JP4355519B2 - ウレタン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば断熱材等に用いられる樹脂発泡体の製造方法に関し、更に詳しくは、代替フロン化合物を発泡剤として使用することなく、水により発泡させるウレタン系樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウレタン系樹脂発泡体は、断熱性、機械的強度、耐水性等に優れていることから、各種断熱材、パネル芯材等に使用されている。その発泡剤としては、従来より、クロロフルオロカーボン、又はフルオロカーボン等のフロン系のハロゲン含有炭化水素類が使用されてきたが、その環境負荷の高さから使用が問題視されている。また、環境負荷の少ない炭化水素系発泡剤も使用されているが、製造時の防爆対応の必要性から製造設備に制限があり、設備改造等の経済性の点で問題が残る。
【0003】
上記の環境負荷が少なく、火災に対する安全性の点からも優れるウレタン系樹脂発泡体として、水を発泡剤とするウレタン系樹脂発泡体も広く知られている。しかし、独立気泡のセルを有する硬質発泡体を形成させる場合、ポリイソシアネート化合物と水との反応により発生する二酸化炭素は、空気よりも熱伝導率が低いうえに、ウレタン系樹脂発泡体中のセル膜を透過するため、容易に樹脂発泡体外に拡散し、ウレタン系樹脂発泡体の収縮や経時での断熱性の低下が生じるという問題を有していた。
【0004】
一方、近年、無機材料である層状シリケートをポリアミド等の樹脂にナノオーダーで分散させることにより、樹脂の耐熱性、あるいはガスバリア性が向上することが知られ、この無機材料を用いた発泡体も知られている。
【0005】
例えば、特開2002−212330号公報には、ポリマーの総量を基準として、約10重量%までのナノクレーが分散されたポリマーフォーム組成物が開示されており、ナノクレーが気体遮断材としての働きをすることが記載されている。また、ポリマーフォームの具体例として、ポリウレタンフォームが記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−212330号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特開2002−212330号公報のポリマーフォームにおいては、初期及び3ヶ月後の断熱性(ASTM C−518による初期Kファクター及び老化後Kファクター)が改善されることが記載されているものの、特に後者の老化後Kファクターが不充分で断熱値が経時的に低下しやすいという問題を有していた。
【0008】
また、上記公報には、イソシアネート、ポリオール、ナノクレーをポリマーフォーム組成物に分散させる具体的な製造手順についても開示されていない。
【0009】
したがって、本発明の目的は、環境負荷の小さい水を発泡剤として使用し、寸法安定性及び断熱性に優れ、更に経時的な断熱性の低下を改善したウレタン系樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の解決課題について鋭意検討した結果、特開2002−212330号公報に記載された方法によって得られる発泡体は、ナノクレー(層状シリケート)が、ナノオーダーで充分に分散されていない場合が多く、この層状シリケートのナノオーダーでの分散性の低下が経時での断熱性が低下させる要因であり、特定の手順で層状シリケートを分散させることにより、層状シリケートをナノオーダーで分散させることを可能にし、得られる発泡体が経時においても断熱性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のウレタン系樹脂発泡体の製造方法は、4級アルキルアンモニウム塩で処理された層状シリケートを、ポリオールにあらかじめ分散させてポリオール混合物を得た後、該ポリオール混合物と、ポリイソシアネート化合物と、水と、イソシアネート三量化触媒とを混合してウレタン組成物を調製し、該ウレタン組成物を発泡硬化させることを特徴とする。
【0012】
本発明の製造方法によれば、4級アルキルアンモニウム塩で処理された層状シリケートを、あらかじめポリオールに分散させている。これによって、層状シリケートがウレタン系樹脂にナノオーダーで分散されやすくなり、水を発泡剤として使用した、独立気泡タイプのウレタン系樹脂発泡体で多く見られる、発泡硬化直後からの収縮や経時での断熱性の低下を改善することが可能となる。
【0013】
また、層状シリケートをあらかじめイソシアネートに混合した場合に生じる、層状シリケートに含有する水分とイソシアネートとの反応による発泡性の低下を防止することができる。更には、イソシアネート三量化触媒によって、ウレタン樹脂発泡体に加えてイソシアヌレート樹脂発泡体を形成するので、得られるウレタン系樹脂発泡体の耐熱性及び難燃性を向上させることが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記ポリオール混合物100質量部に対し、前記ポリイソシアネート化合物を50〜500質量部、前記水を0.5〜20質量部含有させ、かつ、前記層状シリケートを、前記ポリオールと前記ポリイソシアネート化合物との合計100質量部に対し、0.5〜10質量部含有させることが好ましい。これによれば、層状シリケートのナノオーダーでの分散によるウレタン系樹脂の充分なガスバリア性が得られるとともに、ポリオール混合物の粘度が上昇することなく、所望する寸法あるいは密度のウレタン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0015】
