JP4213857B2 - 表面被覆金属材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面被覆金属材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属材に防錆性を付与するため等に、それらの表面にクロメート皮膜を被覆することが一般に行なわれている。このクロメート処理としては、電解型クロメートや塗布型クロメートがある。電解クロメートは、例えばクロム酸を主成分とし、他に硫酸、りん酸、硼酸およびハロゲンなどの各種陰イオンを添加した浴を用いて、金属材を陰極電解処理することにより行なわれてきた。また、塗布型クロメートは、クロメート処理金属材からのクロムの溶出の問題があり、あらかじめ6価クロムの一部を3価に還元した溶液や6価クロムと3価クロム比を特定化した溶液に無機コロイドや無機アニオンを添加して処理液とし、金属材をその中に浸漬したり、処理液を金属材にスプレーしたりすることにより行なわれてきた。
【0003】
クロメート皮膜の内、電解によって形成されたクロメート皮膜は6価クロムの溶出性は少ないものの防食性は十分とは言えず、特に加工時などの皮膜損傷が大きい場合、その耐食性は低下する。一方、塗布型クロメート皮膜により被覆された金属材の耐食性は高く、特に加工部耐食性に優れているが、クロメート皮膜からの6価クロムの溶出が大きく問題となる。有機重合体を被覆すれば6価クロムの溶出はかなり抑制されるものの十分ではない。また、特開平5ー230666号公報に開示されているような一般に樹脂クロメートと呼ばれる方法では6価クロムの溶出抑制に改善は見られるものの、微量の溶出は避けられない。
【0004】
上記クロメート処理に代替する耐食性被覆技術が検討されている。代表的技術として、有機系樹脂で金属表面を被覆し、被覆皮膜の金属表面への吸着力の強化により耐食性を改善しようとする手法と、有機インヒビターを含む樹脂皮膜による耐食性改善の手法などが検討されている。前者の例として、キレート形成基としてチオール基、チオケトン基など含硫黄基を含んだ高分子キレート化剤が提案されている(例えば、特開平11−5061号公報、特開平11−158647号公報)が、基本的に皮膜の破れを伴うキズ部に対する耐食性発現が乏しく、クロメート処理のキズ部耐食性能には及ばない。
【0005】
また、後者の例として、従来より知られている水溶液中で耐食性を発現するような有機インヒビターを樹脂皮膜中へ分散させた処理が提案されているが、基本的に有機インヒビター自体の耐食性能が不十分であるためにクロメート処理に比較して、同等の耐食性能を発現するには至っていない(例えば、特開平8−25553号公報)。また、モリブデン酸、タングステン酸による金属表面の不働態化による防錆も検討されているがキズ部の耐食性に課題が残る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の課題に対して、樹脂マトリックス中にチオカルボニル基を含有する化合物をインヒビターとして含有し、更に、リン酸を共存させることにより、クロメート処理に匹敵する耐食性を発現することを見出し、新規防錆処理金属材を提案した(特開平11−29724号公報)。しかしながら、塗装下地処理としての性能、とりわけ塗装との密着性のより一層の向上が強く望まれていた。本発明は前記課題の解決を目的としたものであり、即ち、クロメート処理以上の耐食性を有し、同時に、塗装密着性が高く、且つ、環境適合性に優れた表面被覆金属材料の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の知見に基づき本発明を完成させるに至ったものである。
即ち、本発明者らは、種々の高分子で被覆した金属材料の耐食性、及び、上塗り塗装の密着性を検討した結果、以下の知見を得た。耐食性は樹脂の種類により大きく変化することが判明し、詳細な検討の結果、耐食性に優れる樹脂は、オレフィン樹脂、フッ化オレフィン樹脂、エーテル樹脂、又は、これらの混合体、若しくは、重合体であることを見出した。但し、これらの樹脂で被覆した金属材料は耐食性には優れるが、上塗り塗装と充分な密着性を発揮しない場合があることも判明した。
【0008】
そこで、金属表面と被覆樹脂との密着性、被覆樹脂と上塗り塗装樹脂との密着性の両方を高める目的で、前記被覆樹脂に酸素、窒素など炭素に対して電気陰性度の異なる元素を導入することを検討した。これは、金属表面が多くの場合金属酸化物で構成され、酸素、窒素などを含んだ樹脂との相互作用が強く密着性も向上することを狙ったものである。また、上塗り塗装を構成する樹脂が一般に酸素、窒素などを含み樹脂中に局在した双極子を持つ。従って、金属を被覆する樹脂側にも同様の局在化双極子を導入することにより静電気的な相互作用に基づく被覆皮膜と上塗り塗装皮膜との密着性向上を狙うものである。
【0009】
酸素・窒素を含む樹脂を種々検討した結果、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物及びこれらの誘導体からなる樹脂を用いて金属表面を被覆した場合に上塗り塗装との密着性が著しく改善されることが判明した。前述の耐食性に優れたオレフィン樹脂、フッ化オレフィン樹脂、エーテル樹脂、又は、これらの混合体、若しくは重合体と、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物及びこれらの誘導体からなる樹脂との複合化により、耐食性と上塗り塗装密着性との両立を可能にしたものである。
【0010】
本発明の被覆処理において、クロメート処理以上の耐食性を発揮させるための重要な構成は、上記樹脂中への防錆剤の分散である。本発明者らが鋭意検討の結果、下記のような特定の構造の有機化合物を樹脂皮膜中に分散させることによりクロメート処理以上の耐食性を発現することが可能となった。即ち、本発明は、前述の特定の樹脂をマトリックスとし、その中に下記の特定の構造の有機化合物を防錆剤として分散させることにより完成されたものである。
【0011】
具体的には本発明は下記の(1)〜(8)より構成される。
(1)オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物と、
(a)硫黄原子を1個以上含む非環状構造を主骨格とし、これにカルボキシル基(−COOH)を1個以上と、硫黄、窒素又は酸素のいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上を付加した構造を有する有機化合物、又は、
(b)硫黄原子を2個以上含有する複素環構造又は硫黄原子と窒素原子を各々1個以上含有する複素環構造を主骨格とし、これに硫黄、窒素又は酸素のいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上を付加した構造を有する有機化合物、から選ばれる1種以上の有機化合物とを少なくとも含有する樹脂組成物を表面に被覆してなることを特徴とする耐食性、塗装性及び環境適合性に優れた表面被覆金属材料。
