配置され、上記第1定電圧Vrefに基づいて第1高電位側電圧Vdd1を形成するための第1電圧出力部111Bと、第2定電圧Vref2を発生させるための第2定電圧発生回路111Cと、上記第2定電圧Vref2に基づいて第1高電位側電圧Vdd1を形成するための第2電圧出力部111Dとを含んで成る。上記pチャネル型MOSトランジスタMP5,MP6,MP7,MP8のソース電極は、高電位側電源Vddに結合されている。上記第1電圧出力部111Bは、pチャネル型MOSトランジスタMP5,MP6、nチャネル型MOSトランジスタMN3,MN4,MN5が結合されて成る差動アンプと、この差動アンプの出力電圧を出力するためのpチャネル型MOSトランジスタMP8と、チップセレクト信号CSに応じて上記pチャネル型MOSトランジスタMP8のゲート電圧を制御するためのpチャネル型MOSトランジスタMP7とを含んで成る。第1定電圧Vrefは、第2定電圧Vrefよりも電圧レベルが高く設定されている。
チップセレクト信号CSは、pチャネル型MOSトランジスタMP7のゲート電極と、nチャネル型MOSトランジスタMN5のゲート電極に伝達される。上記第1定電圧発生回路111Aから出力された第1定電圧Vref1はnチャネル型MOSトランジスタMN3のゲート電極に伝達される。チップセレクト信号CSがハイレベル(イネーブル)のとき、nチャネル型MOSトランジスタMN5がオンされ、pチャネル型MOSトランジスタMP7がオフされることで、上記第1定電圧Vref1に基づく電圧出力が行われる。このとき、第1高電位側電圧Vdd1は、第1定電圧Vrefにほぼ等しくされる。
これに対してチップセレクト信号CSがローレベル(ディスエーブル)のとき、nチャネル型MOSトランジスタMN5がオフされ、pチャネル型MOSトランジスタMP7がオンされる。nチャネル型MOSトランジスタMN5がオフされることで差動アンプは非動作状態とされる。pチャネル型MOSトランジスタMP7がオンされることでpチャネル型MOSトランジスタMP8がオフされ、第1電圧出力部111Bは高インピーダンス状態とされることから、第1定電圧Vref1に基づく電圧出力は行われない。このとき、第2電圧出力部111Dを介して電圧出力が行われているため、第1高電位側電圧Vdd1は、第2定電圧Vref2にほぼ等しくされる。このように第1電源回路111から出力される高電位側電圧Vdd1の電圧レベルをチップセレクト信号CSに基づいて切り換えることができる。
図12には、上記第2電源回路112の構成例が示される。
第2電源回路112は、図12に示されるように、上記第1高電位側電圧Vdd1に基づいて、それよりも僅かに低い第3定電圧(例えばVdd1−50mV)Vref3を発生させるための第3定電圧発生回路112Aと、その後段に配置され、上記第3定電圧Vref3に基づいて第2高電位側電圧Vdd2を形成するための第3電圧出力部112Bと、第2定電圧Vref2に基づいて、それよりも僅かに低い第4定電圧(Vref2−50mV)Vref4を発生させるための第4定電圧発生回路112Cと、その後段に配置され、上記第4定電圧Vref4に基づいて第2高電位側電圧Vdd2を形成するための第4電圧出力部112Dとを含んで成る。
上記第3電圧出力部112Bは、上記第3定電圧Vref3を取り込む演算増幅器31と、その出力電圧が伝達されるpチャネル型MOSトランジスタMP12と、このpチャネル型MOSトランジスタMP12に直列接続された定電流源32と、上記演算増幅器31の出力電圧が伝達される演算増幅器33と、この演算増幅器33の出力側に設けられたpチャネル型MOSトランジスタMP13と、チップセレクト信号CSを論理反転してから上記pチャネル型MOSトランジスタMP13のゲート電極に供給するためのインバータ34とを含んで成る。上記pチャネル型MOSトランジスタMP12のソース電極には上記第1高電位側電圧Vdd1が供給される。上記pチャネル型MOSトランジスタMP12と上記定電流源32との直列接続ノードの電圧が、上記演算増幅器31の非反転入力端子(+)にフィードバックされることで演算増幅器31の出力電圧が、Vdd1のレベル変動に連動するようになっている。ここで、pチャンネル型MOSトランジスタMP12は、4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタと同一の種類のMOSが多数個並列接続されて成る。定電流源32の定電流I1は、動作時の1個あたり4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタのオフ電流の設定値と、pチャンネル型MOSトランジスタMP12の個数との積に等しくなるように設定される。
