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JP4345182B2 - 高純度のカチオン系重合体の製造方法 - Google Patents

高純度のカチオン系重合体の製造方法 Download PDF

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JP4345182B2 JP2000068177A JP2000068177A JP4345182B2 JP 4345182 B2 JP4345182 B2 JP 4345182B2 JP 2000068177 A JP2000068177 A JP 2000068177A JP 2000068177 A JP2000068177 A JP 2000068177A JP 4345182 B2 JP4345182 B2 JP 4345182B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高純度のカチオン系重合体の製造方法およびモノアリルアミン重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、高純度で保存安定性に優れるカチオン系重合体を効率よく製造する方法、および低分子量のモノアリルアミン重合体を効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カチオン系重合体は水溶性であって、様々な分野において幅広く用いられている。例えば凝集剤や汚泥脱水剤を始め、接着剤、製紙用薬剤、帯電防止剤、塗料、アンカーコート剤、染料固着剤、インクジェット式印刷用薬剤などに利用されている。
その製造方法としては、例えばカチオン系重合体の1種であるポリアリルアミンを製造する場合、通常水媒体中において、重合開始剤として2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)の無機酸塩または有機酸塩を用い、モノアリルアミン付加塩を重合させる方法が用いられている。
【0003】
しかしながら、上記のような重合開始剤を用いた場合、反応終了後の重合体水溶液中には、該重合開始剤の分解物が不純物として残存する。このような不純物を含む重合体を原料とし、各種の機能性材料を製造する場合、該機能性材料の性能を低下させる要因となるため、上記不純物をできる限り除去した高純度の重合体が要求される。
このような重合開始剤の分解に由来する不純物を除去する方法としては、従来、該不純物を結晶として析出させたのち、ろ過して除去する方法が知られている。しかしながら、この方法においては、重合体溶液から、不純物を短時間で完全若しくはそれに近い状態まで析出させることは困難であって、不純物の析出とろ過の繰り返しが必要となるため、操作の長期化および煩雑化を免れないという欠点がある。
【0004】
また、別の方法として、重合反応液中の重合体のみを沈殿させる再沈殿溶媒を用いて重合体を沈殿させ、溶媒中に溶解している重合開始剤の分解に由来する不純物を分離する方法も知られているが、この方法においては、溶媒の再回収や沈殿のろ過などの操作が煩雑となる上、多大の運転経費を要するなどの欠点がある。
【0005】
一方近年、重合体の精製にイオン交換膜による電気透析法が有効であることが知られているが、重合開始剤の分解が不完全で数種類の不純物が存在する場合においては、操作に長時間が必要となる上、イオン交換膜の耐久性を大きく低下させるという問題が生じる。
【0006】
さらに、不純物を結晶化法や電気透析法により除去した重合体を長期間保存しておくと、残存する不純物が結晶化し、析出するという好ましくない事態を招来する。そのため、出荷時に改めてろ過などの精製処理が必要となり、生産性や経済性を低下させる要因となっている。
【0007】
ところで、ラジカル重合反応においては、得られる重合体の分子量を制御する方法として、一般に反応系におけるラジカル重合開始剤の濃度を変化させる方法が用いられる。すなわち、ラジカル重合開始剤の濃度を高くすれば、低分子量のものが得られ、該ラジカル重合開始剤の濃度を低くすれば、高分子量のものが得られる。
しかしながら、低分子量の重合体を得ようとして、ラジカル重合開始剤の濃度を高めると、最終製品中に未反応開始剤の残存量が多くなり、該製品の安定性などに好ましからざる影響を及ぼすという問題が生じる。
【0008】
そこで、カチオン系単量体のラジカル重合においては、次亜リン酸やその塩が重合度調整剤として有効であることが見出され、例えば水系溶媒中において、水溶性ラジカル重合開始剤と次亜リン酸やその塩の存在下、(1)ジアリルアミン類の付加塩を重合させる方法(特開平3−109407号公報)、(2)ジアリルアミン類の付加塩とアクリルアミド系化合物を共重合させる方法(特開平6−179727号公報)が開示されている。
