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JP4320710B2 - 極異方性リング磁石および成形金型 - Google Patents

極異方性リング磁石および成形金型 Download PDF

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JP4320710B2
JP4320710B2 JP2003071550A JP2003071550A JP4320710B2 JP 4320710 B2 JP4320710 B2 JP 4320710B2 JP 2003071550 A JP2003071550 A JP 2003071550A JP 2003071550 A JP2003071550 A JP 2003071550A JP 4320710 B2 JP4320710 B2 JP 4320710B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段成形を行う必要のない極異方性リング磁石および成形金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
サーボモータ等の回転機にラジアル異方性リング磁石や極異方性リング磁石が多く使用されている。極異方性リング磁石を使用した場合、同一寸法のラジアル異方性リング磁石に比べて高い表面磁束密度を得られ、小型でより高性能のモータを提供することができる。例えば特公平8−28293号公報には極異方性リング磁石の記載がある。
永久磁石を用いたモータにおいては、、固定子と回転子の間の磁気抵抗が回転角によって変化するためにコギングが発生しやすい。特に極異方性リング磁石の磁極数が4〜8極と少ない場合にはコギングトルクが著しいものとなる。このコギングトルクは磁束密度の2乗に比例するので、コギングトルクを小さくするためには、ギャップ部の周方向の磁束波形を滑らかにすることが必要である。ラジアル異方性リング磁石を使用する場合、着磁の際にスキュー着磁とすることによりコギングを抑制する手法が一般的である。
しかしながら表面磁束密度の高い極異方性リング磁石ではラジアル異方性リング磁石と異なり、成形の配向時から着磁可能な方向が決まってしまう。配向は圧縮成形をしながら行うため成形体の磁極間のバラツキが出易く、また、着磁での調整を行うことができない。よってコギングを抑制するための対策が必要である。
例えば特公平8−28293号公報には磁極数Pが4〜8の極異方性リング磁石が記載され、また、各磁極部が軸線に対して一律に5°以上傾斜している極異方性リング磁石記載されている。しかしながら、この極異方性リング磁石を実際に製造すると、磁極部が軸線に対して傾斜しているため、金型中で磁粉を配向しながら圧縮成形する際に、初期段階で配向した時の磁極部形状が圧縮されるにつれて変形したり、磁極との磁気吸引力によって部分的に再度配向して配向が乱れるなどの問題があった。又、焼結時の収縮率のバラツキにより磁極同士の間隔およびスキュー角がバラツキ、その結果モータのコギングトルクを一定にしづらいという欠点があった。
この対策として複数の極異方性リング磁石を用い、磁極をずらして軸方向に積層する例が見られる。特開平8−340652号公報には極異方性リング磁石を軸線方向に複数個に分割して磁極をずらしたあと着磁して、みかけのスキュー着磁をしたサーボモータの記載があるが、コギングトルクを小さくするためのずらし角度の制御に関する記載がない上、各々の極異方性リング磁石を固着する手間がかかる。極異方性リング磁石製造コストは安いがロータへの組み付け加工費が別途必要である。
また、特開平11−8960号公報では、ずらし角度を制御するために磁界発生部の磁気センターを、複数個の治具間においてコギングトルクが逆位相になる角度だけずらした磁極ずらし治具を用いることによりずらし角度を制御している。この方式では治具から抜き出すときに極異方性リング磁石が回転しないように接着等の固定手段をとる必要があり生産性が悪い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
よって本発明の課題は磁極間隔のバラツキが少なく、もってコギングトルクのバラツキが小さく、多段成形せず得られる極異方性リング磁石および成形金型を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の極異方性リング磁石は、1段成形してなる極異方性リング磁石であって、前記リング磁石は軸方向に沿う複数の磁極を有し、及び前記リング磁石の1磁極毎に、軸方向の両端にそれぞれ軸方向に平行な磁極部を有し、更に前記の平行な磁極部の間に軸方向に対して傾斜したらせん状磁極部を有し、かつ前記らせん状磁極部の軸方向長さは前記の平行な磁極部の軸方向長さより短いことを特徴とする。
前記本発明の極異方性リング磁石において、前記らせん状磁極部における隣接する磁極の境界線(中立線)に対し、前記の平行な磁極部における隣接する磁極の境界線(中立線)の傾斜角度αが85°以下であることを特徴とする。
多段成形による接合部があるか否かは本発明の極異方性リング磁石の軸方向に沿って表面磁束密度を測定することで判別可能である。つまり1段成形であれば成形する際に磁粉の供給密度はほぼ一律になるため、焼結しても前記極異方性リング磁石の胴部分で密度が変わることがない。よって前記極異方性リング磁石の端部での表面磁束密度は落込むものの、胴部分で表面磁束密度が5%以上ばらつくことはない。多段成形になるとキャビティ中の磁粉がパンチにより複数回に分けて圧縮されるため、パンチにより押された部分と新たに磁粉が供給された部分で密度差が若干変わり、胴部分で表面磁束密度が5%以上さらには8%以上ばらつく。よってこの表面磁束密度を測定することによって多段成形か1段成形かの違いを判別可能である。
