JP4158261B2 - 記録装置、レーザパワー設定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等の記録媒体に対する記録装置、及び記録装置におけるレーザパワー設定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディスク等の記録媒体に対してレーザ光を照射してデータの記録を行う機器が各種実現されている。
例えば光学ディスク記録媒体としてCD(コンパクトディスク)方式のディスクや、マルチメディア用途に好適なDVD(Digital Versatile Disc/Digital Video Disc)と呼ばれるディスクなどが開発されており、これらの光ディスクに対応する記録装置では、ディスク上のトラックに対して記録データによって変調されたレーザ光を照射し、例えば相変化記録方式でデータの記録を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようにレーザ光によりデータ記録を行う場合には、レーザ光のパワー、具体的には、記録パワーや消去パワーが適切な値に設定されていなければならない。
このために、通常、記録装置では、OPC(オプティマムパワーコントロール)と呼ばれる最適レーザパワーの判別動作が行われる。
【0004】
このOPC動作は、ディスク上に用意された試し書き領域(テスト領域)に対してレーザパワーを変化させながらレーザ照射を行って試し書きを行い、その試し書き部分の再生情報の品質(例えばジッタレベル等)を監視することで、最適なレーザパワーを判別する動作となる。
【0005】
このようなOPC動作により、記録時に最適なレーザパワーによる記録動作が実現できるが、OPC動作で判別する最適なレーザパワーについては、その判別をより高精度とすることが求められる。
例えば試し書きを行う際のデータ内容や、その試し書き部分の再生時に隣接トラックのクロストークの影響などの諸事情により、再生情報から信号品質が精度よく監視できないことがあるが、このような場合、OPC動作により求められる最適なレーザパワーは、必ずしも最適であるとはいえない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような事情を鑑みて、OPC動作の精度を向上させることを目的とする。また動作効率のよいOPC動作を実現することも目的とする。
【0007】
このために本発明では、装填された記録媒体の試し書き領域に対して、レーザパワーを変化させながら記録動作及びその再生動作を実行させ、その再生情報から適切なレーザーパワーを判別する動作(OPC動作)を行うが、そのOPC動作における記録動作の際には、記録データとして、単一データパターン、ランダムデータパターン、無データパターンのうちで必要なパターンを上記再生動作における信号品質の監視対象に応じて選択的に発生させ、ヘッド手段に供給できるようにする。
そして、前記レーザパワー判別手段は、前記単一データパターンとして、記録データの最短マーク長に相当する第1の単一データパターンと、少なくとも再生情報から振幅ピークが検出できるマーク長に相当する第2の単一データパターンを発生させることができるとともに、前記試し書き領域において前記単一データパターンが記録されるトラックに隣接するトラックには、データ記録が行われないように、前記無データパターンを発生させる。
そしてこのようなOPC動作で判別した適切なレーザパワーによりヘッド手段のレーザパワーを設定し、記録媒体に対するデータ記録を実行させるようにする。
つまり試し書き記録の際の記録データとしては、単一データパターン、ランダムデータパターンを用意し、これを目的(信号品質の監視対象)によって使い分けることができるようにする。
【0008】
またレーザパワー判別動作では、適切なレーザパワーとして、少なくとも適切な記録パワー及び消去パワーを判別する。
【0009】
またレーザパワー判別動作においては、試し書き領域において単一データパターンを記録したトラックの再生情報から、アシンメトリ値が適切となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出するようにする。
【0010】
またレーザパワー判別動作においては、試し書き領域においてランダムデータパターンを記録したトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが適切となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出する。
またこのとき、ランダムデータパターンを3トラック以上連続して記録させ、その中央のトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが適切となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出することで、実際の使用状況に即した判別ができるようにする。
【0011】
またレーザパワー判別動作においては、1つのレーザパワー設定状態において、記録データの最短マーク長に相当する第1の単一データパターンと、少なくとも再生情報から振幅ピークが検出できるマーク長に相当する第2の単一データパターンと、ランダムデータパターンと、無データパターンとをトラック毎に所定順序で選択して記録動作を実行させ、当該記録動作にかかる領域からの再生情報により、そのレーザパワー状態におけるジッター又はエラーレート、及びアシンメトリ値を検出することで、OPC動作効率を向上させる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として、記録可能な光ディスクに対応する記録再生装置及びその記録再生装置で実行される記録方法、レーザパワー設定方法について説明していく。この例の記録再生装置に装填される光ディスクは、例えば、CD−RなどのCD方式のディスクや、DVD(DIGITAL VERSATILE DISC/DIGITAL VIDEO DISC)と呼ばれるディスクなどが考えられる。もちろん他の種類の光ディスクに対応する記録装置でも本発明は適用できるものである。
説明は次の順序で行う。
1.光ディスクのフォーマット
2.記録再生装置の構成
3.レーザパワー設定手順の概略
4.動作方式
4−1 DOW特性安定化処理
4−2 ディスク装填時の処理例(A)〜(C)
4−3 OPC処理例(I)〜(III)
4−4 OPC使用エリア選択処理例(イ)〜(ハ)
4−5 ディフェクトキャンセル方式
4−6 OPC動作例(1)〜(4)
4−7 OPC動作時の記録パターン
【0013】
1.光ディスクのフォーマット
本例で記録媒体となる光ディスクは、相変化方式でデータの記録を行う光ディスクであり、その物理的なフォーマットは図1に示されるようになる。
【0014】
ディスクサイズとしては、直径が120mmとされる。また、ディスク厚(サブストレート)0.6mm板の2枚張り合わせディスクとされ、全体としてディスク厚は1.2mmとなる。またディスククランピングはメカニカル方式が採用される。即ちこれらの点では外形的に見ればCD(Compact Disc)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc-ROM/Digital Video Disc-ROM)等と同様となる。
また記録再生装置に装填される際などに用いることのできる、当該ディスクを収納保持するケースがオプションとして用意される。
【0015】
ディスク上には予めグルーブ(溝)によるトラックが形成され、このグルーブがウォブリング(蛇行)されることにより物理アドレスが表現される。つまりグルーブがアドレスを変調した信号によってウォブリングされることで、グルーブからの再生情報を復調することで絶対アドレスが抽出できるようにされている。またディスクはCAV(角速度一定)方式で回転駆動されるものとされ、これに応じてグルーブに含まれる絶対アドレスはCAVデータとなる。
グルーブの深さは記録再生のためのレーザ波長λ/8、グルーブ幅は0.48μm中心、ウォブリング振幅は12.5nm中心とされている。
なおレーザ波長λ=650nm(−5/+15nm)、記録再生装置の光学ヘッドの開口率NA=0.6とされる。
【0016】
この光ディスクでは、グルーブ記録方式が採用され(ランドは記録に用いられない(但し用いられるようにしてもよい))、トラック幅方向にグルーブのセンターから隣接するグルーブのセンターまでがトラックピッチとなる。トラックピッチは0.80μmとされる。
またデータ記録は線密度一定(CLD:Constant Linear Density )とされて記録される。線密度は0.35μm/bit とされる。
但し線密度範囲として或る幅が設定され、実際には非常に多数のゾーニング設定が行われることで、ディスク全体として線密度一定に近い状態とされる。これはゾーンCLD(Zoned Constant Linear Density )と呼ばれる。そしてこのディスクでは、片面(一方の記録層)で3.0Gバイト/の記録容量を実現することができる。
【0017】
また記録データの変調方式としてはいわゆるDVDと同様に8−16変調が採用され、相変化記録媒体へのマークエッジ記録が行われる。
【0018】
図2にディスクの内周側(リードイン)から外周側(リードアウト)までのエリア構造を示す。この構造図の右側には絶対アドレス(セクターアドレス)の値を16進表記で付記している。また各エリアの名称を「***ゾーン」としているが、この各エリアに( )内で示した数値は、そのゾーンのセクター数を表している。
【0019】
内周側(半径位置22.6mm〜24.0mm)の斜線を付した部分はエンボスピットが記録されたエリアとされる。
一方、斜線を付していない部分(半径位置24.0mmから最外周までの領域)は、グルーブによるトラックが形成された記録可能領域(グルーブエリア)となる。
【0020】
エンボスエリアとされる最内周側は、絶対アドレス「02EFFFh」までがイニシャルゾーンとしてオール「00h」のデータが記録されている。
続いて絶対アドレス「2F000h」の位置からが、リファレンスコードが2ECCブロック(以下、単にブロックともいう)分記録された32セクターのリファレンスコードゾーンとなる。なおブロック(ECCブロック)とは、エラー訂正ブロックを構成する単位であり、32Kバイトのデータ毎にエラー訂正コードが付加されて形成される。
続いて、480セクターのバッファゾーンを介して絶対アドレス「2F200h」の位置から3072セクターのコントロールデータゾーンが形成され、コントロールデータが記録される。
これらのコントロールデータ及びリファレンスコードは、原盤製造のためのカッティングの際に記録され、読出専用のピットデータとなる。コントロールデータには、光ディスクの物理的な管理情報などが記録される。
【0021】
続くバッファゾーンがエンボスエリアの最外周側となり、コネクションゾーンから外周側がグルーブエリアとなる。
そしてこのグルーブエリアでは、コネクションゾーンに続いて、512セクターのガードゾーン、1024セクターのインナーディスクテストゾーン、1664セクターのインナードライブテストゾーン、512セクターのガードゾーン、64セクターのDMA1ゾーン(ディフェクトマネジメントエリア)、256セクターのインナーディスクアイデンティフィケーションゾーン、64セクターのDMA2ゾーンが設けられる。
【0022】
このDMA2ゾーンに続いて、ユーザーがデータ記録に用いることができるレコーダブルエリアとしてのデータゾーンが形成される。データゾーンは絶対アドレスでいえば31000h〜198FFFhまでとなる。
【0023】
また、データゾーンの外周側には、64セクターのDMA3ゾーン、256セクターのアウターディスクアイデンティフィケーションゾーン、64セクターのDMA4ゾーン、1024セクターのガードゾーン、2048セクターのアウターディスクテストゾーン、3072セクターのアウタードライブテストゾーン、32768セクターのガードゾーンが設けられる。
【0024】
各ガードゾーンは、ディスクテストゾーンやDMA等に対する書込を行う際にライトクロックの同期をとるためのエリアとして設けられている。
内周側(インナー)及び外周側(アウター)のディスクテストゾーンは、ディスクコンディションのチェックのために設けられている。
内周側(インナー)及び外周側(アウター)のドライブテストゾーンは記録再生ドライブ状況のチェックに用いられる。
特に後述するDOW特性安定化処理や、OPC動作は、このドライブテストゾーンを使用することになる。
内周側(インナー)及び外周側(アウター)のディスクアイデンティフィケーションゾーンは、ディスクの製造者やフォーマットに関しての情報が記録可能に用意されたエリアである。後述するが、例えばこのエリアを利用してドライブテストゾーンの管理テーブルを記録することなどが可能となる。
【0025】
DMA(DMA1〜DMA4)にはレコーダブルエリアの欠陥状況の検出結果及びその交代セクターの情報が記録される。記録再生動作がDMAの内容を参照して行われることで、欠陥領域(例えば傷の存在するセクター)を回避した記録再生を行うことができる。なおDMA1〜DMA4はそれぞれ同一の内容が記録される。
【0026】
2.記録再生装置の構成
図3は本例の記録再生装置の要部のブロック図である。この記録再生装置は、接続されたホストコンピュータ100からの要求に応じてデータの記録再生動作を行うものとされる。
【0027】
ディスク90は上述したフォーマットのDVD方式のディスクや、CD−R,CD−ROM等のCD方式のディスクである。このディスク90は、ターンテーブル7に積載され、記録又は再生動作時においてスピンドルモータ1によって一定線速度(CLV)もしくは一定角速度(CAV)で回転駆動される。
そしてピックアップ1によってディスク90にエンボスピット形態や相変化ピット(マーク)形態などで記録されているデータの読み出しや、相変化ピット(マーク)としてのデータの記録、或いはデータ消去が行なわれることになる。
【0028】
ピックアップ1内には、レーザ光源となるレーザダイオード4や、反射光を検出するためのフォトディテクタ5、レーザ光の出力端となる対物レンズ2、レーザ光を対物レンズ2を介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタ5に導く光学系が形成される。
対物レンズ2は二軸機構3によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ1全体はスレッド機構8によりディスク半径方向に移動可能とされている。
【0029】
再生時及び記録時にレーザ光の照射を行うことで得られるディスク90からの反射光情報はフォトディテクタ5によって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてRFアンプ9に供給される。
RFアンプ9には、フォトディテクタ5としての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。例えば再生データであるRF信号、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEなどを生成する。
RFアンプ9から出力される再生RF信号は2値化回路11へ、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEはサーボプロセッサ14へ供給される。
【0030】
ディスク90に対する再生動作時において、RFアンプ9で得られた再生RF信号は2値化回路11で2値化されることでいわゆるEFM信号(8−14変調信号;CD方式のディスクの場合)もしくはEFM+信号(8−16変調信号;DVD方式のディスクの場合)とされ、エンコーダ/デコーダ12に供給される。エンコーダ/デコーダ12ではEFM復調,エラー訂正処理等を行ない、また必要に応じてCD−ROMデコード、MPEGデコードなどを行なってディスク90から読み取られた情報の再生を行なう。
【0031】
エンコーダ/デコーダ12でデコードされたデータはキャッシュメモリ20の読出/書込処理を行うバッファマネージャ21の動作によってキャッシュメモリ20に蓄積されていく。いわゆるバッファリング動作が行われる。
再生装置からの再生出力としては、キャッシュメモリ20にバッファリングされたデータが転送出力されることになる。
なお、キャッシュメモリ20からのデータの転送出力はシステムコントローラ10の制御(ファームウエアとしての制御)によって行われる。
【0032】
インターフェース部13は、外部のホストコンピュータと接続され、ホストコンピュータとの間で再生データやリードコマンドの通信を行う。
即ちキャッシュメモリ20に格納された再生データは、インターフェース部13を介してホストコンピュータ100に転送出力される。
またホストコンピュータ100からのリードコマンドその他の信号はインターフェース部13を介してシステムコントローラ10に供給される。
【0033】
サーボプロセッサ14は、RFアンプ9からのフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEや、デコーダ12もしくはシステムコントローラ10からのスピンドルエラー信号SPE等から、フォーカス、トラッキング、スレッド、スピンドルの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEに応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、二軸ドライバ16に供給する。二軸ドライバ16はピックアップ1における二軸機構3のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ1、RFアンプ9、サーボプロセッサ14、二軸ドライバ16、二軸機構3によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0034】
