JP4378877B2 - 油圧制御弁および燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電または磁歪アクチュエータを用いた油圧制御弁、およびこの油圧制御弁を内蔵する内燃機関の燃料噴射弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンのコモンレール式燃料噴射システムでは、各気筒に共通のコモンレール(蓄圧室)を設けて、高圧ポンプから圧送される高圧燃料を蓄圧し、所定の噴射時期に各気筒に燃料を噴射している。その燃料噴射弁に、近年、応答性の良好な圧電アクチュエータを駆動源とし、油圧を介して弁体を駆動する油圧制御弁を用いることが提案されている。かかる油圧制御弁は、例えば、圧電アクチュエータの伸縮に伴って変位する大径ピストンと小径ピストンの間に作動油を充填した変位拡大室を備え、大径ピストンの変位を変位拡大室および小径ピストンにより拡大して弁体に伝達する。
【0003】
弁体は、コモンレールに連通する高圧ポートとドレーン通路に連通する低圧ポートのいずれか一方を選択的に閉鎖し、燃料噴射弁のノズルニードルの背圧を制御する。すなわち、弁体が低圧ポートを開いて高圧ポートを閉じると、ノズルニードルに背圧を与える制御室の圧力が低下し、ノズルニードルが上昇して噴孔から燃料が噴射される。一方、弁体が高圧ポートを開いて低圧ポートを閉じると、制御室の圧力が再び上昇してノズルニードルが下降し、燃料噴射が停止される。
【0004】
ところで、コモンレール式燃料噴射システムでは、エンジンの運転状態に応じた燃料噴射を行うために、燃料噴射圧力(コモンレール圧力)と燃料噴射率(単位時間当たりの燃料噴射量)の制御性を向上させることが重要である。コモンレール圧力については、通常、高圧供給ポンプからコモンレールへの圧送量によって調整され、急な減圧要求に対してはコモンレールに設けた減圧弁によって対応しているが、専用の減圧弁を設けず、油圧制御弁を介して減圧制御を行うことが検討されている。これは、ノズルニードルが閉弁を保持した状態で、油圧制御弁の弁体を低圧ポートと高圧ポートの中間のリフト位置(ハーフリフト)までリフトさせ、コモンレールの燃料をドレーン通路へ逃がすことにより可能になる。また、燃料噴射率についても、弁体をハーフリフト可能とすることによって、制御室の圧力の制御が容易になるので、少量の燃料噴射等を精度よく行い、燃料噴射弁の性能向上が期待できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の燃料噴射弁では、高圧ポートの燃料圧を受けている弁体を低圧ポートからリフトさせるために大きなエネルギーを必要とし、しかも弁体が一旦リフトすると、燃料圧がリフト方向にも作用することから、弁体をハーフリフト位置に安定して制御することは、極めて難しい。従って、現状では、上記構成の油圧制御弁を適用した燃料噴射弁においてハーフリフト制御を行うことは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、圧電アクチュエータを用いた油圧制御弁において、安定したハーフリフト制御を可能にし、燃料噴射弁の噴射率制御やコモンレールの減圧制御の制御性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の油圧制御弁は、圧電または磁歪アクチュエータの変位を油圧に変換し、該油圧を増減させることによって弁体を駆動して、該弁体により高圧通路に連通する高圧ポートと低圧通路に連通する低圧ポートのいずれか一方を選択的に閉鎖するものである。この油圧制御弁は、上記アクチュエータにエネルギーを供給した時に上記低圧ポートを開いて上記高圧ポートを閉じ、該エネルギーを放出した時に上記高圧ポートを開いて上記低圧ポートを閉じる構成としてあり、かつ上記低圧ポートを開く時に必要なエネルギーよりも、上記高圧ポートを閉じる時に必要なエネルギーを大きくしたことを特徴とする。
【0008】
