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JP4306816B2 - 新規生理活性物質、その製造法および用途 - Google Patents

新規生理活性物質、その製造法および用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なG蛋白質共役型レセプター蛋白質のリガンドポリペプチド、及びこれをコードするDNAを含有するDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】
多くのホルモンや神経伝達物質は細胞膜に存在する特異的なレセプターを通じて生体の機能を調節している。これらのレセプターの多くは共役している guanine nucleotide-binding protein(以下、G蛋白質と略称する場合がある)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行い、また7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっていることから、G蛋白質共役型レセプターあるいは7回膜貫通型レセプターと総称される。
このようなホルモンや神経伝達物質とG蛋白質共役型レセプターによる生体の機能を調節する経路の一つとして視床下部−下垂体系がある。これは、視床下部ホルモン(向下垂体性ホルモン)によって下垂体からの下垂体ホルモンの分泌が調節され、血中に放出された下垂体ホルモンを介して標的細胞・器官の機能調節が行われるものである。この経路によって、ホメオスタシスの維持や生殖系、個体の発達、代謝、成長の調節などの生体にとって重要な機能調節が行われている。下垂体ホルモンは視床下部ホルモンと標的内分泌腺より分泌される末梢ホルモンによるポジティブフィードバック機構またはネガティブフィードバック機構によって分泌調節されている。下垂体に存在する各種のレセプター蛋白質は、視床下部−下垂体系を調節する上で中心的な役割を担っている。
【0003】
また、これらのホルモン・因子およびそのレセプターは視床下部−下垂体系だけに限局して存在するのではなく、一般に脳内に広く分布することが知られている。このことは視床下部ホルモンと呼ばれている物質が、中枢神経系においては神経伝達物質あるいは神経調節物質として機能していると考えられている。また、末梢組織においても同様に分布し、それぞれ重要な機能を担っていると考えられている。
膵臓は消化液を分泌する他にグルカゴンやインスリンを分泌することにより糖代謝に重要な役割を果たしている。インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるが、主としてグルコースにより促進される。しかしβ細胞には様々なレセプターが存在し、グルコース以外の様々な因子、ペプチドホルモン(ガラニン、ソマトスタチン、ガストリック・インヒビトリー・ポリペプチド、グルカゴン、アミリンなど)、糖(マンノースなど)、アミノ酸、神経伝達物質などにより、インスリンの分泌が制御されていることが知られている。
これまでに上記G蛋白質共役型レセプター蛋白質のリガンドを決定する一般的な手段としては、G蛋白質共役型レセプター蛋白質の一次構造上の類似性から推定するしかなかった。
最近、動物細胞にリガンドが不明な、いわゆるオーファンG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAを導入し、新規オピオイドペプチドを探索した例が報告されている(Reinsheid, R. K. et al. , Science、270巻、792-794頁、1995年、Menular, J.-C., et al. , Nature 377巻、532-535頁、1995年)。しかしこの場合は既知G蛋白質共役型レセプター蛋白質との類似性や組織分布から、容易にリガンドはオピオイドペプチドのファミリーに属することが予想されていた。オピオイドレセプターを介して生体に作用する物質の研究・開発の歴史は長く、種々のアンタゴニスト・アゴニストが開発されていた。そこで人為的に合成した化合物群の中からこの受容体に対するアゴニストを見出し、それをプローブとして受容体cDNA導入細胞における受容体の発現を検証した後に、アゴニストと同じ様な細胞内情報伝達系の活性化物質を探索し、これを精製し、リガンドの構造を決定している。しかし、このようにオーファンG蛋白質共役型レセプター蛋白質の中でリガンドがおおよそ推定されうるものはほとんどなく、特に、既知のG蛋白質共役型レセプター蛋白質ファミリーと類似性が低い場合、リガンドに関する情報はほとんどなく、リガンドを推定することは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
下垂体、中枢神経系および膵臓β細胞等で発現しているオーファンG蛋白質共役型レセプターに対するリガンドは、医薬として有用であると考えられるが、これまでにその構造および機能については明らかにされていない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、オーファンG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAを適当な手段で発現させた細胞を用い、特異的な細胞刺激(シグナル伝達)活性の測定等を指標に、該レセプター蛋白質がリガンドとして認識するポリペプチドをスクリーニングすることに成功した。
さらに、本発明者らは、該活性因子であるリガンドと上記レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物のスクリーニングを行なうことができることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)配列番号:73で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩、
(2)配列番号:3、4、5、6、7、8、9、10、47、48、49、50、51、52、61、62、63、64、65または66で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドである第(1)項記載のポリペプチド。
(3)配列番号:1、44、45または59で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドである第(1)項記載のポリペプチド、
(4)第(1)項記載のポリペプチドの部分ペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩。
(5)第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドをコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(6)配列番号:2、11、12、13、14、15、16、17、18、46、53、54、55、56、57、58、60、67、68、69、70、71または72で表される塩基配列を有する第(5)項記載のDNA、
(7)第(5)項記載のDNAを含有する組換えベクター、
(8)第(5)項記載のDNAまたは第(7)項記載の組換えベクターを保持する形質転換体、
(9)第(8)項記載の形質転換体を培養することを特徴とする第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドの製造法、
(10)第(1)項記載のポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩を含有してなる医薬、
(11)第(4)項記載の部分ペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩を含有してなる医薬、
(12)第(5)項記載のDNAを含有してなる医薬、
(13)下垂体機能調節剤である第(10)項、第(11)項または第(12)項記載の医薬、
(14)中枢神経機能調節剤である第(10)項、第(11)項または第(12)項記載の医薬、
(15)膵臓機能調節剤である第(10)項、第(11)項または第(12)項記載の医薬、
(16)第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドに対する抗体、
(17)(i)配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に、第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドを接触させた場合と(ii)配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に、第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチド、および試験化合物を接触させた場合との比較を行うことを特徴とする第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドと、配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(18)第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドと、配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩との結合性を変化させる化合物のスクリーニング用キット、
(19)第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドと、配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、および
(20)第(1)項記載のポリペプチドまたは第(4)項記載の部分ペプチドをリガンドとして認識するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に関する。
【0007】
さらに、本発明は、
(21)ポリペプチドが、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列中の1個以上15個以下、好ましくは1個以上10個以下、より好ましくは1個以上5個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列に1個以上80個以下、好ましくは1個以上50個以下、より好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あるいは配列番号:73で表わされるアミノ酸配列中の1個以上15個以下、好ましくは1個以上10個以下、より好ましくは1個以上5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチドである第(1)項記載のポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩、
(22)配列番号:73で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドのN末端にさらに配列番号:74で表されるペプチドが付加したアミノ酸配列を含有するポリペプチドである第(1)項記載のポリペプチド、
(23)ウシ、ラットまたはヒト由来である第(1)項記載のポリペプチド、
および
(24)痴呆、鬱病、多動児(微細脳障害)症候群、意識障害、不安障害、精神分裂症、恐怖症、成長ホルモン分泌障害、過食症、多食症、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高脂血症、高プロラクチン血症、糖尿病、癌、膵炎、腎疾患、ターナー症候群、神経症、リウマチ関節炎、脊髄損傷、一過性脳虚血発作、筋萎縮性側索硬化症、急性心筋梗塞、脊髄小脳変性症、骨折、創傷、アトピー性皮膚炎、骨粗鬆症、喘息、てんかん、不妊症または乳汁分泌不全などの疾病の治療・予防剤である第(10)項、第(11)項または第(12)項記載の医薬を提供するものである。
【0008】
本発明におけるリガンドポリペプチドに対するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に関して、具体的には、
(25)配列番号:19で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列または(および)配列番号:20で表わされるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とする、第(20)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(26)配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とする第(25)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(27)配列番号:22で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とする第(25)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(28)配列番号:23で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とする第(25)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(29)第(25)項〜第(28)項記載のいずれかのG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩、
【0009】
(30)第(25)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(31)第(26)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(32)第(27)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(33)第(28)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(34)配列番号:24で表わされる塩基配列または(および)配列番号:25で表わされる塩基配列を有する第(30)項記載のDNA、
(35)配列番号:26で表わされる塩基配列で表される塩基配列を有する第(31)項記載のDNA、
(36)配列番号:27で表わされる塩基配列で表される塩基配列を有する第(32)項記載のDNA、
(37)配列番号:28で表わされる塩基配列で表される塩基配列を有する第(33)項記載のDNA、
(38)第(30)項〜第(33)項記載のいずれかのDNAを含有する組換えベクター、
(39)第(38)項記載の組換えベクターを保持する形質転換体、
(40)第(39)項記載の形質転換体を培養し、形質転換体の細胞膜にG蛋白質共役型レセプター蛋白質を生成せしめることを特徴とする第(25)項〜第(28)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造方法、
および
(41)第(25)項〜第(28)項記載のいずれかのG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または第(29)項記載の部分ペプチドもしくはその塩に対する抗体を提供する。
【0010】
さらに具体的には、
(42)蛋白質が、(i)配列番号:19で表わされるアミノ酸配列、配列番号:19で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:19で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あるいは配列番号:19で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列または(および)(ii)配列番号:20で表わされるアミノ酸配列、配列番号:20で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:20で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あるいは配列番号:20で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質である第(25)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(43)蛋白質が、配列番号:21で表わされるアミノ酸配列、配列番号:21で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:21で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あるいは配列番号:21で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質である第(26)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(44)蛋白質が、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あるいは配列番号:22で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質である第(27)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、および
(45)蛋白質が、配列番号:23で表わされるアミノ酸配列、配列番号:23で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:23で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、あるいは配列番号:23で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質である第(28)項記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に関する。
本明細書において、「実質的に同一」とはタンパク質の活性、例えば、リガンドと受容体の結合活性、生理的な特性などが、実質的に同じことを意味する。アミノ酸の置換、欠失あるいは挿入はしばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特性に大きな変化をもたらさないが、こうした場合その置換、欠失あるいは挿入を施されたポリペプチドは、そうした置換、欠失あるいは挿入のされていないものと実質的に同一であるとされるであろう。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換物としては、たとえばそのアミノ酸が属するところのクラスのうち他のアミノ酸類から選ぶことができうる。非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンなどが挙げられる。極性(中性)アミノ酸としてはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としてはアルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられる。負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のリガンドポリペプチドは、G蛋白質共役型レセプター蛋白質に結合することができる、配列番号:73で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドもしくは該部分ペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩が挙げられる。ここで、配列番号:73において第10番目のXaaはAlaまたはThr、第11番目のXaaはGlyまたはSer、第21番目のXaaはH、Gly、またはGlyArgを示す。
本発明のリガンドポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩(以下、単にリガンドポリペプチドまたはポリペプチドと略称する場合がある)、その製造法および用途を以下にさらに詳細に説明する。
本発明の上記リガンドポリペプチドとしては、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる組織(たとえば、下垂体、膵臓、脳、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管、血管、心臓など)または細胞などに由来するポリペプチドであって、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するものであればよい。例えば、本発明のリガンドポリペプチドとしては、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質などの他に、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列と約50〜99.9%(好ましくは70〜99.9%、より好ましくは80〜99.9%、さらに好ましくは90〜99.9%)の相同性を有するアミノ酸配列を含有し、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが挙げられる。実質的に同質の活性としては、例えばレセプター結合活性、シグナル伝達活性などが挙げられる。実質的に同質とは、レセプター結合活性などが性質的に同質であることを示す。したがって、レセプター結合活性の強さなどの強弱、ポリペプチドの分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
【0012】
さらに具体的には、本発明のリガンドポリペプチドとしては、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列を含有するラット全脳、ウシ視床下部またはヒト全脳由来のポリペプチドなどが挙げられる。また、本発明のリガンドポリペプチドとしては、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列中の1個以上15個以下、好ましくは1個以上10個以下、より好ましくは1個以上5個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列に1個以上80個以下、好ましくは1個以上50個以下、より好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:73で表わされるアミノ酸配列中の1個以上15個以下、好ましくは1個以上10個以下、より好ましくは1個以上5個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどの実質的に同一のアミノ酸配列も挙げられる。
配列番号:73で表されるアミノ酸配列を示せば、配列番号:8,9,10,50,51,52,64,65または66である。また、配列番号:73で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドとしては、具体的には配列番号:1,3,4,5,6,7,44,45,47,48,49,59,61,62または63で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどを挙げることができる。
上記のうち好ましくは配列番号:73で表されるアミノ酸を含有するポリペプチド及び配列番号:73で表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドのN末端に配列番号:74で表されるペプチドがさらに付加したアミノ酸配列を含有するポリペプチドなどを挙げることができる。
さらに、本発明のポリペプチドもしくは部分ペプチドには、GlnのN端側が生体内で切断され、該Glnがピログルタミン酸化したものなども含まれる。
本明細書におけるペプチドはペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:73で表されるポリペプチドはC末端が通常カルボキシル基(-COOH)またはカルボキシレート(-COO-)であるが、C末端がアミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)であってもよい。エステルのRとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルなどのフェニル−C1-2アルキル、もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキルなどのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチルエステルなどが挙げられる。配列番号:73で表されるポリペプチドがC末端以外にカルボキシル基またはカルボキシレートを有している場合、それらの基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のポリペプチドに含まれる。この時のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
本発明のリガンドポリペプチドとしては特にC末端がアミドであるペプチドが好ましい。なかでも、配列番号:5、8、47、50、61、64で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのC末端がアミドであるポリペプチドが好ましい。
本発明のポリペプチドの塩としては、生理学的に許容される塩基(例えばアルカリ金属など)や酸(有機酸、無機酸)との塩が用いられるが、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のリガンドポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩は、ヒトや温血動物の組織または細胞からポリペプチドを精製する方法によって製造することもできるし、後述のポリペプチド合成法に準じて製造することもできる。また、後述するポリペプチドをコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
ヒトや温血動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0013】
上記したように本発明のリガンドポリペプチドは、自体公知のポリペプチドの合成法に従って製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、蛋白質を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としてはたとえば、以下の▲1▼〜▲5▼に記載された方法が挙げられる。
▲1▼M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
▲2▼SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
▲3▼泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
▲4▼矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年)
▲5▼矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のポリペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られるポリペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0014】
ポリペプチドのアミド体は、アミド形成に適したペプチド合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からペプチドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、目的のポリペプチドを取得する。
上記した保護されたアミノ酸を縮合させるには、ペプチド合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としてはDCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが挙げられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt)とともに保護されたアミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護されたアミノ酸の活性化を行ったのちに樹脂に添加することができる。保護されたアミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、ペプチド縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの三級アミン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はペプチド結合形成反応に使用され得ることがしられている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5-4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することができる。原料アミノ酸のアミノ基の保護基としては、たとえば、Z、Boc、ターシャリーアミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが挙げられる。カルボキシル基の保護基としては、たとえば上記したC1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C7-14アラルキル基の他、2−アダマンチル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、4−クロロベンジル、フェナシル基およびベンジルオキシカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどが挙げられる。
セリンおよびスレオニンの水酸基は、たとえばエステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては例えばアセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基などが挙げられる。また、エーテル化に適する基としては、たとえばベンジル基、テトラヒドロピラニル基、ターシャリーブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、たとえばBzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジル、Br-Z、ターシャリーブチルなどが挙げられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが挙げられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、たとえば対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコール(たとえば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル]などが挙げられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、たとえば対応するリン酸アミドが挙げられる。
【0015】
保護基の除去(脱離)方法としては、たとえばPd黒あるいはPd-炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども挙げられる。上記酸処理による脱離反応は一般に−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
ポリペプチドのアミド体を得る別の方法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、α−アミノ基の保護基を除いたカルボキシル末端側ペプチドと所望ペプチドからカルボキシル末端側を除いたアミノ末端側ペプチドのα−カルボキシル基の保護基のみを除去し、α−アミノ基や側鎖官能基に上記したような適当な保護基を付けた保護ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗ペプチドを得ることができる。この粗ペプチドは既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のポリペプチドのアミド体を得ることができる。
ポリペプチドのエステル体を得るにはカルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、ポリペプチドのアミド体と同様にして所望のポリペプチドのエステル体を得ることができる。
【0016】
