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JP2000249016A - インジェクタ - Google Patents

インジェクタ

Info

Publication number
JP2000249016A
JP2000249016A JP11053217A JP5321799A JP2000249016A JP 2000249016 A JP2000249016 A JP 2000249016A JP 11053217 A JP11053217 A JP 11053217A JP 5321799 A JP5321799 A JP 5321799A JP 2000249016 A JP2000249016 A JP 2000249016A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
needle
fuel
chamber
control piston
injector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11053217A
Other languages
English (en)
Inventor
Terukazu Nishimura
輝一 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Isuzu Motors Ltd filed Critical Isuzu Motors Ltd
Priority to JP11053217A priority Critical patent/JP2000249016A/ja
Publication of JP2000249016A publication Critical patent/JP2000249016A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、コントロールピストンとニード
ル弁とを流体的に接続することにより、軸芯ずれを吸収
することができると共に機械的強度に制約されない設計
が可能なインジェクタを提供する。 【解決手段】 圧力制御室内の圧力作用で昇降するコン
トロールピストン14の下端部14bに形成された凹部
53には、噴孔を開閉するニードル弁19の上端部19
aに形成された凸部54が、僅かの隙間57を介して嵌
入し、油室55を形成している。コントロールピストン
14のリフト時、油室55は負圧となり、油室55から
燃料チャンバ28に通じる連通路59に設けられた逆止
弁58が連通路59を閉じ、ニードル弁19は追従して
リフトする。コントロールピストン14の下降時、逆止
弁58は開き、余剰燃料は燃料チャンバ28に排出さ
れ、ニードル弁19が下降する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ニードル弁を作
動させることにより先端に形成された噴孔から燃料を燃
焼室内に噴射するインジェクタに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ディーゼルエンジンのようなエン
ジンに適用される燃料噴射システムとして、コモンレー
ル式燃料噴射システムが知られている。コモンレール式
燃料噴射システムは、燃料供給ポンプによってエンジン
の運転状態等に基づいて定められる高圧の所定圧力に加
圧された燃料噴射制御用の作動流体をコモンレールに貯
留し、コモンレールに貯留した燃料を通常複数個配設さ
れ且つ電磁弁制御によって作動されるインジェクタから
対応する燃焼室内に噴射することにより、噴射圧力の高
圧化を図り、燃料の噴射タイミング及び噴射量等の噴射
条件を、エンジン回転数やアクセル踏込み量等のエンジ
ンの運転状態に応じて最適に制御することを可能にした
燃料噴射システムである。システムに備わるコントロー
ラは、加圧燃料が各インジェクタにおいて上記最適な噴
射条件で噴射されるように、各センサから検出信号とし
て入力されたエンジンの運転状態に応じて、コモンレー
ル内の燃料圧と各インジェクタに設けられた電磁弁の作
動とを制御している。
【0003】コモンレール式燃料噴射システムが適用さ
れるエンジンの燃料噴射装置に用いられているインジェ
クタの一例が、特開平9−32681号公報に開示され
ている。このインジェクタは、作動流体として高圧の燃
料を利用する形式のインジェクタであり、インジェクタ
内に配設され且つ燃料圧力でインジェクタの先端に形成
されている噴孔を開閉させる弁体は、バランスチャンバ
に端面が露出するコントロールピストンと噴射孔を開閉
するニードルとから構成されている。コントロールピス
トンは、ホルダ本体内に摺動可能に支持され、ニードル
はノズル本体内に摺動可能に支持されている。コントロ
ールピストン及びニードルは、共に細径で且つ軸方向に
長尺な部品であるので、両者を一体的に製作すると軸芯
精度を非常に高精度にする必要がある。したがって、コ
ントロールピストンはニードルに対して接続部材によっ
て接続されている。接続部材は、コントロールピストン
とニードルとを軸芯方向に一体的に保持するが、軸芯方
向と直交する方向の軸芯ずれを許容するばね力を有して
いる。
【0004】上記のインジェクタにおいては、コントロ
ールピストンとニードルとの間に軸芯ずれが生じても、
その軸芯ずれを接続部材のばね変形によって吸収するこ
とができ、コントロールピストンとニードルとの軸芯を
互いに高い精度で整合させる必要がなくなる。このイン
ジェクタによれば、コントロールピストンとニードルと
の互いの軸芯方向の円滑な摺動が確保され、両者の組立
連結をワンタッチで行うことができて組立作業性を向上
することができると共に、製作コストを低減することも
できるという優れた作用・効果が得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コントロー
ルピストンとニードルとは、接続部材という機械的な係
合によって接続すると、接続部材にはコントロールピス
トンの上昇又は下降速度(加速度)に見合った連結強度
が必要となる。また、機械的に直接的に接続されるの
で、コントロールピストンとニードルとの一方の動きが
タイムラグ無しに直ちに他方の移動に反映するが、コン
トロールピストンとニードルとの間に軸芯方向の作動に
おいて多少の緩衝性が存在している方がインジェクタの
特性として好ましい場合もある。したがって、軸芯方向
に分割されて配設されているコントロールピストンとニ
ードルとを機械的な接続手段によらずに、流体的な手段
