JP4392729B2 - 脂肪族ポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用材料や汎用樹脂の代替として有用な生分解性ポリマーである脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニットを50%以上含有する脂肪族ポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
更に詳しくは、結晶化した、脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニットを50%以上含有する低分子量の脂肪族ポリエステルプレポリマー(以下プレポリマーという)を触媒の存在下、固相重合するに際し、流通ガスの偏流や、プレポリマーの流動化を起こすことなく、安定した品質の脂肪族ポリエステルを提供する、脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニットを50%以上含有する高分子量の脂肪族ポリエステルの製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、廃棄物処理が環境保護と関連して問題となっている。特に、一般的な汎用の高分子材料の成形品や加工品は、廃棄物として埋め立てた場合、微生物等による分解性・崩壊性がないため、異物として半永久的に残存すること、さらに、可塑剤等の添加剤が溶出して環境を汚染すること等が問題となっている。
【0004】
また、廃棄物として焼却する場合には、燃焼により発生する高い熱量により、炉を損傷すること、燃焼により発生する排煙・排ガスが、大気汚染、オゾン層破壊、地球温暖化、酸性雨等の原因となり得ること等がクローズアップされてきた。
【0005】
このような背景から、強靱でありながら使用後、廃棄物として埋め立てた場合に分解したり、焼却しなければならない場合でも、燃焼熱が低く炉を損傷しない高分子材料への需要が高まってきたにもかかわらず、必ずしも、このような需要に応え得る高分子材料が供給されているとはいえない。
【0006】
脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸の一種であるポリ乳酸は、透明性が高く、強靱で、水の存在下では容易に加水分解する特性を有する。従って、それを汎用樹脂として使用する場合には、廃棄後に環境を汚染することなく分解するので環境にやさしく、また医療用材料として生体内に留置された場合には、医療用材料としての目的達成後に生体に毒性を及ぼすことなく生体内で分解・吸収されるので生体にやさしいという優れた性質が、本出願前に既に注目されていた。
【0007】
従来、高分子量の脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸は、グリコリド、ラクチド等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状二量体を開環重合する方法、乳酸やグリコール酸のような脂肪族ヒドロキシカルボン酸を直接脱水重縮合反応する方法(USP 5,310,865)等により製造することが知られている。脂肪族ヒドロキシカルボン酸の環状二量体を開環重合する場合は通常、溶融状態で重合が行われ、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を直接脱水重縮合反応する場合は通常、有機溶媒中で行われる。開環重合する方法は面倒な製法により得られる高価なラクチド等を使用しなければならず、直接脱水重縮合反応する方法は、有機溶媒中での反応であるため容積効率が悪い。
【0008】
特開平5−255488号公報(EP−A−500098)には、粉末又は粒子であり、X線回折で測定した結晶化度が10%以上である低分子量L−及び/又はD−乳酸のホモポリマー又はコポリマーを不活性ガス雰囲気中又は真空下でポリマーのガラス転移温度より高く、かつポリマーの融解温度より低い温度で加熱することにより、分子量を増加させる技術が開示されている。この発明の特徴として、触媒の非存在下に重合を行うため、触媒残渣を全く含まないポリマーを得ることが出来、医薬の制御的放出、及び生体吸収性人工器官の製造において重要である高い安全性ポリマーを得ることができる。しかしながら、触媒を用いないため、強靭さが要求される汎用樹脂の代替となるような分子量の高いポリマーを得ることができない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、乳酸、グリコール酸等の脂肪族ヒドロキシカルボン酸や1,4−ブタンジオールのような脂肪族多価アルコ−ルとコハク酸のような脂肪族多価カルボン酸のような安価な原料を重縮合し、容易に得られる低分子量の脂肪族ポリエステルであるプレポリマーを出発原料とし、プレポリマーを結晶化した後、触媒存在下、イナートガス流通下に固相で重縮合反応し、強靭さが要求される汎用樹脂の代替となるような分子量の高い脂肪族ポリエステルを、高い容積効率で、簡便に製造する方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の課題の一つは、重縮合反応に、特定の触媒を用い、触媒を反応中に除去しながら反応を行うことにより、触媒残渣が少なく、無触媒反応で得られる脂肪族ポリエステルと同程度に安全で、かつ高分子量の脂肪族ポリエステルを製造する方法を提供することにある。
さらに、本発明の課題の一つは、反応系内に装入する流通ガス量を特定の範囲内に収めることにより、固相重合装置内での流通ガスの偏流やプレポリマーなどの固体相の流動化を起こすことなく、小規模から大規模な固相重合装置と、種々の反応形式において、安全に、かつ安定的に均一な品質の脂肪族ポリエステルを製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決する為鋭意検討した結果、固相重合において、特定の原料・触媒を用い流通ガス量を特定値に制御することにより、目的の高分子量の脂肪族ポリエステルを製造出来る事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]に記載した事項により特定される。
[1] 数式(1)で示される数値範囲にある重量平均分子量(Mw1)を有する結晶化した脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む脂肪族ポリエステルプレポリマーを、有機スルホン酸系触媒の存在下で固相重合することからなる、数式(2)と数式(3)で示される数値範囲にある重量平均分子量(Mw2)と脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む脂肪族ポリエステルの製造方法において、脂肪族ポリエステルプレポリマーを流通ガス雰囲気下、流通ガス流量が比速度Svにして10[ml/hr/g]より大きく12000[ml/hr/g]未満(Svは脂肪族ポリエステルプレポリマー単位重量、単位時間当たりの、流通ガス量)の条件で固相重合する、脂肪族ポリエステルの製造方法。
【0013】
2×103 ≦ Mw1 ≦ 1×105 (1)
5×104 ≦ Mw2 ≦ 1×106 (2)
Mw1 < Mw2 (3)
[2] 数式(4)に示される触媒残留率Rが、50%以下である、[1]記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
【0014】
R[%] = CA[ppm] ÷ CB[ppm] × 100 (4)
(数式(4)において、Rは、固相重合反応前後における触媒濃度の変化の尺度である触媒残留率[%]であり、CB[ppm]は、数式(5)により算出される、固相重合前、及び/又は固相重合反応中に反応系に仕込まれた触媒が全て脂肪族ポリエステル中に残留する場合の理論触媒濃度であり、CA[ppm]は、数式(6)により算出される、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中の触媒濃度である)
