JP2004315579A - 水発泡性ポリウレタン組成物、硬質ポリウレタンフォームおよびその製造法 - Google Patents
水発泡性ポリウレタン組成物、硬質ポリウレタンフォームおよびその製造法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004315579A JP2004315579A JP2003107962A JP2003107962A JP2004315579A JP 2004315579 A JP2004315579 A JP 2004315579A JP 2003107962 A JP2003107962 A JP 2003107962A JP 2003107962 A JP2003107962 A JP 2003107962A JP 2004315579 A JP2004315579 A JP 2004315579A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyol
- water
- foam
- parts
- polyurethane foam
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
Abstract
【課題】独立気泡率が高くかつフォームの収縮が著しく低い硬質水発泡ポリウレタンフォームの提供。
【解決手段】ポリオール、有機珪素系樹脂、シリコン系整泡剤、イソシアネート、触媒および水を含んでなる硬質ポリウレタンフォーム形成のための水発泡性ポリウレタン組成物であって、前記ポリオールに対する前記有機珪素系樹脂の量および前記ポリオールに対する前記シリコン系整泡剤の量が制御されたものであって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成可能なものであることを特徴とする、水発泡性ポリウレタン組成物。
前記の水発泡性ポリウレタン組成物から形成されたものであることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム。
ポリオール、前記ポリオールに対して制御された量の有機珪素系樹脂、前記ポリオールに対して制御された量のシリコン系整泡剤、水およびイソシアネートを、触媒の存在下で反応させることによって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成させることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造法。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリオール、有機珪素系樹脂、シリコン系整泡剤、イソシアネート、触媒および水を含んでなる硬質ポリウレタンフォーム形成のための水発泡性ポリウレタン組成物であって、前記ポリオールに対する前記有機珪素系樹脂の量および前記ポリオールに対する前記シリコン系整泡剤の量が制御されたものであって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成可能なものであることを特徴とする、水発泡性ポリウレタン組成物。
前記の水発泡性ポリウレタン組成物から形成されたものであることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム。
ポリオール、前記ポリオールに対して制御された量の有機珪素系樹脂、前記ポリオールに対して制御された量のシリコン系整泡剤、水およびイソシアネートを、触媒の存在下で反応させることによって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成させることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン組成物、それから形成されたポリウレタンフォーム、およびその製造法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、発泡剤として水を使用するポリウレタン組成物、このポリウレタン組成物から形成された独立気泡率が高くかつ収縮が抑制された硬質ポリウレタンフォーム、およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、硬質ポリウレタンフォームは数々の用途に用いられている。例えばその優れた断熱性および保温性を利用して住宅用建材等に用いられている。
【0003】
従来、断熱性の優れたポリウレタンフォームの製造には、発泡剤としてハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類が使用されてきた。しかし、このHCFCは、オゾン層保護規制のためにその使用が制限されるようになってきている。
【0004】
そこで、他の発泡剤として、炭化水素系、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類を使用するポリウレタンフォームの製造する方法が提案されている。しかし、炭化水素系の発泡剤は可燃性であるために製造設備を防爆仕様へ変更する必要があり、またHFC類は地球温暖化係数が大きいという点で問題がある。
【0005】
このことから、発泡剤として水を用いるポリウレタンフォームの製造法が提案されている。この方法は、水を発泡剤として使用するものであることから、安全性および環境保護の点で極めて好ましいものと言える。
【0006】
このような水を発泡剤として用いて得られた硬質ポリウレタンフォームは、一般に、フォームとしたあとの収縮量が大きくて、形状ないし寸法安定性等が不足するという運用面で支障があった。ポリウレタンフォームの収縮は、主としてフォームの独立気泡内に封入された発泡剤ガスが揮散し、気泡内のガス圧が低下してその体積が減少することによって、生じるものと考えられている。そこで、気泡を独立気泡ではなく連続気泡として連通させ、周囲部の空気をフォーム内部に流入させて気泡の内部圧を大気圧にすることによって、フォームの収縮を防止ないし低減することが行われている。
【0007】
しかし、このような連続気泡を有するポリウレタンフォームは、外部から水ないし湿気がフォーム内部に浸透する場合があり、またフォームのガス保持力の低下により独立気泡のものに比べて断熱性および保温性が低下する場合があった。そこで、独立気泡率が高く、透湿抵抗値が高く維持された硬質ポリウレタンフォームが求められている。
【0008】
独立気泡率をある程度維持しながらポリウレタンフォームの収縮を抑える方法としては、シリカ粉末を添加する方法(特開平8−157709号公報)および有機珪素樹脂を添加する方法(特開2000−95865号公報)が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−157709号公報
【特許文献2】
特開2000−95865号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの技術でも、ポリウレタンフォームの収縮防止と高独立気泡率の両立は未だ充分にはなされていないようである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、独立気泡率が高くかつフォームの収縮が著しく低い硬質水発泡ポリウレタンフォームを提供するものである。
【0012】