【0012】
(2)前記高分子化合物が、該高分子骨格中に、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物、又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上を付加した構造を有する前記(1)記載の表面被覆金属材料。
(3)前記高分子化合物が、該高分子化合物と、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物、又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上とを重合した構造を有する前記(1)記載の表面被覆金属材料。
【0013】
(4)前記高分子化合物が、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の高分子化合物のうち1種又は2種以上と、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物、又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上からなる樹脂との混合体である前記(1)記載の表面被覆金属材料。
(5)前記有機化合物が、主骨格にカルボキシル基(−COOH)を2個付加した構造である前項(1)記載の表面被覆金属材料。
【0014】
(6)前記有機化合物が、サルファイド(−S−)、ダイサルファイド(−S−S−)、又はチオール(−SH)のいずれか1種又は2種以上を含む非環状構造を主骨格とする前記(5)記載の表面被覆金属材料
(7)前記有機化合物が、硫黄原子と窒素原子を各々1個以上含有する複素5員環構造を主骨格とする前記(1)記載の表面被覆金属材料。
(8)前記有機化合物が、さらに−SH、−NH2 、=S、=NH、又は=Oで表わされる官能基の1種又は2種以上を主骨格に付加した構造である前記(7)記載の表面被覆金属材料にある。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における表面被覆皮膜は、オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物を皮膜の主成分とし、その中に、後述する特定の構造の有機化合物を防錆剤として含有することを必須の構成とする。
ここで、オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物の皮膜に占める割合は、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上である。高分子化合物の皮膜に占める割合が50質量%未満では、高分子化合物の持つ耐食性、機械的強度など様々な性質を皮膜構造体として発現させるのが困難になる。
【0016】
オレフィン樹脂とは、いわゆる脂肪族オレフィンの付加重合体を指すものであり、例示するならば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリペンテン、ポリヘキセン、ポリオクテニレン、ポリメチルペンテンなどや、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴムを挙げることができる。また、上記ユニットの共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5-エチリデン−2−ノルボーネン共重合体などの脂肪族ポリオレフィンを挙げることができる。
【0017】
さらに、本発明におけるオレフィン樹脂として、特にスチレン及びその誘導体の重合体も含むものとする。スチレンを含むオレフィン樹脂は疎水性が強く、そのために塩水に代表される腐食環境溶液に対するバリア性が高く、その結果、オレフィン樹脂を主成分とするマトリックスで被覆処理した金属材料は耐食性に優れるものと考えられる。
【0018】
フッ化オレフィン樹脂は、オレフィン樹脂を構成する水素の一部又は全部をフッ素で置換した構造の樹脂を指し、例示するならば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンポリプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフロロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー(ETFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、三フッ化塩化エチレン−エチレンコポリマー(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は何れもオレフィン樹脂以上に疎水性が強く、そのためにこれら樹脂を主成分とするマトリックスで被覆した金属材料は耐食性に優れるものと考えられる。
【0019】
エーテル樹脂とは、環状エーテルの開環重合により合成される高分子化合物を指し、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフランなどの重合体、又は、これらの2種以上からなる共重合体を挙げることができる。これらの化合物は基本的に結晶性が高く、構造中に酸素を含むが水溶液の浸入に対するバリア性は高く、従って、オレフィン樹脂、フッ化オレフィン樹脂と同様に耐食性に優れるものと考えられる。
【0020】
上述のオレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物とは、いわゆる共重合体のように高分子の構成単位レベルでの複合体であってもよいし、ポリマーアロイなど樹脂どうしの物理的混合体であってもよい。
また、ここでいう樹脂とは、分子量1000以上の高分子化合物を指し、好ましくは、分子量5000以上の高分子化合物を本発明に好適に用いることができる。
【0021】
本発明では、“耐食性の高い”オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物(以下、耐食性樹脂と略記する)に対して、“密着性に優れる”アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物及びこれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上(以下、密着性因子と略記する)を、
(1)耐食性樹脂の樹脂骨格に付加結合する、
(2)耐食性樹脂の樹脂骨格に対して重合の形態で骨格内部に取り込む、
(3)樹脂どうしの物理的混合、
