JP4178619B2 - シリコン層の製造方法および半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン層の製造方法および半導体装置の製造方法に関し、詳しくは、シリコン薄膜を低融点金属溶融液中で溶解させて、その溶解したシリコンを結晶成長させるシリコン層の製造方法およびそのシリコン層を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板上に形成された単結晶シリコン層を用いてMOSFET(Metal-oxide-semiconductor field effect transistor の略)である薄膜トランジスタ(以下TFTという、TFTはThin Film Transistorの略)は、ポリシリコン層を用いたものと比べて数倍も大きい電子移動度を有し、高速動作に適していることが、例えば "First MOS transistors on Insulator by Silicon Satulated Liquid Solution Epitaxy." IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, 13 [5] (May 1992) R.P.Zingg et al.,p.294-296、特公平4−57098号公報、応用物理”薄膜トランジスタ”, 65 [8] (1996) 松村正清,p.842-848等に開示されている。
【0003】
上記半導体素子が形成される単結晶シリコン層を基板上に形成する技術としては、以下の成膜技術(1)〜(4)が知られている。
【0004】
(1)単結晶シリコン基板をシードにして、920℃〜930℃に加熱されたインジウム・シリコン溶液またはインジウム・ガリウム・シリコン溶液から、冷却処理によりシリコンエピタキシー層を形成し、この層の上にシリコン半導体層を形成する技術が、"VERY-LOW-TEMPERATURE LIQUID-PHASE EPITAXIAL GROWTH OF SILICON." MATERIALS LETTERS, 9 [2,3] (Jan. 1990) Soo Hong Lee,p53-56 、"MOS transistors with epitaxial Si,laterally grown over SiO2 by liquid phase epitxy." J.Applied Physics A,54 [1] (1992) R.Bergmann et al.,p.103-105 、"First MOS transistors on Insulator by Silicon Satulated Liquid Solution Epitaxy." IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS,13 [5] (May 1992) R.P.Zingg et al.,p.294-296等の文献に開示されている。
【0005】
(2)サファイア基板上にシリコンをエピタキシャル成長させる技術は、"High-quality CMOS in thin (100nm)silicon on saphire." IEEE ELECTRON DEVICE LETTERS, 9 (Jan. 1988) G.A.Garcia,R.E.Reedy,and M.L.Burger,p.32-34に開示されている。
【0006】
(3)酸素イオン注入法により、絶縁基板上にシリコン層を形成する技術は、"CMOS device fabrication on buried SiO2 layers formed by oxygen implantation into silicon." Electron.Lett., 14 [18] (Aug. 1978) K.Izumi,M.Doken,,and H.Ariyoshtl,p.593-594に開示されている。
【0007】
石英基板の上にステップを形成し、この上にポリシリコン層を形成し、次にこれをレーザ光またはストリップヒータで1400℃以上に加熱する。加熱されたポリシリコン層は、石英基板上に形成されたステップを核にして、エピタキシャル成長層を形成する技術は、”グラフォエピタキシー”電子通信学会誌,66 [5] (May 1983) 古川静二郎,p.486-489 、"Crystallographic orientatin of sillicon on an amorphous substrate using an artificial surface-relief grating and laser crystallization." Appl. Phys. Letter, 35 [1] (July. 1979) Geis,M.W.,et al.,p.71-74、"Silicon graphoepitaxy" Jpn.J.Appl.Phys.,Suppl.20-1 (1981) Geis,M.W.,et al.,p.39-42 等に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでの公知技術では、シリコンエピタキシー層を膜厚の制御性よく形成することが困難であった。また、歪点が比較的低く、しかも大型のガラス基板上に、シリコンエピタキシー層を形成することは困難であった。さらに、ガラス基板上にステップを形成し、これをエピタキシャル成長の核にしてシリコンを成長させる技術では、低温でかつ均一にエピタキシャル成長させることは困難であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたシリコン層の製造方法および半導体装置の製造方法である。
