JP4407088B2 - 高圧放電ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性セラミックス放電容器を備えた高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、透光性セラミックス製の放電容器を備えたメタルハライドランプが普及している。このメタルハライドランプは、従来の石英ガラス製の放電容器を備えたメタルハライドランプに比べて、高効率、長寿命といった特長の他、寿命中の色温度変化およびランプ間の色ばらつきが少ないという特長がある。
【0003】
従来の透光性セラミックス放電容器を備えたメタルハライドランプなどの高圧放電ランプに使用されている透光性セラミックス放電容器は、円筒状部分と円盤状部分とパイプ状部分とを焼き嵌めしてなる構造のものが多い。なお、この場合、透光性セラミックス放電容器は、円筒状部分と円盤状部分とが放電空間を包囲する包囲部を、またパイプ状部分が小径筒部を、それぞれ形成する。この構造の透光性セラミックス放電容器を備えた高圧放電ランプは、点灯方向を変えたときの色温度変化が少ない。これは最冷部温度の変化が小さいからである。上述した従来の高圧放電ランプでは、最冷部がパイプ状部分の一端部付近に形成される。この部分の温度は、電極からの伝導熱および輻射熱と、透光性セラミックス放電容器の熱伝導量とのバランスにより決定される。そして、点灯方向を変えた場合、電極からの伝導熱および輻射熱はほぼ一定であるが、透光性セラミックス放電容器の熱伝導量が大きく変化する。すなわち、水平点灯時においてはアークが上方へ曲がり、透光性セラミックス放電容器の上部壁面に接近することで、その上部をより多く加熱する。しかし、透光性セラミックス放電容器に用いる透光性アルミナなどのセラミックスの熱伝導率は、石英ガラスのそれに比較して格段に高い。そのため、本来なら最冷部が形成される小径筒部の端部への熱伝導量が増加し、最冷部温度が変化して色温度が変化するところだが、透光性セラミックス放電容器の焼き嵌め部が熱抵抗となって、最冷部が形成される小径筒部への熱伝達量をある程度制限しており、色温度変化を実用に支障のない程度に低減していて、これが点灯方向を変えたときの色温度の変化が少ない理由である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、色温度変化をさらに小さくとの要望も高い。
【0005】
一方、焼き嵌め構造の透光性セラミックス放電容器の場合、熱容量が比較的大きくなる傾向がある。したがって、ランプ電力が小さくなってくると、高効率を確保するために必要な最冷部温度を確保できなくなるという問題がある。
【0006】
これに対して、鋳込み成形などにより一体的に成形された透光性セラミックス放電容器も用いられており、このものは熱容量が比較的小さくなる傾向にある。したがって、熱容量が大きいことによる後者の最冷部温度確保の問題に対しては有利であるが、熱伝導率が高いことによる前者の問題は解消されない。
【0007】
また、高圧放電ランプを高周波点灯する場合、音響共鳴を回避する必要があり、そのためには、透光性セラミックス放電容器の音響共鳴モードを単一化することが重要である。そして、これを実現するためには、透光性セラミックス放電容器の包囲部の内面を真球形状にする必要がある。しかし、透光性セラミックス放電容器の包囲部を均一な肉厚で高い真球度に構成すると、たとえば特開平11−312493号公報に見られるように、包囲部と小径筒部との境界部の内外両面に急激な変曲点ができ、さらに点灯中高温になる電極が変曲点の近傍に位置していることもあって、上記変曲点に大きな熱応力が発生し、クラックを生じる虞がある。この問題点については、本発明者による種々開発の結果、包囲部と小径筒部との境界部の外面が適当な凹曲面であれば、問題を回避できることが分かった。
【0008】
さらに、導電性金属線からなり、反対側の電極と導電位に接続したコイルを小径筒部に巻装すると、始動時に上記コイルと小径筒部内に挿通されている電極との間に微小放電が発生して、始動が補助されることが分かった。しかし、微小放電が発生した際に、透光性セラミックス放電容器の包囲部と小径筒部との境界部に熱衝撃が加わり、当該境界部にクラックが生じやすいという問題がある。
【0009】
本発明は、最冷部温度を所要値に確保するとともに、点灯方向を変化させたときの色温度変化を抑制するとともに小径筒部の折損など械的強度の低下を抑制する透光性セラミックス放電容器を備えた高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、加えて透光性セラミックス放電容器の音響共鳴モードを単一化して、音響共鳴を回避しやすくするとともに、透光性セラミックス放電容器の包囲部と小径筒部との境界部に熱応力によるクラックが生じにくい高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを他の目的とする。
【0011】
本発明は、加えて小径筒部に始動補助用のコイルを配設した場合に、微小放電による熱衝撃でもクラックが発生しにくい高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することをさらに他の目的とする。
【0012】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧放電ランプは、放電空間を包囲する包囲部および包囲部の両端に連通した小径筒部を備えて一体的に成形されるとともに、最小肉厚tminおよび最大肉厚tmaxの肉厚比tmin/tmaxが0.1≦tmin/tmax≦0.75を満足し、包囲部と小径筒部との境界部の外面が連続した凹曲面に形成されているとともに、包囲部の内径Rと、上記凹曲面の曲率半径rとの比r/Rが0.1≦r/R≦1.5を満足している透光性セラミックス放電容器と;透光性セラミックス放電容器の小径筒部に挿通されているとともに先端が透光性放電容器の包囲部に臨んでいる一対の電極と;先端が電極の基端部に接続され少なくとも中間部が透光性放電容器に封着され基端が透光性放電容器から外部に露出した導入導体と;透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0013】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。本発明の高圧放電ランプは、上記のように透光性セラミックス放電容器、一対の電極、導入導体および放電媒体を構成要素としている。以下、構成要素ごとに説明する。
【0014】
<透光性セラミックス放電容器について>
「透光性セラミックス放電容器」とは、単結晶の金属酸化物たとえばサファイヤと、多結晶の金属酸化物たとえば半透明の気密性アルミニウム酸化物、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)と、多結晶非酸化物たとえばアルミニウム窒化物(AlN)のような光透過性および耐熱性を備えた材料からなる放電容器を意味する。なお、「透光性」とは、放電によって発生した光を透過して外部に導出できる程度に光透過性であることをいい、透明ばかりでなく、光拡散性であってもよい。そして、少なくとも包囲部が透光性を備えていればよく、要すれば小径筒部は遮光性であってもよい。
【0015】
また、透光性セラミックス放電容器は、放電空間を包囲する包囲部と包囲部の端部に連通して配設された小径筒部とを備えている。そして、包囲部と小径筒部とは、一体的な成形により一体化されている。したがって、焼き嵌めによる材料断面の不均質構造がない。包囲部は、その内部に放電空間を包囲するために、包囲部の内面を連続的な曲面に形成することが許容される。さらに、包囲部内部の主要部を球状の中空にすることができる。「球状」とは、音響共鳴周波数が単一モードになることから好ましくは真球状であるが、要すれば楕円球状などであってもよい。なお、包囲部の「主要部」とは、小径筒部と接している側の端部近傍を除いた残余の大部分であって、放電による発光が主として透過する部分をいう。
【0016】
