JP4126854B2 - グロープラグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱部材に通電を行うための棒状の中軸が溶接により直列に接続された2本の棒材よりなるグロープラグに関し、特に直噴式のディーゼルエンジンに適用されるグロープラグに用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
グロープラグは、一般に、筒状のハウジングと、このハウジングの一端側にてハウジングの内部に保持され通電により発熱する発熱部材と、この発熱部材よりもハウジングの他端側にてハウジング内に収納され発熱部材に通電を行うための棒状の中軸とを備える。一方、ディーゼルエンジンの直噴化に伴い、エンジン側の制約等から、グロープラグは長化、細径化の傾向にある。
【0003】
従って、グロープラグの長化に際して、中軸が溶接により直列に接続された2本の棒材よりなる構成を採用することが考えられる。そのようなものとしては、例えば、特開平4−15407号公報に記載のものが提案されている。このものは、中軸(中心電極)を、一端側が発熱部材に電気的に導通された第1の棒材(先端側部材)の他端側と、一端側に外部と電気的に接続可能な端子ネジを有する第2の棒材(後端側部材)の他端側とが溶接されてなる構成としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、現状では中軸の材質としては炭素鋼が採用され、中軸における端子ネジの締め付けトルクの仕様を満足させるために、この炭素鋼の炭素含有量を増加させ、強度を確保している。例えば、M4のネジにて締め付けトルクは3N・m(国際規格ISOでは2.5N・m)程度を満足する必要がある。
【0005】
しかしながら、2本の棒材を溶接して1本の中軸とする場合、強度を確保すべく炭素含有量を増加する方法では、一定以上の硬さになると溶接性に問題が生じる。即ち、溶接時に溶接割れを引き起こしたり、外観では確認できない溶接部の亀裂が生じ、市場走行において遅れ破壊を引き起こす懸念がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、発熱部材に通電を行うための棒状の中軸が溶接により直列に接続された2本の棒材よりなるグロープラグにおいて、中軸の強度を確保しつつ、良好な溶接性を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、実用レベルに十分な締め付けトルクに対応した強度、及び、良好な溶接性を確保するために、中軸として、ビッカース硬さと炭素含有量を種々変えた材料を用いて実験検討した結果に基づいて創出されたものである。
【0008】
即ち、請求項1の発明では、発熱部材(3)通電用の棒状の中軸(4)を、一端側が発熱部材に電気的に導通された第1の棒材(41)の他端側と、一端側に外部と電気的に接続可能な端子部を有する第2の棒材(42)の他端側とを溶接してなるものとしたグロープラグにおいて、第1の棒材を、炭素含有量が0.08%〜0.3%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなるものとし、第2の棒材を、炭素含有量が0.08%〜0.15%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなるものとしたことを特徴としている。
【0009】
本発明のように、第1の棒材及び第2の棒材における炭素含有量とビッカース硬さとを上記範囲に設定することにより、中軸の強度を確保しつつ、良好な溶接性を実現することができる。
【0010】
ここで、請求項2の発明のように、第1及び第2の棒材(41、42)のビッカース硬さが200Hv以上であれば、良好な溶接性を実現しつつ、より高い強度を確保することが出来、好ましい。
【0011】
また、第1の棒材(41)と第2の棒材(42)との溶接部(43)のビッカース硬さについては、請求項3の発明のように、400Hv以下であることが好ましい。溶接部のビッカース硬さが400Hv以下とすることで、よりも確実に溶接割れや遅れ破壊の発生を防止することができる。
【0012】
