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JP4317707B2 - 車両用シート装置 - Google Patents

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JP4317707B2
JP4317707B2 JP2003132692A JP2003132692A JP4317707B2 JP 4317707 B2 JP4317707 B2 JP 4317707B2 JP 2003132692 A JP2003132692 A JP 2003132692A JP 2003132692 A JP2003132692 A JP 2003132692A JP 4317707 B2 JP4317707 B2 JP 4317707B2
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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、車両用シート装置に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
車両のシート装置において、ロアレールに対するシート(アッパレール)のスライド位置を記憶させるスライドメモリ機能付きのタイプがある。このようなスライドメモリ機能は、後部座席への出入りに際して前席のシートバックを前傾させた上で前方へスライドさせるいわゆるウォークイン動作時に用いられる。しかし、シートバックの前傾動作によってシートのスライドロックが解除し、シートバックを起こすと再びスライドロック状態となるような連動関係であるため、ウォークイン状態からの復帰時に、スライドメモリ機能によって記憶させた位置までシートを後退させる前にシートバックを起こしてしまうとその時点でスライドロックがかかってしまうので、スライドメモリ機能が十分に活用されないおそれがある。このタイプとして特開平8-253064号公報に記載のシート装置が挙げられる。
【0003】
一方、特開平11-321393号公報に記載のシート装置は、シートバックを起こしてもメモリ位置までシートを後退させない限りスライドロックがかからない構造になっている。このシート装置では、シートが後方の障害物によってメモリ位置まで後退できない場合などに、スライドロックはかかっていないにもかかわらずシートバックが起立して一応の着座可能状態となってしまう。安全性の観点からは、このような不安定な着座可能状態は好ましくない。
【0004】
【特許文献】
特開平8-253064号公報
特開平11-321393号公報
【0005】
【発明の目的】
本発明は、従来装置についての以上の問題意識に基づき、着座時にはシートの位置にかかわらず確実にスライドロックを機能させつつ、スライドメモリ機能を有効に活用することが可能な車両用シート装置を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、床面側のロアレールとこのロアレールに対して摺動自在でシート側に固定されるアッパレール;アッパレールに支持され、アッパレールと共にスライド方向に移動するシートクッション;シートクッションに対し、着座可能な起立位置と前傾位置とに枢着されたシートバック;シートバックが起立位置にあるときロアレールに対するアッパレールの摺動を規制したロック状態となり、前傾位置にあるとき該摺動を許容したアンロック状態となるスライドロック機構;及び、シートバックを前傾させたときのシート位置を記憶し、該記憶位置よりも後方へのシート移動を規制するスライドメモリ機構;を備えた車両用シート装置において、シートバックの前傾位置で係合し起立位置で係合解除する係合部材を有する前傾保持機構を設け、シートバックが前傾されシートがスライドメモリ機構による記憶位置に対して前方へ移動されたウォークイン状態から、シートを記憶位置へ向けて移動させるとき、前傾保持機構が係合部材の係合によりシートバックに対して起立位置への引き起こし抵抗を与え、ウォークイン状態からのシートの後退移動が規制されたとき、その後退規制箇所を支点としてシートバックに対して起立位置へ回動を与えることにより、前傾保持機構の係合部材の係合が解除されることを特徴としている。例えば、スライドメモリ機構が、シートバックが起立位置にあるときロアレールに対してシートと共にスライド方向に移動し、シートバックを前傾させたときロアレールに対する相対移動が規制されて元のシート位置を記憶するメモリ部材を有し、シートがウォークイン状態から記憶位置に戻ったときに、このメモリ部材に当接して後退移動が規制されるように構成し、このメモリ部材とシートの当接箇所を支点として、前傾保持機構の係合を解除させつつシートバックを引き起こすことができる。
【0007】
前傾保持機構の一態様として、シートバックに対して該シートバックの回動軸を中心として相対回動可能に支持され、シートバックの前傾時に回動せずシートバックとの相対角度を変化させるラチェット、このラチェットの外縁部に形成した前傾ロック凹部、シートバックの前傾時にラチェットの前傾ロック凹部に対して係脱可能なように、シートバックに対して移動可能に支持されたポール、及びこのポールをラチェットの前傾ロック凹部との係合方向に付勢する付勢部材を備えてもよい。この態様の前傾保持機構では、ラチェット外縁部に、前傾保持機構を構成する前傾ロック凹部とは別に、複数の凹部を有し、シートバックの起立位置でポールと係合する第2の凹部を備えるようにすると、例えば、シートバックのリクライニング位置を記憶させるリクライニングメモリ機構の構成部材としても機能させることができる。
【0008】
前傾保持機構の異なる態様として、シートバック側に固定係合部材を設け、シートバックの前傾時に固定係合部材と係合し、該係合を解除する方向に移動可能な可動係合部材をシートクッション側に設けてもよい。
【0009】
シートクッション側に設ける可動係合部材は、例えば、固定係合部材を保持する状態と保持解除する状態とに弾性変形可能な保持ばねとすることができる。
【0010】
またシートクッション側の可動係合部材は、固定係合部材に対する係合位置と係合解除位置とに揺動可能な揺動部材(第1の揺動部材)からなり、該揺動部材を係合位置側に付勢する付勢部材を備えてもよい。この形態ではさらに、シートと共にスライド方向に移動し、第1の揺動部材に連動して揺動する第2の揺動部材を有し、シートがウォークイン状態からスライドメモリ機構による記憶位置に移動するとき、第2の揺動部材がスライドメモリ機構のメモリ部材に当接して回動されて、付勢部材に抗して第1の揺動部材を係合解除位置へ強制回動させるように構成してもよい。