で連結することで、インジェクタの設計や製作上の管理
等の観点で制約が少ないインジェクタを得る点で解決す
べき課題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
課題を解決することであり、コントロールピストンとニ
ードルとを流体的に接続させることで、接続強度に関す
るインジェクタの設計や製作上の管理等の観点で制約が
少ないインジェクタを提供し、また、コントロールピス
トンとニードルとを軸芯方向の作動において緩衝性を持
たせて互いに接続可能とし、ニードルをより安定して作
動させることができるインジェクタを提供することであ
る。
【0007】この発明は、上記の目的を達成するため、
以下のように構成されている。即ち、この発明は、燃料
を噴射する噴孔を備えた本体内を往復動し且つ燃料圧で
前記噴孔を開放する弁体、該弁体が貫通した前記本体内
において前記弁体の周りに形成された燃料を溜める燃料
チャンバ、前記本体内に形成され且つ前記弁体に対する
作動流体の圧力作用によって前記弁体のリフトを制御す
る圧力制御室を具備し、前記弁体は、前記圧力制御室に
一端部の端面が露出し且つ前記燃料チャンバを貫通する
コントロールピストン及び一端部の端面と前記コントロ
ールピストンの他端部の端面とが互いに対向面となる対
向状態で配置され且つ他端部で前記噴孔を開閉するニー
ドルから成り、前記コントロールピストンと前記ニード
ルとは、前記対向面間に形成された油室、及び前記油室
と前記燃料チャンバとを連通する連通路、及び前記連通
路に配設され前記燃料チャンバから前記油室への燃料の
流れを規制する流量規制手段を有する流体的接続部を介
して接続されており、前記コントロールピストンのリフ
ト時に前記連通路を通じての燃料の前記油室内への流入
を前記流量規制手段によって規制して前記油室内の燃料
圧を低下させることにより前記コントロールピストンに
追従して前記ニードルをリフトさせることから成るイン
ジェクタに関する。
【0008】この発明のインジェクタは、上記のように
構成されているので、噴孔から燃料を噴射するためにコ
ントロールピストンがリフトして、コントロールピスト
ンとニードルとが互いに離間する方向に移動しようとす
る場合には、両対向面間に既に形成されていてさらに拡
大しようとする油室又は両者が離間するときに両対向面
間に形成されることになる油室の燃料圧は低下し、或い
は負圧が形成されるので、燃料圧に基づいてニードルに
作用する力のバランスがリフト方向に作用し、ニードル
はコントロールピストンに追従してリフトする。ニード
ルは噴孔を開放して燃料を燃焼室に噴射する。噴孔から
の燃料の噴射を停止するためにコントロールピストンが
下降して、コントロールピストンがニードルとが互いに
接近する場合には、油室内の燃料の圧力が高くなってニ
ードルはコントロールピストンに押されて下降する。こ
のとき、余分な燃料は油室から連通路及び流量規制手段
を通して燃料チャンバに押し出される。ニードルは、噴
孔を閉鎖して燃料の燃焼室への噴射を停止する。コント
ロールピストンとニードルとは、機械的な接続部材を用
いることがないので機械的な強度に制約されることな
く、流体的に接続される。また、流体的な接続部は機械
的な接続と比較して両者間の追従に僅かな遅れが有る
が、それ故に、接続部にはコントロールピストンとニー
ドルとの作動にダンピング作用或いはバウンド防止作用
等を与える緩衝性が備わる。
【0009】前記油室は、前記コントロールピストン及
び前記ニードルの前記対向面の一方に形成された凹部の
壁面と前記対向面の他方に形成され且つ前記凹部に緩く
嵌入している凸部の端面とによって画定される。この場
合、前記連通路は、前記コントロールピストンに貫通し
て形成される。前記本体内において前記ニードルの軸芯
方向中間部の周りには前記ニードルをリフトさせるため
の先細の油溜まり室が形成されており、前記凹部又は前
記凸部が形成されている領域を除いた前記ニードルの前
記対向面の軸芯方向投影面積は、前記油溜まり室に面す
る前記ニードルの軸芯方向投影面積よりも小さく設定さ
れている。ニードルについてこのような面積を設定する
ことにより、油室における燃料圧が負圧にまで低下する
ときには、ニードルは油溜まり室の燃料圧に基づいてリ
フトを開始する。
【0010】前記コントロールピストンの前記他端部と
前記ニードルの前記一端部にはスリーブが跨がって嵌合
されており、前記油室は、前記両対向面と、前記スリー
ブの内面とによって画定される。前記コントロールピス
トンの前記他端部と前記ニードルの前記一端部にはそれ
ぞれ縮径部を形成し、前記スリーブを前記両縮径部に跨
がって嵌合させてもよい。スリーブを用いて接続部を構
成する場合、連通路は、前記スリーブに貫通して形成さ
れる。前記本体内において前記ニードルの軸芯方向中間
部の周りには前記ニードルをリフトさせるための先細の
油溜まり室が形成されており、前記縮径部の前記端面を
除いた前記ニードルの前記対向面の軸芯方向投影面積
は、前記油溜まり室に面する軸芯方向投影面積よりも小
さく設定されている。ニードルについてこのような面積
を設定することにより、油室における燃料圧が負圧にま
で低下するときには、ニードルは油溜まり室の燃料圧に
基づいてリフトを開始する。
【0011】前記流量規制手段は、前記連通路に形成さ
れたオリフィスによって構成される。オリフィスによる
絞り作用によって燃料チャンバから油室に向かう燃料の
流れが制限を受ける。前記流量規制手段は、また、前記
連通路に配設され且つ燃料の前記油室から前記燃料チャ
ンバに向かう方向の流れを許容するが前記燃料チャンバ
から前記油室への流れを阻止する逆止弁によっても構成
される。流量規制手段を逆止弁で構成する場合は、前記
逆止弁は、前記連通路の前記燃料チャンバ側に開口する
開口部に配置されたボール、及び前記連通路が形成され
ている前記コントロールピストン又は前記スリーブに外
嵌されて前記ボールを前記連通路の前記開口部を封鎖す
る方向に付勢する板ばねから構成される。前記逆止弁
は、また、前記連通路が形成されている前記コントロー
ルピストン又は前記スリーブに前記連通路の前記燃料チ
ャンバ側に開口する開口部を覆う位置に嵌合された弾性
板から構成し、前記弾性板は前記油室内の高圧の燃料圧
によって弾性変形して前記開口部を開放し、前記油室内
が低圧又は負圧となるときに自己の弾性によって前記開
口部を封鎖してもよい。
【0012】コントロールピストンがニードルに対して
リフトし油室が負圧になるときは、逆止弁のボール又は