次に、小径筒部は、その内部に後述する電極および電極に接続する導入導体が挿通し、電極の周囲にキャピラリーと称するわずかな隙間を形成して、その内部に最冷部が形成されるとともに、透光性セラミックス放電容器を封止するのに寄与する。なお、熱容量をなるべく小さくするため、小径筒部の内径は1mm以下、好適には0.8mm以下であるのが望ましい。また、小径筒部の断面は、好ましくはほぼ円形である。
【0017】
ところで、本発明の構成上の特徴は、上述した構成の透光性セラミックス放電容器において、その最小肉厚tminおよび最大肉厚tmaxの肉厚比tmin/tmaxが0.1以上、かつ、0.75以下に規制されていることである。肉厚比tmin/tmaxが0.1未満では透光性セラミックス放電容器の熱容量が大きくなり、そのため始動時の光束立ち上がりが遅くなるので、不可である。また、0.75を超えると、蓄熱効果が所要の程度まで得られないで、最冷部温度を確保しにくくなり、点灯方向特性などのランプ特性が悪くなるので、不可である。なお、好適には肉厚比tmin/tmaxは0.3以上、かつ、0.65以下であり、これにより点灯方向を変化したときの色温度変化が一層少なくなる。
【0018】
しかし、最小肉厚および最大肉厚が形成されている位置は、特段限定されないが、最少肉厚の位置は、包囲部の最大径部近傍が製造上最も無理がない。また、最大肉厚の位置は、包囲部小径筒部との境界部近傍が同様に最も無理がない。なお、最小肉厚の部分は、最大肉厚の部分に対する相対的なものであり、本発明の目的達成のためにそれ以上の格別の意味を持たない。しかし、最小肉厚は、高圧放電ランプの点灯中に放電媒体が呈する圧力に耐える機械的強度を示す値でなければならない。また、最小肉厚の部分は、相対的に光透過率が大きくなる。したがって、包囲部の最大径部分およびその近傍が最小肉厚であることにより、当該部分を通過する有効光量が多くなるので、高効率が得られる。なお、「有効光量」とは、高圧放電ランプから外部へ放射されて照明に利用できる光量をいう。
【0019】
一方、最大肉厚の部分は、小径筒部より包囲部に形成されている方が肉厚部の断面積が相対的に大きくて、熱容量が大きくなるので、効果的である。また、最大肉厚の部分は、相対的に光透過率が小さくなるから、効率を重視する場合には、なるべく有効光量の通過が少ない位置であることが好ましい。たとえば、小径筒部と包囲部の境界部近傍に設けることにより、上記の観点に応えることができる。この場合、包囲部と小径筒部との境界部位の機械的強度が向上呈する圧力に耐える機械的強度を示す肉厚より肉厚が大きくなることから、一般的には肉厚の部分を付加的に形成することによって、これを設けることができる。
【0020】
本発明の構成上の他の特徴は、透光性セラミックス放電容器の包囲部と小径筒部との境界部の外面が連続した凹曲面に形成されていることである。そして、上記凹曲面は、その包囲部の内径Rと、包囲部および小径筒部の境界部の外面に形成された凹曲面の曲率半径rとの比r/Rが0.1≦r/R≦1.5を満足している。なお、透光性セラミックス放電容器の包囲部と小径筒部との境界部の内面形状は、連続した凸曲面であってもよいし、不連続な変曲点を形成していてもよい。
【0072】
上記凹曲面の構成は、包囲部および小径筒部の境界部の外面に形成された凹曲面の好適な構成を示している。なお、r/Rが0.1未満であると、機械的強度が低下し、製造時に小径筒部が折損しやすいばかりでなく、寿命中のヒートサイクルにより小径筒部にクラックが発生しやすくなる。また、r/Rが1.5を超えると、放電媒体の水銀などのランプ電圧形成媒体を効率よく冷却できなくなるために、製造時に不具合が生じやすくなる。
【0021】
また、小径筒部は、その肉厚が変曲点をもって変化していることが許容される。変曲点は、透光性セラミックス放電容器の小径筒部に急激な肉厚変化を生じさせ、これにより熱抵抗が増加するので、包囲部から小径筒部への熱伝達を抑制する。したがって、最冷部温度の絶対値制御が容易になる。なお、変曲点は、たとえば小径筒部の包囲部との境界部近傍に形成すると製造が容易になる。
【0022】
さらに、透光性セラミックス放電容器の包囲部の内径と全長Lとの関係が下式を満足するように設定することにより、所望のランプ特性を維持しながら透光性セラミックス放電容器のリーク発生を抑制することができる。
【0023】
0.1<R/L<0.3
なお、R/Lが0.1未満であると、最冷部温度を維持することが困難になるので、発光効率が低下し、所望の発光色が得られなくなる。また、R/Lが0.3を超えると、透光性セラミックス放電容器のシール部にリークが発生しやすくなる。
【0024】
さらにまた、透光性セラミックス放電容器の全長Lは、投入されるランプ電力Wとの関係があり、W/Lが下式を満足するように設定することにより、良好な高圧放電ランプを得ることができる。
【0025】
なお、L/Wが0.5未満であると、透光性セラミックス放電容器のシール部にリークが発生しやすくなる。また、L/Wが1.8を超えると、最冷部温度を維持することが困難になる。
【0026】
さらにまた、本発明において、透光性セラミックス放電容器の全長および内容積は特に制限されない。しかし、ランプ電力が10〜50W程度、さらに好適には10〜30Wの小形の高圧放電ランプを得ようとするならば、全長は、一般的には35mm以下、好適には10〜30mmであるのがよい。また、内容積は、0.10cc以下、好適には0.01〜0.08ccであるのがよい。
【0027】
さらにまた、透光性セラミックス放電容器の点灯中の外表面における最高温度が1000〜1200℃になるように設計されているのが好ましい。
【0028】
<一対の電極について>
一対の電極は、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内面との間にわずかな隙間を形成しながら小径筒部内に挿通されているとともに先端が透光性放電容器の包囲部に臨んでいる。また、電極は、タングステン、ドープドタングステン、モリブデン、サーメットなどの導電性にして、かつ、耐火性の物質を単体で、または適宜組み合わせて用いて形成することができる。さらに、電極は、好ましくは細長い電極軸部および電極軸部の先端部に配設される電極主部から構成することができる。この場合、電極主部は、電極軸の先端に配設されて主として陰極およびまたは陽極として作用する部分であり、電極の先端部を構成する。また、電極主部は、その表面積を大きくして放熱を良好にするために、必要に応じてタングステンのコイルを巻装することができなくなる。
【0029】
さらに、電極は、上述のように、その先端部が、包囲部内を臨む位置にあるが、「包囲部内を臨む」とは、包囲部内に位置している態様と、包囲部内に連通している小径筒部内に位置している態様とを含む概念である。また、電極の中間部は、透光性放電容器の小径筒部の内面との間になるべく均一なわずかな隙間すなわちキャピラリーを形成するために、一定の太さであることが望ましい。さらに、電極の中間部に純タングステン、レニウム、タングステンーレニウム合金またはドープドタングステンのコイルを巻装することが許容される。これにより、電極が小径筒部に対してセンタリングしやすくなる。電極の基端部は、透光性放電容器に対して所要の相対的な位置に固定するとともに、外部から電流を導入するために機能する導入導体の先端に溶接などにより固着されることによって電気的および機械的に支持される。なお、溶接に際して熱的に緩衝するなどの目的のために、モリブデン、サーメットなどの部材を導入導体の先端部に配設として電極の基端との間に当該部材を介在させることができる。
【0030】
<導入導体について>
導入導体は、電極間に電圧を印加するとともに、電極に電流を供給し、かつ、透光性セラミックス放電容器を封止するために機能する導体で、先端が電極の基端部に接続し、基端が透光性放電容器の外部に露出している。なお、「透光性放電容器の外部に露出している」とは、透光性放電容器から外部へ突出していてもよいし、また突出していなくてもよいが、外部から給電できる程度に外部に臨んでいることを意味する。
【0031】