【0005】
本発明の成形金型は、極異方性リング磁石の1段成形体を成形する金型であって、
軸方向に貫通した中空部を有するダイスと、前記中空部に面した前記ダイスの内周面に形成された複数の溝と、前記溝に埋設された磁場発生用コイルと、前記ダイスの内周面及び前記溝を覆うように配置されたスペーサと、前記ダイスの中空部に配置されて前記ダイスの軸方向に沿って延設されたコアと、前記スペーサと前記コアとの間に形成されたキャビティとを有し、
成形時の前記キャビティに発生する極異方性配向磁束のうちの1磁極に対応する極異方性配向磁束は、前記磁場発生用コイルの1つのコイル毎に発生し、前記1つのコイルにおける前記ダイスの軸方向に沿う巻線部分は、前記ダイスの軸方向に平行な巻線部分と、前記の平行な巻線部分の間に形成された前記ダイスの軸方向に対して傾斜した巻線部分とからなることを特徴とする。
前記本発明の成形金型において、前記の傾斜した巻線部分の軸方向長さは前記の平行な巻線部分の軸方向長さより短いことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
ここで本発明の利点を図1、2および図7を用いて詳細に説明する。図2および図7中、符号1は金型、2b,2c,2dは配向磁場を得るためのコイル、3は上パンチ、4は下パンチである。上パンチ3、下パンチ4および金型1により囲まれたキャビティ10内に成形材料5aを充填している。また、図中の符号6は成形時の配向による磁極と磁極との境界を示す中立線である。らせん状配向させた極異方性リング磁石を得る場合、従来の技術および図7で示したように軸に対して磁極部がほぼ一律傾斜するように配向すると、成形始めの段階(図7(a))では配向磁場に沿って成形材料5aが配向されるが、上パンチ3と下パンチ4により成形材料5aが圧縮された成形後の段階(図7(b))では最初の配向磁場とは異なる角度に中立線6がひずむため、磁極間距離もこのひずみによりバラツキが出易い。成形材料が最終の成形品形状にまで圧縮させられた後に配向磁場をかけても成形材料は配向しない。逆に成形圧縮による磁極部のひずみを計算に入れて圧縮成形しようとすると、金型キャビティ内に入れる成形材料の量を厳密に制御する必要があり、工業生産上では実質困難である。
【0007】
本発明の極異方性リング磁石では図1(模式的に円筒上で示す)に示すように、軸方向に平行な磁極部(以後、平行磁極部とする)AおよびCを持つようにコイル2bが金型内に具備される。これにより図2に示すように圧縮成形により成形材料が押し縮められても磁極部AおよびCでの中立線の幅,方向は実質変わらず密度が向上するだけである。らせん状配向させた磁極部は従来に比べて僅かであり、磁極バラツキを抑制した極異方性リング磁石を製造可能である。
【0008】
距離をあけずに相互の平行磁極部同士を接合すると、焼結時の収縮率による割れが発生しやすい。これを抑制するためにはある程度のらせん状配向させた磁極部の幅を設けることが好ましい。当然ながら磁極部は連続するように平行磁極部とらせん状磁極部を並べればこの焼結時の収縮率による割れをさらに低減できる。この際の配向コイルは図1に示す中立線6aに重なるように金型内に巻線すればよく、極異方性リング磁石の端部から端部まで通して1磁極1つのコイルで構成可能である。
【0009】
上記製法により図1に示すような磁極の位置および反転位置(中立線)が両端部で軸方向に平行で、且つ周方向に斜めに走る極異方性リング磁石が得られる。成形の際には、らせん状配向する位置の磁粉が金型に対して動かないようにキャビティの磁粉を両端から同じ距離だけ押しこむ圧縮成形をすることにより、配向の乱れが非常に小さい、一定のずれ角を有する1段成形してなる極異方性リング磁石用成形体を得られる。
【0010】
図1中の中間部分Bの軸方向長さは磁極間のバラツキが出易いので短い方が好ましいが、あまりに短いと焼結時の収縮率による割れを抑制できなくなる。成形材料、配向度などにより適宜選択する必要がある。例えばR−T−B系(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種である)極異方性リング磁石において、平行磁極部における隣接する磁極の境界線(中立線)に対するらせん状磁極部における隣接する磁極の境界線(中立線)の傾斜角度αは85°以下が好ましい。好ましい傾斜角度は80°以下、さらに好ましくは70°以下である。軸方向長さは0.3mm以上とすることが好ましい。
また、比較的焼結割れしやすいフェライト磁石において、傾斜角度αは60°以下が好ましい。好ましい傾斜角度は55°以下、さらに好ましくは45°以下である。軸方向長さは0.5mm以上とすることが好ましい。
多段成形のものと比較すると1つの成形機に対する単位時間での成形個数が大幅に向上し、多段成形品よりも磁極部のバラツキを抑制可能である。
【0011】
ただし、ボンデッド磁石であれば成形後の硬化工程を行っても収縮率による割れは発生しずらい。よって図8に示すような中立線6bをもつ極異方性リング磁石を得ることが可能である。また、配向磁場を低目にかけ、収縮割れを抑制することも可能である。これによりコギングトルクの小さい極異方性リング磁石を得ることができる。
