JP4208168B2 - コレステリック性液晶組成物、配向フィルムおよび多色反射板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コレステリック性液晶組成物、配向フィルムおよび多色反射板に関する。本発明のコレステリック性液晶組成物は、配向架橋処理されてモノドメイン配向フィルムとなり各種光学フィルム等に用いうる。特に、配向フィルムの調製にあたって、光学活性基の含有量を制御したモノドメイン配向フィルムは、多色反射板として有用である。
【0002】
【従来の技術】
反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置と比較するとバックライトが不要であるという大きな特徴を有するため、当該表示装置を薄く、軽くすることが可能であり、しかもバックライトに必要な消費電力を削減することができる。かかる特徴は、液晶表示装置を備え、電源の容量が限られた携帯用の機器類、とりわけ携帯用のノートパソコンの表示装置としての利用価値が大きい。
【0003】
この反射型表示装置においては、透過型液晶表示装置に準じてカラー表示化を達成することが要求されている。これまでは反射型表示装置においても透過型液晶表示装置で使用されているカラーフィルターを用いたカラー化技術が採用されていた。しかし、かかるカラー化技術を用いた反射型液晶表示装置は表示が暗く、視認性に乏しいものであることから、別個のカラー化技術が求められている。
【0004】
このような反射型液晶表示装置における新たなカラー化技術としては、液晶の複屈折による着色変化(ECBモード)を利用したものが提案されている。しかしながら、このカラー化技術は、表示色やその色数が限定されていて、多色カラー性に乏しく、また色純度にも劣って鮮明性に乏しい難点があった。
【0005】
一方、低分子量の液状コレステリック性液晶による選択反射性を利用したカラー化技術も提案されている(J.Phys.D:Appl .Phys.,vol.8,1441;1975)。しかしながら、このカラー化技術では、液状の液晶を用いるため、液晶表示装置が、液晶をガラス基板間等に挟持した構造となって重くて厚いものとなり、反射型の液晶表示装置には不向きであると共に、液晶の流動性が色区画の固定性を低下させ、また熱により色特性が変化しやすいという問題があった。
【0006】
他方、リオトロビック型の液晶ポリマーをモノマーに溶解させて、それを温度制御下に活性光線を使用して重合固定化したフィルムも提案されている(特開昭59−83113号公報)。しかしながら、この技術では、色制御を温度によって行う必要があること、また液晶ポリマーがリオトロピック性のためにフィルム形成時に基板挟持構造とすることが必要であること等のため、赤色領域、緑色領域、青色領域等の色区画を微細化することが困難であると共に大面積化や量産化も困難であった。
【0007】
上記の問題を解消すべく、特開平10−54905号公報には、シッフ塩基を有するコレステリック性液晶ポリマーに光酸発生剤を添加し、紫外線等の活性光線の照射にて発生した酸により、シッフ塩基を切断等してコレステリック性液晶ポリマーの面内でのコレステリックピッチを制御した多色反射板、並びにその製造方法が提案されている。この技術は、表示色や色数の制御が容易で色純度に優れ、反射型液晶表示装置における鮮明で豊富な多色カラーによる良視認性の表示が達成でき、しかも軽くて薄く、色区画の固定性に優れ、色特性が実用温度で変化しにくい光学素子を製造することができる。
【0008】
しかしながら、上記多色化処理工程により、光学活性基の含有量を調整してコレステリック性液晶ポリマーの面内でのコレステリックピッチを制御して、十分な選択反射色を達成するためには、コレステリック性液晶ポリマーがシッフ塩基などの結合基を有することが不可欠ではあるものの、シッフ塩基などの結合基を有するコレステリック性液晶ポリマーは、加熱配向時における熱的安定性等の性質が十分でないため、多色反射板における一定の品質を保持することが難しい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、耐熱性に優れ、しかも多色反射板等に利用できるモノドメイン配向フィルムを形成しうるコレステリック性液晶組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究した結果、以下に示すコレステリック性液晶組成物により、前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、一般式(a1):
【化9】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を、AおよびDはそれぞれ独立して環状系官能基を、Xは−COO−基、−OCO−基または−O−基を、Eはシアノ基、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、塩素原子またはフッ素原子を、gは2〜6の整数を示す。)で表される繰り返し単位、一般式(a2):
【化10】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を、AおよびDはそれぞれ独立して環状系官能基を、Xはそれぞれ独立して−COO−基、−OCO−基または−O−基を、Gは架橋基を、hは2〜6の整数を、kは0〜6の整数を示す。)で表される繰り返し単位、および、一般式(a3):
【化11】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を、AおよびDはそれぞれ独立して環状系官能基を、Xは−COO−基、−OCO−基または−O−基を、Lは活性光線により変性ないし失活する光学活性基を、rは2〜6の整数を示す。)で表される繰り返し単位を有する架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)、ならびに、一般式(b):