また、導入導体は、その熱膨張係数が透光性セラミックスのそれと近似している導電性金属であるニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムなどを用いることができる。透光性セラミックス放電容器の材料にアルミナセラミックスなどのアルミニウム酸化物を用いる場合、ニオブおよびタンタルは、平均熱膨張係数がアルミニウム酸化物とほぼ同一であるから、封止に好適である。イットリウム酸化物およびYAGの場合も差が少ない。窒化アルミニウムを透光性セラミックス放電容器に用いる場合には、導入導体にジルコニウムを用いるとよい。また、導入導体に用いる上記の金属は、水素、酸素透過性を有しているので、所望により透光性セラミックス放電容器の内部に残存している不純ガスを排出するのに寄与させることもできる。
【0032】
さらに、導入導体は、これを支持することにより、高圧放電ランプ全体を支持するのに利用してもよい。
【0033】
さらにまた、導入導体をニオブなどの封着性金属の棒状体、パイプ状体やコイル状体などによって構成することができる。この場合、ニオブなどは酸化性が強いので、高圧放電ランプを大気に通じた状態で点灯する場合には、耐酸化性の導体を導入導体にさらに接続するとともに、導入導体が大気に接触しないようにたとえばシールなどによって被覆する必要がある。
【0034】
<放電媒体について>
放電媒体は、発光金属のハロゲン化物、ランプ電圧形成媒体および希ガスをたとえば以下の組み合わせで用いることができる。なお、発光金属のハロゲン化物は、可視光を発光する発光金属のハロゲン化物である。ランプ電圧形成媒体には、水銀またはハロゲン化物を主体的に用いることができる。水銀は、下記の3.の場合に発光金属としても寄与する。ランプ電圧形成媒体としてのハロゲン化物は、点灯中の蒸気圧が相対的に大きくて、可視域の発光が比較的少ない金属、たとえばAl、Fe、Zn、Sb、Mnなどのハロゲン化物が好適である。希ガスは、始動ガスおよび緩衝ガスとして作用する。希ガスとしては、キセノン、アルゴン、クリプトン、ネオンなどを単体でまたは混合して用いることができる。なお、本発明において、「高圧放電」とは、イオン化媒体の点灯中の圧力が大気圧以上になる放電をいい、いわゆる超高圧放電を含む概念である。
【0035】
1.発光金属のハロゲン化物+水銀+希ガス:いわゆるメタルハライドランプの構成である。
【0036】
2.発光金属のハロゲン化物+ランプ電圧形成媒体としてのハロゲン化物+希ガス:環境負荷の大きな水銀を用いないいわゆる水銀レスのメタルハライドランプの構成である。
【0037】
3.水銀+希ガス:いわゆる高圧水銀ランプの構成である。
【0038】
4.希ガス:希ガスとしてXeを用いると、いわゆるキセノンランプの構成である。
【0039】
次に、発光金属のハロゲン化物は、ハロゲンとしてよう素、臭素、塩素またはフッ素のいずれか一種または複数種を用いることができる。発光金属の金属ハロゲン化物は、発光色、平均演色評価数Raおよび発光効率などについて所望の発光特性を備えた可視光の放射を得るため、さらには透光性セラミックス放電容器のサイズおよび入力電力に応じて、既知の金属ハロゲン化物の中から任意所望に選択することができる。たとえば、ナトリウムNa、リチウムLi、スカンジウムSc、タリウムTlおよび希土類金属からなるグループの中から選択された一種または複数種のハロゲン化物を用いることができる。
【0040】
<その他の構成について>
本発明において、必須構成要件ではないが、所望により以下の構成の一部または全部を具備することができる。
【0041】
(1)セラミックス封止用コンパウンドのシールについて
先端に電極を配設した導入導体を透光性セラミックス放電容器の小径筒部に挿入し、透光性セラミックス放電容器と導入導体とを封着して透光性セラミックス放電容器を封止するために、セラミックス封止用コンパウンドのシールを用いることができる。そして、セラミックス封止用コンパウンドのシールを用いて封止するには、小径筒部の端面において導入導体および小径筒部の間に施与され、加熱により溶融して小径筒部と導入導体との間に浸透し、冷却により固化して両者間を気密にシールする。このシールにより導入導体は所定の位置に固着される。
【0042】
小径筒部内に挿入されている導入導体は、上記シールによって完全に被覆されていることが望ましい。さらに、シールを導入導体に固着している細長い電極の基端部をもわずかな距離、好適には0.2〜3mmにわたって被覆するように構成すれば、導入導体がハロゲン化物などの放電媒体によって腐食されにくくなる。
【0043】
(2)始動補助導体について
透光性セラミックス放電容器の包囲部の内径を大きくするとともに、これに対応して電極間距離を大きくすると、高圧放電ランプの始動電圧が上昇する傾向があるので、必要に応じて始動補助導体を配設することにより、始動電圧を低減することができる。始動補助導体は、少なくとも一方の電極が挿通している小径筒部の外周に配設されるとともに、他方の電極と同電位になるように接続されている金属製コイルによって構成することができる。また、始動補助導体は、第1の電極が挿通している一方の小径筒部の外周に巻装されるとともに、一端が第2の電極と同電位になるように接続されている第1の金属製コイルと、第2の電極が挿通している他方の小径筒部の外周に巻装されるとともに、一端が第1の電極と同電位になるように接続されている第2の金属製コイルとによって構成することができる。
【0044】
また、始動補助導体は、その端部が透光性セラミックス放電容器の包囲部と小径筒部との境界部に接近してように、これを配設することができる。さらに、始動補助導体は、金属製コイル、導電性被膜などによって形成することができる。さらにまた、始動補助導体が上記金属製コイルからなる場合の好適な構成を以下に示す。実施に際しては、下記項目の一または複数を組み合わせることができる。
【0045】
1 金属製コイルの巻き数を4ターン以上にする。
【0046】
2 金属製コイルの巻きピッチを100〜500%にする。
【0047】
3 金属製コイルの長さをLSA1とし、小径筒部の長さをLSA2としたとき、LSA1/LSA2を0.3〜1.0にする。(図6を参照)
(3)外管について
本発明の高圧放電ランプは、透光性セラミックス放電容器が大気中に露出した状態で点灯するように構成することができる。しかし、要すれば、透光性セラミックス放電容器を外管内に気密に収納することができる。なお、外管の内面を高圧放電ランプの発光部を焦点とする反射面とすることにより、指向性を備えた高圧放電ランプを得ることができる。
【0048】
(4)反射鏡について
本発明の高圧放電ランプを反射鏡と一体化することができる。この場合、透光性セラミックス放電容器を内部に収納する外管の内面に反射鏡を形成してもよいし、高圧放電ランプを別設の反射鏡内に組み付けてもよい。また、外管を用いないで反射鏡を付設してもよい。
【0049】
(5)導入導体の直径と電極の直径との関係について
導入導体の直径をφs(mm)とし、電極の直径をφe(mm)としたときに下式を満足させると効果的である。
【0050】
0.2≦φe/φs≦0.6
すなわち、セラミックス封止用コンパウンドのシールの温度を低減してシールがハロゲン化物によって腐食するのを防止するとともに、わずかな隙間の温度を高くして発光効率を高めるためには、一方では導入導体をなるべく太くしてその熱抵抗を減らしながら、他方では電極の熱抵抗を大きくするのがよい。なお、直径比φe/φsが0.2未満では電極が細くなりすぎる。また、0.6を超えると、シールの温度およびわずかな隙間の温度を所要の値に維持することが困難になる。
【0051】
(6)透光性セラミックス放電容器の内容積と直線透過率の関係について
透光性セラミックス放電容器の内容積を0.1cc以下、好適には0.07cc以下にするとともに、中空部の平均直線透過率を10%以上好適には30%以上にすることができる。ただし、直線透過率は、波長550nmにおいて測定したものとする。また、「平均直線透過率」とは、対象部分に対して異なる5個所の位置において測定した直線透過率データを相加平均して求めた値をいう。さらに、透光性セラミックス放電容器の内容積は、当該容器を水中に入れて内部に水が充満してから、両方の小径筒部の開口端を封鎖して水中から取り出し、内部の水を軽量して、測定する。
【0052】
内容積が上記のように小さい透光性セラミックス放電容器の場合、その包囲部の平均直線透過率が10%以上であると、組み合わせる光学系たとえば反射鏡との光学的効率(器具効率)を高くできるとともに、透光性セラミックス放電容器のクラックが生じにくい。
【0053】
(7)ランプ電力について