上記第4電圧出力部112Dは、上記第4定電圧Vref4を取り込む演算増幅器35と、その出力電圧が伝達されるpチャネル型MOSトランジスタMP14と、このpチャネル型MOSトランジスタMP14に直列接続された定電流源36と、上記演算増幅器35の出力電圧が伝達される演算増幅器37と、この演算増幅器37の出力側に設けられたpチャネル型MOSトランジスタMP15とを含んで成る。上記pチャネル型MOSトランジスタMP15のゲート電極にはチップセレクト信号CSが供給される。上記pチャネル型MOSトランジスタMP14のソース電極には上記第2定電圧Vref2が供給される。上記pチャネル型MOSトランジスタMP14と上記定電流源36との直列接続ノードの電圧が、上記演算増幅器35の非反転入力端子(+)にフィードバックされることで演算増幅器35の出力電圧がVref2の変化に連動するようになっている。ここで、pチャンネル型MOSトランジスタMP14は、4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタと同一の種類のMOSが多数個並列接続される。定電流源36の定電流I2は、チップ非選択モード時の1個あたり4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタのオフ電流設定値と、pチャンネル型MOSトランジスタMP14の個数との積に等しくなるように設定される。
上記の構成において、チップセレクト信号CSがハイレベル(イネーブル)の場合、pチャネル型MOSトランジスタMP13がオンされることで、第2高電位側電圧Vdd2が第3電圧出力部112Bの出力電圧に等しくされる。また、チップセレクト信号CSがローレベル(ディスエーブル)の場合、pチャネル型MOSトランジスタMP15がオンされることで、第2高電位側電圧Vdd2が第4電圧出力部112Dの出力電圧に等しくされる。
図13には、上記第1電源回路111及び上記第2電源回路112における各出力電圧の電源電圧(高電位側電源Vdd)依存性が示される。チップ選択モード時のVdd1のレベルが最も高く、Vdd2はそれよりも若干低めに設定される。また、チップ非選択モード時のVdd1はチップ選択モード時のVdd2よりも低く設定され、チップ非選択モード時のVdd2は、チップ非選択モード時のVdd1よりも若干低めに設定される。高電位側電源Vddが所定電圧以上の場合、上記第1電源回路111及び上記第2電源回路112における各出力電圧は、高電位側電源Vddの変動にかかわらず、安定化される。
図14には、4T−SRAM100の動作例が示される。チップ選択時と非選択時との電圧レベルの違いにより、図14(1)〜(3)に示される動作例が挙げられる。
図14(1)に示される第1動作例では、ΔVをチップ選択状態とチップ非選択状態とで別電位に制御される。つまり、チップ選択状態では、非選択ワード線にVdd1+ΔV1(例えば1.2V)の電位が供給されるのに対して、チップ非選択状態では、非選択ワード線の電位はVdd1+ΔV2(例えば0.8V)とされることで、耐ノイズ性の向上を図ることができる。
図14(2)に示される第2動作例では、チップ非選択時の電圧が、チップ選択時の電圧より低くなるように設定される。つまり、チップ選択状態では、非選択ワード線にVdd1+ΔVの電位が供給されるのに対して、チップ非選択状態では、非選択ワード線の電位はVdd1_s+ΔVとされる。ここで、Vdd1_sはチップ非選択時のデータ線電位であり、Vdd1より低い。そして、データ線BL,BL*の電位は、チップ選択マットの場合、Vdd1(例えば1.8V)であるのに対して、チップ非選択モードではVdd1_s(例えば1.2V)に低下されることで、チップ非選択時の低消費電力化と、チップ選択時の高ノイズ耐性の向上を図ることができる。
