JP4177643B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型トラック用として好適な空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
操縦安定性を向上するために、近年の空気入りタイヤはトレッド巾の拡大化が進んでいる。とりわけ、大荷重を負担して比較的高速走行に供される小型トラック用のタイヤにおいては、このような傾向が顕著となっている。
【0003】
図6には、このような空気入りタイヤaの一例を断面にて示す。タイヤは、規格上、その呼び巾によって最大幅SWが規制される。このため、トレッド巾TWを拡大していくと、サイドウォール部が垂直近くに立ちかつトレッド端部b付近が角張った形状となる。これに伴いカーカスcも、トレッド端部b付近が角張ったプロファイルになりやすい。ところが、カーカスcは、内圧の充填により自然平衡形状、つまり単一の円弧プロファイルへと変形しようとする。このようなカーカスcの変形は、トレッド端部bからバットレス部付近を矢印Aの如くタイヤ内方へと引き込む。これは、相対的にトレッド面dのクラウン部をせり出させ、その曲率半径を小さく(トレッド面dを丸く)する。
【0004】
このような空気入りタイヤaは、例えば後輪(小型トラックの場合にはこれは駆動輪となる。)に使用されると、突出したトレッドクラウン部の接地圧が過度に高くなり、該クラウン部が早期に摩耗するセンター摩耗が生じやすい。他方、操舵輪である前輪に使用されると、スリップ角を与えている際に接地圧が低いトレッドショルダー部が路面に引きずられ、ショルダー領域が段差状に摩耗する段差摩耗を生じやすい。このように、従来の空気入りタイヤ、とりわけ小型トラック用のタイヤにあっては、このような偏摩耗の改善が兼ねてから要望されていた。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑み案出なされたもので、ベルト層のタイヤ半径方向外側かつクラウン領域のみに、バンドコードをタイヤ周方向に配列したバンドプライからなるバンド層を設け、クラウン領域の剛性を高めるとともに、ベルト層のショルダー領域ではベルトコード角度をクラウン領域のベルトコード角度に比して小さく規定することにより、ショルダー領域の剛性をも高めることを基本として、上述の偏摩耗を長期にわたって抑制しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【0006】
なお下記特許文献1には、ベルトコードの角度を規定することが記載されているが、本願発明とは、課題が異なりかつクラウン領域のベルトコード角度をショルダ領域のベルトコード角度よりも小さくするもので規定の方法が逆である。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−81109号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側に配された少なくとも2枚のベルトプライからなるベルト層とを具えた空気入りタイヤであって、前記ベルト層は、少なくとも2枚のベルトプライが重なる重なり幅がタイヤ呼び幅の60〜70%をなし、かつ前記ベルト層のタイヤ半径方向外側かつクラウン領域のみに、バンドコードをタイヤ周方向に対して実質的に平行に配列したバンドプライからなるバンド層を設けるとともに、前記バンド層に隣接する最外側のベルトプライは、ショルダー領域におけるベルトコードのタイヤ周方向に対するコード角度θs が、クラウン領域におけるベルトコードのコード角度θc よりも小さく、
しかも前記クラウン領域のコード角度θ c が17〜25゜であり、かつこのコード角度θ s と前記ショルダー領域のコード角度θ c との差(θ c −θ s )が0.5〜10゜であるとともに、
前記重なり幅BWに対してバンド層のタイヤ軸方向の幅CWは、内圧充填後において、その比(CW/BW)が30〜55%の範囲としたことを特徴としている。
【0009】
また請求項2に係る発明は、内圧充填に伴う、前記バンド層を設けたトレッドクラウン部の曲率半径の低減率{(Rcm−Rc)/Rcm}は、金型のトレッドクラウン円弧をRcmとして、10%以下としたことを特徴としている。
【0010】