【化12】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を、AおよびDはそれぞれ独立して環状系官能基を、Xはそれぞれ独立して−COO−基、−OCO−基または−O−基を、Jは活性光線により変性ないし失活しない光学活性基を、pおよびqはそれぞれ独立して2〜6の整数を示す。)で表される架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)を含有してなり、
一般式(a3)におけるL(活性光線により変性ないし失活する光学活性基)が、一般式:
【化13】
(各式中、R 2 はフェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基または2−ナフチル基を示し、R 3 はメチル基、フェニル基またはカルボキシメチル基を示し、R 4 はメチル基、ベンジル基またはt−ブチル基を示す。*は不斉炭素原子を示す。)で表される光学活性基(l)のいずれかであるコレステリック性液晶組成物、に関する。
【0012】
前記本発明の液晶組成物は、コレステリック性液晶ポリマー(a)が架橋型であることに加え、コレステリック性液晶モノマー(b)も架橋型であり、配向後における後架橋によって、液晶性を維持した架橋形態の液晶ポリマーが得られることから、耐熱性が向上するため熱的安定性がよい。
【0013】
また、前記架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)の光学活性基(J)は活性光線に対し安定なものであり、一方、架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)の光学活性基(L)は活性光線に対し活性で不安定なものである。このように発明の液晶組成物は、活性光線に対する安定性の異なる光学活性基によって、選択反射特性に関わる光学活性基の有効成分含有量の制御が可能であり、多色反射板等に利用できるモノドメイン配向フィルムを形成しうる。また、一般式(a3)におけるL(活性光線により変性ないし失活する光学活性基)は、光学活性基(l)のいずれかである。このような光学活性基(l)により、光学活性基の有効成分含有量を容易に制御でき、選択反射特性を向上させうる。なお、前記一般式(a)および一般式(b)中の光学活性基に係わる変性ないし失活とは、光学活性基の結合基の切断や構造変化、異性化や転移などにより光学活性基がグランジャン配向における螺旋ピッチの形成に有効に寄与しない状態となることを意味する。
【0014】
かかる本発明のコレステリック性液晶組成物は、たとえば、ガラス転移温度以上に加熱後冷却する方式にて配向処理でき、常法により架橋処理することにより液晶ポリマー化できる。したがって、従来のコレステリック性液晶組成物に準じ、低温で配向架橋処理により、耐熱性に優れる配向フィルムの大面積体も容易に効率よく製造することができる。また、本発明の液晶組成物、配向フィルムは、活性光線に対し活性で不安定な光学活性基の割合が制御されているため、雰囲気中や溶媒中の酸性不純物に対する安定性、溶液安定性にも優れる。
【0015】
前記一般式(a1)、一般式(a2)、一般式(a3)、一般式(b)においてAおよびDは環状系官能基であれば特に制限されないが、コレステリック性液晶組成物の配向性を考慮すると、環状系官能基としては、下記一般式、
【化14】
で表される環状系官能基のいずれかであることが好ましい。
【0016】
また、一般式(a2)においてGは架橋基であれば特に制限されないが、常態において比較的安定性が高く、また従来の架橋処理で比較的容易に解裂し架橋反応を起こしうるの点で、下記一般式、
【化15】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示す)で表される架橋基のいずれかであることが好ましい。これら架橋基のなかでも、脂環系の架橋基が、ポリマーの重合時に架橋するおそれがないため合成が容易な点で好ましい。
【0018】
また、前記一般式(b)において、J(活性光線により変性ないし失活しない光学活性基)は、一般式、
【化16】
(各式中、t,uは、0≦t≦5、1≦u≦6、かつt+1≦uを満足する整数を示す)で表される光学活性基(j)のいずれかであることが好ましい。このような光学活性基(j)は、活性光線に対して活性なシッフ塩基等の連結基を含まず、溶液安定性や配向時の熱的安定性に優れ、耐熱性が向上する。
【0019】
本発明の配向フィルムは、前記コレステリック性液晶組成物に配向処理および架橋処理を施して得られるものである。配向フィルムはモノドメイン配向を有する。本発明の配向フィルムは、大面積のものを容易に効率よく製造でき、しかも架橋されているため耐熱性に優れている。
【0020】
また、前記配向フィルムを多色反射板に適用するには、前記コレステリック性液晶組成物に、複数の領域ごとに制御された活性光線を順次又は同時に照射して、当該コレステリック性液晶組成物中の光学活性基の有効含有量が異なる複数の領域を形成し、その後又はそれと同時にコレステリック性液晶組成物を配向処理して前記領域ごとに反射波長の異なる反射領域を形成する多色化処理工程を行った後、さらに架橋処理を施す。かかる製造方法により、耐熱性に優れた多色反射板が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
前記架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)、架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)は、任意の方法で合成できる。