などの形態により複合化し、耐食性樹脂に密着性因子を取り込むことが本質的に重要である。ここで、(3)の樹脂どうしの物理的混合とは、密着性因子からなる樹脂と耐食性樹脂との物理的混合体を指すものである。
【0022】
本発明で用いるアクリル化合物とは、アクリル酸、又はメタクリル酸とこれらの誘導体を指す。アクリル酸の誘導体を具体的に示すならば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ラウリル、エチル−3−ジメチルアミノアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(ペンタ)アクリレート、n−ステアリルアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、アクリロニトリルなどが挙げられ、さらにメタクリル酸の誘導体としては、前記アクリル酸をメタクリル酸に置き換えた化合物を例示することが可能である。更に、アクリル酸、メタクリル酸のカルボン酸を陽イオンで中和したものもアクリル化合物に含まれるものとする。陽イオン種は特に限定されるものではないが、アンモニア、Na+ 、K+ 、Li+ 、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Co2+、Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti3+、Zr3+、Sc3+、などの1価、2価、3価の陽イオンを例示することができる。
【0023】
本発明において規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物にアクリル化合物を付加結合した構造」とは、該樹脂を構成する主骨格の炭素原子に対して、当該炭素原子に結合する1個の水素原子に替わってアクリル化合物を共有結合で付加させたものである。アクリル化合物の付加結合の具体例として、エチレンと3−ブテン−1−オールとの共重合などにより予めヒドロキシル基を導入したエチレン鎖骨格の樹脂と、カルボキシル基を含むアクリル化合物とをエステル化させるなどの方法を例示することが可能である。
【0024】
本発明で規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物と、アクリル化合物とを重合した構造」とは、オレフィン樹脂を構成するオレフィンモノマー、エーテル樹脂を構成するエーテル環、又はフッ化オレフィンを構成するフッ化オレフィンモノマーの1種又は2種以上と、アクリル化合物とを重合してできる高分子化合物を指すものである。具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、及びこれらの共重合体中の酸性官能基の一部若しくは全部をアンモニウムイオン、又は金属陽イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、ブテン−エチレン−アクリル酸共重合体、ブテン−エチレン−メタクリル酸共重合体を例示することができる。
【0025】
本発明で規定するアクリル化合物からなる樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体の1種又は2種以上を重合してなる高分子化合物、又は、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの誘導体と、他のビニル化合物との共重合体を示すものである。他のビニル化合物は特に限定されるものではなく、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレンなどを例示することができる。更に、アクリル化合物からなる樹脂のカルボン酸を一部若しくは全部を陽イオンで中和したいわゆるアイオノマーもアクリル化合物からなる樹脂に含まれるものとする。陽イオン種は特に限定されるものではないが、アンモニア、Na+ 、K+ 、Li+ 、Zn2+、Mg2+、Ca2+、Co2+、Ni2+、Pb2+、Cu2+、Mn2+、Ti3+、Zr3+、Sc3+、などの1価、2価、3価の陽イオンを例示することができる。また、金属陽イオンで中和されていない残余の酸性官能基の一部は低級アルコールなどでエステル化されていてもよい。
【0026】
本発明で用いるウレタン化合物とは、いわゆるウレタン結合を含む化合物を総称するものであり、その構造は特に限定されない。
本発明において規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物にウレタン化合物を付加結合した構造」とは、該樹脂を構成する主骨格の炭素原子に対して、当該炭素原子に結合する1個の水素原子に替わってウレタン化合物を共有結合で付加させたものである。具体的調製方法としては、予めカルボキシル基、又はヒドロキシル基を導入した当該樹脂に対してジイソシアネート化合物を反応させ、次いで、樹脂に導入されたイソシアネートと多価アルコールとを反応させる方法などを例示することが可能である。
【0027】
本発明で規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物と、ウレタン化合物とを重合した構造」とは、主鎖骨格が当該樹脂の繰り返し単位と後述するウレタン樹脂の繰り返し単位とが混合した構造の高分子化合物を指すものであり、例えば、1,6-ジイソシアネートヘキサンなどのエチレン鎖の両末端にイソシアネート基を持つ化合物とアルキルジオールとの重合体を例示することができる。
【0028】
ウレタン化合物からなる樹脂とは、ジイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物とグリコールなど多価アルコール化合物との重付加反応により合成される高分子化合物を指し、例示するならば、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートブタン、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,8−ジイソシアネートオクタン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ビフェニレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のジオール化合物との重合体を挙げることができる。
【0029】
エステル化合物とは、いわゆるエステル結合を含む化合物を総称するものであり、その構造は特に限定されない。
