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JP4149128B2 - 非汚染塗料組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、ガラス、磁器タイル、コンクリート、サイディングボード、押出成形板、プラスチック等の各種素材の表面仕上げに使用される非汚染塗料組成物に係るものである。
【0002】
【従来技術】
最近、都心や都市近郊部において、自動車等からの排出ガスにより、大気中に油性の汚染物質が浮遊している状況で、それら油性の汚染物質が、建築用塗料によって塗装された建築物の塗膜表面に付着した場合には、著しいすす状あるいはすじ状の汚染(以下、「雨筋汚れ」という)を生じ、都市景観の向上のため施した塗装仕上げが、意味をなさない場合があった。
【0003】
これに対して、塗膜表面を親水性にし、付着した油性の汚染物質を降雨時の雨水が塗膜表面に広がる作用によって、剥離し洗い流してしまう非汚染形塗料が各種発表されている。
【0004】
例えば、特開平4−370176号公報には、ポリアルキレンオキサイドセグメントなどの親水性セグメントとポリシロキサンなどの疎水性セグメントとを含むセグメント化ポリマーを塗料に含めることで、塗膜表面に疎水性と親水性を同時に付与し、汚染物質の付着の抑制および降雨による洗浄効果を期待したものがある。塗膜表面が親水性であるため、降水等による水が塗膜と汚染物質との界面に浸透、流入し、その水とともに汚染物質を洗い流す効果(ソイルリリース効果)が得られるものである。しかし実際には、塗膜表面に水が存在している際は親水性となるものの、長期間水に触れる機会が得られない場合(塗膜形成直後など)には疎水性となり、降雨時に塗膜表面が疎水性から親水性へ転換するのにある程度時間を有するという問題がある。
【0005】
一方、特願平6−506632(国際公開WO94/06870号公報)には、塗料中にオルガノシリケートを混合し、それらの反応によって塗膜表面に親水性化、硬度の向上の双方を図った方法が示されている。一般にオルガノシリケートは、酸存在下による加水分解反応とシラノール基同士の縮合反応を起こす。このような反応で生ずるシラノール基やシロキサン結合が塗膜表面の親水性の要因となる。従って、塗膜表面の親水性化、硬度の向上のためには第一段階の酸触媒の存在による加水分解反応が律速となるが、上記塗料においては、当該オルガノシリケートの反応を進行させるために、酸などの表面処理が必要となる。実際の建物外壁への塗装を考慮すると、酸性雨などにより、反応は進行すると考えられるが、前述同様、ソイルリリース効果を十分に発揮するに必要な親水性表面となるには、塗膜形成後かなりの長期間を必要とする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来からの非汚染型塗料によって形成される塗膜のうち、表面の親水性化に長期を要するものは、塗膜形成後の初期における非汚染性の低さから、塗装工事施工終了後、ごく短期間において雨筋汚れ等を生じる結果となる。本来、非汚染型塗料とは汚染しないことをその効果とするものであり、また、使用するユーザー、塗装工事を依頼する施主は、その効果を期待しているものである。従って、塗膜形成後初期であっても、汚れの発生を生じることは、これらユーザーや施主の期待を一時的にせよ裏切るものであり、また長期間においての非汚染効果にまで不安感を与えるものとなる。さらに、従来からの非汚染塗料では降雨による汚染物質の流下を主目的とするあまりに、一度付着した汚れの染み込み抵抗性に劣り、長期にわたって降雨が無かった場合には、塗膜中に油性汚れが浸透して、もはや降雨によっては流下困難な汚れが残ってしまうことが判明した。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、降雨等の塗膜形成後に生ずる作用により、初めて塗膜が親水性となるのではなく、塗膜形成直後より、その表面が親水性を発揮し、汚染物質を洗い流すソイルリリース効果を有し、かつ、油性汚れの染み込み抵抗性にも優れ、耐候性、その他の塗膜物性の良好な非汚染型の塗膜を提供する非汚染塗料用組成物を得ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の非汚染塗料組成物に係るものである。
1.(A)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーを含み、ガラス転移温度が0〜100℃であるアクリル系共重合樹脂の樹脂固形分100重量部に対して、(B)一般式:
【化2】
(R1〜R4は炭素数1〜3のアルキル基であり、同一であっても良く異なっていても良い)で表されるアルキルシリケートまたはこれらの縮合物の少なくとも一方をSiO2換算で1〜30重量部(ただし、(B)は、テトラアルコキシシランの平均縮合度4〜20の縮合物であり、該縮合物中のアルキル基が炭素数1〜2と炭素数3〜10のものが混在しているものとし、その混在比率が炭素数3〜10のアルキル基が該縮合物中の全アルキル基の5〜50%である化合物を除く)、および(C)繰り返し単位が2〜40の、アルキレンオキサイド鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアルコキシシラン化合物を、固形分で0.1〜20重量部含有することを特徴とする非汚染塗料組成物。
2.アルキルシリケートとしてテトラメチルシリケートおよびテトラエチルシリケートから選ばれるいずれか少なくとも1種を使用するものである1.に記載の非汚染塗料組成物。