【0022】
架橋型ネマチック性液晶ポリマー(a)は、前記一般式(a1)、一般式(a2)および一般式(a3)で表される繰り返し単位を有する共重合体であり、たとえば、かかる繰り返し単位に対応するモノマー、すなわち、ネマチック性液晶モノマー(a1)、架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)とコレステリック性液晶モノマー(a3)を共重合することにより合成できる。なお、一般式(a2)で表される繰り返し単位中の架橋基は、前記の通り、架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)を共重合する方法により共重合体中に導入できる他、当該架橋基を導入しうるモノマーを共重合した後に、当該架橋基を導入する方法により共重合体中に導入することもできる。
【0023】
共重合体の調製は、例えばラジカル重合方式、カチオン重合方式、アニオン重合方式などの通例のアクリル系モノマーの重合方式に準じて行うことができる。なお、ラジカル重合方式を適用する場合、各種の重合開始剤を用いうるが、そのうちアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイルなどの分解温度が高くもなく、かつ低くもない中間的温度で分解するものが好ましく用いられる。
【0024】
また、共重合体中の架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)の共重合割合は、共重合体を構成するモノマーの1〜30モル%程度とするのが好ましい。架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)の割合が少なくなると高耐熱性を得るに十分な架橋が起こすためには、前記共重合割合は5モル%以上とするのがより好ましい。一方、架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)の割合が多くなると液晶としての配向性に支障をきたすおそれがあるため、前記共重合割合は15モル%以下とするのがより好ましい。
【0025】
また、共重合体を構成するモノマーの架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)以外が、ネマチック性液晶モノマー(a1)とコレステリック性液晶モノマー(a3)になるが、ネマチック性液晶モノマー(a1)とコレステリック性液晶モノマー(a3)の使用割合は、モル比で、(a1):(a3)=97:3〜50:50が好ましく、95:5〜65:35がより好ましい。コレステリック性液晶モノマー(a3)の使用割合が過少であれば、液晶相のコレステリック性に乏しくなったり、多色化処理工程において制御できる色範囲が不十分になるおそれがあり、また過多であれば液晶混合物の液晶性に乏しくなるおそれがある。
【0026】
架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)の分子量は、重量平均分子量に基づき2千〜10万程度とするのが好ましい。分子量が小さくなると、非流動層としての成膜性に乏しくなるため2.5千以上とするのがより好ましい。また、分子量が大きくなると、液晶としての配向性、特にラビング配向膜等を介したモノドメイン化に乏しくなって均一な配向状態を形成しにくくなることより、5万以下とするがより好ましい。
【0027】
以下に、下記式(α)で表わされる架橋型ネマチック性液晶ポリマー(a)の合成例の一例を下記化17に示す。
【0028】
【化17】
すなわち、ネマチック性液晶モノマー(a1)は、たとえば、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸と4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニルを、ジシクロヘキシルカルボジイミド(式中、DCC)とジメチルアミノピリジン(式中、DMAP)の存在下にエステル化することによりを得ることができる。
【0029】
また、架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)は、たとえば、4−(4’−ヒドロキシフェニル)安息香酸を水酸化ナトリウム水溶液中、クロロ炭酸メチルを加え室温で撹拌して水酸基を保護した後、1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコールを反応させてテトラヒドロベンジル基を導入し、その後25%アンモニア水/テトラヒドロフラン(THF)=1/10の(重量比)混合液中で加熱還流し保護基を切断し、さらに4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸を加え、DCCとDMAPの存在下にエステル化するにより得ることができる。
【0030】
また、コレステリック性液晶モノマー(a3)は、たとえば、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸と4位にシッフ塩基を介して光学活性基を有するフェノールを、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびジメチルアミノピリジン触媒下でエステル化することにより得ることができる。
【0031】
そして、これらのモノマーをアゾビスイソブチロニトリル(式中、AIBN)触媒下で共重合することによって、化学式(α)で表わされる架橋型ネマチック性液晶ポリマー(a)を得ることができる。なお、化17中のl、m、nはポリマー中の各繰り返し単位の割合を示し、{m/(l+m+n)}=0.01〜0.3を、l:n=97:3〜50:50を満足するものであり、便宜的にブロック共重合体で表したが、前記一般式(a1)、一般式(a2)および一般式(a3)で表される繰り返し単位はブロック型、ランダム型のいずれでもよい。
