JP4154195B2 - 変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両に搭載される変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動的に変速操作を行う変速機には、変速比を無段階に制御する無段変速機と、変速比を段階的に制御する自動変速機とがある。無段変速機(CVT)は、ベルトまたはチェーンと2つの可変溝幅プーリとにより変速されるベルトドライブ式と、2つのディスクとパワーローラとにより変速されるトロイダル式とに分けられる。一方、自動変速機は複数の変速比を形成する歯車列と、動力伝達を行う歯車列の切り換えを行う切換機構とを有しており、自動変速機は歯車列の形態によって、1軸上での変速を可能とする遊星歯車式と、手動変速機と同様に平行軸上での変速を可能とする平行軸式とに分けられる。
【0003】
エンジンからの駆動力を滑らかに変速機の入力軸に伝達させるため、変速機とエンジンとの間にはトルクコンバータが設けられているものが多く、トルクコンバータ内の作動流体を介して駆動力の伝達が行われている。トルクコンバータはエンジンのクランク軸に連結されたポンプインペラと、これに対面するように設けられ入力軸に連結されるタービンランナと、ポンプインペラとタービンランナの間に設けられるステータとを有しており、ポンプインペラの駆動力が作動流体を介してタービンランナに伝達されるようになっている。
【0004】
このような滑り要素であるトルクコンバータは動力損失を発生させるものであり、動力の伝達効率を高めるため、トルクコンバータには入力軸の回転数が上昇した後にクランク軸と入力軸とを直結させるロックアップクラッチが設けられている。ロックアップクラッチはクランク軸とタービンランナとを係合させることによってクランク軸の駆動力を直接入力軸に伝達できるように構成されている。
【0005】
車両の走行状況に応じてロックアップクラッチの係合と開放との切り換えを行う際には、車速とスロットル開度とに基づきロックアップ線図を参照して係合および開放の判定を行うことが一般的である(たとえば、特許文献1参照。)。つまり、スロットル開度が小さくしかも車速が低い状態ではロックアップクラッチが開放されるトルクコンバータモードとなり、所定の車速を越えたときにはロックアップクラッチが係合してロックアップモードとなるようにロックアップ線図が設定されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−325458号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車速とスロットル開度をパラメータとするロックアップ線図に従ってロックアップ制御を行うようにすると以下のような問題点が生ずるおそれがある。一般的に、ロックアップ線図は車両が標準重量で平坦路を最適に走行できるように設定される場合が多いため、登坂路や降坂路を走行する際にはロックアップクラッチの係合および開放が必ずしも適切に制御されないおそれがある。
【0008】
たとえば、平坦路に比べて大きな駆動力が必要とされる登坂路を走行する場合には、平坦路と同様のタイミングでロックアップクラッチが係合されると、駆動力が不足するため運転者に違和感を与えることになる。この場合、係合のタイミングを遅らせてトルクコンバータのトルク増幅効果を得るようにロックアップ線図を設定すると、平坦路走行時にはクランク軸とタービンとの回転差が大きい状態でロックアップ係合されることになり、ロックアップクラッチに不要な負荷をかけるとともに、係合ショックによって運転者に違和感を与えることにもなる。
【0009】
本発明の目的は、走行路面の勾配に応じてロックアップクラッチの係合および開放を適切に制御することによって、運転者に違和感を与えることのない変速機の変速制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の変速機の変速制御装置は、トルクコンバータを介してエンジンに駆動される入力軸の回転数を自動的に変化させて出力軸に伝達する変速機の変速制御装置であって、前記エンジンと前記入力軸との間に設けられ、前記エンジンと前記入力軸とを直結状態と直結解除状態とに切り換え作動するロックアップクラッチと、走行路面の勾配を演算する勾配演算手段と、前記トルクコンバータを介して前記入力軸に前記エンジンの回転を伝達する際における前記トルクコンバータの滑り回転数を演算する滑り回転数演算手段