【0012】
【発明の実施形態】
図1ないし図22を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1及び図2に示す車両の前席のシート(助手席または運転席)11は、着座者の尻部を支えるシートクッション12と、着座者の背部を支えるシートバック13とを有しており、シートクッション12の骨格をなすシートクッションフレーム14(図4)がアッパレール15に支持されている。なお、シートクッションフレーム14とアッパレール15は一体の部材でもよいし、シートクッションフレーム14とアッパレール15の間に高さ調整用のリフタ機構を備えてもよい。アッパレール15は、車体のフロアパネル(床面)10に固定されたロアレール16に対してその長手方向に摺動自在に支持されており、アッパレール15をロアレール16に対して摺動させることにより、シート11の前後方向位置を変化させることができる。アッパレール15とロアレール16は、シート11の左右方向に離間させてそれぞれ一対設けられている。
【0013】
ロアレール16にはその長手方向に沿って複数のスライドロック穴16aが形成されている。アッパレール15側には、該スライドロック穴16aに係合可能なロック爪17aと、該ロック爪17aの上方に位置する被押圧アーム17bとを有するスライドロックプレート17が、回動軸17xによって枢着されている。回動軸17xの軸線はロアレール16の長手方向と平行であり、該回動軸17xを中心としてスライドロックプレート17は、ロック爪17aをスライドロック穴16aに係合させるロック位置(図12)と、離脱させるアンロック位置(図13)とに回動可能である。スライドロックプレート17がロック位置にあるとき、ロアレール16に対するアッパレール15の摺動が規制される。スライドロックプレート17はロック付勢ばね17c(図12及び図13に矢印のみで示す)によってロック位置方向へ回動付勢されている。被押圧アーム17bは、アッパレール15に形成した角穴15aに挿入されて該アッパレール15の反対側の側面方向に突出している。
【0014】
アッパレール15には、スライドロックプレート17の回動軸17xと直交する(すなわち、軸線がシート左右方向に向く)回動軸18xを介してループブラケット18が枢着されており、該ループブラケット18の一端部に設けた押圧部18aは、ロックオープンブラケット19の被押圧部19aに当接している。ロックオープンブラケット19はループブラケット18と同軸で相対回転可能であり(図10参照)、その回動中心である回動軸18xの反対側の端部には押圧部19bが設けられている。押圧部19bは、アッパレール15の角穴15aに挿入されてスライドロックプレート17の被押圧アーム17bの上側に位置している(図12、図13参照)。ループハンドル18bを介してループブラケット18を図5の時計方向に回動させると、押圧部18aが被押圧部19aを押圧してロックオープンブラケット19を同方向に回動させ、該ロックオープンブラケット19の押圧部19bが被押圧アーム17bを押圧して、ロック付勢ばね17cに抗してスライドロックプレート17をアンロック方向に回動させることができる。
【0015】
シート11は、後部座席への出入りに際してシートバック13を前傾させながら前方へスライドさせるウォークイン動作を行う際に、スライドする前のシート11の位置を記憶させるスライドメモリ機能を有している。なお、以下のスライドメモリ機能関連の説明中に表れる時計方向及び反時計方向とは、図4ないし図9の側面図における回転方向を意味する。
【0016】
アッパレール15には、ループブラケット18やロックオープンブラケット19が支持される側面とは反対側の側面にキャッチレバー20が枢着されている。キャッチレバー20は、ループブラケット18及びロックオープンブラケット19と共通の回動軸18xを中心として回動可能であり(図10参照)、該回動軸18xと反対側の端部に二股状のキャッチ部20aを有している。キャッチレバー20はトーションばね20bを介してストッパレバー22と結合されている。ストッパレバー22は、ループブラケット18と同軸(回動軸18x)で一体に回動するように支持されている。アッパレール15にはまた、キャッチレバー20やストッパレバー22が支持されているのと同じ側面に、ロックオープンレバー21が回動軸21xを介して枢着されている。ロックオープンレバー21は、角穴15aを通して突出されたロックオープンブラケット19の押圧部19bに当接可能な押圧ピン21a(図12、図13参照)と、ワイヤ係合アーム21bとを有しており、トーションばね21cによって時計方向に付勢されている。
【0017】
ロアレール16にはメモリラック25が固定されている。メモリラック25はロアレール16と平行な長尺部材であり、その長手方向に沿って複数のメモリロック穴25aが形成されている。メモリラック25はその長手方向に移動可能なスライドピース(メモリ部材)26を支持しており、該スライドピース26内にメモリロックレバー28が設けられている。メモリロックレバー28は、シート上下方向、すなわちメモリラック25に対するスライドピース26のスライド方向と直交する方向へ移動可能に支持されており、メモリロック爪28aをメモリロック穴25aに係合させるメモリ位置(図5、図7ないし図9、図14)と、該係合を解除するメモリ解除位置(図6)とをとることができる。メモリロックレバー28は、キャッチレバー20のキャッチ部20aの回動軌跡上に位置するキャッチ突起28bを有し、メモリ付勢ばね27によってメモリ位置へ付勢されている。メモリロックレバー28はスライドピース26と共に、シート11のスライド位置を記憶するためのメモリユニット(スライドメモリ機構)Uを構成している。
【0018】
アッパレール15にはスライドストッパ29が固定されている。スライドストッパ29は、スライドピース26の上部に突設したストッパ突起26aに係合可能である(図15参照)。
【0019】
続いて、図16ないし図22を参照してシートバック13の支持機構を説明する。本実施形態では、シートバック13が前傾する前の角度位置を記憶するメモリ機能を有している。なお、以下のシートバック支持機構関連の説明中で表れる時計方向及び反時計方向とは、図18ないし図20の側面図における回転方向を意味する。
【0020】