【0032】
かかる前記式(α)の構造は本発明における架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)の一例であり、本発明における架橋型ネマチック性液晶ポリマー(a)が前記式(α)に限定されるものではない。
【0033】
なお、ネマチック性液晶モノマー(a1)、架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)の合成に用いた、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸の合成は、下記化18に示す通りエチレンクロロヒドリンと4−ヒドロキシ安息香酸をヨウ化カリウムを触媒としてアルカリ水溶液中で加熱還流させて、ヒドロキシカルボン酸を得た後、それをアクリル酸と脱水反応させて得ることができる。
【0034】
【化18】
前記コレステリック性液晶モノマー(a3)の合成に用いた、4位にシッフ塩基を介して光学活性基を有するフェノールは、例えば下記化19のように、4−ヒドロキシベンズアルデヒドと(S)−(−)−1−フェニルエチルアミンをトルエン中で共沸脱水することにより得ることができる。
【0035】
【化19】
また、下記式(β)で表わされる架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)の合成例の一例を下記化20に示す。
【0036】
【化20】
すなわち、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸2モル部に対しイソソルビド1モル部を、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびジメチルアミノピリジン触媒下でエステル化することにより、架橋型コレステリック性液晶モノマー(β)を合成できる。かかる前記式(β)の構造は本発明における架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)の一例であり、本発明における架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)が前記式(β)に限定されるものではない。
【0037】
液晶組成物中、架橋型コレステリック性ポリマー(a)の組成割合は、過少だと液晶性に乏しくなり、配向できないおそれがあるため、50〜95重量%程度とするのが好ましい。さらには、架橋型コレステリック性ポリマー(a)の含有量は、65〜90重量%とするのがより好ましい。
【0038】
また、液晶組成物中、架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)の割合は、架橋型コレステリック性ポリマー(a)の残部となるが、架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)の割合は、架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)を構成するコレステリック性液晶モノマー(a3)に対し、通常、10〜900モル%程度、さらには30〜300モル%になるように調製するのが好ましい。架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)が過多の場合、単色用に用いる場合には特に問題はないが、選択反射光を多色化して用いる場合には選択反射波長を制御できる範囲が極端に小さくなり、多色反射板の作製上好ましくない。一方、過少になると、溶液安定性や熱的安定性に劣る光学活性基が選択反射波長制御後にも残存することとなり、好ましくない。
【0039】
なお、本発明のコレステリック性液晶組成物は、前記液晶ポリマー(a)、液晶モノマー(b)を各種用途に応じて適宜に選択し、上記方法に準じて合成したものから調製するが、本発明の目的を損なわない範囲で、前記液晶モノマー以外の液晶モノマーや、液晶ポリマーを含有することができる。
【0040】
本発明のコレステリック性液晶組成物は、配向処理および架橋処理が施されてモノドメイン配向を有する配向フィルムとなる。
【0041】
配向処理は、従来の光学素子の形成に準じたは配向処理方法で行いうる。たとえば、コレステリック性液晶組成物の溶液を配向処理面上に展開して乾燥後、加熱処理して配向層を形成する。
【0042】
前記の液晶組成物溶液の調製に際して用いる溶媒としては、前記液晶ポリマー(a)、液晶モノマー(b)を溶解しうるものであれば特に限定はなく、このようなものを適宜に選択して用いることができるる。たとえば、1,1,2,2−テトラクロロエタン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等があげられる。これらの溶媒は単独溶媒や混合溶媒として用いられる。
【0043】
配向処理面としては、例えば低分子液晶化合物の配向処理に使用されている公知のものを用いることかできる。たとえば、基材上にボリイミドやポリビニルアルコール等からなる薄膜を形成して、それをレーヨン布等でラビング処理したものや、酸化珪素等を斜方蒸着したもの、あるいは延伸フィルムなどがあげられる。基材等としては、液晶組成物を配向させるための加熱処理に耐えるものであれば特に制限されず、例えばガラス板やポリマーシート、位相差板や偏光板等を適宜に選択して用いうる。
【0044】
液晶組成物溶液の展開は、たとえば、その溶液を、スピンコート法やロールコート法、フローコート法やプリント法、デイップコート法や流延製膜法等の方法で薄層展開し、それを乾燥処理して溶媒を除去する方法などによりおこなうことができる。
