はじめに、本発明の原理について説明すると、本発明は気泡を大量に含有したフォーム状の液体が極めてかさ密度が低いことに着目した発明である。上述したように、接触塗布手段であるローラ塗布にてローラへのオフセットが生じない塗布を行うためには、塗布ローラ上の定着液層が厚い必要がある。このことは、樹脂微粒子のオフセットが生じない均一塗布には、塗布ローラ表面に定着液の体積がある程度必要であることを意味している。一方、塗布後の媒体上樹脂微粒子層上の定着液量は少ないほうが定着応答性や残液感に優れており、これは定着液の重量が少ないことが望ましいことを意味する。塗布する際は定着液の体積が多く、かつ塗布後の媒体上の定着液重量は少ない条件を満たすためには、定着液の密度が低ければよく、塗布時に体積は多くても、実質的な塗布重量は小さくすることができる。即ち、かさ密度(定着液の重量をその体積で割った値)の低い定着液を使用すれば、本発明の目的を達成可能である。
この原理に着目し、本出願人は上記特許文献4にて、泡状の定着液を中間転写ベルトに塗布する技術を開示し、泡状の定着液による微量塗布を提案した。但し、この特許文献4における技術は、主として定着液の液量を減らすことを目的とし、本願発明の目的であるオフセットや画像流れの防止ではない。また、特許文献4は泡状の定着液を中間転写体上の未定着トナー層に飛翔して付与する構成に留まり、紙等の媒体上の未定着トナーにローラ塗布のごとき接触塗布手段による直接塗布定着の構成や膜厚制御については触れていない。また、ローラ塗布のような接触塗布では、微細な気泡を含有するフォーム状の定着液を未定着トナー画像に均一に薄層で供給することが可能であり、塗布ムラが発生しにくい。更に、定着液に気泡を含有してフォーム状とした定着液によるローラ塗布を検討し、単にフォーム状の定着液を塗布するであるだけでは、ローラ塗布において、樹脂微粒子のローラ面へのオフセット防止に常に効果があるわけではないことが分った。そこで、ローラ塗布手段において、塗布ローラ面上のフォーム状の定着液中の気泡層構成と気泡層を含有する定着液層の膜厚制御がオフセット防止に重要であることを見出した。
図1及び図2はローラ塗布手段においてローラ塗布面と未定着樹脂微粒子が接する部分の拡大図である。なお、図1は塗布ローラ11と記録媒体との接触面での加圧が高い場合であり、図2は加圧が低い場合である。図1の(a)に示すように、塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液12は気泡13の単層構造となっており、かつ図1と図2の気泡径は同じであるため、フォーム状の定着液12の層厚は同図の(b)より薄い。ところが、図1の(a)に示すように気泡13が単層であるため、気泡自身が表面張力により塗布ローラ11の塗布面に付着しやすく、樹脂微粒子15の層へ定着液12が不均一にしか塗布されず、樹脂微粒子15が気泡13に吸着して塗布ローラ11の塗布面にオフセットしてしまう。一方、図1の(b)に示すように、塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液12が複数層の気泡層構造である場合、凹凸を有する未定着トナー15の面への気泡の埋め込みが可能となり、フォーム状の定着液12は気泡13の層間で分離しやすくなり、図1の(b)のごとく、トナー層に均一に塗布可能となり、トナーオフセットを極めて生じにくくすることができる。
よって、塗布ローラ11と記録媒体との接触面での加圧が高い場合、塗布ローラ11に未定着トナー15がオフセットしないようにするためには、予め生成する気泡の平均的な大きさを測定しておき、気泡層が複数層となるように、塗布ローラ11上のフォーム状の定着液層の膜厚を気泡層の複数層分の厚みになるように制御すれば、塗布ローラ11上には必ず複数層の気泡層からなるフォーム状の定着液層が形成され、トナーオフセットの防止を可能となる。
また、塗布ローラ11と記録媒体との接触面での加圧が低い場合、図1の(a)に示すように、塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液12は気泡13の単層構造となっているため、凹凸を有する未定着トナー15の面への気泡が付着しやすくなり、塗布ローラ11の面から気泡層が剥離し、フォーム状の定着液は未定着トナー15に塗布される。一方、図1の(b)に示すように、塗布ローラ11の塗布面でフォーム状の定着液12が複数層の気泡層構造である場合、気泡13どうしの結合が強いため、気泡13は塗布ローラ11側に残りやすく、逆に未定着トナー15が気泡13に付着して、結果として塗布ローラ11の面に未定着トナー15がオフセットする。
よって、塗布ローラ11と記録媒体との接触面での加圧が低い場合、予め気泡の平均的な大きさを測定しておき、塗布ローラ面で単層の気泡層構造のフォーム状の定着液となるように液層厚みを制御すれば、塗布ローラ上には単層の気泡層構造の液膜が形成され、高加圧力条件でトナーオフセットを防止できる。また、塗布ローラ11に未定着トナー15がオフセットしないようにするためには、塗布ローラ11上の気泡層が厚すぎると塗布ローラと記録媒体との接触部に気泡層の流動が生じ、トナー粒子がその流れに沿って移動してしまし、画像が流れる不具合が発生するので、流動性が生じない範囲にフォーム状の定着液層の膜厚を制御することで解決できる。
以上のように、フォーム状の定着液に含有される気泡の大きさ、加圧力に応じて、定着液層の膜厚を制御することで、塗布ローラのような接触塗布手段へのトナーオフセットや画像流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。本発明はこの原理に基づいている。
即ち、本発明は樹脂微粒子の少なくとも一部を溶解又は膨潤させて樹脂微粒子を軟化させる軟化剤を用い、接触塗布手段にて媒体上の当該樹脂微粒子に定着液を塗布ことで当該樹脂微粒子を媒体に定着する方法であり、当該定着液を該媒体上の当該樹脂微粒子表面に付与する際に、当該微粒子に定着液が接する塗布で、当該定着液が気泡を含有したフォーム状形態となっており、更に当該フォーム状の定着液層の膜厚を加圧力に応じて制御することにより、塗布ローラのような接触塗布手段へのトナーオフセットや画像流れを防止し、極めて微小の塗布による定着を可能とすることができる。また、樹脂微粒子として、電子写真技術に用いるトナー微粒子が本発明にとって効果が高く、この樹脂微粒子の層厚に応じてフォーム状の定着液層の膜厚を制御することでオフセットや画像流れを防止できる。
図3は本発明における塗布時のフォーム状の定着液の層構成例を示す概略図である。同図に示す液体21は軟化剤を含有し、液体中に気泡22を含有したフォーム状の構成である。このように、気泡22を大量に含有することで、定着液20のかさ密度は極めて低くすることができる。この構成とすることで、図4に示すように、定着液塗布時は、体積が多い状態で塗布しても、かさ密度が低く、塗布重量は小さいため、その後気泡22が破泡してしまえば、実質的な塗布量は極めて少なくすることができる。なお、本発明におけるフォーム状とは、液体中に気泡が分散し、液体が圧縮性を帯びた状態を示す。
次に、定着液塗布手段について説明する。定着液塗布手段は接触塗布手段である。図5は本発明における定着液塗布手段によってフォーム状の定着液を塗布ローラに塗布する様子を示す概略図である。同図において、樹脂微粒子31はトナー粒子である。塗布ローラ32上にはフォーム状の定着液33の層が形成されており、フォーム状の定着液33の気泡の大きさ及び加圧力、並びに未定着トナーの層厚に応じた最適化した定着液層の膜厚であり、樹脂微粒子31は塗布ローラ32上にオフセットしない。仮に、フォーム状の定着液33は、樹脂微粒子31の層及び記録媒体に厚く塗布されたとしても、フォーム状の定着液33のかさ密度が極めて低いため、所定の泡沫時間経過後に含有している気泡が破泡することで、軟化剤を含有した液体の樹脂微粒子31の層への微量塗布とすることができる。
