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JP4234043B2 - 脂肪族ポリエステルの結晶化方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステルの結晶化方法 Download PDF

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Description

本発明は、汎用及び医療用途の樹脂として有用な生分解性ポリマーである、脂肪族ポリエステルの改善された結晶化方法に関する。
特許文献1には、高分子量の脂肪族ポリエステルの製造方法に関する技術が開示されている。すなわち、特定の相対粘度ηrel(1.5)以上を有する脂肪族ポリエステルを結晶化させた後、特定の条件で固相重合することにより、釣糸等として成形可能な高分子量で、かつ高融点の脂肪族ポリエステルを得ることができる、とされている。
しかしながら、結晶化の技術については、室温での結晶化、水冷する等の結晶化を促進させるような従来公知の様々な方法を用いることもできると記載されているに留まっており、アルカリ性水溶液と接触させることによる結晶化については、示唆も開示もない。
特許文献2には、乳酸系共重合ポリエステル粒状物の製造方法に関する技術が開示されている。すなわち、乳酸成分とジカルボン酸成分とジオ−ル成分とからなる乳酸系共重合ポリエステルを、ガラス転移点温度以上、融点温度未満で結晶化させることにより、融着問題を解決することができる、とされている。
該公開特許公報段落番号[0014]〜[0016]にも記載されているように、乳酸系共重合ポリエステルを、溶融状態でダイスから押し出してストランドとし、溶融ストランドを一定の冷却速度で冷却しながら結晶化し、結晶化ストランドを切断して粒状化する技術が開示されている。しかしながら、アルカリ性水溶液と接触させることによる結晶化については、示唆も開示もない。
特許文献3には、重量平均分子量2000〜100000の脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む脂肪族ポリエステルポリマーを触媒存在下、固相重合することにより、重量平均分子量50000〜1000000の脂肪族ヒドロキシカルボン酸ユニット50%以上を含む脂肪族ポリエステルの製造方法に関する技術が開示されている。この発明の中には、脂肪族ポリエステルポリマーを、脂肪族ポリエステルポリマーを溶解しない液体と接触させることにより結晶化させる技術、及び結晶化に使用する液体に有機酸を添加しても良いとの記述がある。しかしながら、アルカリ性水溶液と接触させることには言及されていない。
特許文献4には、固体状態の脂肪族ポリエステルを液体と接触させ、結晶化させる技術が開示されている。この発明の液体は水やアルコール等の脂肪族ポリエステルが溶解しない有機溶媒とされているが、アルカリ性水溶液と接触させることによる結晶化については言及されていない。
特許文献5には、酸性化合物特に触媒成分である有機スルホン酸を水に添加した溶液にて結晶化を行う方法が開示されている。この方法では、低温、攪拌下で結晶化を行い、融着を回避しているが、アルカリ性水溶液と接触させることによる結晶化については言及されていない。
特許文献1〜5に記載の方法で、結晶化を行いその後固相重合を行い高分子量の重合体を得た場合、固相重合後のペレットは着色しており、また固相重合に供された粒子同士の融着、粒子の破損、固相重合装置内での閉塞等の問題点を有していた。
特開平8−34843号公報 特開平8−165339号公報 欧州特許第953589明細書 特開2000−302855号公報 特開2001−192442号公報
本発明が解決しようとする課題は、脂肪族ポリエステルを結晶化する際、アルカリ性水溶液と接触させることにより、該樹脂の粒子同士の融着等の問題を生ずることなく容易に、連続的に結晶化することができ、さらに、その後、固相重合を行なうことにより、従来技術ではなし得なかったより着色の少ない高分子量の脂肪族ポリエステルを効率よく製造することができる、脂肪族ポリエステルを結晶化する方法を提供することにある。
本発明者らは、上述した状況を鑑み、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は脂肪族ポリエステルをpH≧8のアルカリ性水溶液と接触させることにより、結晶化させる、脂肪族ポリエステルの結晶化方法である。
本発明は、脂肪族ポリエステルを、当該脂肪族ポリエステルのガラス転移点以上の温度で、8≦pH≦13のアルカリ性水溶液と接触させることにより結晶化させる、脂肪族ポリエステルの結晶化方法を提供する。
前記脂肪族ポリエステルが脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体である前記脂肪族ポリエステルの結晶化方法は本発明の好ましい形態である。
前記脂肪族ポリエステルが脂肪族ヒドロキシカルボン酸及び脂肪族多価アルコール及び脂肪族多価カルボン酸の共重合物である前記脂肪族ポリエステルの結晶化方法も本発明の好ましい形態である。