【0045】
液晶組成物の展開層を配向させるための加熱処理は、液晶組成物のガラス転移点から等方相を呈する溶融状態までの温度範囲に加熱することにより行うことができる。なお、配向状態を固定化するための冷却条件については特に限定はなく、通例前記の加熱処理を300℃以下で行いうることから、自然冷却方式が一般に用いられる。
【0046】
配向処理を終えた展開層は、それを架橋処理することにより配向架橋物とされるが、その架橋処理は電磁波照射および加熱の一方、または両方により行うことができる。電磁波は、紫外線や電子線等の適宜なものを用いうるが、中でも開始剤を添加する必要が無く初期配向性に影響の少ない電子線を好ましく用いうる。電磁波の波長、照射量は適宜決めることができるが、紫外線を用いる場合は液晶組成物の吸収のない300nmより長波長の紫外線が好ましく、電子線を用いる場合は、照射量が多すぎると液晶ポリマーが崩壊するので、系によるがおおむね1〜200Mrad/cm2 が好ましい。
【0047】
配向後の架橋を引き起こすために用いうる開始剤は架橋形態によって異なるが、いずれの場合も開始剤の添加による配向処理物の着色が実用上問題のない程度であることが望ましい。まず加熱のみによって架橋を行う場合は、配向処理時に架橋が起らないよう、分解温度の高い開始剤を用いる必要がある。次に電磁波架橋のうち開始剤が必要な紫外線について言及すると、紫外線照射のみ、もしくは加熱しながら紫外線照射によって架橋を行ういずれの場合も、配向温度および架橋時の加熱温度で分解するものは好ましくなく、液晶組成物の吸収がある300nmより長波長の紫外線で分解する開始剤であれば使用できる。例えば、2‐ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1や、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]などが好ましく用いられる。また添加する開始剤量も適宜決めることができる。
【0048】
電磁波照射に際しては、酸素阻害による影響を回避するため減圧下や無酸素下等で行うことが好ましい。なお加熱処理の場合、液晶組成物のガラス転移温度より高く、等方相転移温度より低い温度範囲の中の適宜な温度で加熱してよい。
【0049】
本発明の配向フィルムは、適宜な基材上に配向処理した液晶層を有する形態や、配向処理した液晶層の単独層からなるフィルム形態などの適宜な形態を有するものであってよい。液晶単独層からなるフィルムは配向処理面よりの剥離物として得ることができるが、その剥離回収には、長鎖アルキル基等からなる剥離性側鎖を有するラビング膜形成剤を用いる方式や、炭素数8〜18のアルキル鎖を有するシラン化合物を表面に結合修飾させたガラス板に配向処理面を形成する方式などの適宜な方式を必要に応じて適用することができる。
【0050】
一方、基材との重畳物からなる配向フィルムとする場合、その基材としては、プラスチックフィルムやガラス板、あるいはポリマーシート、位相差板等の延伸フィルムや偏光板の如き光学フィルムなど適宜のものを用いうる。前記のプラスチックフィルムとしては、例えばポリメチルメタクリレートやポリカーボネート、ポリビニルアルコールやポリアクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリスチレンなどの、延伸フィルムを形成しうる光学的に透明なプラスチックを適宜に選択して用いうる。なお、基材としては、ガラス板やトリアセチルセルロースフィルムの如く複屈折による位相差が可及的に小さいものが特に望ましい。
【0051】
なお、配向架橋処理した液晶層の厚さは、使用目的に応じた光学特性などにより適宜に決定しうるが、一般には柔軟性等の点より100μm以下、就中50μm、特に1〜30μmとされる。
【0052】
このようにして得られた本発明の配向フィルムは、円偏光二色性を示す光学フィルムとして、液晶表示素子等の色補償板、光学位相板、コレステリックフィルム、ノッチフィルター等の種々の光学フィルム用途に有用なものである。
【0053】
また、本発明のコレステリック性液晶組成物は、基材層に展開した液晶相に対し、複数の領域ごとに制御された活性光線を順次又は同時に照射して、当該コレステリック性液晶組成物中の光学活性基の有効含有量が異なる複数の領域を形成し、その後又はそれと同時にコレステリック性液晶組成物を配向処理して前記領域ごとに反射波長の異なる反射領域を形成する多色化処理工程を行った後、さらに架橋処理を施すことにより、コレステリック性液晶の選択反射特性を任意に設定した、耐熱性に優れる多色反射板を製造できる。
【0054】
活性光線としては、光学活性基を変性ないし失活させうる、例えば可視光線や紫外線、電子線やガンマ線などの適宜な放射線を用いることが出来る。その中でも、照射エネルギー等の点より水銀灯やエキシマレーザー等を介した紫外線が好ましい。
【0055】
活性光線の照射により、架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)中の光学活性基(L)に係わるシッフ塩基等の結合基が切断され、光学活性基の有効含有量が異なる複数の領域が形成され、コレステリック性液晶の選択反射特性を任意に設定可能である。
【0056】
多色反射板の製造における配向処理、架橋処理は、前記と同様の処理法を採用でき、配向処理は活性光線の照射と同時に行うこともできる。なお、活性光線の照射にあたっては、基材層に展開した液晶相を予め配向処理しておくことにより、活性光線の照射後または同時における配向処理を良好に行いうる。
【0057】