【0010】
すなわち、シリコン層の製造方法は、絶縁基体の表面側に結晶成長のシードを形成する工程と、その絶縁基体の表面側に所定の膜厚の非晶質シリコンもしくは多結晶シリコンからなるシリコン薄膜を形成する工程と、低融点金属溶融液中に絶縁基体を浸漬させてシリコン薄膜を低融点金属溶融液中に溶解させた後、冷却処理により、結晶成長のシードを起点にして低融点金属溶融液中に溶解したシリコンを結晶成長させ、絶縁基体の表面側にシリコン層を形成する工程とを備えている。
【0011】
ここで、上記結晶成長のシードとは、下地の結晶方位を受け継いで結晶成長させる(通常のエピタキシャル成長)シードおよび下地の形状によって結晶成長させる(例えばグラフォエピタキシー)シードの両方を含む。
【0012】
上記シリコン層の製造方法では、結晶成長のシードを形成した絶縁基体の表面側に、予め所定の膜厚のシリコン薄膜を形成した後、その絶縁基体を低融点金属溶融液中に浸漬させることで、この低融点金属溶融液中にシリコン薄膜を溶解させ、その溶解したシリコンを結晶成長させて、シリコン層を形成することから、シリコン薄膜の膜厚およびその均一性とほぼ同等の膜厚および均一性のシリコン層が得られる。このように、本発明の製造方法では、シリコン薄膜の膜厚、その均一性を制御することにより、結晶成長させて形成されるシリコン層の膜厚およびその均一性を制御することができる。また、低融点金属溶融液中に溶解されるシリコンはほとんど析出されるため、この低融点金属溶融液を繰り返し使用することが可能になり、無駄が少ない。
【0013】
しかも、上記シリコン層は、単結晶で形成され、その電子移動度は例えば540cm2 /Vs程度になり、バルクのシリコン基板と同程度の電子移動度が得られる。なお、本明細書でいう単結晶とは、亜粒界や転位を含む単結晶も含めていう。
【0014】
半導体装置の製造方法は、絶縁基体の表面側に結晶成長のシードを形成する工程と、その絶縁基体の表面側に所定の膜厚の非晶質シリコンもしくは多結晶シリコンからなるシリコン薄膜を形成する工程と、絶縁基体を低融点金属溶融液中を浸漬させる際に、シリコン薄膜を溶解する工程と、冷却処理により、結晶成長のシードを起点に、低融点金属溶融液中に溶解したシリコンを結晶成長させて、絶縁基体の表面側にシリコン層を形成する工程と、シリコン層上に析出した金属を除去する工程と、そのシリコン層に所定の処理を施して半導体素子を形成する工程とを備えている。
【0015】
上記半導体装置の製造方法では、上記説明したシリコン層の製造方法を用いて絶縁基体上にシリコン層を形成していることから、絶縁基体上に上記説明した特性のシリコン層が得られる。そして、そのシリコン層に所定の処理を施して半導体素子を形成することから、その半導体素子は、バルクのシリコン基板に形成したのと同様の高性能な特性が得られる。例えばシリコン層にチャネル領域、ソース領域、ドレイン領域を形成した絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、高速動作、大電流密度のトランジスタとなる。このように、シリコン層には、高速で大電流密度のトップゲート型TFT、ボトムゲート型TFT、デュアルゲート型TFT、エレクトロルミネッセンス素子、電界放出型表示素子用トランジスタ、ダイオード、容量、抵抗、光電池(太陽電池)、発光素子、受光素子等の半導体素子を形成することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のシリコン層の製造方法および半導体装置の製造方法に係わる実施の形態を以下に説明する。
【0017】
まず、絶縁基体の表面側に、反応性イオンエッチングなどの異方性ドライエッチングにより段差を形成して結晶成長のシードを設ける。または、低温成膜技術として、減圧CVD法、プラズマCVD法もしくはスパッタリングによって、絶縁基体の表面側に結晶成長のシードなるものでシリコンとの格子整合性を有するような物質、例えばサファイアからなるシード層を形成する。このシード層には、スピネル、フッ化カルシウム等を用いることも可能である。
【0018】
次いで、減圧CVD法、プラズマCVD法、スパッタリングなどの低温成膜技術によって、絶縁基体の表面側にシリコン薄膜を5nm〜10μmの範囲で所定の膜厚に形成する。
【0019】
その後、槽内に貯えれた低融点金属溶融液中に絶縁基体を浸漬させてシリコン薄膜を低融点金属溶融液中に溶解させた後、冷却処理により、結晶成長のシードを起点にして低融点金属溶融液中に溶解したシリコンを結晶成長させて、絶縁基体の表面側にシリコン層を形成する。
【0020】
上記低融点金属溶融液は絶縁基体の最高使用温度(ガラス基板の場合はほぼガラスの歪点)以下のものを用いる。この低融点金属溶融液が溶融状態を保つ温度は、シリコンが含まれる割合により異なる。図6に示すシリコン−スズ(Si−Sn)の状態図、図7に示すスズに対するシリコンの溶解度曲線(縦軸にシリコンの溶解度、下横軸に温度Tとしたときの104 /T(K)、上横軸に温度(℃)を示す)からも明らかなように、シリコンの割合が少なくなるに応じてシリコンを含む低融点金属溶融液の融点が低下する。
【0021】