本発明において規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物にエステル化合物を付加結合した構造」とは、該樹脂を構成する主骨格の炭素原子に対して、当該炭素原子に結合する1個の水素原子に替わってエステル化合物を共有結合で付加させたものである。具体的調製方法としては、エチレンと4−ペンテン酸との共重合などによりカルボキシル基を導入したエチレン骨格樹脂を調製し、当該樹脂のカルボキシル基と低級アルコール化合物を脱水縮合反応させる方法などを例示することが可能である。
【0030】
本発明で規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物と、エステル化合物とを重合した構造」とは、主鎖骨格が当該樹脂の繰り返し単位と後述するエステル樹脂の繰り返し単位との混合した構造からなる高分子化合物を指すものであり、例えば、アルキルジカルボン酸とエチレングリコールを重合させることにより、エチレン鎖とエステル結合とからなる主鎖骨格の樹脂を例示することができる。
【0031】
本発明で規定するエステル化合物からなる樹脂とは、多価アルコールと多価塩基酸との重縮合体を指し、具体的に例示するならば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAなどの多価アルコールと、アジピン酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸などの多価塩基酸との重縮合体を挙げることができる。また、エステル化合物と耐食性樹脂との共重合体は、例えば、オレフィン化合物とアクリル酸エステルとの共重合体として調製することが可能である。
【0032】
本発明において、エポキシ化合物とはエポキシ基を有する構造の化合物を意味するものであり、特にその構造を制限するものではない。
本発明において規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物にエポキシ化合物を付加結合した構造」とは、該樹脂を構成する主骨格の炭素原子に対して、当該炭素原子に結合する1個の水素原子に替わってエポキシ化合物を共有結合で付加させたものである。具体的には、エチレンとエポキシ基を末端に持つビニル化合物との共重合によりエポキシ基を導入したエチレン骨格樹脂を調製することが可能である。
【0033】
本発明で規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物と、エポキシ化合物とを重合した構造」とは、主鎖骨格が当該樹脂の繰り返し単位と後述するエポキシ樹脂の繰り返し単位との混合した構造からなる高分子化合物を指すものであり、例えば、末端にアミノ基を導入したポリエチレンとエポキシ樹脂との重合体を例示することができる。
【0034】
本発明において規定するエポキシ化合物からなる樹脂とは、末端に反応性のエポキシ基を有する樹脂を指すものであり、具体的には、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グルシジルアミン型、脂環型などを例示できる。グリシジルエーテル型として、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ナフタレン型、フルオレン型、フェノールノボラック型などを例示できる。
【0035】
アミド化合物とはアミド結合を骨格に含む化合物を指し、本発明では特にその構造を限定するものではない。
本発明において規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物にアミド化合物を付加結合した構造」とは、該樹脂を構成する主骨格の炭素原子に対して、当該炭素原子に結合する1個の水素原子に替わってアミド化合物を共有結合で付加させたものである。具体的には、エチレンとカルボキシル基を末端に持つビニル化合物との共重合によりカルボキシル基を導入したエチレン骨格樹脂を調製し、導入したカルボキシル基とアミノ基含有化合物との脱水縮合化合物を例示することが可能である。
【0036】
本発明で規定する「オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物と、アミド化合物とを重合した構造」とは、主鎖骨格が当該樹脂の繰り返し単位と後述するアミド樹脂の繰り返し単位とを混合した構造からなる高分子化合物を指すものであり、例えば、末端にカルボキシル基を導入したポリエチレンとアルキルジアミンとの重合体を例示することができる。
【0037】
本発明において規定するアミド化合物よりなる樹脂とは、いわゆるアミド樹脂を指し、アミド結合を含むユニットの繰り返しにより主鎖を構成する高分子化合物である。本発明では特にアミド樹脂の骨格構造に制限を有しないが、ポリアミド6(ε-カプロラクタムの開環重合体)、ポリアミド66(ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合体)、ポリアミド610(ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合体)、ポリアミド11(11−アミノウンデカン酸の縮重合体)、ポリアミド12(ω−ラウロラクタムの開環重合、又は12−アミノドデカン酸の縮重合体)、前記5成分のうち2成分以上を共重合したポリアミドを例示することができる。
【0038】
オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物の骨格中に、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上を付加結合した構造とは、上述の各々の化合物の付加を複合した構造の高分子化合物を指し、各々の化合物の具体例で示した方法を組み合わせて調製することができる。
【0039】
また、オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物とアクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上とを重合した構造とは、主鎖骨格がオレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物の繰り返し単位と、前記化合物からなる樹脂の繰り返し単位とを混合した構造からなる高分子化合物を指すものであり、各々の化合物の具体例で示した方法を組み合わせて調製することができる。
【0040】
本発明において規定するアクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上からなる樹脂とは、各々の化合物からなる樹脂どうしの混合体、又は、各々の化合物からなる樹脂を構成する繰り返し単位を混合した主鎖構造を持つ高分子化合物を指すものである。本発明において規定する高分子化合物において、オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂からなる部分は、全高分子化合物に対して50質量%以上、好ましくは60質量%以上である。オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂からなる部分が50質量%未満では、オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂の持つ高い耐食性が高分子自体に十分に反映されない。