なお、理想的にはフォーカスエラー信号FEがゼロとなるポイントと、ディスク90から最も効率よく情報再生を行うことができるポイント(つまり再生RF信号の振幅が最大となるポイント)は同一であるはずであるが、実際には、これらのポイントはずれたものとなる。このずれ分をフォーカスバイアスとよび、そのフォーカスバイアス分に相当するバイアス電圧をフォーカスエラー信号FEに加算するようにサーボ系を構成することで、フォーカス状態が、再生RF信号の振幅が最大となるポイントに収束されるように制御している。
トラッキングエラー信号TEについても同様に、トラッキングバイアスが存在する。
【0035】
またサーボプロセッサ14はスピンドルモータドライバ17に対して、スピンドルエラー信号SPEに応じて生成したスピンドルドライブ信号を供給する。スピンドルモータドライバ17はスピンドルドライブ信号に応じて例えば3相駆動信号をスピンドルモータ6に印加し、スピンドルモータ6のCLV回転を実行させる。またサーボプロセッサ14はシステムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータドライバ17によるスピンドルモータ6の起動または停止などの動作も実行させる。
【0036】
サーボプロセッサ14は、例えばトラッキングエラー信号TEの低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッドドライバ15に供給する。スレッドドライバ15はスレッドドライブ信号に応じてスレッド機構8を駆動する。スレッド機構8には図示しないが、ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライバ15がスレッドドライブ信号に応じてスレッドモータ8を駆動することで、ピックアップ1の所要のスライド移動が行なわれる。
【0037】
ピックアップ1におけるレーザダイオード4はレーザドライバ18によってレーザ発光駆動される。
システムコントローラ10はディスク90に対する記録動作、再生動作を実行させる際に、レーザパワーの制御値をオートパワーコントロール回路19にセットし、オートパワーコントロール回路19はセットされたレーザパワーの値に応じてレーザ出力が行われるようにレーザドライバ18を制御する。
【0038】
ディスク90に対する記録動作時には、記録データに応じて変調された信号がレーザドライバ18に印加される。
例えば記録可能タイプのディスク90に対して記録を行う際には、ホストコンピュータからインターフェース部13に供給された記録データは、エンコーダ/デコーダ12によってエラー訂正コードの付加、EFM+変調、NRZI変調などの処理が行われた後、レーザドライバ18に供給される。
そしてレーザドライバ18が記録データに応じてレーザ発光動作をレーザダイオード4に実行させることで、ディスク90に対するデータ記録が実行される。
【0039】
以上のようなサーボ及びデコード、エンコードなどの各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ10により制御される。
例えば一連の再生動作制御としては、システムコントローラ10はホストコンピュータ100からのリードコマンドに応じて、要求されたデータ区間の読出を行うための動作として、サーボプロセッサ14に指令を出し、リードコマンドにより転送要求されたデータ区間の開始位置をターゲットとするピックアップ1のアクセス動作を実行させる。そしてアクセス終了後、データ読出を実行させ、エンコーダ/デコーダ12、キャッシュメモリ20に必要な処理を実行させ、その再生データ(要求されたデータ)をインターフェース部13からホストコンピュータ100に転送させる制御を行う。
また記録動作制御としては、システムコントローラ10はホストコンピュータ100からのライトコマンドに応じて、供給されたデータの書込を行うための動作として、サーボプロセッサ14に指令を出し、書込開始位置へのピックアップ1のアクセス動作を実行させる。そしてアクセス終了後、キャッシュメモリ20、エンコーダ/デコーダ12、レーザドライバ18等に必要な処理を実行させ、その記録データ(供給されたデータ)をディスク90に記録させる制御を行う。
【0040】
ところで、記録動作に関してレーザダイオード4から出力させるレーザパワー、即ち記録パワー、消去パワーについては、それを最適なパワーとするために、記録動作に先立ってOPC動作が行われる。
【0041】
記録時には、ディスク90の結晶状態にしたトラック上に大きなパワー(記録パワー)を持つレーザ光を照射し、記録面の記録膜を溶融した後に急冷し、アモルファス化させることによって記録マークを形成する。
消去するときは、記録時よりも小さいパワー(消去パワー)のレーザ光を記録マークに照射させて、アモルファス化した部分を再び結晶化させるものとなる。このため、最適な記録パワー、消去パワーが設定されていないと、適切なオーバーライトが実行できないものとなる。このため、記録動作に先立って最適な記録パワー、消去パワーを設定するOPC動作が必要となる。
【0042】
システムコントローラ10はOPC動作のために、レーザドライバ18及びオートパワーコントロール回路19を制御して、レーザパワーを各種値に変化させながら上述したディスク90のドライブテストゾーンに対して試し書きを実行させ、さらにその試し書き部分を再生させて信号品質を監視する。特に再生信号のジッタ又はエラーレートと、アシンメトリ値を監視する。
このために、RFアンプ9からのRF信号は検出部23に供給され、検出部23からはジッタ又はエラーレートの検出値DJ、及びアシンメトリの検出値DASが出力されるように構成されている。システムコントローラ10はこれらの検出値DJ、DASを取り込むことで、各種レーザパワー状態での信号品質を判断することができ、それによって最適な記録パワー、消去パワーを判別できる。
そして最適な記録パワー、消去パワーを判別したら、それを記録動作時に用いる記録パワー、消去パワーとしてオートパワーコントロール回路19にセットすることで、以降、記録動作時には最適な記録パワー、消去パワーによるレーザ出力が実現されることになる。
【0043】
このようなOPC動作、及びOPC動作の前後の一連の動作(記録のためのレーザパワー設定に関する一連の動作)については後に詳述するが、それらの後述する各種動作は、システムコントローラ10の制御に基づいて、レーザドライバ18、オートパワーコントロール回路19、サーボプロセッサ14、検出部23等がそれぞれ必要な動作を行うことで実現されるものである。
【0044】
なお、OPC動作時には、ジッターとアシンメトリ値を監視するか、もしくはエラーレートとアシンメトリ値を監視することになる。
検出部23の構成例は後述するが、従って検出部23には、ジッタ検出回路とアシンメトリ検出回路が設けられるか、もしくはエラーレート検出回路とアシンメトリ検出回路が設けられればよい。
さらには、検出対象をジッタとエラーレートとで切り換えられるジッタ/エラーレート検出回路と、アシンメトリ検出回路が設けられるようにしてもよい。この場合、例えば図3に示した制御信号J/Eにより、検出対象としてジッタかエラーレートかを選択できるようにする。このジッタ監視/エラーレート監視の選択は、システムコントローラ10がモード設定などに応じて実行しても良いし、或いはホストコンピュータ100又は図示していない操作部からのユーザーの操作により選択されるようにしても良い。
実際に記録再生動作において必要なのはエラーレートが低いことであるから、エラーレートを検出した方が精度的には良いものとなる。但し、ジッター検出の方が短時間で済むため、OPC動作の迅速性を求めるならジッター検出の方が良い。選択可能とする場合は、このどちらをとるかの判断はユーザー操作にゆだねることが好適である。
【0045】
ところで後述するが、OPC動作は一定の時間経過や、装置内の温度変化に応じても実行される。このためシステムコントローラ10は内部タイマ10a(例えばソフトウエアによるタイムカウント)として、或るOPC動作後の経過時間をカウントできるようにされている。また温度センサ24が設けられ、システムコントローラ10が装置内の温度状況を監視できるようにされている。
【0046】
なお、この図3のような記録再生装置の構成は一例であり、本発明の記録装置としては、これ以外に各種の構成例が考えられることはいうまでもない。
【0047】
ここで記録動作時にレーザダイオード4からのレーザ出力を実行させるためのドライブパルスについて図4、図5で説明しておく。
レーザのドライブパルスは記録データ(NRZIデータ)により変調されたパルスとなるが、例えば図4上段に示す或るNRZIデータの期間において、図4下段に示すようなドライブパルスが生成されることになる。
なお「Pw」は記録パワーとしてのレベル、「Pe」は消去パワーとしてのレベル、「Pc」は冷却パワーとしてのレベルである。
また「Tw」はチャンネルクロック期間、「Tpw」は記録パワーのパルス期間である。
図からわかるように、NRZIデータの「L」期間には、消去パワーPeとしてのドライブパルスが発生され、一方、NRZIデータの「H」期間には、記録パワーPw及び冷却パワーPcが交互にあらわれるパルス波形となる。このようにNRZIデータの「H」期間、つまり、ディスク90上にマーク(ピット)を形成する区間では、記録パワーPwによるレーザ発光が断続的に実行されることになる。
【0048】
また図5は、NRZIデータとしての最短マーク長である3Tマークと3Tスペース、最長マーク長である14Tマークを形成する場合のドライブパルスを示している。
図からわかるように、スペース形成期間においては消去パワーPeとしてのドライブパルスが連続して発生されてスペース形成動作(つまり消去動作)が行われる。また、マーク形成期間においては、そのマーク長に応じた回数だけ、記録パワーPwによるレーザ発光が断続的に実行されることになる。
【0049】
次に、後述するOPC動作において監視されるアシンメトリについて説明しておく。
図6は再生されるRF信号パターンを示しているが、「I14」は最長パターン(14Tマーク/14Tスペース)の再生RF信号の振幅(I14H−I14L)であり、「I3」は最短パターン(3Tマーク/3スペース)の再生RF信号の振幅(I3H−I3L)である。
そしてアシンメトリ値DASは波形対称性を示す値として、
【数1】
で算出される値である。
【0050】
このアシンメトリ値DASは、エンボスエリアでは、
−0.05≦DAS≦0.15
リライタブルエリア(グルーブエリア)では、
−0.15≦DAS≦0.10
であることが要求される。
そして実験によれば、アシンメトリ値DASは、
DAS=0.04となることが最適とされた。
【0051】
つまり後述するOPC動作では、アシンメトリ値DASに関しては、再生RF信号波形においてアシンメトリ値DAS=0.04となる記録パワーが最適であると判断するものとなる。なお、DAS=0.04を最適と判断することは一例であることはいうまでもなく、記録装置の信号処理特性や記録媒体の特性、システム使用状況などの各種の事情により、最適なアシンメトリ値は変更されることもあり得る。
【0052】
3.レーザパワー設定手順の概略
続いて、本例におけるレーザパワー設定のための基本的な手順について説明していく。なお、ここでは概略的な手順及びその意味を説明することとし、具体的な処理手順については各種の例を後述する。
【0053】
図7(a)(b)に、レーザパワー設定のための大まかな手順の2例を示した。
図7(a)は、まずDOW特性(ダイレクトオーバーライト特性)の安定化を行い、続いてフォーカスバイアス調整を行い、その後にOPC処理を行うようにしたものである。
一方図7(b)はDOW特性の安定化を行い、続いてOPC処理を行い、その後にフォーカスバイアス調整を行うようにしたものである。
【0054】
即ち本例では、少なくともDOW特性安定化を実行した後にOPC処理を行うこととしている。そしてOPC処理とフォーカスバイアス調整については、どちらが先に実行されるかにより、それぞれ異なる利点が得られるため、実際の装置ではそれを勘案して選択すればよいものとなる。
なお、DOW特性の安定化は、OPC処理又はフォーカスバイアス調整の直前であっても良いし、或る程度時間が離れた前の時点であっても良い。一方、フォーカスバイアス調整は、通常は、OPC処理の直前又は直後に行われることになる(但し離れた時点で実行されることもあり得る)。
【0055】
まずDOW特性安定化処理について説明する。
DOW特性とは、オーバーライト回数によりジッター、エラーレート、アシンメトリが変化することをいう。
例えば同様の記録動作を繰り返していくと、1回目の記録時よりも2回目の記録時はジッターがかなり悪くなるが、3回目以降は徐々にジッターの変動は小さくなり、10回目以降は安定していくことが実験により確認されている。
【0056】
図8は縦軸にジッター、横軸にオーバーライト回数をとって、ジッターのDOW特性を示したものである。
なお、ジッター値は記録パワーPw及び記録パワーPwと消去パワーPeの比によって異なるものとなり、図8では各種パワーで計測されたジッター値の範囲を示している。
この図から、初期記録に対してオーバーライト回数を重ねる毎にジッターは変動するが10回以上のオーバーライトではほぼ安定することがわかる。
【0057】
また図9は、縦軸にアシンメトリ値、横軸にオーバーライト回数をとって、アシンメトリのDOW特性を示したものである。
この場合も、図8と同様に各種パワーで計測されたアシンメトリ値の範囲を示している。
この図から、アシンメトリ値に関しても、初期記録に対してオーバーライト回数を重ねる毎にばらつきが大きいが、10回以上のオーバーライトではほぼ安定することがわかる。
【0058】
このようなDOW特性を考えると、例えばOPC処理に用いるディスク90上のドライブテストゾーン(試し書き領域)に、未記録部分と少なくとも1回以上記録を行った部分が混在すると、観測されるジッター(又はエラーレート)や、アシンメトリ値がばらつき、判別されるレーザパワーの精度が悪くなる。
【0059】
そこで本例では、OPC処理に利用するドライブテストゾーンの全域、もしくは実際に試し書きを行う一部のエリアについて、OPC処理に先だって無条件に、少なくとも2回以上、好ましくは10回以上のオーバーライトを実行する。
これが本例でいうDOW安定化処理である。
このようなDOW安定化処理を行ない、試し書きを行うエリアの特性を安定化させることで、その後、OPC処理の際にジッター/エラーレートやアシンメトリ値が、エリアによってばらつくということはなくなり、最適レーザパワーを精度良く判別できることになる。
【0060】
なお、DOW特性安定化処理については、少なくともOPC処理が実行される前の時点で、また少なくともOPC処理で試し書きを行う領域において実行されればよい。このため、DOW特性安定化の実行のタイミングや、DOW特性安定化処理の対象エリアは各種考えられる。
【0061】
DOW特性安定化の実行タイミングとしては、例えばディスク90がメーカーから出荷される前に製造工程(例えば最終の調整工程)において、インナー及びアウターのドライブテストゾーンに対して実行されるようにしても良いし、或いはユーザーサイドで記録再生装置において実行されるようにしても良い。
ユーザーサイドの記録再生装置で実行されるとした場合でも、ディスク装填時に行っても良いし、OPC処理の直前に行われるようにしても良い。また、ディスクを初めて使用する際のフォーマット時に実行されるようにしても良い。
【0062】
またDOW特性安定化処理の対象エリアとしては、インナー及びアウターのドライブテストゾーン領域の全域を対象としても良いし、インナー又はアウターのドライブテストゾーンの一方を対象としても良い。工場出荷前に実行する場合については、インナー及びアウターのドライブテストゾーン全域を対象とすることが好適である。
さらには、ユーザーサイドの記録再生装置で実行する場合は、同じくインナー、アウターのドライブテストゾーンの一方又は両方の全域を対象としても良いし、或いはその後に行われるOPC処理で実際に試し書きが行われるエリア、つまりドライブテストゾーン内の一部のエリアを対象としても良い。
これら、DOW特性安定化処理の実行タイミングや実行対象エリアの各種の例については、後述する具体的な処理例で述べる。
【0063】
本例ではこのようなDOW特性安定化処理が行われた後に、OPC処理が実行される。
OPC処理の概要は、前述したようにディスク90のドライブテストゾーンに対してレーザパワー(記録パワーPw及び消去パワーPe)を変化させながら試し書き記録を行い、それを再生してジッター/エラーレート、及びアシンメトリ値を監視して、最適な記録パワーPw、消去パワーPeを判別する処理である。
【0064】
ところが、このための具体的な処理としては、記録パワーPw、消去パワーPeとしてのそれぞれの変更可能なステップ数や、記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせ(さらには冷却パワーPcの組み合わせ)により、試し書きを行うレーザパワーとしては、かなりの数のバリエーションが存在する。
そして、最も高精度に記録パワーPw、消去パワーPeを判別したいのであれば、全ての組み合わせで試し書きを行って、それぞれの組み合わせでのジッター等を監視し、ジッター等が最適となる組み合わせを判別しなければならない。ところがそれはOPC処理に非常に時間がかかることを意味する。
一方、試し書きを行う際の組み合わせの数を減らしたり、或いは最適な記録パワーPwだけを判別するようにすれば、OPC処理時間は短縮できるが、最適レーザパワーとしての判別精度が低下することはいうまでもない。
【0065】
ここで本例では短時間でかつ精度の良いOPC処理を実現することを1つの目的としているが、このために、記録パワーPwと消去パワーPeの最適比、もしくは最適な組み合わせの近似式を利用して処理を行うものとしている。
【0066】
上述のDOW特性についてみてみると、ジッターやアシンメトリ値に関しては、記録時の記録パワーPwと消去パワーPeの比(Pe/Pw)に大きく依存することが実験から確認されている。つまりDOW特性においてジッターが最小となるときの比(Pe/Pw)はほとんど変化していない。