CB[ppm] = WB[g] ÷ WP[g] × 106 (5)
(数式(5)において、WB[g]は、固相重合前、及び/又は固相重合反応中に反応系に仕込まれた触媒の合計重量であり、WP[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステルの重量である)
CA[ppm] = WA[g] ÷ WP[g] × 106 (6)
(数式(6)において、WA[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中に含有される触媒重量であり、WP[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステルの重量である)
[3] 固定層型反応機で固相重合を行なう、[1]又は[2]に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
[4] 移動層式反応機で固相重合を行なう、[1]又は[2]に記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
[5] 流通ガス流速が空塔線速度Lvにして3600[m/hr]未満である、[1]乃至[4]の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
[6] 流通ガス流速が空塔線速度Lvにして36[m/hr]より大きい、[1]乃至[4]の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
[7] 塔型反応器で固相重合を行なう、[1]乃至[4]の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
[8] 結晶化された脂肪族ポリエステルプレポリマーを触媒の存在下、固相重合するに際し、脂肪族ポリエステルプレポリマーの充填高さL[m]が、数式(10)で示される範囲にある、[7]記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
0.003/ρ[m] < L < 360/ρ[m] (10)
(数式(10)において、ρ[g/ml]は脂肪族ポリエステルプレポリマーの嵩密度である)
[9] 脂肪族ポリエステルプレポリマーがポリ乳酸である、[1]記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
[10] 脂肪族ポリエステルプレポリマーが、L−乳酸とペンタエリスリトールとコハク酸を含むものからなるスターポリマー、又はL−乳酸とトリメチロールプロパンとコハク酸を含むものからなるスターポリマーである、[1]記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
【0015】
0.003/ρ[m] < L < 360/ρ[m] (10)
(数式(7)においてSv‘は脂肪族ポリエステルプレポリマー単位容積、単位時間当たりの流通ガス量、ρ[g/ml]は脂肪族ポリエステルプレポリマーの嵩密度)
Sv‘=ρSv [1/hr] (7)
Lv =L*Sv‘ [m/hr] (8)
L =Lv/(ρ*Sv) [m] (9)
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、数式(1)で示される数値範囲にある重量平均分子量(Mw1)を有する結晶化した脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニットを50%以上を含む脂肪族ポリエステルプレポリマーを、触媒存在下で固相重合することからなる、数式(2)と数式(3)で示される数値範囲にある重量平均分子量(Mw2)と脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニットを50%以上を有する脂肪族ポリエステルの製造方法である。
【0017】
2×103 ≦ Mw1 ≦ 1×105 (1)
5×104 ≦ Mw2 ≦ 1×106 (2)
Mw1 < Mw2 (3)
【0018】
[固相重合]
本発明の固相重合による脂肪族ポリエステルの製造方法は、触媒の存在下、結晶化した脂肪族ポリエステルプレポリマー(以下、プレポリマーという)を固相状態で、好ましくは流通ガス雰囲気下で脱水重縮合(固相重合)することを特徴とする。
【0019】
本発明の固相重合方法は、反応系に存在するポリマー(プレポリマー及び反応生成物である脂肪族ポリエステル)が実質的に固体状態を維持し、固相重合終了後の脂肪族ポリエステルの重量平均分子量(Mw)が、固相重合開始前のプレポリマーの重量平均分子量(Mw)の数値以上であれば特に制限されない。
【0020】
すなわち、本発明の固相重合方法は、反応系に存在するポリマー(プレポリマー及び反応生成物である脂肪族ポリエステル)が実質的に固体状態を維持し、固相重合開始前のプレポリマーの重量平均分子量(Mw1)が、数式(1)で示される数値範囲にあり、固相重合終了後の脂肪族ポリエステルの重量平均分子量(Mw2)が、数式(2)と数式(3)で示される数値範囲であれば特に制限されない。
【0021】
2×103 ≦ Mw1 ≦ 1×105 (1)
5×104 ≦ Mw2 ≦ 1×106 (2)
Mw1 < Mw2 (3)
【0022】
1)固相重合における触媒
本発明の固相重合において、触媒として、揮発性触媒及び不揮発性触媒の何れもが使用できる。しかしながら、生成した脂肪族ポリエステル中の触媒の残存量が少ないことから反応中に反応系から揮散する揮発性触媒を用いることが好ましい。
1−1)揮発性触媒
本発明において使用する揮発性触媒は、プレポリマーの脱水重縮合反応の進行を実質的に促進すると共に、揮発性を有するものであれば特に制限されない。
【0023】
ここで、触媒の揮発性とは、固相重合において、反応条件群、すなわち、反応圧力、反応温度、反応時間、流通ガスの流量及びプレポリマーの粒子直径からなる反応条件群の少なくとも一つの反応条件に相関して、数式(4)により計算される触媒残留率R[%]を、数式(11)により示される数値範囲内の任意の数値に制御することができる機能を意味する。
【0024】
0[%] ≦ R[%] < 100[%] (11)
(数式(11)において、R[%]は、数式(4)により算出される、固相重合反応前後における触媒濃度の変化の尺度である触媒残留率[%]である)
R[%] = CA[ppm] ÷ CB[ppm] × 100 (4)
(数式(4)において、Rは、固相重合反応前後における触媒濃度の変化の尺度である触媒残留率[%]であり、CB[ppm]は、数式(5)により算出される、固相重合前、及び/又は固相重合反応中に反応系に仕込まれた触媒が全て脂肪族ポリエステル中に残留する場合の理論触媒濃度であり、CA[ppm]は、数式(6)により算出される、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中の触媒濃度である。)
CB[ppm] = WB[g] ÷ WP[g] × 106 (5)
(数式(5)において、WB[g]は、固相重合前、及び/又は固相重合反応中に反応系に仕込まれた触媒の合計重量であり、WP[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステルの重量である。)
CA[ppm] = WA[g] ÷ WP[g] × 106 (6)
(数式(6)において、WA[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中に含有される触媒重量であり、WP[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステルの重量である。)
【0025】
すなわち、本発明の方法で揮発性触媒を使用することにより、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中の触媒濃度CA[ppm]は、数式(5)で表される固相重合反応開始前に反応系に仕込まれた触媒重量から算出される触媒濃度CB[ppm]よりも小さくなる。
