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JP4178692B2 - 産業車両の荷役走行制御装置 - Google Patents

産業車両の荷役走行制御装置 Download PDF

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JP4178692B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォークリフト等の産業車両において、荷役操作手段の操作量に応じたエンジン回転数に制御するとともに、アクセル操作手段の操作量に応じた車速とすべく前後進クラッチを半クラッチ圧に制御する荷役走行制御を行う産業車両の荷役走行制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジン車であるフォークリフトにおいては、荷役用のリフトシリンダ等に作動油を供給する荷役用ポンプはエンジンの出力を利用して駆動されるようになっている。そのため、荷役作業の際は、アクセルペダルを踏み込んでエンジン回転数を高くして荷役ポンプからの供給油量を多くしてリフトシリンダ等の駆動速度(荷役速度)を高めるとともに、その一方でインチングペダルを踏み込んで進行側のクラッチを半クラッチ状態にして車速を調節していた。
【0003】
例えば特開平2−274637号公報、特開平3−168418号公報、特開平6−247190号公報には、荷役作業のときにアクセルペダルとインチングペダルの両方を操作する面倒を無くすことができるフォークリフトの荷役走行制御装置が開示されている。例えば特開平6−247190号公報に開示されたフォークリフトでは、トルクコンバータ及び油圧式の前後進クラッチを有する変速機を備え、荷役レバーの操作量に対応する目標エンジン回転数が、アクセルペダルの操作量に対応する目標エンジン回転数より大きくなる(荷役走行条件成立)と、荷役レバー操作量に対応する目標エンジン回転数となるようにエンジン回転数制御を行うとともに、アクセルペダルの操作量に応じた車速が得られるように前後進クラッチのうち進行側のクラッチを半クラッチ状態に制御する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の荷役走行制御装置では、荷役走行条件が成立して通常走行モードから荷役走行モードに入る際、通常走行モードで完全係合されていた進行側のクラッチが半クラッチとなる前のタイミングで、エンジン回転数が急上昇する場合があった。そのため、クラッチの係合圧が高い段階でエンジン回転数が急上昇することによって、通常走行から荷役走行に移る際に加速ショックが発生するという問題があった。
【0005】
例えば特開平2−274637号公報では、通常走行から荷役走行に切換わると、進行側のクラッチを半クラッチ状態に調節するとともに、遅れ時間を持たせた所定時間経過後にスロットル開度を増大させる制御を行っていた。しかし、通常走行から荷役走行へ切換わる際の走行状態(車速変化過程等)によっては依然ショックが発生する場合があった。さらにこの種のショックを無くすため遅れ時間を設定したことが却ってある状況下(シフト中立位置のとき等)では徒に荷役速度の立ち上がり応答性を低下させることになっていた。そのため、通常走行から荷役走行に移行するときなど、車速制御のためのクラッチ圧制御を開始する際に、ショックなくしかも荷役速度の立ち上がり応答性を無駄な低下させることのないように、状況に応じた適切な制御を実現することが求められていた。
【0006】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであってその目的は、通常走行から荷役走行に移行するときなど、車速制御のためのクラッチ圧制御を開始する際に、ショックなくしかも荷役速度の立ち上がりに無駄な応答遅れのないように状況に応じた適切な制御を実現することができる産業車両の荷役走行制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、産業車両において、エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、アクセル操作手段の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、エンジンにより駆動される荷役用ポンプと、荷役作業を行うために操作される荷役操作手段の操作量を検出する荷役操作量検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、荷役操作量検出手段及びアクセル操作量検出手段の各検出値に基づいて通常走行か荷役走行かを判断し、通常走行と判断した場合は進行側のクラッチを完全係合状態として前記アクセル操作手段の操作量に対応した目標エンジン回転数に制御し、荷役走行と判断した場合は荷役操作手段の操作量に対応した目標エンジン回転数に制御し、かつ進行側のクラッチを半クラッチ状態にするとともに前記アクセル操作手段の操作量に対応した目標車速となるようにクラッチの係合圧を制御する制御手段とを備えた荷役走行制御装置を前提とする。
【0008】
請求項1に記載の発明では、前記制御手段は、通常走行から荷役走行に移行したと判断すると、進行側のクラッチを半クラッチ状態とすべく予め設定された初期クラッチ圧を与え、前記車速検出手段の検出値に基づき車速が安定したと認められる車速安定条件が成立してから、進行側のクラッチの係合圧をアクセル操作手段の操作量に対応する目標車速となるようにする制御を開始することを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、通常走行から荷役走行に移行すると、進行側のクラッチに予め設定された初期クラッチ圧が与えられ、車速が安定したと認められる車速安定条件が成立してから進行側のクラッチの係合圧がアクセル操作手段の操作量に対応した目標車速となるように制御される。