図17に示す通り、アッパレール15及びロアレール16はシート11の左右にそれぞれ一対設けられており、これに対応してシートクッションフレーム14も左右一対が設けられている。左右のシートクッションフレームの後端部付近にはそれぞれ、アッパアーム40、60が支持されている。アッパアーム40及び60の上部には、シートバック13の骨格をなすシートバックフレーム(不図示)が固定されていて、両アッパアームの回動に応じてシートバック13の角度が変化する。アッパアーム40は、リターンスプリング(シートバックの前傾付勢手段)40aによって、シートバック13を前傾させる方向へ回動付勢されている。アッパアーム60も同様のリターンスプリング(シートバックの前傾付勢手段)60aによってシートバック前傾方向へ回動付勢されている。
【0021】
図17における左側(車両外側)のアッパアーム40はシートバックロック機構R1を介してヒンジピン41に支持され、右側(車両インナ側)のアッパアーム60はシートバックロック機構R2を介してヒンジピン61に支持されている。ヒンジピン41及び61は、共通の水平軸Hxを中心として回動可能なように左右のシートクッションフレーム14に支持されており、コネクティングパイプ42の両端部に挿入されている。コネクティングパイプ42は、ヒンジピン41に対しては相対回転可能で、ヒンジピン61に対しては相対回転不能となっている。相対回転可能な側のヒンジピン41には外径方向へ連動ピン41aが延出され、該連動ピン41aは、コネクティングパイプ42の周方向へ向けて形成した長孔42aに挿通されている。
【0022】
アッパアーム40側のシートバックロック機構R1は、シートクッションフレーム14側に固定したベースアーム43と、ベースアーム43に対して水平軸Hxを中心として相対回動可能に支持されたロックプレート44と、ベースアーム43に対して水平軸Hxを中心とする径方向に移動可能に支持された移動ロック部材45と、ヒンジピン41と共に水平軸Hxを中心として回動するカム部材46と、該カム部材46と共に回動するレリーズプレート47を有している。移動ロック部材45の外縁部には外歯45aが形成され、この外歯45aが噛合可能な内歯44aがロックプレート44に形成されている。カム部材46は、ロック方向の回転によって外歯45aと内歯44aが噛合する方向(水平軸Hxから離れる方向)へと移動ロック部材45を移動させ、これと反対のアンロック方向へカム部材46が回動するとき、カム部材46と一体に回動するレリーズプレート47が、外歯45aと内歯44aの噛合を解除する方向へと移動ロック部材45を移動させる。カム部材46とレリーズプレート47の結合体は、図示しないばねによってロック方向へ付勢されていて、着座状態で操作可能なリクライニングハンドル48を回動操作することにより、アンロック方向へ回動させることができる。
【0023】
ロックプレート44に対してはラチェット(係合部材)50が相対回動不能に結合しており、ラチェット50は、アッパアーム40に形成した円形孔に対して水平軸Hxを中心として相対回動可能に嵌まっている。ラチェット50の外縁部には、一対のメモリ凹部(第2の凹部)50aと一つの前傾ロック凹部50bが形成されている。アッパアーム40にはラチェット50の上方に回動軸51xを介してポール(係合部材)51が枢着されており、ポール51の先端部付近に設けた一対のメモリ突起51aが、ラチェット50の一対のメモリ凹部50aに対して係脱可能となっている。また、一方のメモリ突起51aは、シートバック13(アッパアーム40)を前傾させたとき、前傾ロック凹部50bに係合することができる。ポール51はさらに、連動ピン51bとカム面51cを有している。
【0024】
アッパアーム40のさらに上部には回動軸52xによってレリーズレバー52が枢着されている。レリーズレバー52は、ピン挿入孔52aと、レリーズレバー52本体と一体に回動するサブアーム52bと、ばね掛けアーム52cと、ワイヤ係合アーム52dとを有している。ピン挿入孔52aにはポール51の連動ピン51bが挿入され、サブアーム52bの回転軌跡上にはポール51のカム面51cが位置している。また、ばね掛けアーム52cにはテンションスプリング52eの一端部が係合し、ワイヤ係合アーム52dにはウォークインワイヤ53が接続している。テンションスプリング52eの他端部は、アッパアーム40と固定関係にあるブラケット54に接続しており、テンションスプリング52eによってレリーズレバー52が図18中の反時計方向に付勢されている。この付勢方向はサブアーム52bがカム面51c押し下げる方向であり、したがってレリーズレバー52が自由状態にあるときには、ポール51はテンションスプリング52eの付勢力によってメモリ突起51aをメモリ凹部50aに係合させる角度位置(図18)に保持される。
【0025】
シートバック13の外側にはウォークイン操作ハンドル56(図1及び図2)が設けられており、該ウォークイン操作ハンドル56を操作することでウォークインワイヤ53が牽引される。牽引されたウォークインワイヤ53は、テンションスプリング52eに抗してレリーズレバー52を時計方向に回動させる。
【0026】
アッパアーム60側のシートバックロック機構R2は、基本的にはシートバックロック機構R1と同様の構造を有する。すなわち、シートクッションフレーム14側に固定したベースアーム63と、ベースアーム63に対して水平軸Hxを中心として相対回動可能に支持されたロックプレート64と、ベースアーム63に対して水平軸Hxを中心とする径方向に移動可能に支持された移動ロック部材65と、ヒンジピン41と共に水平軸Hxを中心として回動するカム部材66と、該カム部材66と共に回動するレリーズプレート67を有している。移動ロック部材65の外縁部には外歯65aが形成され、この外歯65aが噛合可能な内歯64aがロックプレート64に形成されている。カム部材66は、ロック方向の回転によって外歯65aと内歯64aが噛合する方向(水平軸Hxから離れる方向)へと移動ロック部材65を移動させ、これと反対のアンロック方向へカム部材66が回動するとき、カム部材66と一体に回動するレリーズプレート67が、外歯65aと内歯64aの噛合を解除する方向へと移動ロック部材65を移動させる。カム部材66とレリーズプレート67の結合体は、図示しないばねによってロック方向へ付勢されている。
【0027】
アッパアーム40側と異なり、アッパアーム60側では、ロックプレート64とアッパアーム60はラチェットを介在させずに一体に回動するように結合されている。また、ヒンジピン61には一体に回動する連動レバー68が固定され(図17、図20及び図21参照)、該連動レバー68は、連動ワイヤ69によってレリーズレバー52のワイヤ係合アーム52dと接続されている。