また、請求項1〜請求項3の発明は、中軸(4)の径(D)が3mm以下であり、中軸と発熱部材(3)との長さの総計(L)が120mm以上であるような、従来に無い長化、細径化されたグロープラグに用いた場合にも、十分に中軸の強度を確保しつつ、良好な溶接性を実現することができる。
【0013】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1に本発明の実施形態に係るグロープラグ1の縦断面構成を示す。このグロープラグ1は、例えば、ディーゼルエンジンの複数(例えば4気筒)のシリンダ(図示しない)にそれぞれ取り付けられ、エンジン始動時における燃料の着火および燃焼を促進するためのものである。
【0015】
グロープラグ1は、中空筒状で、導電性材料(例えば鉄系材料)からなるハウジング2を備えており、このハウジング2の外面には、グロープラグ1を上記シリンダに脱着可能に取り付けるための取付用ネジ部21が備えられている。本例では、ハウジング2は鉄系材料を用いており、その内面及び外面を冷間鍛造により加工形成した後、切削等によって取付用ネジ部21を形成することで作られている。
【0016】
このハウジング2の一端2a側におけるハウジング2の内部には、通電により発熱する棒状の発熱部材3が収納されている。この発熱部材3の一端3a側は、ハウジング2の一端2aから突出しており、発熱部材3の一端3aは、グロープラグ1を上記シリンダに取り付けた状態でエンジンの燃焼室に露出するようになっている。
【0017】
また、発熱部材3よりもハウジング2の他端2b寄りの部位におけるハウジング2の内部には、導電性材料よりなる棒状の中軸4が収納されている。本例では、中軸4は段付円柱状をなしており、中軸4の一端4a側は、発熱部材3の他端3b側と電気的に導通されており、中軸4の他端4bは、ハウジング2の他端2bから突出している。
【0018】
発熱部材3の本体は、一端3a側に閉塞部、他端3b側に開口部を有する細長な有底筒状のチューブ5によって区画形成されている。このチューブ5は、耐熱性および耐酸化性に優れる導電性材料(例えばステンレス材料)からなり、ハウジング2の一端2a側にて圧入等により固定されている。このチューブ5においては、スウェージングによってチューブ5の外径を絞ることにより、発熱部材3の一端3a側に小径部51、発熱部材3の他端3b側に大径部52が形成されている。
【0019】
また、チューブ5の内部には、コイル状の第1及び第2抵抗体6、7が、チューブ5の長軸方向に沿って設けられている。第1抵抗体6は、チューブ5の閉塞部側に内蔵され、第2抵抗体7は、第1抵抗体6よりもチューブ5の開口部側に内蔵されている。
【0020】
また、第1抵抗体6の一端6aは、チューブ5の閉塞部に溶接されて電気的に接続され、他端6bは、第2抵抗体7の一端7aに溶接されて電気的に接続されている。そして、第2抵抗体7の他端7bは、上記中軸4の一端4aに溶接等により電気的に接続されている。
【0021】
これら中軸4の一端4a側、第1抵抗体6および第2抵抗体7は、チューブ5内において、耐熱性絶縁材料(例えばマグネシア等)からなる絶縁粉末8により埋設されている。これにより、中軸4の一端4a側、第1抵抗体6および第2抵抗体7が、チューブ5の閉塞部以外の部位に対して絶縁的に保持される。なお、絶縁体粉末8はチューブ5の開口部側にてシール9によりシールされている。
【0022】
なお、第1抵抗体6は、常温(20℃)と1000℃(予熱時におけるグロープラグ1の第1抵抗体6の温度)の抵抗変化率(1000℃の抵抗値/20℃の抵抗値)が、例えば1程度に小さな第1導電材料(例えば鉄クロム合金やニッケルクロム合金)からなる。
【0023】
また、第2抵抗体7は、上記抵抗変化率が、例えば5〜14程度に大きな第2導電材料(例えばニッケル、低炭素鋼やコバルト鉄合金)からなる。なお、抵抗温度係数とは、横軸に温度、縦軸に抵抗値をプロットして得られるグラフの傾きのことである。よって、第2導電材料は、第1導電材料よりも、正の抵抗温度係数の大きな材料である。
【0024】