図14(3)に示される動作例は、図14(1),(2)を組み合わせたもので、チップ選択状態では、非選択ワード線にVdd1+ΔV1の電位が供給されるのに対して、チップ非選択状態では、非選択ワード線の電位はVdd1_s+ΔV2とされる。そして、データ線電位は、非選択マットの場合、Vdd1であるのに対して、チップ非選択モードではVdd1_sに低下される。
図1に示される4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタMP1,MP2には、縦型構造を採用することができる。
図15には、図1に示される4TメモリセルMCの主要部の断面が示される。尚、図1及び図15におけるN1,N2,N3は、主要トランジスタの電極の対応関係の明確化のために付されている。
pチャネル型のトランスファMOSトランジスタMP1,MP2は、縦型構造とされ、nチャネル型のドライバMOSトランジスタMN1,MN2に積み上げるように形成される。チャネルは基盤151に対して垂直となる方向に形成され、側壁にゲート(ワード線)が形成される。このため、下地はMOSトランジスタ(MN1,MN2)2個分のスペースがあれば十分であり、4TメモリセルMCは、バルク構造に比べてチップ占有面積の縮小化を図ることができる。また、トランスファMOSトランジスタMP1,MP2は、SOI(silicon on insulator)に形成されるため、ウェル分離は不要とされる。また、縦型構造の場合、それ自体がコンタクトを兼用することから、バルク構成の場合に不可欠であったコンタクトホールが不要とされる。
上記の例によれば、以下の作用効果を得ることができる。
(1)チップセレクト信号CSに応じて出力電圧レベルの切り換えを可能とする電源回路11を設けることにより、トランスファMOSトランジスタのオフ電流は、チップ選択時には大きくされ、チップ非選択時に小さくなるように制御される。チップ非選択時の消費電流はバッテリで情報保持動作をすることの多いSRAMの重要なスペックであり、1μA/Mbit以下を保証する場合も少なくない。また、チップ非選択時は、全メモリセルのワード線が非選択状態であり、単に情報を保持するだけでよい。一方、チップ選択時は、デコーダや周辺回路、メモリセルが動作されることで、数十mA程度の消費電力が許容される。上記積層構造のメモリセルを採用した場合に不都合となるヒストリー効果が生じるのは、ワード線が遷移するチップ選択モードだけであるため、トランスファMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧Vgsを制御し、チップ選択モード時のトランスファMOSトランジスタのオフ電流を多くする。そのようにすることにより、ヒストリー効果でトランスファMOSトランジスタのオフ電流が低減することに起因する情報破壊を防止することができる。このため、SRAMの信頼性の向上を図ることができる。
(2)4TメモリセルMC内のハイノードの電位上昇を低減することができる。例えば、図9に示されるように、ワード線WLがハイになり、メモリセルのハイノードが上昇すると、オフ電流が大きい場合はメモリセルのハイノードからデータ線への電流I1が生じ、メモリセルハイノードの過剰な上昇を抑制することができる。また、上記製造・設計マージンからチップ非選択時のドライバMOSトランジスタのリーク電流Id−1を低減できればマージンが広がることがわかる。しかしながら、デバイスの製造プロセス及び構造との関係でリーク電流の低減は簡単ではない。そこで、チップ非選択時のデータ線電位を低下させてメモリセルのハイノード電位を低減する。すると、GIDL電流やゲートリーク等のデバイスリーク電流を低減することができるので、製造・設計マージンを拡大することができる。
(3)pチャネル型のトランスファMOSトランジスタMP1,MP2に縦型構造を採用することで、4TメモリセルMCのチップ占有面積の縮小化を図ることができる。
次に、4T−SRAM100における第2電源回路112の別の構成例について説明する。
ここで、先ず、図16に示される構成の第2電源回路112を用いてワード線WLの非選択電位を制御する場合について考える。ロウデコーダ12(図1参照)の出力部120によって、ワード線WLの電圧レベルの切り換えが行われる。つまり、デコード信号がハイレベルの場合、ワード線WLはグランドレベル(選択レベル)とされるのに対して、デコード信号がローレベルの場合、ワード線WLには第2電源回路112で生成された電圧Vdd2(非選択レベルの電圧)が供給される。