【0028】
アッパアーム60側にはさらに、ヒンジピン61に対して相対回動可能な牽引レバー57が支持されている。牽引レバー57は被押圧アーム57aとワイヤ係合アーム57bを有し、ワイヤ係合アーム57bに牽引ワイヤ58の一端部が接続している。牽引ワイヤ58の他端部はロックオープンレバー21のワイヤ係合アーム21bに接続している。被押圧アーム57aは、アッパアーム60に固定されたアッパフック60bの回転軌跡上に位置する。なお、図17及び図20に示すように牽引レバー57はアッパアーム60側に支持されているが、牽引レバー57による牽引ワイヤ58の操作状態を分かりやすくするために、アッパアーム40側を示す図18及び図19にも牽引レバー57を仮想線(二点鎖線)で示している。
【0029】
以上の構成のシート装置の動作を説明する。図1の実線はシート11の通常の着座状態を示している。このとき、シートスライド関係の機構は図5の状態にあり、シートバック13(アッパアーム40)の支持機構は図18の状態にある。この状態では、スライドロックプレート17はロック位置に保持され、ロック爪17aとスライドロック穴16aの係合によってシート11のスライドが規制されている(図12)。またメモリロックレバー28がメモリ付勢ばね27の付勢力によってメモリ位置に保持されており、メモリロック爪28aとメモリロック穴25aの係合関係により、メモリラック25に対するメモリユニットUの移動が規制されている。
【0030】
一方、シートバック13の支持機構においては、左右のシートバックロック機構R1及びR2を構成する移動ロック部材45、65の外歯45a、65aがロックプレート44、64の内歯44a、64aに噛合しており、該ロックプレート44及び64の回動が規制されている。図18に示すように、アッパアーム40側では、ロックプレート44と結合されたラチェット50の一対のメモリ凹部50aに対し、ポール51に設けた一対のメモリ突起51aが係合している。レリーズレバー52は、サブアーム52bがカム面51cを押圧する方向にテンションスプリング52eによって付勢されており、該付勢力によってメモリ突起51aがメモリ凹部50aに係合する状態が維持される。つまり、ロックプレート44、ラチェット50及びアッパアーム40(ポール51)は、水平軸Hxを中心とした回動を行わないように一体化してロックされている。一方、アッパアーム60はロックプレート64と直接に結合しているので、ロックプレート64と共にアッパアーム60も回動規制される。
【0031】
まずシートバック13のリクライニング調整動作を説明する。通常着座状態においてリクライニングハンドル48を操作すると、アッパアーム40側のヒンジピン41を介してアンロック方向へカム部材46が回動され、カム部材46と共に回動するレリーズプレート47が移動ロック部材45をロックプレート44との噛合解除方向(水平軸Hxに接近する方向)に移動させる。一方でメモリ突起51aとメモリ凹部50aの係合状態は維持されているので、ラチェット50はポール51を介してアッパアーム40とも一体化されている。したがって、ロックプレート44、ラチェット50及びアッパアーム40の結合体は、ベースアーム43に対して水平軸Hxを中心として相対回動可能になる。
【0032】
図22に実線で示すように、通常着座状態ではヒンジピン41の連動ピン41aがコネクティングパイプ42の長孔42aの一端部42a1に当接されている。リクライニングハンドル48の上記操作に伴ってヒンジピン41が回動すると、連動ピン41aが長孔42aの当接端部42a1を押圧し、コネクティングパイプ42がヒンジピン41と共に回動する。コネクティングパイプ42の回動によってアッパアーム60側のヒンジピン61も連れ回り、カム部材66及びレリーズプレート67をアンロック方向へ回動させる。これにより、移動ロック部材65が水平軸Hxに接近する方向へ移動して、その外歯65aとロックプレート64の内歯64aの噛合が解除される。つまり、ロックプレート64とアッパアーム60の結合体は、ベースアーム63に対して水平軸Hxを中心として相対回動可能になる。
【0033】
リクライニングハンドル48の操作の結果、以上のようにアッパアーム40及び60の両方でロックが外れるので、シートバック13の傾動角度を任意に調整することができる。調整後は、リクライニングハンドル48に対する操作を解除すれば、アッパアーム40及び60は再びロック状態になる。
【0034】
続いて、着座者がシート11の前後方向位置を任意に調整する通常のシートスライド動作を説明する。通常着座状態においてループハンドル18bを上方に持ち上げると、ループブラケット18が図5の位置から図6の位置へと時計方向に回動し、押圧部18aが被押圧部19aを押圧してロックオープンブラケット19を時計方向に回動させる。ロックオープンブラケット19は該回動によって押圧部19bが被押圧アーム17bを押圧し、ロック付勢ばね17cに抗してスライドロックプレート17がアンロック位置へと回動する(図13参照)。これにより、ロアレール16に対するアッパレール15のスライド規制が解除される。また、ループブラケット18と共にストッパレバー22が時計方向に回動し、トーションばね20bを介して結合するキャッチレバー20を時計方向に回動させる。すると、キャッチレバー20のキャッチ部20aがキャッチ突起28bに係合して下方へ押し込み、メモリロックレバー28をメモリ位置からメモリ解除位置へ移動させる。これにより、メモリトラック25に対するメモリユニットUのスライド規制が解除される。したがって、図1に二点鎖線で示すようにシート11(アッパレール15)をロアレール16に対して移動させると、メモリユニットUもシート11全体と共にスライドする。ループハンドル18bから手を離すとスライドロックプレート17がロック位置へ復帰回動してシート11が係止され、同時にメモリロックレバー28がメモリ位置に復帰する。
【0035】
次にウォークイン動作について説明する。通常着座状態からウォークイン操作ハンドル56を操作すると、ウォークインワイヤ53が牽引されてレリーズレバー52がテンションスプリング52eに抗して図18の位置から時計方向に回動する。すると、ピン挿入孔52aが連動ピン51bを持ち上げてポール51が同図の反時計方向に回動され、メモリ突起51aとメモリ凹部50aの噛合が解除される。これによりラチェット50とアッパアーム40の結合関係が解除され、アッパアーム40はラチェット50に対して相対回動自在となる。
【0036】