ここで、本実施形態では、中軸4は溶接により2本の棒材を直列に接続したものである。中軸4の一端4a側に位置する第1の棒材としてのヒータピン41は、その一端側が発熱部材3における第2抵抗体7と電気的に導通されている。中軸4の他端4b側に位置する第2の棒材としての端子ピン42は、その一端側におけるハウジング2の他端2bから突出した部位に、外部と電気的に接続可能な端子ネジ部(本発明でいう端子部)42aが形成されている。
【0025】
そして、ヒータピン41の他端側と端子ピン42の他端側は、プラズマ溶接等により溶接され、溶接部43が形成されている。図2は、両棒材41、42の溶接方法の一例を示す説明図である。
【0026】
図2(a)に示す様に、両棒材41、42のどちらか一方の他端(図2では、端子ピン42の他端)に凹部44を形成し、この凹部44に相手側の棒材の他端を嵌合させる。続いて、図2(b)に示す様に、両棒材41、42の嵌合部の全周に、プラズマアークKを当て全周溶接する。このようにして、中軸4が形成される。
【0027】
また、本実施形態では、中軸4の強度確保と溶接性確保とを両立させるために、ヒータピン(第1の棒材)41は、炭素含有量が0.08%〜0.3%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなり、端子ピン(第2の棒材)42は、炭素含有量が0.08%〜0.15%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなるものとしている。
【0028】
例えば、ヒータピン41としては、S25C、SWCH25K等、端子ピン42としては、S8C、S10C、SWCH10R等の炭素鋼材料を用い、これら炭素鋼材料を冷間鍛造等により加工し硬化させたものを用いることができる。
【0029】
また、中軸4の他端4b側即ち端子ピン42に形成された端子ネジ部42aには、ゴム等の絶縁弾性材料からなる環状のシール部材10および絶縁樹脂製のブッシュ11を介してナット12が締めつけられており、それによって、中軸4の他端側4bは、ハウジング2の他端2b側に絶縁的に固定されている。シール部材10は、中軸4とハウジング2との間をシールしている。
【0030】
また、本例のグロープラグ1においては、図1に示す中軸4における最小外径Dが3mm以下(例えば2.9mm)、中軸4と発熱部材3との長さの総計(つまり、グロープラグ1の長さ)Lは120mm以上となっており、長化・細径化が図られた構成となっている。
【0031】
かかるグロープラグ1は、各構成部材を次のように組み付けることにより形成される。まず、発熱部材3と中軸4とが一体に組み付けられたものをハウジング2へ挿入し、発熱部材3とハウジング2とを圧入もしくはろう付け等で固定することにより、ハウジング2、発熱部材3及び中軸4を一体化する。
【0032】
続いて、中軸4の他端4b側より、シール部材10及びブッシュ11を投入して配置する。そして、端子ネジ部42aに沿ってナット12を締め付けることにより、図1に示すグロープラグ1が出来上がる。このグロープラグ1は、上述のように、取付用ネジ部21を介して上記シリンダに取り付けられる。
【0033】
また、グロープラグ1を上記シリンダに取り付けた状態で、図1に示す様に、端子ネジ部42aには、電源と電気的に接続された外部配線部材13が端子用ナット14を締め付けることによって組み付けられる。これにより、電源から外部配線部材13、中軸4を介して発熱部材3へ通電可能となっている。
【0034】
そして、グロープラグ1においては、発熱部材3への通電直後において、第1抵抗体6に大電流を供給でき、第1抵抗体6を発熱させるとともに、所定時間経過後には、第2抵抗体7側での温度上昇により、第2抵抗体7の抵抗値を増大させて、第1抵抗体6への供給電力を減少させ、第1抵抗体6での過加熱による断線等を防止できるようになっている。こうして、エンジン始動時における燃料の着火および燃焼が促進される。
【0035】
ところで、本実施形態によれば、ヒータピン(第1の棒材)41及び端子ピン(第2の棒材)42における炭素含有量とビッカース硬さとを上記したような範囲に設定することにより、中軸4の強度を確保しつつ、両棒材41、42の良好な溶接性を実現することができる。
【0036】
