JP4136164B2 - 水に容易に分散可能なポリイソシアネート組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水に容易に分散するポリイソシアネート組成物、及び水性エマルジョンと上記ポリイソシアネート組成物からなる常温架橋型二液ウレタンの水系コーティング組成物に関する。
詳細には、本発明は、主として建築用水系塗料、自動車用水系塗料、接着剤、建材、家庭用水系塗料、その他コーティング剤、シーリング剤、インキ、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤の用途に利用できる水系コーティング組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、揮発性有機化合物に関する指針が厳しくなり、アメリカ、ドイツ等ではすでに規制が行われており、日本でも近い将来規制が行われると考えられる。従って、従来、溶剤系塗料として利用されていた常温架橋型二液ウレタンコーティング組成物も水系化が望まれている。
しかし、二液ウレタンコーティング組成物に硬化剤として用いられるポリイソシアネートは、水に分散しにくく、また水と反応し易く、二酸化炭素を発生するという問題点があったため、高乳化性を有し、水分散状態でイソシアネート基と水との反応が抑えられるポリイソシアネートの開発が進められている。
【0003】
特公昭55−7472号公報、特開平5−222150号公報では、高い乳化性を持ったポリイソシアネートを得る方法として、ポリイソシアネート中にノニオン性の親水成分を導入したポリイソシアネートが提案されている。
また、特開平6−17004号公報では、ポリイソシアネートの分散性を向上させるために、乳化性を有する水性エマルジョン分散液を特定することが提案されている。
また、特開平7−48429号公報、特開平7−113005号公報では、ポットライフを延ばすために、ノニオン性親水成分と親油基を導入したポリイソシアネートが提案されている。特開平9−328654号公報では、ノニオン性親水成分と、イオン性親水成分を組み合わせて、ポットライフに優れたポリイソシアネートが提案されている。
【0004】
しかしながら、上記に示した従来のポリイソシアネート組成物は、水又は水性ポリオール中に分散させる場合に、比較的強いシェアーをかけるか、或いは有機溶剤を添加し粘度を低下させ、分散性を向上させる必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水に容易に分散するポリイソシアネート組成物、及びそれを用いた水系コーティング組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、エチレンオキサイド繰返単位数が3.0〜4.9のノニオン親水成分を有するポリイソシアネート組成物が、水に容易に分散できることを見い出し本発明を完成した。
即ち、本発明は:
▲1▼ 一般式(1):
【化2】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、nは平均で3.0〜4.9であり、Zはジイソシアネート或いはポリイシアネートの残基である。)
を有するポリイシアネート組成物であって、
しかも、ポリイシアネート組成物100重量%に対して、(a) 脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、或いはそれらから得られるイソシアネートプレポリマーが50〜95重量%と、 (b)1つ以上の水酸基を有し、3.0〜4.9のエチレンオキサイド繰返単位からなるノニオン性親水成分が5〜50重量%との組成になるように、両成分を反応させて得られる、水に容易に分散可能なポリイソシアネート組成物を提供する。また、
【0007】
▲2▼ ポリイシアネート組成物は、▲1▼ イソシアネート基含有率が実質的に不揮発分100%の状態で3〜24重量%、▲2▼ 粘度が実質的に不揮発分100%の状態で50〜20000mPa.s(25℃)、▲3▼ 重量平均分子量が350〜10000である点にも特徴を有する。また、
▲3▼ 更に、(c) 実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤を0.5〜20重量%混合してなる点にも特徴を有する。また、
▲4▼ (A) 水酸基価1〜300mgKOH/gを有する樹脂又はゴムからなる水性エマルジョン(ラテックス)と、(B) ▲1▼〜▲3▼のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物とを、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.5〜5.0の範囲で配合した、水系コーティング組成物を提供する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
〔I〕ポリイソシアネート組成物
(1)ポリイソシアネート組成物の特徴
1)本発明のポリイソシアネート組成物は、一般式(1):
【化3】
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、nは平均で3.0〜4.9であり、Zはジイソシアネート或いはポリイシアネートの残基である。)
を有するポリイシアネート組成物であって、
しかも、ポリイシアネート組成物100重量%に対して、(a) 脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、或いはそれらから得られるイソシアネートプレポリマーが50〜95重量%と、 (b)1つ以上の水酸基を有し、3.0〜4.9のエチレンオキサイド繰返単位からなるノニオン性親水成分が5〜50重量%との組成になるように、両成分を反応させるて得られる、水に容易に分散可能なポリイソシアネート組成物に関する。
【0009】
2)本発明のポリイソシアネート組成物は、「水に容易に分散することができる」点が最大の特徴であり、そのためには、ポリイソシアネート組成物を構成するノニオン親水成分(b) がエチレンオキサイド繰返単位数が3.0〜4.9の小さい値を有することが必要である。