また、本発明においては、前記ポリオールとして、ポリエステルポリオールを少なくとも含有させることが好ましい。これによれば、層状シリケートのナノオーダーでの分散を容易にさせると同時に、ナノオーダーで分散したポリオール成分の粘度上昇を比較的抑制するので、ウレタン系樹脂発泡体製造時の発泡用組成物の流動性を損なうことがなく、所望する寸法あるいは密度のウレタン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0016】
更に、本発明においては、前記層状シリケートを4級アルキルアンモニウム塩で処理した後に、更にシランカップリング剤で処理して前記ポリオールに分散することが好ましい。これによれば、層状シリケートが、ナノオーダーでポリオールに分散された際に、チキソトロピー性の発現を抑制し、得られるウレタン系樹脂発泡体の生産性を向上させるだけでなく、寸法あるいは密度を均一にすることができる。
【0018】
更に、前記ウレタン組成物に、更に、前記ポリオール100質量部に対して、ノニオン系界面活性剤を0.1〜10質量部含有させることが好ましい。これによれば、層状シリケートの分散の際の粘度上昇を抑制することが可能となり、ウレタン樹脂を形成する際に、発泡前の反応性混合物の流動性を損なうことなく、密度あるいは厚みムラの少ないウレタン系樹脂発泡体を得ることができる。また、ノニオン系界面活性剤は整泡剤としても作用するため、得られるウレタン系樹脂発泡体のセルを均一にし、機械的強度あるいは寸法安定性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明においては、前記ウレタン組成物を30〜80℃で1〜20分保持して発泡硬化させることが好ましい。これによれば、ウレタン系樹脂発泡体の硬化を促進し、ウレタン系樹脂発泡体を効率よく製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。まず、4級アルキルアンモニウム塩で処理された層状シリケートをポリオールに分散させてポリオール混合物を得る。これによって、ウレタン系樹脂発泡体中における上記層状シリケートの分散性を向上させる。本発明においては、ポリオールとイソシアネートと水とを混合して発泡させる前に、あらかじめ前記層状シリケートをポリオールに分散させることが重要である。
【0021】
ポリオールとイソシアネートと水とを混合した後に前記層状シリケートを加えた場合は、層状シリケートがナノオーダーで分散しないため好ましくない。また、前記層状シリケートをあらかじめイソシアネートに混合すると、該層状シリケートに含有する水分や、当該混合時の吸湿によりイソシアネートが前記水分等と反応して発泡性が低下するので好ましくない。
【0022】
ポリオールとしては、OH価が好ましくは100〜1000mgKOH/g、特には200〜800mgKOH/gを有するものが好適である。OH価が100mgKOH/gよりも小さい場合には、得られる発泡体は軟らかく、機械的強度に劣るので好ましくない。一方、OH価が1000mgKOH/gよりも大きい場合には、得られる発泡体は脆く、機械的強度に劣るので好ましくない。
【0023】
本発明で使用されるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等又は、これらにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドのアルキレンオキサイド類を付加重合した化合物類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2官能ポリオール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等、又は、これらにアルキレンオキサイド類を付加重合した3官能ポリオール類、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、糖類等、又は、これらにアルキレンオキサイド類を付加重合した多官能ポリオール類、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等、又はこれらにアルキレンオキサイド類を付加重合したアルカノールアミン類、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂にメチロール基を付加させたノボラック・レゾール型フェノール樹脂、ベンジリックエーテル型フェノール樹脂、フェノール樹脂合成の際にメラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ化合物をフェノール類の一部と置換させたアミノ−フェノール樹脂、又は、これらに多価アルコール類、アルキレンオキサイド類又は、環状アルキレンカーボネート類を付加した変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂類、アクリルポリオール樹脂等が例示できる。これらのポリオールは、単独又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0024】
本発明では、ポリオールとして、ポリエステルポリオール樹脂を使用することが、後述する層状シリケートの分散性を向上させるため好ましい。ポリエステルポリオール樹脂としては、前記2官能、3官能あるいは、多官能ポリオール類と、多塩基酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を縮重合させ、末端あるいは側鎖に水酸基を有するものが挙げられる。ポリエステルポリオール樹脂の分子量等に特に制限はないが、OH価が前記200〜800gKOH/gになるように、水酸基数あるいは分子量が調整されたものがより好ましい。