【0009】
これらの方法は、ジアリルアミン類の付加塩を単独重合または共重合させる方法であり、モノアリルアミン類の付加塩の重合に関しては、例えばアルコール系、エステル系、エーテル系あるいはクロロベンゼンなどの有機溶媒中において、油溶性過酸化物、油溶性アゾ系化合物、過酸化水素、過酢酸などのラジカル重合開始剤および次亜リン酸やその塩の存在下、モノアリルアミン類の付加塩を単独重合または共重合させる方法(特開昭56−82807号公報、特開昭56−82809号公報)が開示されている。
【0010】
しかしながら、モノアリルアミン付加塩を、水系溶媒中において、水溶性のアゾビス(アミジノアルカン)付加塩からなるラジカル重合開始剤と次亜リン酸やその塩の存在下に重合させる方法については、これまで全く知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
カチオン系重合体は水溶性であって、前述のように様々な用途に用いられており、該カチオン系重合体を含む水溶液から、水不溶性の不純物が生成してくることは、該カチオン系重合体を用いた製品の品質を低下させると共に、その使用に際して、種々のトラブルを引き起こす要因となる。したがって、重合反応終了後の重合体水溶液から、重合体の所望性状を損なうことなく、重合開始剤および/またはその由来の変性物(不純物)を低コストで効率よく除去することは、工業的に極めて重要なことである。
また、低分子量のモノアリルアミン重合体を、ラジカル重合開始剤の濃度を増加させることなく、製造することは、製品の安定性などの面で、工業的に極めて重要なことである。
【0012】
本発明は、このような事情のもとで、カチオン系重合体の重合反応液から、重合開始剤および/またはその分解に由来する変性物を、重合体の所望性状を損なうことなく、簡単な操作で効率よく除去し、長期間保存しても不純物の結晶析出が起こることのない高純度のカチオン系重合体を製造する工業的に有利な方法、および低分子量のモノアリルアミン重合体を、ラジカル重合開始剤の濃度を増加させることなく、効率よく製造する工業的に有利な方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水系溶媒中において、アゾビス(アミジノアルカン)付加塩からなるラジカル重合開始剤と、次亜リン酸やその塩の存在下、カチオン系単量体を重合させることにより、あるいは該ラジカル重合開始剤の存在下、カチオン系単量体を重合させ、次いで次亜リン酸やその塩を添加して加熱処理することにより、反応液に含まれるラジカル重合開始剤および/またはそれ由来の変性物がサクシンイミド誘導体に容易に変換され、このものを除去することによって、高純度のカチオン系重合体が、容易に得られることを見出した。
【0014】
また、水系溶媒中において、アゾビス(アミジノアルカン)付加塩と、次亜リン酸やその塩の存在下、モノアリルアミン付加塩を重合させることにより、低分子量のモノアリルアミン重合体が容易に得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0015】
すなわち、本発明は、水系溶媒中において、カチオン系単量体に対し、0.8〜20重量%の、一般式(I)
【0016】
【化3】
Figure 0004345182
【0017】
(式中、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤と、次亜リン酸および/またはその塩の存在下、カチオン系単量体を重合させたのちに、反応液中の上記ラジカル重合開始剤由来のサクシンイミド誘導体を固液分離することにより除去することを特徴とする高純度のカチオン系重合体の製造方法を提供するものである
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の高純度のカチオン系重合体の製造方法(以下、本発明の製造方法Iと略称することがある。)においては、水系溶媒中において、アゾ系ラジカル重合開始剤を用い、次亜リン酸および/またはその塩の存在下、あるいは不在下にカチオン系単量体を重合させる。
【0020】
ここで、水系溶媒としては、例えば水を始め、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸などの無機酸またはその水溶液、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸またはその水溶液、アルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、さらには塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機酸塩の水溶液などが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0021】