従って、本発明による水発泡性ポリウレタン組成物は、ポリオール、有機珪素系樹脂、シリコン系整泡剤、イソシアネート、触媒および水を含んでなる硬質ポリウレタンフォーム形成のための水発泡性ポリウレタン組成物であって、前記ポリオールに対する前記有機珪素系樹脂の量および前記ポリオールに対する前記シリコン系整泡剤の量が制御されたものであって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成可能なものであること、を特徴とするものである。
【0013】
この水発泡性ポリウレタン組成物は、好ましくは、ポリオール100重量部に対する有機珪素系樹脂の部数をa重量部、ポリオール100重量部に対するシリコン系整泡剤の部数をb重量部としたとき、a=0.2〜1.2、b=1.1〜2.3、a/b=0.2〜0.6であり、かつ、a+b=1.3〜3.5であることができる。
【0014】
また、この本発明による水発泡性ポリウレタン組成物において、前記有機珪素系樹脂を、R1 3SiO1/2、R2SiO3/2およびSiO4/2(ここで、R1は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す)を構成単位とするものとすることができる。
【0015】
そして、この本発明による水発泡性ポリウレタン組成物において、前記ポリオールを、10重量部以上のアミン系ポリオールからなるものとすることができる。
【0016】
また、本発明による硬質ポリウレタンフォームは、前記の水発泡性ポリウレタン組成物から形成されたものであること、を特徴とするものである。
【0017】
そして、本発明による硬質ポリウレタンフォームの製造法は、ポリオール、前記ポリオールに対して制御された量の有機珪素系樹脂、前記ポリオールに対して制御された量のシリコン系整泡剤、水およびイソシアネートを、触媒の存在下で反応させることによって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成させること、を特徴とするものである。
【0018】
なお、本発明における硬質ポリウレタンとは、硬度が、ASKER製硬度計(タイプCS)で50以上のポリウレタンをいう。
【0019】
【発明の実施の形態】
<ポリオール>
本発明におけるポリオールは、本発明の趣旨に反しない限り、従来からこの種の硬質ポリウレタンフォームの製造に際して用いられてきたものを使用することができる。例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを使用することができる。
【0020】
ポリエーテルポリオールは、好適には、酸化アルキレン(好ましくは、酸化エチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン等)と、活性水素含有多官能性化合物(例えばアルコールまたはアミン等)との反応によって製造することができる。ここで、アルコールの好ましい具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ショ糖等を例示することができ、アミンの好ましい具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、トルエンジアミン等を例示することができる。
【0021】
また、ポリエステルポリオールは、好適には、多価カルボン酸またはその誘導体と、多価ヒドロキシル化合物との反応によって製造することができる。ここで、多価カルボン酸またはその誘導体の好ましい具体例としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸等を例示することができ、多価ヒドロキシル化合物の好ましい具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、トリエチロールプロパン等を例示することができる。
【0022】
また、本発明におけるポリオールは、多価アルコール(好ましくは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトールなどを含むことができる。
【0023】
本発明において好ましいポリオールは、ポリエーテルポリオール、特にポリ(オキシアルキレン)ポリオールである。
【0024】
本発明におけるポリオールとして使用可能な市販品としては、例えば、「トーホーポリオールO−850」(OH価380)、「トーホーポリオールQ−590」(OH価380)、「トーホーポリオールPB−338」(OH価330)、「トーホーポリオールPE−555」(OH価400)を例示することができる(いずれも、東邦化学社製)。
【0025】
本発明において、ポリオールは単独でまたは必要に応じて混合して用いることができる。本発明では、アミン系ポリオールを、ポリオールの全量(100重量部)に対して10重量部以上、好ましくは20重量部以上、特に好ましくは30重量部以上、とすることができる。好ましいアミン系ポリオールの具体例としては、エチレンジアミン、トルエンジアミンを例示することができる。
【0026】
本発明では、アミン系ポリオールを上記の量で使用することにより、独立気泡性および成形性を向上させることができる。
【0027】
<有機珪素系樹脂>
本発明による水発泡性ポリウレタン組成物は、必須成分として有機珪素系樹脂を含むものである。本発明では、水発泡性ポリウレタン組成物に配合可能であり、かつこれから形成される硬質ポリウレタンフォームの諸特性の向上ないし維持に有利に作用する各種の有機珪素系樹脂を対象とすることができる。
【0028】
そのような有機珪素化合物としては、R1 3SiO1/2、R2SiO3/2およびSiO4/2を構成単位とするものを挙げることができる。ここで、R1は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。R1としては炭素数1〜4のものが好ましく、R2としは炭素数1〜6のものが好ましい。
【0029】
このような有機珪素化合物は、(イ)Si(OR3)4で示されるシラン化合物またはその加水分解物と、(ロ)R2Si(OR4)3で示されるシラン化合物またはその加水分解物と、(ハ)R1 3SiXで示されるシラン化合物との混合物を、▲1▼酸で平衡化させる工程、▲2▼この平衡化反応生成物に水を添加して加水分解反応を行う工程、▲3▼この加水分解反応生成物にアルカリ水を添加して縮合反応を行う工程、を実施することによって製造することができる(上記において、R3は炭素数1〜6の一価炭化水素基を、R2は炭素数1〜20の一価炭化水素基を、R4は炭素数1〜6の一価炭化水素基を、Xは−OH基、−OSiR1基または加水分解性基を、それぞれ示す)。
【0030】
このような有機珪素系樹脂自体は公知であって、その詳細は例えば特開2000−9565号公報に開示されている通りある。本発明では、そこに記載された有機珪素系樹脂を使用することができる。
【0031】
<シリコン系整泡剤>
本発明におけるシリコン系整泡剤は、従来からこの種の硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられてきたもの、例えばポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体を用いることができる。本発明において使用可能な市販品としては、信越化学工業製 F501等を例示することができる。
【0032】
<有機珪素系樹脂およびシリコン系整泡剤の配合量>
本発明において、有機珪素系樹脂およびシリコン系整泡剤の配合量は、それぞれ、下記の条件を満たすようにすることが好ましい。
ポリオール100重量部に対する有機珪素系樹脂の部数をa重量部とし、ポリオール100重量部に対するシリコン系整泡剤の部数をb重量部としたとき、
a=0.2〜1.2、b=1.1〜2.3、a/b=0.2〜0.6、a+b=1.3〜3.5、
