JP4122527B2 - 二量化した芳香族化合物の製造方法およびその製造用触媒 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、二量化した芳香族化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二量化した芳香族化合物(二量体)は、種々の工業原料として有用なものであり、例えば、3,4,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸アルカリ金属塩は、耐熱性ポリイミド樹脂製造用原料として、極めて有用なものである。
【0003】
従来、芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量化してビフェニル化合物を製造する方法は、多数提案されている。例えば、パラジウム担持触媒、水およびメタノールの存在下に脱ハロゲン二量化させる方法(特公昭59−14015号公報)、さらに、この方法の改良法として、メタノールの代りに、多価アルコールまたはホルムアルデヒドを用いる方法(特開昭62−26238号公報)、ギ酸またはギ酸塩を用いる方法(Synthesis communications 538.(1978)、特開昭61−137838号公報および特開昭61−167642号公報など)、一酸化炭素を用いる方法(特開昭61−293932号公報)などが知られており、より高収率でビアリール化合物を製造するためには、パラジウム担持触媒を予めハロゲン化水素酸中で浸漬処理したあと使用する方法(特開平1−250328号公報)などがある。
【0004】
芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量化させる際に、予めハロゲン化水素酸中で浸漬処理したパラジウム担持触媒を使用すると、ビアリール化合物の収率は高くなるが、脱ハロゲン二量化反応の初期反応速度は必ずしも十分ではなく、反応を完結するためには、反応時間を長くするか、または反応温度を高くするなど、反応条件を厳しくする必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量化させる際の反応速度を向上させる方法について鋭意検討した結果、パラジウム担持触媒として、特定の物性を持つもの、特定の処理を行ったものを使用すると、初期反応速度を高め、反応全体の時間を短縮することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、二量化した芳香族化合物を製造する際の初期反応速度を高めた、工業的有利な製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明においては、芳香核炭素に少なくとも1個のハロゲン原子を有する芳香族ハロゲン化合物を、触媒、水、還元剤およびハロゲン受容体の存在下に脱ハロゲンカップリングさせて二量化した芳香族化合物を製造するにあたり、触媒として、水溶液中、0〜100℃の温度範囲において酸化処理したパラジウム・カーボン触媒を使用して二量化した芳香族化合物を製造する、という手段を講じているものである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明においては、上記の脱ハロゲンカップリングのパラジウム・カーボン触媒として、水溶液中、0〜100℃の温度範囲において酸化処理したのち、ハロゲン化水素酸に浸漬処理したものを用いる、という手段を講じているものである。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明においては、上記の脱ハロゲンカップリングのパラジウム・カーボン触媒として、水溶液中、0〜100℃の温度範囲において酸化処理したのち、鉄化合物の担持およびハロゲン化水素酸への浸漬処理を経たものを用いる、という手段を講じているものである。
【0009】
さらにまた、請求項4に記載の発明においては、上記の脱ハロゲンカップリングのパラジウム・カーボン触媒として、水溶液中、0〜100℃の温度における酸化処理を、触媒表面上の酸素原子と炭素原子をX線光電子分光法(XPS)により分析した際のこれらの原子数比(O/C)が0.2以上となるように行ったものを用いる、という手段を講じているものである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に従い二量化した芳香族化合物を製造する際の原料は、芳香核炭素に少なくとも1個のハロゲン原子を有する芳香族ハロゲン化合物である。原料の芳香核炭素に1個のハロゲン原子を有する場合は、そのハロゲン原子としては、ヨウ素、臭素および塩素が挙げられるが、中でも臭素および塩素が好ましく、特に入手の容易な塩素が好ましい。芳香核炭素に2個以上のハロゲン原子を有する場合は、それらのハロゲン原子としては、ヨウ素、臭素および塩素が挙げられ、これらハロゲン原子は同一でも異なっていてもよい。芳香族ハロゲン化合物の芳香核炭素に置換され得るハロゲン原子の数は6個までであるが、好ましいのは3個以下である。