これを言い換えれば、記録パワーが変わっても、ジッターが最小となる(或いはアシンメトリ値が最適となる)記録パワーと消去パワーの比は常にほぼ一定と考えられ、従って、例えば或る記録パワー(必ずしも最適記録パワーでなくとも)に対する最適な消去パワーが見つけられれば、そのときの比(Pe/Pw)を保ちながら、記録パワーと消去パワーの組み合わせを選択し、その中で最適な記録パワー(又は記録パワーと消去パワーの組み合わせ)を見つけることで、高精度かつ短時間でOPC処理が実行できることになる。
【0067】
また、単に1つの記録パワーに対して最適消去パワーを見つけて、比を設定するのみでなく、この1つの記録パワーに対する最適消去パワーを見つける動作を複数回実行すれば、記録パワーと消去パワーの最適組み合わせの近似式が算出できる。従って、その近似式に沿って記録パワーと消去パワーの組み合わせを選択し、その中で最適な記録パワー(又は記録パワーと消去パワーの組み合わせ)を見つけることで、短時間で、さらに高精度なOPC処理が実行できる。
【0068】
上述したように本例においては、フォーカスバイアス調整については、OPC処理の直前もしくは直後で実行される。
記録時のフォーカスバイアスについては、上述したように最適な再生RF信号が得られるポイント(ジッター最小ポイント)に調整されなければならないが、記録パワーが高すぎた場合は、ジッターが最小点となるポイントが2点になる。図10(a)〜(d)は、それそれ異なるレーザパワー(記録パワーPw、消去パワーPe、冷却パワーPc)において、ジッターとデフォーカスの関係を示している。
この図10(a)〜(d)を比較してわかるように、レーザパワーが大きい図10(d)の場合は、ジッター最小点となるボトムが2つ観測され、このため最適なフォーカスバイアスが検出できない。一方、比較的レーザパワーの小さい図10(a)〜(c)ではジッター最小点が正しく観測でき、最適なフォーカスバイアスを判別できる。
【0069】
このような事情を考慮したうえで、フォーカスバイアス調整をOPC処理の前又は後で行うことによるそれぞれの利点は次のようになる。
【0070】
まず、図7(a)のようにOPC処理に先だってフォーカスバイアス調整を行う場合については、そのフォーカスバイアス調整実行時点では最適なレーザパワーは見つけられていない。
このため、適当なレーザパワーでフォーカスバイアス調整を行うと、もしそのパワーが高すぎた場合は適切にフォーカスバイアス値を見つけられないおそれがある。
そこで、記録時のフォーカスバイアス調整を行う際には、レーザパワーを、レーザパワーの初期値(例えば平均的な値)より多少パワーの小さい値にセットして実行する。これにより、フォーカスバイアスが適切に調整できる。
そしてこの場合は、フォーカスバイアス調整後にOPC処理が行われることになるため、OPC処理においては最適なフォーカスバイアス調整での最適レーザパワーの設定が可能となるため、よりOPC処理の精度が向上される。
またフォーカスバイアスが最適化された後のOPC処理であることにより、OPC処理時に、ディスク90にダメージを与えるほどの記録パワーで記録が行われることはなくなる。
【0071】
次に、図7(b)のようにOPC処理の後にフォーカスバイアス調整を行う場合は、OPC処理によりレーザパワー最適値が既にわかっていることになるため、レーザパワーを最適値にセットしてフォーカスバイアス調整を実行できることになる。
従って、レーザパワーが高すぎてフォーカスバイアス調整がうまくいかないということもなく、さらに実際に記録に使用するレーザパワーにより調整を行うものであるため、記録動作に即した最も適切なフォーカスバイアス調整が可能となる。
【0072】
4.動作方式
4−1 DOW特性安定化処理
以下、図7に示した手順に関しての具体的な動作方式について各種の例を説明していく。
まずDOW特性安定化処理のフローチャートを図11に示す。上述したようにDOW特性安定化処理はディスク90の製造工程において実行されても良いし、ユーザーサイドの記録再生装置で実行されても良い。このため図11のフローチャートは製造工場において調整で用いる記録装置のコントローラや、ユーザーサイドにおける図3の記録再生装置のシステムコントローラ10による制御を示すものとなる(以下の説明では、システムコントローラ10の処理とする)。
なお、この図11ではディスクのインナー及びアウタードライブテストゾーンの全域を対象としてDOW特性安定化処理を行う処理例としている。
【0073】
DOW特性安定化処理を行う際には、まずシステムコントローラ10はステップF101として安定化のためのオーバーライト回数OWCをセットする。例えば2回オーバーライトを行うのであればOWC=2、10回オーバライトを行うのであればOWC=10とする。
またステップF102で変数nをn=0とする。
【0074】
以上の設定が済んだら、ステップF103で実際に内周側のドライブテストゾーンのオーバーライトを実行する。即ち1664セクターのインナードライブテストゾーンの全域に対して、所定のデータによりオーバーライトを実行する。書込の際のデータとしては、所定パターンのデータを用意しても良いし、ランダムなデータでもよい。またはDCライト/DCイレーズを実行するようにしても良い。さらにこのステップF103のオーバーライトは複数回行われることになるが、各回毎に記録データを変更させても良い。
【0075】
インナードライブテストゾーンの全域に対して一通りのオーバーライトが完了されたら、ステップF104で変数nをインクリメントし、ステップF105で変数nがオーバーライト回数OWCに達したかを確認する。そして達していなければステップF103に戻り、再びインナードライブテストゾーンの全域に対してのオーバーライトを実行する。
つまりステップF103〜F105によりインナードライブテストゾーンに対して設定したオーバーライト回数OWCだけオーバーライトが実行される。
【0076】
設定回数のオーバライトが完了したら、ステップF106に進んで変数nをゼロにリセットするとともに、ステップF107で外周側のドライブテストゾーンのオーバーライトを実行する。即ち3072セクターのアウタードライブテストゾーンの全域に対して、所定のデータによりオーバーライトを実行する。上記同様、書込の際のデータは各種考えられる。
そしてアウタードライブテストゾーンの全域に対して一通りのオーバーライトが完了されたら、ステップF108で変数nをインクリメントし、ステップF109で変数nがオーバーライト回数OWCに達したかを確認する。そして達していなければステップF107に戻り、再びアウタードライブテストゾーンの全域に対してのオーバーライトを実行する。
このステップF107〜F109によりアウタードライブテストゾーンに対して設定したオーバーライト回数OWCだけオーバーライトが実行される。そしてアウタードライブテストゾーンに対するOWC回のオーバーライトが完了したら、DOW特性安定化処理が終了される。
【0077】
このような処理により、インナー及びアウタードライブテストゾーンの全域が、DOW特性が安定化された状態となる。
【0078】
なおDOW特性安定化処理の例は他にも多様に考えられる。
まず、インナー又はアウターのドライブテストゾーンの一方のみに対してDOW特性安定化処理が実行されるようにしても良い。例えば記録再生装置におけるOPC処理が、インナー又はアウターのドライブテストゾーンの一方のみで実行される場合は、その一方のみに対してDOW特性安定化処理を実行しておけば足り、また処理効率は向上する。
また、DOW特性安定化処理がOPC処理の直前に行われる場合などは、インナー又はアウターのドライブテストゾーン内でOPC処理で用いられるエリア(試し書き実行エリア)がわかるため、その試し書き実行エリアのみに対してDOW特性安定化処理が行われればよい。もちろんこれによってDOW特性安定化処理に要する時間を短縮できる。
これら各種の処理例は、次のディスク装填時の処理例において述べる各種のDOW特性安定化処理タイミングの事情に応じて選択されればよい。
【0079】
4−2 ディスク装填時の処理例(A)〜(C)
ディスク90が記録再生装置に装填された後における、レーザパワー設定に関する各種処理例(A)(B)(C)を、図12、図13、図14でそれぞれ説明する。
【0080】
[処理例(A)]
図12は処理例(A)として、ディスク90が装填された後のシステムコントローラ10の処理を示している。
【0081】
ディスク90が装填されると、システムコントローラ10はまずステップF201として、そのディスク90の種別やライトプロテクト状況を判別し、記録可能なディスクであるか否かを確認する。
例えばCD−ROM、DVD−ROMなどの再生専用ディスクであった場合や、オーバーライト可能なディスクであっても、ライトプロテクトがかけられているディスクであった場合は、そのディスクに対して記録動作が行われることはなく、従ってOPC処理も必要ないため、再生のみを対象とした通常処理に移る。
【0082】
記録可能なディスクであった場合は、ステップF202でDOW特性安定化処理の必要性を判断し、必要であればステップF203で例えば上述したようなDOW特性安定化処理を行う。
必要でない場合とは、工場出荷前にすでにDOW特性安定化処理が施されている場合や、そのディスクに対する最初のフォーマット時にDOW特性安定化処理を施した場合である。さらには、後述するようにOPC処理の直前にDOW特性安定化処理を実行する場合も、ここではDOW特性安定化処理を実行する必要はない。
なお従って、ディスク装填の際にまずDOW特性安定化処理を実行するという動作方式が採用されていなければ、このステップF202,F203の処理自体が不要となる。このため図12の処理として括弧を付したステップF202,F203が存在しない処理例も考えられる(これは後述する図13、図14でも同様)。
【0083】
また、装填されたディスクが過去において記録再生装置に装填されたときにDOW特性安定化処理が実行された場合も、改めてDOW特性安定化処理を行う必要はない。
【0084】
この図12以降で説明していく各種処理例において、予めこの点を整理しておくと次のようになる。
ディスク90が工場出荷前、もしくは記録再生装置で最初にフォーマットされる時点でDOW特性安定化がドライブテストゾーンの全域に対して必ず実行されることとした場合は、図12、図13、図14、及び図16、図17に示されるDOW特性安定化処理は全て不要である。
【0085】
出荷前やフォーマット時にDOW特性安定化が実行されないのであれば、例えば図12〜図14のように装填直後に必要に応じて(つまり過去に1度も実行されていなければ)実行することが考えられるが、上記のようにOPC処理の直前にDOW特性安定化処理を実行する場合は、装填直後のDOW特性安定化は不要である。逆に、OPC処理の直前にDOW特性安定化処理を実行しない場合には、図12〜図14のように装填直後に必要に応じて実行することとなる。
【0086】
ところで、例えば図12のステップF202などで、DOW特性安定化の必要性を判断する方法としては次のような方法が考えられる。
まず、ドライブテストゾーンに過去にまったく記録が行われていない未記録領域の存在を確認する方法がある。
或いは、DOW特性安定化を実行したら、その実行済のフラグ情報をディスクの所定のエリアに記録しておき、ステップF202等ではそのフラグを確認するという手法も考えられる。
さらに、後述するようにテストゾーン管理テーブルを記録するようにすれば、より詳細に(例えばドライブテストゾーン内のエリア毎に)DOW特性安定化の実行済の有無を確認できる。
これら各種の手法が考えられるが、具体的には、DOW特性安定化の実行タイミングや実行対象エリアなどの設定の事情に応じて決定されることになる。
【0087】
図12の処理では、ディスク装填後ステップF204に進んだら、通常処理となる。このステップF204でいう通常処理とは、記録動作以外の、例えばホストコンピュータ100との通信や、再生動作などをいう。
ステップF204での通常処理中に、記録動作要求、つまり装填後第1回目の記録動作がホストコンピュータ100から要求された場合は、システムコントローラ10はステップF205からF206に進み、まず記録時のためのフォーカスバイアス調整を実行させる。これは、図7(a)で述べたOPC処理前のフォーカスバイアス調整となる。
【0088】
続いてステップF207でOPC処理を実行し、最適な記録パワー、消去パワーを設定する。具体的なOPC処理例については各種の例があるため、それぞれ後述する。
そして、フォーカスバイアス調整及びOPC処理により最適なバイアス及びレーザパワーを設定したら、ステップF208としての通常処理に進む。ここでの通常処理とは、記録動作を含んで、ホストコンピュータ100からの指示に応じて実行される各種動作である。
そしてステップF206,F207の処理が行われたのは、ホストコンピュータ100からのライトコマンドに応じたものであるため、ステップF208ではまず要求された記録動作を実行する。
その記録動作が完了した後は、このステップF208において、ホストコンピュータ100の指示に応じて記録動作や再生動作を実行することになる。
【0089】
ところで、ステップF208の通常処理の段階で、ステップF209において所定時間の経過、又は所定値以上の温度変化が検出された場合は、再度ステップF204、F205のループに進み、記録動作要求が発生した時点でステップF206、F207のフォーカスバイアス調整及びOPC処理を行うことになる。
【0090】
後述するがOPC処理が実行された時点でシステムコントローラ10の内部タイマ10aがリセット/スタートされることで、システムコントローラ10は或るOPC処理後の経過時間を知ることができる。そして、そのカウントされている経過時間が所定時間以上となったら、その後記録が実行される場合は、フォーカスバイアス及びレーザパワーの再設定を行うようにしているものである。
また、システムコントローラ10は、温度センサ24からの装置内の温度値を監視しており、OPC処理が実行された時点で装置内温度を記憶するようにしており(後述)、その後のステップF208の通常処理中も温度の監視を続けることで、装置内温度がOPC処理時と比べて所定値以上変化したか否かを判断できるようにしている。そして所定値以上の温度変化があった場合は、再度ステップF204、F205のループに進み、記録動作要求が発生した時点でF206、F207のフォーカスバイアス調整及びOPC処理を行なってフォーカスバイアス及びレーザパワーの再設定を行うようにしている。
【0091】
以上のような処理例(A)によれば、次のような効果が得られる。
・DOW特性安定化後にOPC処理が行われることで、レーザパワー設定精度が向上される。
・フォーカスバイアス調整後にOPC処理が行われることで、レーザパワー設定精度が向上される。
・記録時のフォーカスバイアスも最適化されるため記録特性が向上する。
・装填後の初回の記録動作時の直前、もしくは所定時間経過後の記録動作時の直前、もしくは温度変化後の記録動作時の直前にOPC処理が行われることになるが、これは最低限必要な時のみにOPC処理が行われることを意味し、無駄なOPC処理が実行されない。つまりOPC処理が効率的に実行される。フォーカスバイアス調整も同様である。
・OPC処理後、所定時間を経過した後において再度記録動作が行われる場合には、再度フォーカスバイアス調整及びOPC処理が行われることで、経時変化に対応して常に最適なレーザパワー及びフォーカスバイアス状態で記録が実行でき、記録動作性能が安定する。
・OPC処理後、所定値以上の温度変化が確認され、その後において再度記録動作が行われる場合には、再度フォーカスバイアス調整及びOPC処理が行われることで、温度変化があってもそれに対応して常に最適なレーザパワー及びフォーカスバイアス状態で記録が実行でき、記録動作性能が安定する。
【0092】
[処理例(B)]
続いて図13で処理例(B)を説明する。
この処理例(B)では、ステップF301〜F305、及びステップF308,F309は、上記処理例(A)におけるステップF201〜F205、及びステップF208,F209と同様であるため重複説明を避ける。
処理例(A)と異なる点は、ステップF306のOPC処理及びステップF307のフォーカスバイアス調整に手順であり、即ちこの処理例(B)の場合は、ディスク装填後の最初の記録動作が実行される直前に(又は所定時間経過後もしくは所定値以上の温度変化が確認された後において記録動作が実行される直前に)、まずOPC処理を行って、その後にフォーカスバイアス調整を行うものとなる。つまり図7(b)の手順に沿った方式である。
【0093】
従って記録動作の開始直前には、まずステップF306でOPC処理を実行し、最適な記録パワー、消去パワーを設定する(具体的なOPC処理例については後述)。
そして、最適な記録パワー、消去パワーが判別された後で、ステップF307では、その最適な記録パワー、消去パワーを用いてフォーカスバイアス調整を行うことになる。
【0094】
このような処理例(B)によれば、次のような効果が得られる。
・処理例(A)と同様に、DOW特性安定化後にOPC処理が行われることで、レーザパワー設定精度が向上される。
・処理例(A)と同様に、記録時のフォーカスバイアスも最適化されるため記録特性が向上する。
・OPC処理後に最適レーザパワーでフォーカスバイアス調整が行われることで、フォーカスバイアスが、実際の記録動作時の状況に即した状態で調整され、記録時のフォーカスバイアスはより最適化されるため記録特性が向上する。
・処理例(A)と同様に、装填後の初回の記録動作時の直前、もしくは所定時間経過後の記録動作時の直前、もしくは温度変化後の記録動作時の直前にOPC処理が行われることになるが、これは最低限必要な時のみにOPC処理が行われることを意味し、無駄なOPC処理が実行されない。つまりOPC処理が効率的に実行される。フォーカスバイアス調整も同様である。
・処理例(A)と同様に、OPC処理後、所定時間を経過した後において再度記録動作が行われる場合には、再度フォーカスバイアス調整及びOPC処理が行われることで、経時変化に対応して常に最適なレーザパワー及びフォーカスバイアス状態で記録が実行でき、記録動作性能が安定する。