望ましくは、a=0.3〜1.1、b=1.2〜2.2、a/b=0.25〜0.53、a+b=1.5〜3.25、
更に望ましくは、a=0.4〜0.93、b=1.25〜2.15、a/b=0.32〜0.44、a+b=1.65〜3.08。
【0033】
有機珪素系樹脂およびシリコン系整泡剤の配合量がこれらの条件を満たすことによって、収縮防止と高独立気泡率の両立が高度に達成された、硬質水発泡ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0034】
このように有機珪素系樹脂の配合量およびシリコン系整泡剤の配合量を所定の範囲内とすることに加えて、さらに両者の合計量ならびに両者の配合量比を所定の範囲内にすることによって、独立気泡率が高くかつ収縮性が著しく抑制された硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0035】
<イソシアネート>
本発明におけるイソシアネートも、従来からこの種の硬質ポリウレタンフォームの製造に際して用いられてきたものを用いることができ、各種の芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物等を用いることができる。例えば、(i)2,4‐トルイレンジイソシアネート、2,6‐トルイレンジイソシアネートおよびこれらの混合物、(ii)ポリフェニルポリメチレンポリイソチアネート、(iii)変性ポリイソシアネート、例えばカルボイミド、ウレタン、イソシアヌレート基などを有するもの、等を用いることができる。本発明では、特にポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0036】
イソシアネートの使用量は、ポリオール100重量部に対して152〜217重量部、好ましくは164〜196重量部、特に好ましくは169〜189重量部である。イソシアネートの使用量が152重量部未満ではウレタンフォームの強度が不十分であり、一方217重量部超過では高密度となり好ましくない。
本発明において使用可能な市販品としては、BASF INOACポリウレタン製 ルプラネートM−20Sを例示することができる。
【0037】
<触媒>
触媒としては、ポリオールの活性水素とイソシネート基との反応を促進する作用その他を有するものとして、各種の触媒化合物を使用することができる。例えば、(i)アミン化合物、例えばトリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、(ii)有機金属化合物、例えば、塩化第一スズ、ジブチルチンラウレート、を挙げることができる。本発明において特に好ましい触媒は、トリメチルアミノエチルピペラジン、ペンタメチルジエチルトリアミンである。
【0038】
本発明において使用可能な市販品としては、花王製 カオライザー NO3、花王製 カオライザー NO8を例示することができる。
触媒の使用量は、ポリオール100重量部に対して0.6〜1.1重量部、好ましくは0.7〜1.0重量部、特に好ましくは0.8〜0.9重量部である。触媒の使用量が0.6重量部未満では強度が不十分であり、一方1.1重量部超過では高密度、不均一なフォームとなることから好ましくない。
【0039】
<発泡剤>
本発明おいて用いられる発泡剤は水である。本発明は、水を発泡剤として使用するものであることから、安全性および環境保護の点で極めて好ましいものである。
【0040】
発泡剤の使用量は、ポリオール100重量部に対して4〜10重量部、好ましくは5〜9重量部、特に好ましくは6〜8重量部、である。発泡剤の使用量が4重量部未満では不均一な発泡であり、一方10重量部超過では独立気泡率が低下することから好ましくない。
【0041】
<他の成分(任意成分)>
本発明による水発泡性ポリウレタン組成物には、必要に応じて各種成分、例えば、難燃剤、安定剤、着色剤、反応遅延剤、抗菌剤、界面活性剤等を配合することができる。そのような成分の具体例としてはクロロプロピルフォスフェート等の難燃剤を挙げることができる。
【0042】
<硬質ポリウレタンフォームの製造法>
本発明による硬質ポリウレタンフォームの製造法は、ポリオール、前記ポリオールに対して制御された量の有機珪素系樹脂、前記ポリオールに対して制御された量のシリコン系整泡剤、水およびイソシアネートを、触媒の存在下で反応させることによって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成させること、を特徴とするものである。
【0043】
このような本発明による硬質ポリウレタンフォームの製造法は、常法に従って行うことができる。例えば、各成分を別々にあるいは二成分以上の混合物(上記の必須成分および任意成分の全成分の混合物を含む)を、一度にあるいは複数回にわたって、製造装置に導入することによって製造することができる。発泡も密閉装置内で実施することもできるし、密閉装置外で行うことができる。
【0044】
主原料としてのポリオールに有機珪素系樹脂、シリコン系整泡剤、水、触媒および他成分(例えば難燃剤)等の副原料を混合した混合物を一方の原液とし、これとイソシアネートを主体としたもう一方の原液を用意し、これらの両原液を混合することによって製造することができる。
【0045】
また、面材(例えば、石膏ボード、合板、合成樹脂材、金属、紙など)の表面上に、本発明による水発泡性ポリウレタン組成物の押出し、そこでフォームの形成を行ってラミネートボードを製造することも可能である。
【0046】
<硬質ポリウレタンフォーム>
上記の水発泡性ポリウレタン組成物から形成された本発明による硬質ポリウレタンフォームは、独立気泡率が70%以上であり、かつ、寸法変化率が±1%以内の硬質ポリウレタンフォームを容易に製造することができるものである。
【0047】
ここで、独立気泡率および寸法変化率は、下記の発泡方法により得られたサンプルを、下記方法に従って評価したのものである。
【0048】
発泡方法
ポリオール成分系混合物とイソシアネートを所定量ビーカーにとり、特殊機化工業(株)製T.Kホモデイスパーを用い5000rpmにて5秒間攪拌・混合を行う。45℃に加熱した厚み50mm、幅250mm、長さ2000mmのアルミ製の型に、型に完全には充填しない量を注入し、10分間保持した後、型より取り出した。
【0049】
独立気泡率
サンプルを、30mm×30mm×130mmの形状に切り出し、その重量を測定する(W)。また、ノギスにより、幅・長さ・厚みを計測し、正確に体積(V)を求める。
このサンプルを島津製作所(株)製「マイクロメリティクス アキュピック」1330により、体積(Vm)を求める(測定条件;加圧気体−ヘリウムガス、充填圧−20kpa、圧力平衡判定値−1kpa)。
下記式より独立気泡率を求める。
独立気泡率(%)=((Vm−W/1.2)/V)×100
【0050】
寸法変化率
上記にて作製したボード状のウレタンを、型から取り出した後、1時間後にボードの両端、中央部を長さ200mmで切り出し、厚み50mm、幅250mm、長さ200mmのサンプルを3個作製する。
このサンプルの厚み、幅、長さのそれぞれ4個所をノギスにて小数点以下2桁まで測定し、初期値とする。またサンプルの測定点には印をつけておく。
このサンプルを70℃、相対湿度95%の環境下に48時間おき、その後20℃環境下に1時間おく。
このサンプルの初期の測定位置を再び測定し、厚み、幅、長さの変化率を求める。同一の1枚のボードより切り出した3個のサンプルの測定値の中で、最も寸法変化率の値が大きいものを代表値とする。
【0051】
【実施例】
<実施例1>