なお、フォーム状の定着液における気泡含有量は、かさ密度や塗布層の厚みに応じて異なるが、概ね、かさ密度としては、0.01g/cm3〜0.1g/cm3程度の範囲が望ましい。また、気泡層からなるフォーム状の定着液とは、単層または複数の気泡層からなるフォーム状の定着液の意味で、必ずしも明確な層面がなくとも構わない。更に、定着液は、紙等の記録媒体上のトナー等の樹脂微粒子の層への塗布時にフォーム状となっていればよく、保存容器内でフォーム状である必要はない。保存容器中では気泡を含有しない液体で、容器から液を供給する時点や、樹脂微粒子の層へ塗布するまでの液搬送経路でフォーム状にする手段を設ける構成が望ましい。これは、保存容器では液体で、容器から液を取り出した後にフォーム状とする構成のほうが、容器の小型化ができるという大きな利点を有するためである。
ここで、密封容器から液状の定着液を取り出した後に気泡を含有したフォーム状の定着液とする方法について説明する。
第1の方法としては、密封容器内では、軟化剤を含有する液状の定着液を容器から取り出した後、液状の定着液にせん断力を加えて気泡を生成する気泡生成手段で多量の気泡を含有させる方法である。具体例として示す図6は、せん断力を加える手段として攪拌ローラを用いる例を示す。同図の(a)において、フォーム状の定着液供給ローラ41を一旦塗布ローラ42から離脱した状態で、定着液供給ローラ41と攪拌ローラ43のニップ部に、定着液を収納する定着液密閉容器44から液搬送パイプ45を通して液供給口46からの液状の定着液を溜め、そして攪拌ローラ43を回転攪拌することでフォーム状の定着液を形成し、その後定着液供給ローラ41を塗布ローラ42に接触させて塗布ローラ42にフォーム状の定着液を供給する。そして、同図の(a),(b)に示すように、更に塗布ローラ42のローラ面にブレード47によってフォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。
第2の方法として、図7に示すように、液化ガスや圧縮ガスを、軟化剤を含有する液状の定着液とともに密封容器51に入れて、密封容器51に取り付けられたアクチュエータ52及びノズル53から噴出する際に液化ガスや圧縮ガスの膨張により多量の気泡を液中に含有させてフォーム状の定着液を作成し、液搬送パイプを通して液供給口54から、塗布ローラ55と接するブレード56とのニップ部にフォーム状の定着液を供給する。ブレード56と塗布ローラ55との隙間を調整し、塗布ローラ55上のフォーム状の定着液層の膜厚を制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。
第3の方法として、図8に示すように、せん断力を加える手段として攪拌羽61を用い、密封容器62内で、軟化剤を含有する液状の定着液を攪拌しフォーム状の定着液を形成し、加圧ボンベ63から高圧空気を送ってフォーム状の定着液を密封容器62から出し、定着液補給パッド64によって塗布ローラ65の塗布面にフォーム状の定着液を供給する。そして、図8の(a),(b)に示すように、ワイヤーバー66によって塗布ローラ65上のフォーム状の定着液の厚みを制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。なお、長期保存中は気泡がなくなり、密閉容器内で液状であっても、使用直前に攪拌することでフォーム状の定着液にする構成である。
また、第4の方法は、図7に示す塗布ローラに代わりに、塗布ベルト71を用いて記録媒体上の未定着トナーに塗布する方法である。密封容器51に取り付けられたアクチュエータ52及びノズル53から噴出する際に液化ガスや圧縮ガスの膨張により多量の気泡を液中に含有させてフォーム状の定着液を作成し、液搬送パイプを通して液供給口54から、塗布ベルト71と接するブレード56とのニップ部にフォーム状の定着液を供給する。そして、ブレード56と塗布ベルト71のギャップを調整し、塗布ベルト71上のフォーム状の定着液層の膜厚を制御し、フォーム状の定着液の気泡の大きさ及び加圧力から最適化した定着液層の膜厚の制御を行っている。なお、塗布ベルト71としては、例えばシームレスニッケルベルトやシームレスPETファイルなどの基体にPFAのような離型性フッ素樹脂をコートした部材を用いる。なお、これらのローラもしくはベルトを用いた塗布手段において、樹脂微粒子との接触面で、ローラもしくはベルトの移動方向は、樹脂微粒子層の移動方向と同一であることが望ましい。
次に、フォーム状の定着液の接触部材面での厚みの制御方法及び手段について説明する。制御すべき最適膜厚は、フォーム状の定着液を作成する手段により形成された気泡の平均粒径、塗布手段と媒体との接触部での加圧力、液の粘度により決定される。決定された適性液膜範囲に制御する方法としては、ローラ状の回転部材による塗布手段では、塗布手段面とあるギャップを設けてフォーム状の定着液をかきとる方法が適している。例えば、上述した図6のようなブレード47によるかきとりや、上述した図8のようなワイヤーバー66によるかきとりが望ましい。図6のブレード47によるかきとりの構成では、適性膜厚範囲に近いギャップで塗布ローラ42のローラ面とブレード47を配置する。図8のワイヤーバー66によるかきとりの構成では、適性膜厚範囲となるようにワイヤー径を決定する。また、別の厚み制御方法及び手段としては、ローラ状回転部材による塗布面に適性膜厚となるようにフォーム状の定着液を供給する方法がある。図10の(a)では、筒状ステンシル部材81の内部にフォーム状の定着液を保持し、プレスローラ82により押し出しながら塗布部材83の面にフォーム状の定着液を供給する。この時、筒状ステンシル部材81のメッシュ開口径を適性液膜が形成されるように決定する。また、図10の(b)は、グルーブローラ84による供給の例で、グルーブローラ84のグルーブの深さを適性液膜が形成されるように決定する。なお、フォーム状の定着液の接触塗布手段としては、ローラ塗布手段の他に、直接ステンシル塗布やグラビアローラ塗布、回転ワイヤーバー塗布等であっても構わない。これらの手段は何れも、塗布手段そのものが表面にメッシュ状やスジ状や凹凸状の形状を有し、塗布量を制御することで、塗布面と媒体との接触面におけるフォーム状の定着液の液膜を制御することができる。
次に、本発明の定着液の液処方について説明する。本発明のフォーム状の定着液は、上述したように、軟化剤を含有した液体中に気泡を含有した構成である。軟化剤を含有した液体は、気泡を安定に含有し、なるべく均一な気泡の大きさからなる気泡層を構成するフォーム状とするため、起泡剤及び増泡剤を有することが望ましい。また、ある程度粘度が高いほうが、気泡が安定して液体中に分散するため、増粘剤を含有することが望ましい。なお、起泡剤としては、界面活性剤が望ましく、高級脂肪酸アルカリ石けん、例えばステアリン酸Na、パルミチン酸Na、ミリスチン酸Naなどが適する。増泡剤としては、脂肪酸アルカノールアミド型ノニオン性界面活性剤が望ましい。例えば、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミドやヤシ脂肪酸モノエタノールアミドやラウリン酸イソプロパノールアミドなどが望ましい。
また、オフセット防止のためには塗布部でのフォーム状の定着液層の厚みは樹脂微粒子層の厚みより厚いことが望ましい。また、気泡が樹脂微粒子へ付着しやすくするためには樹脂微粒子よりも大きいことが望ましい。樹脂微粒子がトナー粒子の場合、乾式電子写真方式ではトナー粒子は、4〜10μm程度の大きさであり、紙媒体上の未定着トナー層は10〜30μm程度であることから、軟化剤を含有する液体に含有する気泡の大きさは、20μm〜100μm程度が望ましい。