・処理例(A)と同様に、OPC処理後、所定値以上の温度変化が確認され、その後において再度記録動作が行われる場合には、再度フォーカスバイアス調整及びOPC処理が行われることで、温度変化があってもそれに対応して常に最適なレーザパワー及びフォーカスバイアス状態で記録が実行でき、記録動作性能が安定する。
【0095】
[処理例(C)]
続いて図14で処理例(C)を説明する。
この処理例(C)が上記処理例(A)(B)と大きく異なる点は、OPC処理やフォーカスバイアス調整が記録動作の直前でなく、基本的にはディスク装填時に実行されることである。
【0096】
ディスク90が装填されると、システムコントローラ10はまずステップF401として、そのディスク90の種別やライトプロテクト状況を判別し、記録可能なディスクであるか否かを確認する。
また記録可能なディスクであれば、ステップF402、F403で必要に応じてDOW特性安定化処理を行う。
ここまでは上記処理例(A)(B)と同様である。
【0097】
続いてステップF404に進むわけであるが、このステップF404に進むのはディスク装填直後の時点となる。
そしてステップF404でシステムコントローラ10は、記録時のためのフォーカスバイアス調整を実行させる。
【0098】
続いてステップF405でOPC処理を実行し、最適な記録パワー、消去パワーを設定する(具体的なOPC処理例は後述)。
そして、フォーカスバイアス調整及びOPC処理により最適なバイアス及びレーザパワーを設定したら、ステップF406としての通常処理に進む。ここでの通常処理とは、ホストコンピュータ100からの指示に応じて実行される各種動作、つまり記録、再生、消去、通信等の通常の全ての処理を意味している。
従ってステップF406,F407のループ期間においてホストコンピュータ100から記録要求が発せられた場合は、ステップF406で要求された記録動作を実行する。このとき、レーザパワー及びフォーカスバイアスは当然ながらそれより前の時点でステップF404,F405で設定された値とされる。
またもちろん、ステップF406,F407のループ期間においてホストコンピュータ100から再生動作要求があった場合は、ステップF406で再生動作が実行される。
【0099】
ところで、ステップF406の通常処理の段階で、ステップF407において所定時間の経過、又は所定値以上の温度変化が検出された場合は、再度ステップF404に進み、ステップF404,F405のフォーカスバイアス調整及びOPC処理を行うことになる。時間経過及び温度変化の監視方式は処理例(A)で説明した方式と同様である。
この点で上記処理例(A)(B)と異なるのは、上記処理例(A)(B)では、時間経過又は温度変化の検出後において、記録動作要求が発生された時点でフォーカスバイアス調整及びOPC処理を行うことに対し、この処理例(C)では、時間経過又は温度変化の検出があったら、その時点でフォーカスバイアス調整及びOPC処理を行うことにある。
【0100】
このような処理例(C)によれば、次のような効果が得られる。
・処理例(A)(B)と同様に、DOW特性安定化後にOPC処理が行われることで、レーザパワー設定精度が向上される。
・処理例(A)(B)と同様に、記録時のフォーカスバイアスも最適化されるため記録特性が向上する。
・処理例(A)と同様に、フォーカスバイアス調整後にOPC処理が行われることで、レーザパワー設定精度が向上される。
・装填直後、もしくは所定時間経過直後、もしくは温度変化検出直後にOPC処理が行われることになるため、記録動作が要求される時点では、既に最適なレーザパワー及びフォーカスバイアスが設定されていることになる。従って、記録動作要求に対して直ちに記録動作を開始することができ、レスポンスの良い記録動作を実現できる。
・OPC処理後、所定時間を経過した後において、再度フォーカスバイアス調整及びOPC処理が行われることで、経時変化に対応して常に最適なレーザパワー及びフォーカスバイアス状態で記録が実行でき、記録動作性能が安定する。
・OPC処理後、所定値以上の温度変化が確認された場合に、再度フォーカスバイアス調整及びOPC処理が行われることで、温度変化があってもそれに対応して常に最適なレーザパワー及びフォーカスバイアス状態で記録が実行でき、記録動作性能が安定する。
【0101】
なお、この処理例(C)はフォーカスバイアス調整後にOPC処理を行うという、図7(a)の手順に沿ったものであるが、図7(b)の手順に沿った処理例も考えられる。つまり、図14のステップF404とF405が逆になる処理例である。
その場合は、上記処理例(B)と同様に、OPC処理後に最適レーザパワーでフォーカスバイアス調整が行われることで、フォーカスバイアスが、実際の記録動作時の状況に即した状態で調整され、記録時のフォーカスバイアスはより最適化されるため記録特性が向上するという効果が得られる。
【0102】
4−3 OPC処理例(I)〜(III)
次に、各種OPC処理例として3つの処理例(I)(II)(III)をそれぞれ図15、図16、図17で説明する。このOPC処理例(I)〜(III)は、上記図12、図13、図14の各ディスク装填後の処理例において、ステップF207,F306,F405で実行されるOPC処理のバリエーションとなる。
【0103】
[処理例(I)]
図15はOPC処理例(I)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。この場合は、システムコントローラ10はまずステップF501としてOPC動作を行う。OPC動作とは、前述してきているように、ディスク90のドライブテストゾーンに対してレーザパワーを変化させながら試し書きを行い、その再生情報からジッター等を監視して最適な記録パワー、消去パワーを設定する動作であるが、この具体的な動作手順も各種の例が考えられるため、OPC動作例(1)〜(4)としてまとめて後述する。
【0104】
OPC動作により最適な記録パワー、消去パワーが設定されたら、ステップF502で、内部タイマ10aのリセット/スタートを行なう。つまりOPC動作からの経過時間のカウントを開始する。また、その時点で温度センサ24から得られる装置内温度を記憶する。
以上の処理を完了したら、OPC処理、つまり上記図12のステップF207、又は図13のステップF306、又は図14のステップF405の処理を終える。
【0105】
ステップF502でのタイマリセット/スタート及び装置内温度の記憶は、上述した図12のステップF209、又は図13のステップF309、又は図14のステップF407の判別のための処理となる。つまり上述したように、OPC処理後において所定時間が経過した場合、又は所定値以上の温度変化が検出された場合に、再度OPC処理及びフォーカスバイアス調整を実行できるようにするための処理となる。
【0106】
このようなOPC処理例(I)により、上記ディスク装填後の処理例(A)〜(C)の効果として説明したように、常に最適なレーザパワーで記録が実行できるという効果が実現される。
【0107】
[処理例(II)]
図16はOPC処理例(II)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。
この場合は、システムコントローラ10はまずステップF511として、ドライブテストゾーンに関してDOW特性安定化処理の必要があるか否かを判別する。
上述したように、DOW特性安定化処理の実行タイミングは各種考えられるが、このDOW特性安定化処理の実行タイミングを、OPC動作の直前に行うものと設定される場合は、この図16のようにOPC処理に進んだ時点で、DOW特性安定化処理の必要性を判断し、必要であればステップF512で上述したようなDOW特性安定化処理を行う。
OPC動作直前にこのような必要に応じたDOW特性安定化処理を行う処理手順を付加することの必要性、及びステップF511でのDOW特性安定化処理の必要性の判断方式は、上述したとおりである。
【0108】
必要に応じてDOW特性安定化処理が行われた後は、ステップF513としてOPC動作を行う(OPC動作例は後述)。
そしてOPC動作により最適な記録パワー、消去パワーが設定されたら、上記OPC処理例(I)と同様に、ステップF514で、内部タイマ10aのリセット/スタート、及び温度センサ24から得られる装置内温度の記憶を行なう。
以上の処理を完了したら、OPC処理、つまり上記図12のステップF207、又は図13のステップF306、又は図14のステップF405の処理を終える。
【0109】
このようなOPC処理例(II)により、上記ディスク装填後の処理例(A)〜(C)の効果として説明したように、常に最適なレーザパワーで記録が実行できるという効果が実現される。
また、このOPC処理においてOPC動作直前にDOW特性安定化処理が行われることは、製造工程やディスクフォーマット時、或いは、図12、図13、図14に示した時点でDOW特性安定化処理を行うことが不要となることを意味する。換言すれば、最低限必要なときのみDOW特性安定化処理が実行されるということになる。
【0110】
[処理例(III)]
図17はOPC処理例(III)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。
この処理例(III)は、上記処理例(II)と同様に、このOPC処理過程でDOW特性安定化を行うとともに、そのDOW特性安定化処理は、ドライブテストゾーンの一部、つまり実際に試し書きを行う使用エリアのみ(もしくは少なくともその使用エリアを含む一部の領域)に対して実行されるようにしたものである。
【0111】
まずステップF521では、システムコントローラ10は装填されているディスク90のドライブテストゾーンのうちで、実際にOPC動作において試し書きを行うエリア(以下「OPC使用エリア」という)を選択する。
なおこの選択処理については、処理例(イ)(ロ)(ハ)として後述する。
【0112】
そしてOPC使用エリアを選択したら、ステップF522で、その選択されたOPC使用エリアについてDOW特性安定化処理の必要があるか否かを判別する。つまりここでは、ドライブテストゾーン内の一部であるOPC使用エリアのみを対象として、既にDOW特性が安定化されているか否かを確認することとなる。そして必要であればステップF523で、その選択されたOPC使用エリアのみについて(もしくは少なくとも選択されたOPC使用エリアを含むテストゾーン内の一部の領域について)、DOW特性安定化処理を行う。
OPC動作直前にこのような必要に応じたDOW特性安定化処理を行う処理手順を付加することの必要性、及びステップF522でのOPC使用エリアのDOW特性安定化処理の必要性の判断方式は、上述したとおりである。
【0113】
必要に応じて少なくともOPC使用エリアについてDOW特性安定化処理が行われた後は、ステップF524としてOPC動作を行う(OPC動作例は後述)。
そしてOPC動作により最適な記録パワー、消去パワーが設定されたら、上記OPC処理例(I)(II)と同様に、ステップF525で、内部タイマ10aのリセット/スタート、及び温度センサ24から得られる装置内温度の記憶を行なう。
以上の処理を完了したら、OPC処理、つまり上記図12のステップF207、又は図13のステップF306、又は図14のステップF405の処理を終える。
【0114】
このようなOPC処理例(III)により、上記ディスク装填後の処理例(A)〜(C)の効果として説明したように、常に最適なレーザパワーで記録が実行できるという効果が実現される。
またOPC処理例(II)と同様に、このOPC処理においてOPC動作直前にDOW特性安定化処理が行われることは、製造工程やディスクフォーマット時、或いは、図12、図13、図14に示した時点でDOW特性安定化処理を行うことが不要となることを意味する。つまり最低限必要な時のみDOW特性安定化処理が行われる。
さらにこの場合は、DOW特性安定化処理は、最低限必要なエリア、つまりOPC使用エリアに対して行われるものとなるため、DOW特性安定化処理における複数回のオーバーライト動作の時間がかなり短縮できることになり、最も効率的な動作となる。
【0115】
4−4 OPC使用エリア選択処理例(イ)〜(ハ)
上記図17のOPC処理例(III)が採用される場合は、そのステップF521としてOPC使用エリアの選択処理が必要になる。このステップF521でのOPC使用エリア選択処理として処理例(イ)(ロ)(ハ)を図18、図20、図21に示し、また図19、図21、図22を利用して説明する。
【0116】
[処理例(イ)]
図18はOPC使用エリア選択処理例(イ)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。
OPC使用エリアを選択する際には、まずシステムコントローラ10はステップF601として、試し書きを実行するセクター数を変数SNとしてセットする。試し書きに用いるセクター数は、実行するOPC動作方式(後述)により予めわかるものである。
【0117】
続いてステップF602で、ドライブテストゾーンの開始セクターのアドレスを変数SAにセットし、またドライブテストゾーンの終了セクターの次のアドレスより変数SNだけ前のアドレスを変数SEにセットする。
【0118】
そしてステップF603で、セクターアドレスSA〜セクターアドレスSEの間のアドレスとして、ランダムに或るセクターアドレスを選択し、選択したアドレスを変数USとする。
そしてステップF604で、セクターアドレスUSからセクターアドレス(US+SN)までの範囲を、OPC使用エリアと設定する。
【0119】
このOPC使用エリア選択処理例(イ)を模式的に示すと図19のようになる。例えばインナードライブテストゾーンの一部をOPC使用エリアとする場合、図示するように変数SA=「30600h」、変数SE=「30C80h−SN」となる(図2参照)。なおインナードライブテストゾーン内を区切っている破線はセクター単位の区切りであるとする。
【0120】
そしてアドレスSA〜SEの範囲でランダムに或るアドレスを選択してアドレスUSとする際に、選択されたアドレスが図示するアドレスUS(1)であったとすると、このアドレスUS(1)〜アドレス(US(1)+SN)がOPC使用エリアとなる。
また、例えば選択されたアドレスが図示するアドレスUS(2)であったとすると、アドレスUS(2)〜アドレス(US(2)+SN)がOPC使用エリアとなる。
【0121】
このように、OPC使用エリア選択処理例(イ)では、選択処理が行われる毎に、OPC使用エリアがドライブテストゾーンの範囲内でランダムに設定されることになる。
そして上述した図17のOPC処理例(III)では、このようにして選択されたOPC使用エリアに対して、必要に応じてDOW特性安定化処理を行った後、OPC動作を実行する。
【0122】
このOPC使用エリア選択処理例(イ)により、OPC動作において試し書きが行われるエリアが、OPC動作毎に変更されることになるため、OPC動作の毎に同じエリアばかりが試し書きされ、その部分が集中的に劣化が進行してしまうということを避けることができる。
【0123】
[処理例(ロ)]
図20はOPC使用エリア選択処理例(ロ)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。
この例も、OPC処理が行われる度に、OPC使用エリアがランダムに選択されるものであるが、あらかじめドライブテストゾーン内でエリアを分割設定している方式となる。
【0124】
例えば図23(a)のように、インナードライブテストゾーンを複数のエリアAR1〜AR(n)に分割設定しておく。各エリアは、例えば、1回のOPC動作で試し書きが行われるセクター数以上のエリア長とする。
またディスク90上には、例えば図23(b)に示すようなテストゾーン管理テーブルを記録し、システムコントローラ10はこれを読み出してテーブル内容を確認できるようにする。
【0125】
テストゾーン管理テーブルは、各エリアAR1〜AR(n)についての情報を記録するものとし、例えば図示するように過去の試し書き回数(OPC動作に利用された総回数)を記録するようにする。さらに、図23(a)のようにドライブテストゾーンの一部に傷や汚れなどのディフェクト部分DFAが存在した場合は、図23(b)のようにそのディフェクトが存在するエリアの情報を、「Defect」として欠陥部分を含む領域である(つまりOPC使用エリアとして不適切なエリアである)ことが判別できるようにしても良い。
【0126】
このようなテストゾーン管理テーブルは、一例としては、図22に示すディスクコントロールECCブロックとしてのエリアを利用してディスク90に書き込む。
このディスクコントロールECCブロックは、図2に示したインナー及びアウターのディスクアイデンティフィケーションゾーン内に記録されるブロックであり、図22に示すように16セクター(セクター0〜セクター15)のブロックとして記録内容が定義されている。
詳しい記録内容については本発明と直接関係しないため説明を省略するが、図22からわかるように、ディスクコントロールECCブロックのセクター0のバイトポジションD40〜D2048、及びセクター1〜15の全バイトポジションはリザーブ(予備)とされている。そこで、この領域を利用すれば、ディスク90にテストゾーン管理テーブルを書き込むことができる。
【0127】
このようなテストゾーン管理テーブルをディスク90に記録するようにし、システムコントローラ10がそれを参照することで、図20のようなOPC使用エリア選択処理が可能となる。
まずシステムコントローラ10は、ステップF611として、テストゾーン管理テーブルに管理されている各エリアAR1〜AR(n)の中で、或る1つのエリアをランダムに選択する。
続いてステップF612では、選択したエリアのテーブルデータを確認し、そのエリアがディフェクトを含むエリアであるか否かを確認する。
もしディフェクトを含むエリアであれば、ステップF611に戻って再度エリアをランダムに選択する。
【0128】
ランダムに選択したエリアがディフェクトを含むエリアでなければ、ステップF613に進んで、その選択したエリアをOPC使用エリアとして設定する。
【0129】
