JP4251913B2 - ホスホリルコリン基を表面に有する接液部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は親水性基を有するポリマーでコーティングした接液部材に関する。さらに詳しくは、主に分析装置用配管等の接液部材の表面を、ホスホリルコリン基を有するポリマーで強固にコーティングした接液部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク吸着防止を目的とした分析装置配管等の接液部材は一般的な親水性基をコーティングしたものである。例えば、特許文献1にはビニル化合物により内壁面に高分子膜を形成させることにより、タンパク質が吸着しにくく、高分離かつ高信頼性分析が可能で、長寿命を図ったキャピラリーカラムが記載されている。また、特許文献2には、タンパク質の除去を容易に行うことができ、使用寿命の長い電気泳動キャピラリー管が記載され、シリカ基材のキャピラリー管の内壁面にアガロースが共有結合している。これにより、分離効率を劣化させることなく、再現性のよいタンパク質の分離に成功し、さらに使用寿命ものばすことが可能になることが記載されている。さらに、特許文献3には、血液中のタンパク質や血小板の付着、吸着を制御した臨床検査用器具器材が提案され、その表面がビニルアルコール等の親水性高分子でコーティングされたプラスチック製のポリプロピレンスピッツ管が具体的に開示されている。
【0003】
一方、ホスホリルコリン基を有するポリマーは生体適合性高分子として検討されており、このポリマーを各種基剤にコーティングした生体適合性材料が開発されている。例えば、特許文献4及び特許文献5には、ホスホリルコリン基を有するポリマーでコーティングした医療用材料や分離剤が開示されている。これらは、ホスホリルコリン構造を有するモノマーを合成し、これを重合して得られるポリマーによりその表面を被覆してコーティングされたものである。これらのポリマーの製造方法については、特許文献6に2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルの共重合体が製造され、特許文献7に2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体が製造されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−288716号公報
【特許文献2】
特開平6−288984号公報
【特許文献3】
特開昭62−169052号公報
【特許文献4】
特開2000−279512号公報
【特許文献5】
特開2002−98676号公報
【特許文献6】
特開平9−3132号公報
【特許文献7】
特開平10−298240号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、親水性基を有するポリマーでコーティングした接液部材を提供するものであって、分析装置用の配管等の表面を、単に親水性ポリマーのキャストにより物理的に被覆しただけに過ぎない接液部材よりも、はるかに強固に親水性ポリマーがコーティングした接液部材を提供するものである。しかも、その親水性基はタンパク質吸着防止効果が高いホスホリルコリン基であり、再現性が良好で高い回収率のタンパク分析を可能とする接液部材を提供するものである。
【0006】
また、従来技術に見られるように、ホスホリルコリン基を有するポリマーを先に得てこのポリマーにより接液部材を被覆して表面を改質する方法では、接液部材の形状によっては内壁面全体を効果的に若しくは均一に被覆することは難しい。
【0007】
また、被覆した重合体が素材表面から剥離するため、耐久性に問題が生じる場合がある。一方、ホスホリルコリン基を有するモノマーの製造は厳密な無水条件下にて行う必要があり、手法が煩雑という問題もある。さらには、このモノマーの重合条件により被覆ポリマーに結合しているホスホリルコリン基の安定性にも問題が生じる。
【0008】
本発明は、上記の観点からも、手法が煩雑でなく、かつ、ホスホリルコリン基の安定性にも優れた方法により製造できる。すなわち、あらかじめホスホリルコリン基を有するモノマーを重合したポリマーを接液部材内壁面に被覆するのではなく、接液部材の内壁面にアルコキシシリル基含有ポリマーを用いて極めて強固なポリマーコーティングを行なった後、ホスホリルコリン基を含有する化合物を結合させて、ホスホリルコリン基をその表面に導入した接液部材である。さらに、本発明の接液部材は、その材質を選ばず、金属、プラスチック、ガラスなどの材質で構成される接液部材に対して広い汎用性を持って応用可能である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(2)及び/又は(3)のホスホリルコリン基含有化合物を、アルコキシシリル基含有ポリマーで表面をコーティングした接液部材に結合させたことを特徴とする上記の接液部材を提供するものである。
【化9】
(2)
【化10】
(3)
【0011】
さらに、本発明は、前記アルコキシシリル基含有ポリマーが、下記式(4)のモノマーと、式(5)〜(7)の少なくとも1つのモノマーを共重合して得られるポリマーであることを特徴とする上記の接液部材を提供するものである。
【化11】