東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールO−850」(OH価380)を40部、東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールQ−590」(OH価380)を30部、東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールPB−338」(OH価330)を20部、東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールPE−555」(OH価400)を10部、発泡剤として水を7部、触媒として花王製「カオライザーNo.8」を0.55部、花王製「カオライザーNo.3」を0.15部、及び難燃剤としてアクゾノーベル社製「ファイロールPCF」を10部混合した。
【0052】
整泡剤として、信越化学工業製「F501」を1.3部と、信越化学工業製「X−20−1784」を1.3部(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)とを予め混合しておき、上記のポリオール混合物に添加して混合を行う。このようにして得られたポリオール混合物282gに、イソシアネート(BASF INOICポリウレタン社製「ルプラネートM−20S」)を488g添加し、上記に記載の方法にて発泡・サンプル作製し、寸法変化率及び独立気泡率を測定した。そしてサンプルの寸法変化率が±1%以内であり、かつ独立気泡率が70%以上のものを○、それ以外であるものを×と評価した。
結果は、表1に示される通りである。
【0053】
<比較例1>
実施例1における「X−20−1784」(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)の配合量を0部とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0054】
<実施例2>
実施例1における信越化学工業製「F501」を2.0部、「X−20−1784」(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)の配合量を1.7部とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0055】
<比較例2>
実施例1における信越化学工業製「F501」を1.7部、「X−20−1784」(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)の配合量を2.2部とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0056】
<比較例3>
実施例1における東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールO−850」(OH価380)を70部、東邦化学工業製ポリオール:トーホーポリオールQ−590(OH価380)を0部、とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、独立気泡率が高くかつフォームの収縮が著しく低い硬質水発泡ポリウレタンフォームを提供することができる。このような硬質水発泡ポリウレタンフォームは、透湿抵抗値が高く維持されたものなので、水ないし湿気がフォーム内部に浸透することが有効に防止されたものである。
【0059】
よって、本発明による硬質ポリウレタンフォームは、各種の用途、例えば産業資材、建築資材、家庭日用品などに用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン組成物、それから形成されたポリウレタンフォーム、およびその製造法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、発泡剤として水を使用するポリウレタン組成物、このポリウレタン組成物から形成された独立気泡率が高くかつ収縮が抑制された硬質ポリウレタンフォーム、およびその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、硬質ポリウレタンフォームは数々の用途に用いられている。例えばその優れた断熱性および保温性を利用して住宅用建材等に用いられている。
【0003】
従来、断熱性の優れたポリウレタンフォームの製造には、発泡剤としてハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類が使用されてきた。しかし、このHCFCは、オゾン層保護規制のためにその使用が制限されるようになってきている。
【0004】
そこで、他の発泡剤として、炭化水素系、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類を使用するポリウレタンフォームの製造する方法が提案されている。しかし、炭化水素系の発泡剤は可燃性であるために製造設備を防爆仕様へ変更する必要があり、またHFC類は地球温暖化係数が大きいという点で問題がある。
【0005】
このことから、発泡剤として水を用いるポリウレタンフォームの製造法が提案されている。この方法は、水を発泡剤として使用するものであることから、安全性および環境保護の点で極めて好ましいものと言える。
【0006】
このような水を発泡剤として用いて得られた硬質ポリウレタンフォームは、一般に、フォームとしたあとの収縮量が大きくて、形状ないし寸法安定性等が不足するという運用面で支障があった。ポリウレタンフォームの収縮は、主としてフォームの独立気泡内に封入された発泡剤ガスが揮散し、気泡内のガス圧が低下してその体積が減少することによって、生じるものと考えられている。そこで、気泡を独立気泡ではなく連続気泡として連通させ、周囲部の空気をフォーム内部に流入させて気泡の内部圧を大気圧にすることによって、フォームの収縮を防止ないし低減することが行われている。
【0007】
しかし、このような連続気泡を有するポリウレタンフォームは、外部から水ないし湿気がフォーム内部に浸透する場合があり、またフォームのガス保持力の低下により独立気泡のものに比べて断熱性および保温性が低下する場合があった。そこで、独立気泡率が高く、透湿抵抗値が高く維持された硬質ポリウレタンフォームが求められている。
【0008】
独立気泡率をある程度維持しながらポリウレタンフォームの収縮を抑える方法としては、シリカ粉末を添加する方法(特開平8−157709号公報)および有機珪素樹脂を添加する方法(特開2000−95865号公報)が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−157709号公報
【特許文献2】
特開2000−95865号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの技術でも、ポリウレタンフォームの収縮防止と高独立気泡率の両立は未だ充分にはなされていないようである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、独立気泡率が高くかつフォームの収縮が著しく低い硬質水発泡ポリウレタンフォームを提供するものである。
【0012】
従って、本発明による水発泡性ポリウレタン組成物は、ポリオール、有機珪素系樹脂、シリコン系整泡剤、イソシアネート、触媒および水を含んでなる硬質ポリウレタンフォーム形成のための水発泡性ポリウレタン組成物であって、前記ポリオールに対する前記有機珪素系樹脂の量および前記ポリオールに対する前記シリコン系整泡剤の量が制御されたものであって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成可能なものであること、を特徴とするものである。