【0025】
次に、本発明に用いる層状シリケートについて説明する。層状シリケートとは、厚さ約1nm、長さ約100nmのシリケート層が積層された構造を有しており、更に、シリケート層間に、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン等が存在している材料である。
【0026】
具体的には、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロライト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト、バーミキュライト、ハロサイト、あるいはマイカが挙げられる。
【0027】
この層状シリケートは、水等の膨潤剤が上記カチオンと静電和(水和)することより、密に積層された状態から層間距離を広げて膨潤する性質を有している。また、水酸基、アミノ基あるいはカルボキシル基等の活性水素を有する官能基は、シリケート層表面の酸素原子と水素結合を形成するので、上記官能基を有する有機化合物は、上記シリケート層間に挿入(インターカレーション)され易くなる。
【0028】
本発明では、上記膨潤可能な層状シリケートの層上に存在するナトリウム、カリウム、あるいはカルシウムイオン等の交換可能なカチオンを、4級アルキルアンモニウムカチオンとイオン交換させた有機親和性を有する層状シリケートを使用する。
【0029】
上記処理を施した層状シリケートは、層間に有機化合物を挿入させることで、シリケート層間の間隔を広げ易くし、有機樹脂中で剥離したシリケート層がナノメーターオーダーで分散する。
【0030】
4級アルキルアンモニウム塩としては、含まれる4個のアルキル基のうち、少なくとも1個は、炭素数が多いドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、あるいはオクタデシル基を含有するものが好ましく、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、テトラデシルトリメチルアンモニウム塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩、オクタデシルトリメチルアンモニウム塩、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩、ジヘキサデシルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0031】
上記4級アルキルアンモニウム塩の挿入又は付着量は、層状シリケート100質量部に対して、4級アルキルアンモニウムが好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜70質量部である。
【0032】
上記4級アルキルアンモニウム塩の挿入又は付着量が10質量部未満であると有機親和性に乏しく、ポリオール中でナノオーダーにまで分散させる際に、時間を要し、生産性を損なったり、層状シリケートがナノオーダーまでの分散に至らず、本発明が目的とする改善が発現しない場合がある。一方、100質量部を超えると、層状シリケート中のシリケート層上の金属カチオンは、4級アルキルアンモニウムカチオンと充分にイオン交換されているが、余剰の4級アルキルアンモニウム塩が残存する場合があり、不経済となるので好ましくない。
【0033】
なお、このような4級アルキルアンモニウム塩による処理は、層状シリケートを適度の濃度の4級アルキルアンモニウム塩水溶液中に分散させ、膨潤させた状態で攪拌し、水分を揮発させるような処理方法によって行なうことができる。また、シリケート層が、有機材料中でナノオーダーで分散しているかどうかは、小角X線散乱等の分析機器で測定することができる。また、上記の4級アルキルオニウム塩で処理された層状シリケートは市販されており、本発明ではこのような層状シリケートを使用しても構わない。
【0034】
本発明において、層状シリケートは、4級アルキルアンモニウム塩で処理した後に、更にシランカップリング剤で処理したものを使用することで、該混合物の粘度の上昇、粘性の変化、チキソトロピー性の発現による発泡用混合物の発泡前の流動性の低下を抑え、所望の寸法や密度のウレタン系樹脂発泡体が得られるためより好ましい。
【0035】
これによって、層状シリケートに対して、4級アルキルアンモニウムイオンは層間に挿入され、有機樹脂中でシリケート層の間隔を広げ、樹脂の挿入を容易にする一方、シランカップリング剤はシリケート層の端部に存在するシラノール基(SiOH)と作用し、樹脂中に分散されたシリケート層の凝集を抑制するものと考えられる。
【0036】
本発明で使用するシランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、N−β(2−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(2−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミンプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリルシラン類、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、あるいはγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が例示できる。なかでも、本発明ではアミノシラン類を使用することがより好ましい。
