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JP4266306B2 - 粘着シート用下塗剤組成物及び粘着シート - Google Patents

粘着シート用下塗剤組成物及び粘着シート Download PDF

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JP4266306B2 JP2003008417A JP2003008417A JP4266306B2 JP 4266306 B2 JP4266306 B2 JP 4266306B2 JP 2003008417 A JP2003008417 A JP 2003008417A JP 2003008417 A JP2003008417 A JP 2003008417A JP 4266306 B2 JP4266306 B2 JP 4266306B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系粘着剤をポリエステル系基材に塗布して粘着シート又は粘着テープ(以下、本発明では、特に粘着テープ又は粘着フィルムと明記しない限り、粘着シート、粘着テープ及び粘着フィルムのいずれか一種又は全てを包含する用語として「粘着シート」を用いる。)を形成するために使用される下塗剤組成物と、それを用いて形成されている下塗剤層を有するポリエステル系基材とアクリル系粘着剤層とを有する粘着シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、粘着シートや粘着テープに使用される粘着剤としては、天然ゴム等を主成分としたゴム系粘着剤と共にアクリル系粘着剤が主流をなしており、各種用途、目的に応じて、ゴム系粘着剤及びアクリル系粘着剤から選ばれる様々な粘着剤が使い分けられている。
【0003】
一方、粘着剤層を支持する基材としては、粘着シートや粘着テープの用途に応じて種々のものが採用されているが、そのなかでも合成樹脂製の基材、特にポリエステル樹脂からなる基材は、力学的強度、耐薬品性、絶縁性等の性能が優れることに加え、比較的安価であり、性能とコストのバランスがとれていることから、古くから多用されている。
【0004】
しかしながら、ポリエステルからなる基材は、粘着剤との親和性が乏しいため、粘着剤の種類や配合処方によっては、例えば、粘着テープを巻き戻す際に次層のテープ背面側に粘着剤が移行したり、マスキング用テープや養生用テープなどに用いた場合、不要になって再剥離させる際に被着体に“糊残り”が生じて被着体を汚染したりする問題があった。
【0005】
そこで、これらの問題点を解決するために、基材に対する投錨効果を大きくするなどの接着性を高める試みがなされている。即ち、ポリエステル基材の粘着剤が塗布される面に、コロナ放電処理を施したり、ポリウレタンやポリイソシアネート等を成分として有する下塗剤層を設けたりする手段が採られてきたが、何れも十分な効果が得られていないのが現状である。
【0006】
また、基材の粘着剤が塗布される面に基材との親和性に優れる下塗剤と粘着剤との親和性に優れる下塗剤を二層設ける方法(特許文献1)等が行われてきたが、下塗剤塗布作業が2工程必要である等、汎用性に欠ける面があった。
【0007】
更に、従来の下塗剤には、塩化ビニル系樹脂(特許文献2参照)、塩化ビニリデン系樹脂(特許文献3参照)、クロロプレンゴム(特許文献4参照)、塩化ゴム(特許文献5参照)等を利用したハロゲン元素を含む下塗剤も汎用されてきたが、使用済みの粘着テープを焼却する際、ダイオキシン等の環境に有害な物質を排出する懸念が近年もたれている。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3,197,326号明細書
【特許文献2】
特公昭40−9734号公報
【特許文献3】
特開昭48−30741号公報
【特許文献4】
特開昭50−117830号公報
【特許文献5】
特公昭39−30054号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエステル系基材に対するアクリル系粘着剤層の密着性を向上させる手段として、基材−粘着剤層間に、ハロゲン元素を含まない下塗剤層を一層のみ設けることにより、基材と粘着剤層との密着性が強固で、長期間経過しても密着効果が低下しない粘着シートを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成できる本発明は、以下の各発明を包含する。
【0011】
(1)ポリエステル樹脂(第1成分)、カルボキシル基を含有する、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体(第2成分)、ポリ(メタ)アクリル酸エステルグラフト化ゴム(第3成分)、環状ゴム等のジエンゴム系成分又はその誘導体(第4成分)及びアミノ基を含有するシランカップリング剤(第5成分)の少なくとも5成分を含有する組成物からなる、ポリエステル系基材とアクリル系粘着剤層を有する粘着シート用下塗剤組成物。
【0012】
(2)前記第1成分としてのポリエステル樹脂は、有機溶剤に可溶な熱可塑性の飽和又は不飽和の共重合ポリエステル樹脂から選ばれたものであることを特徴とする(1)項記載の粘着シート用下塗剤組成物。
【0013】