【0041】
本発明にて規定する高分子化合物において、上述の高分子化合物以外に含有可能な高分子化合物は特に限定されるものではなく、具体的には、尿素樹脂、アニリン−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂などのアミノ樹脂、クレゾール樹脂、キレノール樹脂などのフェノール樹脂、ポリアセタール、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのビニル樹脂、ケイ素樹脂を例示することができる。
【0042】
本発明では、上述の樹脂を主成分とするマトリックスに対し、以下に述べる有機化合物を防錆剤として含有させることがクロメート処理以上の耐食性を発現するには必須である。上述のような樹脂の構造の最適化は、耐食性・塗装密着性の両立において必須であり、樹脂の構造最適化で達成し得る耐食性は平面部など被覆皮膜に亀裂など損傷がなければクロメート処理に匹敵する耐食性を発現し得るが、皮膜にキズが入った場合などのように金属表面が腐食環境に曝された場合にはいわゆるインヒビターなどの防錆剤の皮膜中への含有が必須となる。本発明において重要な点は、上述の樹脂との組み合わせにおいてクロメート処理を凌駕するような非常に優れた防錆剤としての有機化合物の構造を見出したことである。
【0043】
従来より、リン酸に代表されるような酸素酸化合物が耐食能を発現することが知られており、酸素酸化合物と本発明の規定するところの有機化合物とを樹脂マトリックス中に共存させることにより耐食性を改善することが可能であるが、酸素酸化合物のような水溶性の化合物を樹脂マトリックス中に含有すると、水溶性化合物の溶出などにより塗装と耐食層の間の耐水密着性が低下してしまう。従って、本発明の塗装密着性の改善の方法は、水溶性の物質を樹脂マトリックス中に含有せずに、難水溶性の有機化合物を防錆剤として含むことにより十分な耐食性を発揮することが重要なポイントである。難水溶性の尺度には溶解度を用いることができ、本発明で好ましい溶解度は、20℃の水に対して、5質量%以下である。
【0044】
本発明における防錆剤としての有機化合物による防錆の機構は、「金属表面へ吸着した有機化合物が形成するバリア性被覆層による耐食性発現」である。即ちバリア性を発揮するかどうかが防錆の要であり、バリア性を発揮するために有機化合物に求められる条件は、(1)金属表面に対する吸着能が高いこと、(2)吸着した有機化合物は他の腐食因子(塩素イオンなど)の浸入を防ぐに足る充分緻密な構造体を金属表面に形成する能力を持つ、の二つの要件を満足することである。ここで注意すべきは、金属原子、或いは金属イオンに対してキレート構造を作る化合物が必ずしも防錆機能を有しないことである。キレートを作る能力が高すぎると、腐食環境において環境中に溶出した金属イオンをキレート化して、溶出金属イオンの濃度を低下させ、さらなる金属の溶出を起こし腐食反応を促進する可能性があるからである。
【0045】
上述の説明から明らかなように、本発明において特定するところの防錆能を有する有機化合物は、種々の溶液環境中において、その溶液に接触した金属表面の腐食反応を抑制する用途に用いることが可能である。
本発明者らが鋭意検討した結果、
(a)硫黄原子を1個以上含む非環状構造を主骨格とし、これにカルボキシル基(−COOH)を1個以上と、硫黄、窒素又は酸素のいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上を付加した構造を有する有機化合物、又は、
(b)硫黄原子を2個以上含有する複素環構造又は硫黄原子と窒素原子を各々1個以上含有する複素環構造を主骨格とし、これに硫黄、窒素又は酸素のいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上を付加した構造を有する有機化合物、から選ばれる1種以上の有機化合物を本発明において規定するところの樹脂を主成分とするマトリックス中に含有することによりクロメート処理以上の耐食性を発揮することが判明した。
【0046】
非環状化合物、環状化合物の何れの場合にも共通するのは、基本的に金属に対する吸着力が強い硫黄原子、窒素原子、酸素原子の1種、又は2種以上より構成される吸着部位が、化合物構造中に合計3個以上存在することである。ここで、−CONH2 基のように吸着能の高い元素を複数個含むような官能基の場合には、−CONH2 で一つの吸着部位とみなす。3個以上の吸着部位の内の2個の吸着部位により金属表面を構成する金属原子と強固な結合を作り、同時に、残りの吸着部位は、吸着した化合物間の相互作用を高めることにより吸着分子による緻密な構造体を金属表面に形成することに寄与するものと推察される。
【0047】
非環状化合物の場合には、上記3個以上の吸着部位として、非環状構造中に含まれる1個以上の硫黄と1個以上のカルボキシル基と、且つ硫黄、窒素、酸素のうちいずれか1種又は2種以上を含有する1個以上の官能基とから構成されることが必須である。これは、硫黄、窒素、酸素の中で最も吸着力の強い硫黄により構成される吸着部位とカルボキシル基との組み合わせにより、非常に強固な金属表面との結合を生じるためと推察される。
【0048】
更に、非環状構造中に含まれる1個以上の硫黄と2個以上のカルボキシル基との構成により一層の耐食性向上が達成され、更には、2個以上のカルボキシル基と組み合わされる1個以上の硫黄原子の存在形態としてサルファイド(−S−)、ダイサルファイド(−S−S−)又はチオール(−SH)が最も優れた耐食性を発現する。最も近接した硫黄原子とカルボキシル基との組み合わせにおいて、硫黄原子とカルボキシル基を構成する炭素原子との間の原子数は1個以上3個以下が好ましい。硫黄原子とカルボキシル基が隣接する、すなわち、間に原子を一つも介さない場合には金属表面を構成する金属原子に対して硫黄原子とカルボキシル基とが強固な吸着構造を作りにくく、他方、4原子以上間に介して硫黄原子とカルボキシル基とが近接する場合、距離が遠すぎて金属表面に対して強固な吸着構造を作りにくい。
【0049】
他方、環状化合物の場合には、上記3個以上の吸着部位として、硫黄原子を2個以上、又は硫黄と窒素原子を各々1個以上含有する複素環構造であって、硫黄、窒素、酸素のうちいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上付加した構造が耐食性発現において必須である。硫黄原子を2個以上含む複素環構造、又は硫黄と窒素原子を各々1個以上含有する複素環構造が吸着力を強くする基本骨格として有効であることが見出され、前記複素環構造の基本骨格に硫黄、窒素、酸素のうちいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上付加した構造により、3個以上の吸着部位を構成すると優れた耐食性を発現すると推察される。