【0037】
本発明では、層状シリケート全質量に対して、シランカップリング剤が0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%付着するように処理することが好ましい。シランカップリング剤の付着量が0.1質量%未満であると、ポリオール中での層状シリケートの凝集を抑制する効果が少ない。一方、該付着量が5質量%を超えると、層状シリケートの凝集を抑制する効果は発現するものの、それ以上の改善効果が観察されず、逆に不経済となるので好ましくない。
【0038】
次に、本発明においては、上記の処理された層状シリケートを、上記のポリオール中に分散させてポリオール混合物を得る。層状シリケートをポリオールに分散させる方法としては、ディゾルバー、あるいはホモジナイザー等を使用することが好適である。
【0039】
処理された層状シリケートの含有量としては、ポリオール及びポリイソシアネート化合物の合計100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
【0040】
処理された層状シリケートの含有量が0.5質量部未満であると、層状シリケートのナノオーダーでの分散によるウレタン系樹脂の充分なガスバリア性が得られず、経時における断熱性が低下する場合がある。一方、該含有量が10質量部を超えると、ウレタン系樹脂のガスバリア性が向上し、得られるウレタン系樹脂発泡体の収縮、あるいは断熱性の経時劣化の抑制が観察されるものの、一部の層状シリケートがナノオーダーまでの分散に至らず、単にフィラーとして作用し、ポリオールとの混合物の粘度が上昇するので、所望する寸法、形状、あるいは密度のウレタン系樹脂発泡体が得られない場合がある。
【0041】
本発明では、ポリオール100質量部に対して、ノニオン系界面活性剤類から選択される少なくとも1種を0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部添加させることが好ましい。ノニオン系界面活性剤は、前記シランカップリング剤同様、ポリオール中に分散された層状シリケートの凝集を抑制すると同時に、発泡時には整泡剤として作用して、得られるウレタン系樹脂発泡体のセルサイズを均一にするので、機械的強度、あるいは寸法安定性が向上する。
【0042】
ノニオン系界面活性剤の含有量が0.1質量部未満であると、層状シリケートを分散させたポリオール成分の粘度低減の効果が乏しく、逆に、10質量部を超えると、得られる発泡体の耐水性を損なう場合があり、好ましくない。
【0043】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のソルビタンエステル類、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ポリプロピレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジオレート等のポリオキシアルキレングリコールエステル類、上記以外のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンフェニルエステル類、ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等が例示できる。
【0044】
次に、本発明の製造方法においては、上記のポリオール混合物に、ポリイソシアネート化合物と、水とを混合してウレタン組成物を得る。
【0045】
本発明で使用するポリイソシアネート化合物は、一般のウレタン系樹脂発泡体に使用するものでよく、その種類についても、特に限定されるものではない。ポリイソシアネート化合物の例としては、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類、及び、上記ポリイソシアネート化合物とポリオール類を反応させた、イソシアネート基を有するプレポリマー化合物、または、イソシアネート化合物を三量体化させた、イソシアネート基を有するイソシアヌレート化合物等が例示できる。これらは、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
本発明におけるポリイソシアネート化合物の含有量は、特に限定されないが、ポリオール100質量部に対し、好ましくは50〜500質量部、より好ましくは100〜300質量部である。このような範囲でポリイソシアネート化合物を使用する場合、ポリイソシアネート化合物の有するイソシアネート基のポリオール成分中の活性水素に対する当量比が、好ましくは1.0〜15.0、より好ましくは1.0〜5.0とになるようにする。
【0047】
本発明で使用する水は、ポリイソシアネート化合物と反応して二酸化炭素を発生させる発泡剤として機能する。水の含有量は、ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部である。水の含有量が、0.5質量部未満であると、発生する発泡ガス量が樹脂量に対して過度に少なく、発泡時に密度ムラができやすくなり、均一な発泡体が得られない場合がある。逆に、20質量部を超えると、ポリマー骨格中の尿素結合が多くなり、得られるウレタン系樹脂発泡体の寸法安定性、又は機械的強度を損なうばかりか、発泡の際に、樹脂量に対して発泡ガス量が多くなり、大きなボイドが発生しやすくなり、均質な発泡体が得られない場合があるので好ましくない。