ここで、「水に容易に分散する」とは、弱い攪拌で、水又は水性エマルジョン中へ分散することを指す。弱い攪拌とは、ハンドミキサーや、棒を用いる程度の攪拌である。
水への分散の程度を実験的に測定する場合は、例えば、水12gとポリイソシアネート組成物8gを、直径4cm程度のカップに入れ、直径3.5cmのSUS3枚羽根で、殆どのポリイソシアネート組成物が分散する攪拌条件を測定し、その攪拌条件をもって分散の程度を表す。
本発明のポリイソシアネート組成物が「水に容易に分散する」と言えるためには、500rpm×5分、好ましくは300rpm×4分、より好ましくは200rpm×3分の攪拌条件で、殆どのポリイソシアネート組成物が水中へ分散する必要がある。
【0010】
3)本発明のポリイソシアネート組成物は、「実質的に不揮発分100%の状態」にあることが好ましい。
本発明でいう「実質的に不揮発分100%の状態」とは、ポリイソシアネート組成物中に、実質的に揮発性のジイソシアネートや溶剤等の揮発成分を含んでいない状態をいい、その目安を言えばポリイソシアネート組成物中に揮発成分が1重量%以下の状態を言う。
なお、後述するが本発明のポリイソシアネート組成物は、使用する際に有機溶剤等を混合して用いても良い。
【0011】
(2) ポリイソシアネート組成物の構造特性
(i) イソシアネート基含有率
本発明のポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基含有率は、実質的に不揮発分100%の状態で3〜24重量%、好ましくは6〜20重量%、より好ましくは8〜18重量%である。
イソシアネート基含有率が3重量%未満では、コーティング組成物中の架橋架橋密度が小さくなり、塗膜等の被覆物が脆弱化する場合がある。
また、イソシアネート基含有率は、親水成分の導入量と分子量から決定されるため、必然的に上限は24重量%以下となる。
【0012】
(ii) 粘度
本発明のポリイソシアネート組成物の粘度は、実質的に不揮発分100%の状態で50〜20000mPa.s(25℃)、好ましくは100〜12000mPa.s、より好ましくは200〜8000mPa.sである。
20000mPa.sを越えると取り扱いが困難となる場合がある。
水への分散を考えると粘度は低いほど望ましいが、50mPa.s未満では、架橋能力の低いジイソシアネートを大量に含んでしまう場合があるため好ましくない。
【0013】
(iii) 重量平均分子量
また、本発明のポリイソシアネート組成物の重量平均分子量は、350〜10000、好ましくは500〜5000、より好ましくは700〜3000である。
必要な親水成分 (b)を導入すると重量平均分子量は必然的に350以上となる。10000を超えるとポリイソシアネート組成物の粘度が高くなり、取り扱いが困難となる場合がある。
【0014】
(3) ポリイシアネート組成物の各構成成分
(i) イソシアネート成分(a)
1)ジイソシアネート
本発明で使用する脂肪族、及び/または脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネートは、工業的に入手し易く好ましい。更に、ヘキサメチレンジイソシアネートは、得られるポリイソシアネート組成物の粘度が低くなり、水への分散性が良好となるため特に好ましい。
【0015】
2)イソシアネートプレポリマー
上記の脂肪族、及び/または脂環式ジイソシアネートから得られるイソシアネートプレポリマーとは、分子内にビュウレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート等の構造を有するものである。
特に、ビウレット構造を有するイソシアネートプレポリマーは、コーティング組成物の密着性が優れるという特徴があり、またイソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマーは、水分散安定性が優れるという特徴があるため好ましい。
更に、一部ウレタン構造及び/又はアロファネート構造を含有するイソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマーは、より一層水分散安定性が優れるために、より好ましい。
なお、本発明でいう「水分散安定性」とは、水或いは水性エマルジョン中に分散したポリイソシアネート組成物の安定の程度のことを指す。
また、「水分散安定性が優れている」とは、分散したポリイソシアネート組成物が沈殿しない状態をいう。
【0016】
3)イソシアネート成分(a) の量
本発明で用いる脂肪族及び/または脂環式ジイソシアネート、またはイソシアネートプレポリマーに由来する成分(a) は、実質的に不揮発分100%の状態のポリイソシアネート組成物に対して、50〜95重量%、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは70〜85重量%から構成されるものである。
50重量%未満では、架橋に関与する成分が少なくなり、塗膜が脆くなる場合がある。95重量%を超えると、親水成分が少なくなるため、水に分散する能力が低下する場合がある。
【0017】
(ii)ノニオン性の親水成分 (b)
1)本発明で用いるノニオン性の親水成分 (b)は、1つ以上、好ましくは1つの「水酸基」を有し、エチレンオキサイド繰返単位(鎖)を有するポリエチレングリコールモノアルキルエーテルである。
他に、プルロニック型ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられるが、中でも特に好ましいのは、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルである。
なお、水酸基が1つ未満ではイソシアネートプレポリマーと反応できない親水成分が生成するため、塗膜等の被覆物の耐水性が低下する場合がある。
【0018】
2)本発明で用いるノニオン性の親水成分のエチレンオキサイド繰返単位数は、3.0〜4.9、好ましくは3.0〜4.5、より好ましくは4.0〜4.5である。