例えば低融点金属溶融液にスズ溶融液もしくはスズ鉛合金溶融液からなるスズ系金属溶融液を用いた場合には、そのスズ系金属溶融液中に溶解するシリコン量にもよるが、400℃〜1200℃のスズ系金属溶融液を用いることができる。例えば溶解するシリコンの比率を0.0005wt%〜0.03wt%としてスズ系金属溶融液の温度を400℃〜650℃とした場合には、絶縁基体に歪点がおよそ665℃のアルミケイ酸ガラスを用いることができ、さらにスズ系金属溶融液の温度がその他のプロセス温度とともに500℃以下の場合には歪点がおよそ510℃のホウケイ酸ガラスを用いることができる。
【0022】
また、上記絶縁基体には、従来から用いられている石英基板(歪点およそ990℃)も用いることも可能であり、またセラミックス基板を用いることも可能である。さらに、低融点金属溶融液の温度によっては、高耐熱性の樹脂〔例えばフッ素樹脂(フッ化ポリアリルエーテル系樹脂:熱分解温度=500℃、シクロポリマライズドフロリネーテッドポリマー系樹脂:熱分解温度=420℃、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂:熱分解温度=450℃等)〕基板を用いることも可能になる。
【0023】
そして一定時間(例えば10秒〜30分、好ましくは5分〜10分)、低融点金属溶融液中に浸漬保持した後、冷却処理により、結晶成長のシードを起点にして低融点金属溶融液中に溶解したシリコンを結晶成長させて、絶縁基体の表面側にシリコン単結晶を析出させ、シリコン層を形成する。このシリコン単結晶は亜粒界や転位を含む場合もある。ここで、シリコン層の厚さは、例えばシリコン薄膜の厚さによりほぼ決定されるため、シリコン薄膜の厚さを制御することによって、シリコン層の厚さは制御される。
【0024】
また、シリコン薄膜を溶解させる低融点金属溶融液にスズ系金属を用いた場合には、出来上がったシリコン層にスズ系金属のスズ、鉛が含有されたとしても、それらはシリコン層中でキャリアにはならない。そのため、シリコン層は高抵抗なものとなる。またシリコン層中に残留するスズは結晶欠陥を電気的に不活性にするため、接合リークを低減し、電子移動度を高める。
【0025】
低融点金属溶融液にインジウム系金属(例えばインジウム、インジウム・ガリウム)を用いた場合には、シリコン層中に微量のインジウムが残留するため、シリコン層はp型シリコン層となる。
【0026】
また、上記シリコン薄膜の成膜時に、例えばホウ素のようなp型不純物を混入し、その際に不純物濃度を所定の量に制御しておけば、上記シリコン層は所望の濃度のp型シリコン層となる。一方、例えばリン、ヒ素、アンチモンのようなn型不純物を混入し、その際に不純物濃度を所定の量に制御しておけば、上記シリコン層は所望の濃度のn型シリコン層となる。
【0027】
また、シリコン層を形成するプロセスが650℃以下となる場合には、絶縁基体に低融点ガラスを用いることが可能になり、大型のガラス基板(1m2 以上の面積を有するガラス基板)上にシリコン層を形成することも可能になる。また、結晶成長温度が長尺ロール化されたガラス板にシリコン層を連続的にもしくは非連続的に形成することも可能になる。結晶成長のシードに段差を用いた場合には、その段差を起点に結晶を成長させて、いわゆる島状にシリコン層を形成することも可能である。またさらに結晶成長を進めて、絶縁基体の表面側全体にシリコン層を形成することも可能である。一方、結晶成長のシードにシード層を用いた場合には、そのシード層上の全面にシリコン層を形成することが可能になる。そのため、シリコン層を島状に形成する場合には、予め結晶成長前にシード層を島状にパターニングしておくか、または生成したシリコン層を島状にパターニングすればよい。
【0028】
なお、上記低融点ガラスを用いた場合には、低融点ガラスの構成元素が結晶成長により形成したシリコン層に拡散しやすいために、低融点ガラス基板とシリコン層との間に拡散を防止するバリア層として、例えば窒化シリコン膜を例えば1nm〜100nm程度の厚さに形成しておくことが好ましい。
【0029】
上記のようにしてシリコン層を形成した後、そのシリコン層上に析出した金属を酸(例えば塩酸)を用いて選択的に除去する。このようにして絶縁基体上に形成されたシリコン層は、540cm2 /Vs程度の電子移動度が得られる。そのため、予め適量のp型不純物を混入して形成すれば所望の濃度のp型のシリコン層となり、nチャネル絶縁ゲート型電界効果トランジスタの活性領域(チャネル領域、ソース領域、ドレイン領域)を作製するのに都合がよい。また予め適量のn型不純物を混入して形成すれば所望の濃度のn型のシリコン層となり、pチャネル絶縁ゲート型電界効果トランジスタの活性領域(チャネル領域、ソース領域、ドレイン領域)を作製するのに都合がよい。また部分的にシリコン層の導電型と異なる不純物をドーピングすればCMOSトランジスタも作製することができる。
【0030】
次に、本発明のシリコン層の製造方法に係わる好適な実施の形態の詳細を以下に説明する。
【0031】
まず、本発明のシリコン層の製造方法に係わる第1の実施の形態を、図1の製造工程図によって説明する。
【0032】
図1の(1)に示すように、絶縁基体11の表面側に結晶成長のシード12を形成する。ここでは上記絶縁基体11に低融点ガラス基板を用いた。その絶縁基体11の表面側に段差を形成して、上記結晶成長のシード12とした。その段差の製造方法は、一例として、絶縁基体11上にレジスト膜を形成した後、リソグラフィー技術によりレジスト膜をパターニングしてエッチングマスク13を形成する。そして反応性イオンエッチングのような異方性ドライエッチング技術により、絶縁基板11を例えばフッ素ラジカルを用いてエッチングを行い、絶縁基体11に結晶成長のシード12となる段差を形成する。この段差は、例えば深さd(例えば0.1μm)、幅w(例えば1.5μm〜1.9μm)の凹部よりなる。その後、エッチングマスク13に用いたレジスト膜を除去する。
