JP4370485B2 - 中空糸膜モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は河川水や地下水などの自然水の浄水処理、あるいは水道水の高度浄水処理に使用される中空糸膜モジュールおよびその製造方法に関する。本発明によって得られる中空糸膜モジュールは、特に高回収率運転や長期連続運転が必要とされ、物理洗浄等によりモジュール性能の回復が必要とされる水処理分野に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
水道水の高度浄水処理方法として、また河川水や地下水等の自然水の凝集沈殿に代わる浄水処理方法として膜分離技術を適用する処理方法が注目され、転換が進められてきている。特に中空糸膜を利用した膜分離モジュールは、容器の形状にこだわらずに容器に装着でき、物理洗浄し易いことから浄水処理用として多く採用されている。
【0003】
浄水処理に使用されるモジュールは、浄水処理量を確保のためにある程度の大きさのモジュールサイズが必要となる。特にモジュール設置スペースに対する浄水処理量をみた設置容積効率を考えると、モジュールに付属する容器、接続部品等の容積は少ない方が良く、モジュール1 本当りの浄水処理量を上げるためにはモジュールサイズを大きくする方法が一つの手段となっている。
【0004】
また、浄水処理に使用されるモジュールにおいては、供給水を最大限に有効利用するために、高回収率(回収率は透過水と供給水の流量比率)のモジュール設計が要求される。高回収率の運転がなされるとモジュール内の膜の一次側が高濃度に濃縮されるのみならず、モジュール内の膜の一次側の流量が非常に少なく、膜表面での線速度が非常に低い状態となる。この状態のとき、中空糸膜表面の全域に偏流を生じさせずに供給水を均一に分配供給させることは、外圧型のモジュールの場合非常に困難である。また、モジュール内で偏流が生じると分離に寄与する膜が減少し有効に膜が利用出来ないばかりか、さらに偏流により膜表面の濃度分極が助長され、膜表面濃度が極度に高濃度となり分離効率が著しく低下し好ましくない。また、逆浸透膜やナノ濾過膜の場合はモジュール内の膜の1次側に非常に低速で高濃度の液体が流れると、膜表面にスケール成分が濃縮されたり、ファウラントが付着沈降し易くなり、分離に寄与する膜表面を被覆・劣化させ著しく分離能力が低下する。
【0005】
従来のモジュールでは、偏流を抑制するために極端に高い充填率で中空糸膜を束ねることにより中空糸膜の均一配置をはかり、モジュールに均一分配流を生じさせたモジュール設計がなされている。また、片端を樹脂で容器に固定し反対の中空糸膜端部をループ状にし抵抗体として均一分配流を生じさせたモジュール設計がなされている。
【0006】
また、偏流を抑制するために中空糸膜を交差配列で捲上げて中空糸膜束とし、中空糸膜束中に筒状物を設け中空糸膜束の断面方向の中央部への流れを生じさせたり、軸方向の流れを持たせたモジュール構造を有する中空糸膜モジュールが特開昭52ー49987号公報、特開昭52ー63179号公報、特公昭54ー5796号公報、特開昭63ー1404号公報に開示されている。
【0007】
また、容器内に中空糸膜束を数束配列し中空糸膜束群とし、両端を樹脂で固定した中空糸膜モジュールが、特開昭61ー103503号公報、特開平9ー206563号公報に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一様な分布で極端に高い充填率で中空糸膜を束ねたモジュールでは、モジュールサイズが大きくなるとそれに伴いモジュール径大きくなるため、中空糸膜束の軸方向に垂直な断面の半径方向の流動抵抗が大きくなり、被処理水が径方向に分配されにくくなる。よって、中空糸膜束群からなる捲上体の外周面への局部的な液流が生じ易くなり、その結果、偏流を助長し膜が有効に使用されず分離効率が悪くなる。また、中空糸膜束群からなる捲上体の外周面への局部的な液流を抑制するために、容器と中空糸膜束群からなる捲上体のクリアランスを極小にし高充填率で中空糸膜を装着した場合、中空糸膜束群からなる捲上体を容器に挿入する時に中空糸膜を損傷しやすくモジュール製造が非常に困難になる。さらに、高回収率を要求される浄水処理では、膜の一次側が高濃度に濃縮されるため高充填率では、中空糸膜表面のみならず中空糸膜の間隙もファウリングが生じやすくなり、透水量の低下が生じ易くなるため長期連続運転が困難となる。また、ファウラントを物理洗浄する場合、中空糸膜の高充填率化が逆に洗浄の妨げとなり洗浄効率を低下させる。