更に、定着液中の液体が起泡剤や増泡剤などの添加剤を除いて大部分が当該軟化剤のみであってもよい。ただし、定着液中の軟化剤含有量が多すぎると樹脂が軟化しすぎて粘着感が強くなる恐れがあるため、定着液中には軟化剤を希釈する希釈溶媒を含有することが望ましい。希釈溶媒は、油性でも水性でも構わない。希釈構成としては、軟化剤が希釈溶媒に溶解した構成や、軟化剤が油性で希釈溶媒が水性でO/Wエマルジョンの構成や、軟化剤が油性で希釈溶媒が水性でW/Oエマルジョンの構成や、軟化剤が油性で希釈溶媒が油性のO/Oエマルジョンであっても構わない。
また、高圧密封容器に定着液を保管する構成では、液化ガスや圧縮ガスが軟化剤を含有する液体に溶解又は分散する構成が望ましい。液化ガスとしては、脂肪族炭化水素類、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジメチルエーテルなどが適する。圧縮性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスなどが適する。
まず、樹脂を溶解又は膨潤することで軟化させる軟化剤は、脂肪族エステルを含む。この脂肪族エステルは、トナー等に含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる溶解性又は膨潤性に優れている。
また、軟化剤については、人体に対する安全性の観点から、その急性経口毒性LD50が3g/kgよりも大きい、更に好ましくは5g/kgであることが好ましい。脂肪族エステルは、化粧品原料として多用されているように、人体に対する安全性が高い。
更に、記録媒体に対するトナーの定着は、密封された環境において頻繁に使用される機器で行われ、軟化剤はトナーの記録媒体への定着後にもトナー中に残留するため、記録媒体に対するトナーの定着は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の発生を伴わないことが好ましい。すなわち、軟化剤は揮発性有機化合物(VOC)及び不快臭の原因となる物質を含まないことが好ましい。脂肪族エステルは、一般に汎用される有機溶剤(トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなど)と比較して、高い沸点及び低い揮発性を有し、刺激臭を持たない。また、脂肪族エステルは、水質汚染を引き起こさないという利点も有する。
なお、オフィス環境等における臭気を高い精度で測定することができる実用的な臭気の測定尺度として、官能測定である三点比較式臭袋法による臭気指数(10×log(物質の臭気が感じられなくなるまでの物質の希釈倍率))を臭気の指標とすることができる。また、軟化剤に含まれる脂肪族エステルの臭気指数は、10以下であることが好ましい。この場合には、通常のオフィス環境では、不快臭を感じなくなる。更に、軟化剤のみならず、定着液に含まれる他の液剤も同様に、不快臭及び刺激臭を有さないことが好ましい。
本発明における定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、飽和脂肪族エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、飽和脂肪族エステルを含む場合には、軟化剤の保存安定性(酸化、加水分解などに対する耐性)を向上させることができる。また、飽和脂肪族エステルは、人体に対する安全性が高く、多くの飽和脂肪族エステルは、トナーに含まれる樹脂を1秒以内で溶解又は膨潤させることができる。更に、飽和脂肪族エステルは、記録媒体に提供されたトナーの粘着感を低下させることができる。これは、飽和脂肪族エステルが、溶解又は膨潤したトナーの表面に油膜を形成するためであると考えられる。
よって、本発明における定着液において、好ましくは、上記の飽和脂肪族エステルの一般式は、
R1COOR2
で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型アルキル基である。
上記の飽和脂肪族エステルが、一般式R1COOR2で表される化合物を含み、R1は、炭素数が11以上14以下のアルキル基であり、R2は、炭素数が1以上6以下の直鎖型もしくは分岐型のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、トリデシル酸エチル、トリデシル酸イソプロピル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族モノカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルの多くについては、油性溶媒では、上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルを溶解した構成となり、水性溶媒では、例えば上記の化合物である脂肪族モノカルボン酸エステルを油相とし、水を主体とする水相とW/OエマルジョンもしくはO/Wエマルジョンを作製し定着液が得られる。
また、本発明における定着方法で用いる定着液において、好ましくは、上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、より短い時間でトナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができる。例えば、60ppm程度の高速印字では、記録媒体における未定着のトナーに定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するまでの時間は、1秒以内であることが望ましい。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸エステルを含む場合には、記録媒体における未定着のトナー等に定着液を付与し、トナーが記録媒体に定着するのに要する時間を、0.1秒以内にすることが可能となる。更に、より少量の、軟化剤の添加によって、トナーに含まれる樹脂を溶解又は膨潤させることができるため、定着液に含まれる、軟化剤の含有量を低減することができる。
よって、本発明における定着方法で用いる定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸エステルの一般式は、
R3(COOR4)2
で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が2以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸エステルが、一般式R3(COOR4)2で表される化合物を含み、R3は、炭素数が3以上8以下のアルキレン基であり、R4は、炭素数が2以上5以下の直鎖型又は分岐型アルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルとしては、例えば、コハク酸エチルヘキシル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。上記の化合物であるこれらの脂肪族ジカルボン酸エステルの多くは、油性溶媒に溶解するが、水には溶解しない。よって、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルの多くについては、油性溶媒では、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルを溶解した構成となり、水性溶媒では、例えば、上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸エステルを油相とし、水を主体とする水相とW/OエマルジョンもしくはO/Wエマルジョンを作製し定着液が得られる。