【0033】
その後図1の(2)に示すように、上記絶縁基体11の表面側に、上記形成成長のシード12を被覆する状態に、いわゆる低温成膜技術により、所定の膜厚のシリコン薄膜14を形成する。ここでは、上記シリコン薄膜14を、多結晶シリコンもしくは非晶質シリコンで例えば0.1μmの厚さに形成した。このシリコン薄膜14は、例えば5nm〜10μm(好ましくは20nm〜5μm)の厚さに形成される。また、上記低温成膜技術としては、例えばプロセス温度(基板温度)が例えば500℃〜650℃の減圧CVD法、もしくは基板温度を400℃以下に設定したスパッタリング、プラズマCVD法等を用いる。
【0034】
そして図1の(3)に示すように、槽(図示省略)内に貯えられた低融点金属溶融液15を準備する。この低融点金属溶融液15は、例えばスズもしくはスズと鉛の合金からなるスズ系金属を用い、ここではスズ溶融液を用い、絶縁基体11の最高使用温度以下の温度に保持する。またこの低融点金属溶融液15上の雰囲気は、水素雰囲気、水素と不活性なガス(希ガス)との混合雰囲気もしくは不活性なガス(希ガス)雰囲気になっている。または還元性雰囲気であってもよい。
【0035】
そして所定時間、例えば30秒〜60分、好ましくは10分〜30分間、上記低融点金属溶融液15中に上記絶縁基体11を浸漬させて、上記シリコン薄膜14を低融点金属溶融液15中に溶解させた後、図1の(4)に示すように、低融点金属溶融液15〔図1の(3)参照〕中より絶縁基体11を引き上げることにより絶縁基体11を徐冷(冷却処理)する、もしくは低融点金属溶融液15中に絶縁基体11を浸漬させた状態で冷却処理を行う。それによって、結晶成長のシード12を起点にして低融点金属溶融液15〔図1の(3)参照〕中に溶解したシリコンが結晶成長(グラフォエピタキシャル成長)し、絶縁基体11の表面側に単結晶シリコンのシリコン層16を形成する。その際、上記シリコン層16上にはスズからなる金属(図示省略)を析出する。
【0036】
上記シリコンの結晶成長速度は0.1μm/分〜0.3μm/分であり、冷却速度は0.1℃/分〜0.3℃/分であることから、例えば成長させる結晶層の厚さが35nmであれば、成長所要時間は20秒〜6秒と短い。そのため、冷却操作は引き上げ操作となる。なお、成長所要時間は、例えば低融点金属溶融液15中のシリコンの含有量を調整することにより最適化できる。一方、例えば成長させる結晶層の厚さが5μmであれば、成長所要時間は50分〜17分と長い。そのため、冷却操作は浸漬した状態での冷却となり、その冷却時間には50分〜17分が必要となる。なお、冷却時間は、例えば低融点金属溶融液15中のシリコンの含有量を調整することにより最適化できる。
【0037】
上記シリコン層16は、結晶成長のシード12となる段差の底部と側壁とがほぼ直角に形成されているため、(100)面のシリコン単結晶が得られる。上記析出は、低融点金属溶融液15から生じるため、シリコン本来の融点よりも低温で生じる。
【0038】
上記図示したように、結晶成長のシード12が段差のみで形成されている場合には、その段差を起点として単結晶シリコンが析出されて成長し、シリコン層16をいわゆる島状に形成される。またシリコン薄膜14の膜厚を厚くし段差の間隔を短くして絶縁基体11の引き上げ速度を調整することにより、絶縁基体11の表面側全体にわたってシリコン層16を形成することも可能である。
【0039】
その後、塩酸等の酸を用いてシリコン層16上の金属(図示省略)を除去する。その結果、絶縁基体11上に結晶成長のシード12を起点として単結晶シリコンを析出してなるシリコン層16が形成された、いわゆるSOI(Silicon on Insulatorの略であり、以下SOIという)基板17が形成された。
【0040】
上記第1の実施の形態では、結晶成長のシード12を段差により構成したが、絶縁基体11の表面側にシリコンとの格子整合性を有するような物質からなるシード層を形成して結晶成長のシードとし、絶縁基体上にシリコン層を形成することも可能である。その一例を第2の実施の形態として、図2の製造工程図によって説明する。図2では、前記図1によって説明したのと同様の構成部品には同一符号を付与する。
【0041】
図2の(1)に示すように、絶縁基体11上にシード層21を例えばサファイアで形成する。このシード層21は、サファイアの他に、スピネルもしくはフッ化カルシウムで形成することが可能である。上記サファイアのシード層21は、例えば、高密度プラズマCVD法、触媒CVD法等を用いて、例えば1nm〜500nm、好ましくは5nm〜20nm程度の厚さに形成する。
【0042】
その後、前記図1によって説明したのと同様に、シリコン薄膜14を成膜する工程より以降の工程を行えばよい。すなわち、シード層21上に、シリコン薄膜14を形成する。その後図2の(2)に示すように、槽(図示省略)内に貯えられた低融点金属溶融液15中に上記絶縁基体11を浸漬させて、上記シリコン薄膜14を低融点金属溶融液15中に溶解させる。上記低融点金属溶融液15は、例えばスズ溶融液からなり、絶縁基体11の最高使用温度以下の温度に保持されている。またこの低融点金属溶融液15上の雰囲気は、水素雰囲気、水素と不活性なガス(希ガス)との混合雰囲気もしくは不活性なガス(希ガス)雰囲気となっている。または還元性雰囲気であってもよい。
【0043】