本発明は、ランプ電力10〜50W程度の小形メタルハライドランプに好適である。しかし、より好適には10〜30Wである。また、管壁負荷は、15〜50W/cm2の範囲が好適である。
【0054】
<本発明の作用について>
本発明においては、前述の構成を備えていることにより、最大肉厚の部分が蓄熱部となり、この部分における蓄熱効果により高圧放電ランプの点灯方向を変えた場合の最冷部温度変化、したがって色温度変化を抑制することができる。
【0055】
また、本発明によれば、透光性セラミックス放電容器の包囲部と小径筒部との境界部の外面が連続した凹曲面に形成されていることにより、透光性セラミックス放電容器の特に小径筒部の折損など械的強度の低下を抑制することができる。
【0056】
すなわち、透光性セラミックス放電容器が、その包囲部と小径筒部との境界部の外面に不連続な変曲点が形成されている構成であると、小径筒部の包囲部側に偏倚して金属コイルからなる始動補助導体を巻装する場合に、始動補助導体と小径筒部の内部に挿通されている電極との間に生じる先駆微小放電によってクラックが発生しやすい。なお、この傾向は、上記境界部の内面が不連続な変曲点を形成している場合に、一層顕著になる。
【0057】
これに対して、本発明においては、上記境界部の外面が連続して凹曲面を形成していることにより、上述した始動補助導体を備えた構成における先駆微小放電の際にも、十分な機械的強度を示し、そのためクラックが発生しにくい。また、高圧放電ランプの製造時における小径筒部の折損や寿命中におけるヒートサイクルによる小径筒部のクラックが生じにくくなる。
【0058】
なお、包囲部の内面が連続的な曲面を形成している構成を採用した場合、水平点灯時にアークの曲がりの中央部と、これに対向する包囲部の内壁との距離を大きくして、アークからの熱伝達量を低減することができる。
【0059】
請求項2の発明の高圧放電ランプは、請求項1記載の高圧放電ランプにおいて、透光性セラミックス放電容器は、最小肉厚tminが0.3mm以上であることを特徴としている。
【0060】
本発明は、透光性セラミックス放電容器の最小肉厚tminの好適な値を規定している。最小肉厚は、透光性セラミックス放電容器の耐圧を左右し、最小肉厚tminが0.3mm未満であると、耐圧の低下が大きくなるので、好ましくない。
【0061】
したがって、本発明においては、耐圧の問題のない透光性セラミックス放電容器を備えた高圧放電ランプが得られる。
【0062】
請求項3の発明の高圧放電ランプは、請求項1または2記載の高圧放電ランプにおいて、透光性セラミックス放電容器は、その包囲部の内面の真球度が0.53以上であることを特徴としている。
【0063】
以下、図1を参照して、本発明において用いている「真球度」なる用語を説明する。
【0064】
図1は、本発明の高圧放電ランプにおける透光性セラミックス容器の包囲部の真球度を説明する説明図である。図において、1は透光性セラミックス容器、1aは包囲部、1bは小径筒部、xは透光性セラミックス容器1の中心軸、yは中心軸xに直角な軸である。
【0065】
包囲部1aの中心軸xに直角で、かつ中心軸xの中央部を通過する軸yに沿った最大内径をD、中心軸xに沿った軸長をLaとする。そして、軸yと包囲部1aの内面との交点をP1とし、点P1から中心軸xに向かう直線が包囲部1aと小径筒部1bとの凸曲面を呈する隣接部に内接する点をP2とし、P1およびP2の間を結ぶ直線lの延長線が中心軸xと交差する点をP3としたとき、左右の点P3とP3との間の距離をもって包囲部1aの軸長Laとする。真球度をIGとすると、真球度IGは、包囲部1aの最大内径Dおよび軸長Laから下式により与えられる。
【0066】
IG=D/La
なお、真球度IGは、中心軸xの周りに複数箇所について求めて、最大値と最小値の平均値により定めるものとする。
【0067】
そうして、本発明においては、透光性セラミックス容器の包囲部の真球度IGが0.53以上であることにより、音響的共鳴基本周波数が単一化される。そのため、上記の透光性セラミックス放電容器を用いて製作した本発明の高圧放電ランプを高周波で点灯する場合に、音響的共鳴周波数を回避した周波数で点灯することが容易になる。すなわち、高周波点灯が可能になる。なお、真球度は、好適には0.53〜0.85であり、より一層好ましくは0.57〜0.82である。
【0068】
請求項4の発明の高圧放電ランプは、請求項1ないし3のいずれか一記載の高圧放電ランプにおいて、透光性セラミックス放電容器は、その包囲部の内径が2〜6mmであり;定格ランプ電力が50W以下であり;定格点灯周波数が15〜30kHzまたは40〜50kHzである;ことを特徴としている。
【0069】
本発明は、ランプ電力が比較的小さくて、高周波点灯を可能にした高圧放電ランプの好適な構成を規定している。すなわち、定格ランプ電力が50W以下の場合、透光性セラミックス放電容器の包囲部の内径は、これを2〜6mmにするのがよい。また、定格点灯周波数を上記の範囲に規定した理由は、以下のとおりである。15kHz未満であると、可聴周波数であるため、可聴ノイズの問題を生じる。また、30kHz近傍の周波数では、赤外線リモコンで使用している周波数帯になるので、赤外線リモコンの誤動作防止のために採用は不可であり、また、30kHz超から40kHz未満の周波数帯は、たとえ包囲部の真球度を高くしたとしても、透光性セラミックス放電容器の音響共鳴モードが含まれるので、好ましくない。50kHz以上では、音響的共鳴を発生する周波数の間隔が狭くなり、点灯回路の周波数のばらつきを考慮しながら周波数の整合を図ることが困難になる。
【0070】
そうして、本発明においては、可聴ノイズ、音響共鳴および赤外線リモコンの誤動作といった実用上の問題のない高周波点灯を行なうランプ電力の小さな高圧放電ランプを得ることができる。
【0073】
請求項5の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に支持された請求項1ないし4のいずれか一記載の高圧放電ランプと;高圧放電ランプを点灯する点灯回路と;を具備していることを特徴としている。
【0074】
本発明において、「照明装置」とは、高圧放電ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念である。たとえば、電球形高圧放電ランプ、照明器具、移動体用前照灯、光ファイバー用光源装置、画像投射装置、光化学装置、指紋判別装置などに適用することができる。なお、「照明装置本体」とは、上記照明装置から高圧放電ランプおよび点灯回路を除いた残余の部分をいう。
【0075】
また、「電球形高圧放電ランプ」とは、高圧放電ランプと、その高周波点灯回路とを一体化し、さらに受電用の口金を付設してなり、口金に適応するランプソケットに装着することにより、白熱電球を点灯するような感覚で使用することができるように構成した照明装置を意味する。電球形高圧放電ランプを構成する場合、高圧放電ランプの発光を所望の配光特性が得られるように、集光するための反射鏡を備えることができる。さらに、高圧放電ランプの高い輝度を低減するために、光拡散性のグローブまたはカバーを備えることができる。さらにまた、口金は、所望の仕様のものを用いることができる。したがって、在来の光源ランプとの代替を図る目的の場合には、在来の光源ランプの口金と同じ口金を採用すればよい。
【0076】
点灯回路は、交流および直流点灯のいずれであってもよい。また、交流点灯の場合、高周波および低周波のいずれであってもよい。しかし、本発明に用いる高圧放電ランプは、その透光性セラミックス放電容器が包囲部と小径筒部とが一体的に成形されていて、包囲部の真球度が高いものに好適であるから、音響的共鳴現象による影響を回避しやすいので、5〜200kHz程度の周波数範囲の高周波点灯に好適である。
【0077】
次に、高周波点灯の場合、の高周波発生手段には、たとえばインバータを用いることができる。なお、インバータは、ハーフブリッジ形インバータ、フルブリッジ形インバータなど種々の回路方式のものを用いることができる。限流インピーダンスは、インダクタンス、キャパシタンスおよび抵抗のいずれか一種または複数種の組み合わせを用いることができるが、実用上インダクタンスが好適である。インダクタンスは、インダクタ、漏洩トランスなどを用いることができる。そして、限流インダクタおよびコンデンサの共振回路を備えた負荷回路を形成することにより、2次開放電圧から2次短絡電流まで連続な負荷特性を備えた点灯回路の構成にすることにより、高周波点灯の場合に、点灯回路の小形、かつ、軽量化を図ることができるので、特に好適である。