レリーズレバー52が回動すると連動ワイヤ69が牽引されて連動レバー68が図20の時計方向に回動し、該連動レバー68と結合されているヒンジピン61が同方向に回動される。ヒンジピン61の該回動は、前述のリクライニング時と同じく、移動ロック部材65の外歯65aとロックプレート64の内歯64aの噛合を解除させる方向への回動をカム部材66及びレリーズプレート67に与え、したがってシートバックロック機構R2のロックは解除されてアッパアーム60が回動可能になる。一方、ヒンジピン61と共にコネクティングパイプ42が回動するが、この回動時には、コネクティングパイプ42の長孔42aが連動ピン41aに対して回転方向に相対移動して(長孔42aを連動ピン41aに摺接させて)連動ピン41aに対しては回動方向の力が伝達されない。つまり、連動ピン41aは図22に一点鎖線で示すように長孔42aの一端部42a1から他端部42a2側へ相対移動する。そのためヒンジピン41は回動されず、シートバックロック機構R1内部でのロックは解除されない。別言すれば、ラチェット50は回動規制されたままの状態になる。
【0037】
本実施形態では、リクライニング時とウォークイン時(リクライニング位置のメモリ時)とで左右のシートバックロック機構R1及びR2の連動を制御するための機構を、以上のようにヒンジピン41側の連動ピン41aとコネクティングパイプ42側の長孔42aとで構成したため、構造が簡単である。このような連動制御を従来のシート装置では複数のレバーで行っており、本実施形態は従来装置に比べて部品点数が少なく、製造コストを抑えて精度を上げることができる。
【0038】
左右のアッパアーム40及び60において以上のロック解除が行われると、リターンスプリング40a及び60aの付勢力によってシートバック13が前傾動作を開始する。この前傾動作の間、ラチェット50は回動しないので、シートバック13の前傾回動に伴ってポール51はラチェット50の外縁部に沿って移動する。そしてシートバック13が図2の一点鎖線で示す前傾位置まで達すると、図19のように、ポール51に設けた一対のメモリ突起51aのうち回動軸51xに近い側の一方が、ラチェット50の前傾ロック凹部50bに係合する。ポール51に対しては、メモリ突起51aと前傾ロック凹部50bの係合維持方向への付勢力がテンションスプリング52eによって与えられる。
【0039】
アッパアーム60が前傾する際、アッパフック60bが牽引レバー57の被押圧アーム57aを押圧して反時計方向に回動させる。すると、ワイヤ係合アーム57bが牽引ワイヤ58を牽引し、トーションばね21cに抗してロックオープンレバー21を図5の位置から図7の位置へと反時計方向に回動させる。ロックオープンレバー21が反時計方向回動を行うと、押圧ピン21aが押圧部19bを下方に押圧してロックオープンブラケット19が時計方向に回動し、前述の通常スライド時と同様にロック付勢ばね17cに抗してスライドロックプレート17がアンロック位置へ回動される(図13)。なお、図13ではロックオープンレバー21の押圧ピン21aがロックオープンブラケット19の押圧部19bを押圧していないが、これは前述の通常スライド操作の場合であり、ウォークイン動作では押圧ピン21aが図13の位置よりも下方に移動して押圧部19bを押圧する。このとき、ロックオープンブラケット19の被押圧部19aは押圧部18aから離間する(逃げる)関係であるのでループブラケット18は回動せず、ストッパレバー22及びキャッチレバー20も回動されない。キャッチレバー20が回動されなければ、メモリロックレバー28はメモリ位置から移動されない。つまり、シート11全体(アッパレール15)はロアレール16に対してスライド可能であるが、メモリユニットUはメモリラック25に対して相対移動不能な図7の状態になる。
【0040】
アッパレール15は図示しないスライド付勢ばねによって前方へ付勢されており、ウォークイン操作の結果スライドロックプレート17がアンロック位置へ回動されると、図8に示すようにロアレール16に対して前方へスライドする。このときメモリユニットUは、シート11が移動を行う前の位置に留まって固定されている。これが図2に二点鎖線で示すウォークイン状態である。
【0041】
ウォークイン状態から復帰させる際には、シート11を後方にスライドさせる。すると、図9に示すようにスライドストッパ29がスライドピース26のストッパ突起26aに当接し、シート11はそれ以上後退できなくなる。スライドピース26はウォークイン動作の開始当初から移動していないので、この後退規制位置が記憶されたシート位置である。ここでシートバック13を前傾位置から引き起こすと、牽引ワイヤ58が弛緩してロックオープンレバー21が図5の通常着座状態の位置に復帰回動し、これに応じてロックオープンブラケット19が被押圧アーム17bに対する押圧状態を解除し、スライドロックプレート17がロック位置に戻ってシート11が固定される。
【0042】
また、シートバック13を起こすと、左右のシートバックロック機構R1及びR2も先に説明した通常着座状態に復帰する。具体的には、アッパアーム40側のシートバックロック機構R1は元々ロック状態(ロックプレート44の内歯44aが移動ロック部材45の外歯45aと係合)であったが、アッパアーム40が前傾前の角度位置まで復帰すると、一対のメモリ突起51aがラチェット50の一対のメモリ凹部50aに対応する位置へとポール51が移動する。すると、ポール51は図18中の時計方向への回動が可能になるので、テンションスプリング52eによって回動付勢されたレリーズレバー52が同図の反時計方向へ回動し、そのサブアーム52bがポール51を押圧して一対のメモリ突起51aと一対のメモリ凹部50aが係合する位置へと該ポール51を回動させる。これによりラチェット50とポール51の相対回動が規制され、アッパアーム40はベースアーム43に対して傾動不能となる。ラチェット50はウォークイン動作の開始当初から回動していないので、この回動規制位置が記憶されたシートバック13の角度である。また、一対のメモリ突起51aを一対のメモリ凹部50aに係合させる方向(図18の時計方向)へポール51が回動するとき、レリーズレバー52はポール51を押圧して該メモリ突起51aとメモリ凹部50aの係合を促す方向(図18の反時計方向)へと回動するが、このレリーズレバー52の回動に応じて連動ワイヤ69が弛緩する。連動ワイヤ69が弛緩すると連動レバー68に対する牽引力が解除されるので、アッパアーム60側のシートバックロック機構R2を構成するカム部材66がロック方向へ回動可能になる。すると、カム部材66は不図示のばねの付勢力によってロック方向へ回動して移動ロック部材65を水平軸Hxから遠ざける方向に移動させ、該移動ロック部材65の外歯65aがロックプレート64の内歯64aに噛合する。これによりアッパアーム60側のシートバックロック機構R2がロック状態となる。