このため、車速変化を伴う車速不安定時(このようなときはアクセル操作量に応じた目標車速と実車速との間に開きがある場合がある)に、アクセル操作量に応じた目標車速となるようにクラッチの係合圧制御が実行されることに起因するショックが避けられる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1の発明において、前記進行側のクラッチの係合圧をアクセル操作手段の操作量に対応する目標車速となるようにする制御は車速フィードバック制御であり、前記制御手段は、車速安定条件成立前においては、前記車速検出手段により検出された現在の車速を目標車速として設定して前記車速フィードバック制御を無効化させることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、請求項1の発明の作用に加え、現在の検出車速を目標車速として設定する簡単な処理により、車速フィードバック制御が無効化される。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2の発明において、前記制御手段は、前記車速安定条件成立後においては、アクセル操作手段の操作量に対応する目標車速に対し、前記車速安定条件成立時点におけるアクセル操作手段の操作量に対応する目標車速と検出車速との差に見合った補正量を補う目標車速補正処理を行い、該目標車速補正処理で得られる目標車速となるように前記クラッチの係合圧を制御することを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、請求項1又は2の発明の作用に加え、制御手段は、車速安定条件成立後においては、アクセル操作手段の操作量に対応する目標車速に対し、車速安定条件成立時点におけるアクセル操作手段の操作量に対応する目標車速と検出車速との差に見合った補正量を補う目標車速補正処理を行う。そしてこの目標車速補正処理で得られた目標車速となるようにクラッチの係合圧を制御する。車速安定条件成立時点におけるアクセル操作量に応じた目標車速と検出車速との間に開きがあったとしても、クラッチの係合圧制御の開始時にショックが発生し難い。
【0015】
請求項に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、車両に積載された荷の荷重を検出する荷重検出手段を備え、前記制御手段は、前記初期クラッチ圧を前記荷重検出手段の検出値に基づく荷重に応じて荷が重いほど大きな値となるように設定することを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明の作用に加え、通常走行から荷役走行に移行する際の初期クラッチ圧が、車両に積載された荷の荷重に応じて荷が重いほど大きな値となるように設定される。このため、通常走行から荷役走行に移行する際に、荷の有無や荷重の違いに起因する車速変化が起き難くなる。
【0017】
請求項に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記変速機を切換操作するためのシフト操作手段の前進・中立・後進のうちの操作位置を検出するシフト操作位置検出手段を備え、前記制御手段は、シフト操作位置検出手段が前進位置又は後進位置を検出する状態で通常走行から荷役走行に移行するときは、荷役操作手段の操作量に対応した目標エンジン回転数とするエンジン回転数制御の開始を、クラッチを半クラッチ状態とするクラッチ制御開始時より所定時間遅らせる設定がなされ、シフト操作位置検出手段が中立位置を検出する状態で通常走行から荷役走行に移行するときは、前記エンジン回転数制御の開始を所定時間遅らせる設定を解除することを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明の作用に加え、シフト操作位置が前進位置又は後進位置にある状態で通常走行から荷役走行に移行するときは、荷役操作量に対応した目標エンジン回転数とするエンジン回転数制御が、クラッチを半クラッチ状態にするクラッチ係合圧制御開始より所定時間遅れて開始される。このため、前進クラッチ又は後進クラッチが完全係合に近い接続状態でエンジン回転数が上昇することに起因するショックが避けられる。一方、シフト操作位置が中立位置にある状態で通常走行から荷役走行に移行するときは、荷役操作量に対応した目標エンジン回転数とするエンジン回転数の上昇が遅れ時間なく直ちに実行される。このため、シフト操作手段が中立位置にある状態で荷役操作手段を操作したときには、荷役速度の立ち上がりの応答性がよくなる。
【0019】
請求項に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記変速機を切換操作するためのシフト操作手段の前進・中立・後進のうちの操作位置を検出するシフト操作位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記シフト操作位置検出手段が中立位置を検出する状態における荷役走行中において、前記シフト操作位置検出手段の検出信号に基づき中立位置から前進位置又は後進位置に切り換わったと判断したときは、前記車速検出手段の検出値に基づき車速が停止車速以下であるか否かを判断し、車速が停止車速以下であれば予め設定された設定クラッチ圧を与え、車速が停止車速を超えるようになると、アクセル操作手段の操作量に対応した目標車速となるようにクラッチの係合圧を制御することを要旨とする。
【0020】
この構成によれば、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明の作用に加え、荷役走行の状態でシフト操作手段が中立位置から前進位置又は後進位置に切り換えられたときは、車速が停止車速以下であれば、進行側のクラッチに予め設定された設定クラッチ圧(発進ショックが起きない控え目の設定値)が与えられる。そして、車速が停止車速を超えるようになるとアクセル操作量に対応した目標車速とするためのクラッチの係合圧制御に移行する。このため、比較的高いエンジン回転数の状態にある荷役走行中にシフト操作手段を中立位置から前進位置又は後進位置に切換えて車両を発進させる際、ショックが起き難くなる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を産業車両としてのフォークリフトに具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
【0024】
図1に示すように、エンジン1の出力軸1aはトルクコンバータ2を備えた変速機3に連結され、変速機3は差動装置4を介して駆動輪5aを有する車軸5に連結されている。エンジン1にはスロットルアクチュエータ7が設けられ、スロットルアクチュエータ7の作動によってスロットル開度が調節されてエンジン1の回転数、即ちエンジン1の出力軸1aの回転数が調節される。