また、前記液晶組成物に光酸発生剤を配合して非流動層とすることにより、結合基の切断に必要な活性光線の照射量を減量できるが、かかる光酸発生剤を添加した場合には、光学活性基に係わるウレタン結合や−OCOO−結合においても切断が可能となる。その配合量は、液晶組成物100重量部に対し25重量部以下、就中0.1〜20重量部、特に0.5〜10重量部が一般的であるが、これに限定されない。
【0058】
光酸発生剤としては、例えばトリアジン類、芳香族スルホニウム塩類、芳香族ジアゾニウム塩類、シアン酸エステル類、芳香族スルホン酸エステル類、ニトロベンジルエステル類、芳香族スルファミド類などの適宜なものを用いうる。就中、配合効果や液晶配向への無影響性などの点より、トリアジン類や芳香族スルホニウム塩類が好ましく用いうる。
【0059】
前記したトリアジン類の具体例としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3’,4’−ジメトキシフェニル)トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4’−メトキシナフチル)トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビペロニルトリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4’−メトキシ−β−スチリル)トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3’−クロロ−4’−メトキシ−β−スチリル)トリアジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0060】
また、芳香族スルホニウム塩類の具体例としては、下記の化学式で表されるものなどが挙げられる。
【0061】
【化21】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0062】
製造例1(ネマチック性液晶モノマー(a1)の合成)
【化22】
水酸化カリウム300gをエタノール700mlと水300mlの混合液に溶解し、その溶液に4−ヒドロキシ安息香酸276gと触媒量のヨウ化カリウムを溶解させた後、加温状態でエチレンクロロヒドリン177gを徐々に添加して約15時間還流させた。得られた反応液よりエタノールを留去し、次いで水2L中に入れ、この水溶液をジエチルエーテルで2回洗浄後、塩酸を添加して酸性液とした。さらに沈殿物を濾別乾燥した後、エタノールで再結晶し、4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸298gを得た。
【0063】
次に、前記の4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸18.2gをテトラヒドロフラン300mlに溶解させた後、それにアクリル酸ビニル19.5gとリパーゼPS(天野製薬(株)製)18.0gと少量のp−メトキシフェノールを添加して40℃で3時間撹拌した。得られた反応液よりリパーゼPSを濾別後、その濾液を減圧留去した。生成の固体を2−ブタノン/ヘキサン=2/1(重量比)の混合溶媒で再結晶させて4−(2−プロベノイルオキシエトキシ)安息香酸17.5gを得た。
【0064】
次に、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸9.44g、トリフルオロ酢酸無水物8,32mlを塩化メチレン100ml中にいれ、撹拌しながら4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニル7.8gを加え、室温で6時間反応させた。反応液に塩化メチレン300mlを加え、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過、濃縮後、アセトニトリル150mlより再結晶を行い、ネマチック性液晶モノマー11.7g(化学純度>98%)を得た。
【0065】
製造例2(架橋型ネマチック性液晶モノマー(a2)の合成)
【化23】
水2000mlに、水酸化ナトリウム83.86gおよび4−ヒドロキシ安息香酸100gを溶解した溶液を氷冷しておき、その中にクロロぎ酸メチル91.1mlを撹拌しながら滴下した後、室温に戻しながら4時間撹拌した。この溶液を水浴上で冷却しながら、この溶液に濃塩酸約70mlを加えてpH2〜3に調整し、析出した結晶を濾過、水洗いして乾燥させた。さらに、イソプロパノール1000mlから再結晶し、4−メトキシカルボニルオキシ安息香酸94.0g(収率66,2%、化学純度>99%)を得た。
【0066】
4−メトキシカルボニルオキシ安息香酸40.0gおよびジメチルホルムアミド1.50mlを脱水クロロホルム400ml中に入れ、系を窒素置換しておき、40℃で撹拌しながら塩化チオニル19.34mlを滴下した。そのまま2時間撹拌した後、溶媒と過剰の塩化チオニルをトラップを用いて留去し、さらに脱水テトラヒドロフラン20.0mlを加えて結晶を溶解させてから留去する洗浄操作を2回繰り返した。これに脱水テトラヒドロフラン100mlを加え、さらに氷浴上で1,2,5,6−テトラヒドロベンジルアルコール25.2g、トリエチルアミン22.7gおよびジメチルアミノピリジン触媒量を脱水テトラヒドロフラン100mlに溶解した溶液を滴下し、室温で一晩撹拌した。トリエチルアミン塩酸塩を濾別し、テトラヒドロフランを2/3程度留去した後、塩化メチレン500mlで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、2モル/l塩酸、飽和食塩水で有機相を洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。さらに、クロロホルムを溶媒としたシリカゲルカラムにより精製し、4−メトキシカルボニルオキシ安息香酸テトラヒドロベンジルエステル58.8g(収率99.3%、化学純度>97%)を得た。