【0048】
上記のウレタン組成物には、更に、イソシアネート三量化触媒を含有させることも好ましい。これによって、上記のポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させたウレタン樹脂発泡体に加えて、イソシアネート基の三量化触媒存在下で反応させたイソシアヌレート樹脂発泡体を形成するので、耐熱性、難燃性及び剛性に優れたウレタン系樹脂発泡体とすることができる。なお、本発明においてウレタン系樹脂発泡体とは、ウレタン樹脂発泡体単独のみならず、上記のようなウレタン樹脂発泡体とイソシアヌレート樹脂発泡体との混合体を含むものとする。
【0049】
上記のウレタン樹脂発泡体のみを所望する場合には、ポリオールに対するポリイソシアネート化合物の当量比をほぼ1.0に制御することが好ましいが、イソシアヌレート樹脂発泡体を形成させる場合は、イソシアネート基の三量化触媒を存在させるとともに、上記の当量比を1.5〜15.0になるよう制御することが好ましい。
【0050】
なお、イソシアヌレート化は、得られるウレタン系樹脂発泡体を脆化させる傾向にあるので、ウレタン系樹脂発泡体の用途に合わせ、イソシアネート三量化触媒の添加量は適宜調整することが好ましい。イソシアネート三量化触媒の含有量は、ポリイソシアネート化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
【0051】
イソシアネート三量化触媒の好ましい例としては、例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム等の金属酸化物類、メトキシ魔トリウム、エトキシナトリウム、プロポキシナトリウム、ブトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシカリウム、プロポキシカリウム、ブトキシカリウム等のアルコキシド類、酢酸カリウム、オクテン酸カリウム、シュウ酸鉄等の有機金属塩類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N',N"−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類、エチレンイミンの誘導体、及びアルカリ金属、アルミニウム、又は、遷移金属類のアセチルアセトンのキレート類が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0052】
本発明のウレタン系樹脂発泡体の製造においては、上記のウレタン組成物に、更に必要に応じて、ウレタン化触媒、水−イソシアネート基の反応を促進する泡化触媒、難燃剤等を使用することができる。
【0053】
本発明で使用される上記ウレタン化触媒の好ましい具体例としては、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオレイルマレート、ジブチルスズジブチルマレート、ジブチルスズアセチルアセテート、1,1,3、3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、オクチル酸スズ、ステアリン酸スズ、オクチル酸ビスマス、ビスマスバーサテイト等の有機金属化合物等が挙げられる。
【0054】
これらのウレタン化触媒は、種類及び含有量を適宜調整することにより、所望の硬化速度が得られる。ウレタン化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
【0055】
本発明で使用される上記泡化触媒としては、アミン系触媒が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン等のモノアミン類、ピリジン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン等の環状モノアミン類、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサンジアミン、メチレン−ビス(ジメチルシクロヘキシルアミン)、N,N,N',N'−テトラエチルエチレンジアミン等のジアミン類、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N',N',N"−ペンタメチルジプロピレントリアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)−フェノール等のトリアミン類、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルエーテル、4,4'−オキシジメチレンジモルフォリン等のエーテルジアミン類、トリエチレンジアミン、N,N'−ジメチルピペラジン、N,N'−ジエチルピペラジン、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ブトキシ−2−メチルイミダゾール等の環状ポリアミン類、N,N,N'−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N'−トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)エタノール、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−トリメチル−1,3−ジアミノ−2−プロパノール、N−メチル−N'−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン等のアルカノールアミン類等が挙げられる。