触媒残留率R[%]の値は小さいほど、揮発性触媒としての特性が優れていると言え、得られる脂肪族ポリエステルの安定性が高くなる。
触媒残留率R[%]の値は、揮発性触媒の種類、使用量、反応方式、反応条件によって変化する。本発明で使用する揮発性触媒の触媒残留率R[%]の値は特に制限されないが、一般的に触媒残留率R[%]の値は、50%以下であることが好ましく、20%以下であることがさらに好ましい。
【0026】
本発明において使用する揮発性触媒の具体例としては、例えば、有機スルホン酸系化合物が挙げられる。
【0027】
有機スルホン酸の具体例としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1ーデカンスルホン酸等の炭素数1〜10のアルカンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のハロゲン置換アルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−ニトロベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸等のベンゼンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸誘導体、ナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、2,5−ナフタレンジスルホン酸等のナフタレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸誘導体、エタンジスルホン酸、カンファースルホン酸、スルホ酢酸、タウリン、アミノメタンスルホン酸等が挙げられる。又、これら有機スルホン酸の酸無水物も使用することができる。これらの中では、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸が特に好ましい。これらは、単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0028】
上記有機スルホン酸の種類によっては結晶水を有するものもあり、この場合、触媒を添加する際に、結晶水による得られる脂肪族ポリエステルの重量平均分子量の低下を考慮しなければならない場合もある。プレポリマーの重量平均分子量(Mw)が1,000以下の時は結晶水を有したまま触媒を添加しても構わないが、プレポリマーの重量平均分子量(Mw)が1,000を越える場合は、重量平均分子量(Mw)が高くなるほど、触媒が有する結晶水により、得られる脂肪族ポリエステルの重量平均分子量が低下しやすくなるので予め触媒が有する結晶水を除去してから触媒添加する方が、反応の進行を阻害しないので好ましい。
【0029】
1−2)揮発性触媒の使用量
本発明において揮発性触媒の使用量は、触媒の揮発性や酸強度等の触媒自身の性質、反応条件を考慮して、実質的に、反応を促進させることができれば特に制限されない。
揮発性触媒の好ましい使用量は、使用する触媒の種類によって異なるが、一般的には、得られる脂肪族ポリエステルの0.00005〜10重量%の範囲が好ましく、経済性を考慮すると、0.0001〜5重量%の範囲がより好ましく、0.0001〜2重量%の範囲がさらに好ましい。
【0030】
1−3)不揮発性触媒
本発明において使用する不揮発性触媒は、固相重合反応の進行を実質的に促進する限り、特に制限されない。
【0031】
触媒の具体例としては、例えば、周期表II、III、IV、V族の金属、その酸化物あるいはその塩等が挙げられる。
【0032】
より具体的には、亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム、ゲルマニウム等の金属、酸化錫(II)、酸化アンチモン(III)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン(IV)、酸化ゲルマニウム(IV)等の金属酸化物、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、臭化錫(II)、臭化錫(IV)、フッ化アンチモン(III)、フッ化アンチモン(V)、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、硫酸錫(II)、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、ホウ酸亜鉛等のホウ酸塩、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、乳酸錫(II)、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム等の有機カルボン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫(II)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、メタンスルホン酸錫(II)、p−トルエンスルホン酸錫(II)等の有機スルホン酸塩等類が挙げられる。
【0033】
その他の例としては、ジブチルチンオキサイド等の上記金属の有機金属酸化物、又は、チタニウムイソプロポキシド等の上記金属の金属アルコキサイド、又は、ジエチル亜鉛等の上記金属のアルキル金属等が挙げられる。
これらの中でも錫末(金属錫)、酸化錫(II)等が好ましい。これらは、単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
1−4)不揮発性触媒の使用量
不揮発性触媒の使用量は、実質的に、反応速度を促進する程度のものであれば、特に制限されない。
不揮発性触媒の使用量は、使用する触媒の種類によって異なるが、一般的には、得られる脂肪族ポリエステルの0.00005〜5重量%の範囲が好ましく、経済性を考慮すると、0.0001〜1重量%の範囲がより好ましい。
【0035】
2)固相重合における反応温度
固相重合における反応温度は、反応系に存在するポリマー(プレポリマー及び反応生成物である脂肪族ポリエステル)が実質的に固体状態を維持していれば特に制限されないが、重合速度及び触媒として前述した揮発性触媒を用いる場合その揮発性を考慮して、100℃以上、融点(Tm)未満であることが好ましい。揮発性触媒を用いる場合、一般的には、反応温度が高い程、重合速度が速く、触媒が揮散しやすくなる。このため、揮発性触媒を用いる場合、高分子量の脂肪族ポリエステルを得るには、ポリマー(プレポリマー及び反応生成物である脂肪族ポリエステル)の融点(Tm)以下の温度範囲の中で、触媒の揮散速度を考慮して、反応温度を設定する。
【0036】
3)流通ガス雰囲気下で固相重合を行う場合
本発明の固相重合は、重合により生成した水を除去するため、流通ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0037】
本発明の固相重合で使用する流通ガス、すなわち、反応系に流通させるガスの具体例としては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガス、クリプトンガス等の不活性ガスや、乾燥空気等が挙げられる。中でも不活性ガスが好ましい。
【0038】
流通ガスの含水量については、できるだけ低く、実質的に無水状態のガスであることが好ましい。含水量が多いと固相重合反応で生成した水が効率よく除去できないため重合速度が遅くなり好ましくない。この場合、ガスをモレキュラーシーブ類やイオン交換樹脂類等を充填した層に通すことにより脱水して使用することができる。
【0039】
流通ガスの含水量を、露点で示すと、ガスの露点が、−20℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
【0040】