また、アゾ系ラジカル重合開始剤としては、本発明においては、一般式(I)
【0022】
【化4】
Figure 0004345182
【0023】
で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩が用いられる。
上記一般式(I)におけるR1およびR2はそれぞれ炭素数1〜3のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基を示す。R1およびR2は、たがいに同一でも異なっていてもよい。
【0024】
この一般式(I)表されるアゾビス(アミジノアルカン)の具体例としては、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノブタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノペンタン)、2,2′−アゾビス(2−アミジノ−3−メチルブタン)、3,3′−アゾビス(3−アミジノペンタン)、3,3′−アゾビス(3−アミジノヘキサン)、3,3′−アゾビス(3−アミジノ−4−メチルペンタン)、4,4′−アゾビス(4−アミジノヘプタン)などが挙げられる。本発明においては、ラジカル重合開始剤として、これらの化合物の付加塩が用いられるが、特に2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)付加塩が好適である。
付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、アルキル硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩などの無機酸付加塩または有機酸付加塩を挙げることができる。
【0025】
本発明の製造方法Iにおいては、上記アゾビス(アミジノアルカン)付加塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法Iにおいて用いられるカチオン系単量体としては、特に制限はなく、水系溶媒中において、前記一般式(I)で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤の存在下に重合しうる化合物であればよく、特に制限はない。このようなカチオン系単量体としては、アリルアミン系単量体が好ましく、例えば、モノアリルアミン、N−メチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−シクロヘキシルアリルアミン、N,N−(メチル)シクロヘキシルアリルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアリルアミン、ジアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、N−ベンジルジアリルアミンなどのアリルアミン類の付加塩、さらには塩化ジアリルジメチルアンモニウム、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、ヨウ化ジアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジメチルアンモニウム、塩化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、臭化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、ヨウ化ジアリルメチルベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアリルジベンジルアンモニウム、臭化ジアリルジベンジルアンモニウム、ヨウ化ジアリルジベンジルアンモニウム、メチル硫酸ジアリルジベンジルアンモニウムなどのジアリルアミンの四級アンモニウム塩などが挙げられる。上記付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。これらのカチオン系単量体は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
重合に際して、前記のカチオン系単量体の付加塩は、単離された結晶の形で使用されるのが普通であるが、上記の単量体またはその水溶液と酸とを混合させて、仕込み系中でその付加塩を生成させてもよい。言うまでもなく、酸の水溶液を重合媒体として使用する場合には、所定量のカチオン系単量体と酸の水溶液とを混合し、そのまま重合させることができる。
【0027】
本発明の製造方法Iにおいて用いられる次亜リン酸やその塩は、一般式(II)
【0028】
【化5】
Figure 0004345182
【0029】
(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたはアミンを示す。)
