JP4267335B2 - エレベータの制動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトラクション方式のエレベータの制動制御装置に関わり、特に非常制動時の制動中における制動力の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のエレベータの制動制御装置として、エレベータで走行中の非常停止を巻上機に取り付けた電磁ブレーキにより行う非常停止装置であり、非常停止または停電の直後、かごが高速で走行している間は、制動のための電磁制動力を弱く、低速になって初めて全制動力を出すように制御する電磁ブレーキの制御回路を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、別の従来のこの種のエレベータの制動制御装置として、制動力制御手段は乗りかごの非常制動中の速度が所定値以上あるいは減速度が所定値未満の場合、制動初期に全制動力を与え、所定の値に達したとき全制動力より弱い制動力を与えるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
これらはいずれも、非常停止の際に急激な減速を与えると、駆動綱車とロープ間にロープ滑りが生じて停止距離が異常に増加し、昇降路の下部に設けた緩衝器に高速で衝突する危険があるため、ブレーキ力を制御してロープ滑りができるだけ発生しないようにするためのものである。
【0005】
【特許文献1】
実開昭59−190769号公報
【特許文献2】
特開平7−242377号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
エレベータの制動装置のブレーキディスクとシュー間の摩擦係数は、ディスク面の状況(面粗さ、さびの有無など)や、また温度や湿度などにより大きく変化する。また、綱車に対するロープのロープスリップを決めるロープの見かけの摩擦係数についても、ロープの滑り速度に依存して変化する。さらに、ロープの使用年数や綱車の溝の磨耗度合いによっても変化する。そのため、ブレーキ制動力を変化させるタイミングを決めるのが難しく、タイミングを誤った場合は、所定通りのブレーキトルクが働かず、ロープスリップが発生する可能性がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解消するためになされたもので、ロープ速度であるかご速度と綱車速度である巻上機電動機速度を常時測定し、その差からロープスリップの有無を判定し、その結果に基づいてブレーキトルクを制御することにより、綱車とロープ間におけるロープスリップの発生を防止したエレベータの制動制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的に鑑み、本発明は、かごに結合されたロープが掛けられ電動機により駆動され上記かごを昇降させる綱車に制動力を付勢しまたその制動力を開放する制動装置と、綱車速度を検出する綱車速度検出部と、かご速度を検出するかご速度検出部と、非常制動時に、検出された綱車速度とかご速度の差として求まるロープスリップ速度が所定値以下の場合は全制動力を与え、ロープスリップ速度が所定値を越えた場合に全制動力よりも弱い制動力を与えるように上記制動装置を制御する制動力制御ユニットと、を備え、上記ロープスリップ速度とロープ−綱車間の摩擦係数との関係においてロープスリップ速度の低速度領域にあるロープ−綱車間の摩擦係数のピークの低速側と高速側の所定値をそれぞれ第1および第2所定値とし、上記制動力制御ユニットが、ロープスリップ速度上昇時、ロープスリップ速度が摩擦係数がピークのロープスリップ速度を超えた後に第2所定値を越えた場合に全制動力よりも弱い制動力を与え、ロープスリップ速度下降時、ロープスリップ速度が摩擦係数がピークのロープスリップ速度より下がり上記第1所定値未満になった場合に全制動力に切り替えることを特徴とするエレベータの制動制御装置にある。