前記脂肪族ヒドロキシカルボン酸が乳酸及び/又はグリコール酸である前記脂肪族ポリエステルの結晶化方法も本発明の好ましい形態である。
前記アルカリ水溶液中のアルカリ成分が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニアからなる群から選ばれた少なくとも1つからなる脂肪族ポリエステルの結晶化方法も本発明の好ましい形態である。
本発明はさらに、上記本発明の方法で結晶化した脂肪族ポリエステルを固相重合させて得られた、重量平均分子量が10万以上かつ、厚み2mmあたりのYellowness
Indexが5以下の脂肪族ポリエステルを提供する。
本発明の方法によれば、脂肪族ポリエステルを結晶化する際に、分子量の低下を抑制する条件下で融着、破損の問題を生じることなく結晶化でき、引き続き固相重合を行うことにより高分子量かつ着色度合いの低い脂肪族ポリエステルが得られる。したがって、本発明の方法により脂肪族ポリエステルを結晶化することにより粒子同士の融着、粒子の破損、装置内での閉塞といった問題を発生することなく安定した操作が行え、高品質の脂肪族ポリエステルを提供することができる。
本発明の脂肪族ポリエステルとは重量平均分子量で2000以上であり、好ましくは5000以上であり、かつ脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸ユニットを含むものであり、以下の種類である。
(1)1種または複数の脂肪族ヒドロキシカルボン酸から得られる脂肪族ポリヒドロキシカルボン酸のホモポリマー又はコポリマー又はそれらの混合物
(2)1種または複数の脂肪族ヒドロキシカルボン酸と脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸からなる脂肪族ポリエステルとのコポリマー又はその混合物
脂肪族ヒドロキシカルボン酸についての具体例としては、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。これらの中でも乳酸、グリコール酸が好ましい。また、これらのヒドロキシカルボン酸は単独で、または2種類以上組み合わせて使用してもよい。乳酸のように分子内に不斉炭素原子を有する場合には、D体、L体、及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、それらの何れも使用することができる。
脂肪族多価アルコールは特に制限されない。二価のアルコールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。三価以上の脂肪族多価アルコールとして、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、キシリトール、イノシトール等が挙げられる。これらは単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。
脂肪族多価カルボン酸は、特に制限されない。脂肪族二価カルボン酸として例えば、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、3,3−ジメチルペンタン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらは、単独で、又は、2種類以上組み合わせて使用することができる。三価以上の脂肪族多価カルボン酸として、例えば、1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフラン2R,3T,4T,5C−テトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、4−カルボキシ−1,1−シクロヘキサンジ酢酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、(1α,3α,5β)−1,3,5−トリメチル−1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、2,3,4,5−フランテトラカルボン酸等の環状化合物及びその無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、2−メチロールプロパントリカルボン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,1,2−エタントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸等の化合物及びその無水物が挙げられる。またポリマーの物性を著しく損なわない範囲でテルフタル酸などの芳香族化合物を含有するものであってもよい。これらは、単独で、又は、2種類以上組み合わせて使用することができる。
脂肪族ポリエステルの製造方法にはヒドロキシカルボン酸を脱水重縮合させる方法とヒドロキシカルボン酸の脱水物である環状二量化物または環状エステルを開環重合させる方法があり、所望の樹脂物性を得るために適宜公知の反応方法を用いることができる。