で表すことができる。その具体例としては、遊離酸の外、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる。また水和物であってもよい。これらの次亜リン酸やその塩は単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
本発明の製造方法Iにおいては、上記次亜リン酸やその塩は、重合反応時に反応系に存在させてもよいし、重合反応終了後、反応液に添加してもよい。
【0031】
前記ラジカル重合開始剤と、次亜リン酸やその塩の存在下に重合を行う場合、該ラジカル重合開始剤の使用量は、カチオン系単量体に対し、通常0.8〜20重量%、好ましくは1.0〜10重量%、より好ましくは1.2〜7重量%の範囲で選定される。また、次亜リン酸やその塩の使用量は、カチオン系単量体に対し、通常1.5〜30重量%、好ましくは1.8〜25重量%、より好ましくは2.0〜20重量%の範囲で選定される。さらに、この次亜リン酸やその塩は、該ラジカル重合開始剤に対し、通常20〜400重量%、好ましくは60〜300重量%の割合で用いるのが有利である。
【0032】
一方、次亜リン酸やその塩の不在下に重合させ、重合終了後に、反応液に次亜リン酸やその塩を添加する場合、前記ラジカル重合開始剤の使用量は、カチオン系単量体に対し、通常0.8〜20重量%、好ましくは1.0〜10重量%、より好ましくは1.2〜7重量%の範囲で選定される。また、次亜リン酸やその塩の添加量は、該ラジカル重合開始剤に対し、通常20〜400重量%、好ましくは60〜300重量%の範囲で選定される。
【0033】
重合温度は、使用するカチオン系単量体の種類や水系溶媒の種類などにより異なるが、通常50℃〜還流温度、好ましくは60〜100℃の範囲である。また、重合時間は、使用するカチオン系単量体の種類、重合温度、ラジカル重合開始剤の量などに左右され、一概に定めることはできないが、通常200時間以内で十分である。
カチオン系単量体の濃度は、その溶解度の範囲で高いほうが望ましいが、通常30重量%以上、好ましくは50〜90重量%である。
【0034】
次亜リン酸やその塩の存在下に、カチオン系単量体を上記の条件で重合させた場合、一般式(I)で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤は、そのほとんどが、一般式(III)
【0035】
【化6】
Figure 0004345182
【0036】
(式中、R1およびR2は前記と同じである。)
で表されるサクシンイミド誘導体に変換される。
【0037】
したがって、この場合、反応液(カチオン系重合体水系溶液)を冷却することにより、該サクシンイミド誘導体が結晶化して析出するので、この析出物は常法に従ってろ過などの手段により固液分離することにより、除去することができる。また、析出せずに溶存しているサクシンイミド誘導体は、例えばイオン交換膜電気透析に付すことにより、除去することができる。
【0038】
一方、次亜リン酸やその塩の不在下に、カチオン系単量体を重合させた場合、重合終了後、反応液に次亜リン酸やその塩を添加し、加熱処理することにより、ラジカル重合開始剤および/またはその分解に由来する変性物のほとんどが、上記一般式(III)で表されるサクシンイミド誘導体に変換される。このサクシンイミド誘導体は、前記と同様に反応液(カチオン系重合体水系溶液)を冷却して結晶化させたのち、固液分離することにより、除去することができ、また、析出せずに溶存しているサクシンイミド誘導体は、例えばイオン交換膜電気透析に付すことにより、除去することができる。
【0039】
次亜リン酸やその塩を反応液に添加して加熱処理する際の条件としては、温度は通常50〜還流温度、好ましくは60〜100℃の範囲である。また処理時間は、処理温度などに左右され一概に定めることはできないが、通常1〜50時間程度である。
【0040】
なお、反応液中のカチオン系重合体は、通常付加塩または四級アンモニウム塩の形態を有しているので、イオン交換膜電気透析に付す場合、アルカリにより中和して遊離のカチオン系重合体にしたのち、透析するのが有利である。
【0041】
純度の極めて高いカチオン系重合体の付加塩を所望する場合は、このようにして精製され遊離のカチオン系重合体を、所望の付加塩を構成する酸で処理すればよい。
このようにして、高純度のカチオン系重合体またはその付加塩が容易に得られる。
【0042】
本発明はまた、モノアリルアミン重合体の製造方法(以下、本発明の製造方法IIと略称することがある。)をも提供するものである。
この本発明の製造方法IIは、前述の製造方法Iにおいて、カチオン系単量体としてモノアリルアミン付加塩を用い、次亜リン酸および/またはその塩の存在下に重合を行う方法であり、これにより、低分子量のモノアリルアミン重合体、例えば重量平均分子量が1,000〜8,000の該重合体がラジカル重合開始剤の濃度を増加させることなく、容易に得られる。