【0012】
本発明の極異方性リング磁石は例えば以下の工程により製造される。
(1)焼結磁石:原料粉作製−給粉−極異方性磁場中成形−焼結(必要により熱処理、加工、表面処理が追加される)
(2)ボンデッド磁石
(圧縮成形):原料コンパウンド作製−給粉−極異方性磁場中成形−硬化(必要により加工、表面処理が追加される)
(射出成形):原料コンパウンド作製−極異方性磁場中射出成形−冷却(必要により加工、表面処理が追加される)
【0013】
本発明の極異方性リング磁石を幾何学的に示す。図1に示すように極異方性リング磁石の中心軸をr−θ−z円筒座標系のz軸に一致させ、極異方性リング磁石の一端をz=0平面に接触させ、前記極異方性リング磁石をz軸に垂直に仮想的に3分割しzの小さい方からA,B,Cと名づけたとき、Aの磁極部のθ成分がz軸方向にほぼ一定のθaで、反対端Cの対応する磁極部のθ成分がz軸方向にほぼ一定のθcで、中間部分(らせん状磁極部)Bの磁化困難方向がθaからθcに連続的に変化していることを特徴とするものである。また、前記AおよびBの磁極部のθ成分の絶対値|θc−θa|(ずらし角)がAおよびBの平均極間角度の5%以上50%以下である。
【0014】
コギングを小さくするためには、らせん状磁極部の軸方向長さ極異方性リング磁石全体の軸方向長さの1〜30%以下であることが望ましい。
【0015】
図2は本発明に用いる金型の断面模式図である(但し、成形体の側面の配向状態を示す)。磁粉を円筒状の金型1内に給粉後、上パンチ3と下パンチ4を所定の位置に配置する。その後磁粉の外周面に接する金型側面に周方向に周期的にN極とS極を発生させる。このN極とS極は軸方向に対して傾斜が実質的に0°である平行磁極部とらせん状磁極部がある。コイル2bは極間の中立線6a上部に巻き回されるように金型内に配置されている。極異方性配向された磁粉を上パンチ3および下パンチ4により軸方向に圧縮する事で成形工程が完了する。その際平行磁極部の互いの軸方向長さが一定なるように上パンチ3および下パンチ4の両方からパンチを押し込むように移動させる。その後の取り扱いを容易にするために圧縮した後で脱磁する
【0016】
極異方性を付与する磁場中成形においては、磁極間の磁束は図3に示すようにキャビティ10内を円弧状に流れ磁気異方性をもった粒子円弧に沿って配列させる。極異方性リング磁石の成形では配向により磁化されやすい方向が決まっている。焼結後に着磁して表面磁束密度を周方向に測定すると、磁束密度の周期的なピークが観察される。中立線6aは磁極が切り替わる位置をつないだ線として定義できる。この線はマグネットビューワを用いて見る事ができる。また、着磁された微小磁石との吸引力測定、X線やカー効果を利用した観察により、焼結後の着磁前の状態であっても中立線を測定可能である。
8極異方性R−T−B系焼結リング磁石の中立線を測定し、θ−z座標に展開した結果を図4に示す。z軸に平行な2本の線分の端面がz軸に平行でない線分で連結されている。このような中立線は極数に等しい数存在する。屈曲点を通るθ軸に平行な2本の直線を引くことによりθの異なる3つの領域(A,B,C)に分ける事ができる。
Aの領域ではθm=θa+2πm÷n(nは極数、mはからnまでの整数)
Cの領域ではθm=θc+2πm÷n(nは極数、mはからnまでの整数)
で表現できる。らせん状磁極部Bの領域は平行磁極部AとCの中間遷移状態である。
θa、θcは生産上避けられないバラツキを含む事ができる。典型的なバラツキの値は極間角度の3%以内、さらには2%以内である。Bの領域では中立線がθaとθcをつなぐように連続的に変化する。金型製作上は磁極が曲るところで巻線の太さに応じた滑らかな変化でつなぐ事が望ましい。
らせん状磁極部Bの軸方向の長さは全長の1%以上40%以下である事が望ましい。らせん状磁極部Bが1%未満では磁化方向の変化が急すぎて、焼結工程における極異方性リング磁石の磁化容易方向と磁化困難方向収縮率の差、焼結及び熱処理の冷却時に磁化容易方向と磁化困難方向の熱膨張係数の差によって熱応力が発生し、クラックが入りやすい。らせん状磁極部Bが40%を超えると、傾斜磁極の効果で配向を乱す割合が増えるために、コギングトルクがバラツキやすい。
らせん状磁極部Bの軸方向長さHは以下のように簡易的に定義できる。マグネットビューワを使用して、平行磁極部における隣接する磁極の境界線(中立線)に対するらせん状磁極部Bにおける隣接する磁極の境界線(中立線)の斜角度αを求める。極異方性リング磁石の直径をD,極数をnとすると極幅wは、
w=πD÷n
で表され、Hは以下の式で表される。
H=w÷tanα=πD÷n÷tanα
上記の方法によりらせん状磁極部Bの軸方向長さを知る事ができる。
両端の中立線の角度差(θc−θa)の絶対値平均極間角度の5%以上50%以下に既定した理由は5%未満ではほとんどコギング低減効果がないためである。50%以上ではモータトルクが80%以下になり、実用に供し得ない。モータをゆっくり回転させたときのコギングトルクの波形はロータ極数nとステータ極数pの最小公倍数Mの山と同数の谷を有する事が多い。従って、望ましい中立線の角度差|θc−θa|≦2π/Mとなる。
【0017】
製品を着磁する時、弱い磁場を発生させる予備着磁と強い磁場を発生させる本着磁の2回に分ける事により、予備着磁でエネルギー的に安定な方向に極異方性リング磁石を回転させ、本着磁で十分に着磁する事が可能である。位置あわせマークをもとに着磁ヨークにセットするか、極異方性リング磁石を組込んで自発的に磁化容易方向に配置する着磁ヨークを使用すれば予備着磁を省略しても問題ない。