更に、本発明における定着方法で用いる定着液において、好ましくは上記の脂肪族エステルは、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む。上記の脂肪族エステルが、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを含む場合には、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
本発明における定着方法で用いる定着液において、好ましくは、上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルの一般式は、
R5(COOR6−O−R7)2
で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である。
上記の脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、一般式R5(COOR6−O−R7)2で表される化合物を含み、R5は、炭素数が2以上8以下のアルキレン基であり、R6は、炭素数が2以上4以下のアルキレン基であり、R7は、炭素数が1以上4以下のアルキル基である場合には、トナーに含まれる樹脂に対する溶解性又は膨潤性を向上させることができる。また、上記の化合物の臭気指数は、10以下であり、上記の化合物は、不快臭及び刺激臭を有さない。
上記の化合物である脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルとしては、例えば、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジブトキシエチル、セバシン酸ジエトキシエチル等が挙げられる。これらの脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルを油性溶媒に溶解又は分散させて、油相とし、水を主体とする水相とW/OエマルジョンやO/Wエマルジョンを作製し定着液が得られる。また、水を主体とする水相に溶解する構成でもよい。
なお、定着の対象となる樹脂を含有する微粒子は、トナーに限定されず、樹脂を含有する微粒子であれば何れでもよい。例えば、導電性部材を含有した樹脂微粒子でもよい。また、記録媒体は、記録紙に限定されず、金属、樹脂、セラミックス等何れでもよい。記録媒体の形態もシート状に限定されず、平面及び曲面を有する立体物でもよい。
上記の樹脂を含有する微粒子のうち、電子写真プロセスで用いるトナーは、本発明の定着液との組合せにおいて最も定着への効果が高い。トナーは、色剤と帯電制御剤と結着樹脂や離型剤などのような樹脂を含む。トナーに含まれる樹脂は、特に限定されないが、好適な結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、離型剤としては、例えばポリエチレンなどのワックス成分などが挙げられる。トナーは、結着樹脂の他に、公知の着色剤、電荷制御剤、流動性付与剤、外添剤などを含んでもよい。また、トナーは、メチル基を有する疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子をトナーの粒子の表面に固着させることによって、撥水性処理されていることが好ましい。媒体のうち、記録媒体は、特に限定されず、例えば、紙、布、及び液体透過層を有するOHP用シートのようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。本発明における油性とは、室温(20℃)における水に対する溶解度が、0.1重量%以下である性質を意味する。
また、油性溶媒及び軟化剤は、好ましくは、撥水性処理されたトナーの粒子に対して、十分な親和性を有することが望ましい。ここで、親和性とは、液体が固体に接触したときに、固体の表面に対する液体の拡張濡れの程度を意味する。すなわち、油性溶媒及び軟化剤は、撥水性処理されたトナーに対して十分な濡れ性を示すことが好ましい。疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンのような疎水性微粒子で撥水性処理されたトナーの表面は、疎水性シリカ及び疎水性酸化チタンの表面に存在するメチル基によって覆われており、おおよそ20mN/m程度の表面エネルギーを有する。現実には撥水性処理されたトナーの表面の全面が疎水性微粒子によって完全に覆われてはいないため、撥水性処理されたトナーの表面エネルギーは、おおよそ、20〜30mN/mであると推測される。よって、撥水性トナーに対して親和性を有する(十分な濡れ性を有する)ためには、希釈溶媒及び軟化剤の表面張力は、20〜30mN/mであることが好ましい。このような希釈溶媒として油性の場合は、例えば、フッ素系オイル、パラフィン系溶剤、オレフィン系溶剤、シリコーン系溶剤などが挙げられる。この内、特に、オレフィン系化合物からなる溶剤は、低粘度であっても不揮発であることから、増粘剤の添加で粘度調整ができる点で優れる。また、シリコーン系溶剤のうちジメチルシリコーンは表面張力が極めて小さく、トナーとの親和性が最も優れる。また、本発明における当該油性溶媒及び軟化剤は、不揮発性であることが望ましい。本発明における不揮発性とは、大気圧下で、沸点が260℃以上を有する状態を意味する。沸点が260℃以上であれば、簡易で安価な容器にて定着液を保存していても、定着能力の低下や定着装置を有する画像形成装置内の汚染になるような揮発が発生しない。沸点が260℃未満では、保存容器の密封性や定着装置への液補給経路の密封性を確保する必要があり、装置コストが高くなる。
更に、希釈溶媒として水性溶媒は安全性が高く、環境に配慮した定着液を作製できる。水性溶媒を用いる場合、界面活性剤を添加することで、表面張力を20〜30mN/mとすることが好ましい。また、水性溶媒の場合、単価もしくは多価アルコールを含有していることが望ましい。これらの材料は、フォーム状の定着液における気泡の安定性を高め、破泡しにくくする利点を有する。例えばセタノールなどの単価アルコールや、グリセンリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコールなどの多価アルコールが望ましい。
また、軟化剤と希釈溶媒とでO/WエマルジョンやW/Oエマルジョンを形成する場合、具体的な分散剤としては、ソルビタンモノオレエートやソルビタンモノステレートやソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステルやショ糖ラウリン酸エステルやショ糖ステアリン酸エステルなどのショ糖エステルなどが望ましい。
ここで、希釈溶媒中での軟化剤を分散させるため方法としては、例えば、回転羽根によるホモミキサーやホモジナイザーのような機械的に攪拌する手段、及び超音波ホモジナイザーのような振動を与える手段が挙げられる。いずれにしても、強いせん断応力を希釈溶媒の軟化剤に加えることで分散させる。
本発明における定着方法で用いる定着液において、好ましくは、上記のW/Oエマルジョン又はO/Wエマルジョン又はO/Oエマルジョン定着液中の油相を形成する油性溶媒は、ジメチルシリコーンを含む。上記の油性溶媒が、ジメチルシリコーンを含む場合には、特に撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有し、撥水性処理されたトナーを、顕著に濡らすことができる。すなわち、シリコーン系溶剤であるジメチルシリコーンは、20mN/m程度の低い表面張力を有し、撥水性処理されたトナーに対して高い親和性を有する。その結果、本発明における定着液を、記録媒体における撥水性処理されたトナーに付与するとき、撥水性処理されたトナーによって形成される画像の乱れを、低減することができる。また、ジメチルシリコーンは、無臭であり、人体に対する安全性が高い。このため、油性溶媒としてジメチルシリコーンを含む定着液を、人体に対して安全且つ無臭な定着液にすることが可能となる。例えば、20mPa・秒以上の粘度を有するジメチルシリコーンは、低い揮発性を有し、ジメチルシリコーンを油性溶媒として含む定着液の液滴を、撥水性処理されたトナーの層へ付与したとき、トナー層の乱れが、ほとんど発生しない。なお、ジメチルシリコーンを希釈溶媒とするO/Oエマルジョン又はW/Oエマルジョン定着液の分散剤としては、ポリエーテル変性シリコーンやポリオール変性シリコーンが望ましい。