上記構成において、上記アクチュエータに、上記弁体が上記低圧ポートを開くのに必要なエネルギーを供給すると、上記弁体がリフトして高圧ポート方向へ移動を開始する。ところが、このエネルギーは、上記高圧ポートを閉じる時に必要なエネルギーよりも小さいため、上記弁体は上記高圧ポートを閉じることはできない。つまり、上記アクチュエータに供給するエネルギーを、上記高圧ポートを閉じる時に必要なエネルギーより低い適正値に設定すれば、上記弁体を上記低圧ポートと上記高圧ポートの間に保持するハーフリフトが可能となり、上記アクチュエータへのエネルギーの供給量または印加電圧にて、ハーフリフトのリフト量が安定して制御できる。
【0009】
請求項1において、上記油圧制御弁は、具体的には、上記アクチュエータの変位によって油圧を増減させる油圧室と、該油圧室の油圧を受けて上記弁体を駆動するピストン部材を有する。そして、上記低圧ポートのシート面積をSL (mm2 )、上記高圧ポートのシート面積をSH (mm2 )、上記油圧室の容積をV(mm3 )、上記油圧室内の作動油の体積弾性率をγ(Kg/mm2 )、上記ピストン部材の受圧面積をs(mm2 )、上記弁体が上記低圧シートから上記高圧シートに移動するためのリフト量をL(mm)、上記高圧通路の圧力をP(Kg/mm2 )とした時に、下記式
SH ・P・L+1/2・(SH ・P/s)2 ・V/γ
>1/2・(SL ・P/s)2 ・V/γ
の関係にあるように、各部材を構成する。
【0010】
上記油圧制御弁において、上記高圧ポートを閉鎖するために必要なエネルギーは、SH ・P・L+1/2・(SH ・P/s)2 ・V/γで表される。一方、上記低圧ポートを開放するために必要なエネルギーは、1/2・(SL ・P/s)2 ・V/γとなる。従って、SH ・P・L+1/2・(SH ・P/s)2 ・V/γ>1/2・(SL ・P/s)2 ・V/γが成立するように、上記油圧制御弁を構成すれば、上記効果が確実に得られる。
【0011】
請求項2のように、具体的には、上記アクチュエータに、上記弁体が上記低圧ポートを開く時に必要なエネルギー以上であり、上記高圧ポートを閉じる時に必要なエネルギーよりも小さいエネルギーを供給することにより、上記弁体をハーフリフト位置に制御することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の油圧制御弁を備える燃料噴射弁であり、上記弁体の駆動によってノズルニードルに作用する油圧を制御することにより燃料噴射の開始および停止を制御する。上記油圧制御弁を適用することによって、ハーフリフトによる燃料噴射率制御、コモンレール圧力の減圧制御が容易になり、高性能の燃料噴射弁が実現できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に従って説明する。図1は、本発明を適用した油圧制御弁1を備える燃料噴射弁Vの構成を示す図で、例えば、ディーゼルエンジンのコモンレール噴射システムに好適に使用される。燃料噴射弁Vは、ノズルボディB1の先端に設けた噴孔11をノズルニードル12の上下動により開閉して、燃料の噴射を開始ないし停止する。噴孔11は、ノズルニードル12が上端位置にある時に開となり、高圧通路3に続く燃料溜まり31と導通して燃料が供給される一方、ノズルニードル12が下端位置にある時は閉となり、燃料溜まり31との導通が遮断されて燃料の供給が停止される。ノズルニードル12の下端位置は、ノズルニードル12が着座するノズルシート13によって決定され、上端位置はノズルボディB1上方のオリフィスプレートP1によって決定される。
【0014】
ノズルボディB1は、バルブ駆動装置1のハウジングHの下端にオリフィスプレートP1、P2を介して配設され、筒状のノズルホルダB2にて油密に固定される。高圧通路3は、燃料溜まり31から上方へ延び、オリフィスプレートP1、P2およびハウジングH内を経て外部のコモンレール(図略)に連通している。ハウジングH内には、また、外部の燃料タンク(図略)に連通する燃料戻し用の低圧通路としてのドレーン通路2が形成されている。ノズルニードル12の上端部とオリフィスプレートP1の間には、制御室4が形成され、ノズルニードル12は、制御室4内に配したスプリング41のばね力と制御室4の油圧によって常に閉方向(下方)へ付勢されている。
【0015】