【0050】
複素環を構成する原子数が7以上では、分子量が大きすぎるために樹脂マトリックス中を移動することが困難となり、その結果腐食部位へ到達しにくく防錆機能を発現しにくいため、本発明では、複素環は6員環以下の構造が好ましい。より好ましくは、窒素、硫黄を各々1個以上含有する複素5員環構造を基本骨格とする化合物が望ましい。更に、前記5員環構造に付加する官能基が−SH、−NH2 、=S、=NH、=Oのとき、最も優れた耐食性を発現する。これらの官能基を付加することにより、官能基のプロトンの移動による共鳴構造をとり易く、分子構造からのプロトン解離エネルギーが低下する。付加した官能基のプロトン解離を伴う金属表面への吸着は、環状化合物の金属表面との吸着をより一層強固としその結果防錆力を増強するものと考えられる。
【0051】
本発明にて防錆剤として規定する有機化合物は上述の構造を満たす化合物であれば特に限定されるものではないが、具体的に化合物を挙げるならば、非環状化合物としては、L−システイン(L−cysteine)、D−システイン(D−cysteine)、DL−システイン(DL−cysteine)、L−システィン(L−cystine)、D−システィン(D−cystine)、DL−システィン(DL−cystine)、L−ホモシステイン(L−homocysteine)、D−ホモシステイン(D−homocysteine)、DL−ホモシステイン(DL−homocysteine)、L−s,s'−メチレンビスシステイン(L−s,s'−methylenebis[cysteine])、D−s,s'−メチレンビスシステイン(D−s,s'−methylenebis[cysteine])、DL−s,s'−メチレンビスシステイン(DL−s,s'−methylenebis[cysteine])、s−カーバミル−L−システイン(s−carbamyl−L−cysteine)、メルカプトコハク酸(mercaptosuccinic acid)、ジカルボキシメチルサルファイド(dicarboxymethyl sulfide)、ビス(2−カルボキシエチル)サルファイド(bis(2−carboxymethyl)sulfide)、ジチオジグリコール酸(dithiodiglycolic acid)、ビス(2−カルボキシエチル)ジサルファイド(bis(2−carboxymethyl)disulfide)、2,3−ジメルカプトコハク酸(meso−2,3−dimercaptosuccinic acid)、α,α’−ジメルカプトアジピン酸(meso−α,α’−dimercaptoadipic acid)、N−アセチル−L−システイン(N−acetyl−L−cysteine)、3−カルボキシメチルチオ−L−アラニン(3−carboxymethylthio−L−alanine)、s−メチル−L−システイン(s−methyl−L−cysteine)、s−エチル−L−システイン(s−ethyl−L−cysteine)、s−アセタミドメチル−L−システイン(s−acetamidomethyl−L−cysteine)、s−(2−アミノエチル)−L−システイン(s−(2−aminoethyl)−L−cysteine)、L−シスタチオニン(L−cystathionine)、ランチオニン(lanthionine)、s−カルボキシエチル−L−システイン(s−carboxyethyl−L−cysteine)、s−(2−アミノ−2−カルボキシエチル)ホモシステイン(s−(2−amino−2−carboxyethyl)homocysteine)などを例示することができる。
【0052】
また、環状化合物としては、1,4−ジチアン−2,5−ジオール(1,4−dithiane−2,5−diol)、1,2−ジチアン−4,5−ジオール(trans−1,2−dithane−4,5−diol)、5−イミノ−(1,2,4)ジチアゾリジン−3−チオン(5−imino−(1,2,4)dithiazolidine−3−thione)、2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール(2−amino−1,3,4−thiadiazole)、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(2−amino−5−mercapto−1,3,4−thiadiazole)、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(2,5−dimercapto−1,3,4−thiadiazole)、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(2−mercapto−1,3,4−thiadiazole)、2−チオキソ−4−チアゾリジノン(2−thioxo−4−thiazolidinone)、4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジニル酢酸(4−oxo−2−thioxo−3−thiazolidinylacetic acid)などを例示することができる。
【0053】
樹脂を主成分とするマトリックス中における防錆剤として本発明で規定する有機化合物の存在形態は、塩水などの腐食溶液がマトリックス中に浸入した際、媒体である水に防錆剤である有機化合物が微量溶解して金属表面に到達して防錆機能を発現し得るものであれば特に限定されない。具体的には、マトリックス中への微分散形態、或いは、マトリックス樹脂中への溶解状態が好ましい。また、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基などプロトン解離性の官能基を持った有機化合物の場合には、アンモニア、水酸化ナトリウムなどの塩基と塩を形成した状態でマトリックス中に存在させてもよい。
【0054】
表面被覆層中の防錆剤としての有機化合物の含有量は、被覆金属材の腐食速度の程度や用途にもよるため一概には規定できないが、金属表面に対して、1mg/m2 以上が好ましく、1mg/m2 未満では、耐食性が十分ではない。また、10g/m2 を超えても耐食性はそれほど向上せず、経済性を考慮すると10m/m2 で十分である。加工性など被覆層の基本的機械物性が樹脂マトリックスの物性により発現するものであるので、樹脂マトリックスに対する防錆剤の比率の制御も重要である。樹脂マトリックスの物性を阻害しない防錆剤の含有量として10質量%以下が適当であり、好ましくは、5質量%以下である。一方、被覆層の膜厚は0.1μm以上が好ましく、さらに好ましくは0.2μm以上である。0.1μm未満では耐食性が十分ではない。膜厚の上限は耐食性の観点からは特に限定されず、むしろ用途に応じて制限される。しかしながら、膜厚が30μmを超えても耐食性はそれほど向上せず、経済性を考慮すると30μm以下が好ましい。
