JP4062729B2 - 触媒早期暖機システムの異常診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、排出ガス浄化用の触媒を早期に暖機する触媒早期暖機システムの異常診断を行う触媒早期暖機システムの異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両に搭載される内燃機関は、冷間始動時に排出ガス浄化用の触媒を早期に活性温度にまで暖機するために、冷間始動時に触媒早期暖機制御を実施するようにしている。この触媒早期暖機制御では、一般に、点火時期を遅角して排気温度を上昇させると共に、通常のアイドル制御時よりも吸入空気量を増量させてアイドル回転速度を上昇させることで、冷間始動時の点火時期遅角によってアイドル回転が不安定になるのを防止しながら排気熱量(触媒に供給される熱量)を増大させて触媒の暖機を促進するようにしている。この触媒早期暖機システムの故障等によって触媒早期暖機制御中の排気熱量が減少して触媒の早期暖機に必要な熱量が触媒に供給されなくなると、冷間始動時に触媒の暖機(活性化)が遅れて、冷間始動時の排気エミッションが悪化してしまうため、触媒早期暖機システムの異常を早期に検出する必要がある。
【0003】
そこで、特開2001−132438号公報に示すように、触媒の温度を検出する触媒温度センサを設け、この触媒温度センサで検出した触媒温度と、始動後の積算吸入空気量に基づいて推定した推定触媒温度とを比較して、触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしたものがある。
【0004】
また、特開2001−132526号公報に示すように、触媒早期暖機制御中にエンジン回転速度と点火時期遅角量の少なくとも一方を所定の異常判定値と比較して、触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしたものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者(特開2001−132438号公報)では、触媒温度を検出するための触媒温度センサを新たに設ける必要があるため、その分、コストアップしてしまうという欠点がある。
【0006】
また、内燃機関の排気熱量(触媒に供給される熱量)は、排気温度と排気流量によって変化し、更に、図4に示すように、排気温度は空燃比によって変化し、排気流量は吸入空気量によって変化するため、内燃機関の排気熱量(触媒に供給される熱量)は、吸入空気量や空燃比によって変化することになる。このため、後者(特開2001−132526号公報)では、エンジン回転速度や点火時期に基づいて触媒早期暖機システムが正常と診断された場合でも、吸入空気量や空燃比の影響を受けて排気熱量が減少して触媒の早期暖機に必要な熱量が触媒に供給されていない、つまり、触媒早期暖機制御が正常に行われていない可能性があり、触媒早期暖機システムの異常の有無を誤診断する可能性がある。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、触媒早期暖機システムの異常診断精度を向上することができると共に、低コスト化の要求も満たすことができる触媒早期暖機システムの異常診断装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の触媒早期暖機システムの異常診断装置は、触媒早期暖機制御中に内燃機関の運転状態に基づいて該内燃機関の排気熱量又は前記触媒に供給する熱量を推定する排気熱量算出手段と、この排気熱量算出手段で推定した熱量に基づいて触媒早期暖機システムの異常の有無を診断する異常診断手段と、触媒早期暖機制御中の空燃比を推定する空燃比推定手段とを備え、前記異常診断手段は、前記空燃比推定手段で推定した前記触媒早期暖機制御中の空燃比に基づいて異常診断条件を補正することを特徴とするものである。
【0012】
本発明のように、排気熱量算出手段によって触媒早期暖機制御中に内燃機関の運転状態に基づいて内燃機関の排気熱量又は触媒に供給する熱量を推定し、その熱量に基づいて触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにすれば、触媒早期暖機制御中の排気熱量が触媒の早期暖機に必要な熱量となっているか否かをより精度良く判定することができる。
【0013】