【0056】
上記のうち、特にビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールの使用が好ましい。
【0057】
本発明においては、発泡硬化時の流動性の調整や経済的効果のための無機充填材や、得られるウレタン系樹脂発泡体の難燃性向上のために難燃剤等を使用しても良く、このような充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカ、シリカフューム、ケイ砂、パーライト等、難燃剤としては、リン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物を挙げることができ、これらの充填材や難燃剤は、必要に応じ、種類と量を設定し、ディゾルバー、ニーダー、ミキシングロール等により、ポリオール類に混合して使用することができる。
【0058】
本発明のウレタン系樹脂発泡体の製造に際しては、上記のポリオール混合物中のポリオール及び水が、ポリイソシアネート化合物と常温下で反応を開始するので、あらかじめ、ポリオール混合物、水、更には、必要に応じて、水−イソシアネート反応促進触媒、イソシアネート三量化触媒、整泡剤、ウレタン化触媒、無機充填材、及び難燃剤を混合し、その後、発泡硬化させる直前にポリイソシアネート化合物と混合してウレタン組成物とすることが好ましい。
【0059】
上記ウレタン組成物は、常温下で反応を開始することができ、混合してまもなく、イソシアネート化合物と水が反応して、発泡ガスである二酸化炭素を放出し、同時にポリオールと反応し、ウレタン系樹脂発泡体を形成していく。
【0060】
そして、従来の水を発泡剤とするウレタン系樹脂発泡体においては、水とポリイソシアネート化合物との反応により生じる発泡ガスである二酸化炭素が、発泡体セル壁を容易に通過して、セル内が減圧されてウレタン系樹脂発泡体が収縮する問題や、空気よりも熱伝導率の低い二酸化炭素が発泡体外に拡散し、セル内に空気が侵入することにより生じる経時で断熱性が低下する問題がある。
【0061】
しかし、本発明の方法によって得られたウレタン系樹脂発泡体においては、ウレタン系樹脂中に層状シリケートがナノオーダーで均一に分散されるので、これによるガスバリア性向上により、上記の断熱性の経時的な低下を改善することができる。
【0062】
上記のウレタン組成物を混合して吐出、射出する装置としては、通常のウレタン樹脂発泡体やフェノール樹脂発泡体等の製造に用いられるような多成分混合機と呼ばれる混合装置を使用するのが好適である。
【0063】
更に、本発明のウレタン系樹脂発泡体の硬化を促進させるために、加熱することが好ましく、30〜80℃の雰囲気下で1〜20分保持させることにより、本発明のウレタン系樹脂発泡体を効率よく製造することが可能となる。
【0064】
また、本発明によって得られるウレタン系樹脂発泡体を所望の形状に成形する方法としては、所望の大きさ及び形の型に、上記のウレタン組成物を注入して発泡硬化させる注入発泡法や、平面上にウレタン組成物を流し、このウレタン組成物がゲル化する前にドクターブレード等で発泡硬化途中の混合物表面を掻いて所定の厚さとして硬化させる、スラブ発泡法を採用することができる。
【0065】
なお、本発明によって得られたウレタン系樹脂発泡体は、従来のウレタン系樹脂発泡体と同様の用途に使用できる。例えば、スラブ発泡法で得られた発泡体を切り出して、所望の形状にした壁外貼り断熱材や、床下断熱材等の住宅等の建築物に用いられる板状断熱材等の用途に用いることができ、また、注入発泡法によって、外装用あるいは屋根用の金属サンドイッチパネルの芯材、あるいは配管等の保温筒等とすることもできる。
【0066】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、「部」及び「%」はそれぞれ質量基準である。
【0067】
(実施例1)
ジメチルステアリルベンジルアンモニウムクロライド水溶液でモンモリロナイトを処理して水分を揮発させ、更に1000℃での強熱減量が36%の有機モンモリロナイトを得た。
【0068】
OH価170mgKOH/gのジエチレングリコールとオルトフタル酸からなる芳香族ポリエステルポリオール80質量部、OH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールに水酸基1モルに対してプロピレンオキサイド3モル付加したポリオール20質量部に、上記の有機モンモリロナイト6.7質量部を混合し、ディゾルバーで2時間撹拌し、有機モンモリロナイトをポリオール中に分散させた。
【0069】
更に、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル1.0質量部、ウレタン化触媒として、ジブチルスズジアセテート1.0質量部、整泡剤として、ポリジメチルシロキサンエチレンオキサイド付加物2.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製フェニルメタンジイソシアネート123質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0070】
直ちに、この反応性混合物144gを300mm×300mm×50mmの離型紙を施した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、40℃の加熱炉で10分間保持することにより、密度32kg/m3のウレタン系樹脂発泡体を得た。