そして所定時間、例えば30秒〜60分、好ましくは10分〜30分間、上記低融点金属溶融液15中に上記絶縁基体11を浸漬させた後、低融点金属溶融液15〔図1の(3)参照〕中より絶縁基体11を引き上げることにより絶縁基体11を徐冷(冷却処理)する、もしくは低融点金属溶融液15中に絶縁基体11を浸漬させた状態で冷却処理を行う。それによって、図2の(3)に示すように、シード層21を起点にして低融点金属溶融液15〔図2の(2)参照〕中に溶解したシリコンが結晶成長(エピタキシャル成長)し、絶縁基体11の表面側に単結晶シリコンのシリコン層16を形成する。その際、上記シリコン層16上にはスズからなる金属(図示省略)を析出する。
【0044】
上記シリコンの結晶成長速度は0.1μm/分〜0.3μm/分であり、冷却速度は0.1℃/分〜0.3℃/分であることから、例えば成長させる結晶層の厚さが35nmであれば、成長所要時間は20秒〜6秒と短い。そのため、冷却操作は引き上げ操作となる。なお、成長所要時間は、例えば低融点金属溶融液15中のシリコンの含有量を調整することにより最適化される。一方、例えば成長させる結晶層の厚さが5μmであれば、成長所要時間は50分〜17分と長い。そのため、冷却操作は浸漬した状態での冷却となり、その冷却時間には50分〜17分が必要となる。なお、冷却時間は、例えば低融点金属溶融液15中のシリコンの含有量を調整することにより最適化される。
【0045】
このように、サファイアからなるシード層21を結晶成長のシードとして用いた場合、サファイアは単結晶シリコンと格子定数がほとんど同じであるため、シード層21の表面上の全域に(100)単結晶シリコン〔サファイア面が(11 ̄02)の場合〕もしくは(111)単結晶シリコン〔サファイア面が(0001)の場合〕がエピタキシャル成長する。この析出は、低融点金属溶融液15から生じるため、シリコン本来の析出温度より低温で生じる。
【0046】
その後、塩酸等の酸を用いてシリコン層16上の金属(図示省略)を除去する。その結果、絶縁基体11上に結晶成長のシード12を起点として単結晶シリコンを析出してなるシリコン層16が形成された、いわゆるSOI基板17が形成された。
【0047】
また、前記図1によって説明したのと同様にして絶縁基体11の表面側に結晶成長のシード12となる段差を形成した後、その段差を被覆する状態に絶縁基体11の表面側に上記説明したようなシード層21を形成して結晶成長のシード12とすることも可能である。この場合には、シリコン層はシード層21の表面上の全域に単結晶シリコンがエピタキシャル成長する。
【0048】
さらに前記図2によって説明したのと同様にして絶縁基体11にシリコンとの格子整合性を有するようなサファイア、スピネル、フッ化カルシウム等の物質からなるシード層21を形成した後、そのシード層21に前記図1によって説明したのと同様にして段差を形成して結晶成長のシード12とすることも可能である。この場合には、シリコン層はシード層21の表面上の全域に単結晶シリコンがエピタキシャル成長する。
【0049】
上記第1,第2の実施の形態によるシリコン層の製造方法では、結晶成長のシード12を形成した絶縁基体11の表面側に、予め所定の膜厚のシリコン薄膜14を形成した後、その絶縁基体11を低融点金属溶融液15中に浸漬させることで、この低融点金属溶融液15中にシリコン薄膜14を溶解させ、その溶解したシリコンを結晶成長させて、シリコン層16を形成することから、シリコン薄膜14の膜厚およびその均一性とほぼ同等の膜厚および均一性のシリコン層16が得られる。このように、本発明の製造方法では、シリコン薄膜14の膜厚、その均一性を制御することにより、結晶成長させて形成されるシリコン層16の膜厚およびその均一性を制御することができる。また、低融点金属溶融液15中に溶解されるシリコンはほとんど析出されるため、この低融点金属溶融液15は繰り返し使用することが可能になり、無駄が少ない。
【0050】
しかも、上記シリコン層16は、単結晶で形成され、その電子移動度は例えば540cm2 /Vs程度になり、バルクのシリコン基板と同程度の電子移動度が得られる。なお、本明細書でいう単結晶とは、亜粒界や転位を含む単結晶も含めていう。
【0051】
また、スズ系金属からなる低融点金属溶融液15からシリコン層16を析出形成していることから、出来上がったシリコン層16にスズ系金属のスズ、鉛等が含有されたとしても、それらはシリコン層16中でキャリアにはならない。そのため、シリコン層16は高抵抗なものとなる。またシリコン層16中に残留するスズは、結晶欠陥を電気的に不活性にするため、接合リークが低減され、電子移動度を高める。
【0052】
また、上記シリコン薄膜14を成膜する時に、例えばホウ素のようなp型不純物を混入し、その際に不純物濃度を所定の量に制御しておけば、上記シリコン層16は所望の濃度のp型シリコン層となる。一方、例えばリン、ヒ素、アンチモン等のn型不純物を混入し、その際に不純物濃度を所定の量に制御しておけば、上記シリコン層16は所望の濃度のn型シリコン層となる。
【0053】
上記低融点金属溶融液15には、スズ系金属を用いることを説明したが、この低融点金属溶融液には、インジウム、ガリウム、スズ、ビスマス、鉛、亜鉛、アンチモンおよびアルミニウムのうちの1種もしくは複数種を用いることができる。
【0054】
また、上記絶縁基体11には、上記説明した低融点ガラスの他に、石英基板、高耐熱性ガラス基板、ロールガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板(例えば前記説明したようなフッ素樹脂基板)等を用いることができる。
【0055】