弾性板が連通路の開口部を閉じ、燃料が燃料チャンバか
ら連通路を通じて油室に流入するのを阻止する。また、
燃料チャンバからの燃料漏れによって油室に浸入した余
分な燃料は、コントロールピストンが下降するときに圧
力を高められて、板ばねのばね力に抗してボールを連通
路の開口部から浮かせて逆止弁を開弁するか、又は弾性
板を弾性変形させて連通路の開口部を開放するので、油
室内の燃料は連通路及び逆止弁を通じて燃料チャンバに
排出される。
【0013】前記圧力制御室は前記本体に固定されたコ
ントロールスリーブによって形成され且つ燃料圧によっ
て前記弁体のリフトを制御するバランスチャンバであ
る。インジェクタには、バランスチャンバからの排出路
を開閉する開閉弁を駆動するアクチュエータが設けられ
ており、アクチュエータによって開閉弁を駆動すること
により、該バランスチャンバ内の燃料圧力は開いた排出
路を通じて燃料タンクへ戻される。
【0014】前記本体は、前記コントロールピストンを
軸方向に摺動可能に支持するホルダ本体と該ホルダ本体
に連結された前記ニードルを軸方向に摺動可能に支持す
る前記噴孔を備えたノズル本体とから構成されている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、こ
の発明によるインジェクタの実施例を説明する。図1は
この発明によるインジェクタクの一実施例を示す縦断面
図、図2は図1に示すインジェクタのコントロールピス
トンとニードルとの流体的接続部の構造を示す拡大断面
図である。
【0016】図1に示すこの発明によるインジェクタ1
は、コモンレール噴射システム又はアキュムレータ噴射
システム(図示せず)に適用されるインジェクタであ
る。燃料噴射ポンプから共通の通路や蓄圧室(以下、
「コモンレール」という。)に供給された燃料は、コモ
ンレールから燃料供給管(図示せず)を通じてインジェ
クタ1から各燃焼室に噴射される。インジェクタ1は、
本体2をシリンダヘッド等のベースに設けた穴部(図示
せず。)にシール部材を介して密封状態に取り付けるこ
とにより、エンジンに組み付けられる。
【0017】コモンレールから延びる燃料供給管が接続
される燃料入口プラグ3は、本体2の上部に設けられた
ブラケット4に取り付けられている。本体2及び燃料入
口プラグ3とブラケット4との間のシールは、それぞれ
Oリングから成るシール部材5,6によって達成されて
いる。また、本体2の上端部には、スリーブナット8を
本体2の外周部に形成されたねじ部に螺入することによ
って、電磁二方弁としての電磁弁7が密封状に固定され
ている。電磁弁7を作動させるために、コントロールユ
ニット9からの制御電流がソレノイド10に供給され
る。
【0018】本体2には、燃料入口プラグ3の燃料入口
11に連通する送油孔12と、送油孔12に連通し且つ
本体2の長手方向に延びる中空部13が形成されてい
る。中空部13には、コントロールピストン14が往復
動可能に配設されている。中空部13のほぼ中央部に
は、コントロールピストン14の往復動を案内する縮径
されたガイド部15が形成されている。本体2は、コン
トロールピストン14を往復動案内するホルダ本体2a
と、ホルダ本体2aの先端側においてスリーブナット1
7によって取り付けられたノズル本体16とから構成さ
れている。ノズル本体16には中空部13と連通する中
空穴18が形成されており、中空穴18内には、ニード
ル19が周囲に高圧燃料の通路となる隙間31を残す状
態で摺動可能に挿通されている。ニードル19は、流体
的な作用で接続する接続部20を介してコントロールピ
ストン14に接続されており、コントロールピストン1
4とニードル19とは、本体2内を往復動する弁体を構
成している。
【0019】ノズル本体16の先端には燃料を燃焼室に
噴射する噴孔21が形成されている。ニードル19の先
端である他端部に形成されたテーパ面22bはノズル本
体16のシート面23に対して座着可能であり、座着し
た状態ではニードル19は噴孔21を閉じている。ニー
ドル19がリフトして、テーパ面22bとシート面23
との間が開くと、高圧燃料は噴孔21から燃焼室へ噴射
される。
【0020】本体2の中空部13にはコントロールスリ
ーブ24が本体2の上部段部に係合する状態で配置され
ており、コントロールスリーブ24は本体2の上端部に
螺入されたプラグ26によって中空部13内に固定され
ている。コントロールスリーブ24の周りにおいて中空
部13内には環状の燃料チャンバ25が形成されてい
る。燃料チャンバ25は、本体1に形成された送油孔1
2を通じて燃料入口プラグ3の燃料入口11に連通して
いる。燃料チャンバ25は、ガイド部15に形成された
燃料路27を通じて、中空部13内のコントロールピス
トン14の周囲に形成されている燃料チャンバ28に連
通しており、燃料チャンバ28は、更にノズル本体16
に形成されている燃料路29を通じて油溜まり室30及
びニードル19と中空穴18との隙間である燃料路31
に連通している。油溜まり室30を構成している壁面の
一部となっているニードル19のテーパ面22a(リフ
トした後には、ニードル19の先端に形成されているテ
ーパ面22bも含めて)は弁体の第一受圧面を構成して
おり、両テーパ面22a,22bに作用する燃料圧は弁
体に対して図面上方に向かってリフトさせる力を与え
る。
【0021】コントロールスリーブ24の先端側に開口
した中空穴32には、コントロールピストン14の上端
部14aが摺動可能に嵌入されており、中空穴32に
は、その壁面とコントロールピストン14の上端部14
a側に形成されている端面とで圧力制御室としてのバラ
ンスチャンバ33が形成されている。コントロールスリ
ーブ24にはバランスチャンバ33と燃料チャンバ25
とを連通する絞り機能付きの供給路(図示せず)が形成
されている。コントロールピストン14の端面は、バラ
ンスチャンバ33内の燃料圧を受けてコントロールピス
トン14を下降させる方向に力を作用させる第二受圧面
を構成している。コントロールスリーブ24には、バラ
ンスチャンバ33内の燃料を排出するため一端がバラン
スチャンバ33に開口する排出路34が形成されてい
る。
【0022】電磁弁7のアクチュエータであるソレノイ
ド10には、コントロールユニット9からの制御信号と
して大きさが制御された電流が供給される。アーマチュ
ア35は、電磁弁7のソレノイド10の励磁又は消磁に
応じてインジェクタ1の軸芯方向に変位し、アーマチュ
ア35に取付けられ且つプラグ26の中空室37内を摺
動する開閉弁体36が排出路34の他方の開口を開閉す
