JP4127045B2 - 半導体発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体発光素子に関し、特に、電流分散層として金属酸化物からなる透明導電膜を用いた半導体発光素子であって、所定の電極を用いることにより得られる高輝度の半導体発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来のAlGaInP系発光ダイオード(LED)の断面構造の概略を示したもので、21は基板、22はn型クラッド層、23は活性層、24はp型クラッド層、25は電流分散層、26は電流分散層25上に形成された一方の電極、27は基板21の裏面に形成された他方の電極、Iは電極26より注入される電流を示す。電流Iは、電流分散層25においてp型クラッド層24の全領域に分散しており、従って、この場合には発光層の全域より発光し、良好な輝度を示すことになる。
【0003】
最近では、GaN系やAlGaInP系の結晶層をMOVPE法(有機金属気相成長法)で成長できるようになったことから、高輝度を示す発光ダイオードを製作することが可能となったが、図6から分かる通り、高輝度の発光ダイオードを得るためには、電流分散層の膜厚を厚く成長させる必要がある。このため、LED用エピウエハの製造コストが高くなるという問題が生じることから、電流分散層の膜厚を薄くするために、電流分散層としてできるだけ抵抗の低い値が得られる材料を用いる方法(例えば、AlGaInPの4元系の場合には、電流分散層としてGaPやAlGaAsが用いられている)やキャリア濃度を高くするべく電流分散層の抵抗率を低くする方法が用いられている。
【0004】
しかし、抵抗率の低い材料を用いてもやはり電流分散を良くするためには、膜厚を一定以上(例えば、8μm以上)まで厚くする必要がある。また、現段階では電流分散層を薄くできるほどキャリア濃度を高くすることはできない。
【0005】
そこで、金属酸化物などを用いた透明導電膜のキャリア濃度が非常に高く、薄い膜厚で十分な電流分散を得ることができることから、電流分散層の変わりに、透明導電膜を用いる方法が提案されている。
【0006】
図7は、従来の透明導電膜を用いたAlGaInP系LEDの断面構造の概略を示したもので、1は第一導電型基板であり、102は、第一導電型バッファ層、2は第一導電型クラッド層、3は活性層(発光層)、4は第二導電型クラッド層、5は第二導電型コンタクト層、6’は透明導電膜、11は透明導電膜6’上に形成された第二導電型第一電極、および10は第一導電型第二電極である。この透明導電膜6’は、半導体エピウエハ層の表面に形成され、その上にワイヤボンディング用の金属電極11が形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図7の透明導電膜を用いた従来のLEDにおいて、透明導電膜が金属酸化膜である場合、その上に形成した電極が、プロセス加工中やワイヤボンディング中に剥がれるという大きな問題があった。
また、電極の剥がれを防止できたとしても、高輝度LEDを得るための障害となる順方向動作電圧が高いという問題もあった。
【0008】
電極の剥がれや順方向動作電圧が高くなるといった問題を解消するものとして、例えば、特許文献1に示されるものがある。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−44503号公報
【0010】
特許文献1においては、「n型酸化亜鉛を含む窓層」と「該窓層の上に複数層から構成される電極を有し、該電極の最下層がチタン、ニッケル、クロム、コバルトから選ばれる遷移金属の酸化物を含む層」という組み合わせの構造が、電極の剥がれ及び順方向動作電圧が高くなるという問題を解決することができるものとして開示されている。
【0011】
しかし、電流分散層のかわりに金属酸化物からなる透明導電膜(透明導電膜は電極を形成)を用いたLEDにおける上記の問題を解決できるものは存在しなかった。
【0012】
従って、本発明の目的は、エピウエハの表面に電流分散の機能を果たす金属酸化物からなる透明導電膜を用いた構造の半導体発光素子(LED、半導体レーザー等)であって、金属酸化物からなる透明導電膜上に形成したパッド電極の剥がれの問題を解決し、かつ順方向動作電圧を低くできる高輝度の半導体発光素子(LED、半導体レーザー等)を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであり、基板上に発光層を有しており、前記発光層の上側に電流分散層として金属酸化物からなる透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の上側に通電のための第一電極を形成した半導体発光素子において、前記第一電極が、前記透明導電膜の上に前記透明導電膜と接し、かつドット的又はリング状に形成され、順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層と、前記順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層と前記透明導電膜との両方に接して形成される2番目の金属層と、前記2番目の金属層の上に形成されるボンディング用の3番目の金属層とを有することを特徴とする半導体発光素子を提供する。