更に、脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脱水重縮合時又はヒドロキシカルボン酸の脱水物である環状二量化物を開環重合する際に、脂肪族多価アルコール及び脂肪族多価カルボン酸を加え結晶性の共重合体を得るために適宜公知の反応方法を用いることができる。
また、脂肪族ヒドロキシカルボン酸として、乳酸単独又はグリコール酸単独又は乳酸とグリコール酸を脱水重縮合させる方法と乳酸の脱水物であるラクタイドとグリコール酸の脱水物であるグリコライドをそれぞれ開環重合させ共重合体を得るために適宜公知の反応方法を用いることができる。
本発明の結晶化方法に適した脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は2000以上であれば特に制限は無いが、結晶化速度等を加味して重量平均分子量5000以上がより好ましい。
本発明の結晶化方法に適した脂肪族ポリエステルの形態は固体、溶融、溶液のいずれでもよい。固体状態では、その形状は特に限定されるものではなく、板状、塊状、紐状、ペレット状、粒状など使用することができる。均一な結晶化と、取り扱いの容易さから、ペレット状、又は、粒状が好ましい。ポリマーをペレット状、又は、粒状に成形する方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が用いられる。
溶融状態、溶液状態では、液と接触させる方法は何ら限定されるものではない。例えば、脂肪族ポリエステル溶融液を、又は、脂肪族ポリエステルを溶媒に溶解した脂肪族ポリエステル溶液を、アルカリ水溶液中に滴下して固化させ結晶化させることもでき、この場合、球状ペレットを得ることができる。
ペレット形状や粒形状は、特に限定されるものではない。ペレット形状や粒形状は、粉砕状、チップ状、球状、円柱状、マーブル状、タブレット状など特定の形状の必要はないが、一般には、球状、円柱状、又は、マーブル状が好ましい。
ペレット製造装置は、特に限定されるものではないが、例えば、サンドビック社製ストリップフォーマー、ロートフォーマー、ダブルロールフィーダー、カイザー社製ロータリー式ドロップフォーマー、及び、ピストン式ドロップフォーマー、三菱化成エンジニアリング社製ドラムクーラー、日本ベルディング社製スチールベルトクーラーおよびハイブリッドフォーマー等が挙げられる。
ポリ乳酸の溶融液滴発生装置と、ポリ乳酸の溶液液滴発生装置は、特に限定されるものではないが、それらの具体例としては、カイザー社製パスチレータ等が挙げられる。
ペレットや粒の大きさは、特に限定されるものではないが、製造工程におけるハンドリングおよび二次成形の際のハンドリングを考慮すると、0.1mm〜10mmが好ましく、1mm〜5mmがより好ましい。
本発明では結晶化時、pH≧8であることが好ましいが、より好ましくは8≦pH≦13である。pH<8ではアルカリ成分添加効果を発現しにくく、ポリマー同士の融着が生じ、更に固相重合後のポリマー着色が著しく黄色を帯びるため好ましくない。pH>13ではポリマーの加水分解が顕著となり、ポリマー収率が著しく低下するため好ましくない。
本発明における、結晶化とは、重量平均分子量>2000のポリマーを示差走査熱量計(DSC)測定(測定条件; 試料重量=約10mg、温度条件=20℃〜200℃、昇温速度=10℃/分)を行い、測定された結晶化熱が30J/g未満となったものを指す。
本発明においては、ポリマーとアルカリ水溶液の接触方法は特に制限されるものではない。ポリマーが固体状態の場合、アルカリ水溶液中に装入して接触させることもでき、アルカリ水溶液をポリマー固形物に注いで接触させることもできる。
ポリマー固形物を液体中に装入する方法は特に制限されるものではないが、その具体例としては、例えば、槽を用いる方法、塔を用いる方法などがある。槽を用いる場合、所定の温度に保ったアルカリ水溶液中に攪拌下、ポリマーを徐々に投入しバッチ処理する方法やアルカリ水溶液とポリマーを連続的に供給し連続的に結晶化されたポリマーとアルカリ水溶液を回収する連続槽型形式を取ることができる。また、塔を用いる場合は、ポリマーを固定層としてアルカリ水溶液を流通させる方法やポリマーを移動層とし同時にアルカリ水溶液を流通させる方法を取ることができ、アルカリ水溶液との接触方法はこれらの制限を受けるものでなく公知の方法が取られる。
ポリマーが溶融状態、又は、溶液状態の場合、アルカリ水溶液中に装入して接触させることができる。代表的な方法としては、所定温度に保ったアルカリ水溶液中に滴下する方法がある。
また、一旦アルカリ水溶液中に滴下して固化させた後、固体状態ポリマーとして上述した方法により液体と接触させ結晶化することもできる。
結晶化に供するポリマーの重量は、アルカリ水溶液重量に対して、0.001〜100が好ましく、更に好ましくは0.005〜50である。前記範囲内においては、好適に結晶化を行うことができる。
本発明の結晶化に使用するアルカリ水溶液中のアルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニアが好ましい。これらのアルカリ成分はいずれか一成分または二成分以上の混合物からなる。
