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JP3770765B2 - 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電用、建材用、自動車用等に用いられる、6価クロムを含有しない、耐食性に優れた非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛めっき鋼板あるいは亜鉛合金めっき鋼板は、海水等の塩分を含む雰囲気又は高温多湿の雰囲気では、表面に白錆が発生して外観を著しく損ねたり、素地鉄面に対する防錆力が低下したりする。
【0003】
白錆の防止には、従来よりクロメート系の防錆処理剤が利用されており、例えば特開平3−131370号公報には、オレフィン−α,β−エチレン性不飽和カルボン酸共重合体樹脂ディスパージョンに水分散性クロム化合物と水分散性シリカを含有させた樹脂系処理剤が記載されている。
【0004】
このようなクロメート系処理剤による皮膜は、既知の処理剤の中で耐食性が最も良好なものとして認識されている。とは言え、クロメート処理による皮膜は有害元素であることが知られている6価クロムを含有しており、そのため6価クロムを含有しない表面処理鋼板への要求が高まっている。
【0005】
有害なクロムを含まないノンクロム防錆処理剤が、特開平8−239776号公報、特開平8−67834号公報に記載されており、これらでは硫化物やイオウを用いている。しかし、イオウはもちろん硫化物の中には特有な臭気を放つものがあり、これらの処理剤の取扱いは必ずしも容易でなかった。
【0006】
イオウ原子を含むが臭気性も毒性もないトリアジンチオール化合物を用いた処理剤も提案されており、例えば特開昭53─31737号公報には、ジチオール−S−トリアジン誘導体を添加した水溶性防食塗料が開示されている。ところが、この水溶性防食塗料は、軟鋼、銅、真ちゅうなどの防食を目的としており、特に基材が銅や真ちゅうの場合により密着しやすいように調製されている。従って、亜鉛等の金属表面に対する防錆剤としては不十分である。
【0007】
特開昭61−223062号公報には、チオカルボニル基含有化合物と、水に難溶又は不溶性の有機化合物を混合して得られる金属との反応性エマルションが記載されている。しかし、このエマルションも、銅、ニッケル、スズ、コバルト、アルミニウム等及びそれらの合金と反応するものであり、亜鉛等の金属表面に対する防錆剤としてはやはり不十分である。
【0008】
本願の出願人らは、特願平9−2557号でもって、亜鉛系めっき鋼板の防錆にも有効なトリアジンチオール含有防錆コーティング剤を開示した。しかし、トリアジンチオールは高価な化合物であり、そのためもっと安価な防錆処理剤が利用できることは有益なことである。
【0009】
クロムを含有せず、トリアジンチオールも使用しない、亜鉛又は亜鉛合金の表面処理方法として、特開昭54−71734号公報及び特開平3−226584号公報に記載されているものがある。特開昭54−71734号公報に記載の処理法は、ミオイノシトールの2〜6個の結合リン酸エステル又はその塩類を0.5〜100g/lと、チタン弗化物及びジルコニウム弗化物のうちの少なくとも一方を金属換算で0.5〜30g/lと、チオ尿素又はその誘導体1〜50g/lとを含有する水溶液で、亜鉛又は亜鉛合金を表面処理するものである。この方法は、亜鉛表面に保護層としての不動態皮膜を形成するためにチタン弗化物又はジルコニウム弗化物を必要としている。特開平3−226584号公報では、Ni2+とCo2+の一方又は両方を0.02g/l以上と、アンモニア及び1級アミン基を有する化合物のうちの少なくとも1種とを含有しているpH5〜10の水溶液である表面処理剤が使用されている。この処理剤は、塗装密着性及び塗装後の耐食性をコバルト又はニッケルの析出によって付与するため、Ni2+とCo2+の一方又は両方を必要としている。これらの金属イオンを含有する処理剤は、廃水処理時の負荷が大きくなる等の不都合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、クロムを含まないこれまでの防錆剤は、耐食性の点でクロム含有防錆剤に及ばず、そのほかにも上述のように不都合な点があった。そこで、クロム含有防錆剤に取って代わり、しかも上述の不都合のない新しい防錆剤の開発が強く望まれていた。
【0011】
このような要望を満たすための新しい技術として、本願の出願人らは、水性樹脂、チオカルボニル基含有化合物及びリン酸イオンを含み、且つ任意に微粒シリカを含む防錆コーティング(特願平10−36264号)を開発した。また、水性樹脂、チオカルボニル基含有化合物及び微粒シリカを含有し、リン酸イオンを含まない防錆コーティング(特願平10−36265号)を開発した。更に、水性樹脂とバナジウム酸化合物とを含み、且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物、リン酸イオン及び微粒シリカのうちの少なくとも1種を更に含む防錆コーティングを開発した(特願平10−36267号)。
【0012】
これらの新しい防錆コーティング剤は、クロムを含まず、且つ耐食性に優れているので、従来のクロメート系処理剤に代わって亜鉛めっき又は亜鉛合金めっき鋼板の防錆剤としての利用が期待される。そしてこれらの新しい防錆コーティング剤をより一層実用的なものとする上で、コーティング剤により形成した皮膜の下層への密着性を高めることが非常に有益である。
【0013】
本発明は、これらに鑑みて、上述の新しい防錆コーティング剤による皮膜を備え、この皮膜の下層への密着性が優れた非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法を提供しようというものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、クロムを含まない上述の新しい防錆コーティング剤を使って亜鉛系めっき鋼板に防錆皮膜を形成する際に、酸又はその塩の水溶液でめっき鋼板を前処理すると、防錆コーティング剤から形成したコーティング(皮膜)の下地めっき鋼板への密着性が向上することを見いだした。