本発明のリガンドポリペプチドの部分ペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩としては、上記した配列番号:73で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドと同様の作用(下垂体機能調節作用、中枢神経機能調節作用または膵臓機能調節作用など)を有しているものであれば、どのようなペプチドであってもよい。このようなペプチドとしてはたとえば、上記した配列番号:73で表されるアミノ酸配列を有するペプチドから1ないし15個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。具体的には、▲1▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第2番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲2▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第3番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲3▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第4番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲4▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第5番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲5▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第6番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲6▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第7番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲7▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第8番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲8▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第9番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、▲9▼配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第10番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、■配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第11番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、■配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第12番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、■配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第13番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、■配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第14番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチド、■配列番号:73で表されるアミノ酸配列の第15番目から第21番目のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。さらに、配列番号:74で表されるアミノ酸配列を有するペプチドなども好ましい。
リガンドポリペプチドまたは該部分ペプチドはさらに抗リガンドポリペプチド抗体の調製のための抗原として用いることができる。このような抗原としてのポリペプチドは上記したリガンドポリペプチドまたは該部分ペプチドの他に、上記リガンドポリペプチドのN末端ペプチド、C末端ペプチド、中央部分のペプチドが用いられ、より具体的にはたとえば配列番号:92、93、94で表される部分ペプチドが好ましく用いられる。
部分ペプチドとしては、個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。
本明細書における部分ペプチドもC末端がアミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)であってもよい。ここでエステル基の例としては上記したポリペプチドの場合と同様である。該部分ペプチドがC末端以外にカルボキシル基またはカルボキシレートを有している場合、それらの基がアミド化またはエステル化されているものも本発明の部分ペプチドに含まれる。この時のエステルとしては、例えば、上記したC末端のエステルなどが用いられる。
本発明のリガンドポリペプチドまたはその部分ペプチドは、さらに、機能あるいは性質がよく知られているタンパク質との融合タンパク質であってもよい。
本発明のリガンドポリペプチドの部分ペプチドの塩としては、前述のポリペプチドの塩と同様のものが用いられる。
本発明のリガンドポリペプチドの部分ペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩は、上記したポリペプチドの場合と同様の合成法に従って、あるいは本発明のポリペプチドを適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。
【0017】
本発明のリガンドポリペプチドまたはその部分ペプチドをコードするDNAとしては、本発明の配列番号:73で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、組織・細胞由来のcDNA、組織・細胞由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターはバクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、組織・細胞よりRNA画分を調製したものを用いて直接RT-PCR法によって増幅することもできる。
より具体的には、配列番号:1または配列番号:44のアミノ酸配列を含有するラット全脳あるいはウシ視床下部由来のポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:2で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
ここで、配列番号:2において第129番目のRはGまたはAを、第179番目および240番目のYはCまたはTを示す。第179番目のYがCのとき、配列番号:1で表されるアミノ酸配列をコードし、第179番目のYがTのとき、配列番号:44で表されるアミノ酸配列をコードする。
また、配列番号:3、4、5、6、7、8、9または10で表されるアミノ酸配列を含有するウシ由来ポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:11、12、13、14、15、16、17または18で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。ここで、配列番号:11、13、14、15の第63番目のRおよび配列番号:12、16、17、18の第29番目のRはGあるいはAを示す。
また、配列番号:45、47、48、49、50、51または52で表されるラット由来ポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:46、53、54、55、56、57または58で表される塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
さらに、配列番号:59、61、62、63、64、65または66で表されるヒト由来ポリペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:60、67、68、69、70、71または72で表される塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
また、本発明の配列番号:1、配列番号:44で表されるアミノ酸配列を含有するウシ型ポリペプチド、配列番号:45で表されるアミノ酸配列を含有するラット型ポリペプチド、または配列番号:59で表されるアミノ酸配列を含有するヒト型ポリペプチドをコードするDNAの中で例えば6個以上90個以下(好ましくは6個以上60個以下、より好ましくは9個以上30個以下、さらに好ましくは12個以上30個以下)の部分塩基配列を含有するDNA断片はDNA検出プローブとしても好ましく用いられる。
【0018】
本発明のポリペプチドまたはその部分ペプチドをコードするDNAは以下の遺伝子工学的手法によっても製造することができる。
本発明のポリペプチドまたはその部分ペプチドを完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、ポリペプチドまたはその部分ペプチドの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを例えばヒト由来ポリペプチドの一部あるいは全領域を有するDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別する。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば Molecular Cloning (2nd ed.;J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行われる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行う。
クローン化されたポリペプチドまたはその部分ペプチドをコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
ポリペプチドまたはその部分ペプチドの発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のポリペプチドまたはその部分ペプチドをコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。
【0019】
形質転換する際の宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trp プロモーター、lac プロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lpp プロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。
宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどがそれぞれ利用できる。なお、発現にエンハンサーの利用も効果的である。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、ポリペプチドまたはその部分ペプチドのN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、アルカリフォスファターゼ・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、メイテイングファクターα・シグナル配列、インベルターゼ・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築されたポリペプチドまたはその部分ペプチドをコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造する。
【0020】
宿主としては、たとえばエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌、バチルス属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、たとえばバチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
【0021】
酵母としては、たとえばサッカロマイセス セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B−12などが用いられる。
昆虫としては、例えばカイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、たとえばサル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO,DHFR遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(dhfr-CHO細胞),マウスL細胞,マウスミエローマ細胞,ヒトFL細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、たとえばプロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なわれる。
バチルス属菌を形質転換するには、たとえばモレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行われる。
酵母を形質転換するには、たとえばプロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)に記載の方法に従って行なわれる。
【0022】
昆虫細胞を形質転換するには、たとえばバイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載の方法に従って行なわれる。
動物細胞を形質転換するには、たとえばヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なわれる。
このようにして、ポリペプチドまたはその部分ペプチドをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としてはたとえば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0023】
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、たとえば3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0024】
宿主が昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえば約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Seience),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Jounal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0025】
上記培養物からポリペプチドまたはその部分ペプチドを分離精製するには、例えば下記の方法により行なうことができる。
ポリペプチドまたはその部分ペプチドを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりポリペプチドまたはその部分ペプチドの粗抽出液を得る方法などが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのたんぱく変性剤や、トリトンX−100(登録商標。以下、TMと省略することがある。)などの界面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中にポリペプチドまたはその部分ペプチドが分泌される場合には、培養終了後、自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるポリペプチドまたはその部分ペプチドの精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法やクロマトフォーカシングなどの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
かくして得られるポリペプチドまたはその部分ペプチドが遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生するポリペプチドを、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成するポリペプチドまたはその部分ペプチドの活性はレセプターとの結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0026】
本発明のリガンドポリペプチドをコードするDNA、リガンドポリペプチドまたは該部分ペプチドは、▲1▼G蛋白質共役型レセプター蛋白質のリガンドの一部、あるいは全長の合成、▲2▼本発明のリガンドポリペプチドまたは該部分ペプチドの有する生理作用の探索、▲3▼合成オリゴヌクレオチドプローブあるいはPCRのプライマーの作成、▲4▼G蛋白質共役型レセプター蛋白質のリガンドや前駆体蛋白質をコードするDNAの入手、▲5▼組換え型レセプター蛋白質の発現系を用いたレセプター結合アッセイ系の開発と医薬品候補化合物のスクリーニング、▲6▼抗体および抗血清の入手、▲7▼該抗体または抗血清を用いた診断薬の開発、▲8▼下垂体機能調節剤、中枢神経機能調節剤あるいは膵臓機能調節剤などの医薬の開発、▲9▼遺伝子治療等に用いることができる。
特に、後述の組換え型G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現系を用いたレセプター結合アッセイ系によって、ヒトなどの温血動物に特異的なG蛋白質共役型レセプターアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングすることができ、該アゴニストまたはアンタゴニストを各種疾病の予防・治療剤などとして使用することができる。
【0027】
さらに、上記▲8▼に関し、本発明のリガンドポリペプチド、該部分ペプチド、またはそれをコードするDNAは下垂体、中枢神経系、膵臓β細胞などで発現しているG蛋白質共役型レセプター蛋白質がリガンドとして認識するものであるので、安全で低毒性な医薬として有用である。本発明のリガンドポリペプチド、該部分ペプチド、またはそれをコードするDNAは下垂体機能調節作用、中枢神経機能調節作用あるいは膵臓機能調節作用に関与していることから、たとえば老人性痴呆、脳血管性痴呆、系統変成型の退行変成疾患(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、ハンチントン病など)に起因する痴呆、感染性疾患(例:クロイツフェルト−ヤコブ病などの遅発ウイルス感染症など)に起因する痴呆、内分泌性・代謝性・中毒性疾患(例:甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、アルコール中毒、各種薬剤・金属・有機化合物による中毒など)に起因する痴呆、腫瘍性疾患(例:脳腫瘍など)に起因する痴呆、外傷性疾患(例:慢性硬膜下血腫など)に起因する痴呆などの痴呆、鬱病、多動児(微細脳障害)症候群、意識障害、不安障害、精神分裂症、恐怖症、成長ホルモン分泌障害(例:巨人症、末端肥大症など)、過食症、多食症、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高脂血症、高プロラクチン血症、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病、癌(例:乳癌、リンパ性白血病、膀胱癌、卵巣癌、前立腺癌など)、膵炎、腎疾患(例:慢性腎不全、腎炎など)、ターナー症候群、神経症、リウマチ関節炎、脊髄損傷、一過性脳虚血発作、筋萎縮性側索硬化症、急性心筋梗塞、脊髄小脳変性症、骨折、創傷、アトピー性皮膚炎、骨粗鬆症、喘息、てんかん、不妊症または乳汁分泌不全などの疾病の治療・予防剤として用いることができる。さらに手術後の栄養状態改善剤、昇圧剤などとしても用いることができる。
本発明のポリペプチド、該部分ペプチド、またはそれをコードするDNAを上述の医薬として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
【0028】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調整された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えばヒトや哺乳動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サル、マントヒヒ、チンパンジーなど)に対して投与することができる。
本発明のポリペプチド、該部分ペプチド、またはそれをコードするDNAの投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日につき約0.1から100mg、好ましくは約1.0から50mg、より好ましくは約1.0から20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえば注射剤の形では通常成人(60kgとして)においては、一日につき約0.01から30mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0029】
上記本発明のリガンドポリペプチドに対するG蛋白質共役型レセプター蛋白質としては、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる組織(例えば、下垂体、膵臓、脳、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管、血管、心臓など)または細胞などに由来するG蛋白質共役型レセプター蛋白質であって、配列番号:19、20、21、22または23で表わされるアミノ酸配列と同一もしくはこれらのアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するものであれば如何なるものであってもよい。すなわち、本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質としては、配列番号:19、20、21、22または23で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質などの他に、配列番号:19、20、21、22または23で表わされるアミノ酸配列と約90〜99.9%の相同性を有するアミノ酸配列を含有し、配列番号:19、20、21、22または23で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが挙げられる。これらの蛋白質が示す活性としては、例えばリガンド結合活性、シグナル伝達などが挙げられる。実質的に同質とは、リガンド結合活性などが性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性の強さなどの強弱、レセプター蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
【0030】
さらに具体的には、G蛋白質共役型レセプター蛋白質としては、配列番号:19または(および)配列番号:20で表わされるアミノ酸配列を含有するヒト下垂体由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質、配列番号:22で表わされるアミノ酸配列を含有するマウス膵臓由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質、配列番号:23で表わされるアミノ酸配列を含有するマウス膵臓由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質などが挙げられる。そして、配列番号:19および配列番号:20で表わされるアミノ酸配列を含有するヒト下垂体由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質としては、具体的には配列番号:21で表わされるアミノ酸配列を含有するヒト下垂体由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質などが挙げられる。また、G蛋白質共役型レセプター蛋白質としては、配列番号:19、20、21、22または23で表わされるアミノ酸配列中の1以上30個以下、より好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:19、20、21、22または23で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、より好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:19、20、21、22または23で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、より好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども挙げられる。
ここで、配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質は、ヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質の全アミノ酸配列を含有するものである。配列番号:19または(および)配列番号:20で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質は、該配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質の断片あるいは部分ペプチドである。さらに、配列番号:22または配列番号:23で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質は、マウス膵臓由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質であるが、配列番号:19または(および)配列番号:20で表されるアミノ酸配列に非常に高い類似性を示す(実施例8、特に〔図13〕)ことから、配列番号:22または23で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質も同様に、配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質の断片あるいは部分ペプチドの中に含まれる。
すなわち、上述の配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質もしくは後述する該蛋白質の部分ペプチドまたはその塩は、配列番号:19、20、22または23で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩をも含むものである。
さらに、G蛋白質共役型レセプター蛋白質には、N末端のMetが保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、GluのN端側が生体内で切断され、該Gluがピログルタミン化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども含まれる。
【0031】
G蛋白質共役型レセプター蛋白質の塩としては、上記したリガンドポリペプチドと同様のものが挙げられる。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩または該部分ペプチドは、ヒトや温血動物の組織または細胞から自体公知の蛋白質の精製方法によって製造することもできるし、前述のポリペプチドをコードするDNAを含有する形質転換体を培養する方法と同じ方法によっても製造することができる。また、前述のペプチド合成法に準じて製造することもできる。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドとしては、例えば、G蛋白質共役型レセプター蛋白質分子のうち、細胞膜の外に露出している部位などが用いられる。具体的には、〔図3〕、〔図4〕、〔図8〕、〔図11〕または〔図14〕で示される本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドの塩としては、上記したリガンドポリペプチドの塩と同様のものが用いられる。
【0032】
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:19、20、21、22または23のアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、組織・細胞由来のcDNA、組織・細胞由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターはバクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、組織・細胞よりRNA画分を調製したものを用いて直接RT-PCR法によって増幅することもできる。
具体的には、配列番号:19のアミノ酸配列を含有するヒト下垂体由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:24で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番号:20のアミノ酸配列を含有するヒト下垂体由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:25で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番号:21のアミノ酸配列を含有するヒト下垂体由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:26で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番号:22のアミノ酸配列を含有するマウス膵臓由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:27で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番号:23のアミノ酸配列を含有するマウス膵臓由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAとしては、配列番号:28で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
【0033】
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を完全にコードするDNAのクローニングの方法、用い得るベクター、プロモーター、宿主、形質転換方法、培養方法、分離精製の方法については上記したリガンドポリペプチドの場合と同様である。
たとえば、後述する実施例5で得られるプラスミドphGR3を制限酵素SalIで消化し、hGR3をコードするcDNAの完全長の翻訳枠部分を取り出す。これを同じくSalI消化後に自己閉環を防止するためにBAP(Bacterial Alkaline Phosphatase)処理を施した動物細胞用発現ベクターpAKKO-111等とライゲーション反応を行う。ライゲーション反応完了後は反応液の一部を用いて大腸菌DH5等を形質転換する。得られた形質転換体のうち、hGR3をコードするcDNAが発現ベクターにあらかじめ組み込んであるSRαなどのプロモーターに対して順方向に挿入されているものを制限酵素切断によるマッピングあるいは塩基配列の決定によって選別しそのプラスミドDNAを大量に調製する。
作成した発現ベクターのDNAを用い、リン酸カルシウム法あるいはリポソーム法などにもとづく動物細胞への遺伝子導入用のキットを用いてCHO dhfr-細胞に導入してG蛋白質共役型レセプター蛋白質(hGR3)高発現CHO細胞株を得る。
得られたCHO細胞を核酸不含の選択培地でCO2インキュベーターで37℃、5%CO2の条件下で1〜4日培養することによりG蛋白質共役型レセプター蛋白質(hGR3)を産生させる。
該CHO細胞からG蛋白質共役型レセプター蛋白質あるいはその部分ペプチドに対する抗体を担体に架橋させて作製されたアフィニティーカラムあるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドを担体に架橋させたアフィニティーカラムを用いてG蛋白質共役型レセプター蛋白質を分離精製する。
【0034】
かくして生成するG蛋白質共役型レセプター蛋白質の活性は標識したリガンドとの結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAおよびG蛋白質共役型レセプター蛋白質は、▲1▼G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、▲2▼抗体および抗血清の入手、▲3▼組換え型レセプター蛋白質の発現系の構築、▲4▼同発現系を用いたレセプター結合アッセイ系の開発と医薬品候補化合物のスクリーニング、▲5▼構造的に類似したリガンド・レセプターとの比較にもとづいたドラッグデザインの実施、▲6▼遺伝子診断におけるプローブ、PCRプライマーの作成、▲7▼遺伝子治療等に用いることができる。
特に、組換え型G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現系を用いたレセプター結合アッセイ系によって、ヒトなどの温血動物に特異的なG蛋白質共役型レセプターアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングすることができ、該アゴニストまたはアンタゴニストを各種疾病の予防・治療剤などとして使用することができる。