このように、OPC使用エリア選択処理例(ロ)では、選択処理が行われる毎に、OPC使用エリアがドライブテストゾーンの範囲内でランダムに設定され、上述した図17のOPC処理例(III)では、このようにして選択されたOPC使用エリアに対して、必要に応じてDOW特性安定化処理を行った後、OPC動作を実行する。
【0130】
このOPC使用エリア選択処理例(ロ)により、OPC動作において試し書きが行われるエリアが、OPC動作毎に変更されることになるため、OPC動作の毎に同じエリアばかりが試し書きされ、その部分が集中的に劣化が進行してしまうということを避けることができる。
さらにこの場合は、ディフェクトを含むエリアがOPC使用領域となることが回避されるため、OPC動作の精度を向上させることができる。(なおディフェクトのOPC動作への影響、及びこれ以外のディフェクトキャンセル方式については後述する)
【0131】
なお、上述した図17のOPC処理例(III)では述べなかったが、このOPC使用エリア選択処理例(ロ)、及び次に説明するOPC使用エリア選択処理例(ハ)が採用される場合は、OPC動作やディフェクトの発見などに応じてディスク90上のテストゾーン管理テーブルが更新されていく必要がある。
このため例えば図17でステップF524のOPC動作が行われた後の或る時点で、使用されたエリアに対応する試し書き回数が更新されるように、テストゾーン管理テーブルが書き換えられる。
また、DOW特性安定化処理時や、OPC動作時において或るエリアでディフェクトが発見される場合もあるが、その様な場合も、そのエリアがディフェクトエリアとされるように、テストゾーン管理テーブルが書き換えられることになる。なお、各エリアAR1〜AR(n)がディフェクトエリアであるか否かの情報は、例えばディスク上のDMA(ディフェクトマネージメントエリア:図2参照)から得、それに応じてテストゾーン管理テーブルを作成又は更新するようにしても良い。
【0132】
ところで、図20の処理例(ロ)においては、OPC使用エリアとされるのは必ずしも1つのエリアとは限らない。1つのエリアのエリア長の設定及びOPC動作で試し書きを行うのに必要なエリア長に設定によるものとなるが、OPC使用エリアとして、エリアAR1〜AR(n)のうちの複数が必要になる場合もあり得る。その場合は、ランダムに選択した1つのエリアを起点として、物理的に連続する必要数のエリアをOPC使用エリアとしても良いし、特に物理的な連続性を考慮しない場合は、必要数のエリアをそれぞれランダムに選択して、それらをOPC使用エリアとしても良い。
【0133】
[処理例(ハ)]
図21はOPC使用エリア選択処理例(ハ)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。
この例も、OPC処理が行われる度に、異なるOPC使用エリアが選択されるものであるが、その選択はランダムなものとはせずに、上記テストゾーン管理テーブルを参照して好適なエリアを選択するものである。
【0134】
まずシステムコントローラ10は、ステップF621として、テストゾーン管理テーブルに管理されている各エリアAR1〜AR(n)について、ディフェクトが存在すると記されているエリアを除いて、過去の試し書き回数が最小のエリアを抽出する。
ここで、OPC使用エリアとして必要なエリアがエリアAR1〜AR(n)の内の1つであるとした場合は、ステップF622で試し書き回数が最小となるエリア(抽出エリア)が複数個存在したら、ステップF623で、その中の1つをランダムに選択する。
そしてステップF624で、抽出エリア(もしくはステップF623で選択されたエリア)を、OPC使用エリアとして設定する。
【0135】
このように、OPC使用エリア選択処理例(ハ)では、選択処理が行われる毎に、過去の試し書き回数が最小回数のエリアがOPC使用エリアとして設定されるため、OPC動作の毎に同じエリアばかりが試し書きされ、或るエリアが集中的に使用されて劣化が進行してしまうということを避けることができる。また、ランダムな選択に比べて効率よく、満遍なく各エリアが使用されるという利点もある。
もちろんこの場合も、ディフェクトを含むエリアがOPC使用領域となることが回避されるため、OPC動作の精度を向上させることができる。
【0136】
なお、複数のエリアをOPC使用エリアとする場合は、ステップF621で試し書き回数が少ない方から必要数のエリアが抽出されることになる。そして、過去の試し書き回数が同数となるエリアの存在などにより、その抽出の結果として必要数より多いエリアが抽出された場合は、ステップF623の処理が行われるようにすればよい。
【0137】
以上、OPC使用エリア判別処理例(イ)(ロ)(ハ)について述べたが、これらのOPC使用エリア判別処理は、必ずしも上述した図17のOPC処理例(III)が採用される場合のみに実行されるものではない。
例えば図17の変形例として、ステップF522、F523が存在しない処理例も考えられるが、そのような場合にも、OPC使用エリア判別処理例(イ)(ロ)(ハ)のいずれかが実行されることもあり得る。
【0138】
また上述したテストゾーン管理テーブルは、OPC使用エリアの判別だけでなく、図17のステップF522や、図12〜図14にあげた、DOW特性安定化処理の必要性の判断に用いることもできる。
即ち試し書き回数が記述されていることから、各エリア(或いはテストゾーン全体として)のDOW安定化状況を判断できるためである。
【0139】
4−5 ディフェクトキャンセル方式
具体的なOPC動作例については後述することになるが、OPC動作の実行時には、試し書きを行った部分の再生情報からジッター/エラーレート、及びアシンメトリ値の検出を行って、最適なレーザパワーを判断することになる。
このとき、試し書きを行った部分にディフェクトが存在すると、ジッター/エラーレート、及びアシンメトリ値が正確に検出できないものとなり、ひいては最適なレーザーパワーの判別に悪影響を与えてしまう。
【0140】
図24はRF信号へのディフェクトの影響を示している。例えばディフェクトがない部分の再生RF信号が図24(a)のように観測されることに比べて、ディフェクトが存在する部分では、図24(b)のようにRF信号波形のエンベロープが大きく変動する。これによってジッターやアシンメトリ値が不正確に検出されてしまう。
このため、OPC動作時には、ディフェクト部分において試し書きを行うことを避けるか、もしくはディフェクト部分で試し書きを行ったとしても、ジッターやアシンメトリ値の算出の際に、そのディフェクト部分からの再生情報を排除する必要がある。なお本例ではこれらの動作をまとめてディフェクトキャンセルと呼ぶこととする。
【0141】
ディフェクトキャンセル方式の1つとして、ディフェクト部分において試し書きを行うことを避けるようにする方式は、上記図20、図21のOPC使用エリア選択処理例(ロ)(ハ)で述べた方式である。
つまり予めディフェクト部分を避けてOPC動作を行うようにすることで、ディフェクトキャンセルが達成される。
【0142】
一方、OPC動作中でのディフェクトキャンセル方式としては、試し書き下部分を再生する際に、ディフェクト部分の再生情報を、ジッタやアシンメトリの算出のためのサンプルから排除する方式が考えられる。以下、このような方式としての各種の例を説明していく。
【0143】
図25に、図3に示した検出部23の構成例(構成例(α))を示す。
この構成例(α)では、検出部23は、ディフェクト検出回路31、スイッチ32、ジッタ検出回路(又はエラーレート検出回路:以下同様)33、アシンメトリ検出回路34が設けられている。
そしてRFアンプ9から出力されるRF信号はディフェクト検出回路31及びスイッチ32の各端子に供給される。またスイッチ32の各端子はそれぞれジッタ検出回路33及びアシンメトリ検出回路34に接続される。
【0144】
ジッタ検出回路33は、スイッチ32を介して供給されたRF信号について、所要期間のサンプルを取り込み、RF信号のジッター(又はエラーレート)を計測してその結果をジッター(又はエラーレート)の検出値DJとしてシステムコントローラ10に供給する。
またアシンメトリ検出回路34は、スイッチ32を介して供給されたRF信号について、所要期間のサンプルを取り込み、RF信号のアシンメトリ値を計測してその結果を検出値DASとしてシステムコントローラ10に供給する。
【0145】
システムコントローラ10は、後にOPC動作の説明で述べるように、このようにして供給される検出値DJ,DASから、各レーザパワーにおける信号品質をチェックし、最適なレーザパワーを判別することになる。
【0146】
ここで、ディフェクト検出回路31は、RF信号上でのディフェクトの影響があらわれている期間を検出し、ディフェクト検出信号DFをスイッチ32に対して出力する。
即ちディフェクト検出回路31には、図24(b)のようにRF信号振幅に対する所定のスレッショルド値Refが設定されており、入力されてくるRF信号とスレッショルド値Refを比較することで、図24(c)のようなディフェクト検出信号DFを発生させる。
そしてスイッチ32は、ディフェクト検出信号DFがオンとなった期間は、各接点を開き、その期間はRF信号がジッタ検出回路33及びアシンメトリ検出回路34に供給されないようにする。
【0147】
即ち検出部23がこのように構成されることで、ジッタ検出回路33及びアシンメトリ検出回路34にはディフェクトの影響があらわれた期間のRF信号は供給されず、従って検出値DJ、DASには、ディフェクトの影響はあらわれないことになる。これによってシステムコントローラ10は検出値DJ、DASにより正しく信号品質をチェックできることになり、ハードウエア的なディフェクトキャンセルが実現される。
【0148】
同じく、ディフェクトキャンセルを実現するための検出部23の構成例(構成例(β))を図26に示す。
この構成例(β)では、検出部23は、ディフェクト検出回路31、ジッタ検出回路(又はエラーレート検出回路:以下同様)33、アシンメトリ検出回路34が設けられている。
そしてRFアンプ9から出力されるRF信号はディフェクト検出回路31、ジッタ検出回路33、アシンメトリ検出回路34のそれぞれに供給される。ディフェクト検出回路31、ジッタ検出回路33、アシンメトリ検出回路34の動作は上記構成例αの場合と同様であり、所要の信号処理により、それぞれディフェクト検出信号DF、検出値DJ、検出値DASを出力する。そしてこの例の場合は、ディフェクト検出信号DF、検出値DJ、検出値DASが、システムコントローラ10に供給される。
【0149】
この構成例(β)の場合は、検出部23においてハードウエア的にディフェクトキャンセルを実現するのではなく、システムコントローラ10側でソフトウエア的にディフェクトキャンセルを行うものである。
このため、検出部23からディフェクト検出信号DF、検出値DJ、検出値DASが供給され、これを取り込む際の処理として、システムコントローラ10は図27のような処理(処理(β−1))を行う。
【0150】
つまり、検出値DJ又はDASが供給され、1つのサンプルとして取り込まれるタイミングとなる毎に、処理をステップF701からF702に進め、そのときディフェクト検出信号DFがオンとなっているか否かを確認する。
そしてディフェクト検出信号DFがオフであれば、ステップF703に進んで、供給された検出値DJ又はDASを信号品質のチェックのための計算用サンプルとして記憶する。ところがディフェクト検出信号DFがオンであった場合は、ステップF703には進まず、つまりその時点で供給された検出値DJ又はDASは計算用サンプルとはしないようにする。
【0151】
このような処理(β−1)により、システムコントローラ10は、供給される検出値DJ,DASのうちで、ディフェクトの影響があらわれた期間の検出値DJ,DASを計算対象から排除することになり、ソフトウエア的なディフェクトキャンセルが実現される。
なお、実際には、ジッタ検出回路33やアシンメトリ検出回路34の処理方式などの影響で、ディフェクト検出信号DFがオンになるタイミングと、ディフェクトの影響があらわれた検出値DJ又はDASが供給されるタイミングがずれることがあり得るため、システムコントローラ10はステップF702の判断で、そのタイミングのずれを考慮する必要がある。
【0152】
ところで、図26の構成例βのように、ディフェクト検出信号DFがシステムコントローラ10に供給されるようにした場合、システムコントローラ10が予めドライブテストゾーン内のディフェクト部分を検査し、それを記憶しておくことができる。
つまり、例えばOPC動作に先立って、ある時点でドライブテストゾーンの再生を行ないながらディフェクト検出信号DFを監視し、ディフェクトが存在したら、そのアドレスを内部RAMなどに記憶しておくことができる。
【0153】
その様な動作方式を採用する場合は、図28の処理例(β−2)によっても、ソフトウエア的なディフェクトキャンセルが可能となる。
つまり、検出値DJ又はDASが供給され、1つのサンプルとして取り込まれるタイミングとなる毎に、処理をステップF711からF712に進め、そのときの検出値DJ又はDASの計算対象となったRF信号の再生エリアのアドレスを確認する。そして、その再生エリアのアドレスが、記憶しておいたディフェクト部分のアドレスであるか否かを判別する。
【0154】
そしてディフェクト部分のアドレスでなければ、ステップF713に進んで、供給された検出値DJ又はDASを信号品質のチェックのための計算用サンプルとして記憶する。一方、ディフェクト部分のアドレスであった場合は、ステップF713には進まず、つまりその時点で供給された検出値DJ又はDASは計算用サンプルとはしないようにする。
【0155】
このような処理例(β−2)により、システムコントローラ10は、供給される検出値DJ,DASのうちで、ディフェクトの影響があらわれた期間の検出値DJ,DASを計算対象から排除することになり、ソフトウエア的なディフェクトキャンセルが実現される。
【0156】
ところで、この処理例(β−2)によるディフェクトキャンセルのためには、予めディフェクト部分のアドレスが確認されていることが必要になる。このため1つの方法として、上記のようにあらかじめディフェクト検出を行うわけであるが、このディフェクト検出処理は、例えばDOW特性安定化処理の際に実行してしまうことで、一連の動作を効率化できる。
なお、例えば1回オーバーライトを行ってからその部分を再生してディフェクト検出を行う場合は、DCデータによる記録又は消去(つまり継続マークの記録、又は継続スペースの記録)を行うとディフェクトの影響がRF信号にはっきりあらわれ、ディフェクト検出精度が向上するため好適である。
【0157】
但し、このように予めディフェクト検出を行うことは不要とすることもできる。
例えば図2に示したDMAゾーンには、ディスク上のディフェクトセクターの情報が記述されているため、このDMAゾーンのデータを確認すれば、システムコントローラ10はディフェクト部分のアドレスを知ることができ、図28の処理が可能となる。
また上述したようにテストゾーン管理テーブルが存在する場合は、そのテーブル情報からディフェクトエリアが確認でき、これによっても図28の処理が可能となる。
【0158】
なお図25、図26の構成例(α)(β)において、ジッタ検出回路33に対してシステムコントローラ10から供給される制御信号J/Eを示した。
上述したように、OPC動作時には、ジッターとアシンメトリ値を監視するか、もしくはエラーレートとアシンメトリ値を監視するかを選択できるようにすることもできるが、その場合は、ジッタ検出回路33に対してシステムコントローラ10が制御信号J/Eにより、検出値DJをジッターの検出値とするか、エラーレートの検出値とするかを指示することになる。
制御信号J/Eは、動作モード状態やホストコンピュータの指示、或いはユーザーの指示などに応じてシステムコントローラ10が発生させる。
【0159】
4−6 OPC動作例(1)〜(4)
続いて本例のOPC動作例としてOPC動作例(1)〜(4)をそれぞれ説明していく。
以下に述べる各種のOPC動作例はそれぞれ、図15、図16、図17で説明したOPC処理例(I)(II)(III)におけるステップF501、又はF513、又はF524のOPC動作の具体的な処理として採用できる例である。
つまり、ディスク90のドライブテストゾーンに対してレーザパワー(記録パワーPw及び消去パワーPe)を変化させながら試し書き記録を行い、それを再生してジッター/エラーレート、及びアシンメトリ値を監視して、最適な記録パワーPw、消去パワーPeを判別するための具体的処理例である。
【0160】
[OPC動作例(1)]
図29はOPC動作例(1)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。
OPC動作に際しては、システムコントローラ10はまずステップF801で、OPC使用エリア(OPC使用エリアとしては前述してきたようにドライブテストゾーンの一部の領域の場合もあるし、ドライブテストゾーンの全域とする場合もある)に対して、記録パワーPwを或る初期設定値に固定したうえで、消去パワーPeを複数段階に順次切り換えながら試し書きを実行させる。
なお、このステップF801や、後述するステップF803、或いはOPC動作例(2)〜(4)で実行する試し書きの際の記録データやレーザパワー切換態様については、具体例を後述する。
【0161】
即ちステップF801の処理により、或る1つの記録パワーPwに対して、複数の消去パワーPeによる試し書きが実行される。例えば記録パワーPw=Pw1と固定し、消去パワーPeをPe1,Pe2・・・と変更するとすると、記録パワーと消去パワーの組み合わせとして、(Pw1、Pe1)(Pw1、Pe2)(Pw1、Pe3)・・・の各状態で、それぞれ図4、図5で説明したようなレーザドライブパルスが生成され、試し書きが行われることになる。
【0162】
この試し書きが完了したら、ステップF802で、システムコントローラ10は、その試し書き部分の再生を指示するとともに、その再生時に検出部23からのジッター(又はエラーレート;以下同様)の検出値DJを取り込んでいく。つまり、例えば(Pw1、Pe1)で記録した部分での検出値DJ、(Pw1、Pe2)で記録した部分での検出値DJ、(Pw1、Pe3)で記録した部分での検出値DJ・・・・をそれぞれ確認する。