【0013】
この水発泡性ポリウレタン組成物は、好ましくは、ポリオール100重量部に対する有機珪素系樹脂の部数をa重量部、ポリオール100重量部に対するシリコン系整泡剤の部数をb重量部としたとき、a=0.2〜1.2、b=1.1〜2.3、a/b=0.2〜0.6であり、かつ、a+b=1.3〜3.5であることができる。
【0014】
また、この本発明による水発泡性ポリウレタン組成物において、前記有機珪素系樹脂を、R1 3SiO1/2、R2SiO3/2およびSiO4/2(ここで、R1は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す)を構成単位とするものとすることができる。
【0015】
そして、この本発明による水発泡性ポリウレタン組成物において、前記ポリオールを、10重量部以上のアミン系ポリオールからなるものとすることができる。
【0016】
また、本発明による硬質ポリウレタンフォームは、前記の水発泡性ポリウレタン組成物から形成されたものであること、を特徴とするものである。
【0017】
そして、本発明による硬質ポリウレタンフォームの製造法は、ポリオール、前記ポリオールに対して制御された量の有機珪素系樹脂、前記ポリオールに対して制御された量のシリコン系整泡剤、水およびイソシアネートを、触媒の存在下で反応させることによって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成させること、を特徴とするものである。
【0018】
なお、本発明における硬質ポリウレタンとは、硬度が、ASKER製硬度計(タイプCS)で50以上のポリウレタンをいう。
【0019】
【発明の実施の形態】
<ポリオール>
本発明におけるポリオールは、本発明の趣旨に反しない限り、従来からこの種の硬質ポリウレタンフォームの製造に際して用いられてきたものを使用することができる。例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを使用することができる。
【0020】
ポリエーテルポリオールは、好適には、酸化アルキレン(好ましくは、酸化エチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン等)と、活性水素含有多官能性化合物(例えばアルコールまたはアミン等)との反応によって製造することができる。ここで、アルコールの好ましい具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ショ糖等を例示することができ、アミンの好ましい具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、トルエンジアミン等を例示することができる。
【0021】
また、ポリエステルポリオールは、好適には、多価カルボン酸またはその誘導体と、多価ヒドロキシル化合物との反応によって製造することができる。ここで、多価カルボン酸またはその誘導体の好ましい具体例としては、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸等を例示することができ、多価ヒドロキシル化合物の好ましい具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,3‐ブタンジオール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオール、トリエチロールプロパン等を例示することができる。
【0022】
また、本発明におけるポリオールは、多価アルコール(好ましくは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトールなどを含むことができる。
【0023】
本発明において好ましいポリオールは、ポリエーテルポリオール、特にポリ(オキシアルキレン)ポリオールである。
【0024】
本発明におけるポリオールとして使用可能な市販品としては、例えば、「トーホーポリオールO−850」(OH価380)、「トーホーポリオールQ−590」(OH価380)、「トーホーポリオールPB−338」(OH価330)、「トーホーポリオールPE−555」(OH価400)を例示することができる(いずれも、東邦化学社製)。
【0025】
本発明において、ポリオールは単独でまたは必要に応じて混合して用いることができる。本発明では、アミン系ポリオールを、ポリオールの全量(100重量部)に対して10重量部以上、好ましくは20重量部以上、特に好ましくは30重量部以上、とすることができる。好ましいアミン系ポリオールの具体例としては、エチレンジアミン、トルエンジアミンを例示することができる。
【0026】
本発明では、アミン系ポリオールを上記の量で使用することにより、独立気泡性および成形性を向上させることができる。
【0027】
<有機珪素系樹脂>
本発明による水発泡性ポリウレタン組成物は、必須成分として有機珪素系樹脂を含むものである。本発明では、水発泡性ポリウレタン組成物に配合可能であり、かつこれから形成される硬質ポリウレタンフォームの諸特性の向上ないし維持に有利に作用する各種の有機珪素系樹脂を対象とすることができる。
【0028】
そのような有機珪素化合物としては、R1 3SiO1/2、R2SiO3/2およびSiO4/2を構成単位とするものを挙げることができる。ここで、R1は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す。R1としては炭素数1〜4のものが好ましく、R2としは炭素数1〜6のものが好ましい。
【0029】
このような有機珪素化合物は、(イ)Si(OR3)4で示されるシラン化合物またはその加水分解物と、(ロ)R2Si(OR4)3で示されるシラン化合物またはその加水分解物と、(ハ)R1 3SiXで示されるシラン化合物との混合物を、▲1▼酸で平衡化させる工程、▲2▼この平衡化反応生成物に水を添加して加水分解反応を行う工程、▲3▼この加水分解反応生成物にアルカリ水を添加して縮合反応を行う工程、を実施することによって製造することができる(上記において、R3は炭素数1〜6の一価炭化水素基を、R2は炭素数1〜20の一価炭化水素基を、R4は炭素数1〜6の一価炭化水素基を、Xは−OH基、−OSiR1基または加水分解性基を、それぞれ示す)。
【0030】
このような有機珪素系樹脂自体は公知であって、その詳細は例えば特開2000−9565号公報に開示されている通りある。本発明では、そこに記載された有機珪素系樹脂を使用することができる。
【0031】
<シリコン系整泡剤>
本発明におけるシリコン系整泡剤は、従来からこの種の硬質ポリウレタンフォームの製造に用いられてきたもの、例えばポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体を用いることができる。本発明において使用可能な市販品としては、信越化学工業製 F501等を例示することができる。
【0032】
<有機珪素系樹脂およびシリコン系整泡剤の配合量>
本発明において、有機珪素系樹脂およびシリコン系整泡剤の配合量は、それぞれ、下記の条件を満たすようにすることが好ましい。
ポリオール100重量部に対する有機珪素系樹脂の部数をa重量部とし、ポリオール100重量部に対するシリコン系整泡剤の部数をb重量部としたとき、
a=0.2〜1.2、b=1.1〜2.3、a/b=0.2〜0.6、a+b=1.3〜3.5、