【0018】
次に本発明の極異方性リング磁石の構成と数値の限定理由を説明する。以下単に%と記してあるのはmass%を意味するものとする。
本発明の極異方性リング磁石は、例えばR14B金属間化合物(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、TはFe又はFe及びCoである)を主相とする焼結磁石である。主要成分のR、T及びBの総計を100%として、R:27〜34%、B:0.5〜2%、残部T(TはFe又はFe及びCoである)からなる組成が選択される。
前記極異方性リング磁石の質量を100%としたとき、不可避的不純物として0.6%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%未満の酸素、0.3%以下、好ましくは0.1%以下の炭素、0.08%以下の窒素、0.02%以下の水素、0.2%以下、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.02%以下のCaの含有が許容される。
Rとして(Nd、Dy)、(Pr、Dy)、又は(Nd、Pr、Dy)の組合せが実用性が高い。又R量は27〜34%が好ましい。Dyの一部をTbで置換しても良い。R量が27%未満では固有保磁力iHcの低下が顕著になり、34%超では残留磁束密度Br、最大エネルギー積(BH)maxが大きく低下する。
B量は0.5〜2%が好ましく、0.8〜1.2%がより好ましい。B量が0.5%未満では実用に耐えるiHcを得られず、2%超ではBr、(BH)maxが大きく低下する。Bの一部がCで置換可能な事は公知であり、本発明にも適用可能である。
表面磁束密度や耐食性を向上するために、Nb,Al,Co,Ga及びCuの群から選択される少なくとも1種の元素を適量含有することが好ましい。
Nbの含有量は0.1〜2%が好ましい。Nbの含有により焼結過程でNbのほう化物が生成し、結晶粒の異常粒成長が抑制できる。Nb含有量が0.1%未満では添加効果が認められず、2%超ではNbのほう化物の生成量が多くなりBrの低下が顕著になる。
Alの含有量は0.02〜2%が好ましい。Al含有量が0.02%未満ではiHcや耐食性の向上効果を得られず、2%超ではBr、(BH)maxが顕著に低下する。
Co含有量は0.3〜5%が好ましい。Co含有量が0.3%未満ではキュリー点や耐食性を向上する効果が得られず、5%超ではBr、iHcが共に大きく低下する。
Ga含有量は0.01〜0.5%が好ましい。Ga含有量が0.01%未満ではiHcの向上効果を得られず、0.5%超ではBr、(BH)maxの低下が顕著になる。
Cu含有量は0.01〜1%が好ましい。Cu含有量が0.01%未満では耐食性やiHcを向上する効果を得られず、1%超ではBrの低下が顕著になる。
Cu及びCoが前記特定量範囲で共に含有されるとき、第2次熱処理の許容温度幅が広がる効果を得られ好ましい。
本発明の極異方性リング磁石がR14B金属間化合物(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、TはFe又はFe及びCoである)を主相とする異方性磁粉を結合剤で結合したボンデッド磁石である場合、平均結晶粒径0.01〜0.5μmであり、熱間加工やHDDR等の方法で異方性を付与した磁粉を用いる事が望ましい。結合材としては公知の材料である、ゴム、ナイロン、エポキシ、PPS他のプラスチック材料または亜鉛や低融点合金を用いる事ができる。
本発明の極異方性リング磁石がR−T−N金属間化合物(RはYを含む希土類元素の少なくとも1種であり、TはFe又はFe及びCoである)を主相とする異方性磁粉を結合剤で結合したボンデッド磁石である場合、Sm−Fe−Nで知られる金属間化合物であり、平均1から10μm粉砕された異方性微粉を用いる事が望ましい。磁気特性を大幅に悪化させない添加物および不可避不純物は許容される。結合材としては公知の材料である、ゴム、ナイロン、エポキシ、PPS他のプラスチック材料または亜鉛や低融点合金を用いる事ができる。
【0019】
本発明の極異方性リング磁石を公知のフェライト磁石で作製すればコストパフォーマンス上好ましい。
特に(A1−xR’)O・n[(Fe1−y)](原子比率)
(但し、AはSr及び/又はBaであり、R’はYを含む希土類元素の少なくとも1種でありLaを必ず含み、MはCo又はCo及びZnであり、x,y及びnはそれぞれ下記条件:
5.0≦n≦6.4
0.01≦x≦0.4,及び
0.005≦y≦0.04
を満たす数字である。)により表される主要成分組成を有し、マグネトプランバイト型結晶構造を有する高性能フェライト磁石からなる極異方性焼結リング磁石を用いた場合に回転機性能を高められるので好ましい。
飽和磁化を高めるために、R’に占めるLaの比率を、好ましくは50原子%以上、より好ましくは70原子%以上、特に好ましくは99原子%以上とするのがよい。理想的には不可避的R’成分を除いてR’がLaからなるのがよい。従って、R’元素供給原料として、Laを50原子%以上含み、残部がPr、Nd及びCeの少なくとも1種並びに不可避的R’成分からなる安価なミッシュメタルの酸化物を用いるのが実用的である。その場合のR’はLaとNd、Pr及びCeの少なくとも1種と不可避的R’成分とで構成される。