本発明のリガンドポリペプチドおよびそれに対するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、リガンドポリペプチドおよびG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAおよび抗体等の用途について、以下にさらに具体的に説明する。
【0035】
(1)G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、該リガンドの製造法および用途
上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または該部分ペプチドもしくはその塩は、G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドを探索しまたは決定するための試薬として有用である。
すなわち、G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドと、試験化合物とを接触させることを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法を提供する。
【0036】
試験化合物としては、公知のリガンド(例えば、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、VIP(バソアクティブ インテスティナル アンド リレイテッド ペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、αおよびβ−chemokine(IL−8、GROα、GROβ、GROγ、NAP−2、ENA−78、PF4、IP10、GCP−2、MCP−1、HC14、MCP−3、I−309、MIP1α、MIP−1β、RANTESなど)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニンなど)の他に、例えばヒトや温血動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。例えば、該組織抽出物、細胞培養上清などをG蛋白質共役型レセプター蛋白質に添加し、細胞刺激活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。
【0037】
具体的には、上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩、または該部分ペプチドもしくはその塩を用いるか、または組換え型レセプター蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、G蛋白質共役型レセプター蛋白質に結合して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fos活性化、細胞外pHの低下などを促進する活性または抑制する活性)を有する化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩を決定する方法を提供する。細胞刺激活性の測定としては上記した中でも特にアラキドン酸遊離を促進する活性または抑制する活性を測定するのが好ましい。
【0038】
G蛋白質共役型レセプター蛋白質に結合するリガンドを決定する具体的な方法としては、
▲1▼標識した試験化合物を、G蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または本発明の部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合における、標識した試験化合物の該蛋白質もしくはその塩、または該部分ペプチドもしくはその塩に対する結合量を測定することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、
▲2▼標識した試験化合物を、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識した試験化合物の該細胞または該膜画分に対する結合量を測定することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、
▲3▼標識した試験化合物を、G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合における、標識した試験化合物の該G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する結合量を測定しすることを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、
【0039】
▲4▼試験化合物を、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、細胞外pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、および
▲5▼試験化合物を、G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合における、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、細胞外pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定することを特徴とする方法を挙げることができる。
リガンド決定方法の具体的な説明を以下にする。
まず、リガンド決定方法に用いるG蛋白質共役型レセプター蛋白質としては、上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質または該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドを含有するものであれば何れのものであってもよいが、動物細胞を用いて大量発現させたG蛋白質共役型レセプター蛋白質が適している。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を製造するには、前述の方法が用いられるが、該蛋白質をコードするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現することにより行うことができる。目的部分をコードするDNA断片には相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが好ましい。発現したレセプターの量と質の検査はそれ自体公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載の方法に従って行うことができる。
【0040】
したがって、リガンド決定方法において、G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドを含有するものとしては、それ自体公知の方法に従って精製したG蛋白質共役型レセプター蛋白質または該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドであってもよいし、該蛋白質を含有する細胞を用いてもよく、また該蛋白質を含有する細胞の膜画分を用いてもよい。
リガンド決定方法において、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行うことができる。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞としては、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが挙げられる。
膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
【0041】
該G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞や膜画分中のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の量は、1細胞当たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。G蛋白質共役型レセプター蛋白質に結合するリガンドを決定する前記の▲1▼〜▲3▼の方法を実施するためには、適当なG蛋白質共役型レセプター画分と、標識した試験化合物が必要である。G蛋白質共役型レセプター画分としては、天然型のG蛋白質共役型レセプター画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型G蛋白質共役型レセプター画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。
標識した試験化合物としては、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した上記の試験化合物などが好適である。
【0042】
具体的には、G蛋白質共役型レセプター蛋白質に結合するリガンドの決定方法を行うには、まずG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞または細胞の膜画分を、決定方法に適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレセプターとの結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各種蛋白質をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の試験化合物を加えた反応チューブも用意する。反応は0℃から50℃、望ましくは4℃から37℃で20分から24時間、望ましくは30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測する。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験化合物を本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドとして選択することができる。
【0043】
G蛋白質共役型レセプター蛋白質に結合するリガンドを決定する前記の▲4▼〜▲5▼の方法を実施するためには、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、細胞外pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。リガンド決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
【0044】
G蛋白質共役型レセプター蛋白質に結合するリガンド決定用キットは、G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、その部分ペプチドまたはその塩、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分を含有するものである。
リガンド決定用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.リガンド決定用試薬
▲1▼測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
▲2▼G蛋白質共役型レセプター蛋白質標品
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
▲3▼標識試験化合物
市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した化合物、または適当な方法で標識化したもの。
適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。水に難溶性を示す試験化合物については、ジメチルホルムアミド、DMSO、メタノール等に溶解する。
▲4▼非標識試験化合物
標識化合物を同じものを100〜1000倍濃い濃度に調製する。
【0045】
2.測定法
▲1▼12穴組織培養用プレートにて培養したG蛋白質共役型レセプター蛋白質を発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
▲2▼標識試験化合物を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには非標識試験化合物を5μl加えておく。
▲3▼反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した
標識試験化合物を0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
▲4▼液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定する。
【0046】
(2)リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質欠乏症の予防・治療剤
上記(1)の方法において、明らかにされたG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドポリペプチドが有する作用に応じて、リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAをリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質欠乏症の予防・治療剤としても使用することができる。
例えば、生体内において、リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質が減少しているためにリガンドの生理作用(下垂体機能調節作用、中枢神経機能調節作用あるいは膵臓機能調節作用など)が期待できない患者がいる場合に、(イ)リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを該患者に投与し発現させることによって、あるいは(ロ)脳細胞などにリガンドポリペプチドもしくはG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを挿入し発現させた後に、該脳細胞を該患者に移植することなどによって、該患者の脳細胞におけるリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の量を増加させ、リガンドポリペプチドの作用を充分に発揮させることができる。したがって、リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAは、安全で低毒性なリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質欠乏症の予防・治療剤などとして用いることができる。
上記DNAを上記治療剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、上記したリガンドポリペプチドもしくは該部分ペプチドをコードするDNAを医薬として使用する場合と同様の手段に従って実施することができる。
【0047】
(3)リガンドポリペプチドに対するG蛋白質共役型レセプター蛋白質の定量法本発明のリガンドポリペプチドはG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩や該レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩に対して結合性を有しているので、生体内におけるG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩、または該レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩の濃度を感度良く定量することができる。
この定量法は、例えば競合法と組み合わせることによって用いることができる。すなわち、被検体を本発明のリガンドポリペプチドと接触させることによって被検体中のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩、またはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドもしくはその塩の濃度を測定することができる。具体的には、例えば、以下の▲1▼または▲2▼などに記載の方法あるいはそれに準じる方法に従って用いることができる。
▲1▼入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)
▲2▼入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)
【0048】
(4)G蛋白質共役型レセプター蛋白質と、本発明のリガンドポリペプチド、該部分ペプチドまたはそれらのアミド、エステルもしくはそれら塩(以下、リガンドまたはリガンドポリペプチドと略称する場合がある。)との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法
G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩や該部分ペプチドもしくはその塩を用いるか、または組換え型レセプター蛋白質の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、リガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩をスクリーニングすることができる。このような化合物には、G蛋白質共役型レセプターを介して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を有する化合物(即ちG蛋白質共役型レセプターアゴニスト)と該細胞刺激活性を有しない化合物(即ちG蛋白質共役型レセプターアンタゴニスト)などが含まれる。「リガンドとの結合性を変化させる」とは、リガンドとの結合を阻害する場合とリガンドとの結合を促進する場合の両方を包含するものである。
【0049】
すなわち、本発明は、(i)本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または該レセプター蛋白質の部分ペプチドもしくはその塩に、本発明のリガンドを接触させた場合と(ii)上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩または該レセプター蛋白質の部分ペプチドもしくはその塩に、本発明のリガンドおよび試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のリガンドと上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質または該レセプター蛋白質の部分ペプチドに、本発明のリガンドポリペプチドを接触させた場合と(ii)上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質または該レセプター蛋白質の部分ペプチドに、本発明のリガンドポリペプチドおよび試験化合物を接触させた場合における、例えば該G蛋白質共役型レセプター蛋白質または該レセプター蛋白質の部分ペプチドに対するリガンドの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較する。
【0050】
本発明のスクリーニング方法は具体的には、
▲1▼標識した本発明のリガンドポリペプチドを、上記したG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、標識した本発明のリガンドポリペプチドおよび試験化合物をG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩またはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドもしくはその塩に接触させた場合における、標識した本発明のリガンドポリペプチドの該G蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその塩、または該部分ペプチドもしくはその塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする本発明のリガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
▲2▼標識した本発明のリガンドポリペプチドを、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識した本発明のリガンドポリペプチドおよび試験化合物をG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識した本発明のリガンドポリペプチドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする本発明のリガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
▲3▼標識した本発明のリガンドポリペプチドを、G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合と、標識した本発明のリガンドポリペプチドおよび試験化合物をG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合における、標識した本発明のリガンドポリペプチドの該G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする本発明のリガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0051】
▲4▼G蛋白質共役型レセプター蛋白質を活性化する化合物(例えば、本発明のリガンドポリペプチド)をG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合と、G蛋白質共役型レセプターを活性化する化合物および試験化合物をG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における、G蛋白質共役型レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較することを特徴とする本発明のリガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
▲5▼G蛋白質共役型レセプターを活性化する化合物(例えば、本発明のリガンドポリペプチドなど)をG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合と、G蛋白質共役型レセプターを活性化する化合物、および試験化合物をG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したG蛋白質共役型レセプター蛋白質に接触させた場合における、G蛋白質共役型レセプターを介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較することを特徴とする本発明のリガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法である。
【0052】
G蛋白質共役型レセプターアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングする場合、まずラットなどのG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含む細胞、組織またはその細胞膜画分を用いて候補化合物を得て(一次スクリーニング)、その後に該候補化合物が実際にヒトのG蛋白質共役型レセプター蛋白質とリガンドとの結合を阻害するか否かを確認する試験(二次スクリーニング)が必要である。しかし、細胞、組織または細胞膜画分をそのまま用いれば他のレセプター蛋白質も混在するために、目的とするレセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストを実際にスクリーニングすることは困難である。しかしながら、ヒト由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質を用いることによって、一次スクリーニングの必要がなくなり、リガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプターとの結合性を変化させる化合物を効率良くスクリーニングすることができる。さらに、スクリーニングされた化合物がG蛋白質共役型レセプターアゴニストかG蛋白質共役型レセプターアンタゴニストかを評価することができる。
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、本発明のスクリーニング方法に用いるG蛋白質共役型レセプター蛋白質としては、上記のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドを含有するものであれば何れのものであってもよいが、ヒトや温血動物の臓器の膜画分が好適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させたG蛋白質共役型レセプター蛋白質が適している。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を製造するには、前述の方法が用いられる。
本発明のスクリーニング方法において、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞あるいは該細胞膜画分を用いる場合、前述の調製法に従えばよい。
【0053】
本発明のリガンドとG蛋白質共役型レセプターとの結合性を変化させる化合物をスクリーニングする前記の▲1▼〜▲3▼を実施するためには、適当なG蛋白質共役型レセプター画分と、標識した本発明のリガンドポリペプチドが必要である。G蛋白質共役型レセプター画分としては、天然型のG蛋白質共役型レセプター画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型G蛋白質共役型レセプター画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。
標識したリガンドとしては、標識したリガンド、標識したリガンドアナログ化合物などが用いられる。例えば〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたリガンドなどを利用することができる。
具体的には、リガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物のスクリーニングを行うには、まずG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレセプターとの結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の標識したリガンドを添加し、同時に10-4M〜10-10 Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のリガンドを加えた反応チューブも用意する。反応は0℃から50℃、望ましくは4℃から37℃で20分から24時間、望ましくは30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例えば50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
【0054】
本発明のリガンドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする前記の▲4▼〜▲5▼の方法を実施するためには、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当なG蛋白質共役型レセプター蛋白質を発現した細胞が必要である。本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を発現した細胞としては、天然型の本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質を有する細胞株(例えば、マウス膵臓β細胞株MIN6など)、前述の組換え型G蛋白質共役型レセプター蛋白質発現細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0055】
本発明のリガンドとG蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞の膜画分、および本発明のリガンドポリペプチドを含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
▲1▼測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
▲2▼G蛋白質共役型レセプター標品
G蛋白質共役型レセプター蛋白質を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
▲3▼標識リガンド
市販の〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したリガンド
適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
▲4▼リガンド標準液
リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
【0056】
2.測定法
▲1▼12穴組織培養用プレートにて培養したG蛋白質共役型レセプター蛋白質を発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
▲2▼10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物のかわりに10-3Mのリガンドを5μl加えておく。
▲3▼反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
▲4▼液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式〔数1〕で求める。
【数1】
Figure 0004306816
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
0 :最大結合量
【0057】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、本発明のリガンドポリペプチドとG蛋白質共役型レセプターとの結合を変化させる(結合を阻害あるいは促進する)化合物であり、具体的にはG蛋白質共役型レセプターを介して細胞刺激活性を有する化合物またはその塩(いわゆるG蛋白質共役型レセプターアゴニスト)、あるいは該刺激活性を有しない化合物(いわゆるG蛋白質共役型レセプターアンタゴニスト)である。該化合物としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
該G蛋白質共役型レセプターアゴニストは、G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドポリペプチドが有する生理活性と同様の作用を有しているので、該リガンド活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。
逆に、G蛋白質共役型レセプターアンタゴニストは、G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドポリペプチドが有する生理活性を抑制することができるので、該リガンド活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のリガンドポリペプチドは下垂体機能調節作用、中枢神経機能調節作用または膵臓機能調節作用に関与していることから、上記したアゴニストあるいはアンタゴニストをたとえば老人性痴呆、脳血管性痴呆、系統変成型の退行変成疾患(例:アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、ハンチントン病など)に起因する痴呆、感染性疾患(例:クロイツフェルト−ヤコブ病などの遅発ウイルス感染症など)に起因する痴呆、内分泌性・代謝性・中毒性疾患(例:甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、アルコール中毒、各種薬剤・金属・有機化合物による中毒など)に起因する痴呆、腫瘍性疾患(例:脳腫瘍など)に起因する痴呆、外傷性疾患(例:慢性硬膜下血腫など)に起因する痴呆などの痴呆、鬱病、多動児(微細脳障害)症候群、意識障害、不安障害、精神分裂症、恐怖症、成長ホルモン分泌障害(例:巨人症、末端肥大症など)、過食症、多食症、高コレステロール血症、高グリセリド血症、高脂血症、高プロラクチン血症、低血糖症、下垂体機能低下症、下垂体性小人症、糖尿病(例:糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症など)、癌(例:乳癌、リンパ性白血病、膀胱癌、卵巣癌、前立腺癌など)、膵炎、腎疾患(例:慢性腎不全、腎炎など)、ターナー症候群、神経症、リウマチ関節炎、脊髄損傷、一過性脳虚血発作、筋萎縮性側索硬化症、急性心筋梗塞、脊髄小脳変性症、骨折、創傷、アトピー性皮膚炎、骨粗鬆症、喘息、てんかん、不妊症または乳汁分泌不全などの疾病の治療・予防剤として用いることができる。さらに催眠鎮静剤、手術後の栄養状態改善剤、昇圧剤、降圧剤などとしても用いることができる。
【0058】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩を上述の医薬として使用する場合、上記のリガンドポリペプチドを医薬として実施する場合と同様にして実施することができる。
【0059】
(5)本発明のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する抗体または抗血清の製造