(3)前記第5成分としてのアミノ基を含有するシランカップリング剤は、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の粘着シート用下塗剤組成物。
【0014】
(4)前記(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載の粘着シート用下塗組成物から形成されている下塗剤層をポリエステル系基材上に有し、該下塗剤層上にアクリル系粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
【0015】
(5)前記アクリル系粘着剤層が、カルボキシル基を含んだモノマーを共重合したアクリルポリマーからなる粘着剤層である(4)項記載の粘着シート。
【0016】
(6)前記基材が、ポリエステルフィルム、ポリエステルクロス及びポリエステル不織布から選ばれた、ポリエステル樹脂単体又はポリエステル樹脂を含む複合体からなる基材であることを特徴とする(4)項又は(5)項に記載の粘着シート。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の下塗剤組成物は、ポリエステル樹脂(第1成分)、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体(第2成分)、ポリ(メタ)アクリル酸エステルグラフト化ゴム(第3成分)、環化ゴム等ジエンゴム系成分又はその誘導体(第4成分)及びアミノ基を含有するシランカップリング剤(第5成分)の少なくとも5成分を含有する組成物からなる。
【0018】
本発明の下塗剤組成物は、ポリエステル基材と強固な密着性を得るためにポリエステル樹脂が配合されており、また、アクリル系粘着剤層との強固な密着性を得るためにアミノ基を含有するシランカップリング剤が配合されている点が重要な特徴点である。
【0019】
本発明の粘着シート用下塗剤組成物に、第1構成成分として用いられるポリエステル樹脂に特に制限はないが、下塗剤組成物は有機溶剤を用いて構成されるため、例えば、比較的低分子量の熱可塑性の飽和又は不飽和の共重合ポリエステル樹脂等のように、トルエンや酢酸エチル、メチルエチルケトン等の汎用の有機溶剤に可溶であることが求められる。
【0020】
本発明の下塗剤組成物には、第2成分としてカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体を使用する。この共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを主たるモノマー成分とし、カルボキシル基を含むモノマー成分を必須モノマー成分とし、更に必要に応じて他のモノマー、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、2−メチロールエチルアクリルアミド等の1種又は2種以上を任意のモノマー成分として共重合することにより得られる。
【0021】
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルエキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル等が挙げられる。
【0022】
前記のカルボキシル基を含むモノマー成分として使用できるモノマー成分は、特に限定されない。使用できるモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸等が挙げられ、これらは単独又は2種類以上を併用することもできる。通常、全モノマー組成物100質量部中、1〜20質量部程度の割合で他のモノマーと共重合される。
【0023】
本発明の下塗剤用組成物に使用される前記第2成分である、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体中には、イソシアネート化合物、酸無水物、アミン化合物、エポキシ化合物、金属キレート類、アジリジン化合物等の架橋剤を含んでも構わない。
【0024】
本発明の下塗剤組成物には、第3成分として、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体成分とジエンゴム系成分の両方に混和性がある、ポリ(メタ)アクリル酸エステルをグラフト化したゴムが混合される。該成分の使用により、前記第2成分のカルボキシル基を含有する、アクリル酸エステルを主成分とした共重合体と、第4成分として添加される環化ゴム等のジエンゴム系成分を下塗層内で安定化させることができる。
【0025】
前記第4成分として添加される環化ゴム等のジエンゴム系成分又はその誘導体は、極性溶媒に比較的溶解されにくいため、粘着剤溶液が塗工された際に、下塗剤層が溶解するのを防ぐ効果がある。これらのジエンゴム系成分は、各単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記ポリエステル樹脂(第1成分)、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体(第2成分)、ポリ(メタ)アクリル酸エステルグラフト化ゴム(第3成分)及び環化ゴム等のジエンゴム系成分又はその誘導体(第4成分)に加えて、本発明の下塗剤組成物には、下塗剤中の上記第2成分や第3成分とのカップリング反応による下塗剤層の強化と、粘着剤側との反応による両層間の密着性の向上を目的として、第5成分としてアミノ基を含むシランカップリング剤が配合される。