また、トナーの定着装置は、定着液をトナーに供給した後、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって溶解又は膨潤したトナーを加圧する、一対の平滑化ローラ(ハードローラ)を有してもよい。一対の平滑化ローラ(ハードローラ)によって、溶解又は膨潤したトナーを加圧することによって、溶解又は膨潤したトナーの層の表面を平滑化して、トナーに光沢を付与することが可能となる。更に、記録媒体内へ溶解又は膨潤したトナーを押し込むことによって、記録媒体に対するトナーの定着性を向上させることができる。
画像形成装置において、上述した画像形成方法を用いて、樹脂を含むトナーの画像を記録媒体に形成する。よって、この画像形成装置によれば、それぞれ、上述したように、本発明の定着方法で用いるフォーム状の定着液を用いて、より効率的にトナーを記録媒体に定着させることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
図11は画像形成装置の構成を示す概略図である。同図に示す画像形成装置は複写機又はプリンタであってもよい。図11の(a)はカラー電子写真のタンデム方式の画像形成装置全体の概略図であり、図11の(b)は図11の(a)の画像形成装置の1つの画像形成ユニットの構成を示す図である。図11の(a),(b)に示す画像形成装置90はトナー像担持体として中間転写ベルト91を有する。この中間転写ベルト91は、3つの支持ローラ92〜94に張架されており、図中の矢印Aの方向に回転する。この中間転写ベルト91に対しては、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像形成ユニット95〜98が配列されている。これら画像形成ユニットの上方には、図示していない露光装置が配置されている。例えば、画像形成装置が複写機である場合には、スキャナで原稿の画像情報を読み込み、この画像情報に応じて、各感光体ドラム上に静電潜像を書き込むための各露光L1〜L4が露光装置により照射される。中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ94に対向する位置には、二次転写装置99が設けられている。二次転写装置99は、2つの支持ローラ100,101の間に張架された二次転写ベルト102で構成されている。なお、二次転写装置99としては、転写ベルト以外に転写ローラを用いてもよい。また、中間転写ベルト91を挟んで中間転写ベルト91の支持ローラ92に対向する位置には、ベルトクリーニング装置103が配置されている。ベルトクリーニング装置103は、中間転写ベルト91上に残留するトナーを除去するために配置されている。
記録媒体としての記録紙104は、一対の給紙ローラ105で二次転写部へ導かれ、トナー像を記録紙104に転写する際に、二次転写ベルト102を中間転写ベルト91に押し当てることによって、トナー像の転写を行う。トナー像が転写された記録紙104は、二次転写ベルト102によって搬送され、記録紙104に転写された未定着のトナー像は、図示していない露光装置からの画像情報に基づいて本発明のフォーム状の定着液の膜厚を制御するトナーの定着装置によって定着される。すなわち、記録紙104に転写された未定着のトナー像には、図示していない露光装置からの画像情報、例えばカラー画像又は黒ベタ画像に基づいてフォーム状の定着液層の膜厚が制御されたトナーの定着装置から供給される本発明におけるフォーム状の定着液が付与され、フォーム状の定着液に含まれる、トナーに含まれる樹脂の少なくとも一部を溶解又は膨潤させる部剤(軟化剤)によって、未定着のトナー像を、記録紙104に定着させる。
次に、画像形成ユニットについて説明する。図11の(b)に示すように、画像形成ユニット95〜98には、感光体ドラム106の周辺に、帯電装置107、現像装置108、クリーニング装置109及び除電装置110が配置されている。また、中間転写ベルト91を介して、感光体ドラム106に対向する位置に、一次転写装置111が設けられている。また、帯電装置107は、帯電ローラを採用した接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置107は、帯電ローラを感光体ドラム106に接触させて、感光体ドラム106に電圧を印加することにより、感光体ドラム106の表面を一様に帯電する。この帯電装置107としては、非接触のスコロトロン等を採用した非接触帯電方式の帯電装置を採用することもできる。また、現像装置108は、現像剤中のトナーを感光体ドラム106上の静電潜像に付着させ、静電潜像を可視化させる。ここで、各色に対応するトナーは、それぞれの色に着色された樹脂材料からなり、これらの樹脂材料は、本発明における定着方法で用いる定着液により溶解又は膨潤する。なお、現像装置108は、図示しない攪拌部及び現像部を有し、現像に使用されなかった現像剤は、攪拌部に戻され、再利用される。攪拌部におけるトナーの濃度は、トナー濃度センサによって検出され、トナーの濃度が、一定であるように制御されている。更に、一次転写装置111は、感光体ドラム106上で可視化されたトナーを中間転写ベルト91に転写する。ここでは、一次転写装置111としては、転写ローラを採用しており、転写ローラを、中間転写ベルト91を挟んで感光体ドラム106に押し当てている。一次転写装置111としては、導電性ブラシ、非接触のコロナチャージャー等を採用することもできる。また、クリーニング装置109は、感光体ドラム106上の不要なトナーを除去する。クリーニング装置109としては、感光体ドラム106に押し当てられる先端を備えたブレードを用いることができる。ここで、クリーニング装置109によって回収されたトナーは、図示しない回収スクリュー及びトナーリサイクル装置によって、現像装置108に回収され、再利用される。更に、除電装置110は、ランプで構成されており、光を照射して感光体ドラム106の表面電位を初期化する。
次に、本発明の定着方法における定着液の具体例について説明する。
[具体例1]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 59wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
5wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ ダウコーニングシリコーン SS2802) 1wt%
増粘剤:プロピレングリコール 30wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 2wt%
起泡剤:アルキル硫酸ナトリウム 2wt%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1wt%
上記成分比にて混合攪拌し溶液を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
液化ガス(LPG) 5wt%
上記成分比にて大気開放用のアクチュエータ部とノズル部を有する密封容器に混合し、攪拌によりO/Wエマルジョン液を作製した。
<塗布装置>