本発明のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対する抗体(例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体)または抗血清は、本発明のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
例えば、ポリクローナル抗体は、後述の方法に従って製造することができる。
【0060】
[ポリクローナル抗体の作製]
上記抗原としてのペプチドもしくは蛋白質は、キャリアー用蛋白と結合される。該キャリアー用蛋白としては、例えば、牛チログロブリン、牛血清アルブミン、牛ガンマグロブリン、ヘモシアニン、フロインドの完全アジュバント(ディフコ社製)などがあげられる。
該抗原としての蛋白質とキャリアー用蛋白との結合には、公知の常套手段を用いて実施し得る。結合に用いる試薬としては、例えば、グルタールアルデヒド、水溶性カルボジイミドなどがあげられる。抗原としての蛋白質とキャリアー用蛋白との使用比は、約1対1ないし約1対10が適当であり、反応のpHは、中性付近、特に約6〜8前後が良好な結果を与える場合が多い。また、反応に要する時間は、約1〜12時間が良い場合が多いが、特に、約2〜6時間が適当である。このようにして作成された複合物は、常套手段で約0〜18℃前後で水に対して透析し、凍結して保存しても良いし、凍結乾燥して保存しても良い。
ポリクローナル抗体を製造するためには、上記のようにして製造した免疫原を温血動物に接種される。上記抗体の製造に用いられる温血動物としては、例えば、哺乳温血動物(例、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、モルモット、ウシ、ウマ、ブタ)、鳥類(例、ニワトリ、ハト、アヒル、ガチョウ、ウズラ)などが挙げられる。免疫原を、温血動物に接種する方法としては、動物に接種する免疫原は、抗体産生をする有効な量でよく、例えば、ウサギに1回1mgを1mlの生理食塩水およびフロインドの完全アジュバントで乳化して、背部ならびに後肢掌皮下に4週間おきに5回接種すると抗体を産生させる場合が多い。このようにして、温血動物中に形成された抗体を採取する方法としては、例えばウサギでは、通常最終接種後7日から12日の間に耳静脈から採取し、遠心分離して血清として得られる。得られた抗血清は、通常、各抗原ペプチドを保持させた担体を用いるアフィニティクロマトグラフィーで吸着した画分を回収することによりポリクローナル抗体を精製することができる。
【0061】
また、モノクローナル抗体は、後述の方法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクロナール抗体産生細胞の作製
本発明のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター蛋白質は、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血動物としては、たとえばサル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリがあげられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
【0062】
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、たとえばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば後記の標識化ポリペプチドまたは標識化G蛋白質共役型レセプターと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することによりなされる。融合操作は既知の方法、たとえばケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い実施できる。融合促進剤としてはポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としてはたとえばNS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などがあげられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
抗リガンドポリペプチド抗体または抗G蛋白質共役型レセプター抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、たとえばリガンドポリペプチド抗原またはG蛋白質共役型レセプター抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合した抗リガンドポリペプチドモノクローナル抗体または抗G蛋白質共役型レセプターモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターを加え、固相に結合した抗リガンドポリペプチドモノクローナル抗体または抗G蛋白質共役型レセプターモノクローナル抗体を検出する方法などがあげられる。
抗リガンドポリペプチドモノクローナル抗体または抗G蛋白質共役型レセプターモノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なわれる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なわれる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗リガンドポリペプチド抗体価または抗G蛋白質共役型レセプター抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0063】
(b)モノクロナール抗体の精製
抗リガンドポリペプチドモノクローナル抗体または抗G蛋白質共役型レセプターモノクローナル抗体の分離精製は通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行われる。
以上の(a)および(b)の方法に従って製造させる本発明のリガンドポリペプチド抗体またはG蛋白質共役型レセプター抗体は、それぞれリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターを特異的に認識することができるので、被検液中のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。すなわち、本発明は、例えば、
(i)本発明のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターに反応する抗体と、被検液および、標識化リガンドポリペプチドまたは標識化G蛋白質共役型レセプターとを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化リガンドポリペプチドまたは標識化G蛋白質共役型レセプターの割合を測定することを特徴とする被検液中のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの定量法、(ii)被検液と担体上に不溶化した抗体および標識化された抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの定量法において、一方の抗体が、リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターのN端部を認識する抗体で、他方の抗体がリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターのC端部に反応する抗体であることを特徴とする被検液中のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの定量法を提供する。
【0064】
本発明のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターを認識するモノクローナル抗体(以下、抗リガンドポリペプチド抗体または抗G蛋白質共役型レセプター抗体と称する場合がある)を用いてリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの測定を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる測定法は、 特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えばリガンドポリペプチド量またはG蛋白質共役型レセプター量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが挙げられる。放射性同位元素としては、例えば〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えばβ−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素等が、蛍光物質としては、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが、発光物質としては、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどがそれぞれ挙げられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
【0065】
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常蛋白質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が挙げられる。
サンドイッチ法においては不溶化した抗リガンドポリペプチド抗体または抗G蛋白質共役型レセプター抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化抗リガンドポリペプチド抗体または標識化抗G蛋白質共役型レセプター抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中のリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプター量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法によるリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる抗リガンドポリペプチド抗体または抗G蛋白質共役型レセプター抗体はリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。即ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターのC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
【0066】
本発明のリガンドポリペプチド抗体またはG蛋白質共役型レセプター抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0067】
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてリガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターの測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる〔例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。
以上のように、本発明のリガンドポリペプチド抗体またはG蛋白質共役型レセプター抗体を用いることによって、リガンドポリペプチドまたはG蛋白質共役型レセプターを感度良く定量することができる。
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
【0068】
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
EIA :エンザイムイムノアッセイ
GlyまたはG :グリシン
AlaまたはA :アラニン
ValまたはV :バリン
LeuまたはL :ロイシン
IleまたはI :イソロイシン
SerまたはS :セリン
【0069】
ThrまたはT :スレオニン
CysまたはC :システイン
MetまたはM :メチオニン
GluまたはE :グルタミン酸
AspまたはD :アスパラギン酸
LysまたはK :リジン
ArgまたはR :アルギニン
HisまたはH :ヒスチジン
PheまたはF :フェニルアラニン
TyrまたはY :チロシン
TrpまたはW :トリプトファン
ProまたはP :プロリン
AsnまたはN :アスパラギン
GlnまたはQ :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
【0070】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
BHA:ベンズヒドリルアミン
pMBHA:p−メチルベンズヒドリルアミン
Tos:p−トルエンスルフォニル
CHO:ホルミル
HONB:N−ヒドロキシ−5−ノルボルネンー2,3−ジカルボキシイミド
OcHex:シクロヘキシルエステル
Bzl:ベンジル
Bom:ベンジルオキシメチル
Br−Z:2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Boc:t−ブチルオキシカルボニル
DCM:ジクロロメタン
HOBt:1−ヒドロキシベンズトリアゾール
DCC:N、N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド
TFA:トリフルオロ酢酸
DIEA:ジイソプロピルエチルアミン
Fmoc:N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
DNP:ジニトロフェニル
Bum:ターシャリーブトキシメチル
Trt:トリチル
【0071】
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
pBOV3に含まれるウシ視床下部由来リガンドポリペプチドの全長アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドcDNAの全塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドを精製し、P-3画分のN末端配列分析をした結果得られたアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第23〜51番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:4〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドを精製、P-2画分のN末端配列分析をした結果得られたアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第34〜52番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:5〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第23〜53番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:6〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第23〜54番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:7〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第23〜55番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:8〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第34〜53番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:9〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第34〜54番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:10〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:1の第34〜55番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:11〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:3)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:12〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:4)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:13〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:5)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:14〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:6)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:15〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:7)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:16〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:8)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:17〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:9)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:18〕
ウシ視床下部由来リガンドポリペプチド(配列番号:10)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:19〕
p19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片にコードされるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:20〕
p19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片にコードされるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:21〕
phGR3に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNAにコードされるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質の全アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:22〕
pG3−2およびpG1−10にそれぞれ含まれるマウス膵臓β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列から導きだした塩基配列(配列番号:27)を有するマウス膵臓β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片にコードされるマウス膵臓β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:23〕
p5S38にコードされるマウス膵臓β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:24〕
p19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列を示す。
〔配列番号:25〕
p19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列を示す。
〔配列番号:26〕
phGR3に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNAの全塩基配列を示す。
〔配列番号:27〕
pG3−2およびpG1−10にそれぞれ含まれるマウス膵臓β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列をもとに導き出したマウス膵臓β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列を示す。
〔配列番号:28〕
p5S38に含まれるマウス膵臓β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列を示す。
〔配列番号:29〕
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
〔配列番号:30〕
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
〔配列番号:31〕
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
〔配列番号:32〕
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
〔配列番号:33〕
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
〔配列番号:34〕
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
〔配列番号:35〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(P5−1)
〔配列番号:36〕
本発明のウシ視床下部由来ポリガンドリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(P3−1)
〔配列番号:37〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(P3−2)
〔配列番号:38〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(PE)
〔配列番号:39〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(PDN)
〔配列番号:40〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(FB)
〔配列番号:41〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(FC)
〔配列番号:42〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(BOVF)
〔配列番号:43〕
本発明のウシ視床下部由来リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(BOVR)
〔配列番号:44〕
ウシゲノム由来リガンドポリペプチドの全長アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:45〕
pRAV3に含まれるラット型リガンドポリペプチドの全長アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:46〕
ラット型リガンドポリペプチドcDNAの全塩基配列を示す。
〔配列番号:47〕
ラット型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:45の第22〜52番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:48〕
ラット型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:45の第22〜53番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:49〕
ラット型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:45の第22〜54番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:50〕
ラット型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:45の第33〜52番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:51〕
ラット型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:45の第33〜53番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:52〕
ラット型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:45の第33〜54番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:53〕
ラット型リガンドポリペプチド(配列番号:47)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:54〕
ラット型リガンドポリペプチド(配列番号:48)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:55〕
ラット型リガンドポリペプチド(配列番号:49)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:56〕
ラット型リガンドポリペプチド(配列番号:50)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:57〕
ラット型リガンドポリペプチド(配列番号:51)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:58〕
ラット型リガンドポリペプチド(配列番号:52)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:59〕
pHOB7に含まれるヒト型リガンドポリペプチドの全長アミノ酸配列を示す。
〔配列番号:60〕
ヒト型リガンドポリペプチドcDNAの全塩基配列を示す。
〔配列番号:61〕
ヒト型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:59の第23〜53番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:62〕
ヒト型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:59の第23〜54番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:63〕
ヒト型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:59の第23〜55番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:64〕
ヒト型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:59の第34〜53番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:65〕
ヒト型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:59の第34〜54番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:66〕
ヒト型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。配列番号:59の第34〜55番目のアミノ酸配列に対応している。
〔配列番号:67〕
ヒト型リガンドポリペプチド(配列番号:61)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:68〕
ヒト型リガンドポリペプチド(配列番号:62)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:69〕
ヒト型リガンドポリペプチド(配列番号:63)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:70〕
ヒト型リガンドポリペプチド(配列番号:64)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:71〕
ヒト型リガンドポリペプチド(配列番号:65)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:72〕
ヒト型リガンドポリペプチド(配列番号:66)をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:73〕
本発明のリガンドポリペプチドのアミノ酸配列を示す。ここで、第10番目のXaaはAlaまたはThr、第11番目のXaaはGlyまたはSer、第21番目のXaaはH、Gly、またはGlyArgを示す。
〔配列番号:74〕
本発明のリガンドポリペプチド断片のアミノ酸配列を示す。ここで、第3番目のXaaはAlaまたはThrを示し、第5番目のXaaはGlnまたはArgを示し、第10番目のXaaはIleまたはThrを示す。
〔配列番号:75〕
本発明のラット型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(RA)
〔配列番号:76〕
本発明のラット型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(RC)
〔配列番号:77〕
本発明のラット型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(rF)
〔配列番号:78〕
本発明のラット型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(rR)
〔配列番号:79〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(R1)
〔配列番号:80〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(R3)
〔配列番号:81〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(R4)
〔配列番号:82〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(HA)
〔配列番号:83〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(HB)
〔配列番号:84〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(HE)
〔配列番号:85〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(HF)
〔配列番号:86〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(5H)
〔配列番号:87〕
本発明のヒト型リガンドポリペプチドをコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(3HN)
〔配列番号:88〕
ラット型G蛋白質共役型レセプター蛋白質(UHR−1)をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(rRECF)
〔配列番号:89〕
ラット型G蛋白質共役型レセプター蛋白質(UHR−1)をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA(rRECR)
〔配列番号:90〕
G3PDH,UHR−1,リガンドの増幅に使用した合成DNA(r19F)〔配列番号:91〕
G3PDH,UHR−1,リガンドの増幅に使用した合成DNA(r19R)〔配列番号:92〕
抗原として使用したリガンドポリペプチドのN末端側ペプチド(ペプチド−I)
〔配列番号:93〕
抗原として使用したリガンドポリペプチドのC末端側ペプチド(ペプチド−II)
〔配列番号:94〕
抗原として使用したリガンドポリペプチドの中央部分のペプチド(ペプチド−III)
〔配列番号:95〕
ラット型G蛋白質共役型レセプター蛋白質(UHR−1)をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
〔配列番号:96〕
ラット型G蛋白質共役型レセプター蛋白質(UHR−1)をコードするcDNAのスクリーニングに使用した合成DNA
【0072】