【0015】
従って、本発明の非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板は、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リンゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1種又は2種以上の物質の酸性水溶液で処理した表面を有する亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板を下地とし、この下地鋼板の上に、厚さが0.1〜5μm の、下記の(A)〜(D)のうちの一つの皮膜を有することを特徴とする。
【0016】
(A)固形分として有機樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及びリン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)を含有する皮膜。
(B)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜500重量部を含有する皮膜。
(C)固形分として有機樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及び微粒シリカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合物を含まない皮膜。
(D)固形分として有機樹脂100重量部に対し、少なくともバナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含み、且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、リン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)及び微粒シリカ1〜500重量部のうち少なくとも1種を含有する皮膜。
【0017】
そして本発明の非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板である下地鋼板をリン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リンゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1種又は2種以上の物質の酸性水溶液で処理し、その後当該下地鋼板の上に、
(1)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及びリン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)を含有するコーティング剤組成物、
(2)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜500重量部を含有するコーティング剤組成物、
(3)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及び微粒シリカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合物を含まないコーティング剤組成物、
(4)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対し、バナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含み、且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、リン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)及び微粒シリカ1〜500重量部のうち少なくとも1種を含有するコーティング剤組成物、のうちの一つを塗布してコーティング膜を形成し、次いでこのコーティング膜を加熱、乾燥させて、厚さ0.1〜5μm の皮膜を形成することを特徴とする、非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法により製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明で下地として使用するのは、表面に亜鉛めっき又は亜鉛合金めっきを施した鋼板である。なお、ここでは、亜鉛めっきと亜鉛合金めっきを総称して「亜鉛系めっき」と称する。
【0019】
本発明では、亜鉛系めっき鋼板に防錆コーティング皮膜を形成する前に、亜鉛系めっき鋼板をリン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リンゴ酸等の有機酸、並びにそれらの塩から選ばれた1種又は2種以上の物質の酸性水溶液で処理する。この処理を受けためっき表面は粗面化され、そのため後に形成される防錆コーティング皮膜のめっき表面への密着性を向上させる。また、この酸性水溶液での処理には、めっき表面の酸化皮膜を除去することで防錆コーティング皮膜のめっき表面への密着性及び耐食性を高める効果もある。
【0020】
本発明で下地鋼板の浸漬処理に使用可能な塩類の例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リンゴ酸等の有機酸のナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム塩を挙げることができる。また、これらの酸性水溶液中に、酸洗性促進や更なる耐食性向上あるいはめっき表面の黒変性を抑制する目的等で、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al等の金属イオンを添加することも有効であり、上記酸の塩類として加えるのが好ましい。