【0078】
これに対して、低周波点灯の場合、点灯回路は、昇圧チョッパまたは降圧チョッパと、その直流出力電圧を電源として作動するフルブリッジ形インバータとを主体とする回路構成を用いると好適である。なお、この構成においては、チョッパの動作制御により見かけ上の限流インピーダンスを省略することが可能である。
【0079】
また、直流点灯の場合、点灯回路は、昇圧チョッパまたは降圧チョッパの出力端に降圧放電ランプを接続する回路構成が、点灯回路のより一層の小形、かつ、軽量化を図ることができるので、好適である。
【0080】
なお、点灯回路は、照明装置本体に配設されていてもよいし、照明装置本体から離間した位置、たとえば天井裏に配設されていてもよい。
【0081】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0082】
図2および図3は、本発明の高圧放電ランプにおける参考例を示し、図2は縦断面図、図3は同じく透光性セラミックス放電容器の断面を模式的に示す説明図である。各図において、1は透光性セラミックス放電容器、2は電極、3は導入導体、4はシールである。透光性セラミックス放電容器1の内部には、放電媒体が封入される。以下、以上の構成要素について詳細に説明する。なお、本参考例は、透光性セラミックス放電容器の一部の構成を除けば本発明の実施形態と同様である。
【0083】
<透光性セラミックス放電容器1について>
透光性セラミックス放電容器1は、包囲部1aおよび小径筒部1bから構成されているとともに、その全体が一体成形により形成されている。包囲部1aは、その内部に放電空間を包囲する空洞1a1を有している。小径筒部1bは、その内部に貫通孔1b1を有している。そして、最大肉厚tmaxおよび最小肉厚tminを備え、かつ、肉厚比tmin/tmaxが0.1以上、かつ、0.75以下となっている。なお、包囲部1aの内面は、その主要部がほぼ真球状をなし、また外面は紡錘状をなしている。そして、小径筒部が紡錘の巻取り軸棒のような形状をなしている。また、包囲部1aと小径筒部1bとの境界部は、その内面が凸曲面Biを、外面が変曲点Boeを、それぞれ形成している。
【0084】
<一対の電極2、2について>
一対の電極2、2は、それぞれ軸部2a、第1のコイル部2bおよび第2のコイル部2cを備え、全体として細長い棒状をなしている。第1のコイル部2bは、軸部2aの先端に巻装されている。第2のコイル部2cは、軸部2aの基端部近傍に巻装されている。そして、電極2は、その先端が包囲部1a内に突出して放電空間を包囲する空洞1a1内に臨んで小径筒部1bの貫通孔1b1内に挿通され、貫通孔1b1および電極2の間にわずかな隙間gが形成されている。
【0085】
<導入導体3について>
導入導体3は、ニオブからなり、棒状をなしていて、先端が電極2の軸部2aの基端部に溶接され、基端が透光性セラミックス放電容器1の外部へ突出している。
【0086】
<シール4について>
シール4は、セラミックス封止用コンパウンドを溶融し、固化することにより、透光性セラミックス放電容器1の小径筒部1bおよび導入導体3の間に介在して透光性セラミックス放電容器1を気密に封止するとともに、導入導体3が透光性セラミックス放電容器1の内部に露出しないように被覆している。また、この封止により、電極2を所定の位置に固定している。
【0087】
シール4を形成するには、セラミックス封止用コンパウンドを小径筒部1bの端面において、導入導体3の貫通孔1b1から外部に突出している部分の周りに施与し、加熱溶融させて導入導体3および貫通孔1b1の内面の間に形成される隙間に進入させて小径筒部1b内に挿入されている導入導体3全体を被覆するとともに、さらに電極2の基端部をも被覆し、冷却により固化させる。
【0088】
<放電媒体について>
放電媒体は、希ガスたとえばネオンおよびアルゴンを含む始動ガスおよびバッファガス、発光金属の金属ハロゲン化物、ならびにバッファガスを供給する水銀からなり、透光性セラミックス放電容器1内に封入されている。
【参考例1】
透光性セラミックス放電容器1:透光性アルミナセラミックスからなり、全長23mm、包囲部の最大外径6mm、最大内径5mm、最大肉厚tmax1mm、最小肉厚tmin0.5mm、肉厚比tmin/tmax0.5、小径筒部の外径1.7mm、内径0.7mm
電極2:ドープドタングステンからなり、軸部2aが上側の電極で直径0.25mm、同じく下側で直径0.2mm、長さ5.8mm、第1のコイル部2bが直径0.135mmのドープドタングステン線の密巻4ターン、第2のコイル部2cが0.25mmのドープドタングステン線の密巻4ターン導入導体3:ニオブ、直径0.64mm
放電媒体:始動ガスおよびバッファガスとしてNe3%+Arが約27kPa、他に適量の水銀および発光金属としてNa、Tl、Dyのヨウ化物(発光金属のハロゲン化物は、点灯中にその全てが蒸発しないで、余剰分がわずかな隙間g内に滞留する程度の量封入している。)
ランプ電力:20W
全光束:1800lm、発光効率:90lm/W
色温度:3500K
定格寿命:8000h
【参考例2】
透光性セラミックス放電容器1:透光性アルミナセラミックスからなり、全長23mm、包囲部の最大外径6mm、最大内径5mm、最大肉厚tmax1.2mm、最小肉厚tmin0.5mm、肉厚比tmin/tmax0.42、小径筒部の外径1.7mm、内径0.7mm
その他の構成は、実施例1と同じ。
【参考例3】
透光性セラミックス放電容器1:透光性アルミナセラミックスからなり、全長31.6mm、包囲部の最大外径6.0mm、最大内径5.0mm、最大肉厚tmax1.0mm、最小肉厚tmin0.5mm、肉厚比tmin/tmax0.5、小径筒部の外径1.7mm、内径0.7mm
電極2:ドープドタングステンからなり、軸部2aが上側の電極で直径0.2mm、長さ2.5mm、第1のコイル部2bが直径0.16mmのドープドタングステン線の密巻4ターン、第2のコイル部2cが0.13mmのドープドタングステン線の密巻70ターン、電極間距離3.5mm
導入導体3:ニオブ、直径0.64mm
放電媒体:始動ガスおよびバッファガスとしてNe3%+Arが約13kPa、水銀約2mg、および発光金属としてNa、Tl、Dyのヨウ化物=2.0mg
ランプ電力:21W
全光束:1800lm、発光効率:90lm/W
色温度:3000K
定格寿命:8000h
図4は、本発明の高圧放電ランプの参考例で点灯方向を変化させた場合の色温度変化の測定データを比較例のそれとともに示すグラフである。図において、横軸は点灯方向を、縦軸は色温度(K)を、それぞれ示す。また、直線Aは本発明の参考例1、直線Bは参考例2、直線Cは比較例、をそれぞれ示す。なお、比較例は、透光性セラミックス放電容器の肉厚が包囲部および小径筒部の全てにわたり、ほぼ0.5mm均一である以外は、本発明の参考例と同一仕様である。
【0089】
図から明らかなように、本発明の参考例においては、その1、2いずれであっても、比較例に比較して色温度変化が顕著に少ない。
【0090】
以下、図5ないし図9を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図中、図2および図3と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0091】
図5は、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態を示す一部切欠一部断面正面図である。本実施形態は、透光性セラミックス放電容器1の包囲部1aと小径筒部1bとの境界部の外面が凹曲面Boに形成されている点で参考例と異なる。すなわち、図3に示す参考例においては、上記境界部が変曲点を形成していたが、本発明においては、適当な曲率rの凹曲面Boになっている。なお、一実施例としては、r=4mm、包囲部1aの内径R=5mm、r/R=0.8である。
【0092】