また請求項3記載の発明は、前記トレッド部は、タイヤ赤道の両側でそれぞれタイヤ周方向にのびる少なくとも一対の縦溝が形成されてなり、かつタイヤ赤道の各側において、前記縦溝の溝中心位置と、前記バンド層のタイヤ軸方向の外端との間のタイヤ軸方向の距離が、前記重なり幅の20%以下であることを特徴とする。
【0011】
また請求項4記載の発明は、前記ベルト層のタイヤ軸方向の外端と、前記カーカスのカーカスコードとの間の最短距離が2〜12mmであることを特徴とする。
【0012】
また請求項5記載の発明は、偏平率が75〜85%かつ小型トラック用であることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には本実施形態の空気入りタイヤの正規状態におけるタイヤ軸を含むタイヤ子午線断面図を示している。ここで正規状態とは、タイヤを正規リムにリム組しかつ正規内圧を充填した無負荷の状態とする。
【0014】
また「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"とする。また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。
【0015】
図において本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7とを具えた小型トラック用のラジアルタイヤが例示される。特に限定はされないが、偏平率が75〜85%のメトリックタイヤ(タイヤ総幅をメートル法にて表示したタイヤ)又は偏平率が95%のインチ−Rタイヤ(タイヤ総幅をインチ表示したタイヤ)として好適に実施できる。
【0016】
本実施形態の空気入りタイヤ1は、トレッド幅TWが比較的大きく設定されており、例えばタイヤの呼び幅の70〜85%、より好ましくは80〜85%程度に設定される。トレッド幅TWは、前記正規状態に正規荷重を付加して平面に接地されたときの最大巾である。また正規荷重は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"とし、タイヤが乗用車用の場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。また、「タイヤ呼び幅」とは、タイヤサイズの表記が例えば「195/65R15」である場合、先頭に表示される「195」に単位ミリメートルを付加して得られる幅である。このように、トレッド幅TWを大きく設定することによって、駆動力を増しかつドライ路面での操縦安定性を向上できる。
【0017】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道Cに対して例えば75゜〜90゜の角度で配列したラジアル構造の1枚以上、本例では3枚のカーカスプライ6A1、6A2及び6A3(以下、総称するとき、単にカーカスプライ6Aと言うことがある。)から構成される。カーカスコードは、本例ではポリエステルコードが採用されるが、これ以外にも例えばナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードが採用できる。
【0018】
本実施形態では、カーカスプライ6A1、6A2が、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aからのびて前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを有するいわゆる折り返しプライで構成される。またカーカスプライ6A3は、トレッド部2からサイドウォール部3を経て前記折返し部6bのタイヤ軸方向外側を通ってビードコア5で終端するいわゆる巻きおろしプライで構成される。このようなカーカス6は、(2−1)構造と呼ばれるが、これに限定されるものではない。
【0019】
カーカスプライ6A1、6A2の本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5の外面からタイヤ半径方向外側に先細状でのびるビードエーペックスゴム8が配されている。ビードエーペックスゴム8は、本例ではJISデュロメータA硬さが78〜92゜、より好ましくは78〜86゜程度の硬質ゴムから構成され、ビード部4の曲げ剛性を向上させる。
【0020】