【0055】
防錆皮膜の製膜方法は特に制限しないが、マトリクス樹脂の種類に応じて、例えば、溶融状態にしてから防錆剤としての有機化合物を含有させ、これを押し出して材料の上にコーティングする方法(押し出しラミネーション)、本樹脂組成物をあらかじめフィルムとして成形したものを材料の上に熱圧着する方法(フィルムラミネーション)、樹脂を溶剤に溶解してから防錆剤としての有機化合物を添加し、これを材料の上に塗布したのち、乾燥・製膜する方法、樹脂をエマルジョン又は水溶液として水に分散、溶解させてから防錆剤としての有機化合物を添加し、これを材料の上に塗布して乾燥、製膜する方法などがある。これらのうち、塗布・乾燥方式を用いる場合には、その方式は特に制限しないが、ロールコーターによる塗布、スプレー塗布+リンガーロール絞り、スプレー塗布+エアナイフ絞り、バーコーターによる塗布、刷毛塗りなどの通常の方法が使用可能である。また、塗布後の乾燥についても、熱風乾燥、直火炉での乾燥、誘導加熱による乾燥など、通常の方法が適用できる。乾燥後に水冷・水洗を行うことは必須ではないが、水浴中への浸漬、シャワーによる水洗、ミストによる気水冷却なども適用可能である。
【0056】
樹脂マトリクス、防錆剤以外に皮膜中に添加可能なものとしては、充填剤、潤滑剤、架橋剤などがある。使用可能な充填剤としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、タルク、クレー、ドロマイト、炭酸カルシウム、硫酸ベリリウム、カーボンファイバー、グラスファイバー、雲母、チタン酸カリウイスカー、滑石などがある。潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化セリウム、メラミンシアヌレート、フッ素樹脂系ワックス、ポリオレフィン系ワックス等がある。架橋剤としては、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミン系架橋剤、などを例示できる。樹脂を溶剤や水に溶解、分散させて塗布する場合には、本来の性能を損なわない範囲内で消泡剤やレベリング剤を添加してもさしつかえない。
【0057】
本発明において規定する防錆剤としての有機化合物は、何れも金属種に関わらず防錆能力を発揮し得るものであり、従って、母材となる金属種を限定するものではない。例えば、鉄、鋼、銅、アルミニウム、亜鉛など一般に公知の金属に対して適用することができる。また、これら金属の合金もしくはこれらの金属表面を他の金属でメッキしたものであっても適用することができる。本発明において規定する有機化合物は、これら公知の金属の内、特に鋼系の金属もしくは鋼にメッキを施した金属において効果を発揮する。鋼成分の限定は特に行わず,どのような鋼種に対しても耐食性向上効果を有する。例えば、Ti,Nb,B等を添加したIF鋼、Al−K鋼、Cr含有鋼、ステンレス鋼、ハイテン等などが挙げられる。
【0058】
鋼にめっきを施したものとしては、例えば溶融亜鉛メッキ鋼材、溶融亜鉛ー鉄合金メッキ鋼材、溶融亜鉛ーアルミニウムーマグネシウム合金メッキ鋼材、溶融アルミニウムーシリコン合金メッキ鋼材、溶融鉛ースズ合金メッキ鋼材などの溶融メッキ鋼板や、電気亜鉛メッキ鋼材、電気亜鉛ーニッケル合金メッキ鋼材、電気亜鉛ー鉄合金メッキ鋼材、電気亜鉛ークロム合金メッキなどの電気メッキ鋼材などが挙げられる。金属材の形態は、薄板材、厚板材、パイプ、線材、棒材な一般に公知の形態のものが挙げられ、これらを更に加工したものであっても良い。
【0059】
本発明における表面被覆金属材料とは、本発明の樹脂組成物で被覆された材料の表面を構成する物質が金属であることを意味しており、上述の金属材料に限定されるものではなく材料内部の材質は問わない。具体的には、プラスチック材料表面やセラミックス材料表面へコーティング、蒸着などの方法により金属材料を被覆した材料を例示することができる。
【0060】
【実施例】
次に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
(1) 供試した材料
以下の4種類の材料を用いた
1)電気亜鉛めっき鋼板(EG、Zn付着量20g/m2 、板厚0.8mm)
2)合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA、Zn付着量20g/m2 、Fe%=15%、板厚0.8mm)
3)アルミニウム板)Al、板厚1.4mm)
4)冷延鋼板(CR、板厚0.3mm)
【0061】
(2)皮膜マトリックスに用いた樹脂、並びにその他の皮膜組成物
表1のR1〜R4を実施例として、R5を比較例として用いた。表中の数字は質量部(固形分)である。
(3) 防錆剤として用いる有機化合物
表2のI−1〜I−16を実施例として、I−17〜I−25を比較例として用いた。添加量はいずれも、マトリクス樹脂および添加物の合計固形分に対して1wt%とした。
【0062】
【表1】
【0063】
なお、表1に示す高分子化合物、その他の皮膜組成物は、以下の通りである。
*1)PTFE樹脂:粒子径0.2μmの水分散体
*2)エチレン・メタクリル酸共重合体:粒子径200nm、ガラス転移温度90℃の水分散体、メタクリル酸含有量25wt%
*3)エーテル系ポリウレタン樹脂:粒子径150nm、ガラス転移温度25℃の水分散体
*4)カーボネート系ポリウレタン樹脂:粒子径80nm、ガラス転移温度85℃の水分散体
【0064】
*5)アイオノマー:Na中和された融点87℃の水分散体、アクリル酸含有量15wt%
*6)ポリエステル樹脂:線状飽和ポリエステル樹脂の水分散体、ガラス転移温度67℃、粒子径2.5μm、融点90℃の水分散体の水分散体
*7)ポリエチレン樹脂:粒子径200nm
*8)エポキシ樹脂:ビスフェノールF型エポキシ樹脂の水分散体、粒子径200nm
【0065】
*9)ポリアミド樹脂:粒子径4μmのナイロン6の水分散体
*10)アクリル酸エステル共重合樹脂:粒子径200nm、スチレン30%、アクリル酸ブチル55%、アクリル酸15%の共重合体の水分散体
*11)コロイダルシリカ:粒子径20nmの水分散体
*12)シランカップリング剤:γグリシドキシトリメトキシシラン
【0066】
【表2】
【0067】
(4)表面処理方法
表1の樹脂、及び表2の添加剤を水、若しくはアンモニア水を溶媒として混合して処理液を調製した。供試板の表面を脱脂、水洗等により清浄にしてから乾燥したのち、この液をバーコーターにて塗布し、熱風乾燥炉で板温100℃で乾燥して表4に示す膜厚の表面被覆金属材料を得た。