繰返単位数が3.0未満では水分散安定性が劣る場合があるために好ましくない。4.9を超えると、水に容易に分散する能力が低下し、また水系コーティング組成物のポットライフ終了後に固化しにくい場合があるために好ましくない。
3.0〜4.9というエチレンオキサイド繰返単位を用いることによって、ポリイソシアネート組成物は、水又は水性エマルジョンに容易に分散することができる。
なお、エチレンオキサイド繰返単位数は、親水成分 (b)の水酸値を測定し、その計算された分子量から換算することによって求めることができる。
【0019】
3)親水成分 (b)の量
本発明のポリイソシアネート組成物へのノニオン性の親水成分 (b)に由来する量は、ポリイソシアネート組成物に対して5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜30重量%から構成されるものである。
5重量%未満では、水へ分散させることが出来ない場合があるため好ましくない。50重量%を越えると、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基含有率が小さくなり、架橋密度が低下する場合があるため好ましくない。
【0020】
(4) ポリイソシアネート組成物の製造
本発明において、(a)のイソシアネートプレポリマーと、(b)のノニオン性の親水成分を反応させるとは、イソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と、ノニオン親水成分の水酸基をウレタン化反応させることである。
ウレタン化反応に際しては、通常のウレタン化反応条件に従って、例えば通常40〜160℃、好ましくは50〜140℃、より好ましくは60〜120℃で、通常の大気雰囲気下或いは窒素雰囲気下で行われる。
なお、反応の際にウレタン化触媒、例えばジブチル錫ジラウレート、ジエチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジクロライド等のスズ系化合物や、亜鉛系化合物、アミン系化合物等を用いて、反応を促進させても良い。
この場合、5以上のエチレンオキサイド繰返単位からなるノニオン性の親水成分 (b)を混合することによって、水分散安定性の向上、粘度の低減、イソシアネート基含有率の向上を図ることができる。
【0021】
(5) イオン性界面活性剤(c)
(i) 本発明のポリイソシアネート組成物には、更に実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤(c) を混合することができる。
1)イオン性界面活性剤(c) を混合することによって、本発明のポリイソシアネート組成物の水分散安定性が飛躍的に向上するため、本発明で用いる比較的短いエチレンオキサイド鎖のノニオン性親水成分 (b)でも、水分散安定性を十分に達成することができる。
【0022】
2)さらに、水や水性エマルジョンに分散させた場合、ポリイソシアネート組成物からなる油滴中のイソシアネート基が、水や水酸基から保護する能力を著しく向上するため、水系コーティング組成物のポットライフを飛躍的に向上させることが出来る。
【0023】
3)以上のように、ポリイソシアネート組成物の製造に当たり、イオン性界面活性剤(c) を用いることは、塗料設計上非常に好ましい。
イオン性界面活性剤(c) を用いない場合は、水性エマルジョンの乳化力によりポリイソシアネート組成物を乳化させる使用方法が好ましい。
なお、本発明でいう「実質的に水を含有しない」とは、混合したイオン性界面活性剤(c) に含まれる水とイソシアネート基が反応し、発泡、白濁及び粘度上昇が起こらない程度を指す。その目安をいえばイオン性界面活性剤に対して1重量%以下である。
また、ここでいう「水分散安定性」とは、水又は水性エマルジョンに分散させた場合、分散したポリイソシアネート組成物からなる油滴が、水又は水性エマルジョン中に安定に存在することを指す。
水分散安定性が低ければ、分散した油滴は沈殿する。
【0024】
(ii) イオン性界面活性剤(c) の種類
イオン性界面活性剤(c) は、アニオン性、ノニオン性、両性いずれでもよいが、イソシアネート基を水や水酸基から保護する能力を考えると、アニオン性が最も好ましい。
・アニオン性界面活性剤としては、カルボキシレート型、サルフェート型、スルホネート型、ホスフェート型が適している。
例えば、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、アルキルサルフェートナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホネートナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルホスフェート等が挙げられる。
・カチオン性界面活性剤としては、四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩が適している。
例えば、アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、アルキルピリジニウムブロマイド、イミダゾリニウムラウレートが挙げられる。
【0025】
(iii) イオン性界面活性剤(c) の混合量
イオン性界面活性剤の混合量は、ポリイソシアネート組成物に対して、0.5〜20重量%、好ましくは0.7〜12重量%、より好ましくは1.0〜8重量%である。
0.5重量%未満では、イオン性界面活性剤を混合することによる水分散安定性の効果が発現されない場合がある。20重量%を越えると、架橋に関与しない成分が増えすぎるために、塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こす場合がある。
(6) 有機溶剤の添加
(i) 本発明のポリイソシアネート組成物は、有機溶剤を添加して使用することもできる。
有機溶剤を添加したポリイソシアネート組成物は、粘度が低くなるため、取り扱いが容易になり、水への分散が容易になるという効果がある。