pチャンネル型MOSトランジスタMP20は、4TメモリセルMCのトランスファMOSトランジスタMP1,MP2と同一の種類のMOSトランジスタが多数個並列接続されて成る。pチャンネル型MOSトランジスタMP20のソース電極には高電位側電圧Vdd1が供給される。pチャンネル型MOSトランジスタMP20には定電流源194が直列接続され、このpチャンネル型MOSトランジスタMP20と定電流源194との直列接続ノードn1が演算増幅器161の非反転入力端子に結合されている。この演算増幅器161は、定電圧発生回路162からの定電圧Vrefと上記ノードn1の電圧とを比較する。この比較結果はノードn2を介してpチャネル型MOSトランジスタMP20のゲート電極に伝達されることで演算増幅器161にフィードバックされるとともに、後段の演算増幅器(ボルテージホロワ)193を介してデコーダ12の出力部120に供給される。上記pチャネル型MOSトランジスタMP20に流れる電流I1は、所望の1個あたりメモリセルトランスファMOSトランジスタオフ電流設定値とトランスファMOSトランジスタMP1の数の積となるように設定される。定電圧Vref1は、4TメモリセルMCのハイレベルノードの電位に反映される。4TメモリセルMCのハイレベルノードの電位とローレベルノードの電位差は、メモリセル情報の電位差であり、ハイレベル電位が高いほどより安定的な動作をすることができる。メモリセルハイレベル電位の供給電圧であるデータ線に近いほど安定的に情報保持や動作ができる。そこで、定電圧Vref11もノイズやデバイスばらつきを考慮すると、データ線電位からわずかに下がった電位(例えはVdd−70mV)に設定する必要がある。このように定電圧Vref1は、データ線電位を参照電位として生成することが必要である。高電位側電源電圧Vddと定電圧Vref1との差が演算増幅器161のデバイスばらつきを越えると、演算増幅器161の出力側ノードn2は、接地(GND)電位まで下がってしまうことがある。また、接地電位を基準に定電圧Vref1電位を生成すると、データ線電位と別の動作となり、電位変動等に弱い構成となる。定電圧生成回路162は、例えば図17に示されるように、互いに直列接続された抵抗R1,R2によって形成される。高電位側電源電圧Vddが抵抗R1,R2により分圧されて定電圧Vref1が生成される。これは簡単かつ精度の高い回路であるが、図18に示されるように、電源電圧が低い側でVdd1と定電圧Vref1との差が小さくなってしまう。また、メモリ全体で1μA以下の低くい待機電流が必要な場合、数MΩ〜数百Ωのリニアリティのある高い抵抗が必要であり、それを半導体集積回路で作ると大面積を必要とする。従って、半導体集積回路において、70mV程度の小さい電位差を安定的かつ低電力で生成することは容易ではない。
4TメモリセルMCのドライバMOSトランジスタのリーク電流は、サブスレッショルト電流、GIDL電流、ゲート電流等温度特性の異なった電流の総和である。サブスレッショルド電流は、熱励起により流れる電流であり、大きな温度特性をもつ。バンド間トンネル電流、ゲート電流は、トンネル電流であり、温度特性は小さい。これらのメカニズムの異なる電流の総和がドライバMOSトランジスタMトランジスタMN1,MN2のリーク電流となる。このリーク電流を上回る電流をトランスファMOSトランジスタのオフ電流として供給する必要がある。しかしながら、定電流で駆動すると、温度特性がトランスファMOSトランジスタの特性を反映するのみであり、ドライバMOSトランジスタの複雑なリーク電流をカバーし難い。
例えばドライバMOSトランジスタを複数個設けることでリーク電流を反映させることが考えられるが、低温では極めて小さい電流値であることから不安定な値となり、定常電圧になるまでに長時間を要する。
トランスファMOSトランジスタMP1,MP2のウェル領域がフローティグの構造をしている4TメモリセルMCにおいては、チップ選択モード時は、ヒストリー効果によりウェルノードの電位が上がり、トランスファMOSトランジスタのオフ電流が低下して情報破壊の危険性を増大させる。