【0009】
片端を樹脂で容器に固定し反対側の中空糸膜端部をループ状にし抵抗体として均一分配流を生じさせる試みをしたモジュールでは、ループ状部の曲率のため容器に高充填できず、高回収率時に膜表面での線速度が低くなり偏流を助長しモジュール性能が低下する。また、平行になった中空糸膜部分では充填率が低く完全な均一分配流は生じさせることは困難である。ループ状中空糸膜端部分では、高濃度に濃縮された濃縮水のためファウリングが生じやすくなる。さらに、ファウラントを物理洗浄する場合、片端にループを持った中空糸膜束群の形状が損なわれやすくループの再現が難しい。
【0010】
多孔芯材に中空糸膜束を交差配置して巻き上げた円筒状のモジュールにおいても、モジュール円筒断面の中心の芯材部より液を供給した場合、供給部から濃縮水排出部間の液流路すべてにおいて均一分配流を生じさせることは困難である。特に液供給部付近の中空糸膜束群はデッドスペースとなり液流れが生じにくく、液が高濃度となり性能低下やファウリングの発生場所となる可能性が非常に高い。また、芯材の一部のみに孔を設けて中空糸膜束を交差配置で巻き上げ、軸方向の流れを持たせたモジュールにおいても、液供給部付近の中空糸膜束群はデッドスペースとなり液流れが生じにくく、液が高濃度となり性能低下やファウリングの発生場所となる。また、軸方向流れのみでの送液では流れ方向に中空糸膜が交差する部位があるため高濃度に濃縮された濃縮水によりファウリングの沈着堆積やスケールが生じやすくなる。その結果、透水量の低下が生じ、長期連続運転が困難となる。さらに、ファウラントを物理洗浄する場合は、均一分配流が生じないため、十分なファウラント洗浄・排除ができず洗浄効率が低下する。
【0011】
容器内に中空糸膜束を数束配列し一定の間隔をもたせて中空糸膜束群とし、両端を樹脂で固定した中空糸膜モジュールでは、中空糸膜束内部の中空糸膜まで有効に膜分離に寄与させることは困難で、結果的にモジュール性能が低下する。また、低い膜面線速度のため中空糸膜束の中空糸膜間隙にファウラントを蓄積し易くさせることとなり、透水量の低下を招き、長期連続運転が困難となる。さらに、ファウラントを物理洗浄する場合は洗浄液流れが主に中空糸膜束間の空間に流れ、中空糸膜束内のファウラントの洗浄除去性が低下する。
【0012】
高回収率を要求される浄水処理において、特にモジュールサイズが大型化される場合、膜を高充填して膜面線速度上昇させることによる偏流の解決策は、高充填によるラジアル方向の抵抗増大で液流が抑制されるといった二律背反的な要素を有し、双方を同時に解消することは非常に困難である。
【0013】
本発明は上記課題にに鑑み鋭意研究の結果、提案されたもので高回収率を要求される浄水処理において、特にモジュールサイズが大型化される場合においても、ラジアル方向の流れを確保し、モジュール内のデッドスペースを無くし、偏流を起こさせることなく均一分配流れを生じさせることを可能にし、極端に高充填率に中空糸膜を充填することなく、中空糸膜を損傷させることなく容器に挿入することができ、また、モジュール洗浄性にも優れた中空糸膜モジュールおよびその製造方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、容器に装着された中空糸膜束群からなる捲上体の片端もしくは両端部を樹脂で固定したモジュールであって、該中空糸膜束群からなる捲上体が、多孔質の芯材の上に中空糸膜束が、中空糸膜束群の捲上軸線と角度をもって配置され、中空糸膜束ごとに交互にクロスする交差配列を持つ中空糸膜束群である中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜が交差する充填密度の低いクロスポイント群をデッドスペース部分に集中配置させ、中空糸膜束群の捲上軸線と垂直な断面の中心から外周部の方向に連続的に整列させた中空糸膜配列となる中空糸膜束群をもつことを特徴とする中空糸膜モジュールおよび製造方法である。
充填密度=(中空糸膜外径2 ×中空糸膜本数×中空糸膜長さ)