る。電磁弁7を作動させて排出路34を開閉させること
により、バランスチャンバ33内の燃料圧が制御され、
コントロールピストン14に働く押下げ力の大きさが制
御される。
【0023】電磁弁7は、戻しばね40を備えたネガテ
ィブに作動する構造を有している。即ち、開閉弁体36
は、ソレノイド10が非通電状態にあるときは戻しばね
40のばね力によって付勢されて排出路34を閉じてお
り、ソレノイド10が通電状態にあるときは、アーマチ
ュア35は戻しばね40のばね力に打ち勝ってリフト
し、開閉弁体36を引き上げて排出路34を開放する。
【0024】コントロールピストン14には、その軸芯
方向の略中間位置において、ばね受け38が取り付けら
れており、ガイド部15とばね受け38との間には、リ
ターンスプリング39が圧縮状態に配設されている。リ
ターンスプリング39は、バランスチャンバ33内の燃
料圧と同様に、コントロールピストン14に下降方向、
即ち、ノズル先端側に向かう力を与える。バランスチャ
ンバ33内の燃料圧に基づく力、第一受圧面であるニー
ドル19の油溜まり室30に面するテーパ面22aに作
用する燃料圧によるリフト力、弁体に作用するリターン
スプリング39の戻し力、及び後述する接続部20にお
ける燃料圧の圧力作用による力のバランスによってニー
ドル19のリフトが制御される。
【0025】以上の構造は、接続部20の構造を除いて
従来のコモンレール式の燃料噴射システムに用いられる
インジェクタの構造と同じであり、電磁弁7のソレノイ
ド10が励磁状態の場合には、図1に示すように、戻し
ばね40のばね力に抗してアーマチュア35が図面上方
に引き上げられ、開閉弁体36が排出路34を開くの
で、バランスチャンバ33内の高い燃料圧力は排出路3
4を通じて解放されて低下する。排出路34から排出さ
れた燃料は、電磁弁7内を通過して燃料戻りパイプ41
を経て燃料タンクへ戻される。コントロールピストン1
4とニードル19とは、リターンスプリング39及び油
溜まり室30における燃料圧力によってリフトし、燃料
が噴孔21から噴射される。電磁弁7の作動をオフにす
ると開閉弁体36が閉じてバランスチャンバ33の燃料
圧力が回復し、コントロールピストン14とニードル1
9とは押し下げられ、ニードル19は噴孔21を閉じて
燃料の噴射を停止する。
【0026】図1に示すインジェクタ1のコントロール
ピストン14とニードル19との流体的な接続部20
が、図2の拡大断面図に示されている。コントロールピ
ストン14の他端部である下端部14bの端面51と、
ニードル19の一端部としての上端部19aの端面52
とが、対向面として対向している。端面51,52間に
おいて、コントロールピストン14の端面51の中央部
には凹部53が形成されており、凹部53に対応してニ
ードル19の端面52の中央部には凹部53の深さに満
たない高さで突出する凸部54が形成されている。ニー
ドル19の凸部54はコントロールピストン14の凹部
53内に緩く嵌入(ルーズフィット)しており、凹部5
3の内壁と凸部54の端壁とによって、油室55が画定
されている。凹部53の内径は凸部の外形よりも僅かに
(10μm以内)大きく、凹部53の周壁と凸部54の
周壁との間には径方向隙間57が形成されている。径方
向隙間57により、コントロールピストン14とニード
ル19との軸芯ずれが許容される。コントロールピスト
ン14がリフトした状態では、コントロールピストン1
4の下端部14bとニードル19の上端19aとの間に
隙間56が形成される。径方向隙間57が存在している
ために、燃料チャンバ28内の燃料は油室55に浸入可
能である。
【0027】図2に示す実施例では、コントロールピス
トン14の下端部14bに凹部53を、またニードル1
9の上端部19aに凸部54を形成したが、下端部14
bに凸部を、また上端部19aに凹部を形成してもよい
ことは明らかである。更に、コントロールピストン14
の端面51とニードル19の端面52とが当接した状態
で、凸部54と凹部53との間になお残る油室55を形
成したが、コントロールピストン14の端面51とニー
ドル19の端面52とが当接する前に、凸部54の頂面
が凹部53の底面に当接して油室55が消滅するように
構成することも可能である。対向面の強度の観点からす
ると、ニードルの閉弁状態で当接する面を広く設定する
のが有利である。
【0028】コントロールピストン14の内部には、油
室55から燃料チャンバ28に連通する連通路59が形
成されている。連通路59には、油室55から燃料チャ
ンバ28に向かう流体の流れを許容するがその反対方向
の流れを遮断する逆止弁58が配設されている。逆止弁
58は、連通路59がコントロールピストン14の外周
に開口するテーパ状開口部60に収容されているボール
61と、テーパ状開口部60を含むコントロールピスト
ン14の下端部14bの周囲に嵌着されてボール61を
連通路59を閉じる方向に付勢する略環状の板ばね62
とから構成されている。板ばね62は、ばね力でボール
61を連通路59を閉じる方向に付勢し、且つボール6
1をテーパ状開口部60から飛び出さないように保持し
ている。板ばね62がコントロールピストン14の周面
を滑り落ちないように、コントロールピストン14の周
面に板ばね62と係合するストッパ63を設けてもよ
い。
【0029】この実施例は、上記のように構成されてお
り、接続部20は次のように作動する。燃料チャンバ2
5に供給された燃料は、燃料路27、燃料チャンバ2
8、及び燃料路29を経て、ニードル19周囲の燃料路
31にも至り、各燃料路及び燃料チャンバ28を満たし
ており、燃料チャンバ28から隙間56,57を通じて
油室55にも燃料が既に供給されている。電磁弁7を作
動させてバランスチャンバ33内の燃料圧力を解放する
と、バランスチャンバ33内の燃料圧に基づいてコント
ロールピストン14を下方に付勢する力は殆ど期待でき
ないので、コントロールピストン14を下方に付勢する
力は実質的にリターンスプリング39の戻し力のみとな
る。
【0030】接続部20において、コントロールピスト
ン14側では、端面51のうち隙間56に対応した環状
の面部分に常時作用している燃料圧に基づいてコントロ
ールピストン14をリフトさせようとする力が作用す
る。この上昇させる力はリターンスプリング39の戻し
力に勝るので、コントロールピストン14は、リフトを
開始するが、コントロールピストン14のリフトに直ち
に追従することができないニードル19から離間する。
油室55は負圧になり、逆止弁58は閉弁してその負圧