そこで、第2電源回路112を図19に示されるように構成する。
図19に示される第2電源回路112は、リファレンス回路191と、そのリファレンス回路191の出力に基づいて、非選択モード時のワード線WLに供給される電圧を形成するための演算増幅器193とを含む。
図20には、上記リファレンス回路112の構成例が示される。
上記演算増幅器161は、図20に示されるように、nチャネル型MOSトランジスタMN21,MN22とが結合されて成る差動回路と、この差動回路に流れる電流を決定するための定電流源195と、上記差動回路の負荷を構成するpチャネル型MOSトランジスタMP21,MP22とを含んで成る。pチャネル型MOSトランジスタMP22は、pチャネル型MOSトランジスタMP21にカレントミラー接続される。nチャネル型MOSトランジスタMN21,MN22のソース電極はpチャネル型MOSトランジスタMP21,MP22を介して高電位側電源Vccに結合される。MOSトランジスタMP22,MN22との直列接続ノード(n4)から差動出力が得られる。この差動出力電圧によってpチャネル型MOSトランジスタMP20が制御され、このpチャネル型MOSトランジスタMP20と定電流源194との直列接続ノードn3の電圧がnチャネル型MOSトランジスタMN21のゲート電極に伝達されることで、上記差動回路には所定のオフセットが形成される。このとき、nチャネル型MOSトランジスタMMN21のゲート幅をnチャネル型MOSトランジスタMN22より大きくし、ノードn3の電位がノードn4の電位より低いときに差動バランスがとれる。そして、低電力化のために定電流源195の電流I3をnA(ナノ・アンペア)オーダーに設定すると、リファレンス回路191のカレントミラー回路は、サブスレッショルド電流領域で動作し、一般的なMOSトランジスタでは90mV/Dec.のVgs-Ids特性をもつ。そのため、nチャネル型MOSトランジスタMN21とnチャネル型MOSトランジスタMN22のゲート長を互いに等しくし、nチャネル型MOSトランジスタMN21のゲート幅をnチャネル型MOSトランジスタMN22の10倍にすると、90mVのオフセットを持ち、ノードn3は、高電位側電圧Vdd1より90mV下がった電位となる。このオフセット値は、nチャネル型MOSトランジスタMN21とnチャネル型MOSトランジスタMN22のゲート幅の比率で設計できる。このように図19及び図20に示される構成によれば、ノードn3の電位レベルが高電位側電圧Vdd1より上記差動回路のオフセット電位分下がった電位に設定されることから、ノードn4の電位は、この高電位側電圧Vdd1に追随し、且つ、それよりもわずかに低下した電圧となり、それが、演算増幅器193及び出力部120を介して、非選択ワード線WLに供給されることにより、トランスファMOSトランジスタMP1,MP2に対して適切なゲート・ソース間電圧Vgsを与えることができるので、必要以上に低リーク負荷となるのを防止することができる。
4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタMP1,MP2と、ドライバMOSトランジスタMN1,MN2の温度、製造ばらつきの補正を可能にするには、上記4T−SRAM100における第2電源回路112を、次のように構成すると良い。すなわち、図21に示される第2電源回路112において、210で示される部分を、図22に示される回路構成とする。つまり、定電流源194にnチャネル型MOSトランジスタMN23を並列接続する。
pチャンネル型MOSトランジスタMP20は、4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタMP1,MP2と同一構造のMOSであり、ゲート幅が拡大され又は複数個が並列接続されている。nチャネル型MOSトランジスタMN3は、4TメモリセルMCにおけるドライバMOSトランジスタMN1,MN2と同一の構造のMOSであり、ゲート幅が拡大され又は複数個が並列接続されている。定電流源194に対してnチャネル型MOSトランジスタMN23による分流経路が形成されるため、定電流源194の電流をI5とし、nチャネル型MOSトランジスタMN23に流れる電流をI4としたとき、それらの合成電流(I4+I5)が、図21に示される回路構成の場合の定電流源194の電流I2に等しくなるように定電流源194の定数設定が行われる。