【0071】
(実施例2)
実施例1で使用した有機モンモリロナイトを分散したポリオール(量も実施例1と同様)に、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール1.0質量部、イソシアネート三量化触媒として、N,N',N"−トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロトリアジン3.0質量部、ウレタン化触媒として、ステアリン酸スズ1.0質量部、整泡剤として、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート204.3質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0072】
直ちに、この混合物162gを300mm×300mm×50mmの離型紙を施した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、70℃の加熱炉で10分間保持することにより、密度36kg/m3のウレタン系樹脂発泡体を得た。
【0073】
(実施例3)
テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液で実施例1のモンモリロナイトを処理して水分を揮発させ、更に1000℃での強熱減量が25%の有機モンモリロナイトを得た。
【0074】
OH価650mgKOH/gのレゾール型フェノール樹脂40質量部、OH価214mgKOH/gのソルビトールの水酸基1モルに対して、4モルのプロピレンオキサイドを付加したポリオール60質量部に、ソルビタンモノステアレート2質量部を添加した後、上記の有機モンモリロナイト6.8質量部を混合し、ディゾルバーで2時間撹拌し、有機モンモリロナイトをポリオール中に分散させた。
【0075】
更に、このポリオール混合物に、水5質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン0.5質量部、ウレタン化触媒として、ジブチルスズジブチルマレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート173.2質量部を添加して,反応性の混合物を得た。
【0076】
この反応性混合物を実施例1と同条件にて、密度32kg/m3のウレタン系樹脂発泡体を得た。
【0077】
(実施例4)
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド水溶液で実施例1のモンモリロナイトを処理して水分を揮発させ、更に1000℃での強熱減量が38%の有機モンモリロナイトを得た。
【0078】
上記の有機モンモリロナイトに、2%N−β(2−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン水溶液100質量部をスプレーにて塗布し、充分にアミノシラン水溶液が行き渡るように混練した後、100℃にて8時間加熱して、アミノシラン処理を施した有機モンモリロナイトを得た。
【0079】
OH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールに水酸基1モルに対して、プロピレンオキサイド3モル付加したポリオール80質量部、OH価130mgKOH/gのポリプロピレングリコール15質量部、OH価950mgKOH/gの1,6−ヘキサンジオール5質量部に、上記アミノシラン処理有機モンモリロナイト16.3質量部を混合し、ディゾルバーにて1時間撹拌し、上記有機モンモリロナイトをポリオール中に分散させた。
【0080】
更に、水6質量部、水−イソシアネート反応促進触媒及びウレタン化触媒として、トリエチレンジアミン2.0質量部、イソシアネート三量化触媒として、オクテン酸カリウム2.0質量部、整泡剤として、ポリエチレングリコールジステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート308質量部を添加して、反応性の混合物を得た。
【0081】
直ちに、この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型紙を施した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、70℃の加熱炉に10分間保持することにより、密度40kg/m3のウレタン系樹脂発泡体を得た。
【0082】
(比較例1)
有機モンモリロナイトを除いた以外は、実施例1と同様の所作を行い、密度32kg/m3のウレタン系樹脂発泡体を得た。
【0083】
(比較例2)
有機モンモリロナイトを、共雑物を除去した天然Na−モンモリロナイトに替えた以外は、実施例1と同様の所作を行い、密度32kg/m3のウレタン系樹脂発泡体を得た。
【0084】
(比較例3)
ジメチルステアリルベンジルアンモニウムクロライド水溶液で実施例1のモンモリロナイトを処理して水分を揮発させ、更に1000℃での強熱減量が35%の有機モンモリロナイトを得た。
【0085】