【0043】
この際用いられるモノアリルアミン付加塩としては、例えばモノアリルアミン、N−メチルアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−シクロヘキシルアリルアミン、N,N−(メチル)シクロヘキシルアリルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアリルアミンなどの付加塩が挙げられる。
【0044】
該付加塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。これらのモノアリルアミン付加塩は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、他の共重合可能な水溶性単量体と併用することもできる。
【0045】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、得られた重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリエチレングリコールとポリエチレンオキシドを標準物質として測定した値である。
【0046】
実施例1
30ミリリットル試験管に50重量%モノアリルアミン塩酸塩水溶液10gを仕込み、さらに次亜リン酸ナトリウムをモノアリルアミン塩酸塩に対して、3.0重量%加えた。
次いで、このモノマー溶液を60℃まで昇温したのち、ラジカル重合開始剤として、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を、モノアリルアミン塩酸塩に対して1.0重量%添加し、さらに4、24、28時間後にも、それぞれ同量添加し、48時間後に重合を完結させた。
【0047】
重合終了後、反応液を冷蔵庫にて、約5℃で1日間放置したところ、白色不溶物が析出したので、それをガラスフィルターでろ別した。この析出物を赤外吸収スペクトル(IR)の測定により分析したところ、重合開始剤の分解物であるテトラメチルサクシンイミドであることが確認された。その量は、重合開始剤に対して80.8モル%であった。
一方、モノアリルアミン塩酸塩重合体の水溶液(ろ液)をGPC法により分析したところ、該重合体の重量平均分子量は5000、重合率は96.0%であった。
さらに、上記水溶液(ろ液)を室温で1ケ月間放置したが、白色不溶物の析出は見られなかった。
【0048】
実施例2
実施例1において、次亜リン酸ナトリウムをモノアリルアミン塩酸塩に対して、5.0重量%加えた以外は、実施例1と同様な操作を行った。その結果、白色不溶物のテトラメチルサクシンイミドが、重合開始剤に対して82.5モル%ろ別された。
一方、モノアリルアミン塩酸塩重合体の水溶液(ろ液)をGPC法により分析したところ、該重合体の重量平均分子量は3000、重合率は94.9%であった。
さらに、上記水溶液(ろ液)を室温で1ケ月間放置したが、白色不溶物の析出は見られなかった。
【0049】
比較例1
実施例1において、次亜リン酸ナトリウムを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、モノアリルアミン塩酸塩の重合を行った。
重合終了後、反応液を冷蔵庫にて、約5℃で1日間放置しても、白色不溶物の析出は見られず、モノアリルアミン塩酸塩重合体の水溶液は均一であった。これをGPC法により分析したところ、該重合体の重量平均分子量は18000、重合率は96.9%であった。
さらに、上記モノアリルアミン塩酸塩重合体の水溶液を、室温で1ケ月間放置したところ、白色不溶物が析出したので、それをガラスフィルターでろ別した。この析出物をIRの測定により分析したところ、テトラメチルサクシンイミドであることが確認され、その量は重合開始剤に対し、22.4モル%であった。
【0050】
実施例3
30ミリリットル試験管に50重量%ジアリルアミン塩酸塩水溶液10gを仕込み、さらに次亜リン酸ナトリウムをジアリルアミン塩酸塩に対して、5.0重量%加えた。
次いで、このモノマー溶液を60℃まで昇温したのち、ラジカル重合開始剤として、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を、ジアリルアミン塩酸塩に対して1.0重量%添加し、さらに4時間後にも、同量添加し、24時間後に重合を完結させた。
【0051】
重合終了後、反応液を冷蔵庫にて、約5℃で1日間放置したところ、白色不溶物が析出したので、それをガラスフィルターでろ別した。この析出物をIRの測定により分析したところ、重合開始剤の分解物であるテトラメチルサクシンイミドであることが確認された。その量は、重合開始剤に対して78.6モル%であった。