かかる構成において、電流I4,I5,I4+I5は、図23に示されるような温度特性を有する。nチャネル型MOSトランジスタMN23に流れる電流I4は、高温で顕著に大きくなるサブスレッショルド電流である。このような電流I4が流れることにより、ノードn4の出力電圧は、図24においてn4で示される温度特性となる。つまり、電流I4が流れない場合には、図24においてn4aで示される温度特性になるのに対して、高温で顕著に大きくなるサブスレッショルド電流I4が流れることにより、演算増幅器161の出力ノードn4の電圧は、図24においてn4で示される温度特性となる。従って、4TメモリセルMCのトランスファMOSトランジスタMP1,MP2のゲート・ソース間電圧Vgsも、図24においてn4で示されるような温度特性となり、4TメモリセルMCにおけるトランスファMOSトランジスタMP1,MP2と、ドライバMOSトランジスタMN1,MN2の温度、製造ばらつきが補正される。
また、図25に示されるように、上記第2電源回路112において、ノードn4とグランドとの間に、nチャネル型MOSトランジスタMN24を設けることができる。このnチャネル型MOSトランジスタMN24のゲート電極には、制御信号n10が入力されるようになっている。制御信号n10は、チップ選択モードからチップ非選択モードに遷移する際に、所定時間だけハイレベルになるパルス状の信号であり、チップセレクト信号CSがイネーブル状態からディスエーブル状態への遷移に基づいて1個のパルス信号を形成するモノマルチバイブレータによって生成することができる。チップ選択モードからチップ非選択モードに遷移する際に制御信号n10が一時的にハイレベルとされることで、nチャネル型MOSトランジスタMN24がオンされ、ノードn4の電位がグランドレベルにまで低下される。このような制御をすることにより、pチャンネル型MOSトランジスタMP20のウェルノードn12の電位を上昇させて高電位側電圧Vdd2を制御することにより4TメモリセルMCの情報破壊の防止を図ることができる。それについて図26を参照しながら説明する。
図26において、チップセレクト信号CSは、SRAMを動作と待機を制御するSRAM外部から入ってくる制御信号である。ここでは、チップセレクト信号CSのハイレベルがチップ選択状態、ローレベルがチップ非選択状態とする。このチップセレクト信号CSに基づいて内部制御信号CS_intの論理が変化される。チップセレクト信号CS信号又は内部制御信号CS_intがハイレベルからローレベルに遷移される際に、制御信号n10が一時的にハイレベルにされることで、ノードn4がグランドレベルに引き下げられ、pチャネル型MOSトランジスタMP20のウェルノードn12の電位が上昇される。すると、pチャネル型MOSトランジスタMP20のリーク電流が低減され、高電位側電圧Vdd2が低下されるため、pチャネル型MOSトランジスタMP1のゲート電位が低下される。これは、チップ選択モード時においてヒストリー効果によりトランスファMOSトランジスタMP1のウェルノードの電位が上がり、トランスファMOSトランジスタのオフ電流が低下するのを回避する。それにより、ヒストリー効果に起因する情報破壊が回避され、信頼性の向上を図ることができる。
以上本発明者によってなされた発明を具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、上記の例では、メモリLSIとして形成される場合について説明したが、4T−SRAMが例えばマイクロコンピュータに内蔵される場合にも適用することができる。また、トランスファMOSトランジスタMP1,MP2をバルク構造とすることができる。
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である4T−SRAMに適用した場合について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、各種半導体記憶装置に広く適用することができる。
本発明は、少なくともメモリセルを含むことを条件に適用することができる。