【0009】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
まず、図1のトラクション方式のエレベータの概念図を用いて、その駆動原理を説明する。トラクション方式のエレベータは、かご1とこれとつり合いをとるためのおもり2がロープ3で連結されて、つるべ方式に駆動綱車4、さらにはそらせ車5に掛けられて構成される。ロープスリップが生じない限界を与える基本式は、
【0010】
T1/T2=eμθ (1)
【0011】
ここに、T1=mcg :かご側静的張力
T2=mwg :おもり側静的張力
mc:かご質量(かご自重+積載量)
mw:おもり質量
g:重力加速度
μ:ロープと綱車の間の見かけの摩擦係数
θ:巻付け角
e:自然対数の底
で、与えられる。
【0012】
ただし、μの値は綱車におけるロープ溝の形状によって大きく変わるため、一般に次式で表される。
【0013】
μ=kμ’ (2)
【0014】
ここに、k:綱車のロープ溝の形状による係数
μ’:ロープと綱車の材質によって決まる真の摩擦係数
【0015】
次に、張力T1、T2は、かご速度が変化している場合は、加速度(減速度)による慣性力も考慮して、次のように表すことができる。
【0016】
ここに、α:かご加速度(または減速度)
【0017】
トラクション方式のエレベータでは、ロープスリップが生じないように、式(1)の右辺によって決まるトラクション能力を越えないようにかご自重やロープ、おもり質量を設計することにより、テンション比T1/T2を設定する。スリップが発生した場合のかご(ロープ)速度と綱車速度の関係およびその際の制動力を図2に示す。図2において、(a)はcで示すかご速度とsで示す綱車速度との関係を、(b)に対応する制動力を示す。なお、綱車速度sとかご速度cはいずれもロープ3と綱車4が接触する位置での線速度で表す(以下同様)。
【0018】
図2において、かごを停止させるために全制動力を作用させた場合、式(1)によって決まるトラクション能力が不足した場合、図2の(a)のようなロープスリップ(滑り)が発生する。この図において、かご速度cと綱車速度sの差がロープスリップ速度であり、ロープスリップ速度は綱車が停止したとき(sが0になった時)が最大となることがわかる。また、かご速度と綱車速度と時間軸で囲まれる三角形(斜線部)の面積がかごが滑ったことによって増加した停止距離に相当する。このように、ロープがスリップすると、かご停止距離が増大して所定の制動距離で停止することができず、昇降路底部に設けた緩衝器に所定の速度以上で衝突し、かごの損傷や乗客に危害を及ぼす可能性がある。したがって、最悪の場合でもロープスリップが生じないように、ロープのトラクション能力及びテンション比を設計する必要がある。
【0019】
しかしながら、トラクション能力を上げることは巻き上げ機電動機の価格低減や保守費用の低減の妨げとなる。また、式(3)で表される動的なテンション比を下げるためには停止時の減速度を小さく設定しなければならず、その結果停止距離を長くする必要があり、ピットが深くなるなど、省スペース化の妨げとなる。上述の特許文献1、2はいずれも上記のような問題に対し、ロープスリップが生じないようにできるだけ短距離でかごを停止させるための解決策を提案している。
【0020】
ブレーキドラムとライニング間の滑り(スリップ)速度VBと摩擦係数μBの間には図3で表されるような関係がある。これは、ブレーキに限ったものではなく、摩擦特性に関する一般的な性質である。また、ブレーキによって発生する制動トルクと摩擦係数の間には、
【0021】
TB=μB・PB・DB (4)
【0022】
ここに、TB:ブレーキ装置の制動トルク
μB:ブレーキドラムとライニング材間の摩擦係数
