JP4135560B2 - 米飯保温器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、米飯保温器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の米飯保温器(ジャー炊飯器)の構成および動作について図8を参照しながら説明する。
【0003】
図8において、1は内釜で、所定量の米と水を入れて加熱調理を行う。本体2の内枠3の底には、内釜1の底に接するように内釜1の温度を検出する温度検出手段4が設けられている。また、内枠3の底には、内釜1内の米飯を加熱する電磁誘導式の加熱手段5があり、6は加熱手段5を制御する制御手段である。制御手段6は、加熱手段5に電力を供給する高周波電源も有する。また、内枠3の上部にも保温用加熱手段7があり、本体2の上部には開閉可能な蓋8がある。蓋8の内面には、放熱板9と蓋加熱手段10および内釜1の温度を検出する蓋温度検出手段11が設けられている。また、本体2の上部には、操作パネル12が設けられている。
【0004】
上記構成の米飯保温器により、保温中の米飯の温度を内釜1の底に接する温度検出手段4で検出し、この検出値をもとに制御手段6が予め設定された設定保温温度、例えば72℃となるように加熱手段5に電力を供給し、ステンレスとアルミニウムからなるクラッド材の内釜1のステンレス層を電磁誘導により加熱する。また、保温用加熱手段7や蓋加熱手段10の入力を制御手段6が電子制御することにより、米飯の量に応じた加熱量を与え、設定保温温度72℃に米飯温度を保つことができる。
【0005】
一般に、米飯は保温温度が高くなると、米飯中の脂質、タンパク質および炭水化物が空気中の酸素と酸化反応を起こしたり、あるいはこれらの物質が分解あるいは重合反応を起こしたりするので、米飯の黄変化、保温臭の発生、食味物性の低下が起こる。また、保温温度が低くなると、細菌による米飯の腐敗が起こる。これらの問題点を解決するために、これまでに様々な技術が開発されてきた。
【0006】
従来、この種の米飯保温器は、内釜1内の酸素を排気する気体分離膜などを備えている(例えば、特許文献1参照)。図9は、特許文献1に記載された従来の米飯保温器を示すものである。
【0007】
図9において、13は内釜1内の空気を減圧する減圧装置、14は空気中の酸素のみを通過させる気体分離膜であり、内釜1内の空気を外部に排出して内釜1内の酸素の絶対量を減少させるか、あるいは酸素のみを通過させる気体分離膜14を用いて減圧し、内釜1内の酸素のみを排出させて酸素濃度を低下させながら、酸素の絶対量を減少させるかして、保温中の米飯の黄変化や保温臭の発生を防止していた。
【0008】
しかしながら、従来の構成では、内釜1内の空気を減圧装置13で排出させる構造なので、内釜1内の高度な密閉性が要求され、一種の圧力容器となって構成が複雑となり、また、長時間高気密性を維持することは極めて困難であり、そして一種の圧力容器となっているので、一般家庭用として構成することが難しいという問題を有していた。
【0009】
また、数時間保温すると密閉性が損なわれ、空気が流入して内釜1内の酸素濃度が上昇し、保温による米飯の劣化が発生するという問題を有していた。また、炊飯後の内釜1内には多量の水分が存在し、内釜1内は飽和水蒸気になっており、この空気を排出する際に、多量の水が減圧装置13や気体分離膜14に結露し、気体分離膜14などの能力が低下するという問題と、気体分離膜14などに溜まった水が腐敗するという問題があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−154039号公報(第1図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、内釜内の酸素を排気して米飯の黄変化や食味物性の低下を抑制し、長時間保温しても米飯が美味しい米飯保温器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の米飯保温器は、酸素イオン導電性を有する固体電解質と、前記固体電解質の両面に互いに対向して形成された一対の電極と、前記固体電解質を支持するガスケットと、前記ガスケットを挟持する一対のセパレータと、前記一対のセパレータを挟持する一対の集電板を有する酸素ポンプセルを少なくとも一つ以上備えた酸素ポンプと、米飯を収容する内釜と、前記内釜の上方に載設された開閉可能な蓋と、前記内釜の米飯を加熱する加熱手段と、前記内釜の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出値をもとに前記加熱手段を用いて前記米飯を所定温度に制御する制御手段と、前記酸素ポンプを用いて前記内釜内の酸素を大気に放出するガス排気管と、前記酸素ポンプと前記ガス排気管の間に設けた封止バルブと、前記酸素ポンプの固体電解質を加熱するヒーターを備えたものである。