後述の実施例2で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli) INVαF’/p19P2および実施例4で得られた形質転換体エシェリヒアコリ(Escherichia coli)INVαF’/pG3−2は、それぞれ平成6年8月9日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)にそれぞれ寄託番号FERM BP−4776およびFERM BP−4775として寄託されており、また平成6年8月22日から財団法人発酵研究所(IFO)にそれぞれIFO 15739およびIFO 15740として寄託されている。
後述の実施例5で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli) JM109/phGR3は、平成6年9月27日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−4807として寄託されており、また平成6年9月22日から財団法人発酵研究所(IFO)にIFO 15748として寄託されている。
後述の実施例8で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli) JM109/p5S38は、平成6年10月27日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−4856として寄託されており、また平成6年10月25日から財団法人発酵研究所(IFO)にIFO 15754として寄託されている。
後述の実施例20で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli) JM109/pBOV3は、平成8年2月13日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−5391として寄託されており、また平成8年1月25日から財団法人発酵研究所(IFO)にIFO 15910として寄託されている。
後述の実施例29で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli) JM109/pRAV3は、平成8年9月12日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−5665として寄託されており、また平成8年9月3日から財団法人発酵研究所(IFO)にIFO 16012として寄託されている。
後述の実施例32で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli) JM109/pHOV7は、平成8年9月12日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−5666として寄託されており、また平成8年9月5日から財団法人発酵研究所(IFO)にIFO 16013として寄託されている。
【0073】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0074】
【参考例1】
G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAを増幅させるための合成DNAプライマーの製造
公知のヒト由来TRHレセプター蛋白質(HTRHR)、ヒト由来RANTESレセプター蛋白質(L10918、HUMRANTES)、ヒトバーキットリンパ腫由来リガンド不明レセプター蛋白質(X68149、HSBLR1A)、ヒト由来ソマトスタチンレセプター蛋白質(L14856、HUMSOMAT)、ラット由来μ−オピオイドレセプター蛋白質(U02083、RNU02083)、ラット由来κ−オピオイドレセプター蛋白質(U00442、U00442)、ヒト由来ニューロメジンBレセプター蛋白質(M73482、HUMNMBR)、ヒト由来ムスカリン作動性アセチルコリンレセプター蛋白質(X15266、HSHM4)、ラット由来アドレナリンα1Bレセプター蛋白質(L08609、RATAADRE01)、ヒト由来ソマトスタチン3レセプター蛋白質(M96738、HUMSSTR3X)、ヒト由来C5aレセプター蛋白質(HUMC5AAR)、ヒト由来リガンド不明レセプター蛋白質(HUMRDC1A)、ヒト由来リガンド不明レセプター蛋白質(M84605、HUMOPIODRE)およびラット由来アドレナリンα2B(M91466、RATA2BAR)の第1膜貫通領域付近のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を比較し、類似性の高い部分を見いだした。
【0075】
また、公知のマウス由来リガンド不明レセプター蛋白質(M80481、MUSGIR)、ヒト由来ボンベジンレセプター蛋白質(L08893、HUMBOMB3S)、ヒト由来アデノシンA2レセプター蛋白質(S46950、S46950)、マウス由来リガンド不明レセプター蛋白質(D21061、MUSGPCR)、マウス由来TRHレセプター蛋白質(S43387、S43387)、ラット由来ニューロメジンKレセプター蛋白質(J05189、RATNEURA)、ラット由来アデノシンA1レセプター蛋白質(M69045、RATA1ARA)、ヒト由来ニューロキニンAレセプター蛋白質(M57414、HUMNEKAR)、ラット由来アデノシンA3レセプター蛋白質(M94152、RATADENREC)、ヒト由来ソマトスタチン1レセプター蛋白質(M81829、HUMSRI1A)、ヒト由来ニューロキニン3レセプター蛋白質(S86390、S86371S4)、ラット由来リガンド不明レセプター蛋白質(X61496、RNCGPCR)、ヒト由来ソマトスタチン4レセプター蛋白質(L07061、HUMSSTR4Z)およびラット由来GnRHレセプター蛋白質(M31670、RATGNRHA)の第6膜貫通領域付近のアミノ酸配列をコードするcDNAの塩基配列を比較し、類似性の高い部分を見いだした。
【0076】
上記の( )内の略語はDNASIS Gene/Proteinシークエンスデータベース(CD019、日立ソフトウエアエンジニアリング)を用いて GenBank/EMBL Data Bank を検索した際に示される整理番号であり、それぞれ通常Accession Numberおよびエントリーネームと呼ばれるものである。ただし、HTRHRは特開平7−304797号に記載されている配列である。
特に、多くのレセプター蛋白質をコードするcDNAで一致する塩基部分を基準とし、その他の部分においてもなるべく多くのレセプターcDNAと配列の一致性を高めるために混合塩基の導入を計画した。この配列をもとに、共通する塩基配列に相補的である配列番号:29または配列番号:30で表わされる塩基配列を有する合成DNA2本を作成した。
Figure 0004306816
( )内は合成時に複数の塩基に混合して合成する。
【0077】
【実施例1】
ヒト下垂体由来cDNAを用いたPCR法による受容体cDNAの増幅
ヒト下垂体由来cDNA(QuickClone、クロンテック社)を鋳型として用い、参考例1で合成したDNAプライマーを用いてPCR法による増幅を行った。反応液の組成は、合成DNAプライマー(配列:5’プライマー配列および3’プライマー配列)各1μM、鋳型cDNA 1ng、0.25mM dNTPs、Taq DNA polymerase 1μlおよび酵素に付属のバッファーで、総反応溶液量は100μlとした。増幅のためのサイクルはサーマルサイクラー(パーキン・エルマー社)を用い、95℃・1分、55℃・1分、72℃・1分のサイクルを30回繰り返した。Taq DNA polymerase を添加する前に、残りの反応液を混合し、95℃・5分、65℃・5分の加熱を行った。増幅産物の確認は1.2%アガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイド染色によって行った。
【0078】
【実施例2】
PCR産物のプラスミドベクターへのサブクローニングおよび挿入cDNA部分の塩基配列の解読による新規レセプター蛋白質候補クローンの選択実施例1で行なったPCR後の反応産物は0.8%の低融点アガロースゲルを用いて分離し、バンドの部分をカミソリで切り出した後、熱融解、フェノール抽出、エタノール沈殿を行ってDNAを回収した。TAクローニングキット(インビトロゲン社)の処方に従い、回収したDNAをプラスミドベクターpCRTMII(TMは登録商標を意味する)へサブクローニングした。これを大腸菌INVαF’ competent cell(インビトロゲン社)に導入して形質転換したのち、cDNA挿入断片を持つクローンをアンピシリンおよびX−galを含むLB寒天培地中で選択し、白色を呈するクローンのみを滅菌したつま楊枝を用いて分離し、形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli) INVαF’/p19P2を得た。個々のクローンをアンピシリンを含むLB培地で一晩培養し、自動プラスミド抽出装置(クラボウ社)を用いてプラスミドDNAを調製した。調製したDNAの一部を用いてEcoRIによる切断を行い、挿入されているcDNA断片の大きさを確認した。残りのDNAの一部をさらにRNase処理、フェノール・クロロフォルム抽出し、エタノール沈殿によって濃縮した。塩基配列の決定のための反応は DyeDeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI社)を用いて行い、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、得られた塩基配列の情報はDNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用いて行った。下線で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
決定した塩基配列〔配列番号:24(図1の塩基配列から下線部分を除いた塩基配列)および配列番号:25(図2の塩基配列から下線部分を除いた塩基配列)〕をもとにホモロジー検索を行なった結果、形質転換体E. Coli INVαF’/p19P2の保有するプラスミドp19P2に挿入されたcDNA断片が新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードすることが分かった。それをさらに確認するために、DNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用い、塩基配列をアミノ酸配列に変換した〔配列番号:19(図1のアミノ酸配列から下線部分を除いたアミノ酸配列)および配列番号:20(図2のアミノ酸配列から下線部分を除いたアミノ酸配列)〕。疎水性プロット〔図3および図4〕およびアミノ酸配列に基づくホモロジー検索を行ない、ニューロペプチドY受容体等との相同性を見いだした〔図5〕。
【0079】
【実施例3】
マウス膵臓β細胞株MIN6からのpoly(A)+RNA画分の調製およびcDNAの合成
マウス膵β細胞株MIN6(Jun-ichi Miyazaki et al. Endocrinology, Vol.127, No.1, p126-132)よりグアニジンイソチオシアネート法により Total RNAを調製後(Kaplan B.B. et al., Biochem. J. 183, 181-184(1979))、mRNA精製キット(ファルマシア社)を用いて、 poly(A)+RNA画分を調製した。次に、poly(A)+RNA画分5μgにプライマーとしてランダムDNAヘキサマー(BRL社)を加え、モロニイマウス白血病ウイルスの逆転写酵素(BRL社)により、添付バッファーを用いて相補DNAを合成した。反応後の産物はフェノール:クロロホルム(1:1)で抽出し、エタノール沈殿を行った後、30μlのTEに溶解した。
【0080】
【実施例4】
MIN6由来cDNAを用いたPCR法による受容体cDNAの増幅と塩基配列の決定
実施例3でマウス膵β細胞株MIN6より調製したcDNA 5μlを鋳型として使用し、参考例1で合成したDNAプライマーを用いて実施例1と同条件でPCR法を行った。得られたPCR産物は実施例2に記載の方法と同様にして、プラスミドベクターpCRTMIIにサブクローニングし、プラスミドpG3−2を得た。このプラスミドで大腸菌INVαF’を形質転換し、形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)INVαF’/pG3−2を得た。
また、マウス膵β細胞株MIN6より調製したcDNA 5μlを鋳型として使用し、Libert, Fら(Science 244:569-572, 1989)に記載されている合成DNAプライマー、すなわち、
Figure 0004306816
〔Iをイノシンを示す。〕で表される合成プライマーを用いて、実施例1と同条件でPCR法を行った。得られたPCR産物は実施例2に記載の方法と同様にして、プラスミドベクターpCRTMIIにサブクローニングし、プラスミドpG1−10を得た。
【0081】
塩基配列の決定のための反応は DyeDeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI社)を用いて行い、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、得られた塩基配列の情報はDNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用いて行った。pG3−2およびpG1−10の配列をもとにマウス膵β細胞株MIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAの塩基配列(配列番号:27)およびこれにコードされるアミノ酸配列(配列番号:22)を〔図6〕に示した。下線で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
決定した塩基配列〔図6〕をもとにホモロジー検索を行なった結果、得られたcDNA断片が新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードすることが分かった。それをさらに確認するために、DNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用い、塩基配列をアミノ酸配列に変換した後〔図6〕、疎水性プロットを行なったところ、6個の疎水性領域の存在が確認できた〔図8〕。また、アミノ酸配列を実施例2で得たp19P2と比較したところ、〔図7〕に示すとおり高い相同性を見いだした。その結果、pG3−2およびpG1−10にコードされるマウス膵β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質とヒト下垂体由来p19P2にコードされるG蛋白質共役型レセプター蛋白質は由来する動物種は異なるが、同一のリガンドを認識するレセプター蛋白質であることが強く示唆された。
【0082】
【実施例5】
ヒト下垂体由来cDNAライブラリーからのレセプター蛋白質の全コード領域を含むcDNAのクローニング
ヒト下垂体由来cDNAライブラリーとしては、クローンテック社製のλgt11ファージベクターを使ったライブラリーを用いた(クローンテック、CLHL1139b)。2×106pfu(プラーク・フォーミング・ユニット)分のヒト下垂体cDNAライブラリーを、硫酸マグネシウムで処理した大腸菌Y1090-と混ぜ、37℃、15分間インキュベートした後、0.5%アガロース(ファルマシア社)LBを加え、1.5%寒天(和光純薬社)LBプレート(50μg/ml Ampicilin含有)に播いた。プラークのできたプレートにニトロセルロースフィルターを置き、フィルター上にプラークを転写した。このフィルターをアルカリ処理することによって変性させた後、80℃、3時間の加熱によってDNAの固定を行った。
このフィルターを、50% formamide,5×SSPE,5× Denhardt's溶液,0.1% SDS,100μg/ml salmon sperm DNAを含むバッファー中で以下に述べるプローブと42℃で一晩インキュベートし、ハイブリダイズさせた。プローブとしては、実施例2で得られたプラスミドp19P2に挿入されたDNA断片をEcoRIで切断し、回収後、ランダムプライムDNAラベリングキット(アマシャム社)を用いて〔32P〕dCTP(デュポン社)を取り込ませることによって標識して用いた。洗浄は、2×SSC,0.1% SDSで55℃、1時間行い、その後、−80℃でオートラジオグラフィを行ってハイブリダイズするプラークを検出した。
【0083】
このスクリーニングにより、3個の独立したプラークにハイブリダイゼーションのシグナルが認められた。この3個のクローンからそれぞれDNAを調製し、EcoRIで消化したものをアガロース電気泳動後、スクリーニングに用いたものと同じプローブを用いて、サザンブロットにより解析を行ったところ、各々約0.7kb,0.8kb,2.0kbのところにそれぞれハイブリダイズするバンドを生じ、このうち約2.0kbのバンドを生じるもの(λhGR3)を選択した。λhGR3のハイブリダイズするサイズのEcoRI断片をプラスミドpUC18のEcoRIサイトにサブクローニングした後、このプラスミドで大腸菌JM109を形質転換し、形質転換体 E.coli JM109/phGR3を得た。このプラスミドphGR3を、実施例2で示された塩基配列から予想される制限酵素地図をもとにして制限酵素地図を作製したところ、実施例2で示されるレセプター蛋白質をコードするDNAから予想されるレセプター蛋白質の全長をコードするDNAを保持していることが分かった。
【0084】
【実施例6】
ヒト下垂体由来レセプター蛋白質cDNAの塩基配列の決定
実施例5で得られたプラスミドphGR3に挿入したEcoRI断片のうち、レセプター蛋白質をコードしていると考えられるEcoRIサイトからNheIサイトまでの約1330bpの塩基配列を決定した。具体的には、EcoRI断片中に存在する制限酵素サイトを利用して、不必要な部分を除き、または必要な断片をサブクローニングし、配列解析のための鋳型プラスミドを調製した。
塩基配列決定のための反応は Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI社)を用いて行い、蛍光式DNAシーケンサー(ABI社)を用いて解読し、データー解析にはDNASIS(日立ソフトウェアエンジニアリング社)を使用した。
phGR3のコードするEcoRIサイト直後からNheIサイトまでの塩基配列を〔図9〕に示した。そして、ヒト下垂体由来レセプタータンパク質をコードするDNAの塩基配列は、〔図9〕の塩基配列の第118番目〜第1227番目の塩基配列(配列番号:26)に対応する。そして、これにコードされるレセプター蛋白質のアミノ酸配列は配列番号:21で表わされるアミノ酸配列であることが分かった。
【0085】
【実施例7】
ヒト下垂体由来レセプター蛋白質をコードするphGR3を用いたノーザンハイブリダイゼーション
実施例5で得られたプラスミドphGR3にコードされるヒト下垂体由来レセプター蛋白質の下垂体での発現をmRNAレベルで検出するため、ノーザンブロットを行った。mRNAとしてはヒト下垂体mRNA(クローンテック社)2.5μgを用い、プローブは実施例5で用いたものと同じものを用いた。また、ノーザンブロット用のフィルターは、Nylon membrane(Pall Biodyne, U.S.A.)を用い、mRNAの泳動フィルターへの吸い上げは Molecular cloning, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)の方法に従って作製した。ハイブリダイゼーションは、上に述べたフィルターとプローブを50% formamide,5×SSPE,5×Denhardt's溶液,0.1% SDS,100μg/ml salmon sperm DNAを含むバッファー中で、42℃一晩インキュベートした。フィルターの洗浄は0.1×SSC,0.1%SDSで50℃にて行い、風乾後3日間−80℃でX線フィルム(XAR5,コダック)に感光させた。その結果を〔図10〕に示した。〔図10〕から、phGR3がコードするレセプター遺伝子はヒト下垂体で発現していると考えられる。
【0086】
【実施例8】
MIN6由来cDNAを用いたPCR法による受容体cDNAの増幅と塩基配列の決定
実施例3でマウス膵β細胞株MIN6より調製したcDNA 5μlを鋳型として使用し、実施例4で合成したLibert, F.ら(Science 244:569-572, 1989)に記載されている合成DNAプライマー、すなわち、
Figure 0004306816
〔Iをイノシンを示す。〕で表される合成プライマーを用いて、実施例1と同条件でPCR法を行った。得られたPCR産物は実施例2に記載の方法と同様にして、プラスミドベクターpCRTMIIにサブクローニングし、プラスミドp5S38を得た。このプラスミドで大腸菌JM109を形質転換し、形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/p5S38を得た。
【0087】
塩基配列の決定のための反応は DyeDeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI社)を用いて行い、蛍光式自動シーケンサーを用いて解読し、得られた塩基配列の情報はDNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用いて行った。p5S38の配列をもとにマウス膵β細胞株MIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAの塩基配列(配列番号:28)およびこれにコードされるアミノ酸配列(配列番号:23)を〔図12〕に示した。下線で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
決定した塩基配列〔図12〕をもとにホモロジー検索を行なった結果、得られたcDNA断片が新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードすることが分かった。それをさらに確認するために、DNASIS(日立システムエンジニアリング社)を用い、塩基配列をアミノ酸配列に変換した後〔図12〕、疎水性プロットを行なったところ、4個の疎水性領域の存在が確認できた〔図14〕。また、アミノ酸配列を実施例2で得たp19P2および実施例4で得たpG3−2と比較したところ、〔図13〕に示すとおり高い相同性を見いだした。その結果、p5S38にコードされるマウス膵β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質とp19P2にコードされるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質は、由来する動物種は異なるが、同一のリガンドを認識するレセプター蛋白質であることが強く示唆された。また、p5S38にコードされるマウス膵β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質とpG3−2およびpG1−10にコードされるマウス膵β細胞株MIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質は、同一のリガンドを認識するレセプター蛋白質であり、互いに近縁なレセプター蛋白質(いわゆる、サブタイプ)であることが示唆された。
【0088】
【実施例9】
phGR3発現CHO細胞の作製
ヒト下垂体由来レセプター蛋白質の全長アミノ酸配列をコードするcDNAを組み込んだプラスミドphGR3(実施例5)を制限酵素Nco I で切断し、アガロースゲル電気泳動後に約1kbの断片を回収した。回収した断片の両端をDNA blunting kit(宝酒造)を用いて平滑化した後、Sal Iリンカーを付加しさらにSal Iで処理した後、pUC119のSal I siteに組み込んでプラスミドS10を得た。S10をSal IおよびSac IIで処理することにより約700bpの断片(N末端側のコード領域を含む)を調製した。次にphGR3よりSac II およびNhe I で切り出される約700bpの断片(終始コドンを含むC末端側コード領域を含む)を調製した。これらの2つの断片をSal IおよびNhe I処理した動物細胞発現用ベクタープラスミドpAKKO−111H(Biochim. Biophys. Acta, Hinuma, S., et al. 1219巻、251-259頁、1994年記載のpAKKO1.11Hと同一のベクタープラスミド)に加えてligationを行い全長レセプター蛋白質発現用プラスミドpAKKO−19P2 を構築した。
pAKKO−19P2で形質転換した大腸菌を培養後、QUIAGEN Maxiによって大量にpAKKO−19P2のプラスミドDNAを調製した。そのうち20μgのプラスミドDNAを1mlの滅菌PBSに溶解した後、ジーントランスファー(和光純薬)のバイアルに入れ、十分にボルテックスを行うことによってリポソームの形成を行わせた。24時間前に直径10cmシャーレに1×106個ずつ継代し、直前に新鮮な培地に交換したCHOdhfr-細胞に125μlのリポソーム溶液を添加し、一晩培養した。新鮮な培地に交換してさらに一日培養した後、選択培地に交換して1日間培養した。形質転換体を効率良く選別するために、低細胞密度で継代を行い、選択培地中で増殖してくる細胞のみを選択し、全長レセプター蛋白質発現CHO細胞株 CHO−19P2を樹立した。
【0089】
【実施例10】
CHO−19P2細胞株での全長レセプター蛋白質の発現量の転写レベルでの確認
Fast Track kit (Invitrogen社)を用い、キットの処方にしたがってpAKKO−19P2を導入して形質転換したCHO細胞とmock CHO細胞からpoly(A)+RNAを調製した。このpoly(A)+RNAを0.02μg用い、RNA PCR Kit (宝酒造)を用いてcDNAの合成を行った。用いたプライマーの種類はrandom 9merで、反応液の全容量は40μlとした。また、cDNA合成のネガティブコントロールとして、リバーストランスクリプターゼを添加しない反応液も準備した。最初、30℃で10分間のインキュベートを行ってプライマーからの伸長反応をある程度行わせた。その後、42℃で30分間インキュベートして十分に逆転写反応を進行させ、99℃で5分間加熱して酵素を失活し、さらに5℃で5分間冷却した。
逆転写反応終了後に反応液の一部を回収し、蒸留水で希釈した後、フェノール/クロロフォルム抽出、ジエチルエーテル抽出を行った。これをエタノール沈殿し、一定量の蒸留水に溶解したものをcDNAの試料とした。このcDNA溶液およびプラスミドDNA(pAKKO−19P2)を段階的に希釈したものを作成し、全長レセプター蛋白質に特異的なプライマーを用いてPCRを行った。全長レセプター蛋白質のコード領域の塩基配列に基づいて作成したプライマーの配列は、5’側がCTGACTTATTTTCTGGGCTGCCGC(配列番号:33)、3’側がAACACCGACACATAGACGGTGACC(配列番号:34)である。
PCR反応は、プライマー各1μMおよびTaq DNA polymerase (宝酒造)0.5μl、酵素に添付の反応バッファーおよびdNTPsと10μlの鋳型DNA(cDNAあるいはプラスミド溶液)を用いて全容量100μlで行った。最初に94℃で2分間熱処理を行って鋳型DNAの変性を十分に行った後に、95℃で30秒、65℃で30秒、72℃で60秒のサイクルを25回行った。反応終了後に10μlの反応液を用いてアガロースゲル電気泳動を行い増幅産物の検出および量的な比較を行った。その結果全長レセプター蛋白質をコードするcDNAの配列から推定される大きさ(400bp)のPCR産物が、検出された〔図15〕。リバーストランスクリプターゼを添加しなかった逆転写反応産物を鋳型として用いたPCR反応液のレーンに特異的なバンドは検出されず、CHO細胞のゲノムDNA由来のPCR産物である可能性は除外され、また、mock細胞のレーンにも特異的なバンドが出現しないことから、CHO細胞にもとから発現しているmRNA由来ではないことが確認された〔図15〕。
【0090】
【実施例11】
ラット全脳抽出液に含まれるCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性の検出
ラット全脳よりペプチド粗画分を以下の方法で調整した。屠殺後、直ちに摘出したラット全脳を液体窒素にて凍結、-80℃にて保存した。凍結保存したラット全脳20g(ラット10匹分)を細かく砕き、蒸留水80mlで10分間煮沸した。煮沸後、氷上にて急冷し、終濃度 1.0M となるよう酢酸を4.7ml加え、ポリトロン(20,000rpm、6min)を用いてホモジナイズした。ホモジェネートは、一晩撹拌した後、遠心(10,000rpm、20min)により上清をとり、沈殿物を1.0M酢酸40mlでホモジナイズし遠心にて再度上清を得た。上清をまとめ、3倍量のアセトンを加え、氷上に30分間放置した後遠心(10,000rpm、20min)にて上清を回収した。回収したアセトン上清は、エバポレーションにて脱アセトン、濃縮を行った。濃縮された脱アセトン上清に、2倍量の0.05%トリフルオロ酢酸(TFA)/H2Oを加え、ガラス製カラムに詰めた逆相C18カラム(Prep C18 125Å 10ml:ミリポア)に添加した。上清を添加後、0.05%TFA/H2O でカラムを洗浄、10%、20%、30%、40%、50%、60% CH3CN/0.05%TFA/H2O で段階的に溶出し、それぞれの画分を10等分して凍結乾燥した。1匹分の全脳由来の乾燥標品を、ジメチルスルホキシド(DMSO)20μlにて溶解し、0.05%ウシ血清アルブミン(BSA)を加えたハンクス氏液(HBSS)1mlに懸濁し、ペプチド粗画分とした。
全長レセプター蛋白質発現CHO細胞およびmock CHO細胞を、24well plateに0.5x105cells/wellで播種し、24時間培養後、[3H]アラキドン酸を0.25μCi/well となるよう添加した。[3H]アラキドン酸添加16時間後、細胞を0.05%BSAを含むHBSSで洗浄、上述のペプチド粗画分を400μl/wellで添加した。37℃で30分間インキュベートした後に、反応液400μl中300μlをシンチレーター4mlに加え、反応液中に遊離された[3H]アラキドン酸代謝物の量をシンチレーション・カウンターによりモニターした。その結果、30%CH3CNの溶出画分に全長レセプター蛋白質発現CHO細胞(CHO−19P2)特異的なアラキドン酸代謝物遊離活性が検出された〔図16〕。
【0091】
【実施例12】
ウシ視床下部抽出液に含まれるCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性の検出
実施例11と同様の方法でウシ視床下部を含む脳組織片360g(10頭分)よりペプチド粗画分を調製した。0.5頭分由来の乾燥ペプチド標品を40μlのDMSO に溶解し、0.05%BSAを含む2mlのHBSSに懸濁し、実施例11と同様の方法でアラキドン酸代謝物遊離活性の検出を試みた。その結果、ウシ視床下部ペプチド粗画分のC18カラム30%CH3CN溶出画分に、CHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が検出された〔図17〕。
【0092】
【実施例13】
ウシ視床下部からのCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性物質(ペプチド)の精製
CHO−19P2細胞株から特異的アラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性物質についてウシ視床下部から精製した代表例を以下に具体的に述べる。視床下部を含む凍結脳組織片4.0kg(80頭分)を小片化し、蒸留水8.0L中で20分間煮沸した。氷上にて急冷した後、終濃度1.0Mとなるように酢酸540mlを加え、ポリトロン(10,000rpm、12min)にてホモジナイズした。ホモジェネートを一晩撹拌した後、遠心(9,500rpm、20min)にて上清を得た。沈殿物は1.0M酢酸4.0Lに懸濁し、ポリトロンにてホモジナイズし遠心にて再度上清を得た。上清を一つにまとめ、終濃度0.05%となるようにTFAを加え、ガラス製カラムに詰めた逆相C18カラム(Prep C18 125Å 160ml:ミリポア)に添加した。添加後、0.05%TFA/H20 320ml でカラムを洗浄後、10%、30%、50% CH3CN/0.05%TFA/H2O で3段階に溶出した。30% CH3CN/0.05%TFA/H2O 溶出画分に2倍量の 20mM CH3COONH4/H2O を加え、陽イオン交換カラム HiPrep CM-Sepharose FF (Pharmacia)に添加した。20mM CH3COONH4/10% CH3CN/H2O でカラムを洗浄後、100mM、200mM、500mM、1000mM CH3COONH4/10% CH3CN/H2O で4段階に溶出した。200mM CH3COONH4 溶出画分にCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が見いだされたので、この溶出画分に3倍量のアセトンを加え、遠心して除タンパク質を行った後、エバポレーションによる濃縮を行った。濃縮された画分にTFA(終濃度0.1%)を加えた後さらに 酢酸を加えてpH4に調製し、逆相カラム RESOURCE RPC 3ml(Pharmacia)に添加した。15%-30% CH3CN 濃度勾配による溶出で、19%-21% CH3CN の画分にCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が検出された。RESOURCE RPC の活性画分を 凍結乾燥後、DMSOで溶解したのち、50mM MES pH5.0/10% CH3CN に懸濁し、陽イオン交換カラム RESOURCE S 1ml(Pharmacia)に添加した。0M-0.7M NaCl 濃度勾配による溶出で、0.32M-0.46M NaCl の画分にCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が検出された。RESOURCE S の活性画分を 凍結乾燥後、DMSOに溶解したのち、0.1%TFA/H2O に懸濁し、逆相カラム C18 218TP5415(Vydac) に添加した。20%-30% CH3CN 濃度勾配による溶出で、22.5%、23%、23.5% CH3CN の3つの画分(活性画分をそれぞれP-1、P-2、P-3とする)にそれぞれCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が検出された〔図18〕。3つに分離した活性のうちの 23.5% CH3CN の画分(p-3)を凍結乾燥後、DMSOで溶解したのち、0.1%TFA/H2O に懸濁し、逆相カラム diphenyl 219TP5415(Vydac) に添加した。22%-25% CH3CN 濃度勾配による溶出で、23% CH3CN で溶出される1つのピークにCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性は収束した〔図19〕。逆相カラムdiphenyl 219TP5415 で活性と一致したピークの画分を凍結乾燥後、0.1%TFA/H2O に懸濁し、逆相カラム μRPC C2/C18 SC 2.1/10(Pharmacia) に添加した。22%-23.5% CH3CN 濃度勾配による溶出で 23.0% と 23.2% CH3CN で溶出される二つのピークにそれぞれCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が検出された〔図20〕。