PB:ブレーキドラムの押圧力
DB:ブレーキドラムの直径
【0023】
で表される関係がある。すなわち、摩擦係数が高いほど制動トルクが大きくなる。
【0024】
このことから、エレベータが高速で走行しているときに非常ブレーキをかけた場合、ブレーキドラムとブレーキシューの間の滑り速度が大きいためその間の摩擦係数が小さく、制動トルクも小さい。そのため、式(3)のかごに作用する減速度αが小さいため、テンション比がそれほど大きくならず、ロープは滑りにくい。しかしながら、かご速度が小さいと、ブレーキドラムとシュー間の摩擦係数が大きくなり、ブレーキトルクが大きくなる。その結果かごに作用する減速度αが大きくなりテンション比がロープトラクション能力を越える場合が発生し、ロープスリップ滑りが発生する。
【0025】
これを解決するために従来、例えば非常ブレーキをかけた初期の段階で、かごの非常制動中の速度が所定値以上あるいは減速度が所定値未満の場合、全制動力を与え、非常ブレーキの中期以降、かご速度が所定値以下あるいは減速度が所定値以上に達したとき全制動力より弱い制動力を与えるように、ブレーキ制動力を制御しているが、上記発明が解決しようとする課題で説明したような課題があった。
【0026】
ロープスリップ中の摩擦力すなわち摩擦係数とロープスリップ速度との間には、より詳細に示せば図4の関係がある。この図4から分かるように、ロープと綱車の間の摩擦係数は、スリップ速度の低速度領域で最大(ピーク)となり、その後スリップ速度が上がるにつれて小さくなる。本発明によるエレベータの制動制御装置においては、ロープスリップ速度を、かご速度(ロープ速度)と綱車速度(電動機速度)との差を計算することにより測定する。このスリップ速度が図4のほぼA点(ロープ−綱車間の摩擦係数ピークの低速側の点)からB点(同高速側の点)の間にくるようにブレーキ力を制御することにより、スリップ速度が増加して摩擦係数が低下してロープスリップが発生しないようにする。
【0027】
具体的には、ロープスリップ速度がB点を越えないときは、全制動力を与えてロープを制動し、B点以上になった場合は、制動力を弱めることにより、綱車の減速度を小さくし、摩擦係数が下がってスリップ速度がさらに増加することを防止する。これを模式的に示したのが図5であり、(a)が非常制動時の時間経過に従ったロープ速度と綱車速度とロープスリップ速度の変化(A、Bは図4のA点、B点に相当)、(b)に(a)の時間経過に対応した制動力を示す。対応制動力を全制動力と弱め制動力を交互に切り替えることにより、ロープスリップ速度が大きくなることを防止し、その結果、かごを短距離で停止することができる。
【0028】
図6は本発明の一実施の形態によるエレベータの制動制御装置の構成を示す図である。かご1、おもり2、ロープ3、駆動綱車4、そらせ車5は図1に示した構成と同等である。制動装置6は制動力付勢部6aで綱車4と同軸に結合されて回転するブレーキドラム6cにブレーキシュー6dを押圧して制動力を与え、また制動力開放部6bでこの押圧力を開放し制動力を制御さらには開放する。制動装置6は実際には例えば図7に示すように、ブレーキシュー6dを制動力付勢部6aであるブレーキバネの力でブレーキドラム6cに両側から押し当てて制動を与え、また駆動制動力開放部6bにより両側のブレーキシュー6dの上部の自由端を外側に開いて押圧力を開放し制動力を制御さらには開放する。制動力開放部6bは励磁コイルで駆動される両側のブレーキシュー6dの上部の自由端を開閉する電磁駆動機構(共に特に図示せず)からなり、励磁コイルに流れる電流の制御により開放の度合いが制御される。
【0029】