/(中空糸膜束群径2 ×中空糸膜束群長さ)
【0015】
本発明は、具体的には下記のものである。
(1)中空糸膜束群からなる捲上体を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定した中空糸膜モジュールであって、中空糸膜束の中空糸膜の配列が、中空糸膜束群の捲上軸線と角度をもって配置され、中空糸膜束ごとに交互にクロスする交差配列を持つ中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜束が交差するクロスポイント群を濃縮水排出部と反対側に集中配置させ、中空糸膜束群の捲上軸線と垂直な断面の中心から外周部の方向に連続的に整列させた中空糸膜配列となる中空糸膜束群をもつことを特徴とする中空糸膜モジュール。
(2)クロスポイント群を濃縮水排出部と反対側にある供給部付近に集中配置させた上記(1)に記載の中空糸膜モジュール。
(3)中空糸膜束群からなる捲上体が芯材の回りに配置されている上記(1)または(2)に記載の中空糸膜モジュール。
(4)中空糸膜束が交差するクロスポイント群が供給部付近の1ヶ所に配置された上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の中空糸膜モジュール
(5)中空糸膜の充填率が40%〜80%である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
(6)交差配列された中空糸膜束の角度が中空糸膜束の捲上軸線に対して5〜75度の傾きを持つ上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
(7)中空糸膜がポリアミド系もしくはポリスルホン系の素材からなる複合膜である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
(8)中空糸膜束群からなる捲上体を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定する中空糸膜モジュールの製造方法であって、中空糸膜束の中空糸膜の配列を、中空糸膜束群の捲上軸線と角度をもって配置し、中空糸膜束ごとに交互にクロスする交差配列を有する中空糸膜モジュールの製造方法において、中空糸膜束が交差するクロスポイント群を濃縮水排出部と反対側に集中配置させ、中空糸膜束群の捲上軸線と垂直な断面の中心から外周部の方向に連続的に整列させた中空糸膜配列となる中空糸膜束群を形成させることを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
(9)クロスポイント群を濃縮水排出部と反対側にある供給部付近に集中配置させた上記(8)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
(10)多孔質芯材の回りに中空糸膜束群からなる捲上体を形成した上記(8)または(9)に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
(11)中空糸膜束が交差するクロスポイント群を供給部付近の1ヶ所に配置した上記(8)ないし(10)のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
(12)交差配列された中空糸膜束の角度が中空糸膜束の捲上軸線に対して5〜75度の傾きを持たせた上記(8)ないし(11)のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
【0016】
このような構造(図4)にすることにより、特に多孔芯材より液を供給するセンターフィード型の場合は、図5 に示すようなモジュールの液供給部付近に生じ易いデッドスペースを解消し、モジュール径が増大する場合においてもラジアル方向の流路抵抗を減少させ、積極的にラジアル方向の流れを生じさせて、供給部より濃縮水排出部にわたって均一分配流とし偏流を抑制することができる。
【0017】
本発明における中空糸膜とは、中空糸状の分離膜であって、その膜素材、膜構造および膜ディメンジョンは特に限定されない。たとえば酢酸セルロース系、ポリアミド系の非対称膜やポリアミド系、ポリスルホン系などの複合膜が挙げられる。