これにより、試し書きを行った各種の記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせにおいて、ジッターが最小となる組み合わせが判別できる。
そしてジッター最小の組み合わせにおける、記録パワーPwと消去パワーPeの比(Pe/Pw)を算出する。つまり試し書きを行った組み合わせの中で、ジッターが最小となる組み合わせが(Pw1、Pe(m))であったとすると、最適比(Pe/Pw)=(Pe(m)/Pw1)として計算される。
【0163】
次にステップF803では、記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせとして、上記最適比(Pe/Pw)が保たれる組み合わせを数種類設定し、OPC使用エリアに対して各組み合わせのレーザパワーでの試し書きを実行させる。
そしてその試し書きが完了したら、ステップF804で、その試し書き部分の再生を指示するとともに、その再生時に検出部23からのアシンメトリの検出値DASを取り込んでいく。
これによりステップF803で試し書きを行った各種の記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせにおいて、アシンメトリ値が最も適切となる組み合わせが判別できる。なお図6の説明で述べたようにアシンメトリ値は例えば0.04を最適とし、ここでは検出値DAS=0.04となっている組み合わせ、もしくは検出値DASが0.04に最も近い値となる組み合わせを選ぶことになる。
【0164】
この時点でアシンメトリ値が最も適切となる組み合わせが判別できたら、その組み合わせはジッターが最小かつアシンメトリ値が最適な記録パワーPwと消去パワーPeとして判別できたことになる。
これによりステップF805で、その組み合わせにおける記録パワーPwと消去パワーPeを、実際に記録動作に用いる記録パワーPw、消去パワーPeとして設定する。つまりその記録パワーPw、消去パワーPeの値を、オートパワーコントロール回路19にセットする。
これにより、OPC動作が完了される。
【0165】
つまりこのようなOPC動作例(1)によれば、記録パワーPwを固定して消去パワーPeを変化させながら試し書きを行って最適比を見つけ、その後、最適比が保たれる組み合わせとして記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせを数種類設定して試し書きを行ってアシンメトリ値が最適となる組み合わせを見つけることで、最適な記録パワーPwと消去パワーPeを判別し、設定することになる。
このため、試し書きを行う記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせの数はさほど多数にはならず、従って短時間でOPC動作が完了できるとともに、その最適パワーとして非常に高精度に記録パワーPwと消去パワーPeを設定できることになる。
【0166】
[OPC動作例(2)]
次に図30でOPC動作例(2)としてのシステムコントローラ10の処理を述べる。
なお、このOPC動作例(2)におけるステップF811、F812は、上記OPC動作例(1)のステップF801、F802と同様であるため説明を省略する。即ちこの場合も、まず記録パワーPwと消去パワーPeの最適な比を求めることは同様である。
【0167】
この例の場合は、最適比が検出されたら、次にステップF813として、消去パワーPeを或る値に固定したうえで、記録パワーPwを変化させながら試し書きを行う。例えば消去パワーPe=PeZと固定し、記録パワーPwをPw1,Pw2・・・と変更するとすると、記録パワーと消去パワーの組み合わせとして、(Pw1、PeZ)(Pw2、PeZ)(Pw3、PeZ)・・・の各状態で、それぞれ図4、図5で説明したようなレーザドライブパルスが生成され、試し書きが行われることになる。
【0168】
そしてその試し書きが完了したら、ステップF814で、その試し書き部分の再生を指示するとともに、その再生時に検出部23からのアシンメトリの検出値DASを取り込んでいく。
これによりステップF813での試し書きにおいて変化させた各種の記録パワーPwの中で、アシンメトリ値が最も適切となる記録パワーPw、つまり最適な記録パワーPwが判別できる。
【0169】
次にステップF815で、最適な記録パワーPwに対して、上記ステップF802で検出した比(Pe/Pw)から、最適な消去パワーPeの候補となる範囲(好適範囲)を算出する。
つまり、最適な記録パワーPwに対して比(Pe/Pw)を乗算することで、或る消去パワーPeが求められるが、例えばこの算出された消去パワーを中心として或る程度狭いパワー可変範囲を、消去パワーPeの好適範囲とする。
【0170】
そしてステップF816で、記録パワーPwを最適値(PwSとする)に固定したうえで、消去パワーPeを好適範囲内で変化させながら試し書きを行う。例えば好適範囲内の消去パワーPeをPeS1,PeS2・・・とすると、記録パワーと消去パワーの組み合わせとして、(PwS、PeS1)(PwS、PeS2)(PwS、PeS3)・・・の各状態で、それぞれ図4、図5で説明したようなレーザドライブパルスが生成され、試し書きが行われることになる。
【0171】
そしてその試し書きが完了したら、ステップF817で、その試し書き部分の再生を指示するとともに、その再生時に検出部23からのアシンメトリの検出値DASを取り込んでいく。
これによりステップF816での試し書きにおいて変化させた各種の消去パワーPeの中で、アシンメトリ値が最も適切となる消去パワーPe、つまり最適な消去パワーPeが判別できる。
【0172】
この時点でジッターが最小かつアシンメトリ値が最適な記録パワーPwと消去パワーPeが判別できたことになり、ステップF818で、その記録パワーPwと消去パワーPeを、実際に記録動作に用いる記録パワーPw、消去パワーPeとしてオートパワーコントロール回路19にセットする。
これにより、OPC動作が完了される。
【0173】
つまりこのOPC動作例(2)によれば、記録パワーPwを固定して消去パワーPeを変化させながら試し書きを行って最適比を見つけ、その後、最適な記録パワーを見つける。さらに最適な記録パワーと比から消去パワーの好適範囲を算出して、その好適範囲内で消去パワーを変化させながら試し書きを行って、最適な消去パワーを見つけることで、最適な記録パワーPwと消去パワーPeを判別し、設定することになる。
このため、試し書きを行う記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせの数はさほど多数にはならず、従って短時間でOPC動作が完了できるとともに、その最適パワーとして非常に高精度に記録パワーPwと消去パワーPeを設定できることになる。
なお、最適比検出後に最適記録パワーの検出のための試し書きと、最適消去パワーのための試し書きを別々に行うため、試し書き回数が増えることが考えられるが、最適消去パワーのための試し書きはレーザパワー可変範囲が好適範囲内に絞られるため、さほど大幅に試し書き回数が増えるものではない。
【0174】
[OPC動作例(3)]
図31はOPC動作例(3)としてのシステムコントローラ10の処理を示している。
この場合、OPC動作に際しては、システムコントローラ10はまずステップF821で、OPC使用エリアに対して、記録パワーPwを或る初期設定値Pw1に固定したうえで、消去パワーPeを複数段階に順次切り換えながら試し書きを実行させる。例えば記録パワーと消去パワーの組み合わせとして、(Pw1、Pe1)(Pw1、Pe2)(Pw1、Pe3)・・・の各状態で、それぞれ試し書きが行われる。
【0175】
そしてステップF822で、その試し書き部分の再生を指示し、その再生時に検出部23からのジッターの検出値DJを取り込んでいく。これにより、消去パワーを変化させた各種の記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせにおいて、ジッターが最小となる組み合わせが判別できる。ジッターが最小となった時の消去パワーPe=PeS1とすると、(Pw1、PeS1)という組み合わせを検出することになる。
【0176】
次にステップF823で、今度は記録パワーPwを異なる或る設定値Pw2に固定したうえで、消去パワーPeを複数段階に順次切り換えながら試し書きを実行させる。例えば記録パワーと消去パワーの組み合わせとして、(Pw2、Pe1)(Pw2、Pe2)(Pw2、Pe3)・・・の各状態で、それぞれ試し書きが行われる。
【0177】
そしてステップF824で、その試し書き部分の再生を指示し、その再生時に検出部23からのジッターの検出値DJを取り込んでいく。これにより、消去パワーを変化させた各種の記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせにおいて、ジッターが最小となる組み合わせが判別できる。ジッターが最小となった時の消去パワーPe=PeS2とすると、(Pw2、PeS2)という組み合わせを検出することになる。
【0178】
以上の処理で、ジッター最小となる2組のレーザパワー(Pw1、PeS1)(Pw2、PeS2)が見つけられたことになるが、ステップF825では、この2組の値からジッター最小となる組み合わせの近似式Pw=a・Pe+bを算出する。
つまり、(Pw1)=a(PeS1)+b、及び(Pw2)=a(PeS2)+bの式から「a」「b」の値を求め、近似式Pw=a・Pe+bを得る。
【0179】
この近似式は、記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせとして、ジッターが最小となる各種の組み合わせを示すものとなる。
そこで次にステップF826では、記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせとして、上記近似式が保たれる組み合わせを数種類設定し、OPC使用エリアに対して各組み合わせのレーザパワーでの試し書きを実行させる。
そしてその試し書きが完了したら、ステップF827で、その試し書き部分の再生を指示するとともに、その再生時に検出部23からのアシンメトリの検出値DASを取り込んでいく。
これによりステップF826で試し書きを行った各種の記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせにおいて、アシンメトリ値が最も適切となる組み合わせが判別できる。
【0180】
この時点でアシンメトリ値が最も適切となる組み合わせが判別できたら、その組み合わせはジッターが最小かつアシンメトリ値が最適な記録パワーPwと消去パワーPeとして判別できたことになる。
これによりステップF828で、その組み合わせにおける記録パワーPwと消去パワーPeを、実際に記録動作に用いる記録パワーPw、消去パワーPeとしてオートパワーコントロール回路19にセットする。
これにより、OPC動作が完了される。
【0181】
このOPC動作例(3)によれば、記録パワーPwを固定して消去パワーPeを変化させながら試し書きを行なう動作を複数回行うことで、最適組み合わせの近似式を求め、その後、近似式に基づいて記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせを数種類設定して試し書きを行ってアシンメトリ値が最適となる組み合わせを見つけることで、最適な記録パワーPwと消去パワーPeを判別し、設定することになる。
このため、試し書きを行う記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせの数はさほど多数にはならず、従って短時間でOPC動作が完了できるとともに、その最適パワーとして非常に高精度に記録パワーPwと消去パワーPeを設定できることになる。特に上述したOPC動作例(1)(2)のように或る1つの記録パワーと消去パワーの最適比に基づくものではなく、複数の記録パワーと消去パワーの最適組み合わせから近似していくため、レーザパワー設定精度はより向上されることになる。
【0182】
なお、図31の処理では、ステップF821,F822、及びステップF823,F824として、ジッター最適な2つの組み合わせを求め、そこから近似式を求めるようにしたが、例えばジッター最適な3つの組み合わせを求め、そこから近似式を求めるなど、最適組み合わせの検出をより多数回実行するようにすれば、それだけ精度の高い近似式が求められる。これによってよりレーザーパワー設定精度を向上させることも可能となる。
【0183】
[OPC動作例(4)]
図32によりOPC動作例(4)としてのシステムコントローラ10の処理を説明する。
なお、このOPC動作例(4)におけるステップF841〜F845は、上記OPC動作例(3)のステップF821〜F825と同様であるため説明を省略する。即ちこの場合も、まず記録パワーPwと消去パワーPeの最適な組み合わせを2回(もしくは3回以上)求め、そこから最適組み合わせの近似式を求めるものである。
【0184】
この例の場合は、近似式が算出されたら、次にステップF846として、消去パワーPeを或る値に固定したうえで、記録パワーPwを変化させながら試し書きを行う。例えば消去パワーPe=PeZと固定し、記録パワーPwをPw1,Pw2・・・と変更するとすると、記録パワーと消去パワーの組み合わせとして、(Pw1、PeZ)(Pw2、PeZ)(Pw3、PeZ)・・・の各状態で、それぞれ試し書きが行われることになる。
【0185】
そしてその試し書きが完了したら、ステップF847で、その試し書き部分の再生を指示するとともに、その再生時に検出部23からのアシンメトリの検出値DASを取り込んでいく。
これによりステップF846での試し書きにおいて変化させた各種の記録パワーPwの中で、アシンメトリ値が最も適切となる記録パワーPw、つまり最適な記録パワーPwが判別できる。
【0186】
次にステップF848で、最適な記録パワーPwに対して、上記ステップF845で算出した近似式から、最適な消去パワーPeの候補となる範囲(好適範囲)を算出する。
つまり、検出された最適な記録パワーPwの値を近似式Pw=a・Pe+bに代入することで、或る消去パワーPeが求められるが、例えばこの算出された消去パワーを中心として或る程度狭いパワー可変範囲を、消去パワーPeの好適範囲とする。
【0187】
そしてステップF849で、記録パワーPwを最適値(PwSとする)に固定したうえで、消去パワーPeを好適範囲内で変化させながら試し書きを行う。例えば好適範囲内の消去パワーPeをPeS1,PeS2・・・とすると、記録パワーと消去パワーの組み合わせとして、(PwS、PeS1)(PwS、PeS2)(PwS、PeS3)・・・の各状態で、それぞれ試し書きが行われる。
【0188】
そしてその試し書きが完了したら、ステップF850で、その試し書き部分の再生を指示するとともに、その再生時に検出部23からのアシンメトリの検出値DASを取り込んでいく。
これによりステップF849での試し書きにおいて変化させた各種の消去パワーPeの中で、アシンメトリ値が最も適切となる消去パワーPe、つまり最適な消去パワーPeが判別できる。
【0189】
この時点でジッターが最小かつアシンメトリ値が最適な記録パワーPwと消去パワーPeが判別できたことになり、ステップF851で、その記録パワーPwと消去パワーPeを、実際に記録動作に用いる記録パワーPw、消去パワーPeとしてオートパワーコントロール回路19にセットする。
これにより、OPC動作が完了される。
【0190】
つまりこのOPC動作例(4)によれば、記録パワーPwを固定して消去パワーPeを変化させながら試し書きを行なう動作を複数回行うことで、最適組み合わせの近似式を求める。その後最適な記録パワーを見つけ、さらに最適な記録パワーと近似式から消去パワーの好適範囲を算出して、その好適範囲内で消去パワーを変化させながら試し書きを行って、最適な消去パワーを見つけることで、最適な記録パワーPwと消去パワーPeを判別し、設定することになる。
このため、この動作例の場合も、試し書きを行う記録パワーPwと消去パワーPeの組み合わせの数はさほど多数にはならず、従って短時間でOPC動作が完了できるとともに、その最適パワーとして非常に高精度に記録パワーPwと消去パワーPeを設定できることになる。また上述したOPC動作例(1)(2)のように或る1つの記録パワーと消去パワーの最適比に基づくものではなく、複数の記録パワーと消去パワーの最適組み合わせから近似していくため、レーザパワー設定精度はより向上されることになる。
なお、近似式算出後に最適記録パワーの検出のための試し書きと、最適消去パワーのための試し書きを別々に行うため、試し書き回数が増えることが考えられるが、最適消去パワーのための試し書きはレーザパワー可変範囲が好適範囲内に絞られるため、さほど大幅に試し書き回数が増えるものではない。
【0191】
ところで以上の各例のようなOPC動作は、例えばインナードライブテストゾーンを用いてディスク内周側で行うことが考えられるが、アウタードライブテストゾーンを用いてディスク外周側で行うようにしてもよい。
またその両方で実行することも考えられる。特にインナー及びアウターのドライブテストゾーンの両方で実行すれば、ディスク内外周でのレーザパワーの補正も可能となり、レーザパワーをより高精度に設定できる。
【0192】
4−7 OPC動作時の記録パターン
以上OPC動作の具体的な手順を説明してきたが、これらのOPC動作において実行される試し書きの際の記録パターンについて説明していく。
なお本例として適切な記録パターンの例は非常に多様に考えられるが、ここでは上記各OPC動作例(1)〜(4)に沿って、それぞれ好適とされる記録パターン例を述べていくこととする。
【0193】
また本例では、記録パターンとして、ジッター(又はエラーレート)の測定を目的とする試し書きは、EFMランダムデータを用い、一方、アシンメトリの測定を目的とする試し書きは、単一データパターンを用いることとする。この単一データパターンは、最短マーク長(最短スペース長)である3Tパターンと、最長マーク長(最長スペース長)である14Tパターンとする。