綱車速度検出部7は綱車4と同軸に結合されてこれを回転駆動させる電動機7aとこの電動機に結合されて綱車速度を示す綱車速度信号SVSを発生するエンコーダ7b(実際には回転速度からロープと綱車が接触する位置での線速度への変換機能を含むもの)からなり、かご速度検出部8はかご1の速度や走行距離を求めるためのかご1の移動に従って回転する調速機8aとこれに結合されてかご速度を示すかご速度信号CVSを発生する調速機エンコーダ8b(実際には回転速度からロープと綱車が接触する位置での線速度への変換機能を含むもの)からなる。エレベータの制御装置10(ここでは主に制動についてのみ示す)では、制御指令(通常/非常)11に基づきスイッチ12が通常制御信号Nと非常制御信号Eを切替え、制動力制御ユニット13は通常時、非常時を切り替えて制動力開放部6bの制御を行う。
【0030】
制動力制御ユニット13による非常制動時の動作について説明すると、図6において、電動機7aに取り付けたエンコーダ7bを用いて綱車速度を示す綱車速度信号SVS得る。また、調速機8aの調速機エンコーダ8bを用いて、かご速度ひいてはロープ速度を示すかご速度信号CVSを得る。そして両信号を制御装置10に取り込み、制動力制御ユニット13ではこれらの信号の差からロープスリップ速度を求める。なお、ロープスリップ速度は、その他の方法で求めてもかまわない。そして通常時と非常時の制動力の付勢の仕方を制御する。
【0031】
停電や非常停止信号が発生し、制御指令11が非常制御信号Eとなっている時、まず制動装置6の制動力開放部6bの励磁コイルへの電流を止めて制動力付勢部6aをフル稼働させ全制動力で綱車4を停止させる。そして、上述のようにして得られたロープスリップ速度に基づき、ロープスリップ速度が所定の速度(例えば図4のB点)以下の場合は、引き続き全制動力で制動力を付勢する。すなわち制動力開放部6bは駆動させない。しかし、式(1)の右辺で与えられるトラクション能力よりも、式(3)に示す動的なテンション(張力)比が大きくなると、ロープスリップ速度が大きくなり、スリップ速度が所定の速度である図4のB点を超えた場合は、制動力制御ユニット13により制動力開放部6bを駆動させて制動力を弱める(制動力開放部6bの励磁コイルに電流を供給してする)。
【0032】
制動力を弱めることにより式(3)の滅速度が小さくなり、動的なトラクション比が小さくなると、再びトラクション能力が回復し、スリップ速度は低下する。そしてスリップ速度が再びB点以下になったときに再び制動力開放部6bの励磁コイルの電流を止めて全制動力で制動する。このように制動力を全制動力と弱め制動力を交互に切り替えることにより、ロープスリッブ速度を図4のB点付近に制御することができる。このように、ロープスリップ速度に基づいて制動力を切り替えるので、ブレーキドラム6cとブレーキシュー6b間の摩擦係数や、ロープ−綱車間の見かけの摩擦係数が、気温、湿度、表面状態、磨耗度合いが原因で経時的に変化しても、影響を受けずに、ロープスリップを防止することができる。
【0033】
制動力制御ユニット13をマイクロコンピュータで構成した場合の一例の機能ブロック図を図8に示す。制動力制御ユニット13は、検出された綱車速度信号SVSとかご速度信号CVSの差からロープスリップ速度を求めるロープスリップ速度演算部131と、非常制動時にロープスリップ速度に基づいて制動装置6を制御する制動力制御部133を備えることになる。
【0034】
制動力制御ユニット13をアナログ回路で構成した場合の構成の一例を図9に示す。制動力開放部6bの励磁コイル51の上側が非常制動時、下側が通常制動時の回路となる。通常電源装置70の電源ラインL3、L4間には、電動機主制御回路を動作させるリレーと連動して動作するリレーの接点52と、励磁コイル51とが直列に接続されており、この接点52はエレベータ走行時に閉成し、また停止時に開放される。励磁コイル51と並列に放電用抵抗53が接続されている。一方、無停電電源装置54の電源ラインL1、L2間には、非常停止励磁コイル付勢手段61が接続され、この非常停止励磁コイル付勢手段61は速度検出手段56を有し、この速度検出手段56は速度検出器57にロープスリップ速度に対応した電圧を検出し、この電圧の絶対値が所定値以下になると、つまり、ロープスリップ速度が所定の速度(例えば図4のB点の速度)以下になっていればリレー58を付勢し、一方、所定の速度を越えればリレー58を消勢するように構成されている。