本発明の結晶化温度はポリマーのガラス転移点(Tg)以上、アルカリ水溶液の沸点以下であることが好ましい。
本発明の結晶化時間は結晶化温度に依存するが、10〜120分が好ましく、更に好ましくは30〜100分である。前記範囲内においては、好適に結晶化を行うことができる。
本発明では、アルカリ水溶液で結晶化後、固相重合を行なうことにより、着色の少ない高分子量の脂肪族ポリエステルを製造することができる、脂肪族ポリエステルを結晶化する方法を提供することにある。本発明者らは、ポリマーをアルカリ水溶液中で結晶化することにより、ポリマー相から水相へ着色成分を移動させる、又は着色成分をアルカリ水溶液で分解していることから固相重合時の着色を低減できることを知見として得ている。
このように、アルカリ水溶液で結晶化したポリマー中の水分を除去するために乾燥し最終製品とすることもでき、また、アルカリ水溶液で結晶化したポリマーに固相重合を施し高分子量化することもできる。
[固相重合]
本発明の「固相重合」なる語の概念は、反応系に存在するポリマーの融点より低い温度で重合反応することにより分子量を増加させる重合方法を意味する。すなわち、反応系に存在するポリマーの固体状態を維持したままで、重合反応することにより分子量を増加させる重合方法を意味する。固相重合の反応温度は、一般的には、反応系に存在するポリマーの融点未満の温度、かつ、ガラス転移点Tg以上の温度が好ましく、反応系に存在するポリマーの融点未満の温度、かつ、100℃以上の温度がさらに好ましい。
また、固相重合の方式は、例えば窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガス、クリプトンガス等の不活性ガスや乾燥空気等を流通させる流通ガス雰囲気下で重合反応させる方式や、減圧下または加圧下で重合反応させる方式があるが、固相重合終了後の脂肪族ポリエステルの分子量が、固相重合開始前の分子量の数値以上であれば特に制限されない。減圧下または加圧下で重合反応を行う場合、反応系内の圧力は、重合速度や、使用する触媒の種類及び使用量、脱水重縮合反応の場合には反応により生成した水を除去する速度や効率、到達分子量等を考慮して設定される。
本発明では、重量平均分子量が10万以上、好ましくは13万以上、さらに好ましくは19万以上であり、かつ、厚み2mmあたりのYellowness Indexが5以下、好ましくは4.8以下、さらに好ましくは4.5以下である脂肪族ポリエステル、好ましくは脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体、さらに好ましくは乳酸を主成分とする重合体、より好ましくはポリ乳酸を得ることができる。
重量平均分子量が10万以上、かつ、厚み2mmあたりのYellowness Indexが5以下である脂肪族ポリエステルの製造方法は特に限定されないが、例えば公知の方法によって得られた分子量2000以上、好ましくは5000以上、さらに好ましくは6000〜20000の脂肪族ポリエステルを本発明によるpH≧8のアルカリ水溶液と接触させて結晶化させた後、前述の固相重合法を行う方法が挙げられる。結晶化方法、固相重合方法は目的に応じて適宜選択することができる。
本発明で示すYellowness Index(YI)とは、脂肪族ポリステルサンプルをTm以上で融解し、2mm厚のプレートを作成し、JIS K−7103に従って、SMカラーコンピューター(型式:SM−6−IS−2−B、スガ試験機(株))にて測定したものをいう。
前記重量平均分子量が10万以上、かつ、厚み2mmあたりのYellowness Indexが5以下である脂肪族ポリエステルは、実用上十分な機械的物性を有し、かつ、着色度が低いので、幅広い用途に用いることができる、特に低着色を必要とする用途、例えば包装容器、ボトル、フィルム、包装材料等に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価方法は以下のとおりである。
(1) 重量平均分子量
脂肪族ポリエステルをクロロホルムに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にてクロロホルムを溶媒とし、40℃で測定した。この際ポリスチレンを標準サンプルとした。
(2)Yellowness Index(YI)
脂肪族ポリステルサンプルを融点(Tm)以上で融解し、2mm厚のプレートを作成し、JIS K−7103に従って、SMカラーコンピューター(型式:SM−6−IS−2−B、スガ試験機(株))にて測定した。
評価基準は良好:YI≦5、不良YI>5とした。
[製造例1]
2000mlガラス製丸底フラスコに90%L−乳酸1070g、メタンスルホン酸3.85gを仕込んだ。窒素置換を行った後、徐々に昇温、減圧した。最終的に反応温度160℃、反応圧力1300Paで15時間反応させた。反応マスを氷冷バットに広げ急冷後、粉砕、篩分し2〜2.8mmの非晶質の造粒品を500g得た。得られたポリ乳酸の重量平均分子量は1万、Tg=45℃であった。