【0011】
原料の芳香族ハロゲン化合物は、芳香核炭素に少なくとも1個のハロゲン原子を有するほか、ハロゲン原子以外の置換基を有することができるが、ハロゲン原子を有する炭素に隣接する炭素に置換基を有する場合、または複数のハロゲン原子が隣接する場合には、目的とする二量化した芳香族化合物の収率が低下する場合がある。
【0012】
原料として用いることができる芳香族ハロゲン化合物の具体例としては、クロロベンゼン、p−クロロブロモベンゼン、p−クロロジフェニル、p−クロロフェノール、p−クロロアニソール、p−クロロベンズアミド、p−クロロアニリン、p−クロロニトロベンゼン、p−クロロベンゾフェノン、p−クロロアセトフェノン、p−クロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、p−クロロ安息香酸およびそのリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、p−クロロベンゾニトリル、m−ブロモ安息香酸およびそのリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、β−クロロナフタリン、4−クロロオルソキシレン、4−クロロオルソフタル酸およびそのリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、4−クロロフタル酸無水物、および4,5−ジクロロフタル酸などが挙げられる。これらは単独でも、2種以上の混合物であってもよい。
【0013】
上記の例示した中では、4−クロロオルソフタル酸、そのアルカリ金属塩、またはその無水物の単独またはそれらを1成分とする混合物を用いた場合には、耐熱性ポリイミド樹脂の原料である3,4,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸アルカリ金属塩が得られ、有利である。
【0014】
上記芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量化反応させる場合には、触媒、水、還元剤およびハロゲン受容体の存在下に行わせる。
水は、上記芳香族ハロゲン化合物が水可溶性である場合には、(a) 芳香族ハロゲン化合物を水に溶解した水溶液として用いてもよいし、(b) 芳香族ハロゲン化合物を二量化させる反応系に直接添加して用いてもよい。この際に用いる水の量は、上記(a) の場合には溶媒量使用するのが好ましく、上記(b) の場合には芳香族ハロゲン化合物、触媒、還元剤およびハロゲン受容体を含む反応媒体に対し、少なくとも0.1容量%、好ましくは1容量%以上である。
【0015】
上記芳香族ハロゲン化合物が水不溶性である場合には、多量の水の使用はかえって二量化した芳香族化合物の収率を低下させることがあるので、水の使用量は1〜60容量%の範囲で選択するのが好ましい。水の使用量がこの範囲より少ない場合、または水を添加しない場合には、二量化した芳香族化合物の収率および選択率が低下し、好ましくない。
【0016】
芳香族ハロゲン化合物を二量化させる場合に使用される還元剤としては、通常、メタノール、例えばエチレングリコール、グリセリン、エリスリトールなどの多価アルコール類、ホルムアルデヒド、ギ酸またはギ酸塩などが挙げられる。これら還元剤のうちでは、エチレングリコール、グリセリンなどの炭素数2〜4の多価アルコール類が好ましい。
還元剤の使用量は、原料の芳香族ハロゲン化合物1モルに対し、通常、0.01〜50モル、好ましくは0.1〜10モルである。この範囲外では、二量化した芳香族化合物の収率が低下し、好ましくない。
これら還元剤の使用方法としては、上記範囲の反応系に所定量を、一括して添加する方法、複数回に分割して添加する方法、連続的に添加する方法のいずれの方法によってもよい。
【0017】
ハロゲン受容体は、原料の芳香族ハロゲン化合物を二量化させる場合に生じるハロゲン原子を受容する機能を果たし、これにより二量化した芳香族化合物の収率を向上させることができる。
【0018】