この場合、請求項2のように、吸入空気量パラメータと空燃比パラメータとのうちの少なくとも一方に基づいて排気熱量を求めるようにすると良い。前述したように、吸入空気量や空燃比は、内燃機関の排気熱量を変化させるパラメータとなるため、吸入空気量パラメータや空燃比パラメータを用いれば、排気熱量を精度良く求めることができる。
【0014】
更に、機関回転速度、点火時期、空燃比によって排気温度が変化することを考慮して、請求項3のように、内燃機関の排気熱量を求める際に、機関回転速度、点火時期、空燃比パラメータのうちの少なくとも1つを用いて排気温度を推定し、この推定排気温度と吸入空気量パラメータとに基づいて排気熱量を算出するようにしても良い。このようにすれば、排気熱量の算出精度を更に向上することができる。
【0015】
また、請求項4のように、吸入空気量パラメータとしては、エアフローメータ等で検出した吸入空気量、スロットル開度、吸気バルブの可変リフト量、吸気圧のうちの少なくとも1つを用いるようにすれば良い。スロットル開度、吸気圧は、いずれも吸入空気量と相関関係があるため、吸入空気量パラメータとして用いることができる。更に、可変バルブリフト機構によって吸気バルブのリフト量を可変して吸入空気量を調整するシステムでは、吸気バルブの可変リフト量を吸入空気量パラメータとして用いることができる。
【0016】
また、請求項5のように、空燃比パラメータは、排気系の空燃比センサで検出した空燃比、燃料噴射量、燃焼ラフネス値のうちの少なくとも1つを用いるようにすれば良い。燃料噴射量によって空燃比が変化し、空燃比によって燃焼ラフネス値が変化するため、燃料噴射量や燃焼ラフネス値も空燃比パラメータとして用いることができる。尚、始動後に空燃比センサが活性温度に昇温するまでの期間は空燃比を精度良く検出できないため、空燃比センサの出力を空燃比パラメータとして用いる場合は、空燃比センサの活性後にならないと空燃比パラメータを使用できないが、燃料噴射量や燃焼ラフネス値は、始動直後(触媒早期暖機制御開始直後)から空燃比パラメータとして用いることができる利点がある。
【0017】
ところで、触媒の暖機に関わる熱量には、内燃機関の排気熱量の他に、触媒内部で排出ガス中のリーン成分(酸素等)とリッチ成分(HC等)とが反応して発生する反応熱量がある。触媒早期暖機制御中の空燃比によって触媒内部で反応するリーン成分量(酸素量等)が変化して触媒内部で発生する反応熱量が変化するため、触媒早期暖機制御中の空燃比よって触媒の早期暖機に必要な排気熱量も異なってくる。
【0018】
そこで、請求項1に係る発明では、空燃比推定手段によって触媒早期暖機制御中(排気熱量算出中)の空燃比を推定し、排気熱量に基づいて触媒早期暖機システムの異常の有無を診断する際に、空燃比推定手段で推定した触媒早期暖機制御中の空燃比に基づいて異常診断条件を補正するようにしている。このようにすれば、触媒早期暖機制御中の空燃比によって触媒内部で発生する反応熱量が変化するのに対応して異常診断条件(例えば異常判定値又は排気熱量)を補正することができ、触媒早期暖機制御中の排気熱量が触媒の早期暖機に必要な熱量となっているか否かを精度良く判定することができる。
【0019】
一般に、触媒早期暖機制御中は、内燃機関の温度が低いため、燃料噴射弁から噴射された燃料のうち吸気ポート壁面等に付着する燃料量(ウェット量)が比較的多くなっている。従って、触媒早期暖機制御中は、燃料噴射量と吸入空気量からでは、空燃比を精度良く推定することができない。
【0020】
そこで、請求項6のように、排気通路に設けられた空燃比センサが活性状態になった時に該空燃比センサで検出した空燃比に基づいて触媒早期暖機制御中の空燃比を推定するようにしても良い。この場合、空燃比センサが活性状態になるまで待つ必要があるが、空燃比センサで検出した実際の空燃比に基づいて触媒早期暖機制御中の空燃比を推定することができるので、燃料噴射量と吸入空気量から触媒早期暖機制御中の空燃比を推定する場合に比べて、触媒早期暖機制御中の空燃比を精度良く推定することができる。
【0021】
また、空燃比センサの活性後は、空燃比フィードバック制御が開始されて、空燃比センサの検出空燃比に基づいて空燃比フィードバック補正係数が算出されるため、請求項7のように、空燃比フィードバック補正係数に基づいて触媒早期暖機制御中の空燃比を推定するようにしても良い。空燃比フィードバック補正係数は、空燃比センサの検出空燃比に応じて設定されるので、空燃比フィードバック補正係数に基づいて触媒早期暖機制御中の空燃比を推定しても、空燃比センサの活性時の検出空燃比を用いる場合(請求項6)と同様に、触媒早期暖機制御中の空燃比を精度良く推定することができる。