【0035】
また電源ラインL1、L2間には、制動指令により動作し、通常時は開放状態になされると共に、非常時つまり走行中の非常停止時または停電時に閉成状態になされる接点60と、非常停止検知リレー59とが直列に接続されている。さらに電源ラインL1,L2間には、リレー58の接点58bと、励磁コイル51への電流を制限する抵抗等から成るコイル電流制限手段55と、上述した励磁コイル51と、この励磁コイル51の両側に設けた非常停止検知リレー59の接点59aとが直列に接続されている。
【0036】
通常状態において、非常時に閉じる接点60は開放されており、リレー59は未励磁でありその接点59aも開放されているため、励磁コイル51は無停電電源装置54から分離されている。今、かごが高速で運転中に非常停止または停電が発生した場合の非常制動を考えると、電動機主制御回路が開放されると同時に、これに連動して動作する接点52も開放し励磁コイル51への通電が断たれる。この時点でロープスリップ速度は所定の速度をまだ越えていないためリレー58が付勢されて接点58bは開放しており、無停電電源装置54の電源ラインL1、L2間からも励磁コイル51は分離されている。これにより制動力開放部6bは開放力を除去するため、制動力付勢部6aにより全制動力をブレーキドラム6cに加えるため、急速に綱車4は減速される。そしてロープスリップ速度が所定の速度を越えたると、リレー58は消勢されて接点58bは閉成され、また非常停止または停電によって接点60が閉じてリレー59を励磁して接点59aを閉じる。これにより無停電電源装置54の電源ラインL2、接点58b、コイル電流制限手段55、接点59a、励磁コイル51、接点59a、電源ラインL1の回路が形成されて、コイル電流制限手段55により制限された電流が励磁コイル51に流れることになる。これにより全制動力よりも弱い制動力を与える。
【0037】
実施の形態2.
なお、上記の実施の形態ではスリップ速度がB点を越えるか越えないかだけで切換えていたが、図4に示すように、摩擦係数の大きい範囲のすなわちピークの両側のスリップ速度A点とB点の二点を設定し、最初に全制動力をかけた後、B点を越えた時に制動力を弱め、次に制動力を弱めたことでスリップ速度が下がりB点を越えてA点以下になった時にもう一度全制動力に切換えるという制御を取るようにしてもよい。これによって、スリップ速度をさらに木目細かく、A点とB点の間に制御することができる。この場合の上記の判断制御は図8では制動力制御部133、図9では非常停止励磁コイル付勢手段61で行われる。
【0038】
実施の形態3.
さらに、例えばかご速度信号CVSよりかごの速度または減速度を監視し、制動力の切換間隔を制御することにより、非常制動時に上述のロープスリップ速度に基づく制御でありかつかご減速度が一定になることを優先させて制動装置を制御することで、かごの速度が所定の減速度で減速するように制御することが可能である。しかも、ブレーキ、ロープの摩擦係数の変化に関わらず、減速度をほぼ一定に調整することが可能である。これにより、ロープのスリップを軽減し、効率的かつ安全にかごを停止させることができる。この場合の上記の図8の制動力制御ユニットでは、検出されたかご速度からかご減速度を求めるかご減速度演算部135をさらに設けると共に、制動力制御部133は非常制動時にロープスリップ速度に基づく制御でありかつかご減速度が一定になるように制動装置を制御する制御部となり、図9では非常停止励磁コイル付勢手段61に上記と同等の機能を持たせる。
【0039】
実施の形態4.