図7に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。ブレードと塗布ローラとのギャップは75μmと150μmの2通りに設定した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30)
ブレード:SUS製シート
紙搬送速度:150mm/s
加圧ローラと塗布ローラ間の加重:片側196N
そして、高圧密封容器から噴射しフォーム状となった定着液を、チューブを通してブレードと塗布ローラの隙間に供給した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.06g/cm3であった。
ここで、ブレードと塗布ローラとのギャップを75μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、塗布ローラ上には約100μmのフォーム状の定着液層が形成された。図12の(a)示すように、光学顕微鏡観察から、定着液中の気泡は30μm〜100μmの範囲で分布し、70μm付近の気泡が最も多い状態であり、塗布ローラ面に対し単層の気泡層となっていた。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを150μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、塗布ローラ上には約200μmのフォーム状の定着液層が形成された。図12の(b)に示すように、光学顕微鏡観察から、定着液中の気泡は30μm〜100μmの範囲で分布し、70μm付近の気泡が最も多い状態であり、塗布ローラ面に対し複数層の気泡層となっていた。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、図7に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、ブレードと塗布ローラとのギャップを75μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を100μmに制御した場合、つまり単層の気泡層のフォーム状の定着液の場合、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。また、PPC用紙に残液感がほとんどなく、紙のカールもほとんど発生しなかった。更に、塗布ローラへのトナーオフセットもほとんど観察されなかった。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを150μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を200μmに制御した場合、つまり複数層の気泡層のフォーム状の定着液の場合、塗布ローラにトナー層の大部分がオフセットしてしまい、著しい画像劣化が発生した。以上のように、塗布ローラ上のフォーム状の定着液層の膜厚を適性範囲に制御することで、オフセットの発生しない定着応答性に優れる定着が可能であることを確認した。
[具体例2]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 59wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
5wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ ダウコーニングシリコーン SS2802) 1wt%
増粘剤:プロピレングリコール 30wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 2wt%
起泡剤:アルキル硫酸ナトリウム 2wt%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1wt%
上記成分比にて混合攪拌し溶液を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
液化ガス(LPG) 5wt%
上記成分比にて密封容器に混合し、攪拌によりO/Wエマルジョン液を作製した。
<塗布装置>
図7に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。ブレードと塗布ローラとのギャップは100μmと250μmの2通りに設定した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30)
ブレード:SUS製シート
紙搬送速度:150mm/s
加圧ローラと塗布ローラ間の加重:片側196N
そして、密封容器から定着液をチューブを通して攪拌ローラに供給し、十分攪拌してフォーム状の定着液を作製し、塗布ローラに塗布した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.1g/cm3であった。また、気泡の平均的な大きさは80μm程度であった。ブレードと塗布ローラとのギャップを100μmとして液膜を制御した場合、約130μmのフォーム状の定着液層が形成された。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを250μmとして液膜を制御した場合、約300μmのフォーム状の定着液層が形成された。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、図7に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、ブレードと塗布ローラとのギャップを100μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を130μmに制御した場合、塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。また、PPC用紙に残液感がほとんどなく、紙のカールもほとんど発生しなかった。更に、塗布ローラへのトナーオフセットもほとんど観察されなかった。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを250μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を300μmに制御した場合は、トナー流れによる画像が流れて著しい画像劣化が発生した。
[具体例3]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 59wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
5wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ ダウコーニングシリコーン SS2802) 1wt%
増粘剤:プロピレングリコール 30wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 2wt%
起泡剤:アルキル硫酸ナトリウム 2wt%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1wt%
上記成分比にて混合攪拌し溶液を作製した。
<塗布装置>
図6に示すような、密封容器から定着液を取り出し作成し、液攪拌ローラで攪拌してフォーム状の定着液を形成する構成とした。ブレードと塗布ローラとのギャップは50μmと100μmの2通りに設定した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30)
フォーム状の定着液供給ローラ及び攪拌ローラ:プロピレン樹脂を被覆したアルミ製ローラ(φ20)
紙搬送速度:150mm/s
加圧ローラと塗布ローラ間の加重:片側490N