【0013】
これによって、酸素ポンプが内釜内の酸素を排気するので、米飯の黄変化や食味物性の低下を抑制することができ、保温しても美味しい米飯を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記した本発明の目的は、各請求項に記載した構成を実施の形態とすることにより達成できるので、以下には各請求項の構成にその構成による作用効果を併記し併せて請求項記載の構成のうち説明を必要とする特定用語については詳細な説明を加えて、本発明における実施の形態の説明とする。
【0015】
請求項1に記載の発明は、酸素イオン導電性を有する固体電解質と、前記固体電解質の両面に互いに対向して形成された一対の電極と、前記固体電解質を支持するガスケットと、前記ガスケットを挟持する一対のセパレータと、前記一対のセパレータを挟持する一対の集電板を有する酸素ポンプセルを少なくとも一つ以上備えた酸素ポンプと、米飯を収容する内釜と、前記内釜の上方に載設された開閉可能な蓋と、前記内釜の米飯を加熱する加熱手段と、前記内釜の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出値をもとに前記加熱手段を用いて前記米飯を所定温度に制御する制御手段と、前記酸素ポンプを用いて前記内釜内の酸素を大気に放出するガス排気管と、前記酸素ポンプと前記ガス排気管の間に設けた封止バルブと、前記酸素ポンプの固体電解質を加熱するヒーターを備えたものである。
【0016】
この実施の形態により、酸素ポンプが内釜内の酸素を排気するので、米飯の黄変化や食味物性の低下を抑制することができ、保温しても美味しい米飯を提供することができる。さらに、固体電解質の酸素ポンピング作用により外部空気中に含まれる酸素のみを効率よく除去し、内釜内の酸素濃度を減少させるので、細菌の活性を抑えることができ、米飯の腐敗を遅延させることができる。
【0017】
また、酸素ポンプセルを積層(スタック)することも可能なので、電極面積が小さくても枚数を重ねることにより、小型で排気性能の優れた酸素ポンプを得ることができる。
【0018】
また、酸素を大気に放出するガス排気管にガスなどの流入を遮断することのできる封止バルブを備えることにより、炊飯による水蒸気やおねばなどが酸素ポンプに流入するのを防ぐことができ、結露による水分が溜まったりすることがなくなるので、米飯保温器を常に衛生的に保つことができる。また、酸素濃度の高いガスの逆流を防ぐので、内釜内の酸素濃度を効率よく常時低く保つことができるとともに、特別な圧力容器の構造にする必要性もないので簡単にできる。
【0019】
さらに、酸素ポンプセルの数が少なく、自己発熱量が少なくても、ヒーターで補助加熱するので、酸素ポンプの大きさやセル数に依存せず、安定した排気性能を確保することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、酸素イオン導電性を有する固体電解質と、前記固体電解質の両面に互いに対向して形成された一対の電極と、前記固体電解質を支持するガスケットと、前記ガスケットを挟持する一対のセパレータと、前記一対のセパレータを挟持する一対の集電板を有する酸素ポンプセルを少なくとも一つ以上備えた酸素ポンプと、米飯を収容する内釜と、前記内釜の上方に載設された開閉可能な蓋と、前記内釜の前記米飯を加熱する加熱手段と、前記内釜の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出値をもとに前記加熱手段を用いて前記米飯を所定温度に制御する制御手段と、前記酸素ポンプを用いて前記内釜内の酸素を大気に放出するガス排気管と、前記酸素ポンプと前記ガス排気管の間に設けた封止バルブを備え、前記酸素ポンプの自己発熱を利用して米飯を加熱することにより、米飯保温器に備えられた内釜を加熱する加熱手段の省力化を図っても、米飯を保温することができるので、省電力化を図ることができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における米飯保温器の要部断面構成図である。