3.(C)アルコキシシラン化合物のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖である1.または2.に記載の非汚染塗料組成物。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
(A)アクリル系共重合樹脂
本発明における(A)アクリル系共重合樹脂(以下、「(A)成分」という)は、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーを含み、ガラス転移温度が0〜100℃であるアクリル系共重合樹脂を使用する。
【0010】
本発明における(A)成分は、下記のようなモノマーの中から適宜選択、組み合わせて共重合させ、非水系溶媒中に溶解及び/又は分散させたものを使用する。このとき、選択するモノマーのうち少なくとも1種以上がアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーであるように、モノマーの選択を行う。
【0011】
・原料モノマー
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸ラウリル、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、VeoVaなどが例示できる。
【0012】
(A)成分を溶解及び/又は分散させる非水系溶媒としては、一般的な有機溶剤を使用できるが、例としては脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル、ケトンなどがあげられる。このような非水系溶剤のうち、1種又は2種以上を組み合わせて使用すればよい。
【0013】
(A)成分は、上記のようなアクリル系共重合樹脂のうち、ガラス転移温度が0〜100℃であるものを使用する。ガラス転移温度が0℃以下になると、タックと呼ばれる塗膜表面のべとつきが発生してしまい、汚染物質の物理的付着が起こるなどして耐汚染性が無くなるので好ましくない。逆に100℃より大きくなると、形成された塗膜の硬度が高くなるため、経時において表面にクラックと呼ばれるひび割れが発生するため好ましくない。
【0014】
(B)アルキルシリケート
本発明に使用される(B)、一般式:
【化3】
(R1〜R4は炭素数1〜3のアルキル基であり、同一であっても良く異なっていても良い)で表されるアルキルシリケート又はこれらの縮合物(以下、「(B)成分」という)は、例えば、テトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−n−プロピルシリケート、テトラ−i−プロピルシリケートから選択される1種以上が、また縮合物としては、上記テトラアルキルシリケートを加水分解条件下にて縮合させて得られるものから選択される1種以上があげられる。ただし、(B)成分は、テトラアルコキシシランの平均縮合度4〜20の縮合物であり、該縮合物中のアルキル基が炭素数1〜2と炭素数3〜10のものが混在しているものとし、その混在比率が炭素数3〜10のアルキル基が該縮合物中の全アルキル基の5〜50%である化合物を除く。特にテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケートの少なくとも1種またはこれらの縮合物の使用が形成された塗膜の可撓性と緻密性のバランスの点から好ましい。縮合物の縮合度は20以下が好ましく、縮合度が20以上になると、縮合物の粘度が上昇し、取扱が不便になるとともに(A)成分との相溶性が悪くなり、塗膜の光沢低下が起こるため好ましくない。
【0015】
また、(B)成分の混合割合は、(A)成分の樹脂固形分100重量部に対し、SiO2 換算で1〜30重量部、好ましくは3〜10重量部が適当である。これは、1重量部未満では塗膜の親水性が十分でないため耐汚染性に劣り、30重量部を越えると、硬化塗膜の外観が悪化したり、クラックが発生するといった問題が出てくるためである。
【0016】
ここでSiO2 換算とは、アルコキシシランやシリケートなどのSi−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO2 )となって残る重量分にて表したものである。一般に、アルコキシシランやシリケートは、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO2 )となる。これらの反応は、下記式:
【化4】
という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
【0017】
実際の計算は、
【数1】
の式により行った。
【0018】
(C)アルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物本発明に使用される(C)アルキレンオキサイド鎖を含有するアルコキシシラン化合物(以下、「(C)成分」という)は、アルキレンオキサイド基の繰り返し単位と、少なくとも1個以上のアルコキシシリル基を有する化合物である。かかる(C)成分のアルキレンオキサイド基繰り返し単位は、そのアルキレン部分の炭素数は2〜4であり、繰り返し数は2〜40、好ましくは2〜20である。
【0019】