(4)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、R2は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である)
【化12】
(5)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【化13】
(6)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【化14】
(7)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【0012】
また、本発明は、前記接液部材が分離分析装置用配管であることを特徴とする上記の接液部材を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳述する。
【0014】
本発明において接液部材とは液体が接触する部材を意味する。例えば、分離若しくは分析装置用の配管、配管接続部品、サンプリングのためのニードル、サンプルバイアル、検出器セル等の試験液が接触する部材である。これらの接液部材において、試験液が接触する部分の表面がアルコキシシリル基含有ポリマーでコーティングされる。配管、配管接続部品、サンプリングのためのニードル、サンプルバイアル、検出器セルなどにおいては、試験液が接触するその内面がコーティングされていれば良い。特に、HPLC、MS、NMRの接続配管や電気泳動装置のキャピラリー配管等が具体的な好ましい態様である。
【0015】
本発明の接液部材の材質や形状は限定されない。例えば、金属、プラスチック、ガラス、セラミック等の各種材料で構成される接液部材である。
テフロン(登録商標)管、テフゼル管、ピーク樹脂管、フューズドシリカ管等の分離分析装置用配管が本発明の好ましい態様である。
【0016】
アルコキシシリル基含有ポリマーは、接液部材にコーティング可能であれば特に限定されない。コーティングされた接液部材の表面上にてアルコキシシランの架橋反応により強固な被膜が形成される。例えば、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸系モノマーに、アルコキシシリル基が置換した公知若しくは今後開発されるモノマーが好ましい。具体的には、下記一般式(4)のアルコキシシリル基含有(メタ)アクリル酸系若しくは(メタ)アクリルアミド系モノマーを重合したポリマーを溶剤に溶解させて接液部材の表面を処理し、常法によりに架橋させてコーティングさせる。
【化15】
(4)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、R2は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である)
【0017】
接液部材をコーティングするアルコキシシリル基含有ポリマーは、下記式(1)で示されるホスホリルコリン基を導入するためには、ホスホリルコリン基含有化合物と反応して導入可能な何らかの反応性基を有していなければならない。好ましい反応性基はアミノ基である。アミノ基は一級アミン若しくは二級アミンである。公知の方法若しくは今後開発される方法にてアミノ基を導入すれば良い。最も簡便で好ましい方法は、アミノ基を有するアミン系モノマーや、アミノ基を生じるイソシアネート基やエポキシ基を有するモノマーと共重合したコポリマーを用いることである。
【化16】
(1)
【0018】
なお、アミン系モノマーとの共重合体でなくても、エポキシ基のように、例えばジアミンとの反応により簡単にアミノ基を導入可能な官能基を有するモノマーと、アルコキシシリル基含有ポリマーとを共重合させたポリマーでもよい。
なお、プラズマ重合により、アルコキシシリル基含有ポリマーによりコーティングした接液部材を、窒素置換したアリルアミンのTHF(テトラヒドロフラン)溶液中に浸し、グラフト重合させて、アミノ基を導入することもできる。
【0019】
共重合させるモノマーは下記の式(5)〜(7)のモノマーや、アクリル酸やメタクリル酸等の(メタ)アクリル酸系モノマーが好ましい。式(5)〜(7)におけるエステル結合(COO)はアミド結合(CONH)であってもよい。
【化17】
(5)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【化18】
(6)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【化19】
(7)
(R1は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【0020】
また、共重合するモノマーには、上記の結合性官能基を有するモノマーの他に、接液部材の材質に応じて、コーティングするアルコキシシリル基含有ポリマーと、接液部材とのの親和性の観点から、その他のモノマーを共重合しても好ましい。例えば、接液部材の材質がポリプロピレンの場合は飽和炭化水素のポリプロピレンとの親和性向上のためブチルメタクリレートを、ポリシロキサン系材の場合はポリジメチルシロキサンメタクリレートを、テフロン(登録商標)の場合はパーフルオロアルキルモノマーを共重合する。
【0021】