前記ベルト層7は、本実施形態では、タイヤ半径方向で重なる内、外2枚のベルトプライ7A、7Bから構成されている。各ベルトプライ7A、7Bは、本例では平行に配列したベルトコード7c(図2に示す)の両側面をトッピングゴムにて被覆したプライが用いられている。ベルトコードには、スチールコードが好適であるが、レーヨン、アラミド等の高弾性の有機繊維コードも採用できる。ベルト層7の端部において剛性段差を防止するために、内のベルトプライ7Aは、外のベルトプライ7Bに比べ巾広に形成される。なお各プライ7A、7Bは、巾方向の中心を揃えて重ねられる。
【0021】
前記ベルト層7は、2枚のベルトプライ7A、7Bが重なるタイヤ軸方向の重なり幅BW(これは、「ワーキング幅」とも呼ばれる。)がタイヤ呼び幅の60〜75%、より好適には70〜75%、本発明では60〜70%に設定している。ベルト層7において、最大幅ではなく重なり幅BWを規定したのは、この重なり幅の範囲で実質的なベルト層7のタガ効果及びトレッド部2の剛性向上効果がもたらされるためである。
【0022】
ベルト層7の重なり幅BWがタイヤ呼び幅の60%未満であると、トレッド部2の剛性を高める効果が不足しやすく、とりわけ本例の如くワイドトレッドを図ったタイヤにおいてこのような傾向が顕著に現れる。逆に重なり幅BWがタイヤ呼び幅の70%を超えると、ベルト層7の端部がバットレス部に過度に近接し易くなって、セパレーション等の損傷が生じやすくなるため好ましくない。
【0023】
ベルト層7のタイヤ半径方向外側にはバンド層9が設けられる。
該バンド層9は、図2に展開して示すようにバンドコード9cをタイヤ周方向に対して実質的に平行に配列したバンドプライ9Aからなり、前記ベルト層のクラウン領域Crのみを覆うように配されている。バンドコード9cは、例えばナイロン、アラミド又はPENといった有機繊維コードが好適である。ただし、スチールコードも採用できる。バンドプライ9Aの形成方法は特に限定はされない。従って、例えば1ないし少数本のバンドコード9cをトッピングゴムで被覆した小巾の帯状プライを螺旋状に巻回したいわゆるジョイントレスバンドや、1枚の幅広プライの端部をジョイントした重ね継ぎプライなど種々の態様を含む。
【0024】
バンド層9は、ベルト層7のクラウン領域Crにタガ効果を与える。この結果、内圧充填に伴うトレッドクラウン部のせり出しを減じ、その曲率半径Rc(図1に示す)が小さくなるのを防ぐ。これはセンター摩耗を抑制するのに役立つ。またこのようなバンド層9は、最外側のベルプライ7Bにおいて、ショルダー領域Shにおけるベルトコード7cのタイヤ周方向に対するコード角度θs を、クラウン領域Crにおけるベルトコード7cのコード角度θc よりも小さくする働きをなす。
【0025】
図3には、加硫前のタイヤ生カバーのベルトプライ7Bを展開した状態を示す。このとき、ベルトコード7cのタイヤ周方向に対する角度θ1は、プライ成型時の角度に実質的に等しい。また図4は、前記バンド層9を用いることなく加硫成形した空気入りタイヤのベルトプライ7Bを展開して示す。加硫成形中では、ベルトプライ9Bがトレッド面の曲率に沿う形で膨張変形する。このとき、クラウン領域Crがタイヤ半径方向外側に最も大きく変形する。このためクラウン領域Crのベルトコード角度θc はプライ成型時の角度θ1よりも小さくなる。つまり、θs>θcとなる。なおコード角度θsとθ1とは、トレッド面の輪郭形状等によって種々の場合を取りうるが、概ね膨張変形によってθs<θ1となる。つまり、一般的には、θc<θs<θ1となる。
【0026】
これに対して、本発明の空気入りタイヤ1では、加硫成型時、ベルトプライ7Bのクラウン領域Crは、バンド層9で拘束される。このため、そのベルトコード7cのコード角度θcがプライ成型時のコード角度θ1から大きく変化することが防止される。一方、ベルトプライ7Bのショルダー領域Shでは、バンド層9による拘束力が作用しない。このため、ショルダー領域Shのベルトコード9cのコード角度θsは、加硫中の膨張変形によってクラウン領域Crのコード角度θc(これはプライ成型時のコード角度θ1とほぼ等しい)よりもさらに小さな角度へと変化する。これにより、ベルプライ7Bは、一定のコード角度θ1で成形された標準的なプライを使用しつつ、バンド層9をクラウン領域Crのみに設けることによって、ショルダー領域Shにおけるベルトコード7cのタイヤ周方向に対するコード角度θs を、クラウン領域Crにおけるベルトコード7cのコード角度θc よりも小さくできる。
【0027】