【0067】
4−メトキシカルボニルオキシ安息香酸テトラヒドロベンジルエステル58.8g、テトラヒドロフラン700ml、25%アンモニア水70mlをフラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。反応液を濃塩酸で中和し、濾過した後、溶媒を留去した。塩化メチレン2000mlを加え、有機相を水1000mlで2回洗った後、溶媒を留去して4−ヒドロキシ安息香酸テトラヒドロベンジルエステル37.8g(収率80.4%、化学純度>95%)を得た。
【0068】
4−メトキシカルボニルオキシ安息香酸14.8g、4−ヒドロキシ安息香酸テトラヒドロベンジルエステル18.4g、ジメチルアミノピリジン触媒量および塩化メチレン330mlをフラスコに仕込み、撹拌しながら、これにジシクロヘキシルカルボジイミド17.1gを塩化メチレン30mlに溶解した溶液を30分かけて滴下した。そのまま室温で20分撹拌し、反応液を濾過した後、有機相を0.5モル/l塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して、4−メトキシカルボニルオキシ安息香酸−p−テトラヒドロベンゾキシカルボニルフェニルエステル34.1g(収率>99%、化学純度88%)を得た。
【0069】
4−メトキシガルボニルオキシ安息香酸−p−テトラヒドロベンゾキシカルボニルフェニルエステル34.1g、テトラヒドロフラン500mlおよび25%アンモニア水50mlをフラスコに仕込み、室温で1時間撹拌した。反応液を濾過し、溶媒を留去した後、塩化メチレン500mlを加え、有機相を水500mlで2回洗った後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去して4−ヒドロキシ安息香酸−p−テトラヒドロベンゾキシカルボニルフェニルエステル27.7g(取率97.1%、化学純度93%)を得た。
【0070】
4−ヒドロキシ安息香酸−p−テトラヒドロベンゾキシカルボニルフェニルエステル27.3g、4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸19,2g、ジメチルアミノピリジン触媒量、ブチルヒドロキシトルエン(重合禁止剤)少量および塩化メチレン500mlをフラスコに仕込み、撹拌しながら、これにジシクロヘキシルカルボジイミド17.6gを塩化メチレン30mlに溶解した溶液を30分かけて滴下した。室温で一晩撹拌し、反応液を濾過して塩化メチレン500mlを加えて希釈した後、有機相を0.5モル/l塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去した。イソプロパノール700mlから再結晶し、架橋型ネマチック性液晶モノマー24.6g(収率56%、化学純度99%)を得た。
【0071】
製造例3(コレステリック性液晶モノマー(a3)の合成)
【化24】
p−ヒドロキシベンズアルデビド122gをトルエン1200mlに加温して溶解した後、(S)−(−)−1−フェニルエチルアミン121gを30分かけて加え、Dean−Stark器を用いて理論量の水を確認するまで約3〜4時間還流した。次に反応液を放冷し、析出した結晶を濾過し、エタノール1500mlで再結晶して自色の針状結晶(キラルフェノール化合物)166gが得られた。
【0072】
4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸118g、キラルフェノール化合物113g、ジメチルアミノピリジン触媒量およびブチルヒドロキシトルエン少量を酢酸エチル2500mlに溶解し、室温撹拌を行い、そこへ酢酸エチル200mlに溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)124gを徐々に添加した。室温で5時問撹拌した後、析出したDCCウレアを濾別した。濾液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水(2回)(各100ml)で洗浄し、さらに硫酸マグネシウムで乾燥、濾別、溶媒を留去した後、エタノール1800mlで再結晶を行い、目的のコレステリック性液晶モノマー130g(化学純度>90%)を得た。
【0073】
製造例4(架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)の合成)
【化25】
製造例1で得たネマチック性液晶モノマー5.00g、製造例2で得た架橋型ネマチック性液晶モノマー0.493g、製造例3で得たコレステリック性液晶モノマー1.92gおよびジメチルアセトアミド/テトラヒドロフラン=4/1(重量比)の混合溶媒50mlをフラスコに仕込み、系内を窒素置換した。水浴上で、溶液を温度57℃に加温して前記液晶モノマーを溶解させた後、アゾビスイソブチロニトリル0.142gをジメチルアセトアミド/テトラヒドロフラン=4/1(重量比)の混合溶媒2mlに溶解した溶液を滴下した。溶液温度57℃に加温したまま、窒素置換しなから6時間撹拌し、室温まで放冷した後、反応液を濾過し、メタノール1000mlに投入してポリマーを析出させた。ポリマーを濾取し、メタノール/テトラヒドロフラン=3 /2(重量比)の混合溶媒で洗浄し、減圧乾燥して目的の架橋型コレステリック性液晶ポリマー6. 42g(収率87%、重量平均分子量10000)を得た。なお、化25中の液晶ポリマーは便宜的にブロック共重合体で表し、繰り返し単位の下にそれぞれの共重合割合 (モル%)を示した。
【0074】
製造例5(架橋型コレステリック性液晶モノマー(b)の合成)
【化26】