【0018】
本発明における中空糸膜束とは、複数の中空糸膜が同方向に束ねられたものであれば良く、好ましくは数十〜数百本の中空糸膜が束ねられたもの、より好ましくは30〜200本の中空糸膜が束ねられたものである。
【0019】
本発明における中空糸膜束群とは、中空糸膜束を複数本集合させた中空糸膜束の捲上集合体であって、中空糸膜束および中空糸膜の配列が中空糸膜束群の捲上軸線と角度をもって配置され、中空糸膜束ごとに交互にクロスする交差配列をもった構造を有する構造体である。
【0020】
本発明における中空糸膜束の充填率は次式で定義される。該充填率は高すぎるとファウラントの沈着堆積、モジュール洗浄が困難となり、また低すぎると膜面の線速度が低下し高回収率において性能低下するため、40〜80%が適用され、より好ましくは50〜75%が適用される。
充填率(% )=(中空糸膜外径2 ×π/4×中空糸膜本数×中空糸膜長さ)/(容器空塔の中空糸膜束群部の容積)×100
【0021】
交差配列された中空糸膜束の角度は、膜面積を大きくすべく充填率を高くするためには小さい角度が適するが、ファウラントの沈着堆積、モジュール洗浄を考慮すると大きい角度が適する。この双方を満足するため交差配列された中空糸膜束の角度は、中空糸膜束の捲上軸線に対して5〜75度の傾き、より好ましくは20〜60度の傾きを持つ。
【0022】
本発明における樹脂とは、中空糸膜を液密にシールできれば特に限定されない。例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などの熱硬化性樹脂が使用できるが、必要により熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【0023】
本発明における中空糸膜モジュールの製造方法における端部封止剤に使用される樹脂、例えばエポキシ樹脂の硬化条件は、エポキシ樹脂および硬化剤、硬化促進剤や中空糸膜束と容器およびその他部材の種類により任意に決定できる。たとえば常温から130 ℃の範囲内で、一段もしくは多段階に温度ステージを変更させて硬化させる。雰囲気条件は、湿度3%〜90% の空気もしくは窒素雰囲気下などが挙げられる。さらに温水下もしくは高温雰囲気下などでのポストキュアなどを施しても良い。
【0024】
本発明における中空糸膜モジュール接着時の端部封止剤の充填方法は特に限定されないが、中空糸膜束を充填したケース内に端部封止剤の位置エネルギーによる充填方法、空気などの媒体を使用した加圧充填方法、遠心力を利用した充填方法などが挙げられる。また充填に長時間を要すると特にポットライフが短い場合、充填中に端部封止剤の粘度が上昇し、中空糸膜間の間隙に充填できなくなる。これらのことより、短時間に中空糸膜間の間隙に充填できる方法が好ましい。
【0025】
本発明における容器とは、中空糸膜束を収納するものであって、その材質や形状は特に限定されない。たとえば中空糸膜束を効率よく充填可能とするような円筒状容器、小ユニットより組合せを容易にするような箱状容器などが挙げられる。容器の材質はポリカーボネイト、塩化ビニル、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられ、より好ましくは端部封止樹脂と熱膨張係数の近い材質が良い。
【0026】
本発明における芯材とは、中空糸膜または中空糸膜束を巻き取る軸芯であって管の内外に貫通の孔を持ち液体分配機能を兼ねるものであれば形状、材質等は特に限定されないが、形状は芯材の軸方向に均一に流れを分散させるために、円筒状の管に円孔が千鳥配列になったものが好ましい。材質は、たとえばポリカーボネイト、塩化ビニル、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂などが挙げられ、より好ましくは容器と同一材質および/または端部封止樹脂と熱膨張係数の近い材質が良い。
【0027】