モル比nは5.0〜6.4とする必要があり、5.5〜6.3がより好ましく、5.7〜6.2が特に好ましい。nが6.4超ではマグネトプランバイト相以外の異相(α−Fe等)の存在によりiHcが大きく低下し、nが5.0未満ではBrが大きく低下する。
xは0.01〜0.4が好ましく、0.1〜0.3がより好ましく、0.15〜0.25が特に好ましい。xが0.01未満では添加効果が認められず、0.4超では表面磁束密度が大きく低下する。
yとxとの間には、電荷補償のために理想的にはy=x/(2.0n)の関係が成立する必要があるが、yがx/(2.6n)以上、x/(1.6n)以下であれば高いBr及び高い減磁曲線の角形を具備するフェライト磁石を得られる。なお、yがx/(2.0n)からずれた場合、Fe2+を含む場合があるが、何ら支障はない。典型的な例では、yの好ましい範囲は0.04以下であり、特に0.005〜0.03である。又、5.7≦n≦6.2,0.2≦x≦0.3及び1.0<x/2ny≦1.3というR’過剰の主要成分組成を選択し、かつCaO含有量が0.5〜1.5%及びSiO2含有量が0.25〜0.55%のときに従来に比べて減磁曲線の角形を顕著に高めることができる。
緻密なフェライト焼結磁石を得るために焼結性を制御する添加物としてSiO及びCaO(CaCO)を所定量含有することが実用上重要である。
SiOは焼結時の結晶粒成長を抑制する添加物であり、前記フェライト磁石の総massを100%としてSiO含有量を0.05〜0.55%にすることが好ましく、0.25〜0.55%がより好ましい。SiO含有量が0.05%未満では焼結時に結晶粒成長が過度に進行し保磁力が大きく低下し、0.55%超では結晶粒成長が過度に抑制され結晶粒成長による配向度の改善が不十分となりBrが大きく低下する。
CaOは結晶粒成長を促進する添加物であり、前記フェライト磁石の総massを100mass%としてCaO含有量は0.35〜1.5%が好ましく、0.4〜1.5%がより好ましく、0.5〜1.5%が特に好ましい。CaO含有量が1.5%超では焼結時に結晶粒成長が過度に進行し、保磁力が大きく低下し、0.35%未満では結晶粒成長が過度に抑制され、結晶粒成長による配向度の改善が不十分となりBrが大きく低下する。
本発明が公知のフェライトを主相とする異方性磁粉を結合剤で結合したボンデッド磁石である場合、コストパフォーマンス上好ましい。
【0020】
本発明の極異方性焼結リング磁石の成形は例えば図3の成形金型1(対称8極極異方性配向用)を備えたプレス機により行う。図3中、実線は図2(b)でのA−A断面、破線はB−B断面でのコイル位置である。成形金型1において、7は強磁性体からなるダイスであり、8はダイス7の環状空間内に同心状に配置された非磁性体からなる円形断面を有するコアである。ダイス7の円筒状内面には複数の溝12が形成されており、各溝12中に磁場発生用コイル2bが埋設されている。磁場発生用コイル2bは途中にらせん状磁極部を作るための屈曲部を有している。ダイス7の内周面上には溝12を覆うようにしてコア8と相似形の円形断面を有する非磁性体製のスペーサ9が設けてある。スペーサ9とコア8との間がキャビティ10である。各コイル2bに電流が通電されるとキャビティ10に矢印で示される磁束が生じスペーサ9のコーナー部にN,S,N,S・・という交互の極性磁極が形成される。
次に図3の成形金型1により本発明の極異方性焼結リング磁石用成形体を成形する方法の一例を説明する。まず図2の上パンチ3を引き上げた状態で振動フィーダ等の供給手段により、キャビティ内に所定量の原料粉末又はスラリーを充填する。次いでコイル2bにパルス電流を通電し、焼結磁石用微粉末又はスラリーを配向させた状態としそのまま上パンチ3を下降させ、らせん状磁極部を中心に下パンチ4と対称となる位置まで下降させる。その後は下パンチ4と上パンチ3を同様のスピード、加圧力でキャビティ方向に加圧し、極異方性リング磁石の成形体を得る。また、上パンチ3の加圧の際、ダイスを上パンチ3の半分のスピードで下降させることで上記と同様に軸方向に左右対称な長さの平行磁極部を得る事が可能である。
印加する極異方性配向磁場強度は極力高くするのが好ましいが通常0.4〜2.0MA/m(5〜25kOe)とされる。配向磁場強度が0.4MA/m未満では配向が不十分になり、工業生産上2.0MA/m超の高い配向磁場強度を確保するのは困難である。亀裂を抑制し、所定の配向度を得るために圧縮成形の圧力はR−T−B系焼結磁石用成形体の場合49〜392MPa(500〜4000kg/cm)とし、フェライト磁石用成形体の場合29〜39MPa(300〜400kg/cm)とするのが好ましい。
【0021】
成形機がサーボモータを使用したサーボプレスである場合や、カムを使用したメカプレスである場合、もしくは数値制御された油圧シリンダを有する油圧プレスである場合、下パンチを上パンチの移動に対して逆方向に動かす、またはダイスを上パンチの移動に対して同方向に動かす事により、金型内の原料が上下方向に移動しない場所(以下ニュートラルラインと呼ぶ)を設定する事ができる。
本発明者は金型のらせん状配向部の中央と前記ニュートラルラインを一致させる制御を行う事により、らせん状配向部を成形する金型の位置で原料の上下移動を最小化できる事を考案し、実験を行うことによって有効性を確認した。
【0022】