図6は、本発明の高圧放電ランプの第2の実施形態を示す一部切欠一部断面正面図である。本実施形態は、始動補助導体SAC1、SAC2などを備えた2重管構造である点で異なる。すなわち、高圧放電ランプは、発光管IB、第1および第2の接続導体CC1、CC2、ブリッジ導体BC、ビードガラスBG、第1および第2の始動補助導体SAC1、SAC2、外管OB、ゲッタGTおよび外部接続導体OCT1、OCT2からなる。
【0093】
発光管IBは、図2に示す高圧放電ランプの参考例と同一の構造である。なお、金属ハロゲン化物および水銀は蒸発する分より過剰に封入されているので、その一部が安定点灯時にわずかな隙間g内に液相状態で滞留する。そして、液相状態の放電媒体の界面は、最冷部を形成する。
【0094】
第1および第2の接続導体CC1、CC2は、それぞれモリブデン線からなり、外管OB内の軸方向に発光管IBを挟んでほぼ平行に延在している。そして、第1の接続導体CC1は、その先端が上部の電極2の給電導体3に接続しているとともに、中間が透光性セラミックス放電容器1の軸方向に対してほぼ平行に、かつ、離間して延在している。第2の接続導体CC2は、ブリッジ導体BCを介して下部の電極2の給電導体3に接続している。
【0095】
ビードガラスBGは、第1および第2の接続導体CC1、CC2の下部にガラス溶着することによって、それらを所定間隔になるよう固定している。
【0096】
始動補助導体SAC1、SAC2は、それぞれ金属製コイルからなり、直径0.3mmのモリブデン線を約6.5ターン小径筒部1bの外周に巻装して構成されている。一方の始動補助導体SAC1は、上部の小径筒部1bに巻装され、かつ、第2の接続導体CC2に接続されることによって、下部にある反対側の電極2と同電位になっている。また、他方の始動補助導体SAC2は、下部の小径筒部1bに巻装され、かつ、第1の接続導体CC1に接続されることによって、図において上部にある反対側の電極2と同電位になっている。
【0097】
外管OBは、硬質ガラス製のT形バルブからなり、基端にピンチシール部psが、先端に排気チップオフ部tが、それぞれ形成され、内部が排気されて1.3×10−2Pa程度の低真空状態になっている。ピンチシール部psは、T形バルブの開口端を加熱して軟化状態のときにピンチして形成する。排気チップオフ部tは、外管OBを封止した後に外管OBの内部を排気して排気管(図示しない。)を封じ切った跡である。
【0098】
ゲッタGTは、ZrAl合金からなり、第1の接続導体CC1に溶接により支持されている。
【0099】
外部接続導体OCT1、OCT2は、接続導体CC1、CC2を一体に延長して、外管OBのピンチシール部psを気密に貫通させて外部に導出することにより、構成されている。
【0100】
図7は、本発明の高圧放電ランプの第3の実施形態を示す一部断面正面図である。本実施形態は、口金Bを装着しているとともに、図において下部の電極にのみ始動補助導体SAC2を配設している点で主として異なる。
【0101】
すなわち、口金Bは、E11形ねじ口金導体b1およびセラミックス基体b2からなる。E11形ねじ口金導体b1は、一対の外部接続導体(図示しない。)を所要に接続している。セラミックス基体b2は、E11形ねじ口金導体b1を支持するとともに、外管OBのピンチシール部psを受け入れて無機質接着剤(図示しない。)によって固着している。
【0102】
始動補助導体SAC2は、ターン数が7ターンである。
【0103】
そうして、本実施形態の高圧放電ランプは、ハロゲン電球と同様な外形構造を備えているので、ハロゲン電球用のダウンライトやスポットライトなどの照明装置に代替可能な光源として好適である。
【0104】
図8は、本発明の高圧放電ランプの第4の実施形態を示す一部断面正面図である。本実施形態は、前面ガラス付の反射鏡Mを装着している点で図7と異なる。
【0105】
すなわち、反射鏡Mは、ガラス基体m1、ダイクロイックミラー反射面m2、円筒部m3および前面ガラスm4を備えて構成されている。ガラス基体m1は、円筒部m3と一体にガラス成形されている。ダイクロイックミラー反射面m2は、ガラス基体m1の内面に蒸着により形成されていて、赤外線を透過し、かつ、可視光を反射する。円筒部m3は、反射鏡頂部から背方へ突出している。前面ガラスm4は、その周縁がガラス基体m1の投光開口面に無機質接着剤により接着されて、投光開口面を閉塞している。
【0106】
口金Bは、そのセラミックス基体b2が外管OBおよび反射鏡Mの円筒部m4を同心配置関係で受け入れて図示しない無機質接着剤により固定している。
【0107】
そうして、本実施形態の高圧放電ランプは、ミラー付ハロゲン電球と同様な外形構造を備えているので、ミラー付ハロゲン電球用のダウンライトやスポットライトなどの照明装置に代替可能な光源として好適である。
【0108】
図9は、本発明の照明装置の第1の実施形態としてのスポットライトを示す一部中央断面正面図である。本実施形態のスポットライトは、スポットライト本体11、高圧放電ランプ12および高周波点灯回路からなる。なお、高周波点灯回路は、図示を省略している。
【0109】
スポットライト本体11は、主として天井取付部11a、アーム11b、本体ケース11c、ランプソケット11d、反射鏡11e、遮光筒11fおよび前面ガラス11gを備えている。天井取付部11aは、天井に取り付けられてスポットライトを吊持するとともに、たとえば天井裏などに別置きに配設される点灯回路手段(図示しない。)に接続して、ここから受電する。アーム11bは、基端が天井取付部11aに固定されている。本体ケース11cは、前面が開口した容器状をなし、アーム11bの先端に垂直面内において俯仰自在に枢着されている。なお、図中の2点鎖線は、本体ケース11cを基準にしたときのアーム11bの俯仰調節可能な範囲を説明している。ランプソケット11dは、E11形口金用に適合するもので、本体ケース11c内に配設されている。反射鏡11eは、ランプソケット11dの前方に位置して本体ケース11cに配設されている。遮光筒11fは、反射鏡11eの開口端の中央部に配設されている。前面ガラス11gは、本体ケース11cの開口端に配設されている。
【0110】
高圧放電ランプ12は、図7に示すのと同様な仕様である。そして、高圧放電ランプ12は、その口金Bをランプソケット11dに装着することにより、スポットライト本体11に取り付けられている。また、高圧放電ランプ12が取り付けられている状態で遮光筒11fが外管OB先端からの光を遮光して、グレアを防止する。
【0111】
図10および図11は、本発明の本発明の照明装置の第2の実施形態としての電球形高圧放電ランプを示し、図10は要部断面正面図、図11は高周波点灯回路の回路構成を示す回路図である。各図において、電球形高圧放電ランプは、高圧放電ランプ12、台座13、反射鏡14、高周波点灯回路15、基体16および口金17を備えている。以下、構成要素別に説明する。なお、高周波点灯回路15の回路構成については後述する。
【0112】
〔高圧放電ランプ12について〕
高圧放電ランプ12は、図6に示すのと同一仕様であり、外部接続端子OCT1、OCT2が外管OBのピンチシール部psから図において上方へ突出している。なお、図7と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0113】
〔台座13について〕
台座13は、耐熱性合成樹脂を成形して形成され、中心部に装着孔13a、図において上部外周縁に取付部13b、また下部外周縁に中空のコップ状のスカート部13cを備えている。装着孔13aは、高圧放電ランプ12および反射鏡14を装着するためのもので、そこに挿入された高圧放電ランプ12のピンチシール部psおよび後述する反射鏡14の縁部14aを同心にして無機質接着剤19を介して固定している。取付部13bは、後述する基体16の開口端に固着される。スカート部13cは、反射鏡14の周囲を包囲して保護するとともに、外観を整えている。
【0114】
〔反射鏡14について〕