ハロゲン受容体としては、通常は塩基性物質が用いられる。塩基性物質としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属化合物類、アルカリ土類金属化合物類などが挙げられる。これらの中でもアルカリ金属化合物類、アルカリ土類金属化合物類などが好適であり、具体的にはアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の水酸化物、炭酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸塩類、酢酸、フタル酸などの有機酸塩類、およびアルコキシド類などが挙げられる。
【0019】
特に好ましい具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどの水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどの炭酸塩類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムターシャリーブトキシドなどの低級(C1-4 )アルコキシド類である。炭酸塩類は水酸化物類に比べ、反応収率がやや低い場合もあるので、水酸化物類がより好ましい。
【0020】
これらハロゲン受容体の使用量は、原料の芳香族ハロゲン化合物に含まれるハロゲン原子数、およびカルボキシル基等の酸性置換基の存在により変えることができる。通常は芳香族ハロゲン化合物1モルに対し、0.01〜100モル、好ましくは0.1〜20モルの範囲で選ばれる。使用量がこの範囲外の場合には、二量化した芳香族化合物の収率が低下するので、好ましくない。
【0021】
本発明方法に従い芳香族ハロゲン化合物を二量化させる場合には、特定のパラジウム・カーボン触媒を使用する。パラジウム・カーボン触媒は、金属パラジウム(Pd)を担体であるカーボン(活性炭)に担持させたものを言う。担体である活性炭に担持させる金属パラジウム(Pd)の量は、0.1〜20重量%、特に好ましいのは0.1〜10重量%である。
【0022】
本発明者らの実験によれば、芳香族ハロゲン化合物を二量化させる脱ハロゲン二量化反応の初期の反応速度を高めるには、理由は不明であるが、上記パラジウム・カーボン触媒として、水溶液中、0℃〜100℃の温度範囲で酸化処理したパラジウム・カーボン触媒を使用するのがよいことが分かった。
上記パラジウム・カーボン触媒の酸化処理は、担体であるカーボン(活性炭)に金属パラジウムを担持させた後に、行うものとする。
【0023】
パラジウム・カーボン触媒の酸化処理する際の酸化剤としては、空気、酸素、過酸化水素水が挙げられる。
パラジウム・カーボン触媒を空気、酸素などの気体によって酸化処理する場合には、パラジウム・カーボン触媒を空気、酸素などの気体に接触させる。具体的には、触媒をパラジウム・カーボンとして0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の割合で懸濁させた水懸濁液に、攪拌下、空気、酸素などの気体を、金属パラジウム1ミリモルに対して1時間当たり0.05〜4.5リッター、好ましくは1時間当たり1.0〜4.0リッターの流量で導入することによって、酸化処理できる。この際の水懸濁液の温度は、0〜100℃の範囲であり、特に好ましいのは50〜100℃である。酸化処理の時間は、気体の導入量、温度などにより変るが、通常は10時間以内であり、好ましくは5時間以内である。
【0024】
パラジウム・カーボン触媒を過酸化水素水によって酸化処理する場合には、上の気体によって酸化処理する場合と同様、触媒を懸濁させた水懸濁液に、過酸化水素水を添加処理する。過酸化水素水の濃度は、10〜50重量%のもの、好ましくは20〜40重量%のものがよい。触媒の懸濁液に過酸化水素水を添加するには、一時に全部を添加したり、連続式、回分式または半連続式のいづれの方法で添加するにしても、添加速度が速すぎると酸化が好ましく行われないので、30分以上の時間をかけて添加するのがよい。酸化処理する場合の温度は0〜100℃の範囲であり、特に好ましいのは50〜100℃である。なお、過酸化水素水を添加する際、懸濁液が酸性であると過酸化水素の分解を制御することができ、好ましい。懸濁液のpHは通常3〜7とするのが好ましい。
【0025】
本発明者らの実験によれば、芳香族ハロゲン化合物を脱ハロゲン二量化反応させる際、その初期反応速度を高めるには、理由は不明であるが、上記パラジウム・カーボン触媒として、その触媒表面上の酸素原子と炭素原子をX線光電子分子光法(X-ray photoelectron spectroscopy,この分析法を「XPS」と言う。)により、X線源としてMgKを使用し、X線の強度を10Kv−30mAなる条件で分析した際のこれらの原子数比(O/C)が、0.2以上のもの、さらに好ましくは0.3以上のものを使用するのがよいことが分かった。