制御室4の油圧は、油圧制御弁1の一部をなす3方弁5によって制御される。3方弁5は、ハウジングHの下端に形成した略円錐形の弁室51と略球形の弁体52からなり、弁室51はオリフィスプレートP1、P2を貫通する通路とその下端に設けたメインオリフィス42を介して制御室4と常に連通している。弁室51は、低圧ポートであるドレーンポート21と高圧ポート32の2つのポートを有し、弁室51内の弁体52が上方または下方に移動して上記2つのポートの一方を選択的に閉塞すると、他方が開放されて制御室4と導通する。ドレーンポート21は弁室51上方に設けたスピル室22を介してドレーン通路2に連通し、オリフィスプレートP2を上下に貫通する高圧ポート32は、オリフィスプレートP2下端面に径方向に設けた溝33を介して高圧通路3に連通している。
【0016】
よって、弁体52がドレーンポート21を開いて高圧ポート32を閉じると、制御室4の燃料が弁室51からドレーンポート21を経て流出する。これにより、制御室4の圧力が低下してノズルニードル12の開弁圧以下となると、ノズルニードル12がノズルシート13から離れて燃料が噴射される。一方、弁体52が高圧ポート32を開いてドレーンポート21を閉じると、高圧ポート32から流入する燃料で制御室4の圧力が上昇し、ノズルニードル12が下降してノズルシート13に着座する。
【0017】
なお、制御室4は、高圧ポート32の下端に連通させてオリフィスプレートP1に設けたサブオリフィス43によって、3方弁5を介さずに高圧通路3と常に連通している。このサブオリフィス43は、高圧通路3からサブオリフィス43を経て制御室4に燃料を流入させることによって、噴射開始時には制御室4の圧力低下を緩和してノズルニードル12を緩やかに開弁させ、噴射終了時には圧力上昇を促進してノズルニードル12を迅速に閉弁させる作用がある。
【0018】
ここで、ドレーンポート21の弁室51への開口部は、円錐形状のドレーンシート53を形成しており、高圧ポート32の弁室51への開口部は、フラット形状の高圧シート54を形成している。このように一方をフラット形状とするのは、弁体52の軸ずれを許容するためである。弁体52は、いずれかのシート53、54に着座することにより対応するポートを閉塞するが、弁室51の圧力は常にドレーンポート21の圧力より高いため、弁体52はドレーンシート53に着座しているのが常態である。高圧シート54への着座力は、油圧制御弁1の小径ピストン18によって与えられる。次に、油圧制御弁1の詳細について説明する。
【0019】
油圧制御弁1は、ハウジングHの上端部内に収容される圧電アクチュエータ14を駆動源として有している。圧電アクチュエータ14の変位は、その下端に接して一体に設けたピエゾピストン15に伝達され、さらに大径ピストン17および油圧室である変位拡大室6を介してピストン部材である小径ピストン18に伝達される。圧電アクチュエータ14は公知の構成で、PZT等の圧電体を積層してなり、外部からエネルギーを供給することによって伸長し、注入されたエネルギーを放出することによって収縮して、ピエゾピストン15を駆動する。ピエゾピストン15は、ピエゾシリンダH1内に摺動自在に配設され、細径のロッド16によって大径ピストン17に連結されている。大径ピストン17および小径ピストン18は、シリンダ形成部材H2に同軸的に形成した大径シリンダH3、小径シリンダH4内にそれぞれ摺動自在に配設され、ロッド16は大径ピストン17の上面より上方に延びて、ピエゾピストン15の下面に圧入固定される。
【0020】
ピエゾピストン15下方の、ロッド16周りに形成される空間は、ドレーン通路2に連通する油溜まり室7となしてあり、スプリング71が収容されてピエゾピストン15を上方に付勢している。同時に、ピエゾピストン15と一体に連結される大径ピストン17もスプリング71によって上方に付勢される。これにより、ピエゾピストン15および大径ピストン17は、圧電アクチュエータ14の伸縮に応じて一体に上下動する。なお、ピエゾピストン15の外周には、油溜まり室62内の作動油が圧電アクチュエータ14を汚染するのを防止するためにOリング73が設けられる。また、油溜まり室7をドレーン通路2に連通させるための通路は、ハウジングH側壁から径方向に油溜まり室7に貫通穴を形成した後、盲栓74で閉鎖することにより形成される。
【0021】