図1において、1は米飯保温器の本体2内に設けた内釜で、所定量の米と水を入れて加熱調理を行う。内釜1の外側底に対向して本体2内には、内釜1の温度を検出する内釜温度検出手段4を内釜1に接するように設け、さらに内釜1を加熱する電磁誘導の加熱コイルからなる加熱手段5を設けている。6はマイクロコンピュータを主体とする制御手段で、加熱手段5に電力を供給する高周波電源も備えている。また、内釜1の上部には、保温用加熱手段7(保温ヒーター)があり、蓋8の下部の放熱板9には蓋加熱手段10(蓋ヒーター)および内釜1の温度を検出する蓋温度検出手段11を設けている。
【0023】
さらに、図2に示す酸素ポンプセルを複数積層してスタックとした図4、図5に示す酸素ポンプ15は、内釜1の外側面部または外底部に沿って配置し、内釜1内から酸素を含むガスを導入して本体2に開口した排気口16aから排気するガス排気管16を接続した。また、ガス排気管16は、酸素ポンプ15と内釜1内の間に、酸素ポンプ15から内釜1内へ高濃度の酸素を含むガスが逆流しないように封止バルブ17を設け、酸素ポンプ15と内釜1を隔離できる構成とした。
【0024】
したがって、酸素ポンプ15は、炊飯により発生する水蒸気や、おねばが酸素ポンプ15などに付着しないので、長期間安定した酸素排気能力を維持することができ、ガス排気管16などに結露した水が溜まらないので、腐敗などが起こりにくく、米飯保温器を長期間衛生的に維持することができる。
【0025】
このジャー炊飯器では、保温中の米飯の温度を内釜1の底に接する温度検出手段4で検知する。この検知した情報を制御手段6に送り、米飯の温度が設定保温温度である72℃となるように加熱手段5に電力を供給して磁力を発生させ、ステンレスとアルミニウムから成るクラッド材で構成された内釜1のステンレス層を電磁誘導により加熱し、米飯を保温する。また、保温用加熱手段7や蓋加熱手段10の入力を制御手段6が電子制御することにより、米飯の量に応じた加熱量を与え、設定保温温度72℃に米飯温度を保つことができる。
【0026】
次に、酸素ポンプ15を構成する酸素ポンプセルの製造方法について簡単に説明する。酸素ポンプの要部組立説明図および要部断面構成図を図2および図3に示す。図2および図3において、18は平板状の酸素イオン導電性の固体電解質で、この両面に相対向して一対の電極191および192を形成した。
【0027】
固体電解質18にはランタンガリウム酸化物から成る基板を用い、この両面に一対の電極191、192としてペロブスカイト酸化物から成るペーストを印刷し、乾燥後、電気炉で焼成した。固体電解質18には、他の酸素イオン導電性を有する安定化ジルコニア、安定化セリアなども使用することができ、実施例で用いたランタンガリウム酸化物の酸素イオン導電性を向上させるためにランタンサイトおよびガリウムサイトの一部に遷移金属やアルカリ土類金属など異種金属を置換してもよい。さらに固体電解質18の外周部にガラスペーストを印刷し、ガスケット20における中央の開口部20aの周囲に固体電解質18を接着した。
【0028】
次に、ガスケット20を挟持するように一方の電極191側に、セパレータ211と集電板221、もう一方の電極192側に、セパレータ212と集電板222を、それぞれ密閉性よく金属またはガラス23で張り合わせて積層した。この結果、集電板221および222に形成した複数の突起221aおよび222aに均等な力を加え、固体電解質18が割れないようにした。また、集電板221および222に形成された突起221aおよび222aの形状は、半球状の複数のディンプルとし、電極191および192とそれぞれの突起は点で接触して電気的に導通し、向かい合う突起同士がその頂点で固体電解質18を固定するようにした。
【0029】