【0014】
この構成によれば、電極に所定の複数の金属を用いていることから、金属酸化膜からなる透明導電膜に対し電極が剥がれにくく、かつ順方向動作電圧を低く保つことができるようになるため、電流分散層にかえて金属酸化膜からなる透明導電膜を用いることが可能となる。
【0015】
このため、エピウエハ層の中で最も厚さの厚かった従来の電流分散層を用いることなく高輝度LED等を実現でき、LED等に用いるエピウエハ層の膜厚を薄くすることができるようになるため、エピウエハの価格を低く抑えることができる。
【0016】
また、金属酸化膜の電流分散膜を用いることができるようになったことにより、従来の電流分散層を用いたLEDよりも、より高輝度なLEDを得ることも可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の半導体発光素子の実施の形態1について、図1(a)および(b)を参照して説明する。図1(a)は本発明の実施の形態1にかかるLEDチップの上面図である。図1(b)は本発明の実施の形態1にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【0019】
図1(a)および(b)において、1は第一導電型(n型)基板であり、102は第一導電型(n型)バッファ層、2は第一導電型(n型)クラッド層、3は活性層(発光層)、4は第二導電型(p型)クラッド層、5は第二導電型(p型)コンタクト層、6は金属酸化物からなる透明導電膜、7は透明導電膜6と接するチップ上面第一電極の金属層、8は透明導電膜6と接するチップ上面第一電極の金属層、9はチップ上面第一電極のボンディングされる金属層、および10は第一導電型(n型)第二電極である。なお、第一導電型をp型とし、第二導電型をn型としてもよい。
【0020】
上記目的を達するために、順方向動作電圧が高くならないための電極材料である第一電極の金属層7を金属酸化物からなる透明導電膜6の上に形成し、さらにその上に透明導電膜6から剥がれにくい電極材料である第一電極の金属層8を第一電極の金属層7と透明導電膜6との両方に接するように形成し、さらにその上にワイヤボンディング用の金属層9を形成している。
【0021】
本発明において、特徴をなすのは、特に、透明導電膜6とその上の第一電極の金属層7〜9の部分である。
本発明において、第一電極の金属層7及び8は、共に透明導電膜6と接しており、これら2種の金属層が透明導電膜に接している点に特徴がある。
【0022】
ここで、第一電極の金属層7は、順方向動作電圧低下を促す金属であればよく、特に、効果の面(順方向動作電圧低下)から、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ゲルマニウム(Ge)、これらのAu化合物、又はマグネシウム(Mg)から選ばれる1種以上の金属であることが好ましく、亜鉛(Zn)、金−亜鉛化合物(AuZn)、又はベリリウム(Be)、金−べリリウム(AuBe)から選ばれる1種以上の金属であることがより好ましく、亜鉛(Zn)又はベリリウム(Be)であることが最も好ましい。
より具体的には、LEDに20mAの電流を流したときの順方向動作電圧が、2.8V以下、好ましくは2.5V以下、さらに好ましくは、2.3V以下となる金属を用いることが望ましい。
第一電極の金属層7は、2種以上用いることができるが、コスト面等を考慮して1種であること、特に亜鉛(Zn)又はベリリウム(Be)であることが好ましい。
【0023】
また、本発明において、第一電極の金属層8は、透明導電膜6からの電極の剥がれを防止する金属であればよく、特に、効果の面(電極剥がれ防止)から、チタン(Ti)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、又はニッケル(Ni)から選ばれる1種以上の金属であることが好ましく、チタン(Ti)、白金(Pt)、又はモリブデン(Mo)から選ばれる1種以上の金属であることがより好ましく、チタン(Ti)であることがさらに好ましい。
ここで、透明導電膜からの電極の剥がれを防止する金属とは、具体的には、プロセス加工中及びワイヤボンディング工程での電極パッドの剥がれる割合が、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、最も好ましくは1%以下となる金属をいう。