と、前記勾配と前記滑り回転数とに基づいて係数を設定する係数設定手段と、所定の路面勾配において前記ロックアップクラッチを作動させる際の基本車速を設定する基本車速設定手段と、前記基本車速と前記係数とに基づいて前記ロックアップクラッチの作動条件としての切換車速を設定する切換車速設定手段と、前記切換車速に基づいて前記ロックアップクラッチを切り換え作動させるクラッチ作動手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、ロックアップクラッチの切換作動を許可する切換車速を走行路面の勾配に応じて設定することにより、平坦路だけでなく登坂路および降坂路を走行する場合にもロックアップクラッチの切換作動を適切に行うことができる。これにより車両の動力性能を向上させるとともに、走行フィーリングを向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は変速機の一例としてのベルト式無段変速機の駆動系を示す概略図であり、この無段変速機はエンジン1のクランク軸2の回転がトルクコンバータ3と前後進切換装置4を介して伝達される入力軸としてのプライマリ軸5と、これと平行となった出力軸としてのセカンダリ軸6とを有している。
【0018】
プライマリ軸5にはプライマリプーリ7が設けられており、このプライマリプーリ7はプライマリ軸5に一体となった固定プーリ7aと、これに対向してプライマリ軸5にボールスプラインなどにより軸方向に摺動自在に装着される可動プーリ7bとを有し、プーリのコーン面間隔つまりプーリ溝幅が可変となっている。セカンダリ軸6にはセカンダリプーリ8が設けられており、このセカンダリプーリ8はセカンダリ軸6に一体となった固定プーリ8aと、これに対向してセカンダリ軸6に可動プーリ7bと同様にして軸方向に摺動自在に装着される可動プーリ8bとを有し、プーリ溝幅が可変となっている。
【0019】
プライマリプーリ7とセカンダリプーリ8との間には動力伝達要素としての駆動ベルト9が掛け渡されており、両方のプーリ7,8の溝幅を変化させてそれぞれのプーリに対する駆動ベルト9の巻き付け径の比率を変化させることにより、プライマリ軸5の回転がセカンダリ軸6に無段階に変速されて伝達されることになる。駆動ベルト9のプライマリプーリ7に対する巻き付け径をRpとし、セカンダリプーリ8に対する巻き付け径をRsとすると、変速比つまりプーリ比iはi=Rs/Rpとなる。
【0020】
セカンダリ軸6の回転は減速歯車およびディファレンシャル装置10を有する歯車列を介して駆動輪11a,11bに伝達されるようになっており、前輪駆動の場合には駆動輪11a,11bは前輪となる。
【0021】
プライマリプーリ7の溝幅を変化させるために、プライマリ軸5にはプランジャ12が固定され、このプランジャ12の外周面に摺動自在に接触するプライマリシリンダ13が可動プーリ7bに固定されており、プランジャ12とプライマリシリンダ13とにより駆動油室14が形成されている。一方、セカンダリプーリ8の溝幅を変化させるために、セカンダリ軸6にはプランジャ15が固定され、このプランジャ15の外周面に摺動自在に接触するセカンダリシリンダ16が可動プーリ8bに固定されており、プランジャ15とセカンダリシリンダ16とにより駆動油室17が形成されている。それぞれの溝幅は、プライマリ側の駆動油室14に導入されるプライマリ圧Ppと、セカンダリ側の駆動油室17に導入されるセカンダリ圧Psとを調整することにより設定される。
【0022】
トルクコンバータ3はクランク軸2に連結されたポンプ側シェル18と、トルクコンバータ出力軸19に連結されたタービンランナ20とを有し、トルクコンバータ出力軸19にはポンプ側シェル18に固定されたフロントカバー21に係合するロックアップクラッチ22が取り付けられている。ロックアップクラッチ22の一方側にはアプライ室22aが形成され、他方側にはリリース室22bが形成されている。
【0023】
アプライ室22aとリリース室22bには調圧された作動油が供給され、リリース室22bの作動油の圧力を低下させるとアプライ室22aに供給される油圧によってロックアップクラッチ22はフロントカバー21に係合して直結状態つまりロックアップ状態となる。一方、リリース室22bに供給される油圧を高めてリリース室22bからアプライ室22aを介して作動油をトルクコンバータ3内で循環させることによりロックアップクラッチ22が開放されて直結解除状態となりトルクコンバータ3は作動状態になる。そして、リリース室22bに供給する油圧を調圧することにより、ロックアップクラッチ22はフロントカバー21に対してスリップ状態つまり半クラッチ状態となる。