【0093】
【実施例14】
ウシ視床下部から精製したCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性ペプチドのアミノ酸配列決定
実施例13で精製されたCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性ペプチド(P-3)のアミノ酸配列の決定を行った。逆相カラム μRPC C2/C18 SC 2.1/10 で活性と一致したピークの画分を凍結乾燥後、70% CH3CN 20μl に溶解し、ペプチドシークエンサー(ABI.491) によるアミノ酸配列の分析を行った。その結果、配列番号:3が得られた。ただし、7番目と19番目の配列はアミノ酸配列の分析のみでは決定されていない。
【0094】
【実施例15】
ウシ視床下部からのCHO-19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性物質(ペプチド)の精製
実施例13において Vydac C18 218TP5415 で分離された3つの活性のうち23.0% CH3CNの活性画分(P-2)のさらなる精製を行った。この活性画分を凍結乾燥後、DMSOで溶解したのち0.1% TFA/蒸留水に懸濁し、逆相カラムdiphenyl 219TP5415(Vydac)に添加した。21.0%−24.0% CH3CN濃度勾配による溶出で、21.9% CH3CNで溶出される一つのピークにCHO-19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が検出された。この画分を凍結乾燥後、DMSOで溶解したのち0.1% TFA/蒸留水に懸濁し、逆相カラムμRPC C2/C18 SC 2.1/10(Pharmacia)に添加した。21.5%−23.0% CH3CN濃度勾配による溶出で、22.0% CH3CNで溶出される一つのピークにCHO-19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が収束した〔図21〕。
【0095】
【実施例16】
ウシ視床下部から精製されたCHO-19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進するペプチド(P-2)のアミノ酸配列決定実施例15で精製されたCHO-19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進するペプチド(P-2)のアミノ酸配列の決定を行った。逆相カラムμRPC C2/C18 SC 2.1/10で活性と一致したピークの画分を凍結乾燥後、70% CH3CN 20μlに溶解し、ペプチドシークエンサー(ABI,492)によるアミノ酸配列の分析を行った(配列番号:4)。
【0096】
【実施例17】
ウシ視床下部からの poly(A)+RNA画分の調製およびcDNAの合成
ウシ1頭分の視床下部より Isogen(ニッポンジーン社)により total RNAを調製後、FastTrack(Invitrogen社)を用いて poly(A)+RNA画分を調製した。次にこの poly(A)+RNA画分1μgから、3' RACE system(GIBCO BRL)および Marathon cDNA amplification kit(Clontech)により、マニュアルに従ってcDNAを合成し、それぞれ20および10μlに溶解した。
【0097】
【実施例18】
実施例14で明らかとなったアミノ酸配列部分をコードするcDNAの取得
実施例14で明らかとなったアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするcDNAを取得するため、まず配列番号:1をコードする塩基配列の取得をめざした。そこでプライマーP5-1(配列番号:35)、P3-1(配列番号:36)、P3-2(配列番号:37)を合成した(配列表においてIはイノシンを示す)。実施例17で3' RACE system を用いて調製したcDNA 0.5μlを鋳型として、DNA polymerase としてEXTaq(宝酒造)を用い、添付のバッファー2.5μl、dNTP 200μMと、プライマーP5-1,P3-1をそれぞれ200nMとなるように加え水で25μlとして、94℃・1分後、98℃・10秒、50℃・30秒、68℃・10秒のサイクルを30回繰り返した。この反応液をトリシン・EDTAバッファーで50倍に希釈したもの2.5μlを鋳型として、プライマーをP5-1とP3-2に組み合わせに換え、その他は同じ条件で反応を行った。サーマルサイクラーは GeneAmp9600(パーキンエルマー社)を用いた。増幅産物を4%アガロース電気泳動、エチジウムブロマイド染色し約70bp のバンドを切り出し、熱融解、フェノール抽出、エタノール沈殿した。回収したDNAをTAクローニングキット(Invitrogen)のマニュアルに従い、プラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニングした。これを大腸菌JM109に導入して、得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地で培養後、自動プラスミド抽出器(クラボウ)でプラスミドを調製した。このプラスミドを Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI)でマニュアルに従い反応し、蛍光自動DNAシーケンサー(ABI)により解読した。その結果〔図22〕に示す配列が得られ、これが配列番号:1をコードする塩基配列の一部であることを確認した。
【0098】
【実施例19】
実施例18で明らかになった配列を用いてのRACE法による生理活性ポリペプチドcDNAの取得
まず5'側の配列を増幅する(5’RACE)のために〔図22〕に示した配列を利用してPE(配列番号:38)とPDN(配列番号:39)の2本のプライマーを合成した。実施例17で Marathon cDNA amplification kit により調製したcDNAをトリシン・EDTAバッファーで100倍に希釈したもの2.5μlを鋳型として、実施例2と同様の方法で反応液を調製し、キット添付のアダプタープライマーAP1とPEの組み合わせで、94℃・1分後、98℃・10秒、68℃・5分のサイクルを30回繰り返した。さらにこの反応液をトリシン・EDTAバッファーで50倍に希釈したもの2.5μlを鋳型として、プライマーをAP1とPDNの組み合わせに換え、94℃・1分後、98℃・10秒、72℃・5分のサイクルを4回、98℃・10秒、70℃・5分のサイクルを4回、98℃・10秒、68℃・5分のサイクルを26回繰り返した。増幅産物を1.2%アガロース電気泳動、エチジウムブロマイド染色し約150bp のバンドを切り出し、遠心濾過チューブ(ミリポア社)で遠心濾過後、フェノール抽出、エタノール沈殿した。回収したDNAをTAクローニングキット(Invitrogen)のマニュアルに従い、プラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニングした。これを大腸菌JM109に導入して、得られた形質転換体を実施例18と同様の方法で挿入されたcDNA断片の配列を解析した。その結果、〔図23〕に示す配列が得られた。さらにこの配列を基にプライマーFB(配列番号:40),FC(配列番号:41)を合成し、3'側の配列取得を行った(3’RACE)。鋳型は5’RACEと同じものを同量用い、キット添付のアダプタープライマーAP1とFCの組み合わせで、94℃・1分後、98℃・10秒、72℃・5分のサイクルを5回、98℃・10秒、70℃・5分のサイクルを5回、98℃・10秒、68℃・5分のサイクルを25回繰り返した。さらにこの反応液をトリシン・EDTAバッファーで50倍に希釈したもの2.5μlを鋳型として、プライマーを、やはりキット添付のAP2とFBの組み合わせに換え、94℃・1分後、98℃・10秒、72℃・5分のサイクルを4回、98℃・10秒、70℃・5分のサイクルを4回、98℃・10秒、68℃・5分のサイクルを27回繰り返した。増幅産物を1.2%アガロース電気泳動、エチジウムブロマイド染色し約400bp のバンドを切り出し、5’RACEのときと同様の方法でDNAを回収した。このDNA断片をプラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニング後、大腸菌JM109に導入して、得られた形質転換体に挿入されたcDNA断片の配列を解析した。5'および3’RACEの結果から、配列番号:1に示した生理活性ポリペプチドの全コード領域をコードするcDNA配列〔図24〕を得た。具体的には、図24(a)および(b)において、第134番目の塩基がGのものであって、第184番目の塩基がTおよびCのもの、第245番目の塩基がTおよびCのものが得られた。
図24に示したcDNAは98アミノ酸からなるポリペプチドをコードしていた。第1から第22番目のアミノ酸が疎水的なアミノ酸が集合していることと実施例14に示したように活性ペプチドのN末端が第23番目のSerから始まっていることを考え合わせると、第1から22番目のアミノ酸は分泌シグナルの配列であると推定された。一方、ポリペプチドの第54番目から57番目に存在するGlyArgArgArg配列は生理活性ペプチドが切断される場合に存在する典型的なアミノ酸配列モチーフであることが分かった。またこの切断モチーフの場合にはGlyが存在するためしばしば生成するペプチドのC末端はアミド化されることが知られている。
実施例14のP-3のN末端配列および実施例16のP-2のN末端配列情報とこのGlyArgArgArg配列を考え合わせるとこのcDNAにコードされるポリペプチドから切り出されてくる生理活性ペプチドの少なくとも一部は配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9もしくは配列番号:10であると考えられた。
【0099】
【実施例20】
PCR法によるウシ型生理活性ポリペプチドcDNAの全コード領域を含むDNA断片の取得
実施例17で Marathon cDNA amplification kit により調製したcDNAを鋳型として生理活性ポリペプチドcDNAの全コード領域を含むDNA断片の取得を行った。まず実施例19で明らかとなったcDNAの配列を基に、配列番号:42、配列番号:43で表される塩基配列を有するプライマーを2本合成した。
Figure 0004306816
BOVFは生理活性ポリペプチドcDNAのスタートコドンを含み、制限酵素SalI部位を付加した−2〜+22(スタートコドンATGのAを+1とする)に対応するセンス配列で、BOVRは生理活性ポリペプチドcDNAのストップコドンを含む+285〜+309に対応するアンチセンス配列である。
PCR反応は実施例17で Marathon cDNA amplification kit により調製したcDNAをトリシン・EDTAバッファーで100倍に希釈したもの2.5μlを鋳型として、実施例2と同様の方法で反応液を調製し、94℃・1分後、98℃・10秒、72℃・5分のサイクルを3回、98℃・10秒、70℃・5分のサイクルを3回、98℃・10秒、68℃・5分のサイクルを27回繰り返した。増幅産物を2%アガロース電気泳動、エチジウムブロマイド染色し約320bp のバンドを切り出し、実施例3と同様の方法でDNAを回収、プラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニングした。これを大腸菌JM109に導入して、形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/pBOV3を得た。得られた形質転換体に挿入されたcDNA断片の配列を解析した。その結果このDNA断片は生理活性ポリペプチドcDNAの全コード領域を含む断片であることが確認された。
【0100】
【実施例21】
Ser-Arg-Ala-His-Gln-His-Ser-Met-Glu-Ile-Arg-Thr-Pro-Asp-Ile-Asn-Pro-Ala-Trp-Tyr-Ala-Gly-Arg-Gly-Ile-Arg-Pro-Val-Gly-Arg-Phe-NH2(19P2−L31)の合成。
1)Ser(Bzl)-Arg(Tos)-Ala-His(Bom)-Gln-His(Bom)-Ser(Bzl)-Met-Glu(OcHex)-Ile-Arg(Tos)-Thr(Bzl)-Pro-Asp(OcHex)-Ile-Asn-Pro-Ala-Trp(CHO)-Tyr(Br-Z)-Ala-Gly-Arg(Tos)-Gly-Ile-Arg(Tos)-Pro-Val-Gly-Arg(Tos)-Phe-pMBHA-resin の合成。
市販p−メチルBHA樹脂(アプライド バイオシテムズ、現パ−キンエルマ−社製)0.71g(0.5 m mole)をペプチド合成機(アプライド バイオシテムズ社製430A)の反応器に入れ、DCMで膨潤させた後、最初のアミノ酸Boc-PheをHOBt/DCC法で活性化しp−メチルBHA樹脂に導入した。樹脂を50%TFA/DCMで処理し、Boc基を除去してアミノ基を遊離させ、DIEAで中和した。このアミノ基に次のアミノ酸Boc-Arg(Tos)をHOBt/DCC法で縮合した。未反応アミノ基の有無をニンヒドリンテストで調べ反応完了を確認後同様に、Boc-Gly、Boc-Val、Boc-Pro、Boc-Arg(Tos)、Boc-Ile、Boc-Gly、Boc-Arg(Tos)、Boc-Gly、Boc-Ala、Boc-Tyr(Br-Z)を順次縮合、ニンヒドリンテストで縮合が不十分であると判明したBoc-Ala、 Boc-Tyr(Br-Z)は再縮合し反応を完了した。樹脂を乾燥して半量の樹脂を取り出した残りに、Boc-Trp(CHO)、Boc-Ala、Boc-Pro、Boc-Asn、Boc-Ile、Boc-Asp(OcHex)、Boc-Pro、Boc-Thr(Bzl)、Boc-Arg(Tos)、Boc-Ile、Boc-Glu(OcHex)、Boc-Met、Boc-Ser(Bzl)、Boc-His(Bom)、Boc-Gln、Boc-His(Bom)、Boc-Ala、Boc-Arg(Tos)、Boc-Ser(Bzl)を同様にニンヒドリンテストで十分な縮合が得られるまで再縮合をくり返した。19P2−L31の全配列アミノ酸が導入され樹脂を50%TFA/DCMで処理し樹脂上のBoc基を除去後、樹脂を乾燥し1.28gのペプチド樹脂を合成した。
2)Ser-Arg-Ala-His-Gln-His-Ser-Met-Glu-Ile-Arg-Thr-Pro-Asp-Ile-Asn-Pro-Ala-Trp-Tyr-Ala-Gly-Arg-Gly-Ile-Arg-Pro-Val-Gly-Arg-Phe-NH2(19P2−L31)の合成。
1)で得た樹脂をp−クレゾール3.8g、1、4-ブタンジチオ−ル1ml、弗化水素10mlと共にテフロン製弗化水素反応装置中で0℃ 60分間反応した。弗化水素、1、4-ブタンジチオ−ル1mlを減圧留去し、残留物にジエチルエーテル100mlを加え撹袢後、グラスフィルター上に濾取、乾燥した。これを50%酢酸水溶液50ml中に懸濁、撹袢し、ペプチドを抽出した後樹脂と分離し減圧下に約5mlまでに濃縮した後、セファデックスG-25(2x90cm)のカラムに付し50%酢酸水で展開し114 ml〜181 mlの画分を集め凍結乾燥し、19P2−L31を含む白色粉末290 mgを得た。これをLiChroprep RP-18(MERCK社製)を充填した逆相系カラムにつけ0.1% TFA水と0.1% TFA含有30%アセトニトリル水溶液を用いたグラジエント溶出での精製をくり返し、アセトニトリル濃度25%前後に溶出される部分を集め凍結乾燥し、白色粉末71mgを得た。
Figure 0004306816
【0101】
【実施例22】
Ser-Arg-Ala-His-Gln-His-Ser-Met(O)-Glu-Ile-Arg-Thr-Pro-Asp-Ile-Asn-Pro-Ala-Trp-Tyr-Ala-Gly-Arg-Gly-Ile-Arg-Pro-Val-Gly-Arg-Phe-NH2(19P2−L31(O))の合成。
合成19P2−L31 6mgを5%−酢酸水溶液20mlに溶解し30%−過酸化水素水40μlを加えMet部分のみを酸化し、反応終了後直ちにLiChroprep RP-18(MERCK社製)を充填した逆相系カラムにつけて精製し目的物 5.8mgをえた。
Figure 0004306816
【0102】
【実施例23】
Thr-Pro-Asp-Ile-Asn-Pro-Ala-Trp-Tyr-Ala-Gly-Arg-Gly-Ile-Arg-Pro-Val-Gly-Arg-Phe-NH2(19P2−L20)の合成。
実施例21の1)でBoc-Tyr(Br-Z)までを縮合した樹脂にさらにBoc-Trp(CHO)、Boc-Ala、Boc-Pro、Boc-Asn、Boc-Ile、Boc-Asp(OcHex)、Boc-Pro、Boc-Thr(Bzl)を同様に縮合し、 Boc-Thr(Bzl)-Pro-Asp(OcHex)-Ile-Asn-Pro-Ala-Trp(CHO)-Tyr(Br-Z)-Ala-Gly-Arg(Tos)-Gly-Ile-Arg(Tos)-Pro-Val-Gly-Arg(Tos)-Phe-pMBHA-resin1.14gを得た。これを実施例21の2)と同様に弗化水素処理、カラム精製し、白色粉末60mgを得た。
Figure 0004306816
【0103】
【実施例24】
合成ペプチド(19P2−L31)によるアラキドン酸代謝物遊離活性の測定
実施例11と同様に、実施例21で合成されたペプチド(19P2−L31)によるCHO−19P2細胞株からの特異的なアラキドン酸代謝物の遊離を測定した。合成ペプチドは、脱気処理した蒸留水に10-3Mの濃度で溶解し、0.05%BSAを含むHBSSで希釈して、それぞれの濃度におけるCHO−19P2細胞株からのアラキドン酸代謝物の遊離を[3H]アラキドン酸代謝物の量を指標に測定した。その結果、10-12M〜10-6Mで濃度依存的なアラキドン酸代謝物遊離の活性が検出された〔図25〕。さらに、実施例22で合成された19P2−L31のメチオニン酸化体であるペプチド19P2−L31(O)について19P2−L31とのアラキドン酸代謝物遊離活性の比較を行った結果、〔図26〕に示すように19P2−L31(O)は19P2−L31と同等の活性を示すことが分かった。
【0104】
【実施例25】
合成ペプチド(19P2−L20)によるアラキドン酸代謝物遊離活性の測定
実施例11と同様に、実施例23で合成された天然品P−2に相当するペプチド(19P2−L20)によるCHO−19P2細胞株からの特異的なアラキドン酸代謝物の遊離を測定した。合成ペプチドは、脱気処理した蒸留水に10-3Mの濃度で溶解し、0.05%BSAを含むHBSSで希釈して、それぞれの濃度におけるCHO−19P2細胞株からのアラキドン酸代謝物の遊離を[3H]アラキドン酸代謝物の量を指標に測定した。
その結果、10-12〜10-6Mで濃度依存的なアラキドン酸代謝物遊離の活性が19P2−L31とほぼ同程度に検出された〔図27〕。
【0105】
【実施例26】
ウシゲノムDNAにおけるコード領域の塩基配列の解析
pBOV3を制限酵素EcoRIで消化し、アガロースゲル電気泳動で分離した後、cDNA断片部分のDNAを回収してプローブを調製した。これをマルチプライムDNAラベリングキット(アマシャム社)を用いて32P標識した。クローニングベクターEMBL3 SP6/T7を用いて構築したBovine Genomic Library (CLONTECH社 BL1015j)の約2.0x106個のファージを大腸菌K802を宿主としてLB寒天培地プレートに播種し、一晩培養してプラークを形成させた。これをニトロセルロースフィルターに転写し、アルカリ変性、中和処理を行った後、熱処理(80℃、2時間)によってDNAを固定化した。このフィルターを50%ホルムアミドを含むハイブリバッファー(50%formamide、5xDenhardt's溶液、4xSSPE、0.1mg/ml Salmon sperm DNA、0.1%SDS)中で標識プローブと42℃で一晩インキュベーションし、ハイブリダイズさせた。ハイブリダイゼーション後のフィルターを室温で2xSSC、0.1%SDS中で1.5時間洗浄した後、さらに55℃の同バッファー中で30分間洗浄した。プローブとハイブリダイズするクローンの検出は、コダック社のX線フィルム(X-OMATTMAR)と増感スクリーンを用い、−80℃で4日間の露光によって行った。X線フィルムを現像した後、フィルムとプレートの位置を対応させながらハイブリダイズしている部分のファージを回収した。さらに上記の方法によって再プレーティングとハイブリダイゼーションを繰り返して行い、ファージのクローン化を行った。
クローン化したファージをプレートライセート法によって大量に調製し、ファージDNAを抽出した後、ベクターのクローニングサイトの両端に存在する制限酵素SalIおよびBamHI切断部位で切断してウシゲノムDNA由来の挿入断片の検出を1.2%アガロースゲル電気泳動によって行った〔図28〕。その結果、BamHI消化では3本の断片がファージ由来のバンドの他に検出された。また、SalI消化ではファージ由来のバンドに重なって1本のバンドが検出された。SalI消化断片が全長を保持していると考え、この断片をプラスミドベクターにサブクローニングするために、SalI消化後にBAP(大腸菌由来のアルカリフォスフォターゼ)処理したプラスミドベクターpUC18(ファルマシア社)とライゲーション反応を行い、大腸菌JM109に導入した。この菌からゲノム由来のSalI断片が挿入されたプラスミドDNAを大量に調製し、パーキンエルマー・アプライドバイオシステムズ社の370A蛍光式シーケンサーおよび同社のキットを用いてコード領域付近の塩基配列の解析を行った。その結果、〔図29〕に示すような配列が得られた。cDNAのコード領域と比較すると、ゲノムDNA由来であるために472bpのイントロンによってコード領域が2つに分割されている〔図30〕。〔図31〕および配列番号:44には、このウシのゲノムのコード領域(イントロン部分を除いたもの)から推定されるアミノ酸配列を示す。
【0106】
【実施例27】
ラット延髄背側部poly(A)+RNA画分の調製およびcDNAの合成
ラットの延髄背側部よりIsogen(ニッポンジーン社)によりtotal RNAを調製後、FastTrack(Invitrogen社)を用いてpoly(A)+RNA画分を調製した。次にこのpoly(A)+RNA 5μgにプライマーとしてランダムDNAヘキサマー(BRL社)を加え、モロニーマウス白血病の逆転写酵素(BRL社)により、添付バッファーを用いて相補DNAを合成した。反応後の産物はエタノール沈殿を行った後、12μlの蒸留水に溶解した。またこのpoly(A)+RNA 1μgから、Marathon cDNA amplification kit(Clontech)により、マニュアルに従ってcDNAを合成し、10μlに溶解した。
【0107】
【実施例28】
RACE法によるラット型生理活性ポリペプチドのcDNAの取得
ラット型生理活性ポリペプチドcDNAの全コード領域を取得するため、ウシ型を取得した方法に準じて実験を行った。まず実施例18で使用したプライマーP5−1(配列番号:35)、P3−1(配列番号:36)をプライマーとし、鋳型には実施例27でプライマーとしてランダムDNAヘキサマー(BRL社)を加え、モロニーマウス白血病の逆転写酵素(BRL社)により合成した相補DNAを鋳型としてPCRを行った。反応液は鋳型cDNAを1.25μl、dNTP200μM,プライマーを各1μM,DNA polymeraseとしてExTaq(宝酒造)を用い、添付のバッファー2.5μlを加えて、さらに水で全量を25μlとした。反応は94℃・1分後、98℃・10秒、50℃・30秒、72℃・5秒のサイクルを40回繰り返した後、72℃で20秒放置した。サーマルサイクラーはGeneAmp2400(パーキンエルマー社)を用いた。増幅産物を4%アガロース電気泳動、エチジウムブロマイド染色し約80bpのバンドを切り出し、実施例19に示した方法でDNAを回収、プラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニング、大腸菌JM109へ導入し挿入されたcDNA断片の配列を解析した。その結果ラット型生理活性ポリペプチドの部分配列を得ることができた。この配列を基に3' RACE用にRA(配列番号:75),5' RACE用にRC(配列番号:76)の2本のプライマーを合成し、5'および3' RACEを行った。
Figure 0004306816
鋳型は実施例27でMarathon cDNA amplification kit(Clontech)により合成したものを添付のトリシン−EDTAバッファーで40倍に希釈したもの2.5μlを使用した。プライマーには3' RACEにはRAとキット付属のアダプタープライマーAP1を、また5' RACEにはRCとAP1をそれぞれ用いたほかは上記と同様に反応液を調製した。反応条件は94℃・1分後、98℃・10秒、72℃・45秒のサイクルを5回、98℃・10秒、70℃・45秒のサイクルを3回、98℃・10秒、68℃・45秒のサイクルを40回繰り返した。その結果3' RACEからは約400bp、5' RACEからは約400bpと250bpのバンドが得られた。これらを上記と同様の方法で回収し、これらを鋳型として反応に用いたプライマーでDye Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI)により反応し配列を解析した。その結果5'ノンコーディング領域と推定される部分からpolyAまでの配列を得ることができた。
【0108】
【実施例29】
PCRによるラット型生理活性ポリペプチドの全長cDNAの取得
実施例28で得られた配列を基に開始コドンを含む領域にrF(配列番号:77)、また終止コドンより3'側にrR(配列番号:78)の2本のプライマーを合成し全長cDNAを含む断片を増幅することとした。
Figure 0004306816
実施例27でモロニーマウス白血病の逆転写酵素を用いて調製したcDNAを鋳型とし、ExTaq(宝酒造)を用いて、95℃・30秒、68℃・60秒のサイクルを40回繰り返してPCRを行った。増幅産物をアガロース電気泳動、エチジウムブロマイド染色し約350bpのバンドを切り出し、実施例19に示した方法でDNAを回収、プラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニング、大腸菌JM109へ導入した。生じた形質転換体からプラスミドを抽出し、塩基配列を決定した結果、ラット型生理活性ポリペプチドの全長cDNAを保有するE. coli JM109/pRAV3を得た〔図32〕。
【0109】
【実施例30】
ヒト Brain poly(A)+RNA画分からのcDNAの合成
ヒト Brain poly(A)+RNA画分(Clontech)1μgから、Marathon cDNA amplification kit(Clontech)により、マニュアルに従ってcDNAを合成し、10μlに溶解した。また同poly(A)+RNA画分5μgにプライマーとしてランダムDNAヘキサマー(BRL社)を加え、モロニーマウス白血病の逆転写酵素(BRL社)により、添付バッファーを用いて相補DNAを合成した。反応後の産物はエタノール沈殿を行った後、30μlのTEに溶解した。
【0110】
【実施例31】
RACE法によるヒト型生理活性ポリペプチドのcDNAの取得
実施例28で明らかになったラット型生理活性ポリペプチドのアミノ酸配列から〔図33〕に示したように特にラット型とウシ型で保存性の高かった領域を選び以下のR1(配列番号:79)、R3(配列番号:80 )、R4(配列番号:81)の3本のプライマーを合成し、ヒトのcDNAを鋳型としてPCRをすることによりこれらに挟まれた領域の増幅を試みた。ここで、図33においてbovine.aaはウシ型ポリペプチドのアミノ酸配列、bovine.seqはウシ型ポリペプチドをコードするDNAの塩基配列、rat.seqはラット型ポリペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。
Figure 0004306816
実施例30でMarathon cDNA amplification kit(Clontech)により調製したcDNAをトリシン−EDTAバッファーで30倍に希釈したもの2.5μlを鋳型として使用した。反応液はdNTP200μM,プライマーをR1とR4を各0.2μM,Taq Start Antibody(Clontech)と等量混合したDNA polymerase ExTaq(宝酒造)を用い、添付のバッファー2.5μlを加えて、さらに水で全量を25μlとした。反応は94℃・1分後、98℃・10秒、68℃・40秒のサイクルを42回繰り返した後、72℃で1分間放置した。さらにこの反応液をトリシン−EDTAバッファーで100倍に希釈したもの1μlを鋳型として、プライマーの組み合わせをR1とR3に変えた以外は上記と同様の反応液を調製して94℃・1分後、98℃・10秒、68℃・40秒のサイクルを25回繰り返した。増幅産物を4%アガロース電気泳動、エチジウムブロマイド染色したところ、期待される約130bpのバンドが得られたため、これを実施例28と同様の方法で回収し、その回収した断片を鋳型として、Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(ABI)を用いて反応し配列を解析した結果、ヒト型生理活性ポリペプチドの部分配列を得ることができた。そこでこの配列を基に3' RACE用にプライマーHA(配列番号:82),HB(配列番号:83)を、5' RACE用にプライマーHE(配列番号:84),HF(配列番号:85)を合成し、5'および3' RACEを行った。
Figure 0004306816
鋳型は実施例30で調製したものをトリシン−EDTAバッファーで20倍に希釈したもの2.5μlを使用した。1回目のPCRは3' RACEにはHAとアダプタープライマーAP1を、5' RACEにはHEとAP1を用いこれまでと同様に反応液を調製した。反応条件は94℃・1分後、98℃・10秒、72℃・35秒のサイクルを5回、98℃・10秒、70℃・35秒のサイクルを5回、98℃・10秒、68℃・35秒のサイクルを40回繰り返した。さらにこの反応液をトリシン−EDTAバッファーで100倍に希釈したもの1μlを鋳型として、1回目の反応サイクルと同じサイクルで2回目のPCRを行った。ただし3' RACEはプライマーをHBとAP1に、5' RACEはHFとAP2に変え、またDNA polymeraseとしてKlen Taq(Clontech)を使用し、添付のバッファーで反応液を調製した。その結果、3' RACEでは約250bpのバンドまた5' RACEでは約150bpのバンドが得られ、これらを上記と同様の方法で配列を読み、先に得られた部分配列と併せてヒト型生理活性ポリペプチドの、5'ノンコーディング領域と推定される部分からpolyAまでの配列を得ることができた。
【0111】
【実施例32】
PCR法によるヒト型生理活性ポリペプチドの全長cDNAの取得
実施例31で得られた配列を基に5H(配列番号:86)と3HN(配列番号:87)の2本のプライマーを合成し全長cDNAを含む断片を増幅することとした。
Figure 0004306816
実施例30でモロニーマウス白血病の逆転写酵素(BRL社)を用いて調製したcDNA2.5μlを鋳型とし、Klen Taq DNA polymerase(Clontech)を用いた反応液で、94℃・1分後、98℃・10秒、68℃・30秒のサイクルを40回繰り返した。得られた約360bpの断片を実施例29と同様の方法で、回収、サブクローニング(ただし、ベクターはpCRTM2.1を用いた。)、プラスミド回収し、塩基配列を決定した結果、ヒト型生理活性ポリペプチドの全長cDNAを保有するE. coli JM109/pHOV7を得た〔図34〕。またこのヒト型生理活性ポリペプチドと実施例20に示したウシ型、および実施例29に示したラット型の翻訳領域についてアミノ酸配列を比較した〔図35〕。
【0112】
【実施例33】
(1)UHR−1発現CHO細胞の作製
最近、Susan K. Welchらによってラット視交叉上核よりオーファンレセプターであるUHR−1がクローニングされている(Biochemical and Biophysical Research Communications, Vol.209, No.2, pp.606-613, 1995)。