【0194】
[OPC動作例(1)における記録パターン]
上記図29のOPC動作例(1)では、まずステップF801で試し書きが行われることになる。
この場合の記録パターンを図33に示す。
【0195】
ステップF801では、記録パワーPwがPw1に固定され、消去パワーPeが変化されることになる。
上述したようにこの試し書きは、最適比を求めるためであり、最適比の精度をあげるためには消去パワーPeの変化ステップ数は多いほど良い。但し多ければ時間がかかる。
これらを勘案して、例えば消去パワーPeはPe1〜Pe8まで8段階に切り換えるようにする。
又、最適比は、記録再生装置個体毎やディスク別、動作時の温度、経時変化などにより変動するものの、最適比を含む大まかな範囲としては予めわかる。例えば実験によれば、比(Pe/Pw)が、0.25〜0.45の範囲内に、ジッター最小となる比の値が存在することがわかっている。
そこで、例えば8段階の消去パワーPe1〜Pe8は、それぞれ記録パワーPw1に対して、比(Pe/Pw)が0.25〜0.45となる値であって、かつマーク形成パワーよりも小さい値に絞るものとする。8段階の消去パワーPe1〜Pe8の値をこのような範囲内に制限することで、8段階(もしくはより少ない段階数)の消去パワーを試すのみで、比較的精度良く最適比を求めることができる。
【0196】
そして実際の試し書きは、記録パワーと消去パワーの1つの組み合わせにつき3トラック(もしくはそれ以上)実行する。記録データはランダムデータとする。これにより、記録パターンは図33のようになる。
図では、各トラックTKに対して実線で示すようにランダムデータが記録されていることが示されている。
そしてまずレーザパワー(Pw1、Pe1)の状態で3トラック、次にレーザパワー(Pw1、Pe2)の状態で3トラック、さらにレーザパワー(Pw1、Pe3)の状態で3トラック・・・・・レーザパワー(Pw1、Pe8)の状態で3トラック、というように記録が行われる。
【0197】
図29のステップF802では、このように試し書きを行ったエリアに対して再生を行い、各レーザパワーの組み合わせでのジッター又はエラーレートを検出するわけであるが、その再生動作は、図33にTKpとして示したトラックに対して行う。つまり、1つのレーザパワーの組み合わせで実行した3トラックのうちの中央のトラック(少なくとも両隣のトラックが同条件となっているトラック)とする。
なお従って、もし1つのレーザパワーの組み合わせで4トラック以上の記録を実行する場合は、両隅のトラックを除いた中央の複数のトラックの全部又は一部が再生されるトラックTKpとなる。
【0198】
そして検出部23では、レーザパワー(Pw1、Pe1)の3トラックのうちの中央のトラックの再生時に、できるだけジッター測定ポイントを多くとって実体測定を行い、それを平均化し、それをジッターの検出値DJとする。この動作が、8段階の各組み合わせにおいて行われる。
【0199】
図29のOPC動作例(1)では、この後、ステップF803で、比(Pe/Pw)を保った組み合わせでレーザパワーを変化させながら、アシンメトリ検出のための試し書きを行うことになる。
このときは、図34に示すような記録を行う。
まず、記録パワーPwを、Pw1、Pw2、Pw3・・・と変化させるとすると、各記録パワー(Pw1、Pw2、Pw3・・・)に対して、求められた最適比で算出される消去パワーPeを組み合わせる。例えば記録パワーPw1に対して算出された消去パワーをPe11、記録パワーPw2に対して算出された消去パワーをPe12・・・とする。
【0200】
すると、まずレーザパワー(Pw1、Pe11)の組み合わせで、図示するように4トラックの記録が行われる。
即ち一点鎖線で示す14Tパターンのトラックと、破線で示す3Tパターンのトラックが、点線で示す無データパターンのトラックを挟んで記録されるようにする。無データパターンのトラックとは、記録データがオールゼロデータとされて記録が行われることで、そのトラック全部がスペースとされた(つまりマークが記録されない)トラックである。
【0201】
この、無記録トラック、14T記録トラック、無記録トラック、3T記録トラックという4トラックが、最適比を保った各種レーザパワーの組み合わせにおいて、図34に示すように行われていく。
なお、1つの組み合わせにおける4トラックの種別の順序(無記録トラック→14T記録トラック→無記録トラック→3T記録トラック)は、これに限定されるものではなく、あくまで試し書きをする領域において、14T記録トラックと3T記録トラックが、それぞれの両隣のトラックが無記録トラックとされる順序であればよい。従って4トラックの種別の順序は、(無記録トラック→3T記録トラック→無記録トラック→14T記録トラック)とされても良いし、(3T記記録トラック→無記録トラック→14T記録トラック→無記録トラック)とされても良い。さらに(14T記記録トラック→無記録トラック→3T記録トラック→無記録トラック)とされてもよい。
【0202】
この図34のようなパターンで試し書きが行われたら、図29のステップF804で、試し書きを行ったエリアに対して再生を行い、各レーザパワーの組み合わせでのアシンメトリ値を検出するわけであるが、その再生動作は3T記録トラック及び14T記録トラックに対して行う。そして検出部23では、各レーザパワーの組み合わせについて、14TトラックのRF信号振幅と、3TトラックのRF信号振幅とからアシンメトリ値を算出し、それらを各組み合わせについてのアシンメトリの検出値DASとする。
なお、このようなアシンメトリ検出のための試し書きを行うレーザパワーの組み合わせは、例えば多くても10通り程度で十分である。又、或る程度最適記録パワーの範囲を予め絞ることができるため、それによって組み合わせ数を少なくし、試し書き時間及び再生時間を短縮することも可能である。
【0203】
[OPC動作例(2)における記録パターン]
次に上記図30のOPC動作例(2)における試し書き記録パターンを説明する。
図30の場合、まずステップF811で試し書きが行われるが、これは図29のステップF801と同様の動作であるため、記録パターンは上記図33で説明した通りとなる。
【0204】
図30の場合では、次にステップF813で、消去パワーを固定したうえで、記録パワーを変化させる試し書きが行われる。
このときの記録パターンは図35(a)のようになる。
この場合はアシンメトリ計測が目的であるため、上記図34で説明したように、1つの組み合わせにつき4トラック(例えば、無記録トラック→14T記録トラック→無記録トラック→3T記録トラック)が記録される。
【0205】
また実際の組み合わせとしては、消去パワーPeが或る設定値PeZに固定され、記録パワーPwを、Pw1、Pw2、Pw3・・・と変化させるとすると、図示するように、(Pw1、PeZ)(Pw2、PeZ)(Pw3、PeZ)・・・・という組み合わせで、それぞれ4トラックづつの記録が行われることになる。
【0206】
この図35(a)のようなパターンで試し書きが行われたら、図30のステップF814で、試し書きを行ったエリアに対して再生を行い、各レーザパワーの組み合わせでのアシンメトリ値を検出する。その再生動作は3T記録トラック及び14T記録トラックに対して行う。そして検出部23では、各レーザパワーの組み合わせについて、14TトラックのRF信号振幅と、3TトラックのRF信号振幅とからアシンメトリ値を算出し、それらを各組み合わせについてのアシンメトリの検出値DASとする。
この場合、各組み合わせのアシンメトリの検出値DASから最適な記録パワー(PwS)が判別される。
【0207】
次にステップF816では、記録パワーを最適記録パワーPwSに固定したうえで、消去パワーを変化させる試し書きが行われる。
このときの記録パターンは図35(b)のようになる。
この場合もアシンメトリ計測が目的であるため、上記図35(a)と同様に、1つの組み合わせにつき4トラック(例えば、無記録トラック→14T記録トラック→無記録トラック→3T記録トラック)が記録される。
【0208】
また実際の組み合わせとしては、上述したように消去パワーPeが好適範囲内の値としてPeS1、PeS2・・・と切換えられるため、図示するように、(PwS、PeS1)(PwS、PeS2)(PwS、PeS3)・・・・という組み合わせで、それぞれ4トラックづつの記録が行われることになる。
この図35(b)のようなパターンで試し書きが行われたら、図30のステップF817で、試し書きを行ったエリアに対して再生を行い、各レーザパワーの組み合わせでのアシンメトリ値を検出する。その再生動作は3T記録トラック及び14T記録トラックに対して行う。そして検出部23では、各レーザパワーの組み合わせについて、14TトラックのRF信号振幅と、3TトラックのRF信号振幅とからアシンメトリ値を算出し、それらを各組み合わせについてのアシンメトリの検出値DASとする。
この場合、各組み合わせのアシンメトリの検出値DASから最適な消去パワーが判別されることになる。
【0209】
[OPC動作例(3)における記録パターン]
上記図31のOPC動作例(3)では、近似式を求めるためにステップF821、F823で、それぞれ記録パワーPwを固定し、消去パワーPeを変化させる試し書きが行われることになる。
従って基本的には、ステップF821、F823のそれぞれで上記図33に示した記録パターンで記録が行われればよい。
【0210】
また、ステップF825では、近似式から求められる各種組み合わせにおいて、アシンメトリ計測を目的とする試し書きが行われる。この場合の記録パターンを図36に示すが、この場合も、上記図34、図35(a)(b)と同様に、1つの組み合わせにつき4トラック(例えば、無記録トラック→14T記録トラック→無記録トラック→3T記録トラック)が記録されればよい。
【0211】
ただし実際の組み合わせとしては、上述したように近似式から求められる組み合わせが設定されるため、例えば記録パワーPwがPwA、PwB・・・と切換えられていくとすると、消去パワーはそれぞれの記録パワーについて近似式から求められる値であるPeA、PeB・・・とされる。
従って図36に示すように(PwA、PeA)(PwB、PeB)(PwC、PeC)・・・・という組み合わせで、それぞれ4トラックづつの記録が行われることになる。
その後、この図36の記録部分についての再生が行われて、各組み合わせのアシンメトリの検出値DASから最適な組み合わせ(記録パワー及び消去パワー)が判別されることになる。
【0212】
ところで、このOPC動作例(3)の場合は、近似式を求めるため、ステップF821、F823での2回の試し書き(もしくは3回以上の場合も考えられる)が行われるが、例えば図37のような記録パターンとすることで、ステップF821〜F824の処理を効率化できる。
つまり、例えばそれぞれ或る記録パワーにつき消去パワーを8段階に変化させるとし、かつ1つの組合わせに3トラック用いるとすると、最初の24トラックは(Pw1、Pe1)(Pw1、Pe2)・・・(Pw1、Pe8)として3トラックずつ試し書きを行う。
そしてさらに続けて、24トラックに(Pw2、Pe1)(Pw2、Pe2)・・・(Pw2、Pe8)として3トラックずつ試し書きを行う。
【0213】
つまりこの48トラックの試し書きで、ステップF821及びF823で必要な試し書きを一度に実行するものである。
その後、この48トラック(16個の組み合わせ)につき、各組み合わせでの中央トラックのみを再生していくことで、ステップF822、F824の検出を一度に行うことができる。
従って、試し書き記録及び試し書き部分の再生動作が非常に効率化され、OPC処理時間の短縮に大きく寄与できることになる。
【0214】
さらには、例えば近似式を求めるための試し書き及び再生を3回実行するようにした場合は、図38に示すように、最初の24トラックは(Pw1、Pe1)(Pw1、Pe2)・・・(Pw1、Pe8)として3トラックずつ試し書きを行ない、続けて24トラックに(Pw2、Pe1)(Pw2、Pe2)・・・(Pw2、Pe8)として3トラックずつ試し書きを行ない、さらに続けて24トラックに(Pw3、Pe1)(Pw3、Pe2)・・・(Pw3、Pe8)として3トラックずつ試し書きを行なうことで、同様に近似式算出のための処理を効率化できる。特に、最適組み合わせを数多く見つけることで、近似式はより正確なものとすることができるが、このように試し書きを行うことで、近似式をより正確なものとする一方、処理時間はさほど長くならないようにすることができるものとなる。
【0215】
[OPC動作例(4)における記録パターン]
上記図32のOPC動作例(4)では、OPC動作例(3)と同様に近似式を求めるための試し書きが行われる。
従ってこのときの記録パターンとしては、上記図33に示した記録パターンでの試し書きが複数回実行されるようにするか、もしくは上記図37、図38で説明したような記録が行われればよい。
【0216】
また図32の場合、ステップF846で、消去パワーを固定したうえで、記録パワーを変化させる試し書きが行われる。このときの記録パターンは上記図35(a)のようにすればよい。
さらにステップF849では、記録パワーを最適記録パワーPwSに固定したうえで、消去パワーを変化させる試し書きが行われる。このときの記録パターンは上記図35(b)のようにすればよい。
【0217】
ところで、このOPC動作例(4)における記録パターンとしては、図39に示すような記録パターンにより、図32のステップF841〜F847までの処理が非常に効率化できる。
【0218】
この図32の例では、まず或る固定の記録パワーPw(Pw1、Pw2・・・)に対してたとえばそれぞれ6段階の消去パワーPe(Pe1、Pe2・・・Pe6)を切り換えて試し書きを行うとする。
例えば図示するP1部分は、記録パワーPw1に対して消去パワーPeをPe1〜Pe6まで切り換えた各組み合わせの部分である。同様にP2部分は、記録パワーPw2に対して消去パワーPeをPe1〜Pe6まで切り換えた各組み合わせの部分である。
【0219】
そして例えばP1部分では、最初の組み合わせ(Pw1、Pe1)については9トラックを用いて、最初の3トラックを、それぞれ無記録トラック、3Tトラック、無記録トラックとし、中間の3トラックをそれぞれランダムデータトラックとし、最後の3トラックを、それぞれ無記録トラック、14Tトラック、無記録トラックとしている。
一方、2番目〜6番目までの組み合わせ(Pw1、Pe2)〜(Pw1、Pe6)については、それぞれ3トラックを用いてランダムデータトラックとしている。
P2部分、P3部分、及び図示していないP4部分以降も同様である。
【0220】
このように試し書きを行ない、またその再生を行うことで、図32のステップF841〜F847までの処理が実行できる。
即ち、まず近似式を求めるために、或る記録パワーとそれに対する最適な消去パワーの組み合わせ(ジッター最良の組み合わせ)を、複数組求める必要があるが、P1部分、P2部分・・・のそれぞれにおいて、1つの記録パワーに対するジッターが最適な消去パワーを検出することができ、従って少なくともP1部分とP2部分のみの再生情報から(もちろんP3部分以降も用いても良い)、近似式を求めることができる。
【0221】
さらに近似式を求めた後は、消去パワーを固定して記録パワーを変化させていくことで、アシンメトリが最適値となる記録パワーを求めることになるが、例えば消去パワーPe1を固定値とすれば、P1部分における(Pw1、Pe1)、P2部分における(Pw2、Pe1)、P3部分における(Pw3、Pe1)・・・のそれぞれは、消去パワーを固定して記録パワーを変化させた各組み合わせに相当する。そしてこれらの各組み合わせについては3Tパターンと8Tパターンが記録されているため、これらの再生情報から、最適な記録パワーを検出することができる。
以上のことから、この図39に示す記録パターンにより、図32のステップF841〜F847までの処理が非常に効率的に実行できることが理解される。
【0222】
なお、このような効率的な試し書きは、この図39のままで、もしくは図39を多少変形したパターンとして例えばOPC動作例(2)にも適用可能である。変形する場合とは、P1部分は図39のままとするが、P2部分以降は、それぞれ最初の組み合わせのみとする。つまりP2部分は組み合わせ(Pw2、Pe1)による9トラックのみとし、P3部分は組み合わせ(Pw3、Pe1)による9トラックのみとする。
即ち、P1部分からは記録パワーと消去パワーのジッター最適な組み合わせを見つけることができるため、最適比が算出できる。
そして最適比を求めた後は、消去パワーを固定して記録パワーを変化させていくことで、アシンメトリが最適値となる記録パワーを求めることになるが、これは上記同様に、P1部分における(Pw1、Pe1)、P2部分における(Pw2、Pe1)、P3部分における(Pw3、Pe1)・・・のそれぞれから検出することができる。
【0223】
以上のことから、この図39に示す記録パターン、もしくは図39のP2部分以降を、それぞれ最初の組み合わせのみとするパターンにより、図30のステップF811〜F814の処理が効率化できる。
【0224】
以上、OPC動作例(1)〜(4)のそれぞれに合わせて記録パターンの各種の例を説明してきたが、各処理ステップで採用できる記録パターンや、処理ステップを効率化できる記録パターンは、他にも多様に考えられる。
そして、以上の例のような各記録パターンによれば、次のような効果を得ることができる。
【0225】
まずジッター又はアシンメトリ検出のために、記録パターンとして記録媒体上の1トラック期間単位で、単一データパターン、ランダムデータパターン、無データパターンのうちで必要なパターンを選択的に発生させ、記録させるようにしている。このように試し書き記録の際の記録データとしては、単一データパターン、ランダムデータパターンを発生可能とすることで、これを監視する目的(ジッタやアシンメトリなど)によって記録データを使い分けることができる。これにより状況に応じて最適な記録データを用い、もって最適レーザパワーの判別精度を向上させることができる。