[実施例1]
製造例1で得られた非晶質の造粒品20gをpH11、70℃の水酸化ナトリウム水溶液80gに1分間かけてゆっくりと加えた。攪拌は造粒品投入開始から5分間行い、その後静置し合計80分後に造粒品をろ過回収した。結晶化時のポリマー同士の融着、破損はなかった。DSCにて結晶化熱は観測されなかった。重量平均分子量0.98万であった。得られた結晶化ポリマーを140℃、100時間、窒素ガス気流下で固相重合した結果、重量平均分子量19.5万、YI=2.5のポリマーであった。固相重合時の融着もなく、固相重合後の重合体の色相も良好であった。
[実施例2]
pH11の水酸化ナトリウム水溶液をpH11の水酸化カルシウム水溶液に変更した以外は実施例1と同様な操作を行った。結晶化後の重量平均分子量は1万、結晶化熱は0J/gであった。結晶化時の融着はなかった。得られたポリマーを140℃、100時間、窒素ガス気流下で固相重合した結果、重量平均分子量20万、YI=3.6であった。また、固相重合時の融着もなく、固相重合後の重合体の色相も良好であった。
[製造例2]
L−乳酸を400kg、触媒としてメタンスルホン酸を2kg仕込み、140℃、6700Paにて2時間粗脱水を行い、その後、160℃、1300Paにて8時間重縮合を行った。その後、ペレット化し粒径2.8〜3.4mm、重量平均分子量1万の非晶質ポリ乳酸を250kg得た。
[実施例3]
製造例2で得られたポリ乳酸ペレットを内径250mm、高さ1000mmの塔上部から10kg/hrで供給し、同時に70℃に保ったpH8の水酸化ナトリウム水溶液を50kg/hrで並流接触させた。ペレットは融着することなく順調に塔下部方向へ移動した。ペレットの平均滞留時間は60分であった。塔下部から得られたペレットは即座にスクリュウデカンターで脱水した。得られたペレットの結晶化熱は観測されなかった。ペレットを充分乾燥した後、測定した重量平均分子量は1万であった。引き続き140℃、60時間、窒素ガス気流下で固相重合を行ったところ、重量平均分子量13万、YI=3.5であった。また、固相重合時の融着もなく、固相重合後の重合体の色相も良好であった。
[実施例4]
70℃、pH11の水酸化ナトリウム水溶液200L中に攪拌下、製造例2で得られたポリ乳酸ペレット50kgを5分間かけて投入し、70分間結晶化を行った。結晶化を行っている間、ペレットの融着等はみられなかった。その後ペレットをろ過、回収した。
得られたペレットの結晶化熱は観測されなかった。ペレットを充分乾燥し測定した重量平均分子量は1.1万であった。引き続き140℃、100時間、窒素ガス気流下で固相重合を行ったところ重量平均分子量19万、YI=4.2であった。また、固相重合時の融着もなく、固相重合後の重合体の色相も良好であった。
[比較例1]
製造例1で得られた非晶質の造粒品20gをpH6、70℃の塩酸水溶液80gに1分間かけてゆっくりと加えた。造粒品を投入開始直後からペレット同士の融着を生じ、全量投入時には攪拌不能な状態になった。80分静置後、ペレットの塊をろ過、回収した。得られたペレットの結晶化熱は観測されなかった。ペレットを充分乾燥し測定した重量平均分子量は0.95万であった。引き続き140℃、100時間、窒素ガス気流下で固相重合を行ったところ、重量平均分子量18万、YI=7であり、重合体の色相は不良であった。
本発明によれば、固相重合法により着色度の少ない高分子量の脂肪族ポリエステルを得るための脂肪族ポリエステルの結晶化方法を提供が可能になる。

Claims (6)

  1. 脂肪族ポリエステルを、当該脂肪族ポリエステルのガラス転移点以上の温度で、8≦pH≦13のアルカリ性水溶液と接触させることにより、結晶化させることを特徴とする、脂肪族ポリエステルの結晶化方法。
  2. 脂肪族ポリエステルが脂肪族ヒドロキシカルボン酸の重合体であることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステルの結晶化方法。
  3. 脂肪族ポリエステルが脂肪族ヒドロキシカルボン酸及び脂肪族多価アルコール及び脂肪族多価カルボン酸の共重合物であることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステルの結晶化方法。
  4. 脂肪族ヒドロキシカルボン酸が乳酸及び/又はグリコール酸である、請求項2または3に記載の脂肪族ポリエステルの結晶化方法。
  5. アルカリ水溶液中のアルカリ成分が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニアからなる群から選ばれた少なくとも1つからなる
    請求項1記載の脂肪族ポリエステルの結晶化方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で結晶化した脂肪族ポリエステルを固相重合させて得られた、重量平均分子量が10万以上かつ、厚み2mmあたりのYellowness Indexが5以下の脂肪族ポリエステル。
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