を維持する。コントロールピストン14が更に上昇する
と、油室55の圧力は更に低下する。ニードル19側に
おいては、端面52の隙間56に対応した環状の面部分
に常時作用している燃料圧によりニードル19を下降さ
せようとする力が作用するが、テーパ面22aに作用す
る燃料圧に基づいてニードル19をリフトさせようとす
る力と油室55の負圧よるニードル19を引き上げよう
とする力との合力は下降させようとする力に勝るので、
ニードル19はリフトして噴孔21を開き、燃料が噴孔
21から噴射される。
【0031】バランスチャンバ33内の燃料圧力が高圧
に回復すると、バランスチャンバ33内の燃料圧に基づ
く力とリターンスプリング39の戻し力との合力によっ
てコントロールピストン14が下方に付勢される。この
合力は端面51に作用する燃料圧に基づく力よりも大き
く、端面51,52が互いに接近して両者の間の隙間5
6が吸収されるまでコントロールピストン14が下降す
る間に、油室55内の余分な燃料は連通路59を通じ、
開弁された状態の逆止弁58を通じて燃料チャンバ28
に排出される。
【0032】コントロールピストン14とニードル19
とは、機械的な接続部材を用いずに流体的に接続されて
おり、機械的な強度に制約されることなくインジェクタ
を設計することができる。また、流体を介しての接続で
あるために、機械的な接続と比較してコントロールピス
トン14とニードル19との間に僅かの遅れが有り得る
が、その遅れに起因して、却って両者の作動にダンピン
グ作用或いはバウンド防止作用等の緩衝性を備えること
ができる。油室55を形成する領域の面積は広い方が有
利である。即ち、油室55の負圧に基づく引き上げ力で
ニードルを引き上げようとする場合には、油室55の断
面積は広い方がよい。また、ニードルを引き上げるに
は、高圧の燃料圧が常時作用する隙間56に面するニー
ドルの面積は少ない方が、油溜まり室30の燃料圧がニ
ードルの軸芯方向投影面積に作用して、ニードルをリフ
トさせる力を相殺する効果が少ない。凸部54が形成さ
れている領域を除いたニードル19の対向面52の軸芯
方向投影面積は、先細の油溜まり室30のテーパ面22
aに面するニードル19の軸芯方向投影面積よりも小さ
く設定されている。このような面積を設定することによ
り、油室55における燃料圧が負圧にまで低下するとき
には、ニードル19は油溜まり室30の燃料圧に基づい
てリフトを開始する。ニードル弁19に凹部53を形成
する場合も、面積の設定は同様の考えで行われる。
【0033】次に、この発明によるインジェクタの別の
実施例を説明する。図3は、この発明によるインジェク
タの別の実施例における接続部を拡大して示す断面図で
ある。図3に示す実施例においては、図2に示す接続部
を構成する要素及び部位と同等のものに、図2に用いら
れた符号と同じ符号を付すことにより、再度の説明を省
略する。図3に示す接続部70では、コントロールピス
トン14の下端部14bとニードル19の上端部19a
に、それぞれ、中央部において略同軸状に互いに対向し
て突出した縮径部71,72が形成されており、スリー
ブ76が71,72に緩く嵌入されている。スリーブ7
6の内周面78bと両縮径部71,72の対向する端面
51,52によって、油室75が画定されている。
【0034】コントロールピストン14の段部環状面7
1aとスリーブ76の上側の端面77aとの間、及びニ
ードル19の段部環状面72aとスリーブ76の下側の
端面77bとの間には、それぞれコントロールピストン
14及びニードル19のリフト状態に応じて隙間73が
形成される。コントロールピストン14及びニードル1
9の両縮径部71,72の周面71b,72bと、スリ
ーブ76の内周面78bとの重なる部分の間には、10
μm程度以下の僅かな径方向隙間74が形成されてい
る。なお、ニードル19には、スリーブ76と係合して
スリーブ76の所定位置からの落下を防止するストッパ
76aが設けられている。ストッパ76aは、ノズル本
体16側に設けることも可能である。
【0035】スリーブ76には油室75と燃料チャンバ
28とを連通する連通路79が形成されており、連通路
79には逆止弁58が配設されている。コントロールピ
ストン14がリフトするときにニードル19から離間す
る方向に変位すると、隙間73,74を通じて燃料が油
室75に流入するが、流入量が少ないため、油室75は
負圧となり逆止弁58は閉じる。また、コントロールピ
ストン14が下降するときにニードル19に接近する方
向に変位すると、油室75内の余分な燃料は、連通路7
9及び開弁した逆止弁58を通じて燃料チャンバ28に
排出される。ニードル19の作動を含むインジェクタ1
の作動としては、図2に示したインジェクタと同様であ
るので、再度の説明を省略する。
【0036】次に、この発明によるインジェクタの更に
別の実施例を説明する。図4は、この発明によるインジ
ェクタの別の実施例における接続部を拡大して示す断面
図である。図4に示す実施例においては、図2に示す接
続部20を構成する要素及び部位と同等のものについて
は、図2に用いられた符号と同じ符号を付すことによ
り、再度の説明を省略する。図4に示す接続部80で
は、コントロールピストン14とニードル19との対向
する端部、即ち、コントロールピストン14の下端部1
4bとニードル19の上端部19aとは、縮径部等の何
らの加工部分もなくストレートな形状を有している。ま
た、両端部の対向面である端面51,52は何らの凹凸
も形成されていない平らな端面である。このような、ス
トレート又は平らな面をそのまま利用できるため、コン
トロールピストン14とニードル19とに要求される加
工工程が少なくなり、製作上及びコスト上も有利であ
る。燃料チャンバ28という比較的に余裕のある空間を
利用して、コントロールピストン14の下端部14bと
ニードル19の上端部19aとの外周に跨がってスリー
ブ86が嵌着されている。対向する端面51,52とス
リーブ86の内周面88bとによって油室85が形成さ
れている。
【0037】スリーブ86の内周面88bとコントロー
ルピストン14の下端部14bの周面81bとの間、及
びスリーブ86の内周面88bとニードル19の上端部
19aの周面82aとの間には、10μm程度以下の僅
かな径方向隙間84が形成されている。スリーブ86に
は、油室85に臨む位置に一端開口部が開口すると共に
燃料チャンバ28に他端開口部が開口する連通路89が
形成されている。連通路89の、燃料チャンバ28側の
開口部には、図2及び図3に示した実施例で用いられて