反射鏡14は、高圧放電ランプ12の周囲に配設されているとともに、高圧放電ランプ12の少なくとも発光部すなわち包囲部1aを包囲している。そして、反射鏡14は、台座13に固定されている。本実施形態においては、前記したように、高圧放電ランプ12と一緒に固定されている。また、反射鏡14は、ガラス成形により臥せ椀状に成形され、同時に頂部の円筒状の縁部14aを一体に形成しているとともに、内面にアルミニウム蒸着膜からなる反射面14bを形成している。なお、この縁部14aは、台座13の装着孔13aに挿入され、無機接着剤BCで台座13に固定されている。さらに、反射鏡13の開口部に前面ガラス14cが配設されている。前面14bは、透明ガラスを成形して製作され、低融点フリットガラス18で反射鏡14に気密に封着されている。さらにまた、反射鏡14および前面ガラス14bにより形成されている内部空間には、不活性ガスとして窒素が封入されている。
【0115】
〔高周波点灯回路15について〕
高周波点灯回路15は、配線基板15aの図10において主として上側に実装され、また配線基板15aの下面から高圧放電ランプ12の外部接続端子OCT1,OCT2を受け入れて、配線基板15aと所要に接続している。
【0116】
〔基体16について〕
基体16は、杯状をなしていて、その基部に後述する口金17が装着され、また開口縁に周段部16aが形成されている。また、基体16の内部には、点灯回路手段15が収納されている。さらに、開口縁の周段部16aに台座13の周段部13cを嵌合して、接着剤によって固着している。なお、基体16の適所または台座との嵌合部に空気抜きや放熱のための孔隙を必要に応じて形成する。
【0117】
〔口金17について〕
口金17は、E26形の口金からなり、基体16の基部に装着されている。
【0118】
次に、高周波点灯回路15の回路構成を図11を参照して説明する。
【0119】
図11は、ハーフブリッジ形高周波インバータを主体とする高圧放電ランプの高周波点灯回路を示している。図において、ASは交流電源、fは過電流ヒューズ、NFはノイズフィルタ、RDは整流化直流電源、HFIは高周波インバータは、LCは負荷回路である。以下、構成要素ごとに説明する。
【0120】
交流電源ASは、商用100V電源である。
【0121】
過電流ヒューズfは、配線基板に一体に形成したパターンヒューズであり、過電流が流れた際に溶断して回路が焼損しないように保護する。
【0122】
ノイズフィルタNFは、インダクタL1およびコンデンサC1からなり、高周波インバータの動作に伴って発生する高周波を電源側に流出しないように除去する。
【0123】
整流化直流電源RDは、ブリッジ形整流回路BRおよび平滑コンデンサC2からなり、ブリッジ形整流化色BRの交流入力端がノイズフィルタNFおよび過電流ヒューズfを介して交流電源Aに接続し、また直流出力端が平滑コンデンサC2の両端に接続していて、平滑化直流を供給する。
【0124】
高周波インバータHFIは、ハーフブリッジ形インバータからなり、第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2、ゲートドライブ回路GD、始動回路STおよびゲート保護回路GPを備えて構成されている。第1のスイッチング手段Q1は、Nチャンネル形MOSFETからなり、そのドレインが平滑コンデンサC2のプラス側に接続している。第2のスイッチング手段Q2は、Pチャンネル形MOSFETからなり、そのソースが第1のスイッチング手段Q1のソースに接続し、ドレインが平滑コンデンサC2のマイナス側に接続している。したがって、第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2は、順方向に直列接続されて、その両端が整流化直流電源RDの出力端間に接続していることになる。
【0125】
ゲートドライブ回路GDは、帰還回路FBC、直列共振回路SOCおよびゲート電圧出力回路GOからなる。帰還手段FBCは、後述する限流インダクタL2に磁気結合している補助巻線からなる。直列共振回路SOCは、インダクタL3およびコンデンサC3の直列回路からなり、その両端は帰還手段FBCに接続している。ゲート電圧出力手段GOは、直列共振回路SOCのコンデンサC3の両端に現れる共振電圧をコンデンサC4を介して取り出すように構成されている。そして、コンデンサC4の一端は、コンデンサC3とインダクタL3との接続点に接続し、コンデンサC4の他端は第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のそれぞれのゲートに接続している。さらに、コンデンサC3の他端が第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のソースに接続している。その結果、コンデンサC3の両端に現れた共振電圧は、ゲート電圧出力回路GOを介して第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のゲート・ソース間に印加される。
【0126】
始動回路STは、抵抗器R1、R2、R3からなる。抵抗器R2は、その一端が平滑コンデンサC2のプラス側に接続し、他端が第1のスイッチング手段Q1のゲートに接続しているとともに、抵抗器R2の一端およびゲートドライブ回路GDのゲート電圧出力回路GOのゲート側の出力端すなわちコンデンサC4の他端に接続している。抵抗器R2の他端は、直列共振回路SOCのインダクタL3および帰還回路FBCの接続点に接続している。抵抗器R3は、その一端が第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2の接続点すなわちそれぞれのソースおよびゲート電圧出力回路GOのソース側に接続し、他端が平滑コンデンサC2のマイナス側に接続している。
【0127】
ゲート保護回路GPは、一対のツェナーダイオードを逆直列接続してなり、ゲート電圧出力回路GOに並列接続している。
【0128】
負荷回路LCは、高圧放電ランプ12、限流インダクタL2および直流カットコンデンサC5の直列回路と、高圧放電ランプHPLに並列接続した共振コンデンサC6とからなり、一端が第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2の接続点に、他端が第2のスイッチング手段Q2のドレインに接続している。高圧放電ランプ12は、図5に示す構成を備えている。限流インダクタL2と共振コンデンサC6とは、直列共振回路を形成する。なお、直流カットコンデンサC5は、容量が大きいので、直列共振に大きくは影響しない。
【0129】
Q2のドレイン・ソース間に接続されたコンデンサC7は、第2のスイッチング手段Q2のスイッチング中の負荷を軽減する。
【0130】
次に、回路動作について説明する。
【0131】
交流電源ASを投入すると、整流化直流電源RDにより平滑化された直流電圧が平滑コンデンサC2の両端に現れる。そして、直列接続された第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2の両ドレイン間に直流電圧が印加される。しかし、両スイッチング手段Q1、Q2は、ゲート電圧が印加されてないので、オフしている。
【0132】
上記直流電圧は、同時に始動回路STにも印加されるので、抵抗器R2の両端には主として抵抗器R1、R2、R3の抵抗値の案分比に応じた電圧が現れる。そして、抵抗器R2の端子電圧は、第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のゲート・ソース間に正極性の電圧として印加される。
【0133】
その結果、第1のスイッチング手段Q1は、スレッシュホールド電圧を超えるように設定されているため、オンする。これに対して、第2のスイッチング手段Q2のゲート・ソース間に印加される電圧は、所要のゲート電圧とは逆極性であるため、オフ状態のままである。
【0134】
第1のスイッチング手段Q1がオンすると、整流化直流電源RDから第1のスイッチング手段Q1を介して負荷回路LCに電流が流れる。これにより限流インダクタL2および共振コンデンサC6の直列共振回路が共振して共振コンデンサC6の端子間に高い共振電圧が現れ、高圧放電ランプHPLに印加される。
【0135】
一方、限流インダクタL2に電流が流れたことにより、磁気結合している帰還回路FBCに電圧が誘起される。これにより直列共振回路SOCが直列共振して、コンデンサC3には昇圧された負電圧が発生するので、ゲート保護回路GPにより一定電圧にクリップされ、ゲート電圧出力回路GOを介して第1および第2のスイッチング手段Q1、Q2のゲート・ソース間に印加される。
【0136】