そして、密封容器から定着液をチューブを通して攪拌ローラに供給し、十分攪拌してフォーム状の定着液を作製し、塗布ローラに塗布した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.1g/cm3であった。また、気泡の平均的な大きさは、100μm程度であった。ブレードと塗布ローラとのギャップを100μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、約130μmのフォーム状の定着液層が形成された。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを50μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、約70μmのフォーム状の定着液層が形成された。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、図6に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、ブレードと塗布ローラとのギャップを100μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を130μmに制御した場合、塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。また、PPC用紙に残液感がほとんどなく、紙のカールもほとんど発生しなかった。更に、塗布ローラへのトナーオフセットもほとんど観察されなかった。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを50μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を70μmに制御した場合、ローラ面にトナーがオフセットし著しい画像劣化が発生した。
[具体例4]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 59wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
5wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ ダウコーニングシリコーン SS2802) 1wt%
増粘剤:プロピレングリコール 30wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 2wt%
起泡剤:アルキル硫酸ナトリウム 2wt%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1wt%
上記成分比にて混合攪拌し溶液を作製した。
<塗布装置>
図8に示すような、密封容器内に攪拌羽を設け、定着液にせん断力を加えるように攪拌し、フォーム状の定着液を作製した。その液を加圧ボンベより圧縮空気を送り、定着液補給パッドに供給パイプを介して供給した。ワイヤーバーのワイヤー径を0.2mmと0.3mmに設定した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30)
加圧ローラと塗布ローラ間の加重:片側490N
紙搬送速度:150mm/s
攪拌羽の回転数:3000rpm
そして、フォーム状の定着液のかさ密度は0.03g/cm3であった。気泡の大きさは、60μm程度であった。塗布ローラ上にはワイヤー径0.2mmのワイヤーバーを接触させ定着液をかきとり、約100μmのフォーム状の定着液層を形成した。一方、ワイヤー径0.3mmのワイヤーバーを接触させてかきとる構成も行い、この場合、約300μmのフォーム状の定着液層を形成した。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、図8に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、フォーム状の定着液の膜厚を100μmに制御した場合、塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。また、PPC用紙に残液感がほとんどなく、紙のカールもほとんど発生しなかった。更に、塗布ローラへのトナーオフセットもほとんど観察されなかった。一方、フォーム状の定着液の膜厚を300μmに制御した場合、トナー流れによる画像が流れて著しい画像劣化が発生した。
[具体例5]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 59wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
5wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ ダウコーニングシリコーン SS2802) 1wt%
増粘剤:プロピレングリコール 30wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 2wt%
起泡剤:アルキル硫酸ナトリウム 2wt%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1wt%
上記成分比にて混合攪拌し溶液を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
液化ガス(LPG) 5wt%
上記成分比にて密封容器に混合し、攪拌によりO/Oエマルジョン液を作製した。
<塗布装置>
図9に示すような塗布ベルトにより未定着トナー層にフォーム状の定着液を塗布した。ブレードと塗布ベルトとのギャップは75μmと150μmの2通りに設定した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ベルト:PFA樹脂を焼付け塗装した厚み100μmのニッケル製シームレスフィルム
加圧ローラと塗布ローラとの加重:片側196N
塗布ベルトのベルトニップ幅:10mm
紙搬送速度:300mm/s
そして、ブレードと塗布ベルトとのギャップを75μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、塗布ベルト上には約100μmのフォーム状の定着液層を形成した。フォーム状の定着液中の気泡の大きさは、30〜100μmの範囲で分布し、70μm付近の気泡が最も多い状態であり、気泡層は単層となっていた。一方、ブレードと塗布ベルトとのギャップを150μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、塗布ベルト上には約200μmのフォーム状の定着液層を形成した。フォーム状の定着液中の気泡の大きさは、30〜100μmの範囲で分布し、70μm付近の気泡が最も多い状態であり、気泡層は複数層となっていた。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、図9に示す定着装置を用いてベルト塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、フォーム状の定着液の膜厚を100μmに制御した場合、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。また、PPC用紙に残液感がほとんどなく、紙のカールもほとんど発生しなかった。更に、塗布ローラへのトナーオフセットもほとんど観察されなかった。一方、フォーム状の定着液の膜厚を200μmに制御した場合、塗布ベルトにトナー層の大部分がオフセットしていまい、著しい画像劣化が発生した。以上のように、塗布ベルト上のフォーム状の定着液層の膜厚を適正範囲に制御することで、オフセットの発生しない定着応答性に優れた定着が可能であることを確認した。更に、塗布部材をベルト形状とし塗布面ニップ幅を広くとったことにより、ローラ塗布に比べて2倍の速度でオフセット無しに定着液を塗布することができた。