【0021】
酸性水溶液での処理は、浸漬が一般的である。とは言え、このほかの任意の方法を利用しても差し支えない。
【0022】
酸性水溶液での処理条件は、処理の方法や使用する物質によりいろいろであり、具体的な条件はそれらの応じて適宜決定することができる。一例として、浸漬を利用する場合の一般的な処理条件を例示すると、次のとおりである。
【0023】
処理に使用する酸あるいはその塩の水溶液は、pHが4以下の範囲内であるのが好ましい。水溶液のpHが4を超えると密着性向上の効果が薄くなってしまう。
【0024】
水溶液の温度は、特に規定するものではないが、5℃未満では処理に要する時間が長くなるので、5℃以上であることが好ましい。一方、高温の処理液を使用するのには加熱設備が必要になる等の不都合があるので、水溶液は一般に80℃以下の温度であるのが好ましい。
【0025】
下地鋼板を水溶液に浸漬する時間は、短すぎると密着性向上の十分な効果が得られず、長すぎるとめっき層を破壊してかえって腐食の原因になることがある。これらを勘案して、下地鋼板を浸漬する場合には、浸漬時間を0.1〜20秒の範囲内とするのが好ましい。また、コーティング剤を塗布する前には、処理した面をエアーブローで乾燥させるか、もしくは水洗、湯洗工程を経た後、乾燥させるのが好ましい。特に処理した鋼板をそのままコーティング剤塗布工程にもっていくと、コーティング剤中に酸性液が混入し、塗料のゲル化が発生しやすくなるためである。
【0026】
酸性水溶液での前処理を終えた下地鋼板には、次に上記(A)〜(D)のうちの一つの皮膜を形成する。
【0027】
このような皮膜を形成するには、水中に所定の成分を含むコーティング剤組成物を調製し、予め本発明の酸性水溶液での処理を施した亜鉛めっき鋼板に塗布し、塗膜を加熱、乾燥する。コーティング剤組成物は、任意の濃度で調製して差し支えない。一般には、固形分(水以外の成分)を1〜80重量部、水を99〜20重量部含有するコーティング剤組成物が、塗布とその後の加熱・乾燥の観点から好ましい。塗膜の加熱により、硬化性樹脂の場合は樹脂を硬化させ、架橋性樹脂の場合は樹脂を架橋させる。塗膜の加熱・乾燥は、コーティング剤を塗布した亜鉛めっき鋼板を熱風で加熱して乾燥させるほか、加熱した鋼板にコーティング剤を塗布して乾燥させてもよい。加熱温度としては、50〜250℃がよい。50℃未満では水分の蒸発速度が遅く十分な成膜性が得られないので、防錆力が不足する。一方250℃を超えると、水性樹脂の熱分解などが生じるので、SST性、耐水性が低下し、また外観も黄変する問題がある。70〜200℃がより好ましい。熱風乾燥では1秒〜5分間の乾燥時間が好ましい。また、加熱・乾燥後の冷却は、水冷、自然冷却、空冷等の公知の方法、あるいはこれらを組み合わせた方法で行えばよい。
【0028】
皮膜の乾燥膜厚は、0.1μm 以上が好適である。0.1μm 未満では、防錆力(耐食性)が不足する。一方膜厚が厚くなると、防錆力(耐食性)にそれ以上の向上がそれほど認められなくなり、不経済である。そこで、膜厚は5μm を上限とするのが適当である。また、溶接性等の特性を具備させるためには2μm 以下が好ましい。
【0029】
コーティング剤組成物の塗布方法は、特に限定されず、一般に使用されるロールコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬などが採用できる。
【0030】
本発明において使用する皮膜(防錆コーティング)を説明すると、この皮膜は有機樹脂をベースとしている。この有機樹脂は、水中に水性樹脂と皮膜のその他の成分とを含む組成物を塗布後に乾燥して得られるものである。ここでの水性樹脂とは、水溶性樹脂のほか、本来不水溶性でありながらエマルジョンやサスペンジョンのように不溶性樹脂が水中に微分散された状態になり得るもの(水分散性樹脂)を含めていう。
【0031】
本発明において水性樹脂として使用できる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂、その他の加熱硬化型の樹脂などを例示でき、架橋可能な樹脂であることがより好ましい。特に好ましい樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及び両者の混合樹脂である。水性樹脂は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0032】
皮膜で用いられるチオカルボニル基含有化合物は、硫化物であって、金属表面に吸着し易く、また酸化力も優れているので、金属表面を不動態化して、防錆効果を奏する。特に、チオカルボニル基含有化合物におけるチオール基のイオンは、鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛合金表面)の活性なサイトに吸着されて防錆効果を発揮すると考えられる。
【0033】
また、チオカルボニル基含有化合物は、樹脂皮膜の架橋促進剤として作用し、樹脂皮膜のミクロポアを少なくして、水や塩素イオンなどの有害イオンを効率よく遮断する効果も有し、これも防錆効果に寄与すると考えられる。
【0034】
本発明においてチオカルボニル基含有化合物とは、下式で表されるチオカルボニル基
【0035】
【化1】
Figure 0003770765
【0036】
を有する化合物をいう。代表的には、
【化2】
Figure 0003770765
【0037】
で表されるチオ尿素及びその誘導体、例えば、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、エチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、チオペンタール、チオカルバジド、チオカルバゾン類、チオシアヌル酸類、チオヒダントイン、2−チオウラミル、3−チオウラゾールなどや、下式