本発明における中空糸膜モジュールとは、河川水や地下水など自然水の浄水処理あるいは水道水の高度浄水処理に使用される中空糸膜モジュールであって、ナノろ過、逆浸透、限外ろ過、精密ろ過などに分類される中空糸膜等を具備する。流れの形態は特に限定されないが、カウンターフローやクロスフロー、コカレントフローが好ましい。図1 および図3に本発明の中空糸膜モジュールの一例を示すが、これに限定されるものではない。図1により中空糸膜モジュールの水処理の概要を説明すると、供給部31より処理水を加圧供給し、芯材3より中空糸膜モジュール軸方向に処理水を分配しラジアル方向に流れを発生させる。中空糸膜に対してクロスフローを生じさせ濃縮水を濃縮部32より排出させ、中空糸膜を透過し端部封止部5’で開口した中空部より流出した透過液を透過部33より排出させ回収するものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づき中空糸膜モジュールの詳細およびその製造方法について説明するが、特に該製造方法に限定されるものではない。図1に本発明の中空糸膜モジュールの模式図、図2に中空糸膜束群の製造方法の説明図、図3 に中空糸膜モジュールのフローの説明図を示す。
【0029】
本発明の中空糸膜モジュールは、図1に示すように供給水が入る供給部31をもつ容器1と容器1内に装着された中空糸膜束群からなる捲上体2および処理された透過水と濃縮水を排出する透過水排出部33、濃縮水排出部32を有する。そして、この中空糸膜束群からなる捲上体2は図1から3に示すように、捲上軸10にポリカーボネイト製の芯材( 外径φ22mm、内径φ20mm、孔φ8×2個/22.5mmピッチ、千鳥配列) を2本、クロスポイントが芯材端部に位置するようにスペーサーを挟みセットする。9 本〜12本の中空糸を4束に合わせて中空糸膜束とし、巻取り回転4回に対してトラバースガイド1往復となる比率で中空糸膜束を約1200mmトラバースしながら巻き取る。クロスポントを3ヶ所、トラバースの往路と復路で形成されるクロスポイントが数mmズレを発生するように数%巻取り回転とトラバースの位相差を生じさせ、外径φ74mmまで巻取り、再外層の中空糸膜束の角度が捲上軸線に対して約22度、中空糸膜の充填率は69.7% となるように交差配列を持つ中空糸膜束群を作製する。中空糸膜束群からなる捲上体の外周に目開き1.2mmのポリエステル製保護織布を巻き付け、クロスポイント群を供給部付近のマニホールド部に配置させるように中空糸膜束群からなる捲上体をカットし、ポリカーボネイト製容器に挿入する。さらにクロスポイント群側の端部に膨らみを持たせるように整形し、ラジアル方向への液流の抵抗を低下させる(図1参照)。そして、容器に装着した中空糸膜束群からなる捲上体を遠心脱液、次いで、加熱した除湿空気で通風し絶乾近くまで乾燥さる。そして、端部封止として中空糸膜開口端部を閉口するために端部封止剤を遠心力により充填し硬化させる。2段目端部封止剤として中空糸膜束を容器に接着、端部封止するために同じ端部封止剤を遠心力にて充填し硬化させる。そして、中空糸膜の中空部を開口させるために、端部封止部を75℃のホットプレート上に1 時間接触させ、倍力装置( 倍力率2〜3) を使い人力(約4kg)によるスライスカッターで中空糸膜束を固定した容器の端部封止部の切削する。そして、液供給部および透過水排出部にOリングでシールされるキャップを取り付ける。
【0030】
以上の製造工程により、原水供給部より濃縮水排出部間の液流路すべてにおいて、均一分配流を生じさせることができる中空糸膜モジュールが得られる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例
ポリアミド系ナノ濾過複合中空糸膜(中空糸膜外径350μm 、中空糸膜内径200μm 、ポリスルホンベース膜外表面上にポリピペラジンアミド架橋薄膜を形成したもの)を、ポリカーボネイト製の芯材( 外径φ22mm、内径φ20mm、孔φ8×2個/22.5mmピッチ、千鳥配列) に、巻取り回転2回に対して1トラバースの比率で9 本〜12本の中空糸膜を4束に合わせて中空糸膜束とし、数%巻取り回転とトラバースの位相差を生じさせ、トラバース幅を1200mmで外径φ74mmまで巻取り、交差配列を持つ中空糸膜束群からなる捲上体を作製した。中空糸膜の本数は24840本とした。中空糸膜束群からなる捲上体の外周に目開き1.2mmのポリエステル製保護織布を巻き付け、クロスポイント群を供給部付近のマニホールド部に配置させるように中空糸膜束群からなる捲上体を400mmの長さにカットし、ポリカーボネイト製容器(最狭内径φ74mm)に挿入し、さらにクロスポイント群側の端部に膨らみを持たせるように整形した。