【0025】
変速機3は入力軸3a及び出力軸3bを備え、入力軸3aに前進クラッチ8及び後進クラッチ9が設けられている。前進クラッチ8及び後進クラッチ9と出力軸3bとの間には図示しないギヤ列がそれぞれ設けられ、各クラッチ8,9及び各ギヤ列を介して入力軸3aの回転が出力軸3bに伝達される。両クラッチ8,9には油圧式のクラッチ、この実施の形態では湿式多板クラッチが使用され、受圧室8a,9a内の油圧力によって接続力が調節可能に、かつ受圧室8a,9a内の油圧力を高めると接続力が大きくなるように構成されている。前進クラッチ8及び後進クラッチ9は前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11を介して供給される油圧により受圧室8a,9a内の油圧力が制御される。前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11はソレノイドへの通電量に比例した開度となる比例ソレノイド弁で構成されている。
【0026】
変速機3の出力軸3bには駐車ブレーキ12が設けられている。即ち、駐車ブレーキ12は変速機3に組み込まれている。駐車ブレーキ12は出力軸3bと一体回転するディスク12aと、出力軸3bに対して回転不能かつスラスト方向に移動可能に設けられたブレーキパッド12bとを備えている。ブレーキパッド12bは図示しないばねのばね力によりディスク12aに圧接される方向に付勢されて制動のための係合圧を発生させ、ブレーキ用バルブ13を介して受圧室12cに供給される油圧により制動状態が解除されるように構成されている。ブレーキ用バルブ13には電磁弁が使用されている。
【0027】
図1ではトルクコンバータ2、変速機3及び各バルブ10,11,13が独立して図示されているが、これら各装置は一つのハウジング内に組み込まれて、オートマチックトランスミッションを構成している。そして、変速機3には図示しない油圧ポンプが組み込まれ、その油圧ポンプの吐出油が図示しない流路及び各バルブ10,11,13を介して各受圧室8a,9a,12cに供給可能に構成されている。前記油圧ポンプはエンジン1の回転時に変速機3に伝達される回転力により駆動されるようになっている。
【0028】
エンジン1の出力軸1aには歯車14が一体回転可能に設けられ、磁気ピックアップからなるエンジン回転数センサ15により出力軸1aの回転数が検出される。エンジン回転数センサ15は出力軸1aの回転数に比例したパルス信号を出力する。変速機3の入力軸3aには歯車16が一体回転可能に設けられ、磁気ピックアップからなるタービン回転数センサ17により入力軸3aの回転数が検出される。タービン回転数センサ17は入力軸3aの回転数に比例したパルス信号を出力する。変速機3の出力軸3bには歯車18が一体回転可能に設けられ、磁気ピックアップからなる車速検出手段としての車速センサ19により出力軸3bの回転数が検出される。車速センサ19は出力軸3bの回転数に比例したパルス信号を出力する。
【0029】
エンジン1により駆動される荷役用ポンプとしての油圧ポンプ20の吐出側に、図示しない管路等を介してフォーク21を昇降させるリフトシリンダ22及びマスト23を傾動させる図示しないティルトシリンダが接続されている。リフトシリンダ22にはフォーク21の積載荷重を検出する荷重検出手段としての圧力センサ24が設けられている。圧力センサ24はリフトシリンダ22の内部の油圧を検出し、フォーク21の積載荷重に対応した検出信号を出力する。
【0030】
運転室の床にはアクセル操作手段としてのアクセルペダル25と、インチングペダル26と、ブレーキペダル27とが設けられている。インチングペダル26は荷役作業を行いながらフォークリフトの微速走行を行う際に、クラッチを半接続状態(半クラッチ状態)にするために使用するものである。そして、ブレーキペダル27を操作する(踏み込む)ときは、ブレーキペダル27はインチングペダル26と独立して作動するが、インチングペダル26を操作する(踏み込む)ときは、途中からインチングペダル26とブレーキペダル27とが連動可能に構成されている。
【0031】
アクセルペダル25の操作量はアクセル操作量検出手段としてのアクセルセンサ28により検出され、アクセルセンサ28はアクセルペダル25の操作量に比例した検出信号を出力する。インチングペダル26の操作量はインチングセンサ29により検出され、ブレーキペダル27の操作量はブレーキセンサ30により検出される。
【0032】
運転室の前部にはシフト操作手段としてのシフトレバー(前後進レバー)31が設けられている。シフトレバー31の位置を検知するシフト操作位置検出手段としてのシフトスイッチ32は、シフトレバー31が前進位置F、後進位置R及び中立位置(ニュートラル位置)Nのいずれにあるかを検知し、各位置に対応する信号を出力する。また、運転室の前部には荷役操作手段としてのリフトレバー33及びティルトレバー34が設けられている。リフトレバー33が操作されたか否かを検出する荷役操作量検出手段としてのリフトレバーセンサ35は、リフトレバー33の操作量に比例した検出信号を出力する。ティルトレバー34が操作されたか否かを検出する検知する荷役操作量検出手段としてのティルトレバーセンサ36は、ティルトレバー34の操作量に比例した検出信号を出力する。以下、リフトレバー33を荷役レバーと称す。
【0033】
次にスロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13を駆動制御するための電気的構成を説明する。
【0034】
制御手段としての制御装置41は、中央処理装置(以下、CPUという)42、読出し専用メモリ(ROM)43、読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)44、入力インタフェース45及び出力インタフェース46を備えている。ROM43には所定の制御プログラムや制御プログラムを実行する際に必要な各種データ等が記憶されている。RAM44にはCPU42の演算結果等が一時記憶される。CPU42はROM43に記憶された制御プログラムに基づいて作動する。
【0035】
エンジン回転数センサ15、タービン回転数センサ17、車速センサ19及びシフトスイッチ32は、入力インタフェース45を介してCPU42に接続されている。圧力センサ24、アクセルセンサ28、インチングセンサ29、ブレーキセンサ30、リフトレバーセンサ35及びティルトレバーセンサ36は図示しないA/D変換器(アナログ・ディジタル変換器)及び入力インタフェース45を介してCPU42に接続されている。