本発明者らは、この報告をもとにUHR−1遺伝子によりコードされる蛋白質のアミノ酸配列とhGR3によりコードされる蛋白質のアミノ酸配列の比較を行った。
その結果、両者は359アミノ酸にわたり91.6%のアイデンティティーを有することから、UHR−1はphGR3のホモログであることが推定された。UHR−1によりコードされる蛋白が19P2−L31のレセプターとして機能することを確認するために以下に述べるように、本発明者らはUHR−1 cDNAをクローニングし、それをCHO細胞に導入して安定的な発現細胞株を作製した。
ラットの下垂体前葉からFast TrackTM kit(Invitrogen社)を用いて抽出した poly(A)+RNAを調製した。次に、得られた poly(A)+RNA 0.2μgを鋳型とし、TaKaRa RNA PCR kit(宝酒造)を用いて全量40μlの反応スケールでcDNAを合成した。反応産物は、フェノール:クロロホルム(1:1)で抽出し、エタノール沈澱を行った後、10μlの蒸留水に溶解した。既知のラット・UHR−1 cDNAの塩基配列(GenBank, Accession Number S77867)をもとに、以下に示す2種の合成DNAプライマーを作成した。
(1)5'−GTTCACAG(GTCGAC)ATGACCTCAC−3'
(括弧内はSalI認識配列を示す) (配列番号:95)
(2)5’−CTCAGA(GCTAGC)AGAGTGTCATCAG−3’
(括弧内はNheI認識配列を示す) (配列番号:96)
上記のプライマー(1)と(2)を一組として用いて、上述の方法で合成したcDNAを鋳型としてPCRを行った。反応には、調製したcDNA溶液を5倍に希釈したものを5μl、Ex Taq(宝酒造)とTaq Start Antibody(クロンテック)を1:1で混合したものを1μl、Ex Taqに添付の10×反応バッファーを5μlおよびdNTPを4μl、50μMの濃度に調製したプライマーを各1μl使用し、蒸留水にて液量を50μlに調製した。
PCRは、95℃・2分ののち、95℃・30秒、65℃・30秒、72℃・1分の3ステップを1サイクルとして27回繰り返して行い、その後に72℃・7分の伸長反応を加えた。反応終了後に、反応液の一部を用いてアガロースゲル電気泳動を行った。エチジウムブロマイド染色し約1.1kbpのバンドを切り出し、遠心濾過チューブ(ミリポア社)で遠心濾過し、フェノール抽出次いでエタノール沈澱を行ってDNAを回収した。回収したDNAをTAクローニングキット(Invitrogen社)のマニュアルに従い、プラスミドベクターpCRTMIIへサブクローニングし(以下、pCRII−UHR−1と称する)、大腸菌JM109に導入し、得られた形質転換体をアンピシリンを含むLB培地で培養後、自動プラスミド抽出器(クラボウ社)でプラスミドを得た。
このプラスミドをABI PRISM Dye Terminator Cycle Sequencing kit,FS(パーキンエルマー社)を用い、マニュアルに従い反応させ、塩基配列を蛍光自動DNAシーケンサー(ABI社)により解読した。
塩基配列の解析の結果、PCRによって入手したcDNA断片は1116bpから成ることが確認された〔図52〕。〔図52〕は、発現ベクターpAKKO−UHR−1上で構築されたラット・UHR−1の完全なコード領域の塩基配列と、それにコードされるアミノ酸配列を示す。図中、アンダーラインを付したprimer(1),(2)は、それぞれのプライマー配列の一部に相当する部分を示す。また、二重線は公知の塩基配列と異なる部分を示す(664番目のC、865番目のG、897番目のG)。ここで、公知の塩基配列はデータバンクGenBank Accession No. S77867を引用したものである。
これらの塩基置換のうち、一つは289Leu(CTC)→289Val(GTC)のアミノ酸置換を伴うものであった。UHR−1発現ベクターの構築は以下の様にして行った。
pCRII−UHR−1を制限酵素NheI(宝酒造)およびSalI(宝酒造)で切断した。切断したサンプルをアガロースゲル電気泳動した後エチジウムブロマイド染色し、そのバンド部分をカミソリで切り出した。このゲル断片をフィルター付き遠心チューブ(ミリポア)に入れ、冷凍庫内で凍結、その後に室温にて融解させた後、チューブを8000回転で1分間遠心して、フィルターの下部にDNA断片を含む溶液を溶出させた。この溶液を、定法に従ってフェノール抽出、フェノール・クロロホルム(1:1)抽出、ジエチルエーテル抽出して不純物を除去した後、エタノール沈澱によってDNAを沈澱させcDNA断片を得た。
pAKKO−111Hを制限酵素NheI(宝酒造)およびSalI(宝酒造)で切断した後、上述と同様の方法によりベクター部分をアガロースゲルから分離、抽出した。こうして得られたcDNA断片とpAKKO−111Hの制限酵素消化物をライゲーション・システム(宝酒造)を用い、16℃で30分反応させた。ライゲーション反応産物の一部を用いて、大腸菌JM109を形質転換させ、形質転換体Escherichia coli JM109/pAKKO−UHR−1を得た。得られた形質転換体Escherichia coli JM109/pAKKO−UHR−1をアンピシリン(50μg/ml)を含むLB培地2ml中で一晩培養し、プラスミド自動抽出装置(クラボウ社)によってプラスミドDNA(pAKKO−UHR−1)を調製した。蛍光式シーケンサーを用いて、cDNA断片とpAKKO−111Hの連結部位の塩基配列を解析し、発現ベクターpAKKO−UHR−1の構築が完了したことを確認した。
(2)CHOdhfr-細胞へのUHR−1発現ベクターの導入
直径10cmの組織培養用シャーレに1×106個のCHOdhfr-細胞を播種し、24時間培養した。(1)で得られたUHR−1発現ベクターpAKKO−UHR−1を20μg用い、リポソーム法による遺伝子導入キット(ジーントランスファー、ニッポンジーン社)を用いて、DNA・リポソームの複合体を形成させた。培地を新鮮なものに交換し、これにDNA・リポソームの複合体を添加して一晩インキュベートした。培地を新鮮なものと交換してさらに1日間培養した後、形質転換体選択用の培地に交換して2日間培養した。さらに、トリプシン−EDTA処理によってシャーレ内の細胞を回収し、細胞密度が希薄な状態にて再培養を行うことによって、形質転換体の割合の増加を図った。これにより、UHR−1を安定に高発現する細胞株CHO−UHR−1のクローンを得た。
【0113】
【実施例34】
19P2−L31の125Iによる標識および標識体を用いたレセプター結合実験
19P2−L31のヨードラベル化は〔125I〕−Bolton−Hunter Reagent(NEN/DuPont;NEX-120)を用いて行った。まず、〔125I〕−Bolton−Hunter Reagent(2200Ci/mmol)200μlを500μlエッペンドルフチューブに移し、窒素ガスにて完全に乾燥させた。アセトニトリル2μlにて再溶解し、さらに50mMリン酸バッファーpH8.0 4μl、合成19P2−L31 3×10-4M 4μlを加え、混和し、室温にて40分間反応させた。反応後、1.0Mグリシン5μlを加えて反応を停止し、反応液全量を逆相カラム(TOSO;TSKgel ODS−80TMCTP)にかけ、〔125I〕標識19P2−L31(〔125I〕−19P2−L31)を分離した。〔125I〕−19P2−L31を含む画分は、2倍量の50mM Tris−HCl pH7.5、0.1%BSA、0.05%CHAPSにて希釈し、少量ずつ分注の後、−20℃にて保存した。
レセプター結合実験ではレセプター発現CHO細胞としてCHO−19P2−9、CHO−UHR−1およびmock CHOを用いた。CHO−19P2−9細胞はCHO−19P2細胞を96穴マイクロプレートを用いた限界希釈法により、19P2−L31によるアラキドン酸代謝物の遊離促進反応がより強いクローンとして選択したものである。mock CHO細胞は、発現ベクターpAKKO単独でトランスフォームしたコントロール細胞である。組織培養用フラスコで培養したこれらの細胞を5mM EDTA/PBSにて剥離し、0.05%BSA、0.05%CHAPSを含むHBSSに0.5×107cells/mlとなるよう再懸濁した。この細胞浮遊液100μlに、〔125I〕−19P2−L31を200pMとなるように、さらに一部の細胞浮遊液にはNSB(non specific binding;非特異的結合)として19P2−L31を200nMとなるように追加し、室温にて2.5時間反応させた。反応後、ガラスフィルターGF/F(Wattman)を用いて、B/F分離を行い、フィルターにトラップされたカウントをレセプター結合量としてγ−カウンターにて測定した。
〔図36〕には、生細胞における〔125I〕−19P2−L31を用いたレセプター結合実験の結果を示す。
細胞浮遊液0.5×107cells/ml 100μlに〔125I〕−19P2−L31を200pMとなるように加え、室温2.5時間の反応でレセプターに結合した〔125I〕−19P2−L31の量および非特異的結合量をγ−カウンターで測定した。実験はtriplicateで行い、その平均値および標準偏差を示した。
hGR3とUHR−1を発現させたCHO細胞において、〔125I〕−19P2−L31の特異的結合が観察された。これらの結果はhGR3およびUHR−1によってコードされる蛋白質が19P2−L31の特異的なレセプターとして機能していることを示している。
【0114】
【実施例35】
19P2−L31によるCHO−19P2−9およびCHO−UHR1からの特異的なアラキドン酸代謝物の遊離促進
実施例11と同様の方法でCHO−19P2−9、CHO−UHR1およびmock CHOにおける19P2−L31によるアラキドン酸代謝物遊離活性を測定した。
〔図37〕にはCHO−19P2−9およびCHO−UHR1における19P2−L31によるアラキドン酸代謝物遊離活性の測定結果を示す。実験はduplicateで行い、その平均値を示した。
UHR1を発現させたCHO細胞でも、CHO−19P2−9と同様の19P2−L31によるアラキドン酸代謝物遊離の活性が確認された。これらの結果はUHR−1によってコードされる蛋白質がhGR3と同様に19P2−L31の特異的なレセプターとして機能していることを示している。
【0115】
【実施例36】
RT−PCRによるラット組織のリガンドポリペプチドおよびラット型G蛋白質共役型レセプター(UHR−1)の発現定量
(1)ラットの組織からの poly(A)+RNA調製
8週齢のラット(♂)より各種組織の poly(A)+RNAを、Isogen(Nippon gene)による total RNA調製に引き続き、オリゴdTセルロースカラム(Pharmacia)を用いて約5〜30μg調製した。
poly(A)+RNA画分中の genome DNAを完全に除くため、DNaseI(Gibco BRL. amplification grade)を1ユニット用いて室温でDNAを分解した。25mM EDTAを加え、65℃で10分処理し、DNaseIを不活性化した。水で40ng/μlに希釈し、その160ngから10ユニットAMV reverse transcriptase XL(Takara),2.5μM random 9mer(Takara、終濃度2.5μM),10mM Tris-HCl(pH 8.3),0.4mMの各dNTPを用いてcDNAを合成した。合成反応は30℃・10分の後、42℃・30分、99℃・5分、5℃・5分とした。反応産物をエタノール沈殿しトリシン−EDTAバッファーで40μlに溶解した(4ng poly(A)+RNA/μl)。
(2)ポジティブコントロール用プラスミドベクターの調製
ラットのグリセロールアルデヒド−3−リン酸−脱水素酵素(G3PDH,GenBank accession number M17701)は、FastTrack(Invitrogen)で調製したラット下垂体由来細胞株GH3の poly(A)+RNAから、上記(1)と同様の方法で合成したcDNAを鋳型として、Clontech社のG3PDH増幅用プライマーセットを用いてPCR法で増幅させた。UHR−1はやはりGH3のcDNAを鋳型として、
Figure 0004306816
を用いて増幅し、TAクローニングキット(Invitrogen)のpCRTM2.1ベクターへサブクローニングして得た。これらを大腸菌JM109に導入して形質転換体を得た。またリガンドペプチドはJM109/pRAV3として寄託したものを用いた。これらの形質転換体はアンピシリンを含むLB培地で培養後、Qiagen Plasmid Midi kit(QIAGEN)でプラスミドを精製し、吸光度により濃度を定量してポジティブコントロール用プラスミドベクターとした。
(3)RT−PCR
上記(1)および(2)で調製したcDNA溶液およびポジティブコントロール用プラスミドベクターをそのままあるいは適当な濃度に水で希釈して鋳型とした。G3PDH,UHR−1およびリガンドペプチド増幅用プライマーは、それぞれClontech社のG3PDH増幅用プライマーセット、rRECFとrRECR、
Figure 0004306816
を終濃度200nMで使用した。反応液は希釈した鋳型4μl、各200nMプライマー、dNTP(終濃度各100μM)、DNA polymeraseとしてKlenTaq(Clontech)を用い、KlenTaq添付のバッファーと水で25μlとした。反応はG3PDHは94℃・1分の後、98℃・10秒、65℃・20秒、72℃・40秒のサイクルを26回、UHR−1とリガンドペプチドは94℃・1分の後、98℃・10秒、68℃・25秒のサイクルを34回繰り返した。増幅産物をあらかじめエチジウムブロマイド染色した1.2%あるいは4%のアガロースゲルを用いて電気泳動し、得られた泳動図をCCDカメラ(FOTODYNE,Foto/Ecrips)で取り込み、解析ソフト(Advanced American Biotechnology)でバンドの濃さを数値化、定量した。定量値はG3PDHは4ng poly(A)+RNAあたりのpgで、またUHR−1とリガンドペプチドは4ng poly(A)+RNAあたりのpgおよびその値をG3PDHのpgで割った値として算出した〔図38、39〕。
その結果、UHR−1とリガンドペプチドは調べた組織全てで発現が確認された。UHR−1は下垂体で発現量が多く、脳全体にも広く分布していたが、末梢の組織では副腎を除いて発現はあまり高くなかった。一方、リガンドペプチドは、脳では延髄、視床下部で発現が高く、下垂体での発現は低かった。末梢組織においても肺、胸腺、膵臓、腎臓、副腎、精巣などで比較的高い発現が認められた。これらの結果はUHR−1とそのリガンドペプチドが様々な組織においてその機能調節に重要な役割を果たしていることを示している。
【0116】
【実施例37】
19P2−L31のグルコースによる血漿インスリン濃度の増加に及ぼす影響
ペントバルビタール(65mg/kg、腹腔内投与)で麻酔したWistarラット(8−10週齢 ♂)に総頸静脈から一過性にグルコース(86mg/ラット)を単独で、あるいは同グルコースと19P2−L31(ラットあたり各675pmol、2.25nmol、6.75nmol、67.5nmol)を同時投与し、投与した反対側の総頸静脈から経時的に採血し血漿中のインスリン濃度をラジオイムノアッセイで測定した。測定にはアマシャム社のインスリンアッセイキットを使用した。
19P2−L31は投与量675pmol、2.25nmol、6.75nmolでは、グルコースによる投与2分後の急激な第一相目のインスリン濃度の増加、および投与後6分以降に見られる緩徐な第二相目の血漿インスリン濃度の増加を部分的に抑制した。67.5nmolの19P2−L31は第一相と第二相両方のインスリン濃度の増加を完全に抑制した〔図40〕。
【0117】
【実施例38】
マウスの行動量に及ぼすリガンドポリペプチドの影響
本発明者らは、19P2−L31、19P2−L20のマウス側脳室内投与が行動量に及ぼす影響を検討した。成熟ICR系雄性マウス(手術時体重:約35g)をペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、脳定位固定装置に固定した。頭蓋骨を露出し、一側脳室にガイドカニューレを埋め込むために歯科用ドリルを用いて骨に穴を開けた。側脳室内薬液注入用のステンレス製ガイドカニューレ(24G、長さ5mm)の先端をAP:+0.6mm(ブレグマより)、L:左1mm、H:−1mm(硬膜より)の位置に挿入した。ガイドカニューレは頭蓋骨に接着剤で固定した。術後、マウスは3日以上飼育して術後の回復を待ってから行動解析実験を行った。
マウスの自発運動量の測定には、防音箱内の24×37×30cmの透明アクリル製の自発運動測定用ケージを用いた。マウスを該ケージに一匹ずつ入れ、12時間毎の明暗条件(明:6−18時)で、また、水と餌は自由に摂取できる条件下で自発運動量と立ち上がり行動量をそれぞれ測定した。行動量の測定には、Supermex(室町機械)を用いた。薬物あるいはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)は午後2:30±30分に投与した。投与時には、ステンレス製マイクロインジェクションカニューレ(30G、長さ6mm)をガイドカニューレに挿入した。マイクロインジェクションカニューレは、テフロンチューブを用いてマイクロシリンジポンプにつなぎ、PBSあるいはペプチドを溶解したPBSを流速2μl/分で2分間注入した。注入後は、2分間以上待ってからマイクロインジェクションカニューレを外し、行動量を測定した。
結果は、平均値±S.E.M.で表し、これらペプチド処置とPBS処置とが体温に及ぼす影響に有意差があるか否かの検定は Student's t-testによって行った。判定は、両側検定で危険率(p)が5%以下を統計的に有意であるとした。〔図41〕に示すごとく、19P2−L31を10nmol投与した場合、マウスの自発運動量は投与後70分後から105分後まで、有意に増加した。立ち上がり行動も同様に有意な変化を示した。19P2−L31を1nmol投与した場合、自発運動量には変化が認められず、立ち上がり行動量が投与105分後で有意な低下を示したのみであった〔図42〕。19P2−L31を0.1nmol投与した場合、自発運動量は、投与後25分および40分、70分において有意な増加を示した。立ち上がり行動量にも同様の増加傾向は認められたが有意ではなかった〔図43〕。また、19P2−L31を0.01nmol投与した場合、自発運動量は、投与後20分および40分で有意に増加した。立ち上がり行動も同じように増加傾向を示したが有意な変化は認められなかった〔図44〕。
【0118】
【実施例39】
マウスのレセルピン誘発低体温に及ぼすリガンドポリペプチドの影響
成熟ICR系雄性マウス(手術時体重:約35g)をペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、脳定位固定装置に固定した。頭蓋骨を露出し、一側脳室にガイドカニューレを埋め込むために歯科用ドリルを用いて骨に穴を開けた。側脳室内薬液注入用のステンレス製ガイドカニューレ(24G、長さ5mm)の先端をAP:+0.6mm(ブレグマより)、L:左1mm、H:−1mm(硬膜より)の位置に挿入した。ガイドカニューレは頭蓋骨に接着剤で固定した。術後、マウスは3日以上飼育して術後の回復を待ってから体温測定を行った。レセルピン(アポプロン注1mg、第一製薬)3mg/kgを皮下注射し、その15時間後にマウスを個別の測定用ケージに移した。ステンレス製マイクロインジェクションカニューレ(30G、長さ6mm)をガイドカニューレに挿入した。マイクロインジェクションカニューレは、テフロンチューブを用いてマイクロシリンジポンプにつなぎ、PBSあるいはペプチドを溶解したPBSを流速2μl/分で2分間注入した。注入後は、2分間以上待ってからマイクロインジェクションカニューレを外し、直腸温を測定した。
結果は、平均値±S.E.M.で表し、これらペプチド処置とPBS処置とが体温に及ぼす影響に有意差があるか否かの検定は Student's t-testによって行った。判定は、両側検定で危険率(p)が5%以下を統計的に有意であるとした。〔図45〕に示すように、19P2−L31を10nmol投与した場合、レセルピンによって低下していた体温はPBSを投与した対照群に比し有意に上昇した。この体温の上昇は、19P2−L31投与後45分でピークに達した。一方、1nmolの19P2−L20投与群と対照群との間には差が認められなかった。
【0119】
【実施例40】
リガンドポリペプチドがラットの血圧に及ぼす影響
本発明者らは、19P2−L31の延髄最後野への注入が血圧に及ぼす影響を検討した。成熟Wistar系雄性ラット(手術時体重:約300g)をペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、ラット脳定位固定装置に固定した。切歯用バーはインターオーラルラインから3.3mm低くした。頭蓋骨を露出し、ガイドカニューレを埋め込むために歯科用ドリルを用いて骨に穴を開けた。また、その周囲の2ケ所にアンカービスを埋めた。ステンレス製ガイドカニューレ、AG−12(内径0.4mm、外径0.5mm、エイコム社)を、その先端が最後野の上部に位置するように挿入した。そのために、ガイドカニューレは垂直方向から20度の角度をつけて前方より挿入した(〔図46〕、但し図中にはガイドカニューレより1.0mm長いマイクロインジェクションカニューレを示す)。定位座標は、PaxinosとWatson(1986)のアトラスを参考にしてAP:−0.6mm(インターオーラルラインより)、L:0.0mm、H:+1.5mm(インターオーラルラインより)とした。ガイドカニューレは瞬間接着剤と歯科用セメントおよびアンカービスで頭蓋骨に固定した。ガイドカニューレにはステンレス製ダミーカニューレ、AD−12(外径0.35mm、エイコム社)を挿入し、キャップナット(エイコム社)で固定した。その後、ラットは個別のケージで飼育した。
ガイドカニューレを埋め込んでから約1週間飼育して術後の回復を待ち、無麻酔血圧測定用の手術を行った。ラットをペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、解剖用パッドの上に背位に固定して左側の大腿動脈を露出させた。ポリエチレンチューブSP35(内径0.5mm、外径0.9mm、夏目製作所)を約60cmの長さに切り、200単位/mlヘパリン含有生理食塩水で満たした後、大腿動脈に約2.5cm挿入し固定した。チューブのもう一端は背側の皮下を通して頸部(背側)より露出させた。
術後一晩待ってからポリエチレンチューブをトランスデューサー(Spectramed)に接続し、血圧を測定した。安定した血圧が測定可能になった後、ラットの頭蓋骨に装着したキャップナットとダミーカニューレを取り外し、代わりにテフロンチューブ(長さ50cm、内径0.1mm、外径0.4mm、エイコム社)につなげたステンレス製マイクロインジェクションカニューレ、AMI13(内径0.17mm、外径0.35mm、エイコム社)を挿入した。マイクロインジェクションカニューレの長さは、その先端1mmがガイドカニューレから露出するように調節しておいた〔図46〕。テフロンチューブの一方をマイクロシリンジポンプにつなぎ、PBSまたは19P2−L31を溶解させたPBSを1.0μl/分の流速で計2μlを最後野に注入した。
血圧測定後、19P−L31を注入したマイクロインジェクションカニューレを外し、色素(エバンスブルー)注入用マイクロインジェクションカニューレに替えた。色素は、19P−L31と同様に流速1.0μl/分で2分間注入した後約3分間待ってからマイクロインジェクションカニューレを外した。ラットを断頭し、速やかに脳を摘出し、凍結した。クリオスタットを用いて凍結切片を作製し、色素の注入位置を確認した。
上記実験の結果、延髄最後野に19P2−L31を10nmol注入すると血圧の上昇が認められた。脈波および平均血圧の典型例を〔図47〕に示す。
【0120】
【実施例41】
リガンドポリペプチドが血漿中下垂体ホルモン量に及ぼす影響
本発明者らは、19P2−L31の第三脳室内投与が血漿中の下垂体ホルモン量に及ぼす影響を検討した。成熟Wistar系雄性ラット(手術時体重:約290〜350g)をペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、ラット脳定位固定装置に固定した。切歯用バーはインターオーラルラインから3.3mm低くした。頭蓋骨を露出し、ガイドカニューレを埋め込むために歯科用ドリルを用いて骨に穴を開けた。また、その周囲の一ケ所にアンカービスを埋めた。ステンレス製ガイドカニューレ、AG−12(内径0.4mm、外径0.5mm、エイコム社)を、その先端が第三脳室の上部に位置するように挿入した。定位座標は、PaxinosとWatson(1986)のアトラスに従い、AP:+7.2mm(インターオーラルラインより)、L:0.0mm、H:+2.0mm(インターオーラルラインより)とした。ガイドカニューレは瞬間接着剤と歯科用セメントおよびアンカービスで頭蓋骨に固定した。ガイドカニューレにはステンレス製ダミーカニューレ、AD−12(外径0.35mm、エイコム社)を挿入し、キャップナット(エイコム社)で固定した。術後、ラットを個別のケージで3日以上飼育し、術後の回復を待ってから、実験を行った。
上記手術を施したラットをペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、解剖用パッドの上に背位に固定した。両側の頸静脈を露出させた後、容量1mlのツベルクリン用注射筒と24G注射針(いずれもテルモ社)を用いて400μlの血液を採取した。血液凝固を防止するため、注射筒には予め200単位/mlのヘパリンを含有する生理食塩水を20μl入れておいた。ラットの頭蓋骨に装着したキャップナットとダミーカニューレを取り外し、代わりにテフロンチューブ(長さ50cm、内径0.1mm、外径0.4mm、エイコム社)につなげたステンレス製マイクロインジェクションカニューレ、AMI13(内径0.17mm、外径0.35mm、エイコム社)を挿入した。マイクロインジェクションカニューレの長さは、その先端1mmがガイドカニューレから露出するように調節しておいた。テフロンチューブの一方をマイクロシリンジポンプにつなぎ、PBSまたは19P2−L31を溶解させたPBSを2.5μl/分の流速で計10μlを第三脳室に注入した。注入終了後1分間待ってからマイクロインジェクションカニューレを取り外し、再びダミーカニューレをキャップナットで固定した。脳室内投与を開始する直前、および脳室内投与の開始時点から10、20、30、40、60分後に頸静脈より400μlずつ採血した。採取した血液は微量高速冷却遠心機(MR-150,トミー精工)を用いて遠心(5,000rpm、10分間)し、上清(血漿)を回収した。血漿中に含まれる下垂体ホルモン(プロラクチン、黄体形成ホルモン(LH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、成長ホルモン(GH))量をそれぞれラジオイムノアッセイを用いて測定した。
結果は、平均値±S.E.M.で表した。19P2−L31を溶解させたPBS投与群とPBSのみを投与した対照群との間に有意差があるか否かの検定には Student's t-testを用いた。判定は、両側検定で危険率5%以下を統計的に有意であるとした。〔図48〕に示すごとく、血漿中成長ホルモン量は、50nmolの19P2−L31を第三脳室に投与後20分において対照群に比し有意に減少した。投与後10、30、40分においても減少傾向は認められたが、有意ではなかった。また、投与60分後では対照群との間に差は認められなかった。また、血漿中プロラクチン、LH、ACTH、TSH量は有意な変化を示さなかった。
【0121】
【実施例42】
リガンドポリペプチドが自由行動下ラットにおける血漿中成長ホルモン量に及ぼす影響
成熟Wistar系雄性ラットをペントバルビタール50mg/kgの腹腔内投与にて麻酔し、実施例41と同様にステンレス製ガイドカニューレ、AG−12(内径0.4mm、外径0.5mm、エイコム社)を、その先端が第三脳室の上部に位置するように固定した。術後、ラットを個別のケージで3日以上飼育し、術後の回復を待ってからペントバルビタール麻酔下(50mg/kg、i.p.)でヘパリン(200単位/ml)含有生理食塩水を満たしたカニューレ(長さ30cm、内径0.5mm、外径0.9mm、夏目製作所)を右頸静脈より右心房に挿入した。ラットを一晩飼育して完全に麻酔から覚醒させた後、透明アクリル製ケージ(30×30×35cm)に移した。容量1mlのツベルクリン用注射筒と24G注射針(いずれもテルモ社)を心房に挿入したカニューレに接続し、300μlの血液を採取した。血液凝固を防止するため、注射筒には予め200単位/mlのヘパリンを含有する生理食塩水を20μl入れておいた。第三脳室に挿入したガイドカニューレにテフロンチューブ(長さ50cm、内径0.1mm、外径0.4mm、エイコム社)につなげたステンレス製マイクロインジェクションカニューレ、AMI13(内径0.17mm、外径0.35mm、エイコム社)を挿入した。マイクロインジェクションカニューレの長さは、その先端1mmがガイドカニューレから露出するように調節しておいた。テフロンチューブの一方をマイクロシリンジポンプにつなぎ、PBSまたは19P2−L31を溶解させたPBSを2.5μl/分の流速で計10μlを第三脳室に注入した。第三脳室内投与開始10分後に心房に挿入したカニューレを通して生理食塩水に溶解させた成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)を5μg/kg投与した。脳室内投与を開始する直前、およびGHRH投与時点から10、20、30、40、60分後に頸静脈より300μlずつ採血した。採取した血液は遠心(5,000rpm、10分間)し、上清(血漿)を回収した。血漿中に含まれる成長ホルモン(GH)量はラジオイムノアッセイを用いて測定した。
結果は、平均値±S.E.M.で表した。19P2−L31を溶解させたPBS投与群とPBSのみを投与した対照群との間に有意差があるか否かの検定には Student's t-testを用いた。判定は、両側検定で危険率5%以下を統計的に有意であるとした。〔図49〕に示すごとく、5μg/kgのGHRH投与は血漿中GH量を増加させた。しかし、50nmolの19P2−L31を第三脳室に投与するとGHRHによる血漿中GH量の増加は有意に抑制された。
【0122】
【実施例43】
ウサギポリクローナル抗体の作製
ウシ19P2−L31のN末端側ペプチド[ペプチド−I、SRAHQHSMEIRTPDC(配列番号:92)]、c末端側ペプチド[ペプチド−II、CAWYAGRGIRPVGRFNH2(配列番号:93)]および中央部分のペプチド[ペプチド-III、CEIRTPDINPAWYAG(配列番号:94)]を化学合成し、常法通りKLHと結合した。フロインドの完全アジュバント(FCA)と生理食塩水に溶解した上記ペプチド600μgを混合し、均一なエマルジョンにした後、それぞれ3羽ずつのウサギ(NZW、♂、2.5kg)の背部に皮下注射した。さらに3週間後追加免疫として、フロインドの不完全アジュバント(FIA)と生理食塩水に溶解した上記のペプチドとKLHのコンジュゲイトを混合し、均一なエマルジョンにした後ウサギ背部に皮下注射した。3週間間隔で計3回追加免疫を行った。
抗体価の測定は以下のように行った。最終免疫の2週間後、ウサギ耳の静脈から採血し、血液を37℃で1時間保温後、4℃で1昼夜放置したのち遠心し、抗血清を得た。抗血清を各濃度に希釈し、予め、ヤギ抗ウサギIgG(Fc)抗体を固定したポリスチレン性96穴マイクロプレートに100μlずつ加え、4℃で16時間インキュベートした。抗血清を除去し、洗浄後、HRP標識ペプチド−I、II、IIIを添加した。室温で4時間インキュベートし、十分にウエルを洗浄した後、反応基質を加え、呈色反応を行った。酵素反応停止溶液100μlを加えて反応を停止させた後、マイクロプレート用比色計を用い450nmにおける吸光度を測定した。〔図50〕に示すように免疫後の血清中に各ペプチドに対する結合活性が検出された。
抗体は以下のようにして調製した。抗血清は硫安塩析によりIgG画分を濃縮し、ホウ酸バッファーに溶解後、透析した。抗ペプチド−IのIgG画分をペプチド−Iセルロファインカラムに、さらに抗ペプチド−IIおよび抗ペプチド−IIIのIgG画分を19P2−L31−セファロ−ズ4Bカラムに負荷し、ホウ酸バッファーおよび酢酸バッファー(100mM、pH4.5)で洗浄後、グリシン塩酸バッファー(200mM、pH2.0)でそれぞれ溶出した。溶出液には1Mのトリスを加えて中和した後、精製抗体として使用した。
【0123】
【実施例44】
ウサギポリクローナル抗19P2−L31抗体による19P2−L31の生物活性の中和作用
実施例43の方法で調製した3種類のIgG抗体の19P2−L31に対する中和活性を実施例11記載のアラキドン酸代謝物放出活性測定系により検討した。すなわち、IgG抗体を各濃度に希釈し、19P2−L31(5x10-10M)と室温で1時間インキュベーション後、残存活性を19P2レセプター発現CHO細胞を使用して測定した〔図51〕。ペプチド−IIに対するポリクローナル抗体に最も強い19P2−L31に対する中和活性が認められた。
【0124】
【製剤例1】
日局注射用蒸留水50mlに実施例21で得られた化合物50mgを溶解した後、日局注射用蒸留水を加えて100mlとする。この溶液を滅菌条件下で瀘過し、次にこの溶液1mlずつを取り滅菌条件下注射用バイアルに充填し凍結乾燥し密閉する。
【製剤例2】
日局注射用蒸留水50mlに実施例21で得られた化合物100mgを溶解した後、日局注射用蒸留水を加えて100mlとする。この溶液を滅菌条件下で瀘過し、次にこの溶液1mlずつを取り滅菌条件下注射用バイアルに充填し凍結乾燥し密閉する。
【0125】
【発明の効果】
本発明の生理活性物質であるリガンドポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩、該部分ペプチドまたは該リガンドポリペプチドをコードするDNAは、下垂体、中枢神経系あるいは膵臓をはじめ様々な組織・臓器(心臓、肺、肝臓、脾臓、胸腺、腎臓、副腎、骨格筋、精巣など)の機能調節作用を有し、医薬として有用である。また、該リガンドポリペプチドは、G蛋白質共役型レセプター蛋白質のアゴニストまたはアンタゴニスト化合物のスクリーニングに有用である。該スクリーニングにより得られる化合物もまた上記した組織・臓器の機能調節作用を有し、医薬として有用である。