4−(2−プロペノイルオキシエトキシ)安息香酸5.10g、イソソルビド2.83g、ジメチルアミノピリジン触媒量およびブチルヒドロキシトルエン少量を塩化メチレン50mlに溶解し、室温撹拌を行い、そこへ塩化メチレン3mlに溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)2.33gを徐々に添加した。室温で5時間した後、析出したDCCウレアを濾別した。濾液を0.5モル/リットル塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水(2回)(各100ml)で洗浄し、さらに硫酸マグネシウムで乾燥、濾別、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:塩化メチレン/ジエチルエーテル=6/1(重量比))を行い、目的の架橋型コレステリック性液晶モノマー1.39g(化学純度>90%)を得た。
【0075】
比較製造例1
製造例4において、製造例2で得た架橋型ネマチック性液晶モノマーを用いなかったこと以外は、製造例4と同様の重合を行い、コレステリック性液晶ポリマー(重量平均分子量10000)を得た。
【0076】
実施例1
製造例4で得られた架橋型コレステリック性液晶ポリマー100重量部および製造例5で得られた架橋型コレステリック性モノマー15重量部をシクロヘキサノンに溶解させて30重量%の液晶組成物の溶液を調製した。
【0077】
次に、前記溶液を、ガラス板に張り合わせた延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに、スピンコーターにて塗布して乾燥させ、160℃で5分間加熱して配向処理後に、室温にて放冷した後、電子線を40Mrad/cm2 で照射して架橋し、配向架橋処理された配向フィルムを得た。
【0078】
実施例2
実施例1で調製した液晶組成物100重量部を含む溶液に、光酸発生剤5重量部を添加した液晶組成物の溶液を調製し、さらに当該溶液に実施例1と同様の配向処理を行った後、透過率が100%、50%、0%の3領域を100μmピッチで有するフォトマスクを介してDeep紫外線を100mJ/cm2 照射し、さらに前記同様の配向処理条件で再配向して多色反射処理を行った後、電子線を40Mrad/cm2 で照射して架橋処理して、配向架橋処理された配向フィルム(多色反射板)を得た。得られた多色反射板は、中心波長について、反射光の中心が450nm、540nm、620nmの3領域を有していた。
【0079】
比較例l
実施例1において、製造例4で得られた架橋型コレステリック性液晶ポリマーの代わりに比較製造例1で得られたコレステリック性液晶ポリマーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い配向フィルムを得た。
【0080】
比較例2
実施例1において、製造例5で得られた架橋型コレステリック性モノマーを用いることなく液晶組成物を調製した以外は、実施例1と同様の操作を行い配向フィルムを得た。
【0081】
比較例3
実施例2において、製造例4で得られた架橋型コレステリック性液晶ポリマーの代わりに比較製造例1で得られたコレステリック性液晶ポリマーを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い配向フィルムを得た。
【0082】
比較例4
実施例2において、製造例5で得られた架橋型コレステリック性モノマーを用いることなく液晶組成物を調製した以外は、実施例2と同様の操作を行い配向フィルムを得た。
【0083】
参考例1
実施例1において、電子線照射を行わないこと以外は、実施例1と同様の操作を行い配向フィルムを得た。
【0084】
参考例2
実施例2において、電子線照射を行わないこと以外は、実施例2と同様の操作を行い配向フィルムを得た。
【0085】
実施例、比較例で得た配向フィルムを種々の温度で1時間加熱して外観の変化を目視観察し、変化が認められない最高温度を耐熱温度として評価した。結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
表1より、架橋型コレステリック性液晶ポリマー(a)および架橋型コレス リック性液晶モノマー(b)を含有する液晶組成物から調製された実施例の配 フィルムは、これらの一方を含有していない液晶組成物から得られた比較例の配向フィルムに比べて、耐熱温度が大幅に向上していることが認められる。また、参考例から、配向フィルムは、架橋処理を施すことにより、耐熱温度が大幅に向上していることが認められる。
Claims (7)
- 一般式(a1):
一般式(a3)におけるL(活性光線により変性ないし失活する光学活性基)が、一般式:
- 一般式(a1)、一般式(a2)、一般式(a3)、一般式(b)におけるAおよびD(環状系官能基)が、一般式:
- 一般式(a2)におけるG(架橋基)が、一般式:
- 一般式(b)におけるJ(活性光線により変性ないし失活しない光学活性基)が、一般式:
- 請求項1〜4のいずれかに記載のコレステリック性液晶組成物に配向処理および架橋処理を施して得られる配向フィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のコレステリック性液晶組成物に、複数の領域ごとに制御された活性光線を順次又は同時に照射して、当該コレステリック性液晶組成物中の光学活性基の有効含有量が異なる複数の領域を形成し、その後又はそれと同時にコレステリック性液晶組成物を配向処理して前記領域ごとに反射波長の異なる反射領域を形成する多色化処理工程を行った後、さらに架橋処理を施す多色反射板の製造方法。
- 請求項6に記載の製造方法で得られた多色反射板。
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