【0038】
【化3】
Figure 0003770765
【0039】
で表されるチオアミド化合物(式中のRは、例えばH、CH3 、C2 5 、C6 5 、C8 5 、C5 3 SOなどを表す)、例えば、チオホルムアミド、チオアセトアミド、チオプロピオンアミド、チオベンズアミド、チオカルボスチリル、チオサッカリンなどや、下式
【0040】
【化4】
Figure 0003770765
【0041】
で表されるチオアルデヒド化合物(式中のRは、例えばH、CH3 などを表す)、例えば、チオホルムアルデヒド、チオアセトアルデヒドなどや、下式
【0042】
【化5】
Figure 0003770765
【0043】
で表されるカルボチオ酸類(式中のRは、例えばCH3 、C6 5 などを表す)、例えば、チオ酢酸、チオ安息香酸、ジチオ酢酸などや、下式
【0044】
【化6】
Figure 0003770765
【0045】
で表されるチオ炭酸類や、その他の式(1)の構造を有する化合物、例えば、チオクマゾン、チオクモチアゾン、チオニンブルーJ、チオピロン、チオピリン、チオベンゾフェノンなど、が例示される。
【0046】
チオカルボニル基含有化合物の含有量は、上記(A)〜(C)の皮膜においては、固形分として有機樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部がよい。チオカルボニル基含有化合物の含有量が0.1重量部より少ないと、上述の効果が目立たなくなり、50重量部より多いと、それに伴う経費の上昇に見合うだけの効果が期待できなくなる。
【0047】
一方、上記(D)の皮膜にチオカルボニル基含有化合物が含まれる場合、その含有量は、固形分として有機樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部がよい。チオカルボニル基含有化合物の含有量が0.1重量部より少ないと、やはり上述の効果が目立たなくなり、50重量部より多いと、経費の上昇に見合うだけの効果が期待できなくなる。
【0048】
本発明における皮膜は、チオカルボニル基含有化合物とともにリン酸化合物を含むことにより、その防錆効果が著しく向上する。先に述べたように、チオカルボニル基含有化合物は鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛合金表面)の活性なサイトに吸着されて防錆効果を発揮するが、鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛合金表面)の不活性なサイトにはリン酸が作用して活性な表面を形成し、そこにチオカルボニル基含有化合物が吸着されるので、鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛合金表面)全体に防錆効果が発揮され、防錆効果が向上するものと考えられる。また、リン酸化合物も樹脂皮膜の架橋促進剤として作用し、樹脂皮膜のミクロポアを少なくして、水や塩素イオンなどの有害イオンを効率よく遮断する効果を有し、これも防錆効果に寄与すると考えられる。
【0049】
リン酸化合物としては、リン酸イオンを含む化合物であればよいが、例えば、オルトリン酸(リン酸)、メタリン酸、ピロリン酸、及びこれらの物質の全ての水素イオンあるいは一部の水素イオンが置き換えられた、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等の塩類を、単独であるいは混合して、使用することができる。
【0050】
リン酸化合物の含有量は、上記(A)、(B)、(D)の皮膜において、固形分として有機樹脂100重量部に対して、リン酸イオンとして0.01〜20重量部の範囲内である。リン酸化合物が0.01重量部未満では防錆効果が十分に発揮されず、一方20重量部を超えるとかえって防錆効果が低下したり、コーティング溶液の状態で樹脂がゲル化したりして不具合が生じることがある。
【0051】
本発明における皮膜は、微粒シリカを含むことができる。皮膜がシリカを含む場合、その防錆作用(耐食性)は著しく促進される。しかも耐食性に加えて、皮膜形成時の乾燥性、形成した皮膜の耐擦傷性、密着性も改良できる。
【0052】
本発明において微粒シリカとは、微細な粒径をもつために水中に分散させた場合に安定に水分散状態を維持でき、半永久的に沈降が認められないような特性を有するシリカを総称していうものである。上記微粒シリカとしては、ナトリウムなどの不純物が少なく、弱アルカリ系のものであれば、特に限定されない。例えば、「スノーテックスN」「スノーテックスNXS」「スノーテックスNS」「スノーテックスC」(以上、日産化学工業社製)、「アデライトAT−20N」「アデライトAT−20A」(以上、旭電化工業社製)などの市販のシリカゲル、または市販のアエロジル粉末シリカなどを用いることができる。
【0053】
皮膜に微粒シリカが含まれる場合、その含有量は、固形分として有機樹脂100重量部に対して1〜500重量部であることが好ましい。1重量部未満では添加の効果が少なく、500重量部を超えると耐食性向上の効果が飽和して不経済であるほか、皮膜が硬くなりすぎ皮膜割れ、剥離などが発生して耐食性が低下することもある。
【0054】
ところで、上記(C)の皮膜はチオカルボニル基含有化合物のほかにシリカを含み、リン酸化合物を含まない。リン酸化合物は、上述のようにチオカルボニル基含有化合物と共存することで防錆効果を著しく向上させる一方で、シリカが共存する場合に上層被覆を形成するための塗布組成物の可使時間を低下させる傾向がある。そのため、(C)の皮膜は、塗布組成物の可使時間を延ばすためリン酸化合物を排除した組成物から形成された皮膜に相当するものである。
【0055】