【0027】
上記下塗剤組成物の構成成分であるシランカップリング剤は、その構造中にアミノ基を含んでいる、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、 N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメキシシラン,N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランであり、下記構造式を有する化合物群からなる。
【0028】
2N-C24-NH-C36-SiCH3(OCH32
2N-C24-NH-C36-Si(OCH33
2N-C24-NH-C36-Si(OC253
2N-C36-Si(OCH33
2N-C36-Si(OC253
【0029】
下塗剤層に含まれるシランカップリング剤は、下塗剤層と粘着剤層の各アクリルポリマー中に共重合されているカルボキシル基と反応し、更にアクリルポリマーに結合した該シランカップリング剤同士が反応して下塗剤層と粘着剤層との密着性を向上させる等の作用をする。
【0030】
本発明の下塗剤組成物における各成分の構成比率は、質量部で、ポリエステル樹脂(第1成分):カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体(第2成分):ポリ(メタ)アクリル酸エステルグラフト化ゴム(第3成分):ジエンゴム系成分(第4成分)=1:(0.1〜1):(1〜10):(1〜10)程度であることが好ましい。この配合物の固形分100質量部に対して、第5成分のシランカップリング剤は5〜50質量部程度添加されるが、好ましくは20〜30質量部の割合で添加される。
【0031】
前記下塗剤組成物は、ポリエステル樹脂、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステルグラフト化ゴム及びジエンゴム成分をトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解した後、シランカップリング剤を添加・攪拌して調製される。溶剤希釈前にシランカップリング剤を添加すると、アクリル系ポリマーなどがゲル化する可能性がある。なお、本発明の下塗剤組成物は、固形分濃度が、通常、1〜20質量%であり、グラビアコーター、キスコーター等で、厚みが通常0.1〜2μm程度となるように塗布されるが、該下塗剤層の膜厚や塗工方法に関しては、特に限定されない。
【0032】
本発明の粘着シートは、基本的には、ポリエステル樹脂系基材/前記特定の成分からなる下塗剤層/前記特定成分からなる粘着剤層の三層構造を有しており、場合によっては、基材背面に離型剤層を形成したものや粘着剤層側にライナーを有するものも包含している。
【0033】
本発明の粘着シートに使用するポリエステル基材としては特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル素材によって形成されているフィルム、クロス、不織布等の単独又はこれらの複合体、ポリエステルと他の素材との複合体(例えばPET/スフの混紡布等) 等が挙げられる。
【0034】
本発明の下塗剤組成物によって形成されている下塗剤層上には、カルボキシル基を含むモノマーを共重合したアクリルポリマーからなるアクリル系粘着剤を使用した粘着剤層が形成される。
【0035】
アクリル系粘着剤としては、アルキル基の炭素数が2〜15の(メタ)アクリル酸エステルを主成分とし、これらと共重合可能な(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル等のモノマーを単独又は2種類以上を併用した公知のアクリル系粘着剤であるが、カルボキシル基を含むモノマーを共重合モノマー成分とすることが必須である。これらは単独又は2種類以上を併用して、通常は、全モノマー100質量部中、1〜20質量部程度の割合で他のモノマーと共重合される。
【0036】
上記アクリル系粘着剤は、使用に際してイソシアネート化合物、酸無水物、アミン化合物、エポキシ化合物、金属キレート類、アジリジン化合物等の架橋剤を用いて架橋して用いることもあるが、これらの架橋剤は使用する官能基含有モノマーの種類に適応するように選択される。架橋して用いた方が、再剥離用途や耐熱クリープ性が要求される用途に対しては好ましいが、多用すると粘着剤層と下塗剤層間の密着性に対して阻害を起こす場合もある。
【0037】
また、上記アクリル系粘着剤には、必要に応じてロジン系、テルペン系、石油系、クマロン・インデン系、ピュア・モノマー系、フェノール系、キシレン系等の粘着付与剤樹脂、パラフィン系プロセスオイル等の鉱油、ポリエステル系可塑剤、植物性油等を含む軟化剤や、芳香族第二級アミン系、アミン−ケトン系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系、ベンツイミダゾール系、ジチオカルバミン酸塩系、亜燐酸系等の老化防止剤を1種又は2種以上を併用して使用してもよい。粘着付与剤樹脂の添加により粘着力を高めることが可能な場合がある。また、軟化剤の使用により初期粘着性を向上させることができ、老化防止剤により熱劣化や酸化劣化を防止することができる。
【0038】
また、粘着層の補強性向上に効果が望めるカーボンブラック、シリカ、クレー、水酸化金属などの充填剤を単独又は2種以上を併用して用いてもよい。これらの充填剤の中には、下塗剤中のシランカップリング剤との反応や吸着が可能なものがあり、このような充填剤の使用により下塗層との密着性の向上が期待できる場合がある。