第一電極の金属層8は、2種以上用いることができるが、コスト面等を考慮して1種であること、特にチタン(Ti)であることが好ましい。
【0024】
第一電極の金属層7及び第一電極の金属層8は円形の電極を形成し、第一電極の金属層7の直径は第一電極の金属層8の直径よりも小さく、各々の中心を略合致させる様にしてあり、図1に示されるように、第一電極の金属層7は第一電極の金属層8に覆われている。
【0025】
このとき、第一電極の金属層7の円面積が、その上に設けられる第一電極の金属層8の円面積よりも必ず小さくなければならない。大きくなると、第一電極の金属層8が透明導電膜6に接することができず、電極が剥がれるからである。また、逆にあまり小さくなると順方向動作電圧が高くなって行くため、第一電極の金属層7の円面積は、第一電極の金属層8の円面積の0.1〜0.9倍であることが望ましく、さらには0.5〜0.8倍であることが最も望ましい。
【0026】
また、第一電極の最上層であるボンディングされる金属層9は、ワイヤボンダビリティのよい金属であればよく、金(Au)であることが望ましい。このとき、金(Au)が、アロイ処理した下層とアロイ処理しない上層の二層構造からなることが最も望ましい。電極は、より柔らかい方が良いため、このような二層構造からなる電極を用いた方がワイヤボンダビリティが良くなるためである。
【0027】
本発明において、透明導電膜6は、従来の電流分散層に変わって、電流を分散する機能を果たす。ここで、金属酸化物からなる透明導電膜は、ITO(SnドープIn2O3)、In2O3、IFO(FドープIn2O3)、SnO2、ATO(SbドープSnO2)、FTO(FドープSnO2)、CTO(CdドープSnO2)、AZO(AlドープZnO)、IZO(InドープZnO)、又はGZO(GaドープZnO)のいずれかであることが好ましく、ITOであることが特に好ましい。
透明導電膜6の形状は、必ずしもエピタキシャルウエハと同一形状である必要はないが、電流を分散する機能上、出来る限り、広面積とすることが好ましい。
【0028】
(実施の形態2)
本発明の半導体発光素子の実施の形態2について、図2(a)および(b)を参照して説明する。図2(a)は本発明の実施の形態2にかかるLEDチップの上面図である。図2(b)は本発明の実施の形態2にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【0029】
第一電極の金属層7及び8の形状が異なる以外は、実施の形態1と同様である。第一電極の金属層7の形態は、図2に示すようにドット的に存在する。ドットの数は2〜7つ程度が好ましい。
この場合にも、第一電極の金属層7の円面積の合計は、第一電極の金属層8の円面積の0.1〜0.9倍であることが望ましく、さらには0.5〜0.8倍であることが最も望ましい
【0030】
(実施の形態3)
本発明の半導体発光素子の実施の形態3について、図3(a)および(b)を参照して説明する。図3(a)は本発明の実施の形態3にかかるLEDチップの上面図である。図3(b)は本発明の実施の形態3にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【0031】
第一電極の金属層7及び8の形状が異なる以外は、実施の形態1と同様である。第一電極の金属層7の形態は、図3に示すようにリング状に存在する。リングの数は1〜4つが好ましく、1〜2つがより好ましい。
この場合にも、第一電極の金属層7の底面積の合計は、第一電極の金属層8の円面積の0.1〜0.9倍であることが望ましく、さらには0.5〜0.8倍であることが最も望ましい
【0032】
(実施の形態4〜6)
本発明の半導体発光素子の実施の形状4〜6について、図4(a)〜(c)を参照して説明する。図4(a)〜(c)は本発明の実施の形態4〜6にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【0033】
第一電極の金属層7〜9の形態が異なる以外は、実施の形態1と同様である。実施の形態1〜3における第一電極の金属層7の形状は、図4(a)〜(c)に示されるように、第一電極の金属層8にすべて覆われることなく、その上部が第一電極の最上層であるボンディングされる金属層9に接触していてもよい。
【0034】
(実施の形態7)
本発明の半導体発光素子の実施の形態7について、図5(a)および(b)を参照して説明する。図5(a)は本発明の実施の形態7にかかるLEDチップの上面図である。図5(b)は本発明の実施の形態7にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【0035】
第一電極の金属層7〜9の形状が異なる以外は、実施の形態1と同様である。実施の形態2における第一電極の金属層7の形状は、ドットの外周が第一電極の金属層8によってすべて覆われることなく一部が外側に露出されていてもよい。