上記(D)の皮膜は、先に説明した有機樹脂を含み、且つ任意に、これまで説明したチオカルボニル基含有化合物、リン酸化合物及び微粒シリカのいずれかの組み合わせを含むほかに、必須成分としてバナジウム酸化合物を含む。
【0056】
バナジウム酸化合物は、クロム酸化合物と同様の防錆作用を奏する。すなわち、バナジウム酸化合物は、皮膜形成用の組成物の塗布時に金属表面に不動態皮膜を形成して防錆効果を奏する。更に、鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛合金めっき表面)に腐食部位が発生した場合にも、皮膜中に存在するバナジウム酸イオンが腐食部位に作用して腐食反応を抑制する効果もあるものと考えられる。
【0057】
バナジウム酸化合物としては、例えば、バナジウム酸、バナジウム酸アンモニウム、バナジウム酸ナトリウム、バナジウム酸カリウム、バナジウム酸ストロンチウム、バナジウム酸水素ナトリウム等のバナジウム酸塩、またリンバナジウム酸、リンバナジウム酸アンモニウム等のリンバナジウム酸塩などを用いることができる。
【0058】
バナジウム酸化合物の量は、固形分として有機樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内がよい。0.1重量部より少ないと防錆効果が十分でなく、20重量部より多くても防錆効果は飽和して不経済になる。
【0059】
バナジウム酸化合物を微粒シリカと併用すると、バナジウム酸化合物が微粒シリカの表面に吸着して、相乗的に防錆効果が奏せられる。この意味で、微粒シリカがアンモニウム吸着型や酸化アルミニウム被覆型の場合には、吸着し易いので防錆効果が向上して好適である。
【0060】
上記(D)の皮膜にあっては、有機樹脂及びバナジウム酸化合物以外の成分のいろいろな組み合わせが可能であり、これら以外の含有成分の一例として、(1)チオカルボニル基含有化合物、(2)チオカルボニル基含有化合物と微粒シリカ、(3)チオカルボニル基含有化合物と微粒シリカとリン酸化合物などを好ましいものとして挙げることができるが、(D)の皮膜における成分の組み合わせはこれらに限定されない。
【0061】
本発明における皮膜は、上記の成分以外の成分を含むこともできる。例えば、顔料、界面活性剤などを挙げることができる。また、有機樹脂とシリカ粒子、顔料との親和性を向上させ、更に有機樹脂と亜鉛又は鉄のリン酸化物層との密着性などを向上させるためにシランカップリング剤もしくはその加水分解縮合物又はそれらの両方を配合してもよい。ここでの「シランカップリング剤の加水分解縮合物」とは、シランカップリング剤を原料とし、加水分解重合させたシランカップリング剤のオリゴマーのことをいう。
【0062】
このような顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2 )、炭化カルシウム(CaCO3 )、硫酸バリウム(BaSO4 )、アルミナ(Al2 3 )、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2 3 、Fe3 4 )などの無機顔料や、有機顔料などの各種着色顔料などを用いることができる。
【0063】
本発明で使用できる上記のシランカップリング剤としては特に制限はないが、好ましいものとしては、例えば以下のものを挙げることができる:ビニルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン。
【0064】
特に好ましいシランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミンである。これらシランカップリング剤は1種類を単独で使用してもよいし、または2種類以上を併用してもよい。
【0065】
本発明では、上記シラン化合物は、固形分として、有機樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部であることが好ましい。シラン化合物の添加量が0.01重量部未満になると添加効果の低下が認められ、耐食性、上塗り塗装密着性向上効果が不足し、20重量部を超えるとコーティング溶液の状態で樹脂がゲル化したりして不具合が生じることがある。
【0066】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に説明する。
下記の例において使用した評価方法は、以下のとおりである。
【0067】
a)皮膜密着性
下記の例においての処理した皮膜の密着性は、OT−180度折り曲げ加工後セロテープ(商標)にて密着、剥離し、その剥離の程度を以下の評価方法に従い、評価した。
Figure 0003770765
【0068】
b)耐食性(塩水噴霧試験)
JIS Z 2371に準拠し、噴霧時間168時間後の白錆の程度を10点満点で評価した。評価は、平面部と4mmφ180度曲げ加工部について、116時間後で評価を行った。また、評価基準は下記のものとした。
Figure 0003770765
【0069】
c)上塗り塗装密着性
処理鋼板にスーパーラック100(日本ペイント社製、アクリルメラミン塗料)を乾燥膜厚20μm となるようにバーコートで塗布した後に、板温度150℃で20分間焼き付けを行い、上塗り塗装密着試験板を作製した。これらの試験板について、以下の試験を実施した。
【0070】
c1)一次密着性試験
エリクセン7mm:エリクセンで7mmまで押し出し加工した部分にテープを貼り、テープ剥離性を評価した。評価基準は下記のものとした。
Figure 0003770765
【0071】
c2)二次密着性試験
上記上塗り塗装した試験板を沸水中に30分浸漬後に取り出し、一昼夜放置後、一次密着性試験と同様の試験及び評価を実施した。
【0072】
〔実施例1〜14、比較例1〕