次に本発明の半導体装置の製造方法に係わる好ましい実施の形態の詳細を図3〜図5の製造工程図によって以下に説明する。図3〜図5では、一例として、CMOSトランジスタの製造方法を以下に説明し、前記図1によって説明したのと同様の構成部品には同一符号を付与する。
【0056】
図4の(1)に示すように、前記図1(シリコン層の形成方法に係わる第1の実施の形態)によって説明したプロセスを行うことによって、絶縁基体11上に単結晶シリコンを析出させてシリコン層16を形成する。この図では、代表して、段差を結晶成長のシードに用いた場合を示したが、前記図2(シリコン層の形成方法に係わる第2の実施の形態)によって説明したプロセスを行うことによって、絶縁基体11上に単結晶シリコンを析出させてシリコン層16を形成してもよい。図面では、塩酸等の酸を用いてシリコン層16上に析出したスズ系金属(図示省略)を選択的に除去した状態を示す。
【0057】
その後、上記シリコン層16に所定の処理を施して半導体素子を形成する。以下、半導体素子としてCMOSトランジスタを形成する製造方法を説明する。
【0058】
図3の(2)に示すように、上記シリコン層16(16n,16p)を被覆する状態で上記絶縁基体11上に、ゲート絶縁膜51を形成する。このゲート絶縁膜51は、例えばプラズマCVD法により、まず酸化シリコン膜を例えば200nmの厚さに堆積した後、次いで窒化シリコン膜を例えば50nmの厚さに堆積して形成した。そのときの各成膜温度は、例えば400℃に設定した。
【0059】
次いで図3の(3)に示すように、ゲート絶縁膜51上にレジスト膜52を例えば回転塗布法により形成する。そしてリソグラフィー技術により、pチャネルMOSトランジスタのチャネルを形成する領域上を開口する開口部53を形成してレジストマスクを形成する。すなわち、シリコン層16n上はレジスト膜52に被覆されている。その後、このレジスト膜52をマスクに用いて、pチャネルMOSトランジスタのチャネルイオン注入をゲート絶縁膜51を介してシリコン層16pに行う。イオン注入条件としては、例えば、不純物にリンイオン(P+ )を用い、打ち込みエネルギーを例えば50keV、ドーズ量を例えば1×1011atoms/cm2 に設定する。その後、上記レジスト膜52を除去する。なお、図面ではレジスト膜52を除去した状態を示した。
【0060】
続いて図4の(4)に示すように、ゲート絶縁膜51上にレジスト膜54を例えば回転塗布法により形成する。そしてリソグラフィー技術により、nチャネルMOSトランジスタのチャネルを形成する領域上を開口する開口部55を形成してレジストマスクを形成する。すなわち、シリコン層16p上はレジスト膜54に被覆されている。その後、このレジスト膜54をマスクに用いて、pチャネルMOSトランジスタのチャネルイオン注入をゲート絶縁膜51を介してシリコン層16nに行う。イオン注入条件としては、例えば、不純物にホウ素イオン(B+ )を用い、打ち込みエネルギーを例えば30keV、ドーズ量を例えば2.7×1011atoms/cm2 に設定する。その後、上記レジスト膜54を除去する。なお、図面ではレジスト膜54を除去した状態を示した。
【0061】
次いで図4の(5)に示すように、例えばスパッタリングにより、上記ゲート絶縁膜51上にゲート電極膜56を、例えばモリブデン(15%)タンタル(85%)膜で、例えば500nmの厚さに形成する。
【0062】
その後、ゲート電極膜56上にレジスト膜57を例えば回転塗布法により形成する。そしてリソグラフィー技術により、ゲート電極が形成される領域上にレジスト膜57(57p,57n)を残す。そしてレジスト膜57をマスクに用いてドライエッチング技術により、ゲート電極膜56をパターニングする。その結果、図4の(6)に示すように、各シリコン層16(16p,16n)上にゲート絶縁膜51を介してゲート電極58(58p,58n)を形成する。その後、上記レジスト膜57を除去する。なお、図面ではレジスト膜57を除去した状態を示した。
【0063】
次に図5の(7)に示すように、ゲート電極58、ゲート絶縁膜51等を覆う状態にレジスト膜59を例えば回転塗布法により形成する。そしてリソグラフィー技術により、nチャネルMOSトランジスタのチャネルを形成する領域上を開口する開口部60を形成してレジストマスクを形成する。すなわち、シリコン層16p上はレジスト膜59に被覆されている。その後、このレジスト膜59およびゲート電極58nをマスクに用いて、nチャネルMOSトランジスタのソース、ドレインイオン注入をゲート絶縁膜51を介してシリコン層16nに行う。イオン注入条件としては、例えば、不純物にヒ素イオン(As+ )を用い、打ち込みエネルギーを例えば70keV、ドーズ量を例えば5×1015atoms/cm2 に設定する。その後、上記レジスト膜59を除去する。なお、図面ではレジスト膜59を除去した状態を示した。
【0064】
次いで図5の(8)に示すように、ゲート電極58、ゲート絶縁膜51等を覆う状態にレジスト膜61を例えば回転塗布法により形成する。そしてリソグラフィー技術により、pチャネルMOSトランジスタのチャネルを形成する領域上を開口する開口部62を形成してレジストマスクを形成する。すなわち、シリコン層16n上はレジスト膜61に被覆されている。その後、このレジスト膜61およびゲート電極58pをマスクに用いて、pチャネルMOSトランジスタのソース、ドレインイオン注入をシリコン層16pに行う。イオン注入条件としては、例えば、不純物に二フッ化ホウ素イオン(BF2 + )を用い、打ち込みエネルギーを例えば30keV、ドーズ量を例えば1×1015atoms/cm2 に設定する。その後、上記レジスト膜61を除去する。なお、図面ではレジスト膜61を除去した状態を示した。