このパラジウム・カーボン触媒についてのXPSによる分析は、担体であるカーボン(活性炭)に金属パラジウムを担持させ、引き続いて酸化処理し、以下に説明する助触媒の担持操作、およびハロゲン化水素酸への浸漬処理操作を行う前に行うものとする。
【0026】
二量化した芳香族化合物を高収率で得るには、上記酸化処理したパラジウム・カーボン触媒に、さらに、助触媒として鉄化合物を担持させるのが好ましい。鉄化合物の具体例としては、塩化鉄、臭化鉄などのハロゲン化物類、硝酸鉄などの無機酸塩類、酢酸鉄などの有機酸塩類などが挙げられ、中でも塩化第二鉄が好適である。助触媒の担持量は、通常、パラジウム1グラム原子に対して、金属鉄として好ましくは0.05〜5グラム原子、特に好ましくは0.5〜3グラム原子程度である。
【0027】
パラジウム・カーボン触媒は、上記した酸化処理し、場合によってはさらに助触媒の鉄化合物を担持させたあと、実際に芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量化反応の触媒として使用する前に、更にハロゲン化水素酸に浸漬処理すると、二量化した芳香族化合物の収率を高めることができるので、好ましい。ハロゲン化水素酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、などが挙げられ、特に塩酸が好ましい。浸漬処理する際のハロゲン化水素酸の濃度は、パラジウム・カーボン触媒を含む懸濁液を酸性に維持できる量であれば特に制限はない。
【0028】
上記の処理を施したパラジウム・カーボン触媒は、そのまま濾過して固液を分離するか、またはハロゲン化水素酸に浸漬処理したあとの液をアルカリで中和したあと濾過して固液を分離して、芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量化反応用触媒に供される。また、場合により、ハロゲン化水素酸に浸漬処理したあとのパラジウム・カーボン触媒を含む液をアルカリで中和し、引き続き芳香族ハロゲン化合物の二量化反応用容器に移送し、脱ハロゲン二量化反応を遂行することもできる。
【0029】
本発明に従い、原料の芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量化反応を行うには、溶媒の存在下または不存在下のいずれでもよい。原料の芳香族ハロゲン化合物が水可溶性である場合は、特に溶媒を用いる必要はないが、芳香族ハロゲン化合物が水不溶性である場合には溶媒を用いるのが一般である。この場合の溶媒は、脱ハロゲン二量化反応に影響しない不活性なものがよい。
溶媒として使用できるものの具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、およびエチレングリコールジアセテートなどのエステル類などが挙げられる。
この溶媒の使用量は特に制限されるものではないが、通常は芳香族ハロゲン化合物1重量部に対し、0.01〜100重量部の範囲から選ばれる。
【0030】
本発明に従い、芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量化反応を行う際に使用する前記パラジウム・カーボン触媒の使用量は、通常、原料の芳香族ハロゲン化合物1モルに対してパラジウム原子換算で0.01〜1000ミリグラム原子、より好ましくは1〜300ミリグラム原子の範囲で選ばれる。
【0031】
以下、本発明に従い、芳香族ハロゲン化合物の脱ハロゲン二量化反応を行う際の一般的条件につき説明する。
脱ハロゲン二量化反応は、溶媒の存在下または不存在下、原料芳香族ハロゲン化合物、パラジウム・カーボン触媒、水、還元剤およびハロゲン受容体からなる混合液を、20〜250℃の温度範囲、好ましくは50〜200℃の範囲に加熱する。反応圧力は、常圧〜200kg/cm2 、好ましくは常圧〜100kg/cm2 の範囲とし、場合により不活性ガスによる加圧下に実施される。反応時間は、特に制限されるものではなく、原料の種類、触媒の量、反応温度、反応圧力などに応じて適宜選択できるが、通常10分〜24時間の範囲で選ばれる。
脱ハロゲン二量化反応方法は、連続式、半連続式、回分式のいずれであってもよい。
【0032】
本発明方法で得られた二量化された芳香族化合物は、その物理的性状に従って、揮発、蒸発、蒸溜、結晶法、酸析法などによって反応液から分離取得することができる。
【0033】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0034】
[実施例1]
<触媒の調製>