【0043】
以上のウォークイン動作の説明から分かるように、シートバック13の前傾及び復帰動作とシート11のスライドロックは連動しており、シートバック13が前傾されればスライドロックが解除され、引き起こされればスライドロック状態になる。そのため、ウォークイン動作を行った後、図9に示す記憶位置までシート11を後退させなくてもシートバック13を起こせばシート11が固定されるが、意図せずにこのような操作を行った場合は、スライドメモリ機能が有効に利用されないことになってしまう。逆に、ウォークイン動作の結果、後部座席に置いた荷物などのために前席を十分に後退させることができなくなった場合には、記憶させた位置まで戻っていないことを承知でシートバック13を起こして着座するような可能性もあり得るが、このような場合には記憶させた位置まで戻らずともスライドロックをかけることが望ましい。記憶させた位置までシートを後退させない場合にシートバックを起こすことは可能だがスライドロックがかからないようにしたシート装置も知られているが、ロックがかかっていない不安定な状態で一応の着座ができてしまうので、安全性の観点から特に運転席としては好ましくない。
【0044】
本実施形態のシート装置では、以上のような要求を満たすため、通常は記憶させた位置までシート11を後退させてからシートバック13を引き起こすことを促すような操作体系にさせ、シート11を記憶位置まで後退させられない(敢えてさせない)場合には、シートバック13の引き起こしに応じてスライドロックがかかって安全性を確保できるようにしている。前述したように、シートバック13を前傾させた状態では、ポール51に設けた一対のメモリ突起51aのうち回動軸51xに近い一方がラチェット50の前傾ロック凹部50bに係合する。この係合はテンションスプリング52eの付勢力によって間接的に保持されており、図19の状態からアッパアーム40を引き起こし方向(時計方向)に回動させようとしたときには、シートバック13を前傾位置に付勢するリターンスプリング40a及び60aとは別に、前傾ロック凹部50bとメモリ突起51aの係合による抵抗が与えられる。この抵抗の大きさは、シート11を後退させようとする際にシートバック13を把持した程度ではシートバック13を起こさず、かつ引き起こす意図を持ってシートバック13を回動させたときにはアッパアーム40の回動を許す程度に設定されている。例えば、シートバック13は元々リターンスプリング40a及び60aによって前傾方向へ付勢されているが、前傾ロック凹部50bとメモリ突起51aによる引き起こし抵抗の大きさは、少なくともリターンスプリング40a及び60aによる引き起こし抵抗力よりも大きくなるように設定されている。引き起こし抵抗の大きさは、前傾ロック凹部50bやメモリ突起51aの形状や数、テンションスプリング52eの付勢力の大きさなどの要素によって設定及び変更が可能である。
【0045】
シート11が記憶させた位置まで後退してスライドストッパ29がストッパ突起26aに当て付くとシート11の後退動作が係止される。シートバック13に対する引き起こし動作は後方へ向けての操作力の成分を含むため、当該係止部分(スライドストッパ29とストッパ突起26aの当接箇所)が引き起こし抵抗を受ける支点となり、シート11がスライド自由であるときよりもシートバック13を起こしやすくなる。所定の引き起こし力をシートバック13に与えると、ポール51が反時計方向へ退避回動してメモリ突起51aが前傾ロック凹部50bから離脱する。以降は前述した通りにアッパアーム40(及び60)が起立方向に回動し、記憶させた角度でメモリ突起51aがメモリ凹部50aに係合してシートバック13が係止される。
【0046】
図23及び図24は本発明の第二実施形態である。この実施形態は、シートバック13の引き起こしに抵抗を与える前傾保持機構のみが第一実施形態と異なり、その他の部分は第一実施形態と共通している。第一実施形態と共通する部材は同符号で示す。ラチェット70は外縁部に一対のメモリ凹部70aのみを有し、第一実施形態における前傾ロック凹部50bのような箇所は形成されていない。代わりに、アッパアーム40にばね係合突起(係合部材、固定係合部材)71が突設され、シートクッションフレームに固定されたブラケット72に前傾保持ばね(係合部材、可動係合部材)73が支持されている。前傾保持ばね73は、ブラケット72から弾性変形可能に突出された長尺アーム73aと、該長尺アーム73aの弾性変形を支える短尺アーム73bとからなり、長尺アーム73aには、ばね係合突起71の回動軌跡上に位置する、段差状に折り曲げられた突起係合部73cが形成されている。図23のシートバック(アッパアーム40)起立状態では、ばね係合突起71は前傾保持ばね73から離間しており、図24のようにシートバック13を前傾させると、ばね係合突起71が長尺アーム73aを弾性変形させて突起係合部73cと係合する。前傾保持ばね73の突起係合部73cは、図24の時計方向へのばね係合突起71の移動、すなわちアッパアーム40の引き起こし動作に対して、シートバックを前傾位置に付勢するリターンスプリング40a(60a)とは独立して所定の抵抗を与えるような形状及び付勢力に設定されている。つまり、前傾保持ばね73とばね係合突起71は、第一実施形態の前傾ロック凹部50bとメモリ突起51aと同様にシートバックの前傾保持機構として機能する。
【0047】
図25ないし図27は本発明の第三実施形態である。この実施形態は、ロアレール(16)に対するシートスライド構造に関しては第一の実施形態と略共通しており、シートバック(13)を前傾させると牽引ワイヤ58によりロックオープンレバー21がロック解除方向(反時計方向)へ回動する。一方、シートバックを前傾状態で保持させる機構は、次のような構造になっている。アッパアーム80は第一実施形態のアッパアーム60に対応する部材であり、一体に回動するストッパプレート(係合部材、固定係合部材)81を備えている。アッパアーム80の近傍には、水平軸Hxと平行な回動軸82xによってポール(係合部材、可動係合部材、揺動部材、第1の揺動部材)82がシートクッションフレームに対して揺動可能に枢着されている。ポール82は一端部にストッパプレート81のストッパエッジ81aと係合可能なストッパ凹部82aを有し、トーションばね83によって該係合方向(時計方向)へ回動付勢されている。ストッパ凹部82aの近傍には連動ワイヤ84の一端部が接続し、該連動ワイヤ84の他端部はメモリプレート(第2の揺動部材)85のワイヤ係合アーム85aに接続している。メモリプレート85は水平軸Hxと平行な回動軸85xによってアッパレールに対して揺動可能に枢着されていて、スライドピース(メモリ部材)86の解除段部86aに係合可能な解除アーム85bを延出している。スライドピース86は前述のスライドピース26と同様に機能する部材である。メモリプレート85は回動付勢ばね85c(図中に矢印のみで示す)によって反時計方向に回動付勢されている。