この形態においても、実施の形態4〜6のように、第一電極の金属層7は、第一電極の金属層8にすべて覆われることなく、その上部が第一電極の最上層であるボンディングされる金属層9に接触していてもよい。
【0036】
この場合にも、透明導電膜6に接する面積比が、第一電極の金属層7/第一電極の金属層8=1/9〜9/1であることが望ましく、さらには、第一電極の金属層7/第一電極の金属層8=5/5〜8/2であることが最も望ましい。
【0037】
(その他の実施の形態)
第一電極の金属層7〜9のいずれの形状も、必ずしも円形である必要はなく、四角形や、四角形及び円形に突起が付いている様な形状でも良い。
【0038】
また、上記の実施の形態において、第一電極の金属層7と第一電極の金属層8の位置を逆転させてもよい。
ただし、第一電極の金属層7の外周を実施の形態1〜6のように第一電極の金属層8で覆うようにした形態であることが電極剥がれ防止効果の点ではより好ましい。
【0039】
これらのその他の実施の形態の場合においても、透明導電膜6に接する面積比が、第一電極の金属層7/第一電極の金属層8=1/9〜9/1であることが望ましく、さらには、第一電極の金属層7/第一電極の金属層8=5/5〜8/2であることが最も望ましい。
【0040】
上記の実施の形態においては、基板は第一導電型基板1、すなわち半導体基板であり、第二電極10が第一導電型基板1の下側に形成されている。第一導電型基板1は、n型GaAsであることが望ましい。
【0041】
もっとも、本発明の他の形態として、基板を第一導電型基板1ではなく、サファイア基板等の基板を用いることもできる。この場合、第二電極10は、基板の下側でなく、基板の上側にある半導体層上に設けられる。
【0042】
また、上記の実施の形態においては、発光層3は、シングルヘテロ構造、ダブルヘテロ構造、pn接合構造、およびクラッド層に挟まれた多重量子井戸構造より選択されるいずれかの構造を有し、pn接合又はダブルヘテロ構造(pn接合型)を有していることが好ましく、AlGaInP又はGaInPであることがより好ましい。
【0043】
このような構成にすることにより、金属酸化物からなる透明導電膜を用いた場合の半導体発光素子において、順方向動作電圧を高くすることなく、電極剥がれの問題を解決した高輝度の発光素子を提供することができる。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
図1のような構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード用エピウエハを作製した。n型GaAs基板上に、MOVPE法で、n型(Seドープ)GaAsバッファ層、n型(Seドープ)(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層、アンドープ(Al0.15Ga0.85)0.5In0.5P活性層、p型(亜鉛ドープ)(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層、p型GaPコンタクト層をMOVPE法で成長させた。このエピタキシャルウエハにITO膜を熱分解スプレー法にて形成した。
【0045】
ITO膜付きエピタキシャルウエハをフォトリソにより、レジストマスクをマトリックス状に形成した。レジストマスクが無い部分の大きさは、直径100μmの円形である。このレジストマスク付エピウエハの表面にZnを20nm蒸着してからレジストを除去し、ITO膜が形成された面に直径100μmのZn電極を形成した。その後更にレジストマスクをマトリックス状に形成し、Zn電極の中心と略一致したレジスト膜の無い部分を形成した。この時のレジストマスクの無い部分の大きさは、直径120μmである。次にTiを20nm、Auを1000nm蒸着し、レジストマスクを除去した。この時点でITO膜の上には直径100μmのZn電極が形成され、さらにその上にはZn電極と中心が略一致した直径120μmのAu/Ti電極がマトリックス状に形成された状態である。
このエピウエハの底面には、金・ゲルマニウム、ニッケル、金をそれぞれ60nm、10nm、500nmの順に蒸着し、その後、電極の合金化であるアロイを、窒素ガス雰囲気中425℃で5分行った。前記ITO膜及び電極付きエピタキシャルウエハを、ダイシング等で加工して、チップサイズ300μm角の発光ダイオードチップを作製し、更にダイボンディング、ワイヤボンディングを行って発光ダイオードを製作した。
この結果、プロセス加工中及びワイヤホンディング工程での電極パッドの剥がれは、1%以下と良好であった。
【0046】
また、ITO膜上のZn電極部をAuZn、Be、AuBe、Ge、AuGe、又はMgに変えた場合にも、電極パッドの剥がれは、1%以下と良好であった。
さらに発光ダイオードの発光特性を調べた結果は、ITO膜上の電極部がZnである場合の順方向動作電圧(20mA通電時)が、2.01V、発光出力が、3.2mWであった。