【0065】
その後図5の(9)に示すように、ソース、ドレインの活性化アニーリングを、例えば1000℃、10秒間のランプ加熱により行い、上記ゲート電極58pの一方側のシリコン層16pにソース領域62pを形成し、他方側のシリコン層16pにドレイン領域63pを形成して、pチャネルMOSトランジスタ50pが完成する。それとともに、上記ゲート電極58nの一方側のシリコン層16nにソース領域62nを形成し、他方側のシリコン層16nにドレイン領域63nを形成して、nチャネルMOSトランジスタ50nが完成する。そしてゲート電極58n下でかつソース領域62nとドレイン領域63nとの間のシリコン層16nがnチャネルMOSトランジスタ50nのチャネル領域になり、ゲート電極58p下でかつソース領域62pとドレイン領域63pとの間のシリコン層16pがpチャネルMOSトランジスタ50pのチャネル領域になる。このようにして、CMOSトランジスタ50が完成する。
【0066】
その後、図示はしないが、例えばCVD法により、上記nチャネルMOSトランジスタ50n、pチャネルMOSトランジスタ50p等を覆う状態に、酸化シリコン膜を例えば200nmの厚さに成膜し、さらにリンシリケートガラス(PSG)膜を例えば500nmの厚さに成膜して、層間絶縁膜を形成する。上記PSG膜はリン濃度の例えば3.5w%〜4.0w%として形成される。
【0067】
次いで層間絶縁膜上にレジスト膜を例えば回転塗布法により成膜した後、リソグラフィー技術により、電極を形成する所定の領域上に開口部を形成してレジストマスクを形成する。その後、このレジスト膜をマスクに用いて、層間絶縁膜をエッチングし、接続孔を形成する。そして上記レジストマスクを除去した後、例えばスパッタリングにより、上記接続孔の内部を含む上記層間絶縁膜上に電極膜を例えばアルミニウム−シリコンを例えば1.0μmの厚さに堆積して形成する。このスパッタリング時の基板温度は例えば150℃に設定した。
【0068】
その後、上記電極膜上にレジスト膜を例えば回転塗布法により成膜した後、リソグラフィー技術により、上記レジスト膜をパターニングして、電極を形成する所定の領域上にレジスト膜を残す。そしてこのレジスト膜をマスクに用いて、電極膜をエッチングし、電極および配線を形成する。その後上記レジストマスクを除去する。
【0069】
上記第1の実施の形態による半導体装置の製造方法では、上記説明したシリコン層の製造方法を用いて絶縁基体11上にシリコン層16を形成していることから、絶縁基体11に低融点ガラスを用いて、その上に上記説明した特性のシリコン層16を得ることができる。そして、そのシリコン層16に所定の処理を施して半導体素子としてCMOSトランジスタのnチャネルMOSトランジスタ50nとpチャネルMOSトランジスタ50pとを形成してCMOSトランジスタ50が完成されることから、そのCMOSトランジスタ50は、バルクのシリコン基板に形成したのと同様の高性能な特性が得られる。すなわち、上記nチャネルMOSトランジスタ50nとpチャネルMOSトランジスタ50pとは、高速動作、大電流密度のトランジスタとなる。
【0070】
上記説明では、CMOSトランジスタを説明したが、上記シリコン層16には、高速で大電流密度のトップゲート型TFT、ボトムゲート型TFT、デュアルゲート型TFT、エレクトロルミネッセンス素子、電界放出型表示素子用トランジスタ、ダイオード、容量、抵抗、光電池(太陽電池)、発光素子、受光素子等の半導体素子を形成することも可能である。
【0071】
上記各実施の形態で説明した各種数値は、一例であってその値に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0072】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明のシリコン層の製造方法によれば、結晶成長のシードを形成した絶縁基体の表面側に、予め所定の膜厚のシリコン薄膜を形成した後、その絶縁基体を低融点金属溶融液中に浸漬させることで、この低融点金属溶融液中にシリコン薄膜を溶解させ、その溶解したシリコンを結晶成長させて、シリコン層を形成するので、シリコン薄膜の膜厚およびその均一性とほぼ同等の膜厚および均一性のシリコン層を形成することができる。すなわち、シリコン薄膜の膜厚、その均一性を制御することにより、結晶成長させて形成されるシリコン層の膜厚およびその均一性を制御することができる。また、低融点金属溶融液中に溶解されるシリコンはほとんど析出されるため、この低融点金属溶融液は繰り返し使用することが可能になり、無駄がない。
【0073】
しかも、本発明の製造方法により形成されたシリコン層は、単結晶で形成され、その電子移動度は例えば540cm2 /Vs程度になり、バルクのシリコン基板と同程度の電子移動度を得ることができる。
【0074】
本発明の半導体装置の形成方法によれば、本発明のシリコン層の製造方法を用いて絶縁基体上にシリコン層を形成しているので、絶縁基体上に上記効果をもたらすシリコン層が得られる。そして、そのシリコン層の少なくとも一部を用いて半導体素子を形成するので、その半導体素子は、バルクのシリコン基板に形成したのと同様に高性能な特性が得られる。例えばシリコン層にチャネル領域、ソース領域、ドレイン領域を形成した絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、高速動作、大電流密度のトランジスタとなる。このように、シリコン層には、高速で大電流密度のトップゲート型TFT、ボトムゲート型TFT、デュアルゲート型TFT、エレクトロルミネッセンス素子、電界放出型表示素子用トランジスタ、ダイオード、容量、抵抗、光電池(太陽電池)、発光素子、受光素子等の半導体素子を形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコン層の製造方法に係わる第1の実施の形態を示す製造工程図である。