(C)成分は、その両末端がアルコキシシリル基であってもよく、一端がアルコキシシリル基であって他端がその他の官能基であってもよい。このような片末端に有することのできる官能基としては、例えば、ビニル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、メルカプト基などが挙げられる。また、該官能基は、アルコキシシリル基との間にウレタン結合、尿素結合、シロキサン結合、アミド結合等を介して結合されたものであっても良い。このような(C)成分は、例えば、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物と、アルコキシシリル基含有化合物(以下カップリング剤という。)を反応させて合成したものが使用できる。
【0020】
前記ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物は、分子量が150〜3500が好ましく、200〜1500がさらに好ましい。分子量が100未満の場合、最終的に得られる硬化塗膜の親水性に劣り、降雨による汚染物質の洗浄効果が得られず、分子量が3500を越える場合、塗膜の耐水性や硬度が低下する。このようなポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリエチレン−テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシエチレンジグリコール酸、ポリエチレングリコールビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテルなどが挙げられる。また、該ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物は、1種もしくは2種以上の組み合わせから選択することができる。
【0021】
一方、カップリング剤は、例えば、一分子中に、少なくとも1個以上のアルコキシシリル基とそのほかの置換基を有する化合物である。カップリング剤としては具体的には、例えば、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0022】
(C)成分の合成は、特に限定されないが、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物とカップリング剤とを別々に用意し、例えば重合性二重結合を有する各化合物についてはラジカル重合開始剤を用いて共重合させる他、アミノ基/エポキシ基、イソシアネート基/水酸基またはイソシアネート基/アミノ基等の付加反応など公知の方法によって合成することができる。また、第1級、または第2級アミノ基等の活性水素基を有するアルコキシシリル化合物にエチレンオキサイドを開環付加せしめる方法によっても合成可能である。
【0023】
ラジカル重合開始剤を用いて共重合させる場合は、重合性二重結合を有するポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物の少なくとも1種以上と、カップリング剤の少なくとも1種以上を非反応性の適当な溶媒中で反応させて得る事ができる。この際、使用されるラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーベンゾエートなどのパーエステル化合物、アゾビスイソブチロニトリルおよびジメチルアゾブチレートなどのアゾ化合物、および有機過酸化物などが挙げられる。
【0024】
重合性二重結合を有するポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールビニルエーテルを用いることができ、カップリング剤には、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどを単独もしくは2種以上の組み合わせで使用できる。
【0025】
イソシアネート/ポリオールの付加反応により合成する場合、例えばポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物には、ポリエチレングリコールなどの末端にヒドロキシル基を有する化合物と、カップリング剤にはイソシアネート含有カップリング剤などのイソシアネート基を有する化合物を混合し合成させる。この合成方法においては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレートまたはジオクチル錫ジマレートなどの反応触媒を使用することも可能である。
【0026】
上述の反応によって合成される(C)成分としては、ポリアルキレンオキサイド鎖含有化合物の両末端にカップリング剤を付加したものが得られるが、これらは、それぞれ単独で使用してもよく、また、混合物として使用してもよい。
【0027】
これら(C)成分の内で、アルキレンオキサイド鎖がエチレンオキサイド鎖であるものが、本発明の非汚染効果、すなわち耐汚染性ならびに汚れの染み込み抵抗性等が高いため最も好ましい。
【0028】
(C)成分の配合割合は、(A)成分の樹脂固形分100重量部に対し、固形分で0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。0.1重量部未満では得られる硬化物の初期における耐汚染性や、汚染物質の染み込み抵抗性が悪くなるので好ましくない。逆に20重量部を越えると、樹脂との相溶性、硬化物の耐水性などが劣る結果となる。
【0029】