ゼンジマー法にて製造した溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量100g/m2、めっき浴中アルミニウム含有率0.2%)を表1に示す酸性水溶液に5秒間浸漬後、流水にて水洗し、エアーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防錆コーティング剤を乾燥皮膜1μm になるように塗布した後、400℃の熱風循環焼き付け炉で板温150℃となるように焼き付け、その後空冷にて室温まで冷却した。
【0073】
クロムを含まない防錆コーティング剤は、固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテックS−7024)50重量部と旭電化社製ウレタン樹脂(商品名:ボンタイターHUX−320)50重量部の合計樹脂固形分100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物としてチオ尿素を固形分として2.5重量部、微粒シリカとして日産化学社製シリカ(商品名:スノーテックス−N)を固形分として30重量部、及びリン酸アンモニウムをPO4 として1.0重量部になるように純水に薄め、全固形分濃度が20%になるように調整し、更にpHを8.0に調整したものを用いた。表1に示した結果から明らかなように、本発明のクロムを含まない防錆コーティング剤で処理した場合は、いずれも優れた性能を示した。
一方、比較例1は酸性水溶液による酸洗処理を防錆コーティング前に行わなかった比較例であるが、実施例に比較し、皮膜の密着性が低下していた。
【0074】
【表1】
Figure 0003770765
【0075】
〔実施例15〜45、比較例2〜8〕
実施例15〜45は、ゼンジマー法にて製造した溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量100g/m2、めっき浴中アルミニウム含有率0.15%、Pb0.08%)をフッ酸5g/l溶液に3秒間浸漬後、流水にて水洗し、エアーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防錆コーティング剤を乾燥皮膜1.5μm になるように塗布した後、400℃の熱風循環焼き付け炉で板温150℃となるように焼き付け、その後空冷にて室温まで冷却した。
【0076】
クロムを含まない防錆コーティング剤としては、固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテックS−7024)100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物としてチオ尿素を固形分として2.5重量部添加し、微粒シリカとリン酸化合物の添加量を変化させ、純水に薄めて全固形分濃度が5%になるように調整し、更にpHを8.5に調整したものを用いた。
【0077】
なお、表2中のリン酸化合物の薬剤名は以下のとおりである。
記号A リン酸一水素アンモニウム
記号B リン酸二水素アンモニウム
記号C リン酸
記号D リン酸ナトリウム+リン酸一水素アンモニウム(混合比1:1)
記号E ピロリン酸アンモニウム
【0078】
また、表2中のシリカ薬剤は以下のとおりである。
記号A 日産化学社製スノーテックス−N
記号B 日産化学社製スノーテックス−NS
記号C 日産化学社製スノーテックス−C
記号D 日産化学社製スノーテックス−NXS
記号E 旭電化社製アデライトAT−20N
記号F 旭電化社製アデライトAT−20A
【0079】
リン酸化合物濃度が高いほど二次の上塗り塗装密着性が低下する傾向であった。また、シリカ濃度が高いほど皮膜の密着性も上塗り塗装密着性も低下する傾向があった。
更に、いずれの成分も耐食性に寄与しており、添加により耐食性は向上するが、添加量が増大すると、かえって皮膜の溶解性を高めてしまい、耐食性が低下する傾向も伺えた。
【0080】
一方、比較例2はリン酸が30重量部で本発明の実施例よりも濃度が高く、シリカを含まないものであるが、耐食性も、上塗り塗装密着性も低いものであった。また、比較例3、4は本発明の実施例よりもリン酸濃度が高く、かつシリカを含むものであるが、特にシリカ濃度が本発明の実施例よりも高い比較例3は全ての性能が劣化している。また、これらの2例のコーティング剤は1ケ月の放置により、いずれもゲル化現象を生じたが、他はそのような現象は認められなかった。
比較例5はシリカ、リン酸化合物ともに含み、シリカ濃度の範囲が本発明の実施例よりも高いものであるが、皮膜の密着性が低下している。また、比較例6はシリカもリン酸化合物も含まれない比較例であるが、耐食性が非常に劣位のものであった。比較例7はリン酸化合物を含むが、本発明の範囲以下の濃度で且つシリカが含まれない比較例であり、比較例8はシリカを含むが、本発明の範囲以下の濃度で且つリン酸化合物が含まれない比較例であるが、ともに耐食性が劣位であった。
【0081】
【表2】
Figure 0003770765
【0082】
〔実施例46〜63、比較例9、10〕
ゼンジマー法にて製造した溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量100g/m2、めっき浴中アルミニウム含有率0.18%、鉛0.05%)を硫酸30g/l+硫酸コバルト20g/l水溶液に2秒間浸漬後、流水にて水洗し、エアーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防錆コーティング剤を乾燥皮膜1μm になるように塗布した後、400℃の熱風循環焼き付け炉で板温150℃となるように焼き付け、その後水冷し、エアーブローにて乾燥した。
【0083】
クロムを含まない防錆コーティング剤としては、固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテックS−7024)50重量部と旭電化社製ウレタン樹脂(商品名:ボンタイターHUX−320)50重量部の合計樹脂固形分100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物を種々変化させ、微粒シリカとして日産化学社製シリカ(商品名:スノーテックス−N)を固形分として30重量部、リン酸アンモニウムをPO4 として1.5重量部になるように純水に薄め、全固形分濃度が20%になるように調整し、更にpHを9.0に調整したものを用いた。