シリンダ形成部材H2は、小径ピストン18の上部に縮径部を有し、小径ピストン18の上方への移動を規制するストッパ61を形成している。大小シリンダH3、H4は、この縮径部を介して連通しており、縮径部と小径ピストン18の間に形成される油圧室A、および大径ピストン17との間に形成される油圧室Bによって変位拡大室6が形成される。変位拡大室6は、圧電アクチュエータ14の変位を油圧変換し、大小ピストン17、18の径差に応じて増幅して(例えば、大径ピストン17の変位の2〜3倍)、小径ピストン18に伝達する。小径ピストン18の下端部は、シリンダ形成部材H2の下方に形成されるスピル室22内に位置し、細径の先端部がドレーンポート21内に挿通されて弁体52に当接している。
【0022】
大径ピストン18内には、軸方向に通路72が設けられ、通路72の上端はロッド16の基端部内に延びてT字形に分岐し、油溜まり室7に開口している。通路72の下端は、大径ピストン18の下端面に開口し、大径ピストン18の下端に装着した逆止弁8を介して変位拡大室6に連通するようになっている。逆止弁8は、変位拡大室6の燃料がリーク等により減少した時に、油溜まり室7から変位拡大室6へ燃料を補充するためのもので、通路72の下端開口を閉鎖するフラット弁81と、フラット弁81を上方に付勢する皿バネ82からなる。これらフラット弁81と皿バネ82は、大径ピストン18の下端部外周に圧入固定される有底筒状のホルダ83内に収納保持される。ホルダ83底面には貫通穴85が設けられ、ホルダ83内空間と変位拡大室6の間で燃料は自由に流通する。
【0023】
フラット弁81は、円盤状の薄板(厚さ:0.1〜0.2mm)の上下2箇所を平行に切り欠いたもので、中心にピンホール84(直径:0.02〜0.5mm)を設けている。このピンホール84により、燃料噴射中に通電回路に異常が発生しても変位拡大室6の燃料を油溜まり室7へリークさせることができるため、燃料噴射を停止することができる。また、燃料噴射弁Vの組み立て後に、ピンホール84を介して変位拡大室6を容易に真空にし、燃料を充填することができるので、空気が残って不具合を生じることがない。
【0024】
上記構成の燃料噴射弁の作動を説明する。弁体52をフルリフトさせる通常の燃料噴射制御時には、燃料噴射の開始に当たり、圧電アクチュエータ14にドレーンポート21を開としかつ高圧ポート32を閉とするために十分な電圧(例えば100〜150V)が印加される。圧電アクチュエータ14は電圧に比例した変位(例えば40μm)を生じて、ピエゾピストン15、大径ピストン17を同じ変位量だけ下方に移動させ、変位拡大室6の油圧を上昇させる。この変位拡大室6の油圧上昇により小径ピストン18が下降し、弁体52をドレーンシート53から押し下げてリフトさせ、高圧シート54に着座させる。この時、弁体52のリフトは、圧電アクチュエータ14の変位に対しておおよそ大径ピストン17と小径ピストン18の面積比(例えば2倍)だけ拡大される。
【0025】
弁体52のリフトに伴ってドレーンポート21が開き、次いで高圧ポート32が閉じるために、弁室51の圧力が低下する。弁室51と連通する制御室4の圧力が低下し、ノズルニードル12に上向きに作用する燃料溜まり31の油圧力が、制御室4の油圧力およびスプリング41のバネ力に勝ると、ノズルニードル12がノズルシート13からリフトし、燃料の噴射が開始される。
【0026】
燃料噴射の停止に当たっては、圧電アクチュエータ14の電荷を放出させることによってその電圧をゼロにする。この間に、圧電アクチュエータ14は、電圧印加時の変位量だけ収縮して元の長さに戻り、ピエゾピストン15がスプリング71に付勢されて上昇する。ロッド16によりピエゾピストン15と連結されている大径ピストン17もピエゾピストン15とともに上昇し、変位拡大室6の油圧を低下させる。変位拡大室6の油圧低下により小径ピストン18は、弁体52を高圧ポート32の高圧に逆らって高圧シート54に押し付ける力を失い、弁体52とともに上昇する。
【0027】
弁体52が再びドレーンシート53に着座し、そのリフト位置が初期状態に戻ると、高圧ポート32が開き、次いで、ドレーンポート21が閉じるために、弁室51および制御室4の圧力が回復する。制御室4の圧力が上昇し、ノズルニードル12に下向きに作用する力が、燃料溜まり31の油圧力に勝ると、ノズルニードル12が降下して再びノズルシート13に着座し、燃料噴射を停止する。
【0028】