本発明組成物では(A)成分、(B)成分および(C)成分による透明(クリヤー)塗膜の他に、着色顔料を配合して、着色(エナメル)塗膜としてもよい、このような着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(べんがら)、クロム酸鉛(モリブデードオレンジ)黄鉛、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンツイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料が使用できる。
【0030】
また、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等の体質顔料を併用することも可能である。特に、艶消し塗膜を形成する場合には、塗膜表面における非汚染効果を損なうことの最も少ないホワイトカーボン、珪藻土を使用することが最適である。なお、これらの無機質を塗料に添加する際に、粉体表面をカップリング剤で処理したり、塗料にカップリング剤を添加することは好ましい手段である。
【0031】
本発明組成物には、通常塗料に配合することが可能な各種添加剤を本発明の効果に影響しない程度に配合することが可能である。このような添加剤としては、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤等があげられる。
【0032】
また、本発明の塗料組成物を塗り重ねた際に層間密着性が悪い場合は、アミン化合物を加えることにより、改良が可能である。
【0033】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0034】
(シリケート)
まず、シリケートとして表1に示すものを使用した。なお、900℃にて焼成して得られたシリカ残量比率をSiO2 量として示した。
【0035】
【表1】
次に、ポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物を合成した。合成方法は以下の通り。
【0036】
(合成例1)ポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物1の合成例
加熱装置、攪拌器、還流装置、脱水装置、温度計を備えた反応槽に、ポリエチレングリコール200(平均分子量200;和光純薬株式会社)20重量部と、イソシアネート含有シランであるY−9030(日本ユニカー株式会社製)54.3重量部と、ジブチルスズジラウレート0.05重量部とを仕込み、50℃にて8時間反応させ、淡黄色のポリエチレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物を得た。このポリエチレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下GPCという)のポリスチレン換算により測定した結果800であった。
【0037】
(合成例2)ポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物2の合成例
加熱装置、攪拌器、還流装置、脱水装置、温度計を備えた反応槽に、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルであるエポライト40E(平均分子量170;共栄社化学株式会社)100重量部と、アミノ含有シランであるA−1100(日本ユニカー株式会社製)63.0重量部と、ジブチルスズジラウレート0.05重量部とを仕込み、50℃にて8時間反応させ、淡黄色のポリエチレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物を得た。このポリエチレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物の重量平均分子量は、GPCのポリスチレン換算により測定した結果980であった。
【0038】
次に、表2に示した原料を使用して、表3のような配合にて、エナメル塗料1〜6を作製した。作製方法は以下の通り。
【0039】
<塗料作製方法>
各種アクリル樹脂の固形分100重量部に対して、顔料を80重量部添加して均一に混練し、これに各種シリケートを表3の割合で添加し、さらにポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物やポリエチレングリコールを配合して(塗料3、塗料4に関しては無配合)白色エナメル塗料1〜6を作製した。
【0040】
【表2】
【表3】
このようにして作製したエナメル塗料について、下記のような試験方法により、塗膜物性、雨筋汚染性および汚れの染み込み抵抗性評価を行った。
【0041】
<試験方法>
1.塗膜硬化後の外観の評価
150mm×75mm×0.8mmのアルミニウム板7枚に、SK#1000プライマー(エポキシ樹脂系プライマー;エスケー化研株式会社製)を、乾燥膜厚が約30μmとなるようにスプレー塗装し、気温20℃、湿度65%で8時間乾燥を行った。次に作製したエナメル塗料を、上記アルミニウム板のSK#1000プライマー表面に、乾燥膜厚が25μmとなるようにスプレー塗装し試験体とした。試験体を気温20℃、湿度65%で7日間養生し、JIS K5400 7.1 塗膜の外観試験に準じ、塗膜の外観を評価した。評価は、異常がないものを○とし、異常があるものは具体的に記した。
【0042】
2.水浸漬後の接触角測定