中空糸膜の充填率は69.7% であった。そして、容器に装着した中空糸膜束群からなる捲上体を室温にて600rpm で3 分間、遠心脱液を実施し中空糸膜外表面および中空部内の水分を除去した。次いで、露点5℃に調整した除湿空気を50℃に加熱し、風量0.13m 3 /minで12時間、容器に装着した中空糸膜束に通風し絶乾近くまで乾燥させた。そして、端部封止として中空糸膜開口端部を閉口するために端部封止剤を遠心力(回転数400rpm)により充填、硬化させ、2段目端部封止剤として中空糸膜束を容器に接着、端部封止するために同じ端部封止剤を遠心力(回転数600rpm)にて充填、硬化させた。この時の端部封止剤として水添ビスフェノールA 型エポキシ樹脂を使用した。そして、中空糸膜の中空部を開口させるために、端部封止部を75℃のホットプレート上に1 時間接触させ、倍力装置( 倍力率2〜3) を使い人力(約4kg)により、刃幅300mmの刃物を使いスライスカッターにて中空糸膜束を固定した容器の端部封止部(直径φ100mm)を切削した。
【0033】
この中空糸膜モジュールを用いて、濃度1000mg/Lのシュクロース水溶液を使用し供給圧力0.3MPa 、温度25℃、pH6の条件で性能評価したところ、回収率80%、線速度0.5m/min での透水量は1.77m 3 /D、溶質の除去率は93.9%、回収率20%、線速度3.3m/min での透水量は1.96m 3 /D、溶質の除去率は96.5%であった。回収率20%と80%の除去率の比率は0.97であった。
回収率=(透過水量/供給水量)×100(% )
除去率=(1−(透過水濃度/供給水濃度)) ×100(% )
線速度=
(供給水流量+濃縮水流量)/2/(容器の軸方向に垂直な断面の空隙面積)
【0034】
比較例1
実施例の中空糸膜束群からなる捲上体をカットし容器に挿入する方法においてクロスポイント群を排除するように中空糸膜束群からなる捲上体を400mmの長さにカットし、特別な整形はせずに容器に挿入した他は、実施例と同様の方法で中空糸膜モジュールを製造した。このモジュールを用いて濃度1000mg/Lのシュクロース水溶液を使用し供給圧力0.3MPa 、温度25℃、pH6の条件で性能評価したところ、回収率80%、線速度0.4m/min での透水量は1.55m 3 /D、溶質の除去率は82.0%、回収率20%、線速度3.3m/min での透水量は1.95m 3 /D、溶質の除去率は96.7%であった。回収率20%と80%の除去率の比率は0.85であった。
【0035】
比較例2
実施例の中空糸膜束群からなる捲上体をカットし容器に挿入する方法においてクロスポイント群を濃縮液排出部付近に配置させるように中空糸膜束群からなる捲上体を400mmの長さにカットし、特別な整形はせずに容器に挿入した他は、実施例と同様の方法で中空糸膜モジュールを製造した。このモジュールを用いて濃度1000mg/Lのシュクロース水溶液を使用し供給圧力0.3MPa 、温度25℃、pH6の条件で性能評価したところ、回収率80%、線速度0.4m/min での透水量は1.47m 3 /D、溶質の除去率は78.7%、回収率20%、線速度3.3m/min での透水量は1.92m 3 /D、溶質の除去率は96.7%であった。回収率20%と80%の除去率の比率は0.81であった。
【0036】
実施例および比較例1、2の結果の一覧を表1および図6に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明の中空糸膜モジュールは、河川水や地下水などの自然水の浄水処理あるいは水道水の高度浄水処理に、特に高回収率が要求される水処理分野において、モジュール内が低い線速度になった場合においても、特にモジュールサイズが大型化される場合においても、ラジアル方向の流れを確保し、モジュール内のデッドスペースを無くし均一分配流れを供給部から濃縮排水出口に渡って実現し、偏流を起こさずに膜を有効利用し分離効率を高めることができ、連続安定運転、洗浄性向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空糸膜モジュールの一例を示した模式図