一方、ジアリルアミン塩酸塩重合体の水溶液(ろ液)をGPC法により分析したところ、該重合体の重量平均分子量は3000、重合率は98.8%であった。
さらに、上記水溶液(ろ液)を室温で1ケ月間放置したが、白色不溶物の析出は見られなかった。
【0052】
比較例2
実施例3において、次亜リン酸ナトリウムを加えなかったこと以外は、実施例3と同様にして、ジアリルアミン塩酸塩の重合を行った。
重合終了後、反応液を冷蔵庫にて、約5℃で1日間放置しても、白色不溶物の析出は見られず、ジアリルアミン塩酸塩重合体の水溶液は均一であった。これをGPC法により分析したところ、該重合体の重量平均分子量は100000、重合率は98%であった。
さらに、上記ジアリルアミン塩酸塩重合体の水溶液を、室温で1ケ月間放置したところ、白色不溶物が析出したので、それをガラスフィルターでろ別した。この析出物をIRの測定により分析したところ、テトラメチルサクシンイミドであることが確認され、その量は重合開始剤に対し、15.7モル%であった。
【0053】
実施例4
30ミリリットル試験管に、50重量%モノアリルアミン塩酸塩水溶液3.74g(0.02モル)および50重量%ジアリルアミン塩酸塩水溶液5.34g(0.02モル)を仕込み、水を加えて9gとしたのち、次亜リン酸ナトリウムを、モノマーに対して5.0重量%加えた。
次いで、このモノマー溶液を60℃まで昇温したのち、ラジカル重合開始剤として、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩をモノマーに対して1.0重量%添加し、さらに4時間後にも同量添加し、24時間後に重合を完結させた。
【0054】
重合終了後、反応液を冷蔵庫にて、約5℃で1日間放置したところ、白色不溶物が析出したので、それをガラスフィルターでろ別した。この析出物をIRの測定により分析したところ、重合開始剤の分解物であるテトラメチルサクシンイミドであることが確認された。その量は、重合開始剤に対して80.2モル%であった。
一方、モノアリルアミン塩酸塩とジアリルアミン塩酸塩との共重合体の水溶液(ろ液)をGPC法により分析したところ、該共重合体の重量平均分子量は3000、重合率は95.4%であった。
さらに、上記水溶液(ろ液)を室温で1ケ月間放置したが、白色不溶物の析出は見られなかった。
【0055】
比較例3
実施例4において、次亜リン酸ナトリウムを加えなかったこと以外は、実施例4と同様にして、モノアリルアミン塩酸塩とジアリルアミン塩酸塩の共重合を行った。
重合終了後、反応液を冷蔵庫にて、約5℃で1日間放置しても、白色不溶物の析出が見られずモノアリルアミン塩酸塩とジアリルアミン塩酸塩との共重合体の水溶液は均一であった。これをGPC法により分析したところ、該共重合体の重量平均分子量は62000、重合率は97%であった。
さらに、上記共重合体の水溶液を、室温で1ケ月間放置したところ、白色不溶物が析出したので、それをガラスフィルターでろ別した。この析出物をIRの測定により分析したところ、テトラメチルサクシンイミドであることが確認され、その量は重合開始剤に対し、17.6モル%であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、カチオン系単量体を重合して得られるカチオン系重合体水系溶液から、ラジカル重合開始剤を、その変性物であるサクシンイミド誘導体としてほとんど除去することができるので、極めて高純度なカチオン系重合体を得ることができる。これにより、従来法で得られた重合体のように、長期間の保存によって不純物の結晶が析出するという問題点も解消でき、重合体の長期保存性も大きく改善される。
また、本発明によれば、低分子量のモノアリルアミン重合体などの低分子量カチオン系重合体を、ラジカル重合開始剤の濃度を増加させることなく、効率よく製造することができる。

Claims (3)

  1. 水系溶媒中において、カチオン系単量体に対し、0.8〜20重量%の、一般式(I)
    Figure 0004345182
    (式中、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるアゾビス(アミジノアルカン)の付加塩からなるラジカル重合開始剤と、次亜リン酸および/またはその塩の存在下、カチオン系単量体を重合させたのちに、反応液中の上記ラジカル重合開始剤由来のサクシンイミド誘導体を固液分離することにより除去することを特徴とする高純度のカチオン系重合体の製造方法。
  2. ラジカル重合開始剤が2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)付加塩である請求項1に記載の方法。
  3. カチオン系単量体がアリルアミン系単量体である請求項1または2に記載の方法。
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