【0036】
CPU42は出力インタフェース46及び図示しない駆動回路を介してスロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13にそれぞれ接続されている。CPU42は各センサ15,17,19,24,28,29,30,35,36及びスイッチ32の出力信号を入力するとともに、ROM43に記憶された各種制御プログラムに従って動作し、スロットルアクチュエータ7及び各バルブ10,11,13への制御指令信号を出力する。
【0037】
ROM43には、アクセルペダル25の操作量に対するスロットル開度を示す図2(a)のマップM1と、荷役レバー33の操作量に対するスロットル開度を示す図2(b)のマップM2とが記憶されている。ROM43には制御プログラムとして、モード判定プログラム(図示せず)、HATエンジン回転数制御ルーチン(図4)、HAT車速制御ルーチン(図5)、ニュートラルHAT制御ルーチン(図6)等が記憶され、これら各プログラムは各々の実行条件成立下において所定時間(例えば10〜50msec. )間隔毎に実行される。
【0038】
モード判定プログラムは、通常走行モードか荷役走行モードかを判定するためのプログラムである。CPU42はこのプログラムを実行することで、マップM1から求めるアクセルペダル25の操作量に対応するスロットル開度THrun と、マップM2から求まる荷役レバー33の操作量に対応するスロットル開度THliftとを大小比較し、通常走行条件THrun ≧THliftが成立すると通常走行モードと判定し、荷役走行条件THrun <THliftが成立すると荷役走行モード(以下、HATモードという)と判定する。通常走行モードのときはスロットル開度THrun が採用され、HATモードのときはスロットル開度THliftが採用される。
【0039】
図4に示すHATエンジン回転数制御ルーチンと図5に示すHAT車速制御ルーチンは、荷役走行制御(HAT制御)のためのプログラムで、それぞれ荷役走行条件成立(HATモード)下で実行される。荷役走行制御(HAT制御)は、荷役レバー33の操作量から決まるスロットル開度THliftとなるようにスロットルアクチュエータ7を制御するエンジン回転数制御(図4)と、アクセルペダル25の操作量に対応する目標車速(スロットル開度THrun に応じた車速)となるように進行側(シフト側)のクラッチ8(又は9)の係合圧を制御するクラッチ圧制御(車速制御)(図5)とからなる。また、図6のニュートラルHAT制御ルーチンは、シフトレバー31が中立位置NにあるときのHATモード下で実行され、HATモード下でシフトレバー31が中立位置から前進・後進位置に操作されるときの制御を司るプログラムである。
【0040】
ROM43にはHATモード下で進行側のクラッチ8(9)を半クラッチ接続状態とするときの初期クラッチ圧を与えるための図3に示すマップM3,M4が記憶されている。各マップM3,M4には、圧力センサ24の検出信号に基づく荷重Wにほぼ比例してクラッチ圧Pclini,Pclsが増加するように設定されている。図3(a)のマップM3はHAT車速制御ルーチンにおいてHAT制御開始時の目標初期クラッチ圧Pcliniを求めるために使用される。また図3(b)のマップM4はニュートラルHAT制御ルーチンにおいて停止車速(1km/h以下)でシフトレバー31を中立位置から前進・後進位置に操作したときの設定クラッチ圧Pclsを求めるために使用される。また、ROM43にはアクセル開度と目標車速との関係を示すマップ(図示省略)が記憶されている。なお、各マップM1〜M4等は計算式に代えることもできる。
【0041】
次に図4〜図6等の各ルーチンのプログラム内容について説明する。
CPU42はエンジン運転中においてモード判定プログラムを所定時間間隔で実行する。CPU42は各マップM1,M2を参照してアクセル操作量および荷役レバー操作量に応じて得た各スロットル開度THrun,THliftを大小比較し、通常走行モードかHATモードかを判定する。図4及び図5の両ルーチンは、HATモード判定下で実行される。例えば図4のルーチン終了後に続けて図5のルーチンが実行される。
【0042】
はじめに図4に示すHATエンジン回転数制御ルーチンを説明する。なお、CPU42は本ルーチンで使用するカウント値Ecntを計数するためのカウンタを内蔵する。
【0043】
まずステップ(以下単にSと記す)100においては、スロットル開度THrun,THliftを読み込む。つまり、モード判定プログラムで使用されてRAM44に一時記憶されたデータを読み込む。
【0044】
S110においては、シフト位置が中立位置かどうかを判断する。これはシフトスイッチ32から入力される検出信号に基づいて判断する。中立位置であればS120に進み、前進位置または後進位置であればS130に進む。
【0045】
S120においては、カウンタ値Ecntに10をセットする。
S130においては、カウンタ値Ecntが10以上であるか否かを判断する。Ecnt≧10であればS140に進み、Ecnt≧10でなければS150に進む。
【0046】
S140においては、スロットル開度THliftの指令値をスロットルアクチュエータ7に指令する。
S150においては、スロットル開度THrunの指令値をスロットルアクチュエータ7に指令する。
【0047】
S160においては、カウンタ値Ecntをインクリメントする。
よって、シフトレバー31が前進位置Fまたは後進位置Rにある状態で、荷役レバー33を操作してHATモードに入ったときは、カウンタ値Ecntが10計数するまでの所定時間(0.1〜0.5秒)遅れてエンジン回転数NEが上昇し始める。一方、シフトレバー31が中立位置Nにある状態で、荷役レバー33を操作してHATモードに入ったときは、カウンタ値Ecntに10がセットされるため、HATモードに入ると直ちにエンジン回転数NEが上昇し始める。
【0048】
次に図5に示すHAT車速制御ルーチンを説明する。
まずこのルーチンの特徴的な考え方を述べる。HATモードに入ったときエンジン回転数を上昇させるため、進行側のクラッチが接続状態にあればアクセル操作量に応じた車速を保つためにクラッチ圧を半クラッチ圧に下げることになる。このときクラッチ圧が低ければ車体は減速し、クラッチ圧が高ければ車体は加速する。そこで、HATモードに入ったときに加減速がないように、初期クラッチ圧は走行抵抗との釣り合いを考慮した値に設定する。走行抵抗は車体重量に比例するため、圧力センサ24からの検出値に基づく荷重Wに応じた目標初期クラッチ圧Pcliniが決まるようにしている。このために図3(a)のマップM3を使用する。