この場合、有機溶剤はイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが必要である。また、有機溶剤は本発明のポリイソシアネート組成物と相溶する事が必要である。
【0026】
(ii)有機溶剤の種類
このような有機溶剤としては、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、グルタル酸ジイソプロピル等のエステル化合物;
ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル化合物;
【0027】
2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン2−ヘプタノン,4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン化合物;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ブチルベンゼン,p−シメン等の芳香族化合物;
ジエチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジエチルエーテル,トリエチレングリコールジメチルエーテル等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物;
ジエチレングリコールジアセテート等のポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物;
更にジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルモノカルボキシレートなどが挙げられる。
【0028】
(iii) 有機溶剤の量
本発明のポリイソシアネート組成物に添加する有機溶剤の量は1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。
1重量%未満では有機溶剤を混合するメリット、即ち取扱いや水への分散性の向上がみられない場合があり好ましくない。
50重量%を超えると本発明の水系コーティング組成物の中に占める揮発性有機化合物の量が多くなる場合があり、好ましくない。
【0029】
[II] 水系コーティング組成物
(1) 本発明は、(A)成分として水酸基価1〜300mgKOH/gの水性エマルジョンと、(B)成分として前記のポリイソシアネート組成物を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.5〜5.0の範囲で配合してなる水系コーティング組成物を提供することができる。
該水性エマルジョン(A) と前記ポリイソシアネート組成物(B) を混合した水系コーティング組成物は、ポットライフ終了後に固化し易い特徴を有する。
なお、ここでいう「エチレンオキサイド繰返単位の数」は、数平均の重合度のことをいう。
【0030】
また、ここでいう「ポットライフ」とは、水系コーティング組成物において、水性エマルジョン(A) とポリイソシアネート組成物(B) を混合してから、塗布した塗膜の物性が低下するようになるまでの時間をいう。
混合したコーティング組成物中のイソシアネート含有率が50%以下となると、塗膜の白化や硬化不良等塗膜の物性が低下が現れる場合があるため、「ポットライフ」の一つの目安として、コーティング組成物を混合してから、イソシアネート含有率が50%以下となるまでの時間で表すことができる。
【0031】
(2) 水性エマルジョン(A)
(i) 水性エマルジョン(A) の種類
本発明で使用される水性エマルジョン(A) とは、ラテックス、エマルジョンと表現される全ての樹脂又はゴムを含む。
例えば、塩化ビニリデン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、酢酸ビニル系共重合体、(メタ)アクリル系エマルジョン、フッ素系共重合体エマルジョン、スチレン/ブタジエン系共重合体ラテックス、アクリロニトリル/ブタジエン系共重合体、ゴム系ラテックス、ブタジエン系共重合体、ウレタン/アクリル系エマルジョン等のエチレン性不飽和重合体ラテックス又はエマルジョン:ポリウレタンエマルジョンである。
ポリウレタンエマルジョン、アクリル系エマルジョン、フッ素系共重合体エマルジョンは特に好ましい。
【0032】
(ii)水酸基価
本発明で使用する水性エマルジョン(A)の水酸基価は、1〜300mgKOH/g、好ましくは5〜150mgKOH/g、より好ましくは10〜100mgKOH/gである必要がある。
1mgKOH/g未満では、コーティング組成物中の架橋点が少なくなり、硬化速度の低下、あるいは塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こす場合があり、好ましくない。300mgKOH/gを超えると逆に架橋点が多すぎるために、被覆物が、堅く脆くなる場合がある。なお、本発明でいう水酸基価は、水性エマルジョンの不揮発成分に対する値である。
【0033】
(iii) 粒子径
本発明で使用する水性エマルジョン(A)の粒子径は、0.01〜1.0μm、好ましくは0.02〜0.5μm、より好ましくは0.05〜0.2μmである。
0.01μm未満では、水性エマルジョンの粘度が高くなる場合があり、好ましくない。1.0μmを超えると、塗膜等被覆物の耐水性や、光沢が低下する場合があり、好ましくない。
【0034】
(iv) 水性エマルジョン(A)とポリイソシアネート組成物(B) との混合比
本発明では、(A)水性エマルジョンと(B) ポリイソシアネート組成物とのイソシアネート基/水酸基の当量比は、0.5〜5.0、好ましくは、0.8〜3.0、より好ましくは1.0〜2.0である。
0.5未満では、コーティング組成物中の架橋点が少なくなり、硬化速度の低下、あるいは塗膜等の被覆物の脆弱化を引き起こす場合があるため好ましくない。5.0を超えると、被覆物が脆くなる場合があり好ましくない。