【0048】
図25の通常着座状態に示すストッパプレート81とポール82の位相では、ストッパエッジ81aとストッパ凹部82aは係合不能である。また、スライドピース86の解除段部86aに解除アーム85bが係合し、メモリプレート85は回動付勢ばね85cに抗して時計方向に押し込まれている。この状態からウォークイン動作を行うと、まずアッパアーム80(シートバック)が水平軸Hxを中心として反時計方向に前傾し、ストッパプレート81の角度が変化してストッパエッジ81aとストッパ凹部82aの位相が一致する。また、シートバックの前傾に伴ってロックオープンレバー21が回動してシートのスライドロックが解除され、シートはスライドピース86(メモリユニット)を残して前方にスライドする。シートが前方へスライドしていくと、図26に示すように解除アーム85bがスライドピース86の解除段部86aから離間し、メモリプレート85は回動付勢ばね85cの付勢力によって反時計方向に回動する。メモリプレート85の該回動によって連動ワイヤ84が緩み、トーションばね83の付勢力によってポール82が時計方向に回動し、ストッパ凹部82aがストッパエッジ81aと係合する。ストッパ凹部82aとストッパエッジ81aの当該係合関係によって、アッパアーム80を起こすための時計方向の回動に対しては、シートバックを前傾位置に付勢するリターンスプリング80aとは別の抵抗がかかるようになる。この状態ではシートバックを引き起こすには通常よりも大きな力を要する。
【0049】
シートを後退させてウォークインからの復帰動作を行うと、解除アーム85bがスライドピース86の解除段部86aに当接し、メモリプレート85が回動付勢ばね85cに抗して図27に示すように時計方向に回動される。すると連動ワイヤ84が牽引されてポール82がトーションばね83に抗して反時計方向へ回動され、ストッパ凹部82aがストッパエッジ81aとの係合を解除する。これによってポール82による引き起こし抵抗がなくなり、シートバックを容易に起こすことが可能となる。
【0050】
第三の実施形態は、シートバックを前傾させたときに前傾保持機構によって引き起こし抵抗を与えるという点では先の二つの実施形態と同様であるが、記憶させた位置までシートを後退させたときに該抵抗を自動的に解除するようにした点が異なっている。この形態ではシートバックの引き起こしに要する力が小さくて済むので操作性が向上する。同様の観点から、第一と第二の実施形態においても、シートがメモリ位置まで後退したときには前傾保持機構による保持を自動的に解除させることも可能である。例えば第一実施形態では、シートの後退動作を利用してメモリ突起51aと前傾ロック凹部50bの係合を解除させる方向へポール51を強制回動させるような連動機構を追加してもよい。また第二実施形態では、シートの後退動作を利用して突起係合部73cとばね係合突起71の係合を解除させる方向へ前傾保持ばね73を弾性変形させるような連動機構を追加してもよい。
【0051】
以上の各実施形態の説明から分かるように本発明のシート装置では、シートバックを前傾位置方向に回動付勢する付勢手段とは別に、シート前傾時に係合部材の係合によって引き起こし方向への回動抵抗を与える前傾保持機構を設けたので、ウォークイン状態からの復帰に際して不用意にシートバックが引き起こされメモリ位置の手前でスライドロックがかかってしまうおそれが軽減される。つまり、スライドメモリ機構が有効に利用される。また本発明ではシートバックとスライドロックの連動関係は保たれているので、スライドメモリ位置よりも手前でシートバックを起こして着座する必要が生じた場合には確実にスライドロックさせることができ、安全性も高い。
【0052】
但し、本発明は以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、第一実施形態のシートは、前傾させる前のシートバックの角度を記憶するタイプのリクライニング機構を有しているが、リクライニング機構にこの種のメモリ機能を搭載しないタイプのシートであっても本発明は適用可能である。さらに、少なくとも前傾状態と起立した状態とを有するシートバックであれば、リクライニング機能を備えないシート装置であっても適用することが可能である。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、着座時にはスライド位置にかかわらず確実にスライドロックを機能させつつ、スライドメモリ機能を有効に活用することが可能な車両用シート装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用する車両用シート装置の通常着座状態と前方へのスライド状態を示す側面図である。
【図2】 同シート装置のウォークイン動作状態を示す側面図である。
【図3】 同シート装置のシートスライド機構の分解斜視図である。
【図4】 同シート装置のシートスライド機構の側面図である。
【図5】 通常着座状態におけるシートスライド機構を示す側面図である。
【図6】 通常スライド状態におけるシートスライド機構の側面図である。
【図7】 ウォークイン操作を行った直後のシートスライド機構の側面図である。
【図8】 メモリユニットを残してシートを前方にスライドさせたウォークイン状態のシートスライド機構を示す側面図である。
【図9】 ウォークイン状態からメモリ位置までシートを後退させたときのシートスライド機構の側面図である。
【図10】 図5のA-A線に沿う断面図である。
【図11】 図5のB-B線に沿う断面図である。
【図12】 図5のC-C線に沿うスライドロック状態の断面図である。
【図13】 図7のC′-C′線に沿うスライドロック解除状態の断面図である。
【図14】 図5のD-D線に沿う断面図である。
【図15】 図5のE-E線に沿う断面図である。
【図16】 シートバックの支持機構の分解斜視図である。
【図17】 シートバックの支持機構を後方から見た図である。
【図18】 一方のアッパアームを側方から見た図である。
【図19】 図18のアッパアームが前傾位置に回動した状態を示す図である。