次に、ヒータピン(第1の棒材)41を、炭素含有量が0.08%〜0.3%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなるものとし、端子ピン(第2の棒材)42を、炭素含有量が0.08%〜0.15%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなるものとした根拠について述べる。
【0037】
図3は、端子ピン42のビッカース硬さHvと端子ネジ部42aの締め付けトルク(上記端子用ナット14を締め付けるトルク)との関係について検討した結果を示す図である。図3では、ビッカース硬さHvを160Hv、180Hv、200Hvと変えた端子ピン42を、それぞれ4個用意し、締め付けトルクを増加させていった場合の端子ピン42の状態を調べたものである。
【0038】
ビッカース硬さHvは、端子ピン42を軸方向に切断し、その切断面の複数箇所におけるビッカース硬さHvを測定し、平均値をとったものである。図3中、クロスマーク(×)は端子ネジ部42aが破断した状態、三角マーク(△)は端子ネジ部42aが変形した状態、丸マーク(○)は端子ネジ部42aが破断も変形もせずに異常の無い状態を示す。
【0039】
ここで、端子ネジ部42aの締め付けトルクは、実用レベルの値として3N・m以上を満足する必要があることから、端子ピン42のビッカース硬さHvは180Hv以上必要であるといえる。また、ヒータピン41についても、端子ピン42と溶接され一体化された中軸4として構成されることから、ビッカース硬さHvは180Hv以上必要であるといえる。
【0040】
このように、ビッカース硬さHvを大きくするためには、単純には、炭素鋼における炭素含有量を増加させればよいが、あまりにも炭素含有量が多すぎると、両棒材41、42の溶接性に問題が生じる。そこで、なるべく少ない炭素含有量にて、ビッカース硬さHv180Hv以上を満足するために、両棒材41、42を冷間鍛造等により加工硬化させる。
【0041】
図4は、端子ピン42について、炭素含有量(C量、%)と加工硬化によるビッカース硬さHvとの関係を調べた結果を示す図である。図4中の破線は加工硬化しない一般状態での炭素含有量とHvとの関係を示すもので、文献値(機械工学便覧、日本機械学会編)である。加工硬化処理によりビッカース硬さHvは大きくなっているが、180Hv以上を満足するためには、炭素含有量は0.08%以上は必要であることがわかる。
【0042】
また、図5は、冷間鍛造により加工硬化処理し180Hv以上としたヒータピン41、端子ピン42において、両ピン41、42の炭素含有量(C量)の組合せを変えた場合の溶接性を調べた結果を示す図である。炭素含有量は、ヒータピン41については、0.1%、0.25%、0.3%、0.35%と変え、端子ピン42については、0.08%、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.35%と変え、図5に示す9個の組合せ▲1▼〜▲9▼について調べた。これら図5に示す各組合せ▲1▼〜▲9▼は、具体的には図6に示してある。
【0043】
図5及び図6中、三角マーク(△)は、実機搭載状態を想定した振動試験にて溶接部43に割れ(遅れ破壊)が発生した場合、クロスマーク(×)は、両棒材41、42の溶接時において割れ(溶接割れ)が発生した場合、丸マーク(○)は、上記遅れ破壊及び溶接割れのいずれも発生しない異常なしの場合を示す。なお、図5では、9個の炭素含有量の組合せ▲1▼〜▲9▼の1つ1つについて、4個ずつサンプルを作成して調べた結果であり、図中の各マークは、重ならないように実際の座標からは多少ずらして示してある。
【0044】
図5から、遅れ破壊や溶接割れといった溶接不良が発生せずに良好な溶接性を満足するには、ヒータピン41の炭素含有量が0.3%以下であり、端子ピン42の炭素含有量が0.15%以下であることが必要と言える。このように、上記図3〜図5に示した検討結果から、両棒材41、42ともビッカース硬さHvが180Hv以上であり、炭素含有量については、ヒータピン41が0.08%〜0.3%で、端子ピン42が0.08%〜0.15%であることが必要といえる。
【0045】
また、図6には、上記図5に示した各組合せ▲1▼〜▲9▼について、溶接部43のビッカース硬さHvを測定した結果を示してある。図6から、溶接部43のビッカース硬さHvが420Hv以上にて溶接不良が発生することがわかる。ここで、製造上のばらつきや材料のばらつき等を考慮すると、溶接部43では400Hv以下が好ましい。