導入したアミノ基に対して、ホスホリルコリン基含有化合物、好ましくはグリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られたアルデヒド体あるいはハイドレート体を、還元的アミノ化反応によって反応させて、ホスホリルコリン基が導入される。好ましいホスホリルコリン基含有化合物は、下記式(2)のジオール体及び/又は下記式(3)のアルデヒド体であり、好ましくは縮合反応及び/又は還元的アミノ化反応によりアミノ基に結合させる。
なお、最終的にホスホリルコリン基含有化合物がアミノ基に結合していれば、アミノ基の導入から結合に至るまでにどのような反応経路をとってもよい。
【化20】
(2)
【化21】
(3)
【0022】
グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるアルデヒド体は、公知のグリセロホスホリルコリン基を、公知の方法により酸化的解裂を行わせるもので、極めて簡単なステップである。この反応は、1,2−ジオールを過ヨウ素酸、或いは過ヨウ素酸塩を用いて酸化することにより結合を開裂させ、2つのアルデヒド体を得るものであり、本法の場合、ホスホリルコリンアルデヒド体とホルムアルデヒドを生成する。反応は通常水中または水を含む有機溶媒中で行われる。反応温度は0度から室温である。アルデヒド体は水中で平衡反応を経てハイドレートとなることもあるが、続くアミンとの反応には影響しない。下記にホスホリルコリン基含有する一官能のアルデヒド体を調製するスキームを示す。
【化22】
グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られるハイドレート体及び/又はアルデヒド体を、接液部材をコーティングしたポリマーのアミノ基に結合させる還元的アミノ化反応は、両者を溶媒中にて攪拌することにより容易に行うことが出来る。この反応は両者を水或いはアルコール中に共存させ(第三成分の有機溶媒を混合しても良い)、イミンを形成させた後、これを還元剤により還元して2級アミンを得るものである。還元剤としてはシアノホウ素酸ナトリウム等マイルドな還元剤が好ましいが、ホスホリルコリンが安定な限り、他の還元剤を用いることも可能である。反応は通常0度から室温で行われるが、場合により加熱することもある。
具体的には、接液部材をメタノール中に漬し、ホスファチジルグリセロアルデヒドを添加し、室温で6時間放置する。そして、シアノホウ素酸ナトリウムを0℃で添加、一晩加熱攪拌し、アミノ基にホスホリルコリン基を付加させる。反応溶媒はメタノール以外にも、水、エタノール、2−プロパノール等プロトン性溶媒であれば使用可能であるが、メタノールを用いた場合にホスホリルコリン基の付加率が高い傾向にある。
【0023】
上記の方法により、親水性のホスホリルコリン基を任意の量でその表面に導入された接液部材が簡単に得られる。以下にさらに具体的な方法を記す。
【0024】
製造方法1
上記式(4)のモノマー1(以下、モノマー1と略す)と、上記式(5)のモノマー(以下、モノマー2と略す)を必須成分として有する共重合体を合成する。反応溶媒はモノマー1及び2と反応せず、2つのモノマーを溶解するものであれば特に限定されない。例えば、トルエン、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルムの1種または2種以上の混合溶媒が挙げられる。重合開始剤はラジカル系開始剤であれば特に限定されない。例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソ酢酸)ジメチル等のアゾ系化合物が挙げられる。また重合開始剤を用いる以外にも放射線照射等により重合させることもできる。共重合体の平均分子量は最終的に架橋反応を起こすものであるため特に制限されない。共重合させるモノマーは素材との親和性に応じて上記2種以外にも加えてよい。
<製造方法1−1>
モノマー1と2を必須とする共重合体を合成し、これを接液部材に展着させる。さらに残存しているイソシアナートと、上記式(2)のホスホリルコリン基含有化合物(以下、PC1と略す)を、ウレタン結合により上記式(1)のホスホリルコリン基(以下、PC基と略す)を導入する。ポリマーの架橋反応を起こすタイミングは簡便性に応じて、PC基導入前でも後でも良い。水による処理を行えば架橋反応は速やかに進行するが、皮膜を放置しておいても次第に進行してゆく。
<製造方法1−2>
モノマー1と2を必須とする共重合体を合成し、これを接液部材に表面に展着させる。さらにこれを水または塩基性水溶液により処理することによりイソシアナートを分解してアミンに変換する。このアミノ基と、上記式(2)のホスホリルコリン基含有化合物(以下、PC2と略す)を、還元的アミノ化反応により結合させPC基を導入する。
【0025】
製造方法2
モノマー1と、上記式(6)のモノマー(以下、モノマー3と略す)を必須成分として有する共重合体を合成する。反応溶媒はモノマー1及び3と反応せず、2つのモノマーを溶解するものであれば特に限定されない。例えば、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルムの1種または2種以上の混合溶媒が挙げられる。重合開始剤はラジカル系開始剤であれば特に限定されない。例えば、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2‘−アゾビス(イソ酢酸)ジメチル等のアゾ系化合物が挙げられる。また、重合開始剤を用いる以外にも放射線照射などにより重合させることもできる。共重合体の平均分子量は最終的に架橋反応を起こすものであるため特に制限されない。