【0024】
図2は変速機の変速制御装置を示す概略図であり、駆動油室14,17にはエンジンあるいは電動モータにより駆動されるオイルポンプ23によってオイルパン内の作動油が供給されるようになっている。オイルポンプ23の吐出口に接続されるセカンダリ圧路24は、駆動油室17に連通されるとともにセカンダリ圧調整弁25のセカンダリ圧ポートに連通されている。このセカンダリ圧調整弁25によって駆動油室17に供給されるセカンダリ圧Psは、駆動ベルト9に必要な伝達容量に見合った圧力に調整される。
【0025】
セカンダリ圧路24はプライマリ圧調整弁26のセカンダリ圧ポートに連通油路27を介して接続されており、プライマリ圧調整弁26のプライマリ圧ポートはプライマリ圧路28を介してプライマリ側の駆動油室14に連通されている。このプライマリ圧調整弁26によってプライマリ圧Ppは、目標変速比、車速などに応じた値に調整され、プライマリプーリ7の溝幅が変化して変速比が制御される。セカンダリ圧調整弁25およびプライマリ圧調整弁26は、それぞれ比例ソレノイド弁であり、変速機制御ユニット30からそれぞれのソレノイドコイル25a,26aに供給される電流値を制御することによってセカンダリ圧Psとプライマリ圧Ppが調整される。一方、リリース室22bの圧力を調整してロックアップクラッチ22を係合状態、開放状態およびスリップ状態に設定するための比例ソレノイド弁29のソレノイドコイル29aに変速機制御ユニット30から制御信号が送られるようになっている。
【0026】
変速機制御ユニット30には、プライマリプーリ7の回転数を検出するプライマリプーリ回転数センサ31、セカンダリプーリ8の回転数を検出するセカンダリプーリ回転数センサ32からの検出信号が入力される。さらに、エンジン回転数センサ33、スロットルバルブの開度を検出するスロットル開度センサ34、車速を検出する車速センサ35、ブレーキペダルの踏み込みを検出するブレーキスイッチ36、運転者によるセレクトレバーの操作により選択されたレンジを検出するレンジ検出センサ37、その他の各種センサ38からの検出信号が変速機制御ユニット30に入力される。
【0027】
変速機制御ユニット30は、それぞれのセンサなどからの信号に基づいてソレノイドコイル25a,26a,29aに対する制御信号を演算するマイクロプロセッサCPUと、テーブル、マップおよび演算式などの制御用のデータと制御用のプログラムとを格納するROMと、一時的にデータを格納するRAMと、入出力ポートなどを備えている。
【0028】
このような変速機制御ユニット30は、エンジン回転数Ne、スロットル開度THoおよび車速Vなどの運転状態を示すパラメータに基づいて目標変速比isを算出し、実際のプーリ比iを目標変速比isに収束させるようにそれぞれの比例ソレノイド弁25,26に対して制御信号を送ることで変速比を制御するようになっている。
【0029】
以下、登降坂路走行時において変速機制御ユニット30によって制御されるロックアップクラッチ22の係合および開放について説明する。図3は本発明の一実施の形態である変速機の変速制御装置によって切換車速Vc1,Vc2が設定処理される手順を示すフローチャートであり、このフローチャートは所定の周期で繰り返し実行されるものである。ここで、切換車速Vc1はロックアップクラッチ22の係合作動を許可する際の車速に関する作動条件であり、切換車速Vc2はロックアップクラッチ22の開放作動を許可する際の車速に関する作動条件である。
【0030】
図3に示すように、ステップS1では、スロットル開度検出手段であるスロットル開度センサ34からのスロットル開度THoが、変速機制御ユニット30に設けられた切換車速設定手段に入力される。続くステップS2では変速機制御ユニット30に設けられた勾配演算手段によって路面勾配値Tが演算されて切換車速設定手段に入力される。
【0031】
路面勾配値Tは次のように演算される。車両が登坂路や降坂路を走行する際には、車両の走行抵抗Rdが変化することになるので、勾配演算手段はその走行抵抗増加量ΔRdを演算する。走行抵抗増加量ΔRdは駆動輪11a,11bの発生駆動力Foから走行抵抗Rdを減算することによって求められる値であり、発生駆動力Foは、エンジントルクTe、プーリ比i、セカンダリプーリ8から駆動輪11a,11bまでの減速比および駆動輪半径を用いて算出され、走行抵抗Rdは、空気抵抗、転がり抵抗および加速抵抗を用いて算出される。