【図2】本発明のシリコン層の製造方法に係わる第2の実施の形態を示す製造工程図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係わる実施の形態を示す製造工程図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係わる実施の形態を示す製造工程図(続き)である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係わる実施の形態を示す製造工程図(続き)である。
【図6】シリコン−スズの状態図である。
【図7】スズに対するシリコンの溶解度曲線を示す図である。
【符号の説明】
11…絶縁基体、12…結晶成長のシード、14…シリコン薄膜、15…低融点金属溶融液、16…シリコン層
Claims (14)
- 絶縁基体の表面側に結晶成長のシードを形成する工程と、
前記絶縁基体の表面側に所定の膜厚の非晶質シリコンもしくは多結晶シリコンからなるシリコン薄膜を形成する工程と、
低融点金属溶融液中に前記絶縁基体を浸漬させて前記シリコン薄膜を前記低融点金属溶融液中に溶解させた後、冷却処理により、前記結晶成長のシードを起点にして前記低融点金属溶融液中に溶解したシリコンを結晶成長させ、前記絶縁基体の表面側にシリコン層を形成する工程と
を備えたことを特徴とするシリコン層の製造方法。 - 前記絶縁基体の表面側に段差を形成して前記結晶成長のシードとする
ことを特徴とする請求項1記載のシリコン層の製造方法。 - 前記絶縁基体の表面側にシリコンとの格子整合性を有するような物質からなるシード層を形成して前記結晶成長のシードとする
ことを特徴とする請求項1記載のシリコン層の製造方法。 - 前記シリコン薄膜の成膜時にp型不純物もしくはn型不純物を混入して導電型および不純物濃度を制御する
ことを特徴とする請求項2記載のシリコン層の製造方法。 - 前記シリコン薄膜の成膜時にp型不純物もしくはn型不純物を混入して導電型および不純物濃度を制御する
ことを特徴とする請求項3記載のシリコン層の製造方法。 - 前記低融点金属溶融液上の雰囲気は水素雰囲気、水素と不活性なガスとの混合雰囲気もしくは不活性なガス雰囲気とし、
前記低融点金属溶融液は絶縁基体の最高使用温度以下の温度に保持されている
ことを特徴とする請求項2記載のシリコン層の製造方法。 - 前記低融点金属溶融液上の雰囲気は水素雰囲気、水素と不活性なガスとの混合雰囲気もしくは不活性なガス雰囲気とし、
前記低融点金属溶融液は絶縁基体の最高使用温度以下の温度に保持されている
ことを特徴とする請求項3記載のシリコン層の製造方法。 - 絶縁基体の表面側に結晶成長のシードを形成する工程と、
前記絶縁基体の表面側に所定の膜厚の非晶質シリコンもしくは多結晶シリコンからなるシリコン薄膜を形成する工程と、
低融点金属溶融液中に前記絶縁基体を浸漬させて前記シリコン薄膜を前記低融点金属溶融液中に溶解させた後、冷却処理により、前記結晶成長のシードを起点にして前記低融点金属溶融液中に溶解したシリコンを結晶成長させ、前記絶縁基体の表面側にシリコン層を形成する工程と前記シリコン層上に析出した金属を除去する工程と、
前記シリコン層に所定の処理を施して半導体素子を形成する工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記絶縁基体の表面側に段差を形成して前記結晶成長のシードとする
ことを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。 - 前記絶縁基体の表面側にシリコンとの格子整合性を有するような物質からなるシード層を形成して前記結晶成長のシードとする
ことを特徴とする請求項8記載の半導体装置の製造方法。 - 前記シリコン薄膜の成膜時にp型不純物もしくはn型不純物を混入して導電型および不純物濃度を制御する
ことを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。 - 前記シリコン薄膜の成膜時にp型不純物もしくはn型不純物を混入して導電型および不純物濃度を制御する
ことを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。 - 前記絶縁基体は低融点ガラスからなり、前記低融点金属溶融液上の雰囲気は水素雰囲気、水素と不活性なガスとの混合雰囲気もしくは不活性なガス雰囲気からなり、
前記低融点金属溶融液は絶縁基体の最高使用温度以下の温度に保持されている
ことを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。 - 前記絶縁基体は低融点ガラスからなり、
前記低融点金属溶融液上の雰囲気は水素雰囲気、水素と不活性なガスとの混合雰囲気もしくは不活性なガス雰囲気からなり、
前記低融点金属溶融液は絶縁基体の最高使用温度以下の温度に保持されている
ことを特徴とする請求項10記載の半導体装置の製造方法。
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