さらに焼結磁石やボンド磁石の製造においてはアンダーフィル作動を組み合わせる事によりらせん状磁極部で隔てられた平行磁極部A,Cとらせん状磁極部Bの軸方向長さを変更できることも見出した。アンダーフィル作動とは原料をキャビティ内に充填した後、上パンチ加圧する前にダイスと下パンチの相対位置を動かして原料粉を金型内部に送り込む手法である。アンダーフィルによって軸方向長さが異なる中間位置Bを極異方性リング磁石中央でない位置にもってくる事ができる。この事は同一金型を用いて総トルク重視かコギングトルク重視の調整が可能である事を意味する。
また、アンダーフィルの利用により同一のずらし角を有する軸方向の寸法が異なる極異方性リング磁石を作製可能である。
【0023】
R−T−B系焼結磁石用成形体の場合は成形体密度:3.7〜4.6Mg/m程度であり、フェライト焼結磁石用成形体の場合は成形体密度:2.6〜3.2Mg/m程度に調整される。R−T−Bボンデッド磁石やR−T−Nボンデッド磁石の場合は、圧縮成形では5.5〜6.5Mg/m程度に、射出成形では4.0〜5.7Mg/m程度に調整される。フェライトボンデッド磁石の射出成形では2.6〜3.6Mg/m程度に調整される。
次に得られた本圧縮成形体を加圧した状態のまま磁場発生用コイルに上記と逆方向のパルス電流を通電して脱磁する。ボンデッド磁石では磁粉付着が耐食性やコンタミネーション等の信頼性に影響するため脱磁と除粉が重要である。
【0024】
本発明の極異方性焼結リング磁石の寸法は特に限定されないが、軸方向長さ(L)及び外径寸法(Do)がそれぞれ、L=5〜100mm、好ましくはL=8〜50mmでありかつDo=3〜200mm、好ましくはDo=7〜50mmのものの実用性が高い。Do<3mmのものに極異方性を付与することは事実上困難であり、Do>200mmの極異方性焼結リング磁石は小型化のニーズに適合しない。又L<5mmでは従来の1段成形品との有意差がなく、L>100mmのものは小型化のニーズに適合しない。
本発明の極異方性焼結リング磁石の磁極数は特に限定されないが、外径面又は内径面の周方向に等間隔又は異なる間隔で4〜100極、好ましくは4〜24極形成するのが実用性が高い。コギングトルクのバラツキは2.5%以内とすることが可能である。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、それら実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
Nd:30.5mass%、Dy:1.5mass%、Ga:0.1mass%、B:1.0mass%、Fe:64.8mass%の主要成分組成を有する合金粗粉を不活性ガス雰囲気中でジェットミル微粉砕し、平均粒径4.5μm(F.S.S.S.)の焼結磁石用微粉を得た。この焼結磁石用微粉のかさ密度を測定したところ1.7Mg/mであった。次に、図1に示すらせん状の磁極部配向が可能な図2の成形金型を用い、上ラムとダイスの動きを数値制御できるサーボプレスにより、まず上パンチを引き上げた状態でキャビティ内に所定量の前記微粉末を充填した。金型は8極異方性型でずらし角11°である。充填された原料の中央が金型屈曲部に一致するようにアンダーフィル作動を行った。キャビティに磁極あたり5.0kAターンのパルス電流で極異方性磁場を間欠的に3回印加した状態としながら上パンチを下降させた。このときダイスを上パンチの半分の速度で下降させながら、圧縮成形を行い、下パンチを実質的にキャビティ方向へ加圧した状態とした。その後脱磁し、得られた本成形体の密度は4.2Mg/mであった。
次に、本成形体を約0.07Pa(5×10−4Torr)の真空中、1100℃で2時間焼結し、室温まで冷却した。次にAr雰囲気中で550℃×2時間の第2次熱処理を行い室温まで冷却した。次に、端面及び外周面を加工(内径面は無加工)し、電着により熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)をコーティングし、外径14mm、内径9mm、軸方向長さ15mmの対称8極極異方性リング磁石を得た。次に極異方性付与方向に沿って総磁束量が飽和する条件で着磁し、周方向に表面磁束密度を測定した。
測定場所は軸方向端面から2.5mmステップで5箇所測定した。上の2箇所と下の2箇所のずらし角11°に対応するデータを得た。波形形状を図5に示す。図4における平行磁極部(A)では2箇所とも同様なほぼ正弦波の波形形状が、下の平行磁極部(C)では(A)の波形形状と比較して11°異相した以外は実質的に同等な波形形状が得られた。また、らせん状磁極部Bのデータは両者の中間であった。またらせん状磁極部Bの軸方向長さは3.0mmで、極異方性リング磁石全体の軸方向長さの20%であった。この極異方性リング磁石のコギングトルクのバラツキを測定したところ、2%と非常に小さい値であった。コギングトルクのバラツキの測定は、極異方性リング磁石をロータコアと組み付け、そのロータに対応するステータに入れた後に1回転させた時の各コギング毎のトルクのバラツキを計り、それを試料数20個のサンプルで行い平均値を取ったものである。
又、図1に示すように得られた対称8極極異方性リング磁石を図6に示すようにシャフト上に固定し、ロータ5を構成し、所定の回転機に組み込んだところ有用な回転機性能が得られた。
【0026】
(比較例1)
前記らせん状磁極部の軸方向長さを殆ど取らずに検討を行った。外見上、複数の極異方性リング磁石をずらし角11°で固着させたように製造し、(らせん状磁極部の軸方向長さ約0.1mm)の極異方性リング磁石の成形体を得た。前記成形体を1100にて2時間焼結したところ、このらせん状磁極部からひびが入り焼結割れを起してしまい使用に耐えなかった。
【0027】
(比較例2)