【0084】
なお、表3中のチオカルボニル基含有化合物は以下のとおりである。
記号A チオ尿素
記号B 1,3−ジエチル−2−チオ尿素
記号C 1,3−ジフェニル−2−チオ尿素
記号D ジブチルチオ尿素
記号E テトラメチルチウラムモノスルフィド
記号F テトラメチルチウラムジスルフィド
記号G チオアセトアミド
記号H チオアセトアルデヒド
【0085】
これらの性能評価結果を表3に示す。
実施例46〜63に対し、比較例9は、チオカルボニル基含有化合物濃度が本発明の範囲以下の比較例であり、比較例10はチオカルボニル基含有化合物を含まない比較例であるが、いずれも耐食性が劣っていた。
【0086】
【表3】
Figure 0003770765
【0087】
〔実施例64〜81、比較例11、12〕
ゼンジマー法にて製造した溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量80g/m2、めっき浴中アルミニウム含有率0.25%)を塩酸3g/l水溶液に10秒間浸漬後、流水にて水洗し、エアーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防錆コーティング剤を乾燥皮膜0.7μm になるように塗布した後、400℃の熱風循環焼き付け炉で板温120℃となるように焼き付け、エアーブローにて室温まで冷却した。
【0088】
クロムを含まない防錆コーティング剤としては、固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテックS−7024)50重量部と旭電化社製ウレタン樹脂(商品名:ボンタイターHUX−320)50重量部の合計樹脂固形分100重量部に対し、シラン化合物として信越化学社製γ−グリシドプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE−403)を固形分として1重量部、バナジウム酸化合物を種々変化させ、微粒シリカ、リン酸化合物、チオカルボニル基含有化合物は表1〜3の記号に従い、表4のように調製し、純水に薄め、全固形分濃度が25%になるように調整し、更にpHを9.0に調整したものを用いた。
【0089】
表4中のバナジウム酸化合物は以下のとおりである。
記号A バナジウム酸アンモニウム
記号B バナジウム酸
記号C バナジウム酸ストロンチウム
記号D リンバナジウム酸アンモニウム
記号E バナジウム酸カリウム
【0090】
これらの性能評価結果を表4に示す。実施例64〜81に対し、比較例11はバナジウム酸化合物濃度が本発明の範囲未満で、シリカを含む比較例であり、比較例12はバナジウム酸化合物濃度が本発明の範囲未満で、シリカを含まない比較例であるが、いずれも耐食性が劣っていた。
【0091】
【表4】
Figure 0003770765
【0092】
〔実施例82〜105、比較例13、14〕
以下の例では、鋼板の種類として次に掲げるものを用いた。
記号A 溶融亜鉛めっき鋼板(浴中アルミニウム:0.22%)(めっき付着量140g/m2
記号B 5%アルミニウム−亜鉛合金溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量80g/m2
記号C 55%5%アルミニウム−亜鉛合金溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量60g/m2
記号D 蒸着亜鉛めっき鋼板(めっき付着量10g/m2
記号E 電気11%ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板(めっき付着量20g/m2
記号F 電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量20g/m2
記号G 合金化溶融亜鉛−10%鉄合金めっき鋼板(めっき付着量45g/m2
【0093】
これらの鋼板を、硫酸20g/l+硫酸コバルト10g/l水溶液をスプレー圧1.0kg/cm2 で10秒間スプレー後、流水にて水洗し40℃のホットエアーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防錆コーティング剤を表5に示す付着量になる様に塗布した後、850℃の直火焼き付け炉で板温160℃となるように焼き付け、エアーブローにて室温まで冷却した。
【0094】
クロムを含まない防錆コーティング剤としては、下記の記号で表される樹脂、すなわち、
記号A 東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテックS−7024)50重量部と旭電化社製ウレタン樹脂(商品名:ボンタイターHUX−320)50重量部との混合樹脂
記号B 東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテックS−7024)100重量部
記号C 東亜合成社製アクリル樹脂(商品名:AP−1058(12))100重量部
記号D 昭和高分子社製エポキシ樹脂(商品名:ポリゾール8500)100重量部
記号E 高松油脂社製ポリエステル樹脂(商品名:ペスレジンA−124G)100重量部
に対し、下記の記号で表わせるシラン化合物を表5に示す量を添加し、
A:γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン「KBE−403」(信越化学社製)
B:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン「KBM−403」(信越化学社製)