【図2】中空糸膜束群の製造方法の説明図
【図3】中空糸膜モジュールのフローの説明図
【図4】モジュール内流れの模式図ー1(本発明の場合)
【図5】モジュール内流れの模式図ー2(従来の場合)
【図6】除去率の線速度依存性図
【符号の説明】
1 容器
2 中空糸膜束群からなる捲上体
3 芯材
4 保護布
5、5’ 端部封止部
6 Oリング
7 マニホールド部
8 クロスポイント群
9 中空糸膜束
10 捲上軸
11 トラバースガイド
31 供給部
32 濃縮水排出部
33 透過水排出部
Claims (12)
- 中空糸膜束群からなる捲上体を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定した中空糸膜モジュールであって、中空糸膜束の中空糸膜の配列が、中空糸膜束群の捲上軸線と角度をもって配置され、中空糸膜束ごとに交互にクロスする交差配列を持つ中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜束が交差するクロスポイント群を濃縮水排出部と反対側に集中配置させ、中空糸膜束群の捲上軸線と垂直な断面の中心から外周部の方向に連続的に整列させた中空糸膜配列となる中空糸膜束群をもつことを特徴とする中空糸膜モジュール。
- クロスポイント群を濃縮水排出部と反対側にある供給部付近に集中配置させた請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
- 中空糸膜束群からなる捲上体が芯材の回りに配置されている請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
- 中空糸膜束が交差するクロスポイント群が供給部付近の1ヶ所に配置される請求項1ないし3のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
- 中空糸膜の充填率が40%〜80%である請求項1ないし4のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
- 交差配列された中空糸膜束の角度が中空糸膜束の捲上軸線に対して5〜75度の傾きを持つ請求項1ないし5のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
- 中空糸膜がポリアミド系もしくはポリスルホン系の素材からなる複合膜である請求項1ないし6のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
- 中空糸膜束群からなる捲上体を容器に装着し、片端もしくは両端部を樹脂で固定する中空糸膜モジュールの製造方法であって、中空糸膜束の中空糸膜の配列を、中空糸膜束群の捲上軸線と角度をもって配置し、中空糸膜束ごとに交互にクロスする交差配列を有する中空糸膜モジュールの製造方法において、中空糸膜束が交差するクロスポイント群を濃縮水排出部と反対側に集中配置させ、中空糸膜束群の捲上軸線と垂直な断面の中心から外周部の方向に連続的に整列させた中空糸膜配列となる中空糸膜束群を形成させることを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
- クロスポイント群を濃縮水排出部と反対側にある供給部付近に集中配置させた請求項8に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 多孔質芯材の回りに中空糸膜束群からなる捲上体を形成する請求項8または9に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 中空糸膜束が交差するクロスポイント群を供給部付近の1ヶ所に配置する請求項8ないし10のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 交差配列された中空糸膜束の角度が中空糸膜束の捲上軸線に対して5〜75度の傾きを持たせる請求項8ないし11のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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