【0032】
エンジントルクTeを求める際には、エンジン回転数センサ33からのエンジン回転数Neと、スロットル開度センサ34からのスロットル開度THoとに基づいて、ROMに格納されるエンジントルクマップを補間計算付きで参照することによりエンジントルクTeが設定される。そして、プーリ比iはプーリ回転数センサ31,32の出力信号に基づいて算出した実プライマリプーリ回転数と実セカンダリプーリ回転数との比から算出される。
【0033】
また、空気抵抗は空気抵抗係数と車速センサ35からの車速Vとに基づいて算出され、転がり抵抗は舗装路面走行を基準に定数として与えられる。そして、加速抵抗は車速Vから得られる車体加速抵抗と、駆動系慣性モーメント及び角加速度に基づいて算出した回転抵抗との合計で与えられる。
【0034】
このように算出された走行抵抗増加量ΔRdは勾配演算手段によって勾配抵抗値Rに換算され、この勾配抵抗値Rを用いて実際の路面勾配値Tが演算されている。勾配抵抗値Rには車両の加速度要素が含まれており、路面の平坦度や駆動系のガタなどによって実際の路面とは異なる微小な振動が勾配抵抗値Rには重畳されているので、勾配抵抗値Rに基づいて路面勾配値Tを演算する際には、勾配抵抗値Rを加重平均処理して平滑化を行って路面勾配値Tを演算している。加重平均する際の加重値としては、勾配抵抗値R、車速V、スロットル開度THoおよびエンジン回転数Neなどが用いられる。なお、勾配抵抗値Rと路面勾配値Tとは共に走行路面の勾配を示す値である。
【0035】
次いで、ステップS3では、ステップS1,S2によって求められたスロットル開度THoと路面勾配値Tに基づいて、切換車速設定手段は切換車速マップを参照することにより切換車速Vc1,Vc2を設定する。切換車速マップは予め試験等により設定されROMに格納されるものであり、図4に切換車速マップの一例を示す。なお、図4に示す切換車速マップはロックアップクラッチ22の係合作動を許可する切換車速Vc1のマップを示すものであり、開放作動を許可する図示しない切換車速Vc2のマップは、図4に示すVc1よりも低速側に設定される。
【0036】
たとえば、ロックアップクラッチ22が開放されたトルクコンバータモードで走行する際には、所定時間毎に図3に示す手順に従って切換車速Vc1,Vc2が設定され、この切換車速Vc1,Vc2が変速機制御ユニット30に設けられたクラッチ作動手段に入力される。また、クラッチ作動手段には車速センサ35から現在の車速Vが入力されており、車速Vが切換車速Vc1を越えたと判定されるとクラッチ作動手段から比例ソレノイド弁29に制御信号が出力される。この制御信号により、比例ソレノイド弁29を介してリリース室22bの油圧は開放され、ロックアップクラッチ22がフロントカバー21と係合するため、エンジン1とプライマリプーリ7とは直結状態つまりロックアップ状態となる。
【0037】
続いて、車速Vが低下して切換車速Vc2を下回ると、クラッチ作動手段から比例ソレノイド弁29に制御信号が出力され、リリース室22bに油圧が供給される。これにより、ロックアップクラッチ22がフロントカバー21との係合が解除されるため、エンジン1とプライマリプーリ7とは直結解除状態つまりロックアップ解除状態となる。
【0038】
図4に示すように、切換車速Vc1は路面勾配値Tとスロットル開度THoとの増加に応じて大きくなるように設定されている。このため、駆動力が要求される登坂路走行や、運転者がアクセルを踏み込むことによって駆動力を要求する際には、トルクコンバータ3を長く作動させることができ、トルクコンバータ3のトルク増幅作用により増加する駆動力を有効的に利用することができる。
【0039】
このように、ロックアップクラッチ22の切換作動を許可する切換車速Vc1,Vc2をスロットル開度THoだけでなく路面勾配値Tに応じて設定することができるため、平坦路だけでなく登坂路および降坂路を走行する場合にもロックアップクラッチ22の切換作動を適切に行うことができ、運転者に違和感を与えることなくロックアップクラッチ22を作動させることができる。
【0040】
図5は本発明の他の実施の形態である変速機の変速制御装置によって切換車速Vc1,Vc2が設定処理される手順を示すフローチャートであり、このフローチャートは所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0041】