【図20】 他方のアッパアームを側方から見た図である。
【図21】 左右のアッパアームを接続する機構の分解斜視図である。
【図22】 図20の接続機構における連動ピンと長孔の関係を示す概念図である。
【図23】 本発明の第二実施形態のシート装置において、シートバックを起こした状態を示す側面図である。
【図24】 同シート装置のシートバックを前傾させた状態の側面図である。
【図25】 本発明の第三実施形態におけるシート装置の通常着座状態を示す側面図である。
【図26】 同シート装置のウォークイン状態を示す側面図である。
【図27】 同シート装置のウォークインから復帰した状態の側面図である。
【符号の説明】
R1 R2 シートバックロック機構
U メモリユニット(スライドメモリ機構)
11 シート
12 シートクッション
13 シートバック
15 アッパレール
16 ロアレール
17 スライドロックプレート
19 ロックオープンブラケット
20 キャッチレバー
21 ロックオープンレバー
25 メモリラック
26 スライドピース(メモリ部材)
27 メモリ付勢ばね
28 メモリロックレバー
40 60 80 アッパアーム
40a 60a 80a リターンスプリング
41 61 ヒンジピン
41a 連動ピン
42 コネクティングパイプ
42a 長孔
50 ラチェット(係合部材)
50a メモリ凹部(第2の凹部)
50b 前傾ロック凹部
51 ポール(係合部材)
51a メモリ突起
52 レリーズレバー
52e テンションスプリング
70 ラチェット
71 ばね係合突起(係合部材、固定係合部材
73 前傾保持ばね(係合部材、可動係合部材
73c 突起係合部
81 ストッパプレート(係合部材、固定係合部材
81a ストッパエッジ
82 ポール(係合部材、可動係合部材、揺動部材、第1の揺動部材
82a ストッパ凹部
84 連動ワイヤ
85 メモリプレート(第2の揺動部材)
85b 解除アーム
86 スライドピース(メモリ部材)
86a 解除段部

Claims (8)

  1. 床面側のロアレールとこのロアレールに対して摺動自在でシート側に固定されるアッパレール;
    上記アッパレールに支持され、該アッパレールと共にスライド方向に移動するシートクッション;
    上記シートクッションに対し、着座可能な起立位置と前傾位置とに回動可能に支持されたシートバック;
    上記シートバックが起立位置にあるときロアレールに対するアッパレールの摺動を規制したロック状態となり、前傾位置にあるとき該摺動を許容したアンロック状態となるスライドロック機構;及び
    シートバックを前傾させたときのシート位置を記憶し、該記憶位置よりも後方へのシート移動を規制するスライドメモリ機構;
    を備えた車両用シート装置において、
    上記シートバックの前傾位置で係合し起立位置で係合解除する係合部材を有する前傾保持機構を設け
    上記シートバックが前傾されシートが上記スライドメモリ機構による記憶位置に対して前方へ移動されたウォークイン状態から、シートを記憶位置へ向けて移動させるとき、上記前傾保持機構が上記係合部材の係合によりシートバックに対して起立位置への引き起こし抵抗を与え、ウォークイン状態からのシートの後退移動が規制されたとき、その後退規制箇所を支点としてシートバックに対して起立位置への回動を与えることにより、上記前傾保持機構の係合部材の係合が解除されることを特徴とする車両用シート装置。
  2. 請求項1記載の車両用シート装置において、上記スライドメモリ機構は、シートバックが起立位置にあるとき上記ロアレールに対してシートと共にスライド方向に移動し、シートバックを前傾させたときロアレールに対する相対移動が規制されて元のシート位置を記憶するメモリ部材を有し、シートが上記ウォークイン状態から上記記憶位置に戻ったとき、上記メモリ部材に当接して後退移動が規制される車両用シート装置。
  3. 請求項1または2記載の車両用シート装置において、上記前傾保持機構は、
    上記シートバックに対して該シートバックの回動軸を中心として相対回動可能に支持され、シートバックの前傾時に回動せずシートバックとの相対角度を変化させるラチェット;
    上記ラチェットの外縁部に形成した前傾ロック凹部;
    シートバックの前傾時に上記ラチェットの前傾ロック凹部に対して係脱可能なように、シートバックに対して移動可能に支持されたポール;及び
    上記ポールをラチェットの前傾ロック凹部との係合方向に付勢する付勢部材;
    を備えている車両用シート装置。
  4. 請求項記載の車両用シート装置において、上記ラチェット外縁部に、上記前傾保持機構を構成する上記前傾ロック凹部とは別に、シートバックの起立位置で上記ポールと係合する第2の凹部を有している車両用シート装置。
  5. 請求項1または2記載の車両用シート装置において、上記前傾保持機構は、
    上記シートバック側に設けた固定係合部材;及び
    上記シートクッション側に設けられ、シートバックの前傾時に上記固定係合部材と係合し、該係合を解除する方向に移動可能な可動係合部材;
    を備えている車両用シート装置。
  6. 請求項記載の車両用シート装置において、上記シートクッション側の可動係合部材は、上記固定係合部材を保持する状態と保持解除する状態とに弾性変形可能な保持ばねからなる車両用シート装置。
  7. 請求項記載の車両用シート装置において、上記シートクッション側の可動係合部材は、上記固定係合部材に対する係合位置と係合解除位置とに揺動可能な揺動部材からなり、該揺動部材を係合位置側に付勢する付勢部材を有する車両用シート装置。
  8. 請求項記載の車両用シート装置において、上記前傾保持機構は、
    上記シートバック側に設けた固定係合部材;
    上記シートクッション側に設けられ、シートバックの前傾時に上記固定係合部材との係合位置に位置され、該係合を解除する方向に揺動可能な第1の揺動部材;及び
    上記第1の揺動部材を係合位置側に付勢する付勢部材;
    を有し、さらに、
    シートと共にスライド方向に移動し、上記第1の揺動部材に連動して揺動する第2の揺動部材を有し、シートが上記ウォークイン状態からスライドメモリ機構による記憶位置に移動するとき、上記第2の揺動部材が上記メモリ部材に当接して回動されて、上記付勢部材に抗して上記第1の揺動部材を上記固定係合部材との係合解除位置へ強制回動させる車両用シート装置。
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