【0049】
また、HATモードに入ったとき、アクセル開度に応じた目標車速と実車速との間に比較的大きな差がある場合がある。この場合、目標初期クラッチ圧を与えた後、目標車速とするための制御によりクラッチ圧が比較的急勾配で上昇または下降し、運転者がショックと感じる恐れがある。そのための対策として以下の制御▲1▼〜▲3▼を採用している。
【0050】
▲1▼ HATモードに入ったら実車速(検出車速)を目標車速に設定する。つまり車速フィードバック制御が事実上行われないのに等しい制御の無効化の処理をする。このため目標初期クラッチ圧Pcliniを維持したまま惰性走行する。
【0051】
▲2▼ この惰性走行下で車速が安定しているかどうかを逐次チェックし、車速が安定していると判定できたら▲1▼の設定を解除する。この設定解除時から事実上の車速フィードバック制御が開始される。HATモードに入ったときに車速変化過程にあるときは、車速の安定を待って(事実上の)車速フィードバック制御が開始される。車速変化があることは、実車速を目標車速に近づける加速または減速過程にあって、実車速と目標車速とに比較的大きな差があるとみなし得るからである。車速安定判定は、予め用意された車速安定条件が成立したか否かを調べる。
【0052】
▲3▼ フィードバック制御が事実上開始された時の車速は安定しているが、大抵の場合、その時の実車速はアクセル開度から決まる目標車速Vaccとは一致していない。そこで、車速安定条件成立以後に決まる目標車速にその差を補う補正を加えることで、車速安定条件成立時点前後における車体の加減速が起きないようにする。詳しくは車速安定条件成立時点における実車速Vsenと目標車速Vaccとの差Vcor(=Vsen−Vacc)を、以後のアクセル開度から逐次決まる目標車速Vaccに加算する(Vhat=Vacc+Vcor)。補正後の目標車速Vhatを基にHATモードの終了まで車速フィードバック制御を実行する。
【0053】
以下、上記▲1▼〜▲3▼の制御内容を取り入れたルーチンについて図5に基づいて詳しく説明する。なお、CPU42は本ルーチンで使用するカウント値HATcntを計数するためのカウンタを内蔵する。
【0054】
まずS200においては、HATcntが「0」であるか否かを判断する。HATcntはHATモード中に継続して計数されるカウンタ値で、HAT制御のサイクル回数に相当する。この場合、HATcntはHATモードに入って始めて(1回目)の当該ルーチンの実行であるかどうかの判断に使われる。HATcnt=0のときはS210に進み、HATcnt=0でないときはS220に進む。つまりHATモードに入った1回目はS210に進み、2回目以降はS220に進む。
【0055】
S210においては、荷重Wに応じた目標初期クラッチ圧Pcliniを求める。すなわち、荷重Wのデータに基づきマップM3(図3(a))を参照し、荷重Wに応じた目標初期クラッチ圧Pcliniを求める。荷重Wが重いほど目標初期クラッチ圧Pcliniは大きな値に決まる。
【0056】
S220においては、過去所定時間内の車速変化率を計算する。現時刻から過去一定時間(例えば20〜100msec.)内に検出された複数個の車速データ(現在の車速データを含む)をCPU42はRAM44に保存しており、複数個の車速データを使って一定時間内における車速変化率を計算する。
【0057】
次のS230においては、車速安定条件が成立するか否かを判断する。詳しくは一定時間の車速変化率が予め設定した一定範囲内に収まっているかどうかを判断する。この車速安定条件不成立のときはS240に進み、車速安定条件成立のときはS250に進む。
【0058】
S240においては、検出車速(実車速)Vsenを目標車速Vhatに設定する。つまり実車速Vsenが目標車速Vhatに設定され、車速フィードバック制御を事実上無効化するための設定がなされる。この処理の後はS280に進む。
【0059】
S250においては、アクセル開度に応じた目標車速Vaccを求める。アクセルペダルセンサ28からの検出値であるアクセル開度データに基づきマップ(図示せず)を参照してアクセル開度に応じた目標車速Vaccを求める。
【0060】
次のS260においては、目標車速補正値Vcorを算出する。この補正値Vcorは、車速安定条件成立時点(時刻to)における実車速Vsenと目標車速Vaccとの差として計算される(Vcor=Vsen(to)−Vacc(to);但し、Vsen(to),Vacc(to)は、それぞれ車速安定条件が最初に成立した時刻toにおける実車速、アクセル開度から決まる目標車速である)。目標車速補正値Vcorは以後当ルーチンで使用するためにRAM44の所定記憶領域に記憶される。
【0061】
次のS270においては、目標車速Vaccに目標車速補正値Vcorを加え、目標車速Vhatを算出する。この目標車速Vhatが車速フィードバック制御の目標値とされる。
【0062】
S280においては、車速フィードバック制御演算により目標クラッチ圧Pclを算出する。つまり、フィードバック制御演算式(例えば比例積分制御(PI制御)の演算式など)を用いて実車速Vsenと目標車速Vhatから両者の偏差等に応じた目標クラッチ圧Pclを計算する。
【0063】
次のS290においては、シフト側のクラッチバルブソレノイド10(又は11)に目標クラッチ圧Pclに応じた電流値を出力する指令を出す。なお、シフトレバー31が中立位置にあるときは、目標車速補正値Vcorは「0」とする。このため、シフトレバー31が中立位置にある停車状態でアクセルペダル25が踏まれ、目標車速と実車速「0」との間に偏差が生じても、目標車速補正値Vcorは「0」となる。
【0064】
次に図6に示すニュートラルHAT制御ルーチンを説明する。
シフトレバー31が中立位置Nにある状態で荷役レバー33が操作されてHATモードにある状態(ニュートラルHAT状態という)で、シフトレバー31が前進位置Fまたは後進位置Rに操作されたときの制御のためのルーチンである。ニュートラルHAT状態でシフト位置を前進・後進位置に切り換える場合には次の2通りある。
(a) 停車中のニュートラルHAT状態から発進するためにシフトレバー31を前進・後進位置に操作する場合。