また無データパターンを利用してデータ記録が行われないトラックを形成することで、クロストークの影響などを排除できる。特に上記のように、3Tトラック、14Tトラックの両側が無記録トラックとすることで、クロストークの影響がでやすい単一パターンのトラックについて、クロストークを排除し、アシンメトリ計測を良好に実現できる。
【0226】
また、上記例においては単一データパターンを記録したトラックの再生情報から、アシンメトリ値が最適となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出していることで、アシンメトリ値の検出精度を向上させ、これによって最適レーザパワーの判別を高精度とすることができる。
特にアシンメトリ値は図6で説明したように算出されるものであるため、単一パターンによりRF信号の最小振幅と最大振幅が常に得られるようにすることが、アシンメトリ値算出精度を向上させるものである。
【0227】
なお、上記例は3Tパターンと14Tパターンとしたが、14Tパターンに換えて8Tパターンや6Tパターンなどを用いるようにしても良い。即ち、少なくとも最大振幅がわかる単一パターン長であれば、アシンメトリ計測に好適となる。また、8Tパターンや6Tパターンなどを用いることは、14Tパターンに比べて高いレーザパワーである記録パワーPwが長時間継続することを避けることができる。このため、ディスクの劣化への影響を考えれば14Tパターンより8Tパターンや6Tパターンを用いる方が好適である。
なお、アシンメトリ計測をランダムデータの再生情報から実行することも可能であり、そのような試し書きパターンも考えられる。
【0228】
また上記例においては、ランダムデータパターンを記録したトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが最適となる記録パワー及び/又は消去パワーが検出している。ランダムデータは実際の記録動作に即したデータパターンとなるため、これは、ジッター又はエラーレートを実際の記録動作に即して検出できることになり、これによって最適レーザパワーの判別を高精度とすることができる。
【0229】
なお、ジッター又はエラーレート計測を単一パターンデータの再生情報から実行することも可能であり、そのような試し書きパターンも考えられる。
例えば3Tパターン(最短データパターン)は、熱伝導性の影響が最もジッターとしてあらわれるパターンであり、この点ではジッター検出に適しているといえる。但し、再生クロックを生成するPLLはランダムデータの方がロックしやすいため、その点ではランダムパターンが適しているともいえる。
【0230】
また上記例のように、ランダムデータパターンを3トラック以上連続して記録させ、その中央のトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが最適となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出することで、これも実際の記録再生動作状況と同一の記録状態(つまり隣接トラックの影響が存在する状態)を作り出してジッター又はエラーレートを検出することができる。従ってこれによっても実際の使用状況に即した最適レーザパワーを高精度に判別できることになる。
【0231】
また、上記図39で説明したように、1つのレーザパワー設定状態(組み合わせ)において、記録データの単一データパターン(3Tパターン及び14Tパターン)と、ランダムデータパターンと、無データパターンとをトラック毎に所定順序で選択して記録動作を実行させ、当該記録動作にかかる領域からの再生情報により、そのレーザパワー状態におけるジッター又はエラーレート、及びアシンメトリ値を検出することで、或るレーザパワーの組み合わせ状態において1回の試し書き記録と再生により、ジッター又はエラーレート、及びアシンメトリ値を検出できる。これによってOPC動作効率を向上させることができる。
【0232】
ところで、試し書きを行った各トラックに対して、試し書き直後に再生を行っていくという手法も考えられる。例えばジッター測定のためにランダムデータを3トラック記録した直後に中央トラックの再生を行い、これを繰り返していくような手順である。
この場合は、図33〜図39で説明した各試し書き記録を、それぞれ完了する前に、目的の値(最適値)を検出できる場合がある。このようなときは、各試し書きパターンを完了する前に、次のステップに進むことも可能となり、処理時間の短縮化を促進できる。
【0233】
また、試し書き時に記録パワーPw、消去パワーPeを各種の値にする場合に、ドライブパルス電圧としての或る上限値、下限値を設定できるようにしておくと、レーザダイオードの劣化やディスクの劣化の防止に役立つ。
通常レーザパワーはオートパワーコントロール回路19によりドライブ電流がモニターされ、設定値に保たれるわけであるが、もしこのモニタ系に異常があると、記録パワーが高すぎたり低すぎたり変動して、ディスク寿命やレーザの劣化を進めることがあり得る。ここで、上限/下限を設定するようにすることで、レーザパワー範囲が2重に保護される状態とすることができる。
また上限/下限の設定は、試し書きを行う組み合わせ数の制限にもなり、OPC動作の効率化も促すことができる。
【0234】
以上、実施の形態としての各種構成、処理例を説明してきたが、本発明は実施の形態として例示したものに限定されず、発明の要旨の範囲内で各種変形例が考えられることはいうまでもない。
【0235】
【発明の効果】
以上の説明からわかるように本発明によれば次のような各種の効果を得ることができる。
【0236】
請求項1又は請求項7の発明によれば、装填された記録媒体の試し書き領域に対して、レーザパワーを変化させながら記録動作及びその再生動作を実行させ、その再生情報から適切なレーザーパワーを判別する動作(OPC動作)を行うときに、記録データとして、単一データパターン、ランダムデータパターン、無データパターンのうちで必要なパターンを上記再生動作における信号品質の監視対象に応じて選択的に発生させ、記録させるようにしている。このように試し書き記録の際の記録データとしては、単一データパターン、ランダムデータパターンを発生可能とすることで、これを監視する目的(ジッタやアシンメトリなど)によって記録データを使い分けることができる。これにより状況に応じて適切な記録データを用い、もって適切レーザパワーの判別精度を向上させることができる。
また無データパターンを利用してデータ記録が行われないトラックを形成することで、クロストークの影響などを排除できる。
【0237】
請求項2の発明によれば、レーザパワー判別動作では、少なくとも適切な記録パワー及び消去パワーが判別される。これにより記録媒体に対するオーバーライトのためのレーザパワーを精度よく設定できる。
【0238】
請求項3の発明によれば、試し書き領域において単一データパターンを記録したトラックの再生情報から、アシンメトリ値が適切となる記録パワー及び/又は消去パワーが検出される。つまりアシンメトリ値の測定に好適な単一データパターンが用いられることで、アシンメトリ値の検出精度を向上させ、これによって適切レーザパワーの判別を高精度とすることができる。
【0239】
さらに請求項1又は請求項7の発明によれば、単一データパターンとして、記録データの最短マーク長に相当する第1の単一データパターンと、少なくとも再生情報から振幅ピークが検出できるマーク長に相当する第2の単一データパターンを発生させることができるようにしている。これにより、アシンメトリ測定に好適な再生情報を得ることができ、これも適切なレーザパワー判別精度の向上に寄与する。
【0240】
さらに、請求項1の発明によれば、単一データパターンが記録されるトラックに隣接するトラックには、無データパターンによりデータ記録が行われないようにされる。従ってアシンメトリ測定等の際のノイズとなるクロストーク成分を除去でき、これも適切なレーザパワー判別精度の向上に寄与する。
【0241】
請求項4の発明によれば、試し書き領域においてランダムデータパターンを記録したトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが適切となる記録パワー及び/又は消去パワーが検出される。つまりジッター又はエラーレートの測定に好適なランダムデータパターンが用いられることで、ジッター又はエラーレートの検出精度を向上させ、これによって適切なレーザパワーの判別を高精度とすることができる。
【0242】
請求項5の発明によれば、試し書き領域においてランダムデータパターンを3トラック以上連続して記録させ、その中央のトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが適切となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出するようにしている。これは、試し書きの際に、実際の記録再生動作状況と同一の記録状態を作り出してジッター又はエラーレートを検出することを意味しており、従って実際の使用状況に即した検出が可能となり、実際の使用状況に即した適切なレーザパワーを高精度に判別できることになる。
【0243】
請求項8の発明によれば、レーザパワー判別動作においては、1つのレーザパワー設定状態において、記録データの最短マーク長に相当する第1の単一データパターンと、少なくとも再生情報から振幅ピークが検出できるマーク長に相当する第2の単一データパターンと、ランダムデータパターンと、無データパターンとをトラック毎に所定順序で選択して記録動作を実行させ、当該記録動作にかかる領域からの再生情報により、そのレーザパワー状態におけるジッター又はエラーレート、及びアシンメトリ値を検出する。これにより、或るレーザパワー状態においては1回の試し書き記録と再生により、ジッター又はエラーレート、及びアシンメトリ値を検出できることになるため。OPC動作における処理効率が向上されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態で用いられるディスクのフォーマットの説明図である。
【図2】実施の形態で用いられるディスクのエリア構造の説明図である。
【図3】実施の形態の記録再生装置のブロック図である。
【図4】実施の形態の記録再生装置のレーザドライブパルスの説明図である。
【図5】実施の形態の記録再生装置のレーザドライブパルスの説明図である。
【図6】実施の形態のアシンメトリ計測方式の説明図である。
【図7】実施の形態の概略的な処理手順の説明図である。
【図8】実施の形態で安定化させるジッターのDOW特性の説明図である。
【図9】実施の形態で安定化させるアシンメトリのDOW特性の説明図である。
【図10】実施の形態で調整するフォーカスバイアスの説明図である。
【図11】実施の形態のDOW特性安定化処理のフローチャートである。
【図12】実施の形態のディスク装填時の処理例(A)のフローチャートである。
【図13】実施の形態のディスク装填時の処理例(B)のフローチャートである。
【図14】実施の形態のディスク装填時の処理例(C)のフローチャートである。
【図15】実施の形態のOPC処理例(I)のフローチャートである。
【図16】実施の形態のOPC処理例(II)のフローチャートである。
【図17】実施の形態のOPC処理例(III)のフローチャートである。
【図18】実施の形態のOPC使用エリア選択処理例(イ)のフローチャートである。
【図19】実施の形態のOPC使用エリア選択処理例(イ)の説明図である。
【図20】実施の形態のOPC使用エリア選択処理例(ロ)のフローチャートである。
【図21】実施の形態のOPC使用エリア選択処理例(ハ)のフローチャートである。
【図22】実施の形態で用いるディスクのディスクコントロールECCブロックの説明図である。
【図23】実施の形態のOPC使用エリア選択処理例(ロ)(ハ)で用いるテストゾーン管理テーブルの説明図である。
【図24】実施の形態のRF信号のディフェクトの影響の説明図である。
【図25】実施の形態の検出部の構成例(α)のブロック図である。
【図26】実施の形態の検出部の構成例(β)のブロック図である。
【図27】実施の形態のデータ取込時の処理例(β−1)のフローチャートである。
【図28】実施の形態のデータ取込時の処理例(β−2)のフローチャートである。
【図29】実施の形態のOPC動作例(1)のフローチャートである。
【図30】実施の形態のOPC動作例(2)のフローチャートである。
【図31】実施の形態のOPC動作例(3)のフローチャートである。
【図32】実施の形態のOPC動作例(4)のフローチャートである。
【図33】実施の形態のOPC動作例(1)〜(4)で採用できる試し書きパターンの説明図である。
【図34】実施の形態のOPC動作例(1)(2)で採用できる試し書きパターンの説明図である。
【図35】実施の形態のOPC動作例(2)(4)で採用できる試し書きパターンの説明図である。
【図36】実施の形態のOPC動作例(3)(4)で採用できる試し書きパターンの説明図である。
【図37】実施の形態のOPC動作例(3)(4)で採用できる試し書きパターンの説明図である。
【図38】実施の形態のOPC動作例(3)(4)で採用できる試し書きパターンの説明図である。
【図39】実施の形態のOPC動作例(2)(4)で採用できる試し書きパターンの説明図である。
【符号の説明】
1 ピックアップ、2 対物レンズ、3 二軸機構、4 レーザダイオード、5 フォトディテクタ、6 スピンドルモータ、8 スレッド機構、9 RFアンプ、10 システムコントローラ、12 エンコーダ/デコーダ、13 インターフェース部、14 サーボプロセッサ、20 キャッシュメモリ、21 バッファマネージャ、23 検出部、24 温度センサ、31 ディフェクト検出回路、32 スイッチ、33 ジッタ検出回路、34 アシンメトリ検出回路、90 ディスク、100 ホストコンピュータ
Claims (7)
- 装填された記録媒体に対してレーザ光の照射を行なってデータの記録/再生を行うことのできるヘッド手段と、
装填された記録媒体の試し書き領域に対して、レーザパワーを変化させながら前記記録ヘッド手段による記録動作及びその再生動作を実行させ、その再生情報から適切なレーザーパワーを判別するとともに、前記試し書き領域に対する記録動作の際には、記録データとして、単一データパターン、ランダムデータパターン、無データパターンのうちで必要なパターンを上記再生動作における信号品質の監視対象に応じて選択的に発生させ、前記ヘッド手段に供給できるレーザパワー判別手段と、
前記レーザパワー判別手段で判別された適切なレーザパワーにより前記ヘッド手段のレーザパワーを設定し、記録媒体に対するデータ記録を実行させる記録制御手段と、を備え、
前記レーザパワー判別手段は、前記単一データパターンとして、記録データの最短マーク長に相当する第1の単一データパターンと、少なくとも再生情報から振幅ピークが検出できるマーク長に相当する第2の単一データパターンを発生させることができるとともに、前記試し書き領域において前記単一データパターンが記録されるトラックに隣接するトラックには、データ記録が行われないように、前記無データパターンを発生させること
を特徴とする記録装置。 - 前記レーザパワー判別手段では、適切なレーザパワーとして、少なくとも適切な記録パワー及び消去パワーを判別することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記レーザパワー判別手段は、前記試し書き領域において前記単一データパターンを記録したトラックの再生情報から、アシンメトリ値が適切となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記レーザパワー判別手段は、前記試し書き領域において前記ランダムデータパターンを記録したトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが適切となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記レーザパワー判別手段は、前記試し書き領域において前記ランダムデータパターンを3トラック以上連続して記録させ、その中央のトラックの再生情報から、ジッター又はエラーレートが適切となる記録パワー及び/又は消去パワーを検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記レーザパワー判別手段は、前記単一データパターンとして、記録データの最短マーク長に相当する第1の単一データパターンと、少なくとも再生情報から振幅ピークが検出できるマーク長に相当する第2の単一データパターンを発生させることができるとともに、
1つのレーザパワー設定状態において、前記第1の単一データパターン、前記第2の単一データパターン、前記ランダムデータパターン、前記無データパターンをトラック毎に所定順序で選択して記録動作を実行させることで、当該記録動作にかかる領域からの再生情報により、そのレーザパワー状態におけるジッター又はエラーレート、及びアシンメトリ値を検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 - 装填された記録媒体の試し書き領域に対して、レーザパワーを変化させながら前記記録動作及びその再生動作を実行させ、記録媒体に対する適切なレーザパワーを設定するレーザパワー設定方法として、
前記試し書き領域に対する記録動作の際に、記録データとして、単一データパターン、ランダムデータパターン、無データパターンのうちで必要なパターンを上記再生動作における信号品質の監視対象に応じて選択的に発生させ、その記録したパターンの再生情報から適切なレーザパワーを判別し、設定し、
前記単一データパターンとして、記録データの最短マーク長に相当する第1の単一データパターンと、少なくとも再生情報から振幅ピークが検出できるマーク長に相当する第2 の単一データパターンを発生させるとともに、前記単一データパターンを記録するトラックに隣接するトラックには、データ記録が行われないように、前記無データパターンを発生させること
を特徴とするレーザパワー設定方法。
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