【0039】
本発明に用いるアクリル系粘着剤は、前記モノマーとAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等の重合開始剤を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、窒素雰囲気下、適温で数時間反応させることにより得られ、必要に応じて粘着付与樹脂、架橋剤、無機充填剤、老化防止剤、軟化剤等を加え攪拌して作製する。
【0040】
このようにして製造されたアクリル系粘着剤の塗工方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ロールコーターやリバースコーター等で上記基材上の下塗剤塗工面上に塗布され、加熱して溶剤を揮発させることにより本発明の粘着シートが得られる。粘着剤層の厚みは通常5〜60μmであり、好ましくは10〜40μm程度である。
【0041】
本発明の粘着シートを製造する際、前記下塗剤と粘着剤が塗布される面の反対側(シート背面側)に、必要に応じて離型剤を塗布することもできる。
【0042】
【作用】
本発明の粘着シート用下塗剤組成物は、成分としてポリエステル樹脂(第1成分)が配合されているので、粘着シートのポリエステル系基材と下塗剤層の間で強固な密着性が実現される。
また、下塗剤組成物中のアクリルポリマー(第2成分)とアクリル系粘着剤層の高い親和性によって、粘着剤層と下塗剤層との密着性が得られる。さらに、下塗剤中のアミノ基を分子構造にもったシランカップリング剤(第5成分)により、各層のアクリルポリマー中のカルボキシル基と該シランカップリング剤とが結合すると共にシランカップリング剤同士が結合することによって、下塗剤層と粘着剤層の相互間で高い密着効果が得られる。
【0043】
また、下塗剤組成物中の環化ゴム等のジエンゴム系成分又はその誘導体(第4成分)により、酢酸エチル等を含む粘着剤溶液が塗工された際に、極性溶剤により下塗剤層が溶解されるのを防ぐことができる。更に、本下塗剤中には第3成分として、アクリルポリマー(第2成分)とゴム系ポリマー(第4成分)の両方と混和性がある、ポリ(メタ)アクリル酸エステルをグラフト化したゴムが混合される。該第3成分の配合により、各成分を下塗剤中で安定化させることができ、相分離しにくくすることができる。
下塗剤組成物の成分として添加されるシランカップリング剤は、塗布された下塗剤層の凝集力を向上させる効果も同時に有しているため、下塗層内部での凝集破壊を防止する効果もある。
【0044】
また、本発明による下塗剤組成物は、クロロプレン系接着剤、塩化ビニリデン系接着剤等、下塗剤の構成成分として従来多用されていた含ハロゲン化合物を使用していないので、環境に負荷となるダイオキシン等を放出させる原因物質となることもない。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例で更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中において「部」は質量部を、「%」は質量%を示している。
【0046】
実施例1
(下塗剤組成物の調製)
第1成分のポリエステル樹脂として、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂〔東レ(株)製、ケミットK−1089〕を用い、20質量%トルエン溶液として使用した。また、第2成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル90部、アクリル酸10部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1部を酢酸エチルに溶解し、窒素雰囲気下、65℃で6時間反応させて得られたアクリル系ポリマー(固形分30%)を、トルエンで希釈して固形分10%溶液として使用した。第3成分として、素練りを行ってウォーレス可塑度を30としたポリメタクリル酸メチルをグラフト化した天然ゴム(マレーシアゴム研究所製造、ヘベアプラスMG30)と、第4成分として環化ゴム(オランダDSM社製、シノテックスRR800)を用い、それぞれトルエンに溶解して10%溶液として用いた。トルエン100部、メチルエチルケトン50部の混合溶剤に、上記ポリエステル樹脂溶液21部、アクリルポリマー溶液10部、ポリメタクリル酸メチルグラフト化天然ゴム溶液60部、環化ゴム溶液15部を混合・攪拌した後、第5成分としてアミノ基含有のシランカップリング剤〔信越化学工業(株)製、KBM603〕11部を添加・攪拌して下塗剤組成物とした。
【0047】
(基材への下塗剤組成物の塗布)
基材として、厚み38μmのポリエステルフィルム〔東レ(株)製、ルミラーS−10〕を用い、その片面にグラビアコーターにより上記下塗剤組成物の乾燥後の塗布量が1.3〜1.7g/m2となるように塗布し、70℃の温度で2分間乾燥を行った。
【0048】
(粘着剤の調製)