共重合させるモノマーは基板との親和性に応じて上記2種以外にも加えてよい。
モノマー1と3を必須とする共重合体を、接液部材の表面に展着させる。さらに、これをアンモニア水溶液或いはエチレンジアミンを始めとする分子内に2つ以上のアミノ基を有する化合物で処理することによりエポキシ基をアミノ基に変換する。続いて、PC2を還元的アミノ化反応により結合させ、PC基を導入する。
【0026】
製造方法3
モノマー1と、上記式(7)のモノマー(以下、モノマー4と略す)を必須成分として有する共重合体を合成する。反応溶媒はモノマー1及び4と反応せず、2つのモノマーを溶解するものであれば特に限定されない。例えば、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルムの1種または2種以上の混合溶媒が挙げられる。重合開始剤はラジカル系開始剤であれば特に限定されない。例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソ酢酸)ジメチル等のアゾ系化合物が挙げられる。また、重合開始剤を用いる以外にも放射線照射などにより重合させることもできる。共重合体の平均分子量は最終的に架橋反応を起こすものであるため特に制限されるものではない。
共重合させるモノマーは接液部材の材質との親和性に応じて上記2種以外にも加えてよい。
モノマー1と4を必須とする共重合体を接液部材の表面に展着させる。続いて、PC2を還元的アミノ化反応により結合させPC基を導入する。
【0027】
製造方法4
モノマー1と(メタ)アクリル酸を必須成分として有する共重合体を合成する。反応溶媒はモノマー1及び(メタ)アクリル酸と反応せず、2つのモノマーを溶解するものであれば特に限定されない。例えば、トルエン、アセトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、ヘキサン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタン、クロロホルムの1種または2種以上の混合溶媒が挙げられる。重合開始剤はラジカル系開始剤であれば特に限定されない。例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(イソ酢酸)ジメチル等のアゾ系化合物が挙げられる。また、重合開始剤を用いる以外にも放射線照射などにより重合させることもできる。本共重合体の平均分子量は最終的に架橋反応を起こすものであるため特に制限されるものではない。共重合させるモノマーは接液部材の材質との親和性に応じて上記2種以外にも加えてよい。モノマー1と4または5を必須とする共重合体を接液部材の表面に展着させる。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを始めとするカルボジイミド系カップリング剤、カルボジイミダゾールなどを用いてPC1を結合させて、PC基を導入する。
【0028】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は下記の実施例のみに限定されない。接液部材に表面に導入されたホスホリルコリン基はFT−IR及び元素分析により確認して定量出来る。
【0029】
合成例1 ホスホリルコリン基を含有するアルデヒド体
L−α−グリセロホスホリルコリン(450mg)を蒸留水15mlに溶解し、氷水浴中で冷却する。過ヨウ素酸ナトリウム(750mg)を添加し、2時間攪拌する。更にエチレングリコール(150mg)を添加して1晩攪拌する。反応液を減圧濃縮、減圧乾燥し、メタノールにより目的物を抽出する。
構造式及びNMRスペクトルを図1に示す。
【0030】
実施例1
市販のモノマー1(5g、n=3)、モノマー2(5g、n=2)、ブチルメタクリレート(5g)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解し、窒素雰囲気下30分間脱気する。温度を70℃に上げ、アゾビスイソブチロニトリル(5mg)を添加し、4時間重合した。反応液をクロロホルムで希釈した後、内面被覆を行う対象となるチューブ(テフロン(登録商標)管)に封入する。管の片方の終点は封管し、他方の終点より減圧により、数時間かけて溶媒除去をおこなう。ついで、PC1(1g)、トリエチルアミン(1g)を含有するジメチルホルムアミド(100ml)を調製し、管にその液を毎分1cmの速度で5時間通液させる。その後、管内をメタノール、アセトンを通液させ、目的とするPC基内面修飾配管を得る。内面の架橋反応を充分進行させるため水を通液し再度、減圧により乾燥させても良い。
なお、材質の異なるテフゼル管、ピーク樹脂管、フューズドシリカ管を使用しても全く同様にPC基内面修飾配管が得られる。
【0031】
実施例2