望ましくは、a=0.3〜1.1、b=1.2〜2.2、a/b=0.25〜0.53、a+b=1.5〜3.25、
更に望ましくは、a=0.4〜0.93、b=1.25〜2.15、a/b=0.32〜0.44、a+b=1.65〜3.08。
【0033】
有機珪素系樹脂およびシリコン系整泡剤の配合量がこれらの条件を満たすことによって、収縮防止と高独立気泡率の両立が高度に達成された、硬質水発泡ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0034】
このように有機珪素系樹脂の配合量およびシリコン系整泡剤の配合量を所定の範囲内とすることに加えて、さらに両者の合計量ならびに両者の配合量比を所定の範囲内にすることによって、独立気泡率が高くかつ収縮性が著しく抑制された硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
【0035】
<イソシアネート>
本発明におけるイソシアネートも、従来からこの種の硬質ポリウレタンフォームの製造に際して用いられてきたものを用いることができ、各種の芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物等を用いることができる。例えば、(i)2,4‐トルイレンジイソシアネート、2,6‐トルイレンジイソシアネートおよびこれらの混合物、(ii)ポリフェニルポリメチレンポリイソチアネート、(iii)変性ポリイソシアネート、例えばカルボイミド、ウレタン、イソシアヌレート基などを有するもの、等を用いることができる。本発明では、特にポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0036】
イソシアネートの使用量は、ポリオール100重量部に対して152〜217重量部、好ましくは164〜196重量部、特に好ましくは169〜189重量部である。イソシアネートの使用量が152重量部未満ではウレタンフォームの強度が不十分であり、一方217重量部超過では高密度となり好ましくない。
本発明において使用可能な市販品としては、BASF INOACポリウレタン製 ルプラネートM−20Sを例示することができる。
【0037】
<触媒>
触媒としては、ポリオールの活性水素とイソシネート基との反応を促進する作用その他を有するものとして、各種の触媒化合物を使用することができる。例えば、(i)アミン化合物、例えばトリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、(ii)有機金属化合物、例えば、塩化第一スズ、ジブチルチンラウレート、を挙げることができる。本発明において特に好ましい触媒は、トリメチルアミノエチルピペラジン、ペンタメチルジエチルトリアミンである。
【0038】
本発明において使用可能な市販品としては、花王製 カオライザー NO3、花王製 カオライザー NO8を例示することができる。
触媒の使用量は、ポリオール100重量部に対して0.6〜1.1重量部、好ましくは0.7〜1.0重量部、特に好ましくは0.8〜0.9重量部である。触媒の使用量が0.6重量部未満では強度が不十分であり、一方1.1重量部超過では高密度、不均一なフォームとなることから好ましくない。
【0039】
<発泡剤>
本発明おいて用いられる発泡剤は水である。本発明は、水を発泡剤として使用するものであることから、安全性および環境保護の点で極めて好ましいものである。
【0040】
発泡剤の使用量は、ポリオール100重量部に対して4〜10重量部、好ましくは5〜9重量部、特に好ましくは6〜8重量部、である。発泡剤の使用量が4重量部未満では不均一な発泡であり、一方10重量部超過では独立気泡率が低下することから好ましくない。
【0041】
<他の成分(任意成分)>
本発明による水発泡性ポリウレタン組成物には、必要に応じて各種成分、例えば、難燃剤、安定剤、着色剤、反応遅延剤、抗菌剤、界面活性剤等を配合することができる。そのような成分の具体例としてはクロロプロピルフォスフェート等の難燃剤を挙げることができる。
【0042】
<硬質ポリウレタンフォームの製造法>
本発明による硬質ポリウレタンフォームの製造法は、ポリオール、前記ポリオールに対して制御された量の有機珪素系樹脂、前記ポリオールに対して制御された量のシリコン系整泡剤、水およびイソシアネートを、触媒の存在下で反応させることによって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成させること、を特徴とするものである。
【0043】
このような本発明による硬質ポリウレタンフォームの製造法は、常法に従って行うことができる。例えば、各成分を別々にあるいは二成分以上の混合物(上記の必須成分および任意成分の全成分の混合物を含む)を、一度にあるいは複数回にわたって、製造装置に導入することによって製造することができる。発泡も密閉装置内で実施することもできるし、密閉装置外で行うことができる。
【0044】
主原料としてのポリオールに有機珪素系樹脂、シリコン系整泡剤、水、触媒および他成分(例えば難燃剤)等の副原料を混合した混合物を一方の原液とし、これとイソシアネートを主体としたもう一方の原液を用意し、これらの両原液を混合することによって製造することができる。
【0045】
また、面材(例えば、石膏ボード、合板、合成樹脂材、金属、紙など)の表面上に、本発明による水発泡性ポリウレタン組成物の押出し、そこでフォームの形成を行ってラミネートボードを製造することも可能である。
【0046】
<硬質ポリウレタンフォーム>
上記の水発泡性ポリウレタン組成物から形成された本発明による硬質ポリウレタンフォームは、独立気泡率が70%以上であり、かつ、寸法変化率が±1%以内の硬質ポリウレタンフォームを容易に製造することができるものである。
【0047】
ここで、独立気泡率および寸法変化率は、下記の発泡方法により得られたサンプルを、下記方法に従って評価したのものである。
【0048】
発泡方法
ポリオール成分系混合物とイソシアネートを所定量ビーカーにとり、特殊機化工業(株)製T.Kホモデイスパーを用い5000rpmにて5秒間攪拌・混合を行う。45℃に加熱した厚み50mm、幅250mm、長さ2000mmのアルミ製の型に、型に完全には充填しない量を注入し、10分間保持した後、型より取り出した。
【0049】
独立気泡率
サンプルを、30mm×30mm×130mmの形状に切り出し、その重量を測定する(W)。また、ノギスにより、幅・長さ・厚みを計測し、正確に体積(V)を求める。
このサンプルを島津製作所(株)製「マイクロメリティクス アキュピック」1330により、体積(Vm)を求める(測定条件;加圧気体−ヘリウムガス、充填圧−20kpa、圧力平衡判定値−1kpa)。
下記式より独立気泡率を求める。
独立気泡率(%)=((Vm−W/1.2)/V)×100
【0050】
寸法変化率
上記にて作製したボード状のウレタンを、型から取り出した後、1時間後にボードの両端、中央部を長さ200mmで切り出し、厚み50mm、幅250mm、長さ200mmのサンプルを3個作製する。
このサンプルの厚み、幅、長さのそれぞれ4個所をノギスにて小数点以下2桁まで測定し、初期値とする。またサンプルの測定点には印をつけておく。
このサンプルを70℃、相対湿度95%の環境下に48時間おき、その後20℃環境下に1時間おく。
このサンプルの初期の測定位置を再び測定し、厚み、幅、長さの変化率を求める。同一の1枚のボードより切り出した3個のサンプルの測定値の中で、最も寸法変化率の値が大きいものを代表値とする。
【0051】
【実施例】
<実施例1>