アクリル酸2−エチルヘキシル90部、アクリル酸5部、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド1部を酢酸エチルに溶解し、窒素雰囲気下、65℃で6時間反応させて得られた、上記下塗剤の第2成分として用いられているアクリル系ポリマー(固形分30%)と同じものを、粘着剤ベースポリマーとして用いた。該アクリル系ポリマーに硬化剤としてポリイソシアネート成分〔日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL〕を、粘着剤固形分100部に対して0.2部添加してアクリル系粘着剤とした。
【0049】
(粘着テープの製造)
上記アクリル系粘着剤を、上記基材の下塗剤層が形成された面に、ロールコーターで厚みが30μmになるように塗布し、150℃×2分乾燥の後、巻取ることにより目的の粘着テープを製造した。
【0050】
比較例1
実施例1の下塗剤組成物にポリエステル樹脂(第1成分)を使用しない以外は、実施例1と同様に下塗剤組成物を調製し、実施例1と同様の基材と粘着剤組成物を使用して粘着テープを製造した。
【0051】
比較例2
実施例1の下塗剤組成物にカルボキシル基を含有するアクリル酸エステルを主成分とする共重合体(第2成分)を使用しない以外は、実施例1と同様に下塗剤組成物を調製し、実施例1と同様の基材と粘着剤組成物を使用して粘着テープを製造した。
【0052】
比較例3
実施例1の下塗剤組成物にポリ(メタ)アクリル酸エステルグラフト化ゴム(第3成分)と環化ゴム(第4成分)を使用しない以外は、実施例1と同様に下塗剤組成物を調製し、実施例1と同様の基材と粘着剤組成物を使用して粘着テープを製造した。
【0053】
比較例4
実施例1の下塗剤組成物にシランカップリング剤(第5成分)を使用しない以外は、実施例1と同様に下塗剤組成物を調製し、実施例1と同様の基材と粘着剤組成物を使用して粘着テープを製造した。
【0054】
比較例5
テープ基材として実施例1で使用したのと同じ38μm厚のポリエステルフィルムの片面に、下塗剤組成物を塗布する代わりにコロナ放電処理を行ったものを使用する以外は、実施例1と同様に粘着テープを製造した。粘着剤を塗布する前に確認したコロナ放電処理の度合いは、ヌレ試薬を用いて測定したところ、60dyn/cmであった。
【0055】
(試験方法)
次に、本発明の下塗剤及び粘着テープの有効性を示すため、上記各実施例及び比較例で作製した粘着テープを用いて、基材と粘着剤層との密着性の評価を行った。試験方法としては、作製した粘着テープ試料(幅:10mm、長さ:約50mm)を各サンプルにつき2片準備し、粘着剤面同士が接着する個所に背面からの切れ込みを入れ、それぞれの粘着面同士を強く押し当てて離す操作を、2回/1秒の間隔で繰り返し、基材からの粘着剤層の剥がれ具合を観察することにより評価を行った。
【0056】
極めて密着性がよく、20回以上行っても粘着剤層が殆どめくれないものを◎、10回以上行って多少粘着剤層が基材から剥がれるが、大きくはめくれないものを○、比較的基材から剥がれやすいが5回以上行わないと粘着剤層がめくれないものを△、5回未満の操作で、基材から粘着剤層が大きく取られるものを×とした。
表1に、実施例及び各比較例の粘着テープの試験結果を示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004266306
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明の下塗剤組成物を有する粘着シート又は粘着テープは、前記成分よりなるポリエステル系基材とアクリル系粘着剤層との組み合わせにより、ポリエステル基材から粘着剤層が剥がれにくく、粘着テープ又は粘着シートとしての品質の優れたものであり、用途範囲を拡大させるものである。

Claims (6)

  1. ポリエステル樹脂(第1成分)、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体(第2成分)、ポリ(メタ)アクリル酸エステルグラフト化ゴム(第3成分)、ジエンゴム系成分(第4成分)及びアミノ基を含有するシランカップリング剤(第5成分)の少なくとも5成分を含有する組成物からなる、ポリエステル系基材とアクリル系粘着剤層を有する粘着シート用下塗剤組成物。
  2. 前記第1成分としてのポリエステル樹脂は、有機溶剤に可溶な熱可塑性の飽和又は不飽和の共重合ポリエステル樹脂から選ばれたものであることを特徴とする請求項1記載の粘着シート用下塗剤組成物。
  3. 前記第5成分としてのアミノ基を含有するシランカップリング剤は、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びγ−アミノプロピルトリエトキシシランから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート用下塗剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着シート用下塗組成物から形成されている下塗剤層をポリエステル系基材上に有し、該下塗剤層上にアクリル系粘着剤層を有する粘着シート。
  5. 前記アクリル系粘着剤層が、カルボキシル基を含んだモノマーを共重合したアクリルポリマーからなる粘着剤層である請求項4記載の粘着シート。
  6. 前記基材が、ポリエステルフィルム、ポリエステルクロス及びポリエステル不織布から選ばれた、ポリエステル樹脂単体又はポリエステル樹脂を含む複合体からなる基材であることを特徴とする請求項4又は5に記載の粘着シート。
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