【0047】
また、ITO膜上のZn電極部をAuZn、Be、AuBe、Ge、AuGe、又はMgに変えた場合のいずれも、順方向動作電圧(20mA通電時)が、2.3V以下であり、発光出力が、3.0mW以上であった。
【0048】
(比較例1)
比較例として、図7に示した従来の構造の発光波長630nm付近の赤色発光ダイオード用エピウエハを作製した。エピ成長方法、エピ構造等は、基本的に前記の実施例1と同じとし、またITO膜形成方法、プロセス加工及びワイヤホンディング工程も基本的に前記の実施例1と同じとした。
【0049】
次に、このITO膜を形成したエピタキシャルウエハ下面全体にn型第二電極を形成し、チップ上面に直径120μmの円形の第一電極を形成して、LEDチップとした。
【0050】
第二電極は三層からなり、Au(上層:外側)/Ni(中間層)/AuGe(下層:基板側)をそれぞれ500nm、10nm、60nm蒸着した。チップ上面第一電極も3層からなり、Au(上層:外側)/Ni(中間層)/Zn(下層:透明導電膜側)、またはAu/Ni/AuZn、またはAu/Ni/BeまたはAu/Ni/AuBe、またはAu/Ni/Ge、またはAu/Ni/AuGe、またはAu/Ni/Mgを、それぞれ1000nm、10nm、60nm蒸着した。また、Au(上層:外側)/Ti(下層:透明導電膜側)を、1000nm、20nm蒸着した。前記ITO膜及び電極付きエピタキシャルウエハを、チップサイズ300μm角の発光ダイオードにするため、エッチングやダイシング等のプロセス加工及びワイヤボンディングを行なった。
【0051】
この結果、Au/Tiを除く前記第一電極を用いたLEDは、プロセス加工中にパッド電極の約50%以上剥がれた。更にワイヤボンディング工程まで行なうと、電極パッドは98%以上剥がれた。
【0052】
一方、電極としてAu/Tiを用いたものは、プロセス加工中及びワイヤボンディング工程での電極パッドの剥がれは、1%以下と良好であったが、順方向動作電圧が8〜9Vと非常に高くなった。
【0053】
なお、本発明は、上記の実施の形態(実施例)の構造、材料等に限定されるものではなく、半導体発光素子において広く適用することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体発光素子によると、以下のような効果を得ることができる。
【0055】
金属酸化膜からなる透明導電膜を用いた構造の半導体発光素子であって、金属酸化膜上に形成したパッド電極が剥がれにくく、かつ順方向動作電圧を低くできる高輝度の半導体発光素子を提供できる。
【0056】
また、本発明の電極構造を用いることにより、金属酸化物の透明導電膜を用いたLEDを製作することが可能となり、LEDを構成するエピ層の中でもっとも厚さの厚かった電流分散膜を用いずにすむため、LED用のエピ層の膜厚は五分の一から数十分の一まで薄くすることができるようになる。これにより、エピウエハの価格を大幅に低くすることができる。
【0057】
また、これまで厚いエピ層を用いていたがそれでも十分な電流分散特性を得ることができなかったが、金属酸化膜の電流分散膜を用いることができるようになったため、輝度を約10〜50%程度高くすることも可能となる。
【0058】
さらに、本発明で用いる電極材料の一部は低融点材料であることから、一般的かつ安価な装置である真空蒸着法で電極形成ができる。また、本発明で用いる電極材料は、比較的安価であるため、LED用の電極形成を従来よりも高価にすることなくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は本発明の実施の形態1にかかるLEDチップの上面図である。図1(b)は本発明の実施の形態1にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【図2】 図2(a)は本発明の実施の形態2にかかるLEDチップの上面図である。図2(b)は本発明の実施の形態2にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【図3】 図3(a)は本発明の実施の形態3にかかるLEDチップの上面図である。図3(b)は本発明の実施の形態3にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【図4】 図4(a)〜(c)は本発明の実施の形態4〜6にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【図5】 図5(a)は本発明の実施の形態7にかかるLEDチップの上面図である。図5(b)は本発明の実施の形態7にかかるLEDの全体構成を示す断面図である。
【図6】 従来の電流分散層を用いたAlGaInP系LEDの断面構造の概略図である。