東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールO−850」(OH価380)を40部、東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールQ−590」(OH価380)を30部、東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールPB−338」(OH価330)を20部、東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールPE−555」(OH価400)を10部、発泡剤として水を7部、触媒として花王製「カオライザーNo.8」を0.55部、花王製「カオライザーNo.3」を0.15部、及び難燃剤としてアクゾノーベル社製「ファイロールPCF」を10部混合した。
【0052】
整泡剤として、信越化学工業製「F501」を1.3部と、信越化学工業製「X−20−1784」を1.3部(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)とを予め混合しておき、上記のポリオール混合物に添加して混合を行う。このようにして得られたポリオール混合物282gに、イソシアネート(BASF INOICポリウレタン社製「ルプラネートM−20S」)を488g添加し、上記に記載の方法にて発泡・サンプル作製し、寸法変化率及び独立気泡率を測定した。そしてサンプルの寸法変化率が±1%以内であり、かつ独立気泡率が70%以上のものを○、それ以外であるものを×と評価した。
結果は、表1に示される通りである。
【0053】
<比較例1>
実施例1における「X−20−1784」(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)の配合量を0部とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0054】
<実施例2>
実施例1における信越化学工業製「F501」を2.0部、「X−20−1784」(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)の配合量を1.7部とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0055】
<比較例2>
実施例1における信越化学工業製「F501」を1.7部、「X−20−1784」(有機珪素系樹脂をシリコンオイルに濃度50重量%で溶解したもの)の配合量を2.2部とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0056】
<比較例3>
実施例1における東邦化学工業製ポリオール:「トーホーポリオールO−850」(OH価380)を70部、東邦化学工業製ポリオール:トーホーポリオールQ−590(OH価380)を0部、とする以外は、実施例1と同様に行った。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、独立気泡率が高くかつフォームの収縮が著しく低い硬質水発泡ポリウレタンフォームを提供することができる。このような硬質水発泡ポリウレタンフォームは、透湿抵抗値が高く維持されたものなので、水ないし湿気がフォーム内部に浸透することが有効に防止されたものである。
【0059】
よって、本発明による硬質ポリウレタンフォームは、各種の用途、例えば産業資材、建築資材、家庭日用品などに用いることができる。
Claims (6)
- ポリオール、有機珪素系樹脂、シリコン系整泡剤、イソシアネート、触媒および水を含んでなる硬質ポリウレタンフォーム形成のための水発泡性ポリウレタン組成物であって、前記ポリオールに対する前記有機珪素系樹脂の量および前記ポリオールに対する前記シリコン系整泡剤の量が制御されたものであって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成可能なものであることを特徴とする、水発泡性ポリウレタン組成物。
- ポリオール100重量部に対する有機珪素系樹脂の部数をa重量部、ポリオール100重量部に対するシリコン系整泡剤の部数をb重量部としたとき、a=0.2〜1.2、b=1.1〜2.3、a/b=0.2〜0.6であり、かつ、a+b=1.3〜3.5である、請求項1に記載の水発泡性ポリウレタン組成物。
- 前記有機珪素系樹脂が、R1 3SiO1/2、R2SiO3/2およびSiO4/2を構成単位とするものである、請求項1または2に記載の水発泡性ポリウレタン組成物(ここで、R1は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜20の1価の炭化水素基を示す)。
- 前記ポリオールが、10重量部以上のアミン系ポリオールからなるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水発泡性ポリウレタン組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水発泡性ポリウレタン組成物から形成されたものであることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォーム。
- ポリオール、前記ポリオールに対して制御された量の有機珪素系樹脂、前記ポリオールに対して制御された量のシリコン系整泡剤、水およびイソシアネートを、触媒の存在下で反応させることによって、高独立気泡率かつ低収縮性の硬質ポリウレタンフォームを形成させることを特徴とする、硬質ポリウレタンフォームの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003107962A JP2004315579A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 水発泡性ポリウレタン組成物、硬質ポリウレタンフォームおよびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003107962A JP2004315579A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 水発泡性ポリウレタン組成物、硬質ポリウレタンフォームおよびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004315579A true JP2004315579A (ja) | 2004-11-11 |
Family
ID=33469657
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003107962A Pending JP2004315579A (ja) | 2003-04-11 | 2003-04-11 | 水発泡性ポリウレタン組成物、硬質ポリウレタンフォームおよびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004315579A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006241312A (ja) * | 2005-03-03 | 2006-09-14 | Toho Chem Ind Co Ltd | 硬質ポリウレタンフォーム及びその製造に用いるポリオール混合物 |