また、一対のセパレータ211および212は、一対の電極191および192上に形成されるそれぞれの空間191a、192aを気密よく分離するように孔としてのガス導入部221b、221cおよびこれに対する孔としてのガス排出部222b、222cなどが設けられ、これらの孔の位置合わせと電極191および192にガスを接触させつつ、それぞれのガスが混合することがないようにした。図中、211a、211bはガス導入溝で、212a、212bはそれぞれガス排出部222b、222cに通じるガス排出溝である。図3に示す点線矢印は、内釜1内にガス排気管16で通じるガス導入部221b、221cから導入したガスが固体電解質1を通じてガス排出部222b、222cから本体2の排気口16aに向けて酸素のみ排出する経路を示している。
【0030】
また、図3に示す酸素ポンプセルを図4に示したように複数個を積層する場合、絶縁板24を間に挟み絶縁する必要があるが、図5のように互いに等しい極性を有する集電板を張り合わせて積層することにより、絶縁板24が不要となるので、酸素ポンプ全体のサイズを小型化することができる。図6は、上記構成の酸素ポンプセルの電圧−電流特性を示す。
【0031】
上記実施例において、内釜1内に含まれる空気は、一方のカソードとなる電極191に到達し、空気中に含まれる酸素がカソードである電極191上に吸着する。そして、電圧供給装置により一対の電極191、192間に電圧が与えられると、吸着した酸素は電子を受け取り、カソードである電極191と固体電解質18と気相との間に形成される三相界面より固体電解質18中へ取り込まれ、酸素イオンとなり固体電解質18中を移動する。
【0032】
もう一方のアノードである電極192に到達した酸素イオンはアノードである電極192と固体電解質18と気相との間に形成される三相界面で電子を放ち、再び酸素となり大気へ排出される。この結果、内釜1内は低酸素濃度となり、米飯中の脂質、タンパク質および炭水化物が空気中の酸素と酸化反応したり、これらの物質が分解あるいは重合反応したりすることが抑制され、米飯の黄変化、保温臭の発生を低減することができる。また、細菌の活性を抑えることができ、米飯の腐敗を遅延させることができる。
【0033】
上記のように構成されたジャー炊飯器を用いて米飯の保温状態について調べた。まず、内釜1内に米飯の原料である米と水を入れ、炊飯を行った。炊飯直後の内釜1内におけるガスの酸素濃度はほぼ0%であったが、内部が冷えて飽和蒸気圧が下がるとともに外部から空気が流入し、徐々に酸素濃度は上昇した。そこで、制御手段6により、内釜1を隔離していた封止バルブ17および酸素ポンプ15を操作し、内釜1内の酸素をポンピングにより排気した。
【0034】
このとき、酸素ポンプ15には、ヒーターを用いて10〜20Wの電力を供給し、固体電解質18および一対の電極191、192で構成される酸素ポンプ15の動作温度が600〜700℃になるように加熱した。酸素ポンプ15の酸素排気量は、電圧を制御することにより変化させることができる。酸素ポンプ15に電流が流れると、自己発熱作用により酸素ポンプ15自体の温度が上昇する。特に複数の酸素ポンプセルを積層した酸素ポンプを用いた場合、発熱が大きくなるので、この場合、内釜1の外側部または外底部における本体2内に酸素ポンプ15を配置することで、その廃熱を効率よく米飯の保温に利用することができ、保温用加熱手段7を停止または容量を低下することができ、省電力化を図ることができる。
【0035】
図7は、酸素ポンプ15で内釜1内の酸素を排気したときの保温時間と内釜1内の酸素濃度の関係を示した図である。酸素ポンプ15により汲み出された酸素は毎分10〜30ccで外部へ排出され、20〜60分で内釜1内の酸素濃度は2〜4%となった。しばらくして、圧力容器でないから外部空気の流入により内釜1内の酸素濃度が増加したが、ある程度低濃度の段階で再び酸素ポンプを動作させることにより、迅速に内釜1内の酸素濃度を低下させることができた。また、このとき内釜1の内部はほぼ大気圧であり、気密構成も簡単でよいことが判った。
【0036】
炊飯直後、内釜1内の酸素濃度を2〜4%に保持したときの官能評価を行った。従来のように内釜内を大気で保持した場合は、米飯の酸化が僅かに起こっており、保温臭と食味の評価が低かったのに対して、低酸素濃度で保持した場合は、保温臭も少なく、食味もよかった。さらに、この状態で12時間および24時間保温した米飯の官能評価を行ったところ、いずれも保温臭が少なく、炊き立ての匂いを有しており、黄変化も少なく、食味評価も粘り、弾力性など優れており、総合評価が高かった。これに対して、従来のように大気中で12時間および24時間保温した米飯は、いずれも保温臭がきつく、黄変化が発生しており、食味もまずく、総合評価が低かった。