C:ビニルトリメトキシシラン「KBM−1003」(信越化学社製)
D:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン「KBE−603」(信越化学社製)
E:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン「KBM−803」(信越化学社製)
チオカルボニル基含有化合物としてチオ尿素を固形分として2.5重量部、微粒シリカとして日産化学社製シリカ(商品名:スノーテックス−N)を固形分として30重量部、リン酸アンモニウムをPO4 として1.0重量部になる様に純水に薄め、全固形分濃度が20%になるように調整し、更にpHを8.0に調整したものを用いた。
【0095】
合金化溶融亜鉛−10%鉄合金めっき鋼板を下地に用いたものは皮膜付着量が少いと白錆や赤錆が出やすく、耐食性が劣る傾向であったが、他のめっき材では良好な特性を示した。また、皮膜付着量が本発明の範囲以下の比較例13や本発明の皮膜が全くない比較例14は耐食性や上塗り塗装密着性に劣っていた。
【0096】
【表5】
Figure 0003770765
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、6価クロムを含有しない、耐食性に優れた、しかも下層への密着性が優れた非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の利用が可能となる。

Claims (2)

  1. リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リンゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1種又は2種以上の物質の酸性水溶液で処理した表面を有する亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板を下地とし、この下地鋼板の上に、厚さが0.1〜5μm の、下記の(A)〜(D)のうちの一つの皮膜を有することを特徴とする非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板。
    (A)固形分として有機樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及びリン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)を含有する皮膜
    (B)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜500重量部を含有する皮膜
    (C)固形分として有機樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及び微粒シリカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合物を含まない皮膜
    (D)固形分として有機樹脂100重量部に対し、少なくともバナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含み、且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、リン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)及び微粒シリカ1〜500重量部のうち少なくとも1種を含有する皮膜
  2. 亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板である下地鋼板をリン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リンゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1種又は2種以上の物質の酸性水溶液で処理し、その後当該下地鋼板の上に、
    (1)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及びリン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)を含有するコーティング剤組成物、
    (2)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜500重量部を含有するコーティング剤組成物、
    (3)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及び微粒シリカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合物を含まないコーティング剤組成物、
    (4)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対し、バナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含み、且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、リン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)及び微粒シリカ1〜500重量部のうち少なくとも1種を含有するコーティング剤組成物、
    のうちの一つを塗布してコーティング膜を形成し、次いでこのコーティング膜を加熱、乾燥させて、厚さ0.1〜5μm の皮膜を形成することを特徴とする、非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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