さらに高速に付勢、消勢をおこなうために図10に示すように、制動装置がブレーキ励磁コイル51に流れる電流により制動力を可変する電磁ブレーキからなり、制動力制御ユニットが、非常制動時にブレーキ励磁コイルに上述の各制動力制御を行う電流を流すための信号を発生する電流制御装置1001と、この電流制御装置の出力信号をPWM変調するPWM回路1003と、無停電電源装置54を電源としてPWM回路の出力信号に従ってブレーキ励磁コイルを付勢するトランジスタ(TR)ドライバ回路1005とを備えるように構成してもよい。
【0040】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、かごに結合されたロープが掛けられ電動機により駆動され上記かごを昇降させる綱車に制動力を付勢しまたその制動力を開放する制動装置と、綱車速度を検出する綱車速度検出部と、かご速度を検出するかご速度検出部と、非常制動時に、検出された綱車速度とかご速度の差として求まるロープスリップ速度が所定値以下の場合は全制動力を与え、ロープスリップ速度が所定値を越えた場合に全制動力よりも弱い制動力を与えるように上記制動装置を制御する制動力制御ユニットと、を備えたエレベータの制動制御装置としたので、ロープ速度であるかご速度と綱車速度を常時測定し、その差からロープスリップの有無を判定し、その結果に基づいて制動力すなわちブレーキトルクを制御することにより、綱車とロープ間におけるロープスリップの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トラクション方式のエレベータの概念図である。
【図2】 スリップが発生した場合のかご速度と綱車速度の関係およびその際の制動力を示す図である。
【図3】 ブレーキドラムとライニング間の滑り速度と摩擦係数の間の関係を示す図である。
【図4】 ロープスリップ中の摩擦係数とロープスリップ速度との関係をより詳細に示した図である。
【図5】 本発明における非常制動時の時間経過に従ったロープ速度と綱車速度とロープスリップ速度の変化およびこれに対応した制動力を示す図である。
【図6】 本発明の一実施の形態によるエレベータの制動制御装置の構成を示す図である。
【図7】 本発明における制動装置の構成の一例を示す図である。
【図8】 本発明における制動力制御ユニットをマイクロコンピュータで構成した場合の一例の機能ブロック図である。
【図9】 本発明における制動力制御ユニットをアナログ回路で構成した場合の構成の一例を示す図である。
【図10】 本発明における制動力制御ユニットの別の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 かご、2 おもり、3 ロープ、4 駆動綱車、5 そらせ車、6 制動装置、6a 制動力付勢部、6b 制動力開放部、6c ブレーキドラム、6dブレーキシュー、7 綱車速度検出部、7a 電動機、7b エンコーダ、8かご速度検出部、8a 調速機、8b 調速機エンコーダ、10 エレベータの制御装置、11 制御指令(通常/非常)、12 スイッチ、13 制動力制御ユニット。
Claims (3)
- かごに結合されたロープが掛けられ電動機により駆動され上記かごを昇降させる綱車に制動力を付勢しまたその制動力を開放する制動装置と、
綱車速度を検出する綱車速度検出部と、
かご速度を検出するかご速度検出部と、
非常制動時に、検出された綱車速度とかご速度の差として求まるロープスリップ速度が所定値以下の場合は全制動力を与え、ロープスリップ速度が所定値を越えた場合に全制動力よりも弱い制動力を与えるように上記制動装置を制御する制動力制御ユニットと、
を備え、
上記ロープスリップ速度とロープ−綱車間の摩擦係数との関係においてロープスリップ速度の低速度領域にあるロープ−綱車間の摩擦係数のピークの低速側と高速側の所定値をそれぞれ第1および第2所定値とし、上記制動力制御ユニットが、ロープスリップ速度上昇時、ロープスリップ速度が摩擦係数がピークのロープスリップ速度を超えた後に第2所定値を越えた場合に全制動力よりも弱い制動力を与え、ロープスリップ速度下降時、ロープスリップ速度が摩擦係数がピークのロープスリップ速度より下がり上記第1所定値未満になった場合に全制動力に切り替えることを特徴とするエレベータの制動制御装置。 - 上記制動力制御ユニットが、検出された綱車速度とかご速度の差からロープスリップ速度を求めるロープスリップ速度演算部と、検出されたかご速度からかご減速度を求めるかご減速度演算部と、非常制動時に上記ロープスリップ速度に基づく制御でありかつ上記かご減速度が一定になるように上記制動装置を制御する制動力制御部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの制動制御装置。
- 上記制動装置がブレーキ励磁コイルに流れる電流により制動力を可変する電磁ブレーキからなり、上記制動力制御ユニットが、非常制動時に上記ブレーキ励磁コイルに上記制動力制御を行う電流を流すための信号を発生する電流制御装置と、この電流制御装置の出力信号をPWM変調するPWM回路と、無停電電源装置を電源として上記PWM回路の出力信号に従って上記ブレーキ励磁コイルを付勢するトランジスタドライバ回路と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの制動制御装置。
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