次に、油圧制御弁1の弁体52をハーフリフトさせる場合について説明する。本発明では、ドレーンポート21を開とするために圧電アクチュエータ14に必要なエネルギーEが、高圧ポート32を閉とするために圧電アクチュエータ14に必要なエネルギーE´よりも小さくなるように、各部材を設計する。そして、圧電アクチュエータ14に供給するエネルギーを、ドレーンポート21を開とするために圧電アクチュエータ14に必要なエネルギーE以上で、高圧ポート32を閉とするために圧電アクチュエータ14に必要なエネルギーE´よりも小さい範囲で適宜設定すれば、弁体52をドレーンポート21と高圧ポート32の中間のハーフリフト位置に保持することが可能となる。
【0029】
図2は、上記燃料噴射弁Vの構成を模式的に示す図で、圧電アクチュエータ14の変位を弁体52に伝達するための主な構成部材として、大径ピストン17、変位拡大室6、小径ピストン18が図示してある。ここで、弁体52によって開閉されるドレーンポート21のシート面積をSL (mm2 )、高圧ポート32のシート面積をSH (mm2 )、直径をdH (mm)、変位拡大室6の容積をV(mm3 )、ドレーンポート21開の時の作動圧をp(Kg/mm2 )、高圧ポート32閉の作動圧をp´(Kg/mm2 )、変位拡大室6内の作動油の体積弾性率をγ(Kg/mm2 )、小径ピストン18の受圧面積をs(mm2 )、直径をds (mm)、大径ピストン17の受圧面積をS(mm2 )、弁体52がドレーンシート53から高圧シート54に移動するためのリフト量をL(mm)、高圧通路3の圧力(=コモンレールの圧力)をP(Kg/mm2 )、圧電アクチュエータ14の変位をδとする。この時、ドレーンポート21を開とするための力Fは、下記式(1)で表される。
(1)F=SL ・P=s・p=s・γ・(S・δ/V)
また、この時、圧電アクチュエータ14に必要なエネルギーEは下記式(2)のようになる。
(2)E=1/2・δ・S・p
=1/2・(V・SL ・P/s・γ・S)・S・(SL ・P/s)
=1/2・(SL ・P/s)2 ・V/γ
【0030】
一方、高圧ポート32を閉とするための力F´は、下記式(3)で表される 。
(3)F´=SH ・P=s・p´=s・γ・(S・δ´/V)
また、この時、圧電アクチュエータ14に必要なエネルギーE´は下記式(4)のようになる。
(4)E´=p´・s・L+1/2・δ´・S・p´
=SH ・P・L+1/2・(SH ・P/s)2 ・V/γ
ここで、式(4)中、SH ・P・Lは弁体52の仕事量、1/2・(SH ・P/s)2 ・V/γは圧力上昇仕事量を表す。
【0031】
これら式(1)〜(4)から、E´>Eを満足するための、SL 、SH 、V、s、Lの関係は、下記式(5)のようになる。
(5)SH ・P・L+1/2・(SH ・P/s)2 ・V/γ
>1/2・(SL ・P/s)2 ・V/γ
従って、式(5)が成立するようにこれらSL 、SH 、V、s、Lの各値を設定すれば、ドレーンポート21を開とするためのエネルギーEより高圧ポート32を閉とするためのエネルギーE´が大きくなるので、ハーフリフト制御が容易にできる。
【0032】
以下に、具体的な実施例を示す。例えば、高圧シート54の直径dH =0.5mm、コモンレールの圧力P=2000Kg/cm2 =20Kg/mm2 、弁体52のリフト量L=0.03mm、小径ピストン18の直径ds =5mm、変位拡大室6の容積V=5mm3 、体積弾性率γ=100Kg/mm2 とした時の、ドレーンシート53の直径dL を求める。
高圧ポート32のシート面積SH 、小径ピストン18の受圧面積sは、それぞれ次の式から算出される。
SH =π/4・dH 2 =π×(0.5)2 /4=0.196(mm2 )
s=π/4・ds 2 =π×52 /4=19.6(mm2 )
そこで、式(5)にこれら値を代入すると、
0.196×20×0.03+1/2・(0.196×20/19.6)2
・100/5>1/2・(SL ・×20/19.6)2 ・100/5
となる。これより、ドレーンポート21のシート面積SL 、さらにドレーンシート53の直径dL は以下のように表される。
0.118×0.001>0.026・SL 2
SL <√(0.119/0.026)=2.14(mm2 )
dL <√(4×2.14/π)=1.65(mm)
【0033】