ジャケット、攪拌機、コンデンサー、温度計などを装備した容量3リッターのセパラブルフラスコに、脱イオン水906gと、5.00重量%パラジウム・カーボン触媒(水を51.04重量%含む)(NEケムキャット社製)99.66g(金属パラジウムとして2.366g、22.24ミリモル)とを仕込み、攪拌下、35重量%の塩酸1.2gを添加して懸濁液のpHを6に調整したあと、液の内温を70℃に昇温した。
この懸濁液を70℃に保持したがら、31重量%過酸化水素水24.4g(過酸化水素として222.4ミリモル)を1時間かけて連続的に添加し、添加を終了したあと、引き続き、攪拌下、同温度で30分間保持し、室温に冷却した。冷却した触媒懸濁液をNo.5Cの濾紙(東洋濾紙(株)製)によって濾過して固液を分離して、酸化処理したパラジウム・カーボン触媒を得た。
得られた触媒についてのXPS分析値を、表−1に示す。
【0035】
上で使用した容量3リッターのセパラブルフラスコに、脱イオン水1005g、塩化第二鉄・6水和塩6.00g(Fe2 O3 として22.24ミリモル)、塩酸55.0gを入れ、さらに上記方法で得たパラジウム・カーボン触媒を仕込み、内温を30℃に昇温し、攪拌下、この温度で30分間保持した。次いで、内温を15℃に冷却したあと、47重量%水酸化ナトリウム水溶液58.5gを添加してpHを12.6としたあと、内温を80℃に昇温し、攪拌下、この温度で1時間保持し、冷却した。冷却した触媒懸濁液をNo.5Cの濾紙(東洋濾紙(株)製)によって濾過して固液を分離して、酸化処理し、かつ、助触媒を担持させたパラジウム・カーボン触媒を得た。
【0036】
<脱ハロゲン二量化反応>
ジャケット、攪拌機、コンデンサー、温度計などを装備した容量500ミリリッターのセパラブルフラスコに、4−クロロフタル酸モノナトリウム塩を主成分とする原料液を106.4g(4−クロロフタル酸モノナトリウム塩141.5ミリモル、3−クロロフタル酸モノナトリウム塩3.1ミリモル、4,5−ジクロロフタル酸モノナトリウム塩13.3ミリモル、3,4−ジクロロフタル酸モノナトリウム塩0.11ミリモル、フタル酸モノナトリウム塩25.7ミリモルを含む)、上記方法で調整したパラジウム・カーボン触媒を2.08g(金属パラジウムとして0.35ミリモル)、47重量%水酸化ナトリウム30.28g、脱イオン水57.58g、および40重量%グリセリン水溶液10.0gを仕込んだ。
【0037】
内容物を攪拌下、昇温し、108℃の温度で、常圧で5時間反応を行った。途中30分後、1時間後、1.5時間後の時点で反応液の一部を採取した。採取した反応液につき、液体クロマトグラフにより分析し、試料採取時での4−クロロフタル酸塩の残存率を計算し、同時にこの値より反応の速度定数を算出し、その結果を表−1に示す。
なお、4−クロロフタル酸塩の残存率(%)は、次式、即ち、[{残存4−クロロフタル酸塩(重量%)}/{仕込み4−クロロフタル酸塩(重量%)}]×100、に基づいて算出したものである。
【0038】
[比較例1]
<触媒の調製>
実施例1に記載の例において、過酸化水素水による酸化処理を行なわなかったほかは、同例におけると同様の手順で、パラジウム・カーボン触媒を調整した。酸化処理を行わなず、助触媒を担持させる前の触媒についてXPS分析値を行った。その結果を表−1に示す。
<脱ハロゲン二量化反応>
実施例1に記載の場合と同様の手順で、脱ハロゲン二量化反応を行なった。
反応液につき、実施例1に記載の場合と同様に反応の速度定数を算出した結果を、表−1に示す。
【0039】
[実施例2]
<触媒の調製>
実施例1で使用した容量3リッターのセパラブルフラスコに、脱イオン水1006gと、5.00重量%パラジウム・カーボン触媒(水を51.04重量%含む)(NEケムキャット社製)99.66g(金属パラジウムとして22.24ミリモル)とを仕込み、攪拌下、35重量%の塩酸0.24gを添加して液のpHを8に調整したあと、懸濁液に1時間当り50リッターの流速で空気を導入しながら内温を90℃に昇温し、この温度で1時間保持し、室温に冷却した。冷却した触媒懸濁液をNo.5Cの濾紙(東洋濾紙(株)製)によって濾過して固液を分離して、酸化処理したパラジウム・カーボン触媒を得た。
得られた触媒についてのXPS分析値を、表−1に示す。
以後は、実施例1に記載したと同様の手順で、助触媒を担持させ、ハロゲン化水素酸への浸漬処理を行なった。
【0040】
<脱ハロゲン二量化反応>
実施例1に記載の場合と同様の手順で、脱ハロゲン二量化反応を行なった。
反応液につき、実施例1に記載の場合と同様に反応の速度定数を算出した結果を、表−1に示す。
【0041】
[実施例3]
<触媒の調製>