(b) 走行中のニュートラルHAT状態からシフトレバー31を前進・後進位置に操作する場合。
【0065】
停車中のニュートラルHAT状態から発進する場合、停車状態でクラッチ圧の車速フィードバック制御を開始すると、検出車速(≒0)と目標車速Vaccとの差が大きいため、発進時にショックが発生する。この対策として、ニュートラルHAT状態でシフトレバー31が前進・後進位置に操作された時点の車速が停車と認められる停止車速(1km/h以下)である間は、初期クラッチ圧として設定クラッチ圧Pclsを与え、フィードフォワード制御を行う。そして、車速が停止車速(1km/h以下)を超えたらフィードバック制御に移る。設定クラッチ圧Pclsには、図3(b)のマップM4を使用して荷重Wに応じた値が設定される。
【0066】
以下、上記制御内容を含むこのルーチンについて図6に基づいて詳しく説明する。このルーチンはニュートラルHAT状態、すなわち中立位置NかつHATモードにあるときに実行される。
【0067】
まずS300においては、シフトレバー31が前進位置Fまたは後進位置Rに操作されたかを判断する。操作されたときはS310に進み、操作されなかったときは当該ルーチンを終了する。
【0068】
S310においては、車速が1km/h以下であるか否かを判断する。車速が1km/h以下でないとき、すなわち車速が1km/hを超えるときはHAT車速制御ルーチン(図5)へ移行する。つまり車速が1km/hを超えるときは、クラッチ圧の車速フィードバック制御が実行される。このとき例えばアクセルペダル25が踏まれておらず目標車速Vacc(=0)と実車速Vsen(>1)との間に差があれば、その差に相当する目標車速補正値Vcorを持った形でフィードバック制御が行われる。このため、アクセルペダル25を離していても、目標車速Vhatは0とはならず目標車速補正値Vcor分が残るので、クリープ走行することになる。一方、このステップにおいて車速が1km/h以下であるときはS320に進む。
【0069】
S320においては、マップM4(図3(b))を参照し、荷重Wに応じた設定クラッチ圧Pclsを求める。この設定クラッチ圧Pclsは、発進ショックを招かない値に設定された半クラッチ圧で、荷が重いときほど値が大きくなるように設定され、荷の有無や重量等に影響されずいつも一定の発進加速度が得られるようにしている。
【0070】
次のS330においては、シフト側のクラッチバルブソレノイドへ設定クラッチ圧Pclsに応じた電流値の出力を指令する。
以上説明した各種ルーチンのプログラムを制御装置41に備えるこのフォークリフトにおいては、通常走行モードからHATモードに移行する際の制御は、図4及び図5の各ルーチンが実行されることにより次のように行われる。
【0071】
図7(a)に示すように、シフトレバー33が前進位置F又は後進位置Rにある状態で通常走行モードからHATモードに移行した際は、シフト側のクラッチを目標初期クラッチ圧Pcliniとするクラッチ圧制御の開始から所定時間ΔT遅れてエンジン回転数NEが上昇し始める。このため、通常走行モード下で完全係合状態にあったクラッチが半クラッチになったタイミングでエンジン回転数NEが上昇するので、このモード移行時にショックが発生し難い。また、図7(b)に示すように、シフトレバー33が中立位置Nにある状態で通常走行モードからHATモードに移行する際は、通常走行モード下で元々クラッチが切断状態(クラッチ圧0)にあってショック発生の心配がないので、遅れ時間ΔTを待つことなく直ちにエンジン回転数NEが上昇し始める。このため、荷役レバー33を操作したときの荷役速度の立ち上がりの応答性がよくなる。
【0072】
また、図8に示すように、例えば走行中に通常走行モードからHATモードに入ると、このHAT開始時点に目標初期クラッチ圧Pcliniが与えられ、クラッチ圧の車速フィードバック制御が開始される。しかし、以後の処理においてこの車速フィードバック制御を実行するに当たり、毎回、現時点を含む過去複数個の検出車速データから求めた車速変化率を基に車速安定条件が成立するか否かを判定し、車速が安定していないと判定されている間は検出車速Vsenが目標車速Vhatに設定される。このため、クラッチ圧の車速フィードバック制御が事実上無効化され、車速が安定するまで目標初期クラッチ圧Pcliniが維持される。そして、やがて車速が安定して車速安定条件が成立すると、この時刻to(同図における黒点)における検出車速Vsenと目標車速Vaccとの差を目標補正量Vcorとし、以後HATモード終了まで、アクセル開度から決まる目標車速Vaccにこの目標補正量Vcorを加算した補正値を目標車速Vhat(=Vacc+Vcor)として車速フィードバック制御が実行される。このため、車速変化中にHATモードが開始されてその時の検出車速と目標車速との間に比較的大きな差があるような場合でも、加減速ショックが起き難い。
【0073】
また、目標初期クラッチ圧Pcliniは、荷重センサ24の検出値に基づく荷重Wが考慮された値なので、フォーク21上の荷の有無や荷の重量の違いがあっても、通常走行モードからHATモードに移行するときに加減速ショックが起き難い。
【0074】
一方、ニュートラルHAT状態でシフトレバー31を前進・後進位置に操作した際の制御は、図6のルーチンが実行されることにより次のように行われる。
エンジン回転数が高回転域にあるニュートラルHAT状態で、停車から発進するためにシフトレバー31を前進位置または後進位置に操作した際、仮にアクセルペダル25が踏み込んでいても、荷の有無や重量に影響されず一定加速度でショックなく発進する。やがて車速が1km/hを超えると、車速フィードバック制御に移行する。また、走行中のニュートラルHAT状態から前進・後進位置にシフトチェンジしたときは車速フィードバック制御に直ぐ移行するが、1km/hを超える車速があるため、シフトチェンジの際にショックはほとんど感じない。
【0075】
この実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 通常走行モードからHATモードに入ったとき、車速が安定するまでは初期クラッチ圧Pcliniを与え、車速が安定してからクラッチ圧の車速フィードバック制御を開始するので、実車速Vsenと目標車速Vaccとの間に比較的大きな差があるときに車速フィードバック制御を開始することに起因する加減速ショックを防ぐことができる。