【図7】 従来の透明導電膜を用いたAlGaInP系LEDの断面構造の概略図である。
【符号の説明】
1 n型基板
102 n型バッファ層
2 n型クラッド層
3 活性層
4 p型クラッド層
5 p型コンタクト層
6 金属酸化物からなる透明導電膜
6’ 透明導電膜
7 第一電極の金属層(Zn)
8 第一電極の金属層(Ti)
9 第一電極の金属層(Au)
10 n型第二電極
11 p型第一電極
21 基板
22 n型クラッド層
23 活性層
24 p型クラッド層
25 電流分散層
26 電流分散層上の電極
27 基板裏面の電極
Claims (14)
- 基板上に発光層を有しており、前記発光層の上側に電流分散層として金属酸化物からなる透明導電膜を形成し、前記透明導電膜の上側に通電のための第一電極を形成した半導体発光素子において、
前記第一電極が、
前記透明導電膜の上に前記透明導電膜と接し、かつドット的又はリング状に形成され、順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層と、
前記順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層と前記透明導電膜との両方に接して形成される2番目の金属層と、
前記2番目の金属層の上に形成されるボンディング用の3番目の金属層と
を有することを特徴とする半導体発光素子。 - 前記順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層の上部が、前記ボンディング用の3番目の金属層に接触して形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記2番目の金属層が、チタン(Ti)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、又はニッケル(Ni)から選ばれる1種以上の金属であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光素子。
- 前記順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層が、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ゲルマニウム(Ge)、これらのAu化合物、又はマグネシウム(Mg)から選ばれる1種以上の金属であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層の面積又は前記順方向動作電圧低下を促す1番目の金属層の合計の面積が、その上に設けられる前記2番目の金属層の面積の0.1〜0.9倍であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記基板が、半導体基板であり、もう1つの通電のための第二電極が前記半導体基板の下側に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記半導体基板が、GaAsであることを特徴とする請求項6に記載の半導体発光素子。
- 前記発光層は、シングルヘテロ構造、ダブルヘテロ構造、pn接合構造、およびクラッド層に挟まれた多重量子井戸構造より選択されるいずれかの構造を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記発光層は、pn接合又はダブルヘテロ構造を有していることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記発光層が、AlGaInP又はGaInPであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記金属酸化物からなる透明導電膜が、ITO(SnドープIn2O3)、In2O3、IFO(FドープIn2O3)、SnO2、ATO(SbドープSnO2)、FTO(FドープSnO2)、CTO(CdドープSnO2)、AZO(AlドープZnO)、IZO(InドープZnO)、又はGZO(GaドープZnO)のいずれかであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記金属酸化物からなる透明導電膜が、ITO(SnドープIn2O3)であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記ボンディング用の3番目の金属層が、金(Au)であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記金(Au)が、アロイ処理した下層とアロイ処理しない上層の二層構造からなることを特徴とする請求項13に記載の半導体発光素子。
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