流通ガスの流量は、重合速度、及び、触媒として揮発性触媒を用いる場合、揮発性触媒の種類及び使用量、反応系から揮発性触媒の揮散速度を考慮して、十分に重量平均分子量が高い脂肪族ポリエステルを得ることができる程度に、生成した水を除去することができれば特に制限されない。
【0041】
流通ガスを反応系内に流通させる効果は、固相重合反応で生成した水を効率よく系外へ除去することができ、それにより十分に高い重量平均分子量の脂肪族ポリエステルを効率よく得ることができることにある。
流通ガスの流量は、重合速度や、触媒として揮発性触媒を用いる場合、揮発性触媒の種類及び使用量、脱水重縮合反応の過程において脂肪族ポリエステルから揮発性触媒が揮散していく速度や効率、固相重合反応により生成した水を除去する速度や効率、到達重量平均分子量(Mw)等を考慮して設定される。
一般的に、流通ガスの流量が多いほど、固相重合反応において生成した水を効率よく除去することができるが、一方で、触媒として揮発性触媒を用いる場合、固相重合反応における脂肪族ポリエステルから揮発性触媒の揮散速度も速くなるので、高い重量平均分子量(例えば、Mw=5×104〜1×106)を有する脂肪族ポリエステルを期待する場合には、固相重合反応の過程の少なくとも一部において、流通ガスの流量を一定水準に抑制する必要がある。
【0042】
通常、高い重量平均分子量(例えば、Mw=5×104〜1×106)を有する脂肪族ポリエステルを期待する場合には、プレポリマー1g当たりの流通ガスの流量は、10〜12000[ml/hr]が好ましく、30〜9000[ml/hr]がより好ましく、60〜6000[ml/hr]がさらに好ましい。
【0043】
一般的には、プレポリマー1g当たりの流通ガスの流量が、1.2[ml/hr]未満では、固相重合反応において、生成した水を除去する効率が顕著に悪くなり、高い重量平均分子量(例えば、Mw=5×104〜1×106)を有する脂肪族ポリエステルを得られない。
【0044】
プレポリマーを固相重合反応器に供する場合、プレポリマーを粒子状または粉体状の状態にて供するが、固相重合反応器内の流通ガスの空塔線速度により、固相重合反応器内にて、偏重合が起こる場合や、固体相が浮遊する流動化が生ずることがある。
【0045】
従って、流通ガスは、固相重合装置内の流速分布及び、固体相の流動化現象を考慮して、一定水準に抑制する必要がある。
【0046】
一般的には、固体相の流動化を抑制する為に、空塔線速度は3600[m/hr]未満に抑えることが望ましい。また、固相重合装置内における流通ガスの偏流を防止する為には、空塔線速度を36[m/hr]より大きくする必要がある。
【0047】
流通ガスを流通する固相重合装置において、供するプレポリマーは、固相重合を所望の分子量まで進行させる流通ガス流量と、固相重合装置内で固体相を流動化させず、かつ流通ガスが偏流を起こさせない充填高さを満足させなければならない。
【0048】
プレポリマー単位重量、単位時間当たりの、流通ガス量をSv[ml/hr/g]とすると、比速度Sv‘[1/hr]は数式(7)で表される。空塔線速度Lv[m/hr]はSv‘と数式(8)の相関があるので、充填高さL[m]は数式(9)にて計算できる。数式(9)より算出される、プレポリマー充填高さは0.003/ρ[m]〜360/ρ[m]である。
【0049】
Sv’=ρSv[1/hr](7)
(数式(7)においてSvは脂肪族ポリエステルプレポリマー単位重量、単位時間当たりの流通ガス量、ρ[g/ml]は脂肪族ポリエステルプレポリマーの嵩密度)
Lv=L*Sv’[m/hr](8)
L=Lv/(ρ*Sv) [m](9)
【0050】
4)減圧下で固相重合を行う場合
減圧下で固相重合を行う場合、反応系内の減圧度は、実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量(例えば、Mw=5×104〜1×106)を有する脂肪族ポリエステルが得られれば、特に制限されない。
【0051】
減圧下で固相重合を行う場合、反応系内の減圧度は、重合速度や、揮発性触媒の種類及び使用量、固相重合反応の過程において脂肪族ポリエステルから揮発性触媒が揮散していく速度や効率、脱水重縮合反応により生成した水を除去する速度や効率、到達重量平均分子量(Mw)等を考慮して設定される。
【0052】
5)加圧下で固相重合を行う場合
加圧下で固相重合を行う場合、反応系内の圧力は、実質的に固相重合反応の進行を維持して、充分に高い重量平均分子量(例えば、Mw=5×104〜1×106)を有する脂肪族ポリエステルが得られれば、特に制限されない。
【0053】
加圧下で固相重合を行う場合、反応系内の圧力は、重合速度や、揮発性触媒の種類及び使用量、固相重合反応の過程において脂肪族ポリエステルから揮発性触媒が揮散していく速度や効率、脱水重縮合反応により生成した水を除去する速度や効率、到達重量平均分子量(Mw)等を考慮して設定される。
【0054】
一般的に、加圧下で固相重合を行うと、常圧下に比較して、使用された揮発性触媒は反応系から揮散しにくくなる。
【0055】
6)固体状プレポリマーの粒子径
固体状のプレポリマーの粒子径は特に制限されない。固体状のプレポリマーの粒子径は、固相重合工程等の工程における操作容易性や、固相重合工程において、揮発性触媒が揮散していく速度や効率を考慮して設定される。特に、揮発性触媒が有する揮発性が十分に発現されるよう、粒子径は設定される。
【0056】
このように。触媒の揮発性が十分に発揮されるように固体状のプレポリマーの単位重量あたりの表面積を考慮すると、一般的には、固体状のプレポリマーの粒子径は、10μm〜10mmであることが好ましく、0.1mm〜10mmがより好ましく、1mm〜5mmが更に好ましい。
【0057】
7)固体状プレポリマー製造工程における重合触媒の添加
固体状プレポリマーを製造する工程で、固相重合工程で用いる触媒を添加してもよい。この触媒の添加方法は特に制限されない。触媒をプレポリマー中に均一に分散させることが好ましいので、その具体例は、例えば、塊状のプレポリマーを粉砕する際に触媒を添加したり、ペレット化する際に触媒を添加したりすることができる。
【0058】
[プレポリマーを製造する工程]
本発明の固相重合に用いる、脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニットを50%以上含有する、重量平均分子量(Mw1)が式(1)で示されるプレポリマーには以下の種類のものがある。
【0059】
2×103 ≦ Mw1 ≦ 1×105 (1)
(1)脂肪族ヒドロキシカルボン酸から得られる脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸のホモポリマー又はコポリマー又はそれらの混合物
(2)脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸からなる脂肪族ポリエステルとのコポリマー又はその混合物
(3)脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸と多糖類のコポリマー又は混合物
(4)脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸と多糖類と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸からなる脂肪族ポリエステルとのコポリマー又はそれらの混合物
(5)脂肪族ヒドロキシカルボン酸と3個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールと2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸及び/又はその無水物からなるスターポリマー
(6)脂肪族ヒドロキシカルボン酸と3個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸及び/又はその無水物と2個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールからなるスターポリマー
(1)〜(6)のプレポリマーを製造するための脂肪族ヒドロキシカルボン酸については特に制限はない。好適な具体例としては、乳酸の他に例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。また、これらのヒドロキシカルボン酸は単独で、または2種類以上組み合わせて使用してもよい。また、乳酸のように分子内に不斉炭素原子を有する場合には、D体、L体、及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、得られるプレポリマー重合体が結晶性を有していれば、それらの何れも使用することができる。なかでも光学純度が95%以上、好ましくは98%以上の発酵法で製造されるL-乳酸が特に好ましい。
【0060】
(2)及び(4)のプレポリマーを製造するための脂肪族二価アルコールは、特に制限されない。好適な具体例は、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。また、分子内に不斉炭素を有する場合には、D体、L体及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、それらの何れも使用することができる。
【0061】
(2)及び(4)のプレポリマーを製造するための脂肪族二塩基酸は、特に制限されない。脂肪族二塩基酸の具体例としては、例えば、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、3,3−ジメチルペンタン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらは、単独で、又は、2種類以上組み合わせて使用することができる。また、分子内に不斉炭素原子を有する場合には、D体、L体及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、それらの何れも使用することができる。
【0062】
(3)のプレポリマーを製造するための多糖類は、特に制限されない。多糖類の具体例は、例えば、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ニトロセルロース、セロハン、ビスコースレーヨン、キュプラ等の再生セルロース、ヘミセルロース、デンプン、アミロペクチン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キチン、キトサン等及びこれらの混合物及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの内で特にエステル化セルロースである酢酸セルロース、エーテル化セルロースであるエチルセルロースが好ましい。 多糖類の重量平均分子量は、3,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましい。エステル化セルロース及びエーテル化セルロースの置換度は0.3〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.8であることが好ましい。
【0063】
(5)及び(6)のプレポリマーを製造するための2個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールについては特に制限されない。2個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールの具体例としては、上記の脂肪族二価アルコールのほか、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、イノシトール等が挙げられる。これらは、単独で、又は、2種類以上組み合わせて使用することができる。また、分子内に不斉炭素原子を有する場合には、D体、L体及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、それらの何れも使用することができる。
【0064】
(5)及び(6)のプレポリマーを製造するための2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸は、特に制限されない。2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸の具体例としては、上記の脂肪族二塩基酸のほか、例えば、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフラン2R,3T,4T,5C−テトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、4−カルボキシ−1,1−シクロヘキサンジ酢酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、(1α,3α,5β)−1,3,5−トリメチル−1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、2,3,4,5−フランテトラカルボン酸等の環状化合物及びその無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、2−メチロールプロパントリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸等の線状化合物及びその無水物が挙げられる。これらは、単独で、又は、2種類以上組み合わせて使用することができる。また、分子内に不斉炭素原子を有する場合には、D体、L体及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、それらの何れも使用することができる。
【0065】
(1)、(5)及び(6)のプレポリマーは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、又は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸と3個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールと2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸、又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸と3個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸と2個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールを脱水重縮合反応して得られる。
また、(1)、(2)、(3)及び(4)のプレポリマーは、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を脱水重縮合反応して脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸を製造する過程で、他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸、又は、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸からなる脂肪族ポリエステル、又は多糖類を混合又は共重合することにより得られる。
【0066】
本発明の固相重合に用いるプレポリマーとして、(1)、(5)及び(6)のプレポリマーが好ましい。(1)のプレポリマーとして、乳酸を原料としたポリ乳酸がより好ましく、ポリL−乳酸が特に好ましい。(5)のプレポリマーとして、L−乳酸とペンタエリスリトールとコハク酸からなるスターポリマー又はL−乳酸とトリメチロールプロパンとコハク酸からなるスターポリマーが特に好ましい。
【0067】