実施例2に記載の例において、酸化処理を空気に代えて酸素を使用したほかは、同例におけると同様の手順で、酸化処理したパラジウム・カーボン触媒を調整した。
得られた触媒についてのXPS分析値を、表−1に示す。
以後は、実施例1に記載したと同様の手順で、助触媒を担持させ、ハロゲン化水素酸への浸漬処理を行なった。
<脱ハロゲン二量化反応>
実施例2に記載の場合と同様の手順で、脱ハロゲン二量化反応を行なった。
反応液につき、実施例1に記載の場合と同様に反応の速度定数を算出した結果を、表−1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表−1より、次のことが明らかである
1.本発明方法によるときは、脱ハロゲン二量化反応の反応速度定数が大であるが(実施例1〜実施例3)、本発明方法によらないときは、これが小さい(比較例1)。
2.また、本発明により、触媒表面上の酸素原子と炭素原子をX線光電分子光法(XPS)により分析した際の原子数比(O/C)が0.2以上のパラジウム・カーボン触媒を使用したときは、脱ハロゲン二量化反応の反応速度定数が大であるが(実施例1〜実施例3)、本発明方法によらないときは、これが小さい(比較例1)。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は、極めて大である。
1.本発明方法によるときは、脱ハロゲン二量化反応の初期の反応速度を高くし、二量化反応の反応時間を短縮することができ、二量化された芳香族化合物製造時の生産性を大幅に向上させることができる。
2.本発明の請求項2に記載のパラジウム・カーボン触媒は、脱ハロゲン二量化反応の初期の反応速度を高くし、二量化反応の反応時間を短縮することができ、二量化された芳香族化合物製造時の生産性を大幅に向上させることができる。
3.本発明の請求項4に記載のパラジウム・カーボン触媒は、脱ハロゲン二量化反応の初期の反応速度を高くし、二量化反応の反応時間を短縮することができ、二量化された芳香族化合物製造時の生産性を大幅に向上させることができる。
Claims (7)
- 芳香核炭素に少なくとも1個のハロゲン原子を有する芳香族ハロゲン化合物を、触媒、水、還元剤およびハロゲン受容体の存在下に脱ハロゲンカップリングさせて二量化した芳香族化合物を製造するにあたり、触媒として、水溶液中、0〜100℃の温度範囲において酸化処理したパラジウム・カーボン触媒を使用することを特徴とする、二量化した芳香族化合物の製造方法。
- 芳香核炭素に少なくとも1個のハロゲン原子を有する芳香族ハロゲン化合物を、触媒、水、還元剤およびハロゲン受容体の存在下に脱ハロゲンカップリングさせて二量化した芳香族化合物を製造するにあたり、触媒として、水溶液中、0〜100℃の温度範囲において酸化処理したのち、ハロゲン化水素酸に浸漬処理したパラジウム・カーボン触媒を用いることを特徴とする、二量化した芳香族化合物の製造方法。
- 芳香核炭素に少なくとも1個のハロゲン原子を有する芳香族ハロゲン化合物を、触媒、水、還元剤およびハロゲン受容体の存在下に脱ハロゲンカップリングさせて二量化した芳香族化合物を製造するにあたり、触媒として、水溶液中、0〜100℃の温度範囲において酸化処理したのち、鉄化合物の担持およびハロゲン化水素酸への浸漬処理を経たパラジウム・カーボン触媒を用いることを特徴とする、二量化した芳香族化合物の製造方法。
- 水溶液中での酸化処理を、触媒表面上の酸素原子と炭素原子をX線光電子分光法(XPS)により分析した際のこれらの原子数比(O/C)が0.2以上となるように行ったパラジウム・カーボン触媒を用いることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の二量化した芳香族化合物の製造方法。
- 水溶液中での酸化処理を、触媒表面上の酸素原子と炭素原子とをX線光電子分光法(XPS)により分析した際のこれらの原子数比(O/C)が0.3以上となるように行ったパラジウム・カーボン触媒を用いることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の二量化した芳香族化合物の製造方法。
- 金属パラジウムをカーボン(活性炭)に担持させた後、水溶液中、0〜100℃の温度範囲で酸化処理することを特徴とする、二量化した芳香族化合物の製造用パラジウム・カーボン触媒の製造方法。
- パラジウム・カーボン触媒であって、水溶液中、0〜100℃の温度において酸化処理されたものであることを特徴とする、二量化した芳香族化合物の製造用パラジウム・カーボン触媒。
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