150mm×75mm×0.8mmのアルミニウム板に、SK#1000プライマーを乾燥膜厚が約30μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥後に、作製したエナメル塗料を乾燥膜厚が40μmとなるようにスプレー塗装し、試験体を作製した。作製した試験体を標準状態で7日間乾燥養生した後、脱イオン水に3時間浸漬し、18時間乾燥させ接触角を測定(協和界面科学株式会社製CA−A型接触角測定装置にて測定、以下同様)した。この作業(脱イオン水浸漬3時間→乾燥18時間→接触角測定)を1セットとしてさらに2回繰り返し、計3回接触角を測定した。この試験は、実際の降雨の際の条件を人工的に作り出したものであり、酸性雨ではなく通常のpHの雨であることを想定している。
【0043】
3.雨筋汚染性評価
300mm×150mm×3.0mmのアルミニウム板を図1に示すように上方から3分の1の長さのところで角度αが135度になるようにおりまげたもの(以下、「暴露用板」という)に、SK#1000プライマーを、乾燥膜厚が約30μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥させた(暴露用板は凸面を表面とする)。次に、作製したエナメル塗料を暴露用板に乾燥膜厚が約40μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で7日間乾燥し試験体とした。作製した試験体を、大阪府茨木市で南面を向き、面積が広い面(a面)を垂直にし、さらに面積の狭い面(b面)が上部になるように設置して、屋外暴露を実施し、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後の雨筋汚れの有無を目視にて評価した。評価は以下の通り。
【0044】
◎:垂直面に雨筋汚れなし。
○:垂直面にわずかに雨筋汚れがみられる。
△:垂直面に雨筋汚れが見られる。
×:垂直面に著しい雨筋汚れが見られる。
【0045】
4.汚れの染み込み抵抗性
150mm×75mm×0.8mmのアルミ板に、SK#1000プライマーを乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装し、標準状態で8時間乾燥を行った。次に、作製したエナメル塗料を乾燥膜厚が40μmとなるようにスプレー塗装し試験体を作製した。作製した試験体を、標準状態で7日間乾燥養生した後、JIS K5400 8.10耐汚染性試験に準じ、塗膜面に15重量%カーボンブラック水分散ペースト液を、直径20mm、高さ5mmとなるように滴下し、50℃の恒温室中に2時間放置した。その後流水中にて洗浄し、塗膜表面の汚染の程度を目視により評価した。評価は以下の通り。
【0046】
◎:痕跡なし。
○:僅かに痕跡あり。
△:痕跡有り。
×:著しい痕跡有り。
【0047】
<評価結果>
評価結果は表4に示した。塗料1〜2が本願発明の実施例であり、塗料3〜6が比較例である。塗料3は一般のアクリル樹脂系塗料と同配合のものであるが、接触角の低下は見られず、雨筋汚染性、染み込み抵抗性についても悪い結果となっている。また、本発明の必須構成要素の一つであるポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物を配合していない塗料4は、効果は認められるものの、特に初期汚染性に劣る結果となった。その他、ポリアルキレンオキサイド鎖含有アルコキシシラン化合物の代わりに、ポリエチレングリコールを添加している塗料5、6は塗膜のツヤ引けが起こっており、塗膜表面にタックも発生した。これにより、塗膜物性に問題があり、実用性が無いことがわかった。
【0048】
【表4】
【発明の効果】
本発明の非汚染塗料組成物によれば、降雨等の塗膜形成後に生ずる作用によって、初めて塗膜が親水性になるのではなく、塗膜形成直後よりその表面が親水性となり、汚れの染み込み抵抗性にも優れるため、汚染物質を洗い流すソイルリリース効果を、塗膜形成後ごく初期より発揮することが可能となる。また、塗膜物性の良好な非汚染型のアクリル樹脂系塗料組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】暴露用板を表す斜視図
【符号の説明】
a:暴露した際に垂直となる面
b:暴露した際に上面となる面
α:折り曲げ角度(135゜)

Claims (3)

  1. (A)アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーを含み、ガラス転移温度が0〜100℃であるアクリル系共重合樹脂の樹脂固形分100重量部に対して、(B)一般式:
    (R1〜R4は炭素数1〜3のアルキル基であり、同一であっても良く異なっていても良い)で表されるアルキルシリケートまたはこれらの縮合物の少なくとも一方をSiO2換算で1〜30重量部(ただし、(B)は、テトラアルコキシシランの平均縮合度4〜20の縮合物であり、該縮合物中のアルキル基が炭素数1〜2と炭素数3〜10のものが混在しているものとし、その混在比率が炭素数3〜10のアルキル基が該縮合物中の全アルキル基の5〜50%である化合物を除く)、および(C)繰り返し単位が2〜40の、アルキレンオキサイド鎖を含有する、重量平均分子量150〜3500のアルコキシシラン化合物を、固形分で0.1〜20重量部含有することを特徴とする非汚染塗料組成物。
  2. アルキルシリケートとしてテトラメチルシリケートおよびテトラエチルシリケートから選ばれるいずれか少なくとも1種を使用するものである請求項1に記載の非汚染塗料組成物。
  3. (C)アルコキシシラン化合物のアルキレンオキサイド鎖が、エチレンオキサイド鎖である請求項1または2に記載の非汚染塗料組成物。
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