(5)及び(6)のプレポリマーにおいて、3個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールと2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸及び/又はその酸無水物、及び3個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸及び/又はその酸無水物と2個以上の水酸基を有する多価アルコールの組成は次のとおりである。すなわち、3個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコール、及び3個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸及び/又はその酸無水物の重量は、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が単独で完全に重合したと仮定した場合の重合物の重量を基準として、0.005〜10%、好ましくは0.01〜5%に相当するものであり、かつ、3個以上の水酸基を有する脂肪族多価アルコールの水酸基と2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸及び/又はその酸無水物のカルボキシル基の当量比、及び3個以上のカルボキシル基を有する脂肪族多塩基酸及び/又はその酸無水物のカルボキシル基と2個以上の水酸基を有する多価アルコールの水酸基の当量比が、100:50〜200、好ましくは100:80〜120、より好ましくは100:90〜110に相当するものである。
【0068】
脱水重縮合反応によりプレポリマーを製造する方法には、溶融重合方法、有機溶媒を使用する溶液重合方法があり、所望の重量平均分子量(Mw)や操作の簡便性に応じて、適宜、公知の反応方法を選択して用いられる。例えば、特開昭59−96123号公報記載の溶融重合方法、USP 5,310865、5,401,796、5,817,728及びEP 0829503−A記載の溶液重合方法に準じた方法が用いられる。
【0069】
また、プレポリマーの製造に触媒を用いる場合、前記の固相重合において用いた揮発性触媒、不揮発性触媒をそのまま用いることができる。
【0070】
一般的に有機溶媒を使用する溶液重合方法は、15,000以上の重量平均分子量を有するプレポリマーが効率的に得られる。また、乳酸を脱水重縮合する場合、溶液重合方法を用いると、副生するラクタイドの結晶化による凝縮器部分の閉塞を防止できるという特徴を有する。一方、有機溶媒を用いない溶融重合方法では、有機溶媒を留去する手間が省けるので、操作的に簡便であるという特徴を有する。
【0071】
[脂肪族ポリエステルの用途]
本発明に係る脂肪族ポリエステルは、本出願前に公知・公用であった医療用途、食料品包装用途や汎用に使用されている樹脂の代替物として好適に使用することができる。
【0072】
本発明に係る脂肪族ポリエステルの用途は、特に制限されるものではないが、重量平均分子量が顕著に高く、機械的物性(引張強度、弾性率、破断強度等)に優れるので、食品容器、工業繊維、タイヤコード、磁気テープベースフィルムへの応用も好適である。
【0073】
[本発明に係る脂肪族ポリエステルの成形加工法と用途]
本発明により得られる脂肪族ポリエステルの成形加工法は、特に制限されないが、具体的には、射出成形、押出成形、インフレーション成形、押出中空成形、発泡成形、カレンダー成形、ブロー成形、バルーン成形、真空成形、紡糸等の成型加工法が挙げられる。
【0074】
また、該ポリエステルは、適当な成形加工法により、例えば、ボールペン・シャープペン・鉛筆等の筆記用具の部材、ステーショナリーの部材、ゴルフ用ティー、始球式用発煙ゴルフボール用部材、経口医薬品用カプセル、肛門・膣用座薬用担体、皮膚・粘膜用張付剤用担体、農薬用カプセル、肥料用カプセル、種苗用カプセル、コンポスト、釣り糸用糸巻き、釣り用浮き、漁業用擬餌、ルアー、漁業用ブイ、狩猟用デコイ、狩猟用散弾カプセル、食器等のキャンプ用品、釘、杭、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材、ブロック、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、箸、割り箸、フォーク、スプーン、串、つまようじ、カップラーメンのカップ、飲料の自動販売機で使用されるようなカップ、鮮魚、精肉、青果、豆腐、惣菜等の食料品用の容器やトレイ、鮮魚市場で使用されるようなトロバコ、牛乳・ヨーグルト・乳酸菌飲料等の乳製品用のボトル、炭酸飲料・清涼飲料等のソフトドリンク用のボトル、ビール・ウイスキー等の酒類ドリンク用のボトル、シャンプーや液状石鹸用のポンプ付き、又は、ポンプなしのボトル、歯磨き粉用チューブ、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、植木鉢、浄水器カートリッジのケーシング、人工腎臓や人工肝臓等のケーシング、注射筒の部材、テレビやステレオ等の家庭電化製品の輸送時に使用するための緩衝材、コンピューター・プリンター・時計等の精密機械の輸送時に使用するための緩衝材、ガラス・陶磁器等の窯業製品の輸送時に使用するための緩衝材等に使用することができる。
【0075】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を詳述する。なお、本出願の明細書における実施例の記載は、本発明の内容の理解を支援するための説明であって、その記載は本発明の技術的範囲を狭く解釈する根拠となる性格のものではない。
この実施例で用いた評価方法は、以下の通りである。
1)重量平均分子量
得られた脂肪族ポリエステル重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム温度40℃、クロロホルム溶媒)により、ポリスチレン標準サンプルとの比較で求めた。
2)黄色度(YI値)
2mm厚のプレートサンプルを作成し、これについて、黄色度をJIS K−7103に従って、SMカラーコンピューター(型式:SM−6−IS−2B、スガ試験機(株))にて測定した。
3)脂肪族ポリエステル中の触媒濃度(硫黄濃度)
脂肪族ポリエステル中の触媒濃度(硫黄濃度)は、イオンクロマトグラフィーにより定量した。
すなわち、試料を密閉系の中、900℃に加熱し(Ar/O2)灰化した際に発生するガスを、定容した吸収液(1%−H2O2溶液)に吸収させ、イオンクロマトグラフィーにより定量した。
イオンクロマトグラフィーの測定には、ダイオネクス社製イオンクロマトDX−300型を使用した。
4)触媒残留率(R)
触媒残留率(R)は、本発明の詳細な説明の中で示した数式に従って計算した。但し、脱水重縮合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中の触媒濃度CAについては3)で定量した硫黄分析値を、実施例で使用した各種有機スルホン酸系化合物に換算した。
【0076】
以下の実施例中では、脱水重縮合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中の触媒濃度CA、及び脱水重縮合反応で反応系に仕込まれた触媒が全て脂肪族ポリエステル中に残留する場合の理論触媒濃度CBは、それぞれ、単に触媒濃度CA、触媒濃度CBと記した。
【0077】
実施例1(揮発性触媒を用いる固相重合)
1)プレポリマーの製造
以下の反応条件でプレポリマーを製造した。
得られたプレポリマーの重量平均分子量(Mw)は、13,000であった。
〈反応条件〉
単量体 88%L−乳酸400.0g
揮発性触媒 p−トルエンスルホン酸一水和物3.11g
反応器 500ml・丸底フラスコ
反応温度と反応時間(反応圧力・反応雰囲気) 次の5段階とした。
【0078】