【0046】
そして、両棒材41、42のビッカース硬さHvを180Hv以上とし、炭素含有量については、ヒータピン41が0.08%〜0.3%、端子ピン42が0.08%〜0.15%とすることにより、溶接部43のビッカース硬さHvを400Hv以下とすることができる。
【0047】
また、上記図3からわかるように、両棒材41、42のビッカース硬さHvが200Hv以上であれば、良好な溶接性を実現しつつ、より高い強度を確保することが出来、好ましい。なお、各棒材41、42のビッカース硬さHvは、溶接部のビッカース硬さHvが400Hvを越えないように、大きくし過ぎないようにすることが必要である。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、両ピン41、42における炭素含有量とビッカース硬さとを上記したような範囲に設定することにより、強度及び溶接性が適切に確保された中軸4を実現することができるため、長化及び細径化のニーズに好適なグロープラグ1を提供することができる。
【0049】
(他の実施形態)
なお、端子ピン42の一端側に形成された端子部としては、上記端子ネジ部42aのようにネジ結合を用いるものに限定されない。例えば、外部配線部材として嵌合タイプのターミナルを用い、端子ピン42の一端側に当該ターミナルが嵌合可能な部位を形成し、この部位が端子部として構成されていても良い。
【0050】
また、発熱部材3としては、上記した金属抵抗体6、7に限定されるものではない。例えば、窒化珪素等を用いたセラミック発熱体を用いたものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るグロープラグの縦断面図である。
【図2】ヒータピンと端子ピンとの溶接方法の一例を示す説明図である。
【図3】端子ピンにおけるビッカース硬さHvと締め付けトルクとの関係について検討した結果を示す図である。
【図4】端子ピンについて炭素含有量と加工硬化によるビッカース硬さHvとの関係を調べた結果を示す図である。
【図5】ヒータピン及び端子ピンの炭素含有量を変えた場合の溶接性について検討した結果を示す図である。
【図6】図5に示す炭素含有量の各組合せについて溶接部のビッカース硬さHvを測定した結果を示す図表である。
【符号の説明】
2…ハウジング、3…発熱部材、4…中軸、41…ヒータピン、
42…端子ピン、42a…端子ネジ部。
Claims (4)
- 筒状のハウジング(2)と、
前記ハウジングの一端側にて前記ハウジングの内部に保持され、通電により発熱する発熱部材(3)と、
この発熱部材よりも前記ハウジングの他端側にて前記ハウジング内に収納され、前記発熱部材に通電を行うための棒状の中軸(4)とを備え、
この中軸が、一端側が前記発熱部材に電気的に導通された第1の棒材(41)の他端側と、一端側に外部と電気的に接続可能な端子部(42a)を有する第2の棒材(42)の他端側とを溶接してなるものであるグロープラグにおいて、
前記第1の棒材は、炭素含有量が0.08%〜0.3%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなり、
前記第2の棒材は、炭素含有量が0.08%〜0.15%で且つビッカース硬さが180Hv以上である炭素鋼材料よりなることを特徴とするグロープラグ。 - 前記第1及び第2の棒材(41、42)のビッカース硬さが200Hv以上であることを特徴とする請求項1に記載のグロープラグ。
- 前記第1の棒材(41)と前記第2の棒材(42)との溶接部(43)のビッカース硬さが400Hv以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のグロープラグ。
- 前記中軸(4)の径(D)が3mm以下であり、前記中軸と前記発熱部材(3)との長さの総計は120mm以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のグロープラグ。
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