本発明のリガンドポリペプチド、該アゴニストまたはアンタゴニストの作用について以下に詳細に説明する。
上記の実施例37〜41は、リガンドポリペプチドの局所投与により、自発運動量、立ち上がり行動量の増加、体温の上昇、血圧上昇、血漿中成長ホルモン量の低下などを引き起こすことを証明したものである。これらの生理活性は、リガンドポリペプチドが中枢神経系および下垂体内分泌系に作用した場合に生じる種々の顕著な生理学的変化を最初に証明したものである。
このように、本発明のリガンドポリペプチドまたはその塩は、ヒトあるいは温血動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ニワトリ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の中枢神経系に作用し、種々の薬理学的変化を惹起するので、脳内神経系あるいは内分泌系を変化させるものである。
19P2−L31をマウスに側脳室内投与したところ、0.01〜10nmolで行動量が増加した。この事実は、リガンドポリペプチドが中枢神経系のG蛋白質共役型レセプターを介して運動系の変化を引き起こさせたものである。また、本ペプチドのマウス側脳室内投与では体温上昇が認められ、ラットの延髄最後野に投与した場合には血圧が上昇した。これらの作用は既知の中枢神経系刺激剤(例えば、アンフェタミン、コカイン、メチルフェニデートなど)の薬理作用と類似している。したがって、リガンドポリペプチドは、主として生体アミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン)を神経終末の貯蔵部位から放出させるものであることがわかる(融道男と吉川武男 生体の科学 42:535-536;1991)。
さらに、ラットの第三脳室に19P2−L31を注入したところ、血漿中の成長ホルモン量が減少した。このことは、本リガンドポリペプチドが視床下部に作用し、視床下部−下垂体系を介した下垂体ホルモン分泌に関与していることを示すものである。第三脳室近傍には下垂体からの成長ホルモン分泌を調節する作用を有する成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)やソマトスタチンが存在する(遠山正弥ら 化学的神経機能解剖学:167-216;1987)。したがって、19P2−L31は神経系を介してあるいは直接下垂体に作用して、これらの物質の放出を調節しているものである。
上記の事実は、リガンドポリペプチドが中枢神経系に作用して自律神経系を調節しているペプチドであることを示すものである。本リガンドポリペプチドおよびその受容体のmRNAが視床下部や延髄に高発現しているという事実も、リガンドポリペプチドが自律神経系の調節に関与していることを示す。事実、自律神経末梢路に対する上位中枢は延髄と視床下部であり、ここで交感神経系と副交感神経系の統合が行われ、神経性調節、体液性調節の両方に重要な役割を果たしていることが知られている。
これらの知見に基づけば、リガンドポリペプチド、該アゴニストまたはそれらの塩は、自発運動亢進を生ずる中枢神経系刺激剤として有用であり、例えば老人性痴呆、脳血管性痴呆(脳血管障害に起因する痴呆)、系統変性型の退行変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ピック病、ハンチントン病など)に起因する痴呆、感染性疾患(例えば、クロイツフェルト−ヤコブ病などの遅発ウィルス感染症)に起因する痴呆、内分泌性・代謝性・中毒性疾患(例えば、甲状腺機能低下症、ビタミンB12欠乏症、アルコール中毒、各種薬剤・金属・有機化合物による中毒など)に起因する痴呆、腫瘍性疾患(例えば、脳腫瘍など)に起因する痴呆、外傷性疾患(例えば、慢性硬膜下血腫など)に起因する痴呆、鬱病、多動児(微細脳障害)症候群もしくは意識障害の予防・治療剤などとして用いることができる。一方、リガンドポリペプチドのアンタゴニストあるいはその塩は、中枢神経系抑制剤などとして有用であり、例えば抗精神病剤、抗ハンチントン病剤、抗不安剤、催眠鎮静剤などとして用いることができる。
延髄最後野にリガンドポリペプチドを注入すると血圧が上昇することが明らかになった。したがって、リガンドポリペプチド、リガンドポリペプチドのアゴニストまたはそれらの塩は、昇圧剤などとして有用である。一方、リガンドポリペプチドのアンタゴニストあるいはその塩は、降圧剤などとして有用である。
リガンドポリペプチドが視床下部に作用すると血漿中の成長ホルモン量が低下することが観察された。成長ホルモンの過剰な分泌は巨人症や末端肥大症を引き起こす(片桝ら 内分泌症候群:78-80;1993、廣井ら 内分泌症候群:149-151;1993)。したがって、成長ホルモンの分泌を抑制するリガンドポリペプチド、リガンドポリペプチドのアゴニストまたはそれらの塩は、巨人症、末端肥大症などの予防・治療剤などとして用いることができる。また、成長ホルモンは肝臓からのグルコースの放出を促進し、筋肉や脂肪組織による血中からのグルコースの取り込みを抑制する結果、高血糖や糖尿を引き起こす(小林英司 内分泌現象、1980)。実際、糖尿病患者では成長ホルモン分泌量が増加しているといわれている(清野裕 内分泌・代謝病学:385-402;1994)。したがって、リガンドポリペプチド、リガンドポリペプチドのアゴニストまたはそれらの塩は、糖尿病などの予防・治療剤などとして用いることができる。
一方、上記実施例で得られた結果から、リガンドポリペプチドのアンタゴニストは成長ホルモンの分泌を促進する。したがって、リガンドポリペプチドのアンタゴニストまたはその塩は、成長ホルモンが減少する下垂体機能低下症や下垂体性小人症、低血糖症などの予防・治療剤などとして用いることができる。また、成長ホルモンや成長ホルモンによって分泌されるインスリン様成長因子は筋委縮性側索硬化症、骨粗鬆症、腎不全、手術後の栄養状態改善などに効果がある(鎮目ら 内分泌症候群:84-87;1993、日経バイオ年鑑96:453-454;1996、飛梅らホルモンと臨床 44:1205-1214;1996)ので、リガンドポリペプチドのアンタゴニストまたはその塩はこれら疾患の予防・治療剤として用いることができる。
【0126】
【配列表】
【配列番号:1】
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【0127】
【配列番号:2】
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【0128】
【配列番号:3】
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【0129】
【配列番号:4】
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【0130】
【配列番号:5】
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【0131】
【配列番号:6】
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【0132】
【配列番号:7】
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【0133】
【配列番号:8】
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【0134】
【配列番号:9】
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【0135】
【配列番号:10】
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【0136】
【配列番号:11】
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【配列番号:12】
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【0139】
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【0216】
【配列番号:91】
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【0217】
【配列番号:92】
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【0218】
【配列番号:93】
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【0219】
【配列番号:94】
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【0220】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト下垂体由来cDNAを用いてPCR法によって単離したcDNAクローンp19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列およびそれにコードされるアミノ酸配列を示す。配列決定に用いたプライマーは−21M13である。下線で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
【図2】ヒト下垂体由来cDNAを用いてPCR法によって単離したcDNAクローンp19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列およびそれにコードされるアミノ酸配列を示す。配列決定に用いたプライマーはM13RV-N(タカラ)である。下線で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
【図3】図1に示したアミノ酸配列をもとに作成した、p19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片にコードされる蛋白質の部分疎水性プロットを示す。
【図4】図2に示したアミノ酸配列をもとに作成した、p19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片にコードされる蛋白質の部分疎水性プロットを示す。
【図5】図1および図2に示したp19P2に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片にコードされる蛋白質の部分アミノ酸配列を、公知のG蛋白質共役型レセプター蛋白質であるS12863と比較した図を示す。黒く塗った部分は一致している部分を示す。p19P2の第1番目〜第99番目のアミノ酸配列は図1の第1番目〜第99番目のアミノ酸配列に対応し、第156番目〜第230番目のアミノ酸配列は図2の第1番目〜第68番目のアミノ酸配列に対応する。
【図6】MIN6由来cDNAを用いてPCR法によって単離したcDNAクローンpG3−2およびpG1−10にそれぞれ含まれるMIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列に基づいて導き出したMIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列およびそれにコードされるアミノ酸配列を示す。下線で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
【図7】図6に示したMIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列(pG3−2/pG1−10)を、図1および図2に示したp19P2にコードされる蛋白質の部分アミノ酸配列と比較した図を示す。黒塗りの部分は配列が一致している部分を示す。p19P2の第1番目〜第99番目のアミノ酸配列は図1の第1番目〜第99番目のアミノ酸配列に対応し、第156番目〜第223番目のアミノ酸配列は図2の第1番目〜第68番目のアミノ酸配列に対応する。pG3−2/pG1−10の第1番目〜第223番目のアミノ酸配列は図6の第1番目〜第223番目のアミノ酸配列に対応する。
【図8】図6に示した部分アミノ酸配列をもとに作成した、MIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分疎水性プロットを示す。
【図9】p19P2に挿入されているDNA断片をプローブとして用いて、ヒト下垂体由来cDNAライブラリーよりプラークハイブリダイゼーション法によって単離したcDNAクローンphGR3に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNAの全塩基配列およびそれにコードされるアミノ酸配列を示す。
【図10】ヒト下垂体由来のcDNAクローンphGR3がコードするレセプター遺伝子のヒト下垂体mRNAに対するノーザンブロットの結果を示す。
【図11】図9に示したアミノ酸配列をもとに作成した、phGR3に含まれるヒト下垂体由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNAにコードされる蛋白質の疎水性プロットを示す。
【図12】MIN6由来cDNAを用いてPCR法によって単離したcDNAクローンp5S38に含まれるMIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片の塩基配列およびそれにコードされるアミノ酸配列を示す。下線で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
【図13】図12に示したMIN6由来のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列(p5S38)を、図1および図2に示したp19P2に含まれるcDNA断片にコードされるG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列、および図6に示したpG3−2ならびにpG1−10にそれぞれ含まれるcDNA断片の塩基配列から導きだした塩基配列にコードされるG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分アミノ酸配列と比較した図を示す。黒塗りの部分は配列が一致している部分を示す。p5S38の第1番目〜第144番目のアミノ酸配列は図12の第1番目〜第144番目のアミノ酸配列に対応する。p19P2の第1番目〜第99番目のアミノ酸配列は図1の第1番目〜第99番目のアミノ酸配列に対応し、第156番目〜第223番目のアミノ酸配列は図2の第1番目〜第68番目のアミノ酸配列に対応する。pG3−2/pG1−10の第1番目〜第223番目のアミノ酸配列は図6の第1番目〜第223番目のアミノ酸配列に対応する。
【図14】図12に示した部分アミノ酸配列をもとに作成した、p5S38に含まれるMIN6由来G蛋白質共役型レセプター蛋白質cDNA断片にコードされる蛋白質の部分疎水性プロットを示す。
【図15】pAKKO-19P2を導入したCHO細胞でmRNAが発現していることを確認するためにRT-PCRを行った。レーン1から7は比較のためにpAKKO-19P2を段階的に希釈してPCRを行ったもので、10μg/μlのプラスミドをそれぞれ原液(レーン1)、1/2希釈(レーン2)、1/4希釈(レーン3)、1/64希釈(レーン4)、1/256希釈(レーン5)、1/1024希釈(レーン6)、1/4096希釈(レーン7)した鋳型を使ってPCRを行ったものについて1.2%アガロースゲル電気泳動により解析した結果である。レーン8から11はCHO-19P2細胞株から調製したcDNAをそれぞれ1/10希釈(レーン8)、1/100希釈(レーン9)、1/1000希釈(レーン10)したものを鋳型としてPCRを行ったものを電気泳動した。レーン11はcDNA の合成をreverse transcriptaseなしで行ったものを鋳型としてPCRを行ったものを電気泳動した。レーン12および13はそれぞれmock CHO細胞からreverse transcriptase添加および無添加で調製したcDNAを鋳型としてPCRを行ったものを電気泳動した。MはDNAのサイズマーカーであり両端のレーンはλ/Sty I digest(ニッポンジーン)を右から2番目はφχ174/Hinc II digest(ニッポンジーン)をそれぞれ1μgを電気泳動した。矢印は約400bpのPCRにより増幅されたバンドの位置を示している。
【図16】ラット全脳から抽出した粗リガンドペプチド画分についてCHO-19P2細胞株からのアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を測定した。アラキドン酸代謝物の遊離促進活性は0.05%BSAを含むHBSSを加えた時に遊離された[3H]アラキドン酸代謝物の量を100%として、リガンドペプチド粗画分を加えた時に放出されるアラキドン酸代謝物の量を%として表した。30% CH3CN の画分にCHO-19P2細胞株からアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が認められた。
【図17】ウシ視床下部から抽出した粗リガンドペプチド画分についてCHO-19P2細胞株からのアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を測定した。アラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性は0.05%BSAを含むHBSSを加えた時に遊離された[3H]アラキドン酸代謝物の量を100%として、リガンドペプチド粗画分を加えた時に放出されるアラキドン酸代謝物の量を%として表した。ラット全脳から抽出した粗リガンドペプチド画分と同様に30% CH3CN の画分にCHO-19P2細胞株からアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性が認められた。
【図18】逆相カラム C18 218TP5415 で精製した画分についてCHO-19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を測定した。RESOURCE S の活性画分を C18 218TP5415 で分離した。流速 1ml/min、20%-30% CH3CN/0.1%TFA/H2O の濃度勾配でクロマトグラフィーを行い、溶出液を1ml ずつ分取し、凍結乾燥後、各フラクションに含まれるCHO-19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物遊離促進活性を測定した。その結果、活性は、3つ(溶出順にそれぞれP-1、P-2、P-3と呼ぶ)に分離した。
【図19】逆相カラム diphenyl 219TP5415 で精製した画分についてCHO-19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を測定した。C18 218TP5415 のP-3活性画分を diphenyl 219TP5415 で分離した。流速 1ml/min、22%-25% CH3CN/0.1%TFA/H2O の濃度勾配でクロマトグラフィーを行い、溶出液を1ml ずつ分取し、凍結乾燥後、各フラクションに含まれるCHO-19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物遊離促進活性を測定した。その結果、活性は1つのピークに収束した。
【図20】逆相カラム μRPC C2/C18 SC 2.1/10 で精製した画分についてCHO-19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を測定した。diphenyl 219TP5415 で活性と一致したピークの画分を μRPC C2/C18 SC 2.1/10 で分離した。流速 100μl/min、22%-23.5% CH3CN/0.1%TFA/H2O の濃度勾配でクロマトグラフィーを行い、溶出液を100μl ずつ分取し、凍結乾燥後、各フラクションに含まれるCHO-19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物遊離促進活性を測定した。その結果、活性は単一の物質(ペプチド)と思われる二つのピークに一致した。
【図21】逆相カラムμRPC C2/C18 SC 2.1/10で精製したP-2画分についてCHO-19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を測定した。流速100μl/min、21.5%−23.0% CH3CN/0.1% TFA/蒸留水の濃度勾配でクロマトグラフィーを行い、溶出液を100μlずつ分取し、凍結乾燥後、各フラクションに含まれるCHO-19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を測定した。その結果、活性は、単一のペプチドと思われるペプチドのピークに一致した。
【図22】ウシ視床下部由来cDNAを用いてPCR法によって単離したcDNAクローンに含まれるウシ視床下部由来のCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進するリガンドポリペプチドcDNA断片の塩基配列に基づいて導き出した該ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドcDNA断片の塩基配列およびそれにコードされるアミノ酸配列を示す。矢印で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
【図23】ウシ視床下部由来cDNAを用いてPCR法によって単離したcDNAクローンに含まれるウシ視床下部由来のCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進するリガンドポリペプチドcDNA断片の塩基配列に基づいて導き出した該ウシ視床下部由来リガンドポリペプチドcDNA断片の塩基配列およびそれにコードされるアミノ酸配列を示す。矢印で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
【図24】ウシ視床下部由来のCHO−19P2細胞株から特異的にアラキドン酸代謝物の遊離を促進するリガンドポリペプチドのアミノ酸配列(a),(b)および配列番号:1、配列番号44に示したリガンドポリペプチドの全コード領域をコードするcDNA配列である。
【図25】合成リガンドポリペプチド(19P2−L31)についてCHO−19P2細胞株からの特異的なアラキドン酸代謝物遊離活性を濃度依存的に測定した。合成ペプチドは、脱気処理した蒸留水に10-3Mの濃度で溶解し、0.05%BSAを含むHBSSで10-12M〜10-6Mの濃度に希釈した。アラキドン酸代謝物遊離活性は、希釈液を細胞に添加した時に上清に遊離される[3H]アラキドン酸代謝物の実測放射線量で表した。その結果、19P2−L31によるCHO−19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物遊離活性が濃度依存的に認められた。
【図26】合成リガンドポリペプチド(19P2−L31(O))についてCHO−19P2細胞株からの特異的なアラキドン酸代謝物遊離活性を濃度依存的に測定した。合成リガンドポリペプチドは、脱気処理した蒸留水に10-3Mの濃度で溶解し、0.05%BSAを含むHBSSで10-12M〜10-6Mの濃度に希釈した。アラキドン酸代謝物遊離活性は、希釈液を細胞に添加した時に上清に遊離される[3H]アラキドン酸代謝物の実測放射線量で表した。その結果、19P2−L31(O)によるCHO−19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物遊離活性が濃度依存的に認められた。
【図27】合成リガンドポリペプチド19P2−L20についてCHO−19P2細胞株からの特異的なアラキドン酸代謝物遊離活性を濃度依存的に測定した。合成ペプチドは、脱気処理した蒸留水に10-3Mの濃度で溶解し、0.05%BSAを含むHBSSで10-12M〜10-6Mの濃度に希釈した。アラキドン酸代謝物遊離活性は、希釈液を細胞に添加した時に上清に遊離される[3H]アラキドン酸代謝物の実測放射線量で表した。その結果、19P2−L20によるCHO−19P2細胞株に特異的なアラキドン酸代謝物遊離活性が濃度依存的に認められた。
【図28】ウシゲノムライブラリーよりクローン化したファージのDNAを制限酵素BamHI(B)およびSalI(S)で切断し、1.2%アガロースゲル電気泳動を行ったパターンを示す。DNAのサイズマーカー(M)にはλファージDNAのStyI消化物を用いた。Bのレーンではマーカーの1番目(19,329bp)と2番目(7,743bp)のバンドの間に相当する位置にベクター由来の2本のバンドが検出され、その他に3番目(6,223bp)から5番目(3,472bp)の間に挿入断片由来の3本のバンドが検出された。Sのレーンでは同じくベクター由来の2本のバンドが検出されているが、挿入断片由来のバンドが重なっているために上側のバンドがBのレーンに比べて太くなっている。
【図29】ウシゲノムDNAから解読したコード領域付近の塩基配列を示す。1〜3番目の塩基(ATG)が翻訳開始コドンに相当し、767〜769番目の塩基(TAA)が翻訳終止コドンに相当する。
【図30】ウシゲノムDNAから解読したコード領域付近の塩基配列(genome)をPCR法によってクローニングしたウシcDNAの塩基配列(cDNA)と比較した結果を示す。配列の一致している部分は網掛けで示した。101番目〜572番目の部分はcDNAの塩基配列には相当する部分が無く、イントロンであることが判明した。
【図31】ウシゲノムDNAから解読したコード領域付近の塩基配列からイントロン部分を除き、コードされるアミノ酸配列に翻訳した結果を示す。
【図32】ラット型リガンドポリペプチドの全長アミノ酸配列および全コード領域をコードするcDNA配列である。
【図33】ウシ型リガンドポリペプチドのアミノ酸配列およびウシ型ポリペプチド、ラット型ポリペプチドをコードするDNAの塩基配列を示す。矢印で示した部分は合成プライマーに相当する部分である。
【図34】ヒト型リガンドポリペプチドの全長アミノ酸配列および全コード領域をコードするcDNA配列である。
【図35】ウシ型リガンドポリペプチド、ラット型リガンドポリペプチドおよびヒト型リガンドポリペプチドの翻訳領域についてアミノ酸配列を比較したものである。
【図36】生細胞におけるヨードラベル化リガンドポリペプチドを用いたレセプター結合実験の結果を示す。
【図37】CHO−19P2−9およびCHO−UHR1におけるリガンドポリペプチドによるアラキドン酸代謝物遊離活性の測定結果を示す。
【図38】ラット組織におけるUHR−1のRT−PCRによる定量結果を示す。定量値は3回のPCRの平均値S.E.M.で表した。
【図39】ラット組織におけるリガンドポリペプチドのRT−PCRによる発現定量結果を示す。定量値は3回のPCRの平均値S.E.M.で表した。
【図40】リガンドポリペプチドのグルコースによる血漿インスリン濃度の増加をラジオイムノアッセイで測定した結果を示す。
【図41】リガンドポリペプチド10nmolをマウスに投与したときの行動量の測定結果を示す。図(a)は自発運動量、図(b)は立ち上がり行動量の測定結果を示す。
【図42】リガンドポリペプチド1nmolをマウスに投与したときの行動量の測定結果を示す。図(a)は自発運動量、図(b)は立ち上がり行動量の測定結果を示す。
【図43】リガンドポリペプチド0.1nmolをマウスに投与したときの行動量の測定結果を示す。図(a)は自発運動量、図(b)は立ち上がり行動量の測定結果を示す。
【図44】リガンドポリペプチド0.01nmolをマウスに投与したときの行動量の測定結果を示す。図(a)は自発運動量、図(b)は立ち上がり行動量の測定結果を示す。
【図45】3mg/kgのレセルピンを皮下投与した15時間後のマウスにリガンドポリペプチドを脳室内投与したときの体温変化を測定した結果を示す。図中、一つの星印は危険率:p<0.05、二つの星印はp<0.01を示す。
【図46】延髄最後野(area postrema: AP)に角度20度でマイクロインジェクションカニューレを刺した場合の模式図を示す。
【図47】リガンドポリペプチドを延髄最後野に注入したときの脈波および平均血圧の典型例を示す。ラットの延髄最後野にリガンドポリペプチドを10nmol(流速1μl/min)注入し、無麻酔下で測定したものである。
【図48】ペントバルビタール麻酔下ラットの第三脳室に50nmolのリガンドポリペプチドを投与したときの血漿中のGH量を測定した結果を示す。
【図49】第三脳室へのリガンドポリペプチドの投与による血漿中成長ホルモン量の変化を示す。
自由行動下のラットに5μg/kgのGHRHを静脈下投与し、10分後に第三脳室へリガンドポリペプチドまたはPBSを投与した。ペプチドを投与した時間を0分とした。図中、一つの星印は危険率:p<0.05、二つの星印はp<0.01を示す。
【図50】リガンドポリペプチド抗血清と吸光度の関係を示す。
【図51】抗リガンドポリペプチドポリクローナル抗体によるアラキドン酸代謝物放出活性の測定結果を示す。
【図52】発現ベクターpAKKO−UHR−1上で構築されたラットUHR−1の完全なコード領域の塩基配列と、それにコードされるアミノ酸配列を示す。

Claims (16)

  1. 以下の(1)〜(3)からなる群から選択されるポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩:
    (1)配列番号:5または配列番号:8で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
    (2)配列番号:5で表されるアミノ酸配列中の1〜3個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:21で表されるアミノ酸配列からなる受容体蛋白質またはその塩に結合することができるポリペプチド;および
    3)配列番号:8で表されるアミノ酸配列中の1個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:21で表されるアミノ酸配列からなる受容体蛋白質またはその塩に結合することができるポリペプチド。
  2. 以下の(1)〜(3)からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項記載のポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩:
    (1)配列番号:5または配列番号:8で表されるアミノ酸配列
    (2)配列番号:61で表されるアミノ酸配列;および
    3)配列番号:64で表されるアミノ酸配列。
  3. 配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質またはその塩に結合することにより細胞からのアラキドン酸代謝物の遊離を促進する活性を有する請求項1または2に記載のポリペプチド。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドをコードする塩基配列からなるDNAを含有するDNA。
  5. 列番号:13、配列番号:16、配列番号:67または配列番号:70で表される塩基配列からなる請求項記載のDNA。
  6. 請求項記載のDNAを含有する組換えベクター。
  7. 請求項記載のDNAまたは請求項記載の組換えベクターを保持する形質転換体。
  8. 請求項記載の形質転換体を培養することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドの製造法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドまたはそのアミド、エステルもしくはその塩を含有してなる医薬。
  10. 下垂体機能調節剤である請求項記載の医薬。
  11. 中枢神経機能調節剤である請求項記載の医薬。
  12. 膵臓機能調節剤である請求項記載の医薬。
  13. 請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドに対する抗体。
  14. (i)配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質またはその塩に、請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドを接触させた場合と(ii)配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質またはその塩に、請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチド、および試験化合物を接触させた場合との比較を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドと、配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法。
  15. 請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドを含有する、請求項1〜のいずれかに記載のポリペプチドと、配列番号:21で表されるアミノ酸配列からなる受容体蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物のスクリーニング用キット。
  16. さらに配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する受容体蛋白質またはその塩を含有する、請求項15記載のキット。
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