いるのと同様のテーパ状開口部60、ボール61及び板
ばね62から成る逆止弁58が配設されている。なお、
図では省略されているが、スリーブ86の外周面88a
上に、板ばね62の落下防止用のストッパ63を設けて
もよいことは明らかである。スリーブ86の落下防止用
として、ニードル19にストッパ76aを設けることが
できる。ストッパ76aは、想像線で示すようにノズル
本体16に設けてもよい。
【0038】コントロールピストン14がリフトすると
きにニードル19から離間する方向に変位すると、径方
向隙間84を通じて燃料が油室85に流入するが、流入
量が少ないため、油室85は負圧となり逆止弁58は閉
じる。また、コントロールピストン14が下降するとき
にニードル19に接近する方向に変位すると、油室85
内の余分な燃料は、連通路89及び開弁した逆止弁58
を通じて燃料チャンバ28に排出される。ニードル19
の作動を含むインジェクタ1の作動としては、図2に示
したインジェクタと同様であるので、再度の説明を省略
する。
【0039】板ばね62の詳細を、図3に示す実施例に
用いられた場合を例に取って、図5〜図7に示す。図5
は図3の矢視A−Aで見た断面図であり、図6は別の形
態の板ばねを用いたインジェクタの変形例を示す図5と
同様の断面図、図7は更に別の形態の板ばねを用いたイ
ンジェクタの変形例を示す図5と同様の断面図、図8は
図7に示す板ばねの斜視図である。図3は図5の矢視B
−Bで見た断面図となる。板ばね62は、両端62a,
62aを有する略環状の板ばねであり、自己の弾性でス
リーブ86の外周面88aにフィットしている。板ばね
62は、両端62a,62aを僅かに押し広げることに
より、スリーブ86に装着し易くなる。
【0040】図6に示すインジェクタの接続部90で
は、スリーブ91に形成されている連通孔93は、外側
から嵌合するボール95を備えた逆止弁94によって閉
鎖可能である。自己の弾性によってスリーブ91の外周
面92に嵌着されている板ばね96は、後述の膨出部9
7を備えている以外、図5に示す板ばね62と同様の構
造を有している。ボール95は連通孔93を閉鎖した状
態においてもスリーブ91の外周面から一部突出してい
るので、板ばね96には加工成形により膨出部97を形
成し、その内側にボール95を収容する係合凹部98を
形成している。板ばね96の両端部99は、弾性を与え
るため外側に向かって屈曲されている。
【0041】図7に示すインジェクタの接続部100に
おいては、図6に示す接続部90の構成要素及び部位と
同様の機能を奏する構成要素及び部位には同じ符号を付
して再度の説明を省略する。スリーブ91の外周面92
に嵌着されている板ばね106は、その斜視図である図
8にも示すように、逆止弁94のボール95を連通孔9
3を閉じる方向に付勢した状態で保持するため、径外方
に向かって先細のテーパ面108を有する保持孔107
を備えている。板ばね106の両端部109,109
は、図5,図6に示す板ばね62,96と同様に外方に
屈曲されている。
【0042】流量規制手段としてオリフィスを用いたこ
の発明の実施例が、図9〜図11に示されている。図9
〜図11は、それぞれ、基本的には、図2〜図4に示す
実施例に対応しており、流量規制手段としてオリフィス
を用いたインジェクタの実施例の接続部を示す拡大部分
断面図である。図9に示すインジェクタの接続部110
では、コントロールピストン14の下端部14bに形成
された連通路111は、全体又は一部がオリフィスとし
て構成されている。なお、連通路111は、コントロー
ルピストン14の下端部14bの代わりにニードル19
の上端部19aに形成してもよい(想像線で連通路11
2を示す)。図10に示すインジェクタの接続部120
では、スリーブ76の第2連通路79に設けられた逆止
弁58の代わりに、連通路121それ自体又はその一部
がオリフィスに形成されている。更に、図11に示すイ
ンジェクタの接続部130では、スリーブ86の連通路
89に設けられた逆止弁58の代わりに、連通路131
の全部又は一部がオリフィスに形成されている。
【0043】図9〜図11に示す実施例では、接続部1
10〜130は、油室55,75,85を燃料チャンバ
28に連通する連通路111(112),121,13
1がオリフィスであるので、一定時間以上経過すると、
燃料チャンバ28から連通路111(112),12
1,131を通じて油室55,75,85に燃料が流入
し充満する。インジェクタにおいては、一般に、ニード
ル19の先端部の燃料圧は途中で絞られていること、及
び流出時の流体負圧により上下間で差圧が生じているこ
とに起因して、燃料が垂れ流しのような異常噴射状態と
なる可能性がある。オリフィスを用いた接続部110〜
130は、コントロールピストン14のリフトに追従し
てニードル19がリフトした後、油室55,75,85
に燃料が流入するので、ニードル19は下方に押し下げ
られて、燃料噴射を停止させるフェールセーフ作用があ
る。
【0044】流量規制手段を連通路が燃料チャンバ28
に臨む開口部を封鎖する弾性板とした実施例が、図12
〜図14に示されている。図12〜図14は、それぞ
れ、基本的には図2〜図4に示す実施例に対応している
が、流量規制手段として連通路が燃料チャンバに臨む開
口部を封鎖する弾性板を用いたインジェクタの実施例の
接続部を示す拡大部分断面図である。図12に示す接続
部140において、コントロールピストン14の下端部
14bに形成された連通路141が燃料チャンバ28に
臨む開口部142は、環状の弾性板143によって覆わ
れている。連通路141はニードル19の上端部19a
に形成してもよい。また、弾性板143は、開口部14
2を自己の弾性で覆うことができれば、環状でなくても
よい。油室55内の燃料圧力が上昇したときには、燃料
圧力は弾性板143を弾性変形させて開口部142を燃
料チャンバ28に開き、燃料圧力を解放する。
【0045】図13に示すインジェクタの実施例の接続
部150において、スリーブ76の連通路151の開口
部152は、環状の弾性板153によって覆われてい
る。また、図14に示すインジェクタの実施例の接続部
160において、スリーブ86の連通路161の開口部
162は、環状の弾性板163によって覆われている。
弾性板143,153,163は、盲動回転しないよう
にコントロールピストン14やスリーブ76,86に対
して周方向に係合させておくのが好ましい。図13及び
図14に示した実施例の作動は、図12に示す実施例の