【0037】
次に、蓋8を開閉させた場合の米飯の保温状態について調べた。蓋8が閉まっている間、酸素ポンプ15は内釜1内の酸素を排気しており、蓋8を開けた直後は、内釜1内の酸素濃度は大気中の酸素濃度と等しくなり20.8%となった。蓋8を閉めると開閉検知手段が蓋8の閉まったことを検知し、封止バルブ17および酸素ポンプ15を作動させた。内釜1内の酸素はガス排気管16を通って外部へ放出され、20〜60分で内釜1内の酸素濃度は2〜4%となった。
【0038】
蓋8を開閉した場合の米飯の官能評価も保温臭、米飯の黄変化および食味の物性など総合的によい結果が得られた。また、保温する米飯の量に応じて酸素排気量を変化させることにより、保温臭の少ない美味しい米飯を提供できることが判った。
【0039】
以上のように、本発明においては、酸素イオン導電性を有する平板状の固体電解質18と、固体電解質18の両面に互いに対向して形成された一対の電極191、192と、固体電解質18を支持するガスケット20と、一対のセパレータ211、212と、一対の集電板221、222を有する酸素ポンプセルを少なくとも一つ以上備えた酸素ポンプ15を備えることにより、酸素ポンプ15が内釜1内の酸素を排気するので、米飯の黄変化や食味物性の低下を抑制することができ、保温しても美味しい米飯を提供することができる。
【0040】
さらに、固体電解質18の酸素ポンピング作用により外部空気中に含まれる酸素のみを効率よく除去し、内釜1内の酸素濃度を減少させるので、細菌の活性を抑えることができ、米飯の腐敗を遅延させることができる。
【0041】
また、酸素ポンプセルを積層(スタック)することができるので、電極面積が小さくても枚数を重ねることにより、小型で排気性能の優れた酸素ポンプ15を得ることができる。
【0042】
また、酸素を大気に放出するガス排気管16にガスなどの流入を遮断することのできる封止バルブ17を備えているので、炊飯による水蒸気やおねばなどが酸素ポンプ15に流入するのを防ぐことができ、結露による水分が溜まったりすることがなくなり、米飯保温器を常に衛生的に保つことができる。また、酸素濃度の高いガスの逆流を防ぐので、内釜1内の酸素濃度を効率よく常時低く保つことができる。
【0043】
また、本発明では、固体電解質18と、ガスケット20をガラスで接着しているので、高温でも密閉性よく一体化させることができ、効率よく酸素を排気させることができる。
【0044】
また、ガスケット20と、一対のセパレータ211、212および一対の集電板221、222を互いにガラスあるいは金属23で密閉しているので、一対の電極191、192にそれぞれ接触するガスを気密よく分離でき、酸素ポンプ15の排気能力を向上させることができる。
【0045】
また、本発明は、一対のセパレータ211、212が、一対の電極191、192上に形成されるそれぞれの空間を分離することにより、電極191、192にガスを接触させつつ、それぞれのガスが混合することがなくなり、酸素ポンプ15の排気能力を向上させることができる。
【0046】
また、本発明は、一対の集電板221、222が、複数の突起221a、222aを有し、一対の電極191、192と電気的に接触して導通することにより、簡単な構成により電極191、192と導通を図ることができる。また、酸素ポンプセルは、この集電板221、222を介し、電気的導通と、排気経路を確保しながら、複数重ねて積層することができるので、酸素ポンプ15の排気能力を向上させることができる。
【0047】
また、本発明は、一対の集電板221、222に電圧を印加することにより、電極191、192にリード線を導電ペーストで取り付けるなどの必要がなくなり、製造プロセスが簡単になるだけでなく、動作時の酸素ポンプの熱を均一に分散させる効果があるので、熱応力による固体電解質18が割れるなどの破損を防止することができる。
【0048】
また、本発明は、複数の酸素ポンプセルの互いに等しい極性を有する集電板を張り合わせて積層することにより、異なる極性の集電板を重ねる場合には必要な絶縁板24が不要となるので、酸素ポンプ15全体のサイズを小型化することができる。
【0049】