【0076】
(2) 検出車速Vsenを目標車速Vhatに設定するだけの簡単な処理で、車速フィードバック制御を無効化することができる。
(3) 車速安定条件成立後は、この条件成立時点における検出車速Vsenと目標車速Vaccとの差を補正量Vcorとして補った新たな目標車速Vhatに基づきクラッチ圧の車速フィードバック制御を行うので、車速安定条件成立してから加減速ショックなくスムーズに車速フィードバック制御に移行することができる。
【0077】
(4) 通常走行モードからHATモードに移る際に与える目標初期クラッチ圧Pcliniを、圧力センサ24の検出値に基づく荷重Wに応じて荷が重いほど大きな値となるように設定するので、通常走行モードからHATモードに移る際に、荷の有無や荷重の違いに起因する車速変化を防ぐことができる。
【0078】
(5)シフトレバー31が前進位置または後進位置にある状態でHATモードに入る際は、エンジン回転数制御の開始をクラッチ圧制御より所定時間ΔT遅らせることでショックを防げ、しかもシフトレバー33が中立位置にあるときはHATモードに入ると直ちにエンジン回転数制御を開始させるので、荷役速度の立ち上がり応答性をよくすることができる。
【0079】
(6) HATモード下でシフトレバー31を中立位置から前進位置または後進位置に切り換える際、停車から発進するときは設定クラッチ圧Pclsを与え、車速が停止車速(1km/h以下)を超えるとクラッチ圧の車速フィードバック制御に移行する。このため、停車中のニュートラルHAT状態から発進するためにシフトレバー31を前進・後進位置に操作した際は、仮にアクセルペダル25を踏んでいてもショックを軽く済ませることができる。
【0080】
(7) 設定クラッチ圧Pclsを圧力センサ24の検出値に基づく荷重Wに応じて荷が重いほど大きな値となるように設定したので、荷の有無や荷重の違いに影響されず、ニュートラルHAT時でもいつもほぼ一定の発進加速度を得ることができる。
【0081】
なお、実施の形態は前記に限定されるものでなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 前記実施形態において、実車速Vsenと目標車速Vaccとに比較的差があるときのショック低減対策として採用した制御内容▲1▼〜▲3▼を無くすこともできる。すなわち、図5においてS220〜270を無くし、S200でNOの判定のときはS280に進む。この構成によっても、HATモード開始時には最初に荷重に応じた初期クラッチ圧Pcliniが立ち、その後、クラッチ圧の車速フィードバック制御に移行するので、HATモードに入ったときのショックは軽減される。また、フィードバック制御演算式はクラッチ圧の急変化を抑える内容となっているので、上記▲1▼〜▲3▼の制御を外しても、発生するショックは比較的小さい。
【0082】
○ 車速安定条件は適宜変更できる。必ずしも車速変化率である必要はない。現時点までの過去複数個の車速データが一定範囲内に収まっているかどうかを差から判断してもよい。要するに車速が安定したことを判断できる判断方法であればよい。
【0083】
○ 目標車速補正処理における補正量は検出車速Vsenと目標車速Vaccとの差に限定されない。目標車速Vaccより目標車速Vhatが検出車速Vsenに近づく補正であれば、その補正量は適宜変更できる。補正後の目標車速Vhatが検出車速Vsenの所定範囲内の値となれば、車速フィードバック制御開始時のショックは軽減できる。
【0084】
○ 前記実施形態において、前進クラッチ8と後進クラッチ9が各々作動連結されるギヤ列の減速比が異なるときは、前進用と後進用のマップを別々に用意し、初期クラッチ圧Pcliniや設定クラッチ圧Pclsを前進時と後進時とで異なる値にすることもできる。
【0085】
○ インチングペダルを廃止してもよい。
○ フォークリフトに限らず、その他の産業車両、例えばショベルローダ等に適用してもよい。
【0086】
前記実施の形態から把握できる発明(技術思想)について、以下にその効果とともに記載する。
(1) 記初期クラッチ圧は、走行抵抗とほぼ均衡する値に設定されている。この場合、通常走行から荷役走行に移行する際の車速変化を避けやすい。
【0088】
【発明の効果】
以上詳述したように各請求項に記載の発明によれば、通常走行から荷役走行に移行して車速が安定するまでは初期クラッチ圧を与え、車速が安定してからアクセル操作量に対応した目標車速とするクラッチの係合圧制御を開始するので、車速不安定で目標車速と実車速とに開きがある可能性があるような状況下で車速を目標車速に合わせようとするクラッチの係合圧制御が開始されることによるショックを避けることができる。
【0089】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1,2の発明の効果に加え、車速安定後は、車速安定条件成立時点における検出車速と目標車速との差に見合った補正を加えた目標車速に基づきクラッチの係合圧制御を行うので、車速安定後、クラッチの係合圧制御が開始された時に車速変化ショックが起き難い。
【0090】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の発明の効果に加え、通常走行から荷役走行に移行したとき、荷重に応じて荷が重いほど大きな値となるような初期クラッチ圧が与えられるので、この移行時に荷の有無や荷重の違いに起因する車速変化ショックを起き難くすることができる。
【0091】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜4の発明の効果に加え、シフト操作位置が前進位置又は後進位置にある状態で通常走行から荷役走行に移る際のショックを低減でき、しかもシフト操作位置が中立位置にある状態で荷役走行に移ったときの荷役速度の立ち上がり応答性をよくすることができる。
【0092】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜5の発明の効果に加え、荷役走行状態でシフト操作手段を中立位置から前進位置又は後進位置に切り換えて発進させる際の発進ショックを起き難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態の荷役走行制御装置の概略構成図。
【図2】 (a)はアクセル操作量とスロットル開度の対応関係を設定したマップ、(b)は荷役レバー操作量とスロットル開度の対応関係を設定したマップ。