[具体例6]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:アジピン酸ジイソブチル(高級アルコール工業社 KEK−DiBA) 5wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ ダウコーニングシリコーン SS2802) 2wt%
分散剤:POEソルビタンモノステアレート(花王 レオドール TW−S120V) 5wt%
増粘剤:プロピレングリコール 30wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 2wt%
起泡剤:イソステアリルオクチルドデカネート 2wt%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1wt%
上記成分比にて混合し、超音波ホミジナイザー攪拌しO/Wエマルジョン分散液を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
液化ガス(LPG) 5wt%
上記成分比にて密封容器に混合し、振動攪拌によりO/Wエマルジョン液を作製した。
<塗布装置>
図7に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。ブレードと塗布ローラとのギャップは75μmと150μmの2通りに設定した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30)
ブレード:SUS製シート
紙搬送速度:150mm/s
加圧ローラと塗布ローラ間の加重:片側196N
そして、高圧密封容器から噴射しフォーム状となった定着液を、チューブを通してブレードと塗布ローラの隙間に供給した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.06g/cm3であった。
ここで、ブレードと塗布ローラとのギャップを75μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、塗布ローラ上には約100μmのフォーム状の定着液層が形成された。図12の(a)示すように、光学顕微鏡観察から、定着液中の気泡は30μm〜100μmの範囲で分布し、70μm付近の気泡が最も多い状態であり、塗布ローラ面に対し単層の気泡層となっていた。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを150μmとしてフォーム状の定着液層の膜厚を制御した場合、塗布ローラ上には約200μmのフォーム状の定着液層が形成された。図12の(b)に示すように、光学顕微鏡観察から、定着液中の気泡は30μm〜100μmの範囲で分布し、70μm付近の気泡が最も多い状態であり、塗布ローラ面に対し複数層の気泡層となっていた。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、図7に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、ブレードと塗布ローラとのギャップを75μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を100μmに制御した場合、つまり単層の気泡層のフォーム状の定着液の場合、定着液塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。また、PPC用紙に残液感がほとんどなく、紙のカールもほとんど発生しなかった。更に、塗布ローラへのトナーオフセットもほとんど観察されなかった。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを150μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を200μmに制御した場合、つまり複数層の気泡層のフォーム状の定着液の場合、塗布ローラにトナー層の大部分がオフセットしてしまい、著しい画像劣化が発生した。以上のように、塗布ローラ上のフォーム状の定着液層の膜厚を適性範囲に制御することで、オフセットの発生しない定着応答性に優れる定着が可能であることを確認した。
[具体例7]
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
<定着液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:アジピン酸ジイソブチル(高級アルコール工業社 KEK−DiBA) 5wt%
浸透剤:ポリエーテル変性シリコーン(東レ ダウコーニングシリコーン SS2802) 2wt%
分散剤:POEソルビタンモノステアレート(花王 レオドール TW−S120V) 5wt%
増粘剤:プロピレングリコール 30wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 2wt%
起泡剤:イソステアリルオクチルドデカネート 2wt%
pH調整剤:トリエタノールアミン 1wt%
上記成分比にて混合し、超音波ホミジナイザー攪拌しO/Wエマルジョン分散液を作製した。
◇高圧密封容器への封入
軟化剤を含有する液体 95wt%
液化ガス(LPG) 5wt%
上記成分比にて密封容器に混合し、振動攪拌によりO/Wエマルジョン液を作製した。
<塗布装置>
図7に示すような、密封容器からフォーム状の定着液を作成しブレードに供給する構成とした。ブレードと塗布ローラとのギャップは100μmと250μmの2通りに設定した。
加圧ローラ:アルミ製ローラ(φ30)
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30)
ブレード:SUS製シート
紙搬送速度:150mm/s
加圧ローラと塗布ローラ間の加重:片側196N
そして、密封容器から定着液をチューブを通して攪拌ローラに供給し、十分攪拌してフォーム状の定着液を作製し、塗布ローラに塗布した。フォーム状の定着液のかさ密度は0.1g/cm3であった。また、気泡の平均的な大きさは80μm程度であった。ブレードと塗布ローラとのギャップを100μmとして液膜を制御した場合、約130μmのフォーム状の定着液層が形成された。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを250μmとして液膜を制御した場合、約300μmのフォーム状の定着液層が形成された。
プリンタとしてIpsioColorCX8800(リコー社製)を用い、未定着トナーのカラー画像が形成されたPPC用紙に、図7に示す定着装置を用いてローラ塗布し、10秒後に、画像の表面をウエスで擦り、ウエスへのトナーの付着の有無によって、PPC用紙に対するトナーの定着の程度を判定した。
その結果、ブレードと塗布ローラとのギャップを100μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を130μmに制御した場合、塗布後10秒後にウエスで擦って、ウエスにトナーが付着しなかった。また、PPC用紙に残液感がほとんどなく、紙のカールもほとんど発生しなかった。更に、塗布ローラへのトナーオフセットもほとんど観察されなかった。一方、ブレードと塗布ローラとのギャップを250μmとしてフォーム状の定着液の膜厚を300μmに制御した場合は、トナー流れによる画像が流れて著しい画像劣化が発生した。
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。