また、本発明は、固体電解質18を加熱するヒーターを備えることにより、酸素ポンプセルの数が少なく、自己発熱量が少なくても、ヒーターで補助加熱するので、酸素ポンプ15の大きさやセル数に依存せず、安定した排気性能を確保することができる。
【0050】
また、本発明は、酸素ポンプ15の自己発熱を利用して米飯を加熱することにより、米飯保温器に備えられた内釜1を加熱する加熱手段5を使用することなく、または容量を低下しても、米飯を保温することができるので、省電力化を図ることができる。
【0051】
また、本発明は、酸素ポンプ15を内釜1の側面部または底部に配置することにより、内釜1内上部の米飯の表面が、酸素ポンプの熱により乾燥しなくなるので、保温ムラのない美味しい米飯を提供することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、酸素ポンプが内釜内の酸素を排気するので、米飯の黄変化や食味物性の低下を抑制することができ、保温しても美味しい米飯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における米飯保温器の要部断面構成図
【図2】 同実施例1における酸素ポンプセルの概略組立構成図
【図3】 同実施例1における酸素ポンプの要部断面構成図
【図4】 同実施例1における酸素ポンプセルのスタック時の要部断面構成図
【図5】 同実施例1における別の酸素ポンプセルのスタック時の要部断面構成図
【図6】 同実施例1における酸素ポンプセルの電圧電流特性図
【図7】 同実施例1における酸素ポンプセルの排気特性図
【図8】 従来の米飯保温器の要部断面構成図
【図9】 従来の別の米飯保温器の要部断面構成図
【符号の説明】
1 内釜
4 温度検出手段
5 加熱手段
6 制御手段
8 蓋
15 酸素ポンプ
16 ガス排気管
17 封止バルブ
18 固体電解質
191、192 一対の電極
20 ガスケット
211、212 一対のセパレータ
221、222 一対の集電板
221a、222a 突起
23 ガラスまたは金属
Claims (2)
- 酸素イオン導電性を有する固体電解質と、前記固体電解質の両面に互いに対向して形成された一対の電極と、前記固体電解質を支持するガスケットと、前記ガスケットを挟持する一対のセパレータと、前記一対のセパレータを挟持する一対の集電板を有する酸素ポンプセルを少なくとも一つ以上備えた酸素ポンプと、米飯を収容する内釜と、前記内釜の上方に載設された開閉可能な蓋と、前記内釜の前記米飯を加熱する加熱手段と、前記内釜の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出値をもとに前記加熱手段を用いて前記米飯を所定温度に制御する制御手段と、前記酸素ポンプを用いて前記内釜内の酸素を大気に放出するガス排気管と、前記酸素ポンプと前記ガス排気管の間に設けた封止バルブと、前記酸素ポンプの固体電解質を加熱するヒーターを備えた米飯保温器。
- 酸素イオン導電性を有する固体電解質と、前記固体電解質の両面に互いに対向して形成された一対の電極と、前記固体電解質を支持するガスケットと、前記ガスケットを挟持する一対のセパレータと、前記一対のセパレータを挟持する一対の集電板を有する酸素ポンプセルを少なくとも一つ以上備えた酸素ポンプと、米飯を収容する内釜と、前記内釜の上方に載設された開閉可能な蓋と、前記内釜の前記米飯を加熱する加熱手段と、前記内釜の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段の検出値をもとに前記加熱手段を用いて前記米飯を所定温度に制御する制御手段と、前記酸素ポンプを用いて前記内釜内の酸素を大気に放出するガス排気管と、前記酸素ポンプと前記ガス排気管の間に設けた封止バルブを備え、前記酸素ポンプの自己発熱を利用して米飯を加熱する米飯保温器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003152481A JP4135560B2 (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 米飯保温器 |
Applications Claiming Priority (1)
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