【図3】 (a)は荷重と目標初期クラッチ圧の対応関係を設定したマップ、(b)は荷重と設定クラッチ圧の対応関係を設定したマップ。
【図4】 HATエンジン回転数制御ルーチンを示すフローチャート。
【図5】 HAT車速制御ルーチンを示すフローチャート。
【図6】 ニュートラルHAT制御ルーチンを示すフローチャート。
【図7】 通常走行から荷役走行に移行する際の動作を説明するグラフ。
【図8】 荷役走行開始時の制御内容を説明するグラフ。
【符号の説明】
1…エンジン、2…トルクコンバータ、3…変速機、3b…出力軸、5a…駆動輪、7…制御手段を構成するスロットルアクチュエータ、8…前進クラッチ、9…後進クラッチ、8a,9a…受圧室、10…制御弁としての前進クラッチバルブ、11…制御弁としての後進クラッチバルブ、19…車速検出手段としての車速センサ、20…荷役用ポンプとしての油圧ポンプ、21…フォーク、24…荷重検出手段としての圧力センサ、25…アクセル操作手段としてのアクセルペダル、28…アクセル操作量検出手段としてのアクセルセンサ、31…シフト操作手段としてのシフトレバー、32…シフト操作位置検出手段としてのシフトスイッチ、33…荷役操作手段としての荷役レバー(リフトレバー)、34…荷役操作手段としてのティルトレバー、35…荷役操作量検出手段としてのリフトレバーセンサ、36…荷役操作量検出手段としてのティルトレバーセンサ、41…制御手段を構成する制御装置、42…制御手段を構成するCPU、Pclini…初期クラッチ圧としての目標初期クラッチ圧、Pcls…設定クラッチ圧。

Claims (6)

  1. エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、
    前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、
    アクセル操作手段の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
    エンジンにより駆動される荷役用ポンプと、
    荷役作業を行うために操作される荷役操作手段の操作量を検出する荷役操作量検出手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    荷役操作量検出手段及びアクセル操作量検出手段の各検出値に基づいて通常走行か荷役走行かを判断し、通常走行と判断した場合は進行側のクラッチを完全係合状態として前記アクセル操作手段の操作量に対応した目標エンジン回転数に制御し、荷役走行と判断した場合は荷役操作手段の操作量に対応した目標エンジン回転数に制御し、かつ進行側のクラッチを半クラッチ状態にするとともに前記アクセル操作手段の操作量に対応した目標車速となるようにクラッチの係合圧を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、通常走行から荷役走行に移行したと判断すると、進行側のクラッチを半クラッチ状態とすべく予め設定された初期クラッチ圧を与え、前記車速検出手段の検出値に基づき車速が安定したと認められる車速安定条件が成立してから、進行側のクラッチの係合圧をアクセル操作手段の操作量に対応する目標車速となるようにする制御を開始する産業車両の荷役走行制御装置。
  2. 前記進行側のクラッチの係合圧をアクセル操作手段の操作量に対応する目標車速となるようにする制御は車速フィードバック制御であり、前記制御手段は、車速安定条件成立前においては、前記車速検出手段により検出された現在の車速を目標車速として設定して前記車速フィードバック制御を無効化させる請求項1に記載の産業車両の荷役走行制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記車速安定条件成立後においては、アクセル操作手段の操作量に対応する目標車速に対し、前記車速安定条件成立時点におけるアクセル操作手段の操作量に対応する目標車速と検出車速との差に見合った補正量を補う目標車速補正処理を行い、該目標車速補正処理で得られる目標車速となるように前記クラッチの係合圧を制御する請求項1又は2に記載の産業車両の荷役走行制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の産業車両の荷役走行制御装置において、車両に積載された荷の荷重を検出する荷重検出手段を備え、前記制御手段は、前記初期クラッチ圧前記荷重検出手段の検出値に基づく荷重に応じて荷が重いほど大きな値となるように設定する産業車両の荷役走行制御装置。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の産業車両の荷役走行制御装置において、前記変速機を切換操作するためのシフト操作手段の前進・中立・後進のうちの操作位置を検出するシフト操作位置検出手段を備え、前記制御手段は、シフト操作位置検出手段が前進位置又は後進位置を検出する状態で通常走行から荷役走行に移行するときは、荷役操作手段の操作量に対応した目標エンジン回転数とするエンジン回転数制御の開始を、クラッチを半クラッチ状態とするクラッチ制御開始時より所定時間遅らせる設定がなされ、シフト操作位置検出手段が中立位置を検出する状態で通常走行から荷役走行に移行するときは、前記エンジン回転数制御の開始を所定時間遅らせる設定を解除する産業車両の荷役走行制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の産業車両の荷役走行制御装置において、前記変速機を切換操作するためのシフト操作手段の前進・中立・後進のうちの操作位置を検出するシフト操作位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記シフト操作位置検出手段が中立位置を検出する状態における荷役走行中において、前記シフト操作位置検出手段の検出信号に基づき中立位置から前進位置又は後進位置に切り換わったと判断したときは、前記車速検出手段の検出値に基づき車速が停止車速以下であるか否かを判断し、車速が停止車速以下であれば予め設定された設定クラッチ圧を与え、車速が停止車速を超 えるようになると、アクセル操作手段の操作量に対応した目標車速となるようにクラッチの係合圧を制御する産業車両の荷役走行制御装置
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