これにより、第2のスイッチング手段Q2はスレッシュホールド電圧を超えるため、オンする。
【0137】
これに対して、今までオンしていた第1のスイッチング手段Q1は、ゲート電圧が逆極性になるので、オフする。
【0138】
第2のスイッチング手段Q2がオンすると、負荷回路LCの限流インダクタL2に蓄積されている電磁エネルギーおよびコンデンサC6の電荷が放出されて、限流インダクタL2から第2のスイッチング手段Q2を介して負荷回路LC内を逆方向に電流が流れ、コンデンサC6の両端には極性が反転した共振による高い電圧が現れ、高圧放電ランプHPLに印加される。以後、以上説明した動作を繰り返す。高周波インバータHFIの動作周波数は150kHzであり、高圧放電ランプ12は音響的共鳴現象を生じることなく良好に始動し、点灯した。
【0139】
次に、上記実施形態のランプ仕様について説明する。
外径:50mm、全長:110mm
口金:E26定格電圧:100V
消費電力:23W
最大光度:4200cd
ビームの開き:28°
ビーム光束:780lm
定格寿命:8000h
図12は、本発明の高圧放電ランプの第5の実施形態および照明装置の第3の実施形態としてのスポットライトを示す正面図である。図において、21は照明器具本体、22は高圧放電ランプである。
【0140】
照明器具本体21は、基台21a、支柱21bおよび灯体21cを備えている。
【0141】
基台21aは、天井に直付けまたはライティングダクトを介して天井に吊り下げるように構成され、内部に高周波点灯回路(図示しない。)を収納している。支柱21bは、基台21aから垂下して灯体21cを支持している。内部に高周波点灯回路から灯体21cに接続する絶縁被覆導線(図示しない。)を収容している。灯体21cは、内部にランプソケット(図示しない。)を収納している。
【0142】
高圧放電ランプ22は、高圧放電ランプ本体22a、反射鏡付ガラスバルブ22bおよび口金22cを備えている。高圧放電ランプ本体22aは、図5に示すのと同一仕様である。反射鏡付ガラスバルブ22bは、R形ガラスバルブの前面を除く内面にアルミニウム蒸着反射面22b1を形成することによって構成されている。口金22cは、口金導体およびセラミックス基体22c2から構成されている。口金導体は、E26形であり、灯体21cの内部に配設されているランプソケットに装着されている。セラミックス基体22c2は、口金導体と一体化されているとともに、高圧放電ランプ本体22aおよび反射鏡付ガラスバルブ22bの基部を同心関係に受け入れて無機接着剤により固着している。
【0143】
そうして、灯体21cのランプソケットに高圧放電ランプ22の口金22cを装着すれば、高圧放電ランプ22が高輝度で点灯し、反射鏡付ガラスバルブ22bのアルミニウム蒸着反射面22b1により集光されるので、所望のシャープな配光特性を得て被照体を良好に照明することができる。したがって、本実施形態の高圧放電ランプ22は、従来の反射鏡付水銀ランプを用いるスポットライトなどにおいて、反射鏡付水銀ランプと代替するのに好適である。
【0144】
【発明の効果】
請求項1ないし5の各発明によれば、透光性セラミックス放電容器、一対の電極、導入導体および放電媒体を具備し、透光性セラミックス放電容器が放電空間を包囲する包囲部および包囲部の両端に連通した小径筒部を備えて一体的に成形されるとともに、最小肉厚tminおよび最大肉厚tmaxの肉厚比tmin/tmaxが0.75以下であるとともに、包囲部と小径筒部との境界部の外面が連続した凹曲面に形成され、かつ包囲部の内径Rと、上記凹曲面の曲率半径rとの比r/Rが0.1≦r/R≦1.5を満足していることにより、点灯方向を変化したときの色温度変化が抑制されるとともにセラミックス放電容器の小径筒部における械的強度の低下をより一層効果的に抑制した高圧放電ランプを提供することができる。
【0145】
請求項2の発明によれば、加えて透光性セラミックス放電容器の最小肉厚tminが0.3mm以上であることにより、透光性セラミックス放電容器に耐圧の問題のない高圧放電ランプを提供することができる。
【0146】
請求項3の発明によれば、加えて透光性セラミックス放電容器の包囲部の内面の真球度が0.53以上であることにより、音響的共鳴周波数を回避しての高周波点灯が可能な高圧放電ランプを提供することができる。
【0147】
請求項4の発明によれば、加えて透光性セラミックス放電容器の包囲部の内径が2〜6mm、定格ランプ電力が50W以下、定格点灯周波数が15〜30kHzまたは40〜50kHzであることにより、高周波点灯において音響共鳴が生じないとともに実用上問題のない高圧放電ランプを提供することができる。
【0149】
請求項5の発明によれば、請求項1ないし4の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の透光性セラミックス放電容器における包囲部の真球度を説明する説明図
【図2】 本発明の高圧放電ランプの参考例を示す縦断面図
【図3】 同じく透光性セラミックス放電容器の断面を模式的に示す説明図
【図4】 本発明の高圧放電ランプの参考例で点灯方向を変化させた場合の色温度変化の測定データを比較例のそれとともに示すグラフ
【図5】 本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態における透光性セラミックス放電容器の断面を模式的に示す説明図
【図6】 本発明の高圧放電ランプの第2の実施形態を示す一部切欠一部断面正面図
【図7】 本発明の高圧放電ランプの第3の実施形態を示す一部断面正面図
【図8】 本発明の高圧放電ランプの第4の実施形態を示す一部断面正面図
【図9】 本発明の照明装置の第1の実施形態としてのスポットライトを示す一部中央断面正面図
【図10】 本発明の本発明の照明装置の第2の実施形態としての電球形高圧放電ランプを示す要部断面正面図
【図11】 同じく高周波点灯回路の回路構成を示す回路図
【図12】 本発明の高圧放電ランプの第5の実施形態および照明装置の第3の実施形態としてのスポットライトを示す正面図
【符号の説明】
1…透光性セラミックス放電容器
1a…包囲部
1a1…空洞
1b…小径筒部
1b1…貫通孔
2…電極
2a…軸部
2b…第1のコイル部
2c…第2のコイル部
3…導入導体
4…シール部
Bo…凹曲面
g…わずかな隙間
Claims (5)
- 放電空間を包囲する包囲部および包囲部の両端に連通した小径筒部を備えて一体的に成形され、最小肉厚tminおよび最大肉厚tmaxの肉厚比tmin/tmaxが0.1≦tmin/tmax≦0.75を満足し、包囲部と小径筒部との境界部の外面が連続した凹曲面に形成されているとともに、包囲部の内径Rと、上記凹曲面の曲率半径rとの比r/Rが0.1≦r/R≦1.5を満足している透光性セラミックス放電容器と;
透光性セラミックス放電容器の小径筒部に挿通されているとともに先端が透光性放電容器の包囲部に臨んでいる一対の電極と;
先端が電極の基端部に接続され少なくとも中間部が透光性放電容器に封着され基端が透光性放電容器から外部に露出した導入導体と;
透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。 - 透光性セラミックス放電容器は、最小肉厚tminが0.3mm以上であることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
- 透光性セラミックス放電容器は、その包囲部の内面の真球度が0.53以上であることを特徴とする請求項1または2記載の高圧放電ランプ。
- 透光性セラミックス放電容器は、その包囲部の内径が2〜6mmであり;定格ランプ電力が50W以下であり;定格点灯周波数が15〜30kHzまたは40〜50kHzである;ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の高圧放電ランプ。
- 照明装置本体と;
照明装置本体に支持された請求項1ないし4のいずれか一記載の高圧放電ランプと;
高圧放電ランプを付勢する点灯回路と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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