このような空気入りタイヤ1では、バンド層9によって、トレッドクラウン部の剛性が高められ、上述の如くセンター摩耗を軽減する他、プランジャー値などを高めタイヤ強度を向上させ得る。また、ベルト層7のショルダー領域Shでは、ベルトコード7cがクラウン領域Crに比して小さくなるためその剛性が増す。これは、タイヤの負荷走行時ないしスリップ角が与えられた旋回走行時においてトレッドショルダ部の動きを抑制し、ショルダー摩耗ないし発熱を軽減しうる。このように、本発明の空気入りタイヤ1は、長期に亘って偏摩耗の発生を抑制できる。なお前記ベルトコード9cの角度変化を促進させるために、例えばベルトコードのストレッチを3〜4%程度とすることが望ましい。なおベルトコードのストレッチは、加硫前のベルトリングの径に対する加硫後のベルトリングの増加代の比率とする。
【0028】
また発明者らは、前記重なり幅BWに対してバンド層のタイヤ軸方向の幅CWを種々変化させた種々のタイヤを試作し、内圧充填後のトレッドクラウン部の曲率半径を調べた(金型のトレッドクラウン円弧Rcmは390mmとした)。その結果を図5に示す。図5から明らかなように、比(CW/BW)が30〜55%の範囲において、内圧充填に伴うトレッドクラウン部の曲率半径の低減率{(Rcm−Rc)/Rcm}を小さくすること、具体的には10%以下に抑制しうることを知見した。
【0029】
従って、本実施形態の空気入りタイヤは、バンド層9がベルト層7の前記重なり幅BWの30〜55%の幅を覆うことによって、内圧充填に伴うトレッドクラウン部の曲率半径の低減率を10%以下に抑えることが可能である。このような観点より、ベルト層7のクラウン領域Crは、中心がタイヤ赤道Cにありかつ前記重なり幅BWの30〜55%、より好ましくは30〜45%、特に好ましくは35〜45%の範囲として定めるのが良い。なおベルト層7のショルダー領域Shは、このような要件を満たすバンド層9の両外側部分とする。
【0030】
また前記クラウン領域Crの前記コード角度θc は17〜25゜程度とし、かつこのコード角度θcと前記ショルダー領域Shのコード角度θsとの差(θc −θs )は、表1の記載から判るように0.5〜10゜、より好ましくは2.0〜9゜とすることが望ましい。前記コード角度θcが17゜未満になると、コーナリングパワーが小さくなり操縦安定性が低下する傾向がある。またクラウン領域Crへの拘束力が大きくなり過ぎ、接地形状において、クラウン領域Crのタイヤ周方向の接地長さよりもショルダ領域Shの接地長さの方が大となり、ショルダ摩耗を招き易くなる。逆に25゜を超えると、トレッドクラウン部のせり出し変形などを抑制する効果が低下しやすい。特に好ましくは前記角度θcを17〜22゜とするのが望ましい。
【0031】
また該コード角度θs と前記ショルダー領域Shのコード角度θc との差(θc −θs )が5゜未満であると、ベルトコードの角度によってベルト層7のショルダー領域Shの剛性を向上させる効果が得られ難く、逆に10゜を超えると、ショルダー領域Shの横剛性が低下しやすく、発生するコーナリングフォースが小さくなるなど操縦安定性を悪化させやすい。
【0032】
なおクラウン領域Crの前記コード角度θcは、タイヤ赤道位置とバンド層9の端部との中間位置でのベルトコードの角度とする。またショルダー領域Shの前記コード角度θsは、バンド層9の端部と重なり幅の端部(本例では外のベルトプライ7Bの端部)との中間位置でのベルトコードの角度とする。
【0033】
また本実施形態の空気入りタイヤ1は、図1に示すように、トレッド部2に、タイヤ赤道Cの両側でそれぞれタイヤ周方向にのびる一対の内の縦溝10、10が形成されている。そして、タイヤ赤道Cの各側において、内の縦溝10の溝中心位置CLと、前記バンド層9のタイヤ軸方向の外端9Eとの間のタイヤ軸方向の距離Fを、前記重なり幅BWの20%以下、より好ましくは10%以下とするのが良い。内の縦溝10は、タイヤ加硫金型に設けられた一対の凸部(図示しない)によって凹設される。凸部は、加硫中にゴムを介してベルトコードを押圧するため、その間に位置するベルトコードの角度変化を前記バンド層9との相乗作用によってさらに抑制する。従って、前記の如く、縦溝10の溝中心位置CLをバンド層9の外端9Eに近接させるのが良い。
【0034】