本発明の水系コーティング組成物とは、水性エマルジョンとポリイソシアネート組成物を混合したものだけでなく、別々の容器に入れられて、塗装前に混合されるべくセットで取り扱っている状態も含む。
【0035】
(2) 添加剤
本発明のポリイソシアネート組成物、及び水系コーティング組成物には、必要に応じて、顔料、分散安定剤、粘度調整剤、レベリング剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、硬化促進触媒等を添加することが出来る。
【0036】
(3) ポリイソシアネート組成物、及び水系コーティング組成物の特徴
1)本発明のポリイソシアネート組成物は、水や水性エマルジョンに容易に分散するという特徴を有している。
2)また、本発明の水系コーティング組成物を構成する水性エマルジョン(A)は、常温または加熱して乾燥させることによって、強靱な硬い塗膜を得ることができるだけでなく、ポットライフ終了後、水系コーティング組成物が固化し易い特徴を有しているため、現場塗装の際にも、ポットライフ終了後に誤って塗布する可能性が低くなる。
【0037】
3)さらに、イオン性界面活性剤(c) を用いたポリイソシアネート組成物は、水分散状態でイソシアネート基と水との反応が抑えられるため、水系コーティング組成物とした場合に、長いポットライフを達成することができる。
従って、従来、溶剤系のポリウレタン塗料が用いられていた塗料、特に建築外装塗替え用塗料あるいは自動車補修用塗料、プラスチック用塗料に使用することができる。
更にはシーリング剤、接着剤、インキ、コーティング材、注型材、エラストマー、フォームやプラスチック原料、繊維処理剤など幅広い分野に応用することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
本発明で用いた測定方法及び調整法を以下に示す。
▲1▼ イソシアネート基含有率
イソシアネート基含有率は、試料約2gに10mlのトルエンを加え、イソシアネート基を過剰の2Nアミン(トルエン溶液)で中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
▲2▼ 粘度
粘度は、E−型粘度計(株式会社トキメック社製)により25℃で測定した。
▲3▼ 重量平均分子量
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めた。
なお、GPCは(カラム:東ソー株式会社製TSKgelSuper1000、TSKgelSuper2000、TSKgelSuper3000、キャリアー:THF、検出方法:視差屈折計)にて測定した。
【0039】
▲4▼ 水分散性
水への分散し易さは、水12gとポリイソシアネート組成物8gを、直径4cmのポリカップに入れ、直径3.5cmのSUS3枚羽根で200crpm×3分、あるいは300rpm×4分、あるいは500rpm×5分攪拌し、分散状態を目視で観察した。
▲5▼ イソシアネート基保持率
水分散液のイソシアネート基保持率は、水12gとポリイソシアネート組成物8gを、直径4cmのポリカップに入れ、直径3.5cmのSUS3枚羽根で600rpm×10分攪拌しイソシアネート含有率を測定、更に20℃65%RH条件で放置し、所定時間後のイソシアネート含有率を測定し、以下の式から求めた。
(所定時間後のイソシアネート基含有率)/(攪拌直後のイソシアネート基含有率)×100%
【0040】
▲6▼ 水系コーティング組成物の調製
水系コーティング組成物は、水性エマルジョンにポリイソシアネート組成物を所定量添加し、600rpmで10分間攪拌して作成した。
▲7▼ 粒子径
粒子径は、マイクロトラックUPA粒度分布計(Leeds+Northrup社製)を用いて測定した。
▲8▼ 塗膜の硬度
塗膜の硬度は、ケーニッヒ硬度計で、ガラス板=180として測定した。
▲9▼ ポットライフ
水系コーティング組成物のポットライフは、混合した水系コーティング組成物のイソシアネート含有率を測定し、その値が、混合直後の50%以下となった時間で表した。
【0041】
【水性エマルジョンの合成例1】
滴下漏斗、メカニカルスターラーを備え付けた2リットルの四ッ口フラスコに水675gとエマノールNC(アニオン界面活性剤、35%水溶液、花王株式会社製)4.3gを入れ、80℃に加熱し、開始剤として過硫酸アンモニウム(2%水溶液)8gを入れた。次に、フラスコ内に下記の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間80℃に保った。
【0042】
2−ヒドロキシメチルメタクリレート 25g(3.5重量%)
アクリル酸 10g(1.4重量%)
アクリルアミド 2g(0.3重量%)
グリシジルメタアクリレート 27g(3.8重量%)
メチルメタアクリレート 353g(49.0重量%)
ブチルアクリレート 293g(40.7重量%)
スチレン 9g(1.3重量%)
水 400g
過硫酸アンモニウム(2%水溶液) 31g
エレミノールJS−2(注1) 38g
エマルゲン920(注2) 9g
(注1)反応性乳化剤、39%水溶液、三洋化成株式会社製
(注2)ノニオン界面活性剤、25%水溶液、花王株式会社
得られた水性エマルジョンは乳白色、不揮発分38%の安定な分散液であり、粒子径は0.1μmであった。計算から求められた水酸価15.0mgKOH/g、酸価10.8mgKOH/g、ガラス転移点温度15.7℃であった。
【0043】
(実施例1)
メトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG、エチレンオキサイド繰り返し単位=4.2個、日本乳化剤(株)製)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ニューコール291M、不揮発分70%、日本乳化剤(株)製)を不揮発分重量比で3:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。イソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(商品名:デュラネートTPA−100、旭化成工業(株)製)100gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物25gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。
得られたポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は15.0%、重量平均分子量は900、粘度は3000mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物の水への分散し易さを測定すると200rpm×3分の攪拌でほぼ完全に分散した。水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、75%であった。
【0044】
(実施例2)
メトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG、日本乳化剤(株)製)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:TR−70、不揮発分70%、三井サイティック(株)製)を不揮発分重量比で9:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。ウレタン変性したイソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(デュラネートTHA−100、旭化成工業(株)製)と上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物25gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。
得られたポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は12.7%、重量平均分子量は1000、粘度は3900mPa・sであった。
このポリイソシアネートを水への分散し易さを測定すると、200rpm×3分でほとんど分散した。水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、70%であった。
【0045】
(実施例3)
メトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG、日本乳化剤(株)製)とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ニューコール291M、日本乳化剤(株)製)を不揮発分重量比で9:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。ウレタン変性したイソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(商品名:デュラネートTSA−100、旭化成工業(株)製)100gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物25gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。
得られたポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は12.6%、重量平均分子量は900、粘度は900mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物の水への分散し易さを測定すると、200rpm×3分でほとんど分散した。水分散液の20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、70%であった。
【0046】
(実施例4)
ウレタン変性されたヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(デュラネートTHA−100、旭化成工業(株)製)100gとメトキシポリエチレングリコール(MPG、日本乳化剤(株)製)20gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。
得られたポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は8.5%、重量平均分子量は1200、粘度は6000mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物を水への分散し易さを測定すると、200rpm×3分でほとんど分散した。水分散液を20℃3時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、80%であり、20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、0%であった。
【0047】
(実施例5)
メトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG、日本乳化剤(株)製)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ニューコール291M、不揮発分70%、日本乳化剤(株)製)を不揮発分重量比で3:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。ビウレット構造を有するイソシアネートプレポリマー(商品名:デュラネート24A−100、旭化成工業(株)製)100gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物40gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。
得られたポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は9.4%、重量平均分子量は1200、粘度は6500mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物の水への分散し易さを測定すると200rpm×3分の攪拌でほとんど分散した。水分散液を20℃3時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、75%であったが、20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率は0%であった。
【0048】
(実施例6)
撹拌機、温度計、冷却管を取り付けた四ッ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを1000gとメトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG、日本乳化剤(株)製)40gを仕込み、撹拌下90℃で2時間ウレタン化反応を行った。次いで、90℃でイソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエート0.04gを加えた。4時間後、反応液のイソシアネート基含有率および屈折率測定により、ポリイソシアネートへの転化率が30%になった時点で、リン酸0.16gを添加し反応を停止した。触媒毒添加直後の屈折率上昇は、0.012であった。
析出物を濾過により除去した後、流下式薄膜蒸発装置を用いて、1回目0.3Tor.(155℃)、2回目0.2Tor.(145℃)で未反応のヘキサメチレンジイソシアネートを除去した。
【0049】
得られたイソシアネートプレポリマーは、微黄色、透明の液体で、収量は300g、粘度は800mPa・s、イソシアネート基含有率は20.2重量%であった。メトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG、日本乳化剤(株)製)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ニューコール291M、日本乳化剤(株)製)を不揮発分重量比で3:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。上記のイソシアネートプレポリマー100gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物10gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。
【0050】
得られたポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は16.4%、重量平均分子量は900、粘度は1300mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物の水への分散し易さを測定すると200rpm×3分の攪拌でほとんど分散した。水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は70%であった。
【0051】
(実施例7)
メトキシポリエチレングリコール1(商品名:MPG、エチレンオキサイド繰返単位=4.2個、日本乳化剤(株)製)とメトキシポリエチレングリコール2(商品名:MPG−130、エチレンオキサイド繰返単位=9.1個、日本乳化剤(株)製)を重量比87.5:12.5で混合し、メトキシポリエチレングリコール3(エチレンオキサイド繰返単位=4.8)を得た。
このメトキシポリエチレングリコール3とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(ニューコール291M、日本乳化剤(株)製)を不揮発分重量比で9:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。
イソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(商品名:デュラネートTPA−100、旭化成工業(株)製)100gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物25gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行い、ポリイソシアネート組成物を得た。
【0052】
このポリイソシアネート組成物は、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は14.2%、重量平均分子量は900、粘度は1300mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物の水への分散し易さを測定すると、200rpm×3分でほとんど分散した。水分散液の20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は、75%であった。
【0053】
(実施例8)
水性エマルジョンの合成例1で得た水性エマルジョンと実施例3で得たポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.5で混合し、水系コーティング組成物を得た。
この水系コーティング組成物のポットライフは、20℃で10時間であり、翌日この水系コーティング組成物は完全に固化していた。
このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると79%、ケーニッヒ硬度は40、20℃の水に4時間浸漬しても塗膜の白化は認められなかった。
また、同じ水性エマルジョンとポリイソシアネートをイソシアネート基と水酸基の当量比=1.0で混合した水系コーティング組成物のポットライフは、20℃で10時間であり、24時間後に完全に固化していた。
【0054】
(比較例1)
ウレタン変性のイソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(商品名:デュラネートTSA−100、旭化成工業(株)製)100gとメトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG130、エチレンオキサイド繰返単位数=9.1、日本乳化剤(株)製)25gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。