まず、ステップS11では前述したステップS1と同様にスロットル開度THoが検出される。続くステップS12では、変速機制御ユニット30に設けられる基本車速設定手段により、スロットル開度THoに基づいて基本車速テーブルを参照することによって基本車速Vb1,Vb2が設定される。ここで、基本車速Vb1は平坦路走行時つまり無勾配路面でのロックアップクラッチ22の係合作動を許可する車速条件であり、基本車速Vb2は平坦路走行時にロックアップクラッチ22の開放作動を許可する車速条件である。なお、基本車速テーブルは予め試験等により設定されROMに格納されるものであり、基本車速Vb2の数値は基本車速Vb1の数値よりも低速側に設定される。
【0042】
次いで、ステップS13では前述したステップS2の手順に従って勾配演算手段により路面勾配値Tが演算され、続くステップS14ではエンジン回転数検出手段であるエンジン回転数センサ33よりエンジン回転数Neが検出される。そして、ステップS15では、変速機制御ユニット30に設けられる係数設定手段が、路面勾配値Tとエンジン回転数Neとに基づいて図6に示す勾配係数マップを参照することにより、係数つまり勾配係数scを設定する。図6に示すように、勾配係数マップは勾配とエンジン回転数Neとをパラメータとして予め試験等により設定されROMに格納されるものであり、路面勾配値Tが大きいほど、そしてエンジン回転数Neが高いほど勾配係数scが大きくなるように設定されている。
【0043】
ステップS16では、変速機制御ユニット30に設けられる切換車速設定手段により、ステップS12,S15で求められた基本車速Vb1,Vb2と勾配係数scとが乗算され切換車速Vc1,Vc2が設定される。このように設定された切換車速Vc1,Vc2に基づき、変速機制御ユニット30のクラッチ作動手段は前述と同様の制御信号を比例ソレノイド弁29に出力することによってロックアップクラッチ22の係合動作を制御する。
【0044】
ここで、勾配係数scは路面勾配値Tとエンジン回転数Neとの増加に応じて大きくなるように設定されており、ステップS16における切換車速Vc1,Vc2も高速側に設定されることになる。このため、駆動力が要求される登坂路走行や、運転者がアクセルを踏み込むことによって駆動力を要求する際には、トルクコンバータ3を長く作動させることができ、トルクコンバータ3のトルク増幅作用により増加する駆動力を有効的に利用することができ、車両の動力性能を向上させるとともに運転者に違和感を与えることなくロックアップクラッチ22を作動させることができる。
【0045】
このように、基本車速テーブルから基本車速Vb1,Vb2を設定し、勾配係数マップから勾配係数scを設定して、これらの数値を用いることで切換車速Vc1,Vc2を設定することにより、走行路面の勾配だけに限らず多くのパラメータに基づき車両条件に合致した切換車速Vc1,Vc2を容易に設定することができ、高精度にロックアップクラッチ22の切換作動を行うことができる。また、勾配係数scを用いることにより、ROMに格納されるデータ量の増加を押さえながら、多くのパラメータを用いて切換車速Vc1,Vc2を設定することができる。
【0046】
また、図7に示すように、路面勾配値Tと、入力回転数検出手段であるプライマリプーリ回転数センサ31からのプライマリプーリ回転数Npとに基づいて設定される勾配係数マップを用いても良く、さらに図8に示すように、路面勾配値Tと、滑り要素であるトルクコンバータ3によって発生する滑り回転数Ntとに基づいて設定される勾配係数マップを用いるようにしても良い。なお、滑り回転数Ntは変速機制御ユニット30に設けられる滑り回転数演算手段により、エンジン回転数Neからプライマリプーリ回転数Npを減算することによって演算されるものであり、ポンプ側シェル18やタービンランナ20の回転数を用いて滑り回転数Ntを演算しても良い。図7および図8に示す勾配係数マップを用いることによっても運転者の駆動力要求に対応することができる。
【0047】
さらに、これら各種のパラメータに基づいた複数の勾配係数マップをROMに格納し、エンジン1を駆動させるための補機類からの信号つまり吸入空気量、吸入空気温度、排出ガス温度、冷却水温度、点火時期およびエンジンバルブタイミングなどの変化に基づいて参照する勾配係数マップを適宜選択するようにしても良い。これにより、車両の走行状況に応じて切換車速Vc1,Vc2を適切に設定することができる。