前記らせん状磁極部の軸方向長さを各々の平行磁極部の軸方向長さよりも長くして検討を行った。平行磁極部の軸方向長さを互いに4mmづつ、らせん状磁極部の軸方向長さを7mmとした。それ以外は実施例1と同様にして極異方性リング磁石を製造した。この極異方性リング磁石(N=50)のコギングトルクのバラツキを測定したところ、約10%と大きい値であった。この極異方性リング磁石を実施例1と同様にしてシャフト上に固定し、ロータ5を構成し、所定の回転機に組み込むことは可能であるが、コギングトルクにバラツキがあると各回転機性能の差があるため、大量生産においては安定した製品化が目指せず顧客のニーズから外れてしまうことが解った。
【0028】
(実施例2)
SrCO粉末(不純物としてBa,Caを含む)及びα−Fe粉末,La粉末及びCo3O4粉末を用いて、仮焼後に(Sr0.80La0.20)O・5.95[(Fe0.983Co0.017)]で示される主要成分組成になるように湿式混合後、1250℃で2時間、大気中で仮焼した。仮焼物をローラーミルで乾式粗粉砕し粗粉を得た。次いで、アトライタにより湿式微粉砕し、平均粒径0.8μm(F.S.S.S.)の微粉砕粉を得、これを公知の手段で造粒した。微粉砕初期に、微粉砕に投入した粗粉に対するmass比でLa粉末のみを0.6mass%添加した。又微粉砕初期に焼結助剤としてSrCO3粉末,CaCO粉末及びSiO粉末を微粉砕に投入した粗粉に対するmass比でそれぞれ0.1mass%,1.0mass%及び0.3mass%添加した。
このフェライト磁石用原料のかさ密度を測定したところ1.4Mg/mであった。次に、図2の成形金型を備え、上ラムとダイスの動きを数値制御できるサーボプレスにより、まず上パンチを引き上げた状態でキャビティ内に所定量の前記微粉末を充填した。金型は8極異方性型でずらし角11°である。充填された原料の中央が金型屈曲部に一致するようにアンダーフィル作動を行った。キャビティに0.4MA/m(5kOe)のパルス電流で極異方性磁場を間欠的に3回印加した状態としながら上パンチを下降させた。このときダイスを上パンチの半分の速度で下降させながら、成形圧力:44MPa(450kg/cm)で圧縮成形を行い、下パンチを実質的にキャビティ方向へ加圧した状態とした。その後脱磁し、得られた本成形体の密度は3.2Mg/mであった。次いで1200℃で2時間焼結し、下記の主要成分組成(La過剰組成:La/Co=1.2)を有する焼結体を得た。
(Sr0.76La0.24)O・5.72[(Fe0.983Co0.017)
次に焼結体の端面及び外周面を加工(内径面は無加工)し、外径20mm、内径14mm、軸方向長さ30mmの対称8極極異方性リング磁石を得た。次に極異方性付与方向に沿って総磁束量が飽和する条件で着磁し、周方向に表面磁束密度を測定した。
測定場所は軸方向端面から5.0mmステップで5箇所測定した。上の2箇所と下の2箇所はずらし角11°に対応するデータを得た。またらせん状磁極部Bの軸方向長さは8.0mmで、極異方性リング磁石全体の軸方向長さの約27%であった。この極異方性リング磁石(N=50)のコギングトルクのバラツキを測定したところ、2%と非常に小さい値であった。
又、図1に示すように得られた対称8極極異方性リング磁石を図6に示すようにシャフト上に固定し、ロータ5を構成し、所定の回転機に組み込んだところ有用な回転機性能が得られた。
【0029】
(比較例3)
前記らせん状磁極部の軸方向長さを短くして検討を行った。らせん状磁極部の軸方向長さが2.0mmの極異方性リング磁石の成形体を得た。前記成形体を1100にて2時間焼結したところ、このらせん状磁極部からひびが入り焼結割れを起してしまい使用に耐えなかった。
【0030】
(比較例4)
前記らせん状磁極部の軸方向長さを各々の平行磁極部の軸方向長さよりも長くして検討を行った。平行磁極部の軸方向長さを互いに8mmづつ、らせん状磁極部の軸方向長さを22mmとした。それ以外は実施例1と同様にして極異方性リング磁石を製造した。この極異方性リング磁石(N=50)のコギングトルクのバラツキを測定したところ、9%と大きい値であった。この極異方性リング磁石を実施例1と同様にしてシャフト上に固定し、ロータ5を構成し、所定の回転機に組み込むことは可能であるが、コギングトルクにバラツキがあると各回転機性能の差があるため、大量生産においては安定した製品化が目指せず顧客のニーズから外れてしまうことが解った。
【0031】
(実施例3)
Nd:29.2mass%、Ga:0.8mass%、B:1.0mass%、Co:10.5mass%、残部Feの主要成分組成を有する合金を真空溶解し、ロール冷却を行って鋳造合金を得た。ロール冷却は銅製の単ロール法を用いており、板厚が300〜500μmになるように作製した。冷却速度は約5×10℃/secに相当する。この合金に均質化熱処理を施した後、室温で水素吸蔵させ10℃/secの昇温速度で830℃まで加熱した。この温度で2時間保持した後に1時間脱水素処理を行った。脱水素処理の終了後、炉内をアルゴン雰囲気に置換して冷却した。これにより得られた合金を32〜106μmに分級した。この合金粗粉とエポキシ樹脂を混合し原料とした。
次に、図1に示すらせん状の磁極部配向が可能な図2に記載の成形金型を用い、上ラムとダイスの動きを数値制御できるサーボプレスにより、まず上パンチを引き上げた状態でキャビティ内に所定量の前記原料を充填した。金型は8極極異方性型でずらし角3°とした。充填された原料の中央が金型屈曲部に一致するようにアンダーフィル作動を行った。キャビティに磁極あたり5.0kAターンのパルス電流で極異方性磁場を間欠的に3回印加した状態としながら上パンチを下降させた。