US9102858B2 (en) | 2008-10-10 | 2015-08-11 | Center For Abrasives And Refractories Research & Development C.A.R.R.D. Gmbh | Abrasive grain agglomerates, process for the production thereof and the use thereof for producing abrasives |
WO2020106538A1 (en) * | 2018-11-19 | 2020-05-28 | Momentive Performance Materials Inc. | Rigid polyurethane foams comprising a siloxane rich nucleating agent |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02140218A (ja) * | 1988-11-21 | 1990-05-29 | M D Kasei Kk | 難燃性ポリイソシアヌレートフォームの製造法 |
-
2003
- 2003-04-11 JP JP2003107962A patent/JP2004315579A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02140218A (ja) * | 1988-11-21 | 1990-05-29 | M D Kasei Kk | 難燃性ポリイソシアヌレートフォームの製造法 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006241312A (ja) * | 2005-03-03 | 2006-09-14 | Toho Chem Ind Co Ltd | 硬質ポリウレタンフォーム及びその製造に用いるポリオール混合物 |
US9102858B2 (en) | 2008-10-10 | 2015-08-11 | Center For Abrasives And Refractories Research & Development C.A.R.R.D. Gmbh | Abrasive grain agglomerates, process for the production thereof and the use thereof for producing abrasives |
WO2020106538A1 (en) * | 2018-11-19 | 2020-05-28 | Momentive Performance Materials Inc. | Rigid polyurethane foams comprising a siloxane rich nucleating agent |
CN113272352A (zh) * | 2018-11-19 | 2021-08-17 | 迈图高新材料公司 | 包括富硅氧烷成核剂的刚性聚氨酯泡沫 |
CN113272352B (zh) * | 2018-11-19 | 2024-02-06 | 迈图高新材料公司 | 包括富硅氧烷成核剂的刚性聚氨酯泡沫 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8623984B2 (en) | Compositions containing polyether-polysiloxane copolymers | |
CN1103789C (zh) | 用第三代发泡剂制造的硬质聚氨酯泡沫用的硅氧烷表面活性剂 | |
CN1286872C (zh) | 用于由烃类发泡剂制备的刚性聚氨酯泡沫的硅氧烷表面活性剂 | |
CN101044180B (zh) | 生产硬质聚氨酯泡沫的方法 | |
JP7075347B2 (ja) | ポリエーテル変性シリコーン組成物、それを含む界面活性剤、整泡剤、ポリウレタン発泡体形成組成物、化粧料およびその製造方法 | |
JP2011016854A (ja) | 硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法 | |
CN1264400A (zh) | 以氟化烃发泡的硬质聚氨酯防火泡沫体 | |
TW444039B (en) | Open-celled polyurethane foams containing graphite which exhibit low thermal conductivity | |
CN1296501A (zh) | 硬质聚氨酯泡沫塑料的制法 | |
CA2078580A1 (en) | Use of capped surfactants for production of rigid polyurethane foams blown with hydrochlorofluorocarbons | |
US20110039963A1 (en) | Blowing Agent Enhancers for Polyurethane Foam Production | |
US20090042999A1 (en) | Composition for polyurethane foam, polyurethane foam made from the composition, and method for preparing polyurethane foam | |
JP2020002382A (ja) | 整泡剤およびそれを含むポリウレタン発泡体形成組成物 | |
JP2007046043A (ja) | 硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法 | |
JP5710654B2 (ja) | ポリウレタンフォームパネル | |
WO2021131378A1 (ja) | ポリエーテル-ポリシロキサンブロック共重合体組成物、整泡剤およびポリウレタン発泡体の製造方法 | |
JP4978986B2 (ja) | 発泡硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物及び発泡硬質ポリウレタンフォームの製造方法 | |
JP5086575B2 (ja) | ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法 | |
JP4573116B2 (ja) | 硬質ポリウレタンフォーム | |
JP2004315579A (ja) | 水発泡性ポリウレタン組成物、硬質ポリウレタンフォームおよびその製造法 | |
JP2004315580A (ja) | 水発泡性ポリウレタン組成物および硬質ポリウレタンフォーム | |
JP5710653B2 (ja) | ポリウレタンフォームパネル | |
JP2007186551A (ja) | 硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物及び硬質ポリウレタンフォームの製造方法 | |
JP7497949B2 (ja) | 泡増強剤、これを含むプレミックス溶液、これらを含むポリウレタン発泡体形成用組成物、および疎水性が改善されたポリウレタン発泡体 | |
JP2008509247A (ja) | ポリウレタンフォームにおける反応性ドリフトおよび触媒分解 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060317 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080711 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20081031 |