【0048】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前記実施の形態において変速制御装置をベルト式無段変速機について適用しているが、これに限らず、トロイダル式無段変速機、遊星歯車式自動変速機および平行軸式自動変速機などロックアップクラッチを有する他の変速機に適用することもできる。
【0049】
また、切換車速マップや勾配係数マップを参照する際に用いられる勾配としては路面勾配値Tに限らず勾配抵抗値Rを用いるようにしても良い。
【0050】
図示する切換車速マップは勾配とスロットル開度THoとをパラメータとしているが、勾配のみに基づいて切換車速Vc1,Vc2を設定するようにしても良い。同様に、勾配のみに基づいて勾配係数scを設定するようにしても良い。
【0051】
さらに、勾配係数scにより切換車速Vc1,Vc2を設定する際には、基本車速Vb1,Vb2と勾配係数scとを用いて切換車速Vc1,Vc2を設定しているが、1つの基本車速と2つの勾配係数とを用いて切換車速Vc1,Vc2を設定するようにしても良く、基本車速Vb1,Vb2は平坦路に限らず所定勾配の登降坂路に基づき設定されるものであっても良いことは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、所定の路面勾配においてロックアップクラッチを作動させる際の基本車速を設定し、走行路面の勾配とトルクコンバータの滑り回転数とに基づいて係数を設定し、基本車速と係数とに基づいてロックアップクラッチの切換作動を許可する切換車速を設定している。これにより、平坦路だけでなく登坂路および降坂路を走行する場合にも、運転者が要求する駆動力に応じながらロックアップクラッチの切換作動を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無段変速機の駆動系を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態である変速機の変速制御装置を示す概略図である。
【図3】切換車速設定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】切換車速マップを示す線図である。
【図5】切換車速設定処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【図6】勾配係数マップの一例を示す線図である。
【図7】勾配係数マップの他の例を示す線図である。
【図8】勾配係数マップのさらに他の例を示す線図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 トルクコンバータ
5 プライマリ軸(入力軸)
6 セカンダリ軸(出力軸)
22 ロックアップクラッチ
30 変速機制御ユニット(勾配演算手段,切換車速設定手段,クラッチ作動手段,係数設定手段,基本車速設定手段,滑り回転数演算手段)
31 プライマリプーリ回転数センサ(入力回転数検出手段)
33 エンジン回転数センサ(エンジン回転数検出手段)
34 スロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)
R 勾配抵抗値(勾配)
T 路面勾配値(勾配)
sc 勾配係数(係数)
Ne エンジン回転数(エンジンの回転数)
Np プライマリプーリ回転数(入力軸の回転数)
Nt 滑り回転数
Vb1,Vb2 基本車速
Vc1,Vc2 切換車速
Claims (1)
- トルクコンバータを介してエンジンに駆動される入力軸の回転数を自動的に変化させて出力軸に伝達する変速機の変速制御装置であって、
前記エンジンと前記入力軸との間に設けられ、前記エンジンと前記入力軸とを直結状態と直結解除状態とに切り換え作動するロックアップクラッチと、
走行路面の勾配を演算する勾配演算手段と、
前記トルクコンバータを介して前記入力軸に前記エンジンの回転を伝達する際における前記トルクコンバータの滑り回転数を演算する滑り回転数演算手段と、
前記勾配と前記滑り回転数とに基づいて係数を設定する係数設定手段と、
所定の路面勾配において前記ロックアップクラッチを作動させる際の基本車速を設定する基本車速設定手段と、
前記基本車速と前記係数とに基づいて前記ロックアップクラッチの作動条件としての切換車速を設定する切換車速設定手段と、
前記切換車速に基づいて前記ロックアップクラッチを切り換え作動させるクラッチ作動手段とを有することを特徴とする変速機の変速制御装置。
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