なお、バンド層9の外端9Eと前記縦溝10の溝中心位置CLとが完全に一致すると、縦溝10の溝底への応力集中によって、バンド層9の端部にルースなどを生じさせることも懸念される。このような観点より、前記内の縦溝10の溝中心位置CLは、バンド層9の外端9Eよりも軸タイヤ軸方向内側とし、かつ前記距離Fを2〜10%、さらに好ましくは3〜7%とすることが特に望ましい。これによって、ベルトコードの角度のコントロールをなしうるとともに耐久性の低下などをより確実に防止できる。
【0035】
また本実施形態の空気入りタイヤ1は、ベルト層7の端部と前記カーカス6との間に断面略三角形状をなすクッションゴム12が設けられている。該クッションゴム12は、ベルト層7の曲率とカーカス6の曲率との相違に伴う領域を満たし、両部材6,7間の歪を緩和吸収する。そして、このようなクッションゴム12を介在させることにより、ベルト層7のタイヤ軸方向の外端7Eと、前記カーカス6のカーカスコードとの間の最短距離Gが2〜12mm、より好ましくは5〜12mm、さらに好ましくは10〜12mmとするのが望ましい。これによって、カーカス6のプロファイルを角張ったものから滑らかな円弧状に近づけるのに役立る。
【0036】
さらに好ましい態様としては、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧の5%の内圧を充填した無負荷の5%内圧状態において、クッションゴム12のタイヤ軸方向の内端12iと、カーカス6の最大幅位置Mとの間のカーカスプロファイルを単一の円弧で形成することが望ましい。これにより、内圧充填に伴って、カーカス6の大きな変形を防止し、ひいては、トレッドクラウン部の曲率半径Rcが小さくなるのをさらに効果的に抑制できる。
【0037】
【実施例】
タイヤサイズが、195/85R16の小型トラック用の空気入りラジアルタイヤを表1の仕様に試作するとともに、偏摩耗性能とプランジャー強度とをテストした。またテストの後、タイヤを解体してベルトコードの角度を調べた。なおベルトプライのプライ成型時のコード角度はいずれも20゜に統一し、かつタイヤ加硫金型のトレッドクラウン部の曲率半径は390mmとした。またトレッド幅はいずれも159mmである。
テスト方法は、次の通りである。
【0038】
<耐センター摩耗性能>
試供タイヤを小型トラック2屯車の後輪に装着(リム16×5 1/2K、内圧600kPa)し、荷重積載状態で市街地、高速道路をそれぞれ4000km走行し、タイヤ赤道に設けた縦溝の残り溝深さから摩耗量を計算し、比較例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど摩耗量が小さく良好であることを示す。
【0039】
<耐ショルダー摩耗性能>
試供タイヤを上記小型トラックの前輪に装着し、荷重積載状態で市街地、高速道路をそれぞれ4000km走行し、タイヤ赤道からトレッド半幅(TW/2)の67%の位置に設けた縦溝の残り溝深さから摩耗量を計算し、比較例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど摩耗量が小さく良好であることを示す。
【0040】
<プランジャー強度>
試供タイヤを正規リム(16×5 1/2K)にリム組みして内圧600kPaを充填した条件の下で、JIS D4230に準じたプランジャー破壊試験を行った。その時の破壊エネルギーを、比較例1を100とした指数で比較した。数値が大きいほど優れている。
テストの結果などを表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
テストの結果、実施例のものは、比較例と比べて、耐偏摩耗性能に優れる。またプランジャー強度も向上されていることが確認できる。
【0043】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明では、ベルト層においてベルトプライの重なり幅を規制するとともに、このベルト層のタイヤ半径方向外側かつクラウン領域のみにバンド層を設け、最外側のベルプライのショルダー領域におけるベルトコードのタイヤ周方向に対するコード角度θs を、クラウン領域におけるベルトコードのコード角度θc よりも小さくしているため、トレッドクラウン部の剛性を高め、内圧充填に伴うそのせり出し変形を抑制しうる。またトレッドショルダー部は、ベルトプライのショルダー領域のベルトコード角度を小さく設定したことによる剛性の向上が図られ、負荷走行中ないし旋回走行時の動きを減じ、該トレッドショルダー部での偏摩耗や発熱を低減しうる。このように、本発明の空気入りタイヤは、クラウン摩耗やショルダー摩耗といった偏摩耗を長期に亘って抑制しうる。