作動と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0046】ニードル19に作用する力のバランスに基
づくニードル19のリフトについて、図15を参照して
説明する。図15は、図3に示す実施例を例にとって、
ニードル19のリフトを説明する図である。ニードル弁
の閉鎖状態では、隙間73は吸収されているので、ニー
ドル19に働く押し下げ力は、バランスチャンバ33に
おける燃料圧(レール圧Pr)にコントロールピストン
14の軸芯方向投影面積(断面積A2 )を掛けて求めら
れる力(Pr×A2 )と、リターンスプリング39のば
ね力(Ps)との和F1 がコントロールピストン14を
介して伝達される。また、ニードル19に働くリフト力
は、燃料圧(レール圧Pr)にニードル19の面積差
(A2 −a1 )を掛けて求められる力[Pr×(A2
1 )]と燃焼室内の圧力(Pc)にニードル19の先
端部の軸芯方向投影面積a0 を掛けて求められる力との
和(F2 )である。なお、面積a1 は、ニードル19の
先端においてノズル本体16に当接する最外径での軸芯
方向投影面積であり、また、油溜まり室30においてテ
ーパ面22aの軸芯方向投影面積も、面積差(A2 −a
1 )に含まれて計算されている。通常、力F1 が力F2
よりも大であるので、ニードル弁は閉じたままである。
バランスチャンバ33内の燃料圧が排出路34を通じて
解放されると、コントロールピストン14は隙間73に
作用する燃料圧によりリターンスプリング39のばね力
(Ps)に打ち勝ってリフトし、油室75内の圧力は負
圧となる。
【0047】ニードル弁が開弁しようとする時におい
て、ニードル19に働く押し下げ力は、隙間73に作用
する燃料圧(レール圧Pr)にニードル19の上端部1
4aの面積差(A2 −A1 )を掛けて求められる力F3
であり、ニードル19に働くリフト力は、ニードル弁の
閉弁時と同様に、力[Pr×(A2 −a1 )]と燃焼室
内の圧力(Pc)にニードル19の先端部面積a0 を掛
けて求められる力との和(F4 )である。面積A1 は、
ニードル19の縮径部72の軸芯方向投影面積(断面
積)である。油室75内の圧力も考慮して、力F4 が力
3 より大となるように、各面積A2 ,A1 ,a1 ,a
0 が定められている。力F4 が力F3 より僅かでも大と
なると、ニードル19がリフトする。コントロールピス
トン14のリフト時にリターンスプリング39のばね力
に対向するために制約はあるが、面積A1 を大きくとる
と、正味のリフト力が大きくなり、油室75内の負圧を
大きくすることができる。他の実施例においても、ニー
ドル19のリフトは同様であるので、詳細な説明を省略
する。
【0048】
【発明の効果】この発明によるインジェクタによれば、
コントロールピストンとニードルとの軸芯ずれは、コン
トロールピストンとニードルとの対向端部を凹凸嵌合さ
せたときの径方向隙間、又はコントロールピストンとニ
ードルとの対向端部とその対向端部に嵌合されたスリー
ブとの間の径方向隙間によって吸収され、コントロール
ピストンとニードルとの軸芯を互いに高い精度で整合さ
せる必要がない。また、油室による流体的な接続により
コントロールピストンとニードルとは、軸芯方向に充分
な応答性をもって円滑な摺動が確保される。コントロー
ルピストンとニードルとの流体的な接続は、機械的な接
続に比べて若干の遅れがあるが、却ってダンピング作用
やバウンド防止作用をもたらす緩衝性が期待され、イン
ジェクタの作動として好ましい結果をもたらす場合があ
る。更に、コントロールピストンとニードルとの組立連
結がワンタッチで行えるので、組立作業性を向上するこ
とができると共に、製作コストを低減することもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるインジェクタクの一実施例を示
す縦断面図である。
【図2】図1に示すインジェクタのコントロールピスト
ンとニードルとの流体的接続部の構造を示す拡大断面図
である。
【図3】この発明によるインジェクタの別の実施例にお
ける接続部を拡大して示す断面図である。
【図4】この発明によるインジェクタの別の実施例にお
ける接続部を拡大して示す断面図である。
【図5】図3に示すインジェクタの接続部における矢視
A−Aで見た断面図である。
【図6】この発明によるインジェクタにおいて別の逆止
弁の構造を有する実施例の接続部を示す拡大断面図であ
る。
【図7】この発明によるインジェクタにおいて更に別の
逆止弁の構造を有する実施例の接続部を示す拡大断面図
である。
【図8】図7に示すインジェクタの接続部において逆止
弁に用いられる板ばねの斜視図である。
【図9】流量規制手段としてオリフィスを用いたこの発
明によるインジェクタの別の実施例における接続部を示
す拡大断面図である。
【図10】流量規制手段としてオリフィスを用いたこの
発明によるインジェクタの別の実施例における接続部を
示す拡大断面図である。
【図11】流量規制手段としてオリフィスを用いたこの
発明によるインジェクタの更に別の実施例における接続
部を示す拡大断面図である。
【図12】流量規制手段として連通路の開口部を封鎖す
る弾性板を用いたこの発明によるインジェクタの実施例
における接続部を示す拡大断面図である。
【図13】流量規制手段として連通路の開口部を封鎖す
る弾性板を用いたこの発明によるインジェクタの別の実
施例における接続部を示す拡大断面図である。
【図14】流量規制手段として連通路の開口部を封鎖す
る弾性板を用いたこの発明によるインジェクタの更に別
の実施例における接続部を示す拡大断面図である。
【図15】この発明によるインジェクタのニードルのリ
フトを説明する図である。
【符号の説明】 1 インジェクタ 2 本体 2a ホルダ本体 7 電磁弁 10 ソレノイド 13 中空部 14 コントロールピストン 14a 上端部(一端部) 16 ノズル本体 19 ニードル 20,70,80,90,100,110,120,1
30,140,150,160 接続部 21 噴孔 28 燃料チャンバ 33 バランスチャンバ(圧力制御室) 34 排出路 35 アーマチユア 36 開閉弁体 39 リターンスプリング 51 コントロールピストンの端面 52 ニードルの端面 53 凹部 54 凸部 55,75,85 油室 57 径方向隙間 58,94 逆止弁 59,79,89,93,141,151,161 連
通路 60 テーパ状開口部 61,95 ボール 62,96,106 板ばね 63 ストッパ 71,72 縮径部 76,86,91 スリーブ 76a ストッパ 97 膨出部 98 係合凹部 111(112),121,131 オリフィス 142,152,162 連通路の開口部 143,153,163 弾性板