以上より、ドレーンシート53の直径dL が1.65(mm)より小さくなるように設定すれば、式(5)が成立する。そして、ドレーンポート21を開とするためのエネルギーE以上で、高圧ポート32を閉とするためのエネルギーE´より小さくなるように、圧電アクチュエータ14への印加電圧を設定すれば、高圧ポート32が閉鎖されることがないので、弁体52を確実にハーフリフト位置に保持できる。よって、ハーフリフト制御を利用した燃料噴射弁の噴射率制御やコモンレールの減圧制御が可能になり、コンパクトで高性能な燃料噴射弁が実現される。
【0034】
上記実施の形態では、圧電アクチュエータを用いたが、これに限るものではなく、同様に通電により変位を発生する磁歪素子を用いた磁歪アクチュエータを用いてもよい。また、制御弁として3方弁を用いる必要はなく、2方弁等、他の方式でノズルニードルを開閉させる構成でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における燃料噴射弁の全体構成を示す断面図である。
【図2】第1の実施の形態における燃料噴射弁の概略構成を示す模式的な図である。
【符号の説明】
H ハウジング
B1 バルブボディ
1 油圧制御弁
11 噴孔
12 ノズルニードル
13 ノズルシート
14 圧電アクチュエータ
15 ピエゾピストン
16 ロッド
17 大径ピストン
18 小径ピストン(ピストン部材)
2 ドレーン通路(低圧通路)
21 ドレーンポート
22 スピル室
3 高圧通路
31 燃料溜まり
32 高圧ポート
4 制御室
5 3方弁
51 弁室
52 弁体
53 ドレーンシート
54 高圧シート
6 変位拡大室(油圧室)
7 油溜まり室
71 スプリング
72 通路
8 逆止弁
81 フラット弁
82 皿バネ
83 逆止弁ホルダ
84 ピンホール
85 貫通穴
Claims (3)
- 圧電または磁歪アクチュエータの変位を油圧に変換し、該油圧を増減させることによって弁体を駆動して、該弁体により高圧通路に連通する高圧ポートと低圧通路に連通する低圧ポートのいずれか一方を選択的に閉鎖する油圧制御弁であって、
上記アクチュエータの変位によって油圧を増減させる油圧室と、該油圧室の油圧を受けて上記弁体を駆動するピストン部材を有し、上記低圧ポートのシート面積をS L (mm 2 )、上記高圧ポートのシート面積をS H (mm 2 )、上記油圧室の容積をV(mm 3 )、上記油圧室内の作動油の体積弾性率をγ(Kg/mm 2 )、上記ピストン部材の受圧面積をs(mm 2 )、上記弁体が上記低圧シートから上記高圧シートに移動するためのリフト量をL(mm)、上記高圧通路の圧力をP(Kg/mm 2 )とした時に、下記式
S H ・P・L+1/2・(S H ・P/s) 2 ・V/γ
>1/2・(S L ・P/s) 2 ・V/γ
の関係にあり、
上記アクチュエータにエネルギーを供給した時に上記低圧ポートを開いて上記高圧ポートを閉じ、該エネルギーを放出した時に上記高圧ポートを開いて上記低圧ポートを閉じる構成とし、かつ上記低圧ポートを開く時に必要なエネルギーよりも、上記高圧ポートを閉じる時に必要なエネルギーを大きくしたことを特徴とする油圧制御弁。 - 上記アクチュエータに、上記弁体が上記低圧ポートを開く時に必要なエネルギー以上であり、上記高圧ポートを閉じる時に必要なエネルギーよりも小さいエネルギーを供給して、上記弁体をハーフリフト位置に制御する請求項1記載の油圧制御弁。
- 請求項1または2記載の油圧制御弁を備え、上記弁体の駆動によってノズルニードルに作用する油圧を制御することにより燃料噴射の開始および停止を制御することを特徴とする燃料噴射弁。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000400227A JP4378877B2 (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 油圧制御弁および燃料噴射弁 |
FR0116935A FR2819022B1 (fr) | 2000-12-28 | 2001-12-27 | Dispositif de commande hydraulique, systeme et procede de commande d'un dispositif actionneur |
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