得られた成形体を熱処理して樹脂を硬化させて極異方性ボンデッドリング磁石を得た。電着により熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)をコーティングし、図1に示すような外径14mm、内径10mm、軸方向長さ15mmの対称8極極異方性リング磁石を得た。次に極異方性付与方向に沿って総磁束量が飽和する条件で着磁し、周方向に表面磁束密度を測定した。
測定場所は軸方向端面から2.5mmステップで5箇所測定した。図1において上の平行磁極部(A)2箇所では同様なほぼ正弦波の波形形状が、平行磁極部(C)では(A)の波形形状と比較して11°異相した波形形状が得られた。この極異方性リング磁石(N=50)のコギングトルクのバラツキを測定したところ、1.7%と非常に小さい値であった。
【0032】
(参考例1)
実施例3と同様の原料を用いて極異方性ボンデッドリング磁石を製造した。
図8に示す磁極部配向が可能な図7に記載の成形金型を用いて成形を行った。上ラムとダイスの動きを数値制御できるサーボプレスにより、まず上パンチを引き上げた状態でキャビティ内に所定量の前記原料を充填した。金型は16極異方性型でずらし角3°とした。充填された原料の中央が金型屈曲部に一致するようにアンダーフィル作動を行った。キャビティに磁極あたり4.0kAターンのパルス電流で極異方性磁場を間欠的に3回印加した状態としながら上パンチを下降させた。得られた本成形体を熱処理して樹脂を硬化させて極異方性ボンデッドリング磁石を得た。電着により熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)をコーティングし、図8に示すような外径14mm、内径8mm、軸方向長さ20mmの対称16極極異方性リング磁石を得た。次に極異方性付与方向に沿って総磁束量が飽和する条件で着磁し、周方向に表面磁束密度を測定した。
測定場所は軸方向端面から4.0mmステップで4箇所測定した。図8に平行磁極部(A)と平行磁極部(C)では3°異相した波形形状が得られ、波形は実質的に同じものであった。この極異方性ボンデッドリング磁石(N=50)のコギングトルクのバラツキを測定したところ、2.2%と非常に小さい値であった。
【0033】
【発明の効果】
以上記述の通り本発明によれば、磁極の間隔のバラツキが少なく、もってコギングトルクのバラツキが小さく、多段成形せずに得られる極異方性リング磁石および成形金型を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の極異方性リング磁石の外観を示す模式図である。
【図2】 本発明の極異方性リング磁石の成形に用いる金型構造の一例を示す図である。
【図3】 図2の金型構造の軸断面を示す図である。
【図4】 図1の極異方性リング磁石の側面の展開図である。
【図5】 図1の極異方性リング磁石の表面磁束波形である。
【図6】 本発明の実施例の極異方性リング磁石を用いたロータである。
【図7】 参考例の極異方性リング磁石の成形に用いる金型構造の一例を示す図である。
【図8】 参考例の極異方性リング磁石の外観を示す模式図である。
【図9】 従来の極異方性リング磁石の成形に用いる金型構造を示す図である。
【符号の説明】
金型、2b,2c,2d コイル、3 上パンチ、4 下パンチ、
ロータ5a 成形材料、 中立線、6b 中立線、
7 ダイス、8 コア、9 スペーサ、10キャビティ、12 溝

Claims (4)

  1. 1段成形してなる極異方性リング磁石であって、前記リング磁石は軸方向に沿う複数の磁極を有し、及び前記リング磁石の1磁極毎に、軸方向の両端にそれぞれ軸方向に平行な磁極部を有し、更に前記の平行な磁極部の間に軸方向に対して傾斜したらせん状磁極部を有し、かつ前記らせん状磁極部の軸方向長さは前記の平行な磁極部の軸方向長さより短いことを特徴とする極異方性リング磁石。
  2. 請求項1に記載の極異方性リング磁石において、前記らせん状磁極部における隣接する磁極の境界線(中立線)に対し、前記の平行な磁極部における隣接する磁極の境界線(中立線)の傾斜角度αが85°以下であることを特徴とする極異方性リング磁石。
  3. 極異方性リング磁石の1段成形体を成形する金型であって、
    軸方向に貫通した中空部を有するダイスと、前記中空部に面した前記ダイスの内周面に形成された複数の溝と、前記溝に埋設された磁場発生用コイルと、前記ダイスの内周面及び前記溝を覆うように配置されたスペーサと、前記ダイスの中空部に配置されて前記ダイスの軸方向に沿って延設されたコアと、前記スペーサと前記コアとの間に形成されたキャビティとを有し、
    成形時の前記キャビティに発生する極異方性配向磁束のうちの1磁極に対応する極異方性配向磁束は、前記磁場発生用コイルの1つのコイル毎に発生し、前記1つのコイルにおける前記ダイスの軸方向に沿う巻線部分は、前記ダイスの軸方向に平行な巻線部分と、前記の平行な巻線部分の間に形成された前記ダイスの軸方向に対して傾斜した巻線部分とからなることを特徴とする成形金型。
  4. 請求項3に記載の成形金型において、前記の傾斜した巻線部分の軸方向長さは前記の平行な巻線部分の軸方向長さより短いことを特徴とする成形金型。
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