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02M 61/20 F02M 61/20 N

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料を噴射する噴孔を備えた本体内を往
    復動し且つ燃料圧で前記噴孔を開放する弁体、該弁体が
    貫通した前記本体内において前記弁体の周りに形成され
    た燃料を溜める燃料チャンバ、前記本体内に形成され且
    つ前記弁体に対する作動流体の圧力作用によって前記弁
    体のリフトを制御する圧力制御室を具備し、前記弁体
    は、前記圧力制御室に一端部の端面が露出し且つ前記燃
    料チャンバを貫通するコントロールピストン及び一端部
    の端面と前記コントロールピストンの他端部の端面とが
    互いに対向面となる対向状態で配置され且つ他端部で前
    記噴孔を開閉するニードルから成り、前記コントロール
    ピストンと前記ニードルとは、前記対向面間に形成され
    た油室、及び前記油室と前記燃料チャンバとを連通する
    連通路、及び前記連通路に配設され前記燃料チャンバか
    ら前記油室への燃料の流れを規制する流量規制手段を有
    する流体的接続部を介して接続されており、前記コント
    ロールピストンのリフト時に前記連通路を通じての燃料
    の前記油室内への流入を前記流量規制手段によって規制
    して前記油室内の燃料圧を低下させることにより前記コ
    ントロールピストンに追従して前記ニードルをリフトさ
    せることから成るインジェクタ。
  2. 【請求項2】 前記油室は、前記コントロールピストン
    及び前記ニードルの前記対向面の一方に形成された凹部
    の壁面と前記対向面の他方に形成され且つ前記凹部に緩
    く嵌入している凸部の端面とによって画定されることか
    ら成る請求項1に記載のインジェクタ。
  3. 【請求項3】 前記本体内において前記ニードルの軸芯
    方向中間部の周りには前記ニードルをリフトさせるため
    の先細の油溜まり室が形成されており、前記凹部又は前
    記凸部が形成されている領域を除いた前記ニードルの前
    記対向面の軸芯方向投影面積は、前記油溜まり室に面す
    る前記ニードルの軸芯方向投影面積よりも小さく設定さ
    れていることから成る請求項2に記載のインジェクタ。
  4. 【請求項4】 前記連通路は、前記コントロールピスト
    ンに貫通して形成されていることから成る請求項2又は
    3に記載のインジェクタ。
  5. 【請求項5】 前記コントロールピストンの前記他端部
    と前記ニードルの前記一端部にはスリーブが跨がって嵌
    合されており、前記油室は、前記両対向面と、前記スリ
    ーブの内面とによって画定されることから成る請求項1
    に記載のインジェクタ。
  6. 【請求項6】 前記コントロールピストンの前記他端部
    と前記ニードルの前記一端部にはそれぞれ縮径部が形成
    されており、前記スリーブは前記両縮径部に跨がって嵌
    合し、前記両対向面は前記両縮径部の端面であることか
    ら成る請求項5に記載のインジェクタ。
  7. 【請求項7】 前記本体内において前記ニードルの軸芯
    方向中間部の周りには前記ニードルをリフトさせるため
    の先細の油溜まり室が形成されており、前記縮径部の前
    記端面を除いた前記ニードルの前記対向面の軸芯方向投
    影面積は、前記油溜まり室に面する軸芯方向投影面積よ
    りも小さく設定されていることから成る請求項6に記載
    のインジェクタ。
  8. 【請求項8】 前記連通路は、前記スリーブに貫通して
    形成されていることから成る請求項5〜7のいずれか1
    項に記載のインジェクタ。
  9. 【請求項9】 前記流量規制手段は、前記連通路に形成
    されたオリフィスであることから成る請求項1〜8のい
    ずれか1項に記載のインジェクタ。
  10. 【請求項10】 前記流量規制手段は、前記連通路に配
    設され且つ燃料の前記油室から前記燃料チャンバに向か
    う方向の流れを許容するが前記燃料チャンバから前記油
    室への流れを阻止する逆止弁であることから成る請求項
    1〜8のいずれか1項に記載のインジェクタ。
  11. 【請求項11】 前記逆止弁は、前記連通路の前記燃料
    チャンバ側に開口する開口部に配置されたボール、及び
    前記連通路が形成されている前記コントロールピストン
    又は前記スリーブに外嵌されて前記ボールを前記連通路
    の前記開口部を封鎖する方向に付勢する板ばねから成る
    請求項10に記載のインジェクタ。
  12. 【請求項12】 前記逆止弁は、前記連通路が形成され
    ている前記コントロールピストン又は前記スリーブに前
    記連通路の前記燃料チャンバ側に開口する開口部を覆う
    位置に嵌合された弾性板からなり、前記弾性板は前記油
    室内の高圧の燃料圧によって弾性変形して前記開口部を
    開放し、前記油室内が低圧又は負圧となるときに自己の
    弾性によって前記開口部を封鎖することから成る請求項
    10に記載のインジェクタ。
  13. 【請求項13】 前記圧力制御室は前記本体に固定され
    たコントロールスリーブによって形成され且つ燃料圧に
    よって前記弁体のリフトを制御するバランスチャンバで
    あり、該バランスチャンバ内の燃料圧はアクチュエータ
    によって前記バランスチャンバからの排出路を開閉する
    開閉弁を駆動することにより解放されることから成る請
    求項1〜12のいずれか1項に記載のインジェクタ。
  14. 【請求項14】 前記本体は、前記コントロールピスト
    ンを軸方向に摺動可能に支持するホルダ本体と該ホルダ
    本体に連結された前記ニードルを軸方向に摺動可能に支
    持する前記噴孔を備えたノズル本体とから成る請求項1
    〜13のいずれか1項に記載のインジェクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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