【0044】
特に請求項1記載の発明のように、前記クラウン領域のコード角度θc とショルダー領域のコード角度θc とを規定しているので、よりバランス良くかつ確実に偏摩耗の抑制を図りうる。
【0045】
また、請求項4記載の発明のように、トレッド部に、タイヤ赤道の両側でそれぞれタイヤ周方向にのびる少なくとも一対の縦溝を形成し、かつこの縦溝の溝中心位置と、前記バンド層のタイヤ軸方向の外端との間のタイヤ軸方向の距離を重なり幅の20%以下に規定したときには、この縦溝を成形するタイヤ加硫金型の凸部が加硫中にベルトコードをゴムを介して押圧し、該凸部間のベルトコードの角度変化を抑制するのに効果がある。
【0046】
また、請求項5記載の発明のように、前記トレッド部は、前記ベルト層のタイヤ軸方向の外端と、前記カーカスのカーカスコードとの間の最短距離を規定したときには、カーカスプロファイルが角張るのを防止するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の空気入りタイヤの一例を示す断面図である。
【図2】そのベルト層、バンド層を展開して示す展開図である。
【図3】加硫前のベルトプライの展開図である。
【図4】加硫後のベルトプライの展開図である。
【図5】トレッドクラウン部の曲率半径Rcと比(CW/BW)との関係を示すグラフである。
【図6】従来の空気入りタイヤの部分断面図である。
【符号の説明】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
6A1、6A2、6A3 カーカスプライ
6a カーカスプライの本体部
6b カーカスプライの折返し部
7 ベルト層
7A 内のベルトプライ
7B 外(最外側)のベルトプライ
7c ベルトコード
9 バンド層
9A バンドプライ
9c バンドコード
10 クッションゴム
Claims (5)
- トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスのタイヤ半径方向外側に配された少なくとも2枚のベルトプライからなるベルト層とを具えた空気入りタイヤであって、
前記ベルト層は、少なくとも2枚のベルトプライが重なる重なり幅BWがタイヤ呼び幅の60〜70%をなし、
かつ前記ベルト層のタイヤ半径方向外側かつクラウン領域のみに、バンドコードをタイヤ周方向に対して実質的に平行に配列したバンドプライからなるバンド層を設けるとともに、
前記バンド層に隣接する最外側のベルトプライは、ショルダー領域におけるベルトコードのタイヤ周方向に対するコード角度θs が、クラウン領域におけるベルトコードのコード角度θc よりも小さく、
しかも前記クラウン領域のコード角度θ c が17〜25゜であり、かつこのコード角度θ s と前記ショルダー領域のコード角度θ c との差(θ c −θ s )が0.5〜10゜であるとともに、
前記重なり幅BWに対してバンド層のタイヤ軸方向の幅CWは、内圧充填後において、その比(CW/BW)が30〜55%の範囲としたことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 内圧充填に伴う、前記バンド層を設けたトレッドクラウン部の曲率半径の低減率{(Rcm−Rc)/Rcm}は、金型のトレッドクラウン円弧をRcmとして、10%以下としたことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記トレッド部は、タイヤ赤道の両側でそれぞれタイヤ周方向にのびる少なくとも一対の縦溝が形成されてなり、
かつタイヤ赤道の各側において、前記縦溝の溝中心位置と、前記バンド層のタイヤ軸方向の外端との間のタイヤ軸方向の距離が、前記重なり幅の20%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記ベルト層のタイヤ軸方向の外端と、前記カーカスのカーカスコードとの間の最短距離が2〜12mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 偏平率が75〜85%かつ小型トラック用である請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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