第1段階;25〜100℃まで30分かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第2段階;100〜160℃まで1時間かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第3段階;160℃で1時間維持(大気圧・窒素雰囲気下)
第4段階;160℃で2時間維持(大気圧・窒素雰囲気→13.3322hPaに減圧)
第5段階;160℃で8時間維持(13.3322hPaで維持)
2)プレポリマーの固体化
丸底フラスコの風袋を測定して、プレポリマーの収量を算出した(収量267.5g、収率95.0%)後、反応液を琺瑯バットに排出し、30℃まで冷却してから、プレポリマーを乳鉢で粉砕し、篩にかけて、粒子直径が、0.5〜2.0mmの粒状のプレポリマーを得た。
3)プレポリマーの結晶化
プレポリマー5.00gを、SUS(ステンレス・スチール)製縦型反応器に装入し、80℃/窒素雰囲気下で1時間結晶化させた。
4)固相重合
プレポリマーの結晶化に引き続き、SUS製縦型反応器で、次の2段階の固相重合を行なった。
第1段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度140℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv60[ml/hr/g]、反応時間40時間で固相重合
第2段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度160℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv2400[ml/hr/g]、反応時間60時間で固相重合
脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸)4.75g(収率95.0%)を得た。
使用した窒素ガスの露点は−60℃であった。
固相重合により得られた脂肪族ポリエステルの特性は、以下のとおりである。
重量平均分子量(Mw) = 146,000
触媒濃度CA=751[ppm](硫黄分析値:140[ppm])
触媒濃度CB =11000[ppm]
触媒残留率R=6.8[%]
【0079】
比較例1(揮発性触媒を用いる固相重合)
1)プレポリマーの製造
以下の反応条件でプレポリマーを製造した。
得られたプレポリマーの重量平均分子量(Mw)は、13,000であった。
〈反応条件〉
単量体 88%L−乳酸400.0g
揮発性触媒 p−トルエンスルホン酸一水和物3.11g
反応器 500ml・丸底フラスコ
反応温度と反応時間(反応圧力・反応雰囲気) 次の5段階とした。
【0080】
第1段階;25〜100℃まで30分かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第2段階;100〜160℃まで1時間かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第3段階;160℃で1時間維持(大気圧・窒素雰囲気下)
第4段階;160℃で2時間維持(大気圧・窒素雰囲気→13.3322hPaに減圧)
第5段階;160℃で8時間維持(13.3322hPaで維持)
2)プレポリマーの固体化
丸底フラスコの風袋を測定して、プレポリマーの収量を算出した(収量267.5g、収率95.0%)後、反応液を琺瑯バットに排出し、30℃まで冷却してから、プレポリマーを乳鉢で粉砕し、篩にかけて、粒子直径が、0.5〜2.0mmの粒状のプレポリマーを得た。
3)プレポリマーの結晶化
プレポリマー5.00gを、SUS(ステンレス・スチール)製縦型反応器に装入し、80℃/窒素雰囲気下で1時間結晶化させた。
4)固相重合
プレポリマーの結晶化に引き続き、SUS製縦型反応器で、次の2段階の固相重合を行なった。
【0081】
第1段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度140℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv5[ml/hr/g]、反応時間40時間で固相重合
第2段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度160℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv5[ml/hr/g]、反応時間60時間で固相重合
脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸)4.75g(収率95.0%)を得た。
使用した窒素ガスの露点は−60℃であった。
固相重合により得られた脂肪族ポリエステルの特性は、以下のとおりである。
重量平均分子量(Mw) = 30,000
触媒濃度CA=5720[ppm](硫黄分析値:1084[ppm])
触媒濃度CB =11000[ppm]
触媒残留率R=52.0[%]
【0082】
実施例2(揮発性触媒を用いる固相重合)
1)プレポリマーの製造
以下の反応条件でプレポリマーを製造した。
得られたプレポリマーの重量平均分子量(Mw)は、11,000であった。
〈反応条件〉
単量体 88%L−乳酸400.0 kg
揮発性触媒 メタンスルホン酸1.44kg
反応器 500L・ジャケット付きグラスライニング反応機
反応温度と反応時間(反応圧力・反応雰囲気) 次の5段階とした。
【0083】
第1段階;25〜100℃まで30分かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第2段階;100〜160℃まで1時間かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第3段階;160℃で1時間維持(大気圧・窒素雰囲気下)
第4段階;160℃で2時間維持(大気圧・窒素雰囲気→13.3322hPaに減圧)
第5段階;160℃で8時間維持(13.3322hPaで維持)
2)プレポリマーの固体化
プレポリマーの重量平均分子量(Mw)が10,000以上であることを確認した後に、プレポリマーを造粒装置に供し、粒径3〜4mmのプレポリマーペレットを得た。
3)プレポリマーの結晶化
プレポリマーペレット120kgを、グラスライニング反応器に装入し、60℃の温水中にて1hr攪拌、ろ過した後、乾燥した。
4)固相重合
プレポリマーの結晶化に引き続き、200LのSUS製縦型反応器で、次の2段階の固相重合を行なった。
【0084】
第1段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度140℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv33[ml/hr/g]、反応時間60時間で固相重合
第2段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度160℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv100[ml/hr/g]、反応時間60時間で固相重合
脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸)114kg(収率95.0%)を得た。
【0085】
使用した窒素ガスの露点は−60℃であった。
固相重合により得られた脂肪族ポリエステルの特性は、以下のとおりである。
重量平均分子量(Mw) = 141,000
触媒濃度CA=420[ppm](硫黄分析値:140[ppm])
触媒濃度CB =5000[ppm]
触媒残留率R=8.4[%]
【0086】
比較例2
1)プレポリマーの製造
以下の反応条件でプレポリマーを製造した。
得られたプレポリマーの重量平均分子量(Mw)は、11,000であった。
〈反応条件〉
単量体 88%L−乳酸400.0 kg
揮発性触媒 メタンスルホン酸1.44kg
反応器 500L・ジャケット付きグラスライニング反応機
反応温度と反応時間(反応圧力・反応雰囲気) 次の5段階とした。
【0087】