(5)比較材
供試板に表3のようなクロメート処理、および樹脂皮膜を施した材料を比較材として用いた。
【0068】
【表3】
【0069】
なお、表3に示すクロメート、樹脂皮膜は次の通りである。
*1)塗布型クロメート:部分還元クロム酸(クロム還元率40%)とコロイダルシリカの混合物(CrO3 :SiO2 =1:2)を水希釈して、バーコーターにて供試板に塗布し、板温60℃で乾燥した。
*2)電解型クロメート:無水クロム酸水溶液(CrO3 =20g/l)に硫酸を100ppm添加し、電解還元により供試板上に皮膜を形成させ、水洗、乾燥した。
*3)水溶性アクリル樹脂:市販の水溶液ポリアクリル酸を水希釈ののちバーコーターで塗布し、板温100℃で乾燥した。
*4)低密度ポリエチレン:融点120℃の直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを熱圧着した。
【0070】
(6)性能評価
(6−1)平板耐食性
供試板を150mm×70mmに切断し、裏面と端面にテープシールを施した後、JIS Z2371に準じて、35℃、5%の塩水を噴霧し、240時間後の発錆状況から下記のように評価した。
EG,GA,ALの場合:白錆発生面積率で評価
◎ :錆発生なし
○ :錆発生率5%未満
△ :錆発生率5%以上、15%未満
× :錆発生率15%以上
【0071】
CRの場合:赤錆発生面積率で評価
◎ :錆発生なし
○ :錆発生率5%未満
△ :錆発生率5%以上、15%未満
× :錆発生率15%以上
【0072】
(6−2)加工部耐食性
供試板を150mm×70mmに切断し、裏面と端面にテープシールを施した後、サンプルの裏面側から直径約15mmの鋼製半球状の突起を押し付け、サンプル表面をドーム状に加工する、いわゆるエリクセン加工を施し、ドームの高さが6mmとなるようにしたのち、JIS Z2371に準じて、35℃、5%の塩水を噴霧し、120時間後の発錆状況から下記のように評価した。
EG,GA,ALの場合:白錆発生面積率で評価
◎ :錆発生なし
○ :錆発生率5%未満
△ :錆発生率5%以上、15%未満
× :錆発生率15%以上
【0073】
CRの場合:赤錆発生面積率で評価
◎ :錆発生なし
○ :錆発生率5%未満
△ :錆発生率5%以上、15%未満
× :錆発生率15%以上
【0074】
(6−3)塗装一次密着性
サンプルにメラミンアルキド塗料を25μm塗布し、130℃で30分乾燥した。これを裏面から(6−2)に示したエリクセン加工を施し、加工部の塗膜をセロテープで剥離して、塗膜の剥離面積率を調べた。
◎ :塗膜剥離なし
○ :塗膜剥離率5%未満
△ :塗膜剥離率5%以上、20%未満
×:塗膜剥離率20%以上
【0075】
(6−4)塗装二次密着性
(6−3)と同様にして塗装したサンプルを、沸騰水に30分浸漬し、取り出してから、翌日、(6−3)と同様に評価した。評価の区分も同様である。
(6−5)浴寿命
処理浴を40℃で静置し、沈殿やゲル化の発生有無および日数を調べた・
◎ :沈殿、ゲル化の発生が15日以上なし
○ :沈殿、ゲル化が5日以上、15日以内に発生する
△ :沈殿、ゲル化が2日以上、5日以内に発生する
× :沈殿、ゲル化が2日以内に発生する
【0076】
結果を表4および表5に示す。本発明はいずれも、耐食性、塗装一次密着性、塗装二次密着性に優れていることがわかる。これに対して、マトリクスが低極性樹脂を主成分としていないR5を用いると、耐食性に劣る(比較例5)。
また、インヒビター中に硫黄、窒素、酸素を2個以下しか含有しないもの(I−17、I−18)、5員環化合物でN,Sのいずれかしか含有しないものなど(I−19〜I−25)は、耐食性に劣ることがわかる。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、塩水噴霧による耐食性評価、塗装密着性評価において、オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物に本発明において規定する特定の構造の有機化合物を防錆剤として含有させることにより、従来のクロメート処理以上の性能を発揮することができる。また、本発明に用いる樹脂、防錆剤はクロムを全く含まず毒性の低い物質のみで構成されるため、耐食性、塗装性および環境適合性に優れた表面被覆材料を提供することが可能である。
Claims (8)
- オレフィン樹脂、エーテル樹脂又はフッ化オレフィン樹脂から選ばれる1種又は2種以上を主成分とする高分子化合物と、
(a)硫黄原子を1個以上含む非環状構造を主骨格とし、これにカルボキシル基(−COOH)を1個以上と、硫黄、窒素又は酸素のいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上を付加した構造を有する有機化合物、又は、
(b)硫黄原子を2個以上含有する複素環構造又は硫黄原子と窒素原子を各々1個以上含有する複素環構造を主骨格とし、これに硫黄、窒素又は酸素のいずれか1種又は2種以上を含有する官能基を1個以上を付加した構造を有する有機化合物、から選ばれる1種以上の有機化合物とを少なくとも含有する樹脂組成物を被覆してなることを特徴とする表面被覆金属材料。 - 前記高分子化合物が、該高分子骨格中に、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上を付加結合した構造を有する請求項1記載の耐食性、塗装性及び環境適合性に優れた表面被覆金属材料。
- 前記高分子化合物が、該高分子化合物とアクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上とを重合した構造を有する請求項1記載の表面被覆金属材料。
- 前記高分子化合物が、請求項1〜3のいずれかに記載の当該高分子化合物のうち1種又は2種以上と、アクリル化合物、ウレタン化合物、エステル化合物、エポキシ化合物又はアミド化合物から選ばれる1種又は2種以上からなる樹脂との混合体である請求項1記載の表面被覆金属材料。
- 前記有機化合物が、主骨格にカルボキシル基(−COOH)を2個付加した構造である請求項1〜4記載の表面被覆金属材料。
- 前記有機化合物が、サルファイド(−S−)、ダイサルファイド(−S−S−)又はチオール(−SH)のいずれか1種又は2種以上の結合を含む非環状構造を主骨格とする請求項5記載の表面被覆金属材料。
- 前記有機化合物が、硫黄原子と窒素原子を各々1個以上含有する複素5員環構造を主骨格とする請求項1〜4記載の表面被覆金属材料。
- 前記有機化合物が、さらに−SH、−NH2 、=S、=NH又は=Oで表わされる官能基の1種又は2種以上を主骨格に付加した構造である請求項7記載の表面被覆金属材料。
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