OH価270mgKOH/gのペンタエリスリトールに水酸基1モルに対して、プロピレンオキサイド3モル付加したポリオール80質量部、OH価170mgKOH/gのジエチレングリコールとオルトフタル酸からなる芳香族ポリエステルポリオール20質量部に、水5質量部、水−イソシアネート反応促進触媒として、N,N,N',N'−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン0.5質量部、ウレタン化触媒として、ジブチルスズジブチルマレート1.0質量部、イソシアネート酸量化触媒として、オクテン酸カリウム2.0質量部、整泡剤として,ソルビタンモノステアレート1.0質量部を混合したものを撹拌しながら、NCO当量135g/eqの粗製ジフェニルメタンジイソシアネート225質量部、及び、上記の有機モンモリロナイト8.2質量部を添加して反応性の混合物を得た。
【0086】
直ちに、この反応性混合物180gを300mm×300mm×50mmの離型紙を施した金属枠に注入して、上下面を狭圧して、70℃の加熱炉に10分間保持して、密度40kg/m3のウレタン系樹脂発泡体を得た。
【0087】
試験例
(シリケート層の分散)
実施例1〜4及び比較例2、3で得られたウレタン系樹脂発泡体を粉砕して加圧して50mm角の試験片を作成し、X線により、シリケート層の積層状態を観察した。また、小角X線散乱(1〜10°)にてシリケート層の底面間隔(Å)を測定した。
【0088】
(寸法安定性)
50×50×50mmに切り出した実施例1〜4及び比較例1〜3の試験片を、25℃、90℃、60℃×95%RHの常温、高温、湿熱環境下に48時間放置し、体積変化率を測定した。
【0089】
(断熱性)
250×250×25mmに切り出した実施例1〜4及び比較例1〜3の試験片を、発泡硬化後24時間及び3ヶ月間25℃60%RHの環境下で放置した後、熱流計法にて、熱伝導率を測定した。
【0090】
上記の評価結果をまとめて表1及び表2に示す。また、図1に、実施例1及び比較例3の小角X線散乱のチャートを示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
表1、2、図1より、実施例1〜4のウレタン系樹脂発泡体では、小角X線散乱の評価より、層状シリケートの結晶性ピークが観察されず、シリケート層がナノオーダーで分散されていることがわかる。
【0094】
また、表1、2より、実施例1〜4のウレタン系樹脂発泡体では、ウレタン系樹脂発泡体の寸法安定性及び断熱性の経時変化が、比較例1と比較して改善されていることがわかる。
【0095】
また、比較例2で示したように、4級アルキルアンモニウム塩で処理していない層状シリケートを使用した場合、充分に撹拌を行っても、シリケート層がナノオーダーにまで分散されておらず、得られるウレタン系樹脂発泡体の物性の改善が観察されない。
【0096】
更に、比較例3で示したように、4級アルキルアンモニウム塩で処理された層状シリケートでも、あらかじめポリオールに分散せず、発泡直前に反応性混合物に添加した場合には、シリケート層がナノオーダーにまで分散されておらず、比較例2と同様の結果を示すことがわかる。
【0097】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、得られるウレタン系樹脂発泡体中で、層状シリケートを構成するシリケート層をナノオーダーにまで分散することができるので、従来の水を発泡剤としたウレタン系樹脂発泡体で見られた、収縮等の寸法変化や経時での断熱性の低下を抑制したウレタン系樹脂発泡体が得られる。したがって、本発明の方法で得られたウレタン系樹脂発泡体は、建築物の断熱材、各種パネル芯材、又は配管の保温筒等に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例における小角X線散乱の測定結果を示す図表であって、(a)実施例1、(b)比較例3の測定データである。
Claims (6)
- 4級アルキルアンモニウム塩で処理された層状シリケートを、ポリオールにあらかじめ分散させてポリオール混合物を得た後、該ポリオール混合物と、ポリイソシアネート化合物と、水と、イソシアネート三量化触媒とを混合してウレタン組成物を調製し、該ウレタン組成物を発泡硬化させることを特徴とするウレタン系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記ポリオール混合物100質量部に対し、前記ポリイソシアネート化合物50〜500質量部と、前記水0.5〜20質量部とを含有させ、かつ、前記層状シリケートを、前記ポリオールと前記ポリイソシアネート化合物との合計100質量部に対し、0.5〜10質量部含有させる請求項1に記載のウレタン系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記ポリオールとして、ポリエステルポリオールを少なくとも含有させる請求項1又は2に記載のウレタン系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記層状シリケートを4級アルキルアンモニウム塩で処理した後に、更にシランカップリング剤で処理して前記ポリオールに分散させる請求項1〜3のいずれか1つに記載のウレタン系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記ウレタン組成物に、更に、前記ポリオール100質量部に対して、ノニオン系界面活性剤を0.1〜10質量部含有させる請求項1〜4のいずれか1つに記載のウレタン系樹脂発泡体の製造方法。
- 前記ウレタン組成物を30〜80℃で1〜20分保持して発泡硬化させる請求項1〜5のいずれか1つに記載のウレタン系樹脂発泡体の製造方法。
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