実施例1のポリマーを同じくクロロホルムで希釈した後、内面被覆を行う対象となるチューブ(テフゼル管)に封入する。管の片方の終点は封管し、他方の終点より減圧により、数時間かけて溶媒除去をおこなう。トリエチルアミン含有水溶液を毎分1cmの速度で5時間通液させて架橋反応を進行させると共にイソシアナートをアミンに変換した。続いてこの配管をPC2(1g)を含有するメタノール(100ml)を5時間室温で通液した後、シアノホウ素酸ナトリウム(0.5g)を含有するメタノール(100ml)を氷温下で通液し、室温で12時間封入放置する。その後、管内をメタノール洗浄し目的とするPC基で内面が修飾された配管を得る。
なお、材質の異なるテフロン(登録商標)管、ピーク樹脂管、フューズドシリカ管を使用しても全く同様にPC基内面修飾配管が得られる。
【0032】
実施例3
市販のモノマー1(5g、n=3)、モノマー3(15g、n=1)、ヒドロキシエチルメタクリレート(5g)、トリメチルアンモニウムエチルアクリレート(1g)をエタノール(200ml)に溶解し、窒素雰囲気下30分間脱気する。温度を70℃に上げ、アゾビスイソブチロニトリル(5mg)を添加し、4時間重合した。反応液をクロロホルムで希釈した後、内面被覆を行う対象となるチューブ(ピーク樹脂管)に封入する。管の片方の終点は封管し、他方の終点より減圧により、数時間かけて溶媒除去をおこなう。続いてこの配管内面を架橋させ、エポキシ基をアミノ基に変換するためアンモニア水溶液を50℃で5時間通液する。これにメタノール通液し、PC2(1g)を含有するメタノール(100ml)を5時間室温で通液した後、シアノホウ素酸ナトリウム(0.5g)を含有するメタノール(100ml)を氷温下で通液し、室温で12時間封入放置した。その後、管内をメタノール洗浄し目的とするPC基内面修飾配管材を得る。
なお、材質の異なるテフロン(登録商標)管、テフゼル管、フューズドシリカ管を使用しても全く同様にPC基内面修飾配管が得られる。
【0033】
実施例4
市販のモノマー1(5g、n=3)、モノマー4(2g、n=2)、メチルメタクリレート(10g)、ジメチルポリシロキサンメタクリレート(3g)をエタノール(100ml)−ヘキサン(50ml)に溶解し、窒素雰囲気下30分間脱気する。温度を70℃に上げ、アゾビスイソブチロニトリル(5mg)を添加し、4時間重合する。反応液をクロロホルムで希釈した後、内面被覆を行う対象となるチューブ(フューズドシリカ管)に封入する。管の片方の終点は封管し、他方の終点より減圧により、数時間かけて溶媒除去をおこなう。続いてこの配管内面を架橋させるため水を室温で5時間通液した。これを乾燥し、PC2(1g)を含有するメタノールを5時間室温で通液した後、シアノホウ素酸ナトリウム(0.5g)を含有するメタノール(100ml)を氷温下で通液し、室温で12時間封入放置する。その後、管内をメタノール洗浄し目的とするPC基内面修飾配管材を得る。
なお、材質の異なるテフロン(登録商標)管、テフゼル管、ピーク樹脂管を使用しても全く同様にPC基内面修飾配管が得られる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、各種材質の接液部材の表面に、簡便な方法にて、親水性のホスホリルコリン基を安定して導入することが可能である。特に、ホスホリルコリン基を、試験液が接触する内面に導入した分析装置若しくは分離装置用配管や分析装置用各種器材は、タンパク質の吸着を防止して、再現性に優れたタンパク分析を可能とする。また、分析装置内でのタンパク変性を抑制し、タンパク回収率を向上させることも可能である。
本発明の接液部材はその材質を選ばない。また、コーティングされたポリマーが架橋するため、コーティングの耐久性に優れている。さらにポリマーコーティング後に高分子反応によってホスホリルコリン基を導入するため、最適な量のホリルコリン基を容易に各種接液部材の表面に導入することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1の構造式及びNMRスペクトルである。
Claims (3)
- 前記アルコキシシリル基含有ポリマーが、下記式(4)のモノマーと、式(5)〜(7)の少なくとも1つのモノマーを共重合して得られるポリマーであることを特徴とする請求項1記載の接液部材。
【化4】
(4)
(R 1 は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、R 2 は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である)
【化5】
(5)
(R 1 は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【化6】
(6)
(R 1 は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。)
【化7】
(7)
(R 1 は水素又は炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分枝のアルキルであり、nは1〜6の数である。−O−は−NH−でもよい。) - 前記接液部材が分離分析装置用配管であることを特徴とする請求項1または2記載の接液部材。
Priority Applications (11)
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