第1段階;25〜100℃まで30分かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第2段階;100〜160℃まで1時間かけて昇温(大気圧・窒素雰囲気下)
第3段階;160℃で1時間維持(大気圧・窒素雰囲気下)
第4段階;160℃で2時間維持(大気圧・窒素雰囲気→13.3322hPaに減圧)
第5段階;160℃で8時間維持(13.3322hPaで維持)
2)プレポリマーの固体化
プレポリマーの重量平均分子量(Mw)が10,000以上であることを確認した後に、プレポリマーを造粒装置に供し、粒径3〜4mmのプレポリマーペレットを得た。
3)プレポリマーの結晶化
プレポリマーペレット120kgを、グラスライニング反応器に装入し、60℃の温水中にて1hr攪拌、ろ過した後、乾燥した。
4)固相重合
プレポリマーの結晶化に引き続き、200LのSUS製縦型反応器で、次の2段階の固相重合を行なった。
【0088】
第1段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度140℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv15000[ml/hr/g]、反応時間60時間で固相重合
第2段階;反応圧力101.325[kPa]、反応温度160℃、流通ガス(窒素ガス)・Sv15000[ml/hr/g]、反応時間60時間で固相重合
脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸)114kg(収率95.0%)を得た。
使用した窒素ガスの露点は−60℃であった。
固相重合により得られた脂肪族ポリエステルの特性は、以下のとおりである。
重量平均分子量(Mw) = 40,000
触媒濃度CA=120[ppm](硫黄分析値:40[ppm])
触媒濃度CB =5000[ppm]
触媒残留率R=2.4[%]
【0089】
【発明の効果】
容易に得られる低分子量の脂肪族ポリエステルであるプレポリマーを出発原料とし、プレポリマーを結晶化した後、触媒存在下、流通ガス中で固相重合を行うことにより、分子量の高い強靱な脂肪族ポリエステルを1)高い容積効率で簡便に製造する、2)揮発性触媒を使用した場合、無触媒反応で得られる脂肪族ポリエステルと同程度に安全な脂肪族ポリエステルを製造する、3)固相重合装置内での流動ガスの偏流や、プレポリマー等の固体相の流動化を起こすことなく、種々の反応形式において安全に、かつ安定的に、均一な品質の脂肪族ポリエステルを製造することができる。
Claims (12)
- 数式(1)で示される数値範囲にある重量平均分子量(Mw1)を有する結晶化した脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む脂肪族ポリエステルプレポリマーを、有機スルホン酸系揮発性触媒の存在下で固相重合することからなる、数式(2)と数式(3)で示される数値範囲にある重量平均分子量(Mw2)と脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む脂肪族ポリエステルの製造方法において、脂肪族ポリエステルプレポリマーを流通ガス雰囲気下、流通ガス流量がSvにして30〜12,000[ml/hr/g](Svは脂肪族ポリエステルプレポリマー単位重量、単位時間当たりの、流通ガス量)の条件で固相重合する、脂肪族ポリエステルの製造方法。
2×103 ≦ Mw1 ≦ 1×105 (1)
5×104 ≦ Mw2 ≦ 1×106 (2)
Mw1 < Mw2 (3) - 流通ガス流量が30〜9.000[ml/hr/g]である請求項1記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 有機スルホン酸系揮発性触媒が、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−キシレン−2−スルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、p−ニトロベンゼンスルホン酸、o−スルホ安息香酸、m−スルホ安息香酸、エタンジスルホン酸、及びこれら有機スルホン酸の酸無水物からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1又は2記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 数式(4)に示される触媒残留率Rが、50%以下である、請求項1乃至3の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
R[%]=CA[ppm]÷CB[ppm]×100 (4)
(数式(4)において、Rは、固相重合反応前後における触媒濃度の変化の尺度である触媒残留率[%]であり、CB[ppm]は、数式(5)により算出される、固相重合前、及び/又は固相重合反応中に反応系に仕込まれた触媒が全て脂肪族ポリエステル中に残留する場合の理論触媒濃度であり、CA[ppm]は、数式(6)により算出される、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中の触媒濃度である)
CB[ppm]=WB[g]÷ WP[g]×106 (5)
(数式(5)において、WB[g]は、固相重合前、及び/又は固相重合反応中に反応系に仕込まれた触媒の合計重量であり、WP[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステルの重量である)
CA[ppm]= WA[g]÷WP[g]× 106 (6)
(数式(6)において、WA[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステル中に含有される触媒重量であり、WP[g]は、固相重合反応終了後、最終的に得られた脂肪族ポリエステルの重量である) - 固定層型反応機で固相重合を行なう、請求項1乃至4の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 移動層式反応機で固相重合を行なう、請求項1乃至4の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 流通ガス流速が空塔線速度Lvにして3600[m/hr]未満である、請求項1乃至6の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 流通ガス流速が空塔線速度Lvにして36[m/hr]より大きい、請求項1乃至6の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 塔型反応器で固相重合を行なう、請求項1乃至6の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 結晶化された脂肪族ポリエステルプレポリマーを触媒の存在下、固相重合するに際し、脂肪族ポリエステルプレポリマーの充填高さL[m]が、数式(10)で示される範囲にある、請求項9記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
0 .003/ρ[m] < L < 360/ρ[m] (10)
(数式(10)において、ρ[g/ml]は脂肪族ポリエステルプレポリマーの嵩密度である) - 脂肪族ポリエステルプレポリマーがポリ乳酸である、請求項1乃至3の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
- 脂肪族ポリエステルプレポリマーが、L−乳酸とペンタエリスリトールとコハク酸を含むものからなるスターポリマー、又はL−乳酸とトリメチロールプロパンとコハク酸を含むものからなるスターポリマーである、請求項1乃至3の何れかに記載の脂肪族ポリエステルの製造方法。
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