得られたポリイソシアネートは、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は14.7%、重量平均分子量は1000、粘度は800mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物の水への分散し易さを測定すると200rpm×3分、300rpm×4分の攪拌では大量の溶け残りが観察され、500rpm×5分でも、少量の溶け残りが観察された。水分散液を20℃4時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は0%であった。
【0055】
(比較例2)
メトキシポリエチレングリコール(商品名:MPG−130)とジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(商品名:ニューコール291M、不揮発分70%、日本乳化剤(株)製)を不揮発分重量比で9:1になるように混合し、減圧蒸留によって水及び溶剤を除いた。ウレタン変性のイソシアヌレート構造を有するイソシアネートプレポリマー(商品名:デュラネートTSA−100、旭化成工業株式会社製)100gと上記より得られたメトキシポリエチレングリコールとジアルキルスルホコハク酸ナトリウムの混合物25gを混ぜ、90℃で8時間ウレタン化反応を行った。得られたポリイソシアネートは、淡黄色液体であり、イソシアネート基含有率は14.9%、重量平均分子量は1000、粘度は1000mPa・sであった。
このポリイソシアネート組成物の水への分散し易さを測定すると200rpm×3分、300rpm×4分の攪拌では大量の溶け残りが観察され、500rpm×5分でも、少量の溶け残りが観察された。水分散液を20℃6時間放置したときのイソシアネート基含有率の残存率は70%であった。
【0056】
(比較例3)
水性エマルジョンの合成例1で得た水性エマルジョンと比較例1で得たポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.5で混合し、水系コーティング組成物を得た。
この水系コーティング組成物のポットライフは、20℃で3時間で、24時間後には粘度上昇していた。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、やや曇った塗膜を得た。ゲル分率を測定すると77%、ケーニッヒ硬度は40、20℃の水に4時間浸漬すると塗膜が白化した。
また、同じ水性エマルジョンとポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.0で混合した水系コーティング組成物のポットライフは20℃で3時間であり、24時間後にも液状のままであった。
【0057】
(比較例4)
水性エマルジョンの合成例1で得た水性エマルジョンと比較例2で得たポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.5で混合し、水系コーティング組成物を得た。
この水系コーティング組成物のポットライフは、20℃で10時間で、24時間後には粘度上昇していた。このコーティング組成物を用いて厚さ40μmの塗膜をつくり、20℃65%RHで24時間硬化したところ、透明塗膜を得た。ゲル分率を測定すると79%、ケーニッヒ硬度は40、20℃の水に4時間浸漬しても塗膜の白化は認められなかった。
また、同じ水性エマルジョンとポリイソシアネート組成物をイソシアネート基と水酸基の当量比=1.0で混合した水系コーティング組成物のポットライフは20℃で10時間であり、24時間後にも液状のままであった。
【0058】
【発明の効果】
本発明のポリイソシアネート組成物は、水や水性エマルジョンに容易に分散するという特徴を有している。
また、本発明の水系コーティング組成物は、ポリイソシアネート組成物と水性エマルジョンを混合し、常温または加熱して乾燥させることによって、強靱な硬い塗膜を得ることができるだけでなく、ポットライフ終了後、水系コーティング組成物が固化し易い特徴を有しているため、現場塗装の際にも、ポットライフ終了後に誤って塗布する可能性が低くなる。
さらに、イオン性界面活性剤を用いたポリイソシアネート組成物は、水分散状態でイソシアネート基と水との反応が抑えられるため、水系コーティング組成物とした場合に、長いポットライフを達成することができる。
従って、従来、溶剤系のポリウレタン塗料が用いられていた塗料、特に建築外装塗替え用塗料あるいは自動車補修用塗料、プラスチック用塗料に使用することができる。
更にはシーリング剤、接着剤、インキ、コーティング材、注型材、エラストマー、フォームやプラスチック原料、繊維処理剤など幅広い分野に応用することができる。
Claims (4)
- ポリイシアネート組成物は、▲1▼ イソシアネート基含有率が実質的に不揮発分100%の状態で3〜24重量%、▲2▼ 粘度が実質的に不揮発分100%の状態で50〜20000mPa.s(25℃)、▲3▼ 重量平均分子量が350〜10000であることを特徴とする、請求項1記載の水に容易に分散可能なポリイソシアネート組成物。
- 更に、(c) 実質的に水を含有しないイオン性界面活性剤を0.5〜20重量%混合してなることを特徴とする、請求項1又は2記載のポリイソシアネート組成物。
- (A) 水酸基価1〜300mgKOH/gを有する樹脂又はゴムからなる水性エマルジョン(ラテックス)と、(B) 請求項1〜3のいずれかに記載のポリイソシアネート組成物とを、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.5〜5.0の範囲で配合したことを特徴とする、水系コーティング組成物。
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