【0022】
更に、触媒早期暖機制御中に内燃機関の回転挙動に基づいて空燃比をリーン方向に補正するためのリーン化補正係数を算出するシステムの場合には、請求項8のように、触媒早期暖機制御中の空燃比の推定に用いるパラメータとして、前記空燃比センサの活性時の検出空燃比又は前記空燃比フィードバック補正係数に加えて、リーン化補正係数も用いるようにしても良い。つまり、空燃比センサの活性時の検出空燃比(又は空燃比フィードバック補正係数)とリーン化補正係数とに基づいて触媒早期暖機制御中の空燃比を推定するようにしても良い。リーン化補正係数は、触媒早期暖機制御中の空燃比の挙動(リーン方向への変化量)を表すパラメータとなるため、空燃比センサの活性時の検出空燃比(又は空燃比フィードバック補正係数)とリーン化補正係数とを用いれば、触媒早期暖機制御中のリーン化補正も考慮して空燃比を更に精度良く推定することができる。
【0023】
ところで、車両の走行中は、運転条件の変化に応じて吸入空気量や燃料噴射量が変化し、それに応じて触媒早期暖機システムの異常診断パラメータ(吸入空気量パラメータや空燃比パラメータ)が変化するだけでなく、走行風による触媒の放熱によって触媒の暖機が遅れるため、車両の走行中は、運転条件の変化や走行風の影響を考慮しないと、触媒早期暖機システムの異常診断を精度良く行うことは困難である。
【0024】
そこで、請求項9のように、触媒早期暖機制御中且つ内燃機関のアイドル運転中に、触媒早期暖機システムの異常診断を実行するようにすると良い。アイドル運転中であれば、内燃機関の運転条件(吸入空気量や燃料噴射量)が比較的安定しているため、触媒早期暖機システムの異常診断パラメータに及ぼす運転条件の影響を少なくできると共に、走行風による触媒の暖機の遅れも発生しない。そのため、アイドル運転中は、運転条件の変化や走行風の影響を考慮せずに、触媒早期暖機システムの異常診断を精度良く行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
[実施形態(1)]
以下、本発明の実施形態(1)を図1乃至図4に基づいて説明する。まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、スロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
【0026】
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17に、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。また、エンジン11のシリンダヘッドには、各気筒毎に点火プラグ21が取り付けられ、各点火プラグ21の火花放電によって筒内の混合気に点火される。
【0027】
一方、エンジン11の排気管22には、排出ガス中のCO,HC,NOx等を低減させる三元触媒等の触媒24が設けられ、この触媒24の上流側に排出ガスの空燃比又はリーン/リッチを検出する空燃比センサ23(A/Fセンサ、酸素センサ等)が設けられている。また、エンジン11のシリンダブロックには、冷却水温を検出する冷却水温センサ29や、エンジン回転速度を検出するクランク角センサ30が取り付けられている。
【0028】
これら各種のセンサ出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)31に入力される。このECU31は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種の制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて燃料噴射弁20の燃料噴射量や点火プラグ21の点火時期を制御する。
【0029】
また、ECUは、ROMに記憶された触媒早期暖機制御プログラム(図示せず)を実行することで、冷間始動時に、触媒24を早期に活性温度にまで暖機するための触媒早期暖機制御を実行する。この触媒早期暖機制御では、通常のアイドル制御時よりも点火時期を遅角して排出ガスの温度を上昇させると共に、通常のアイドル制御時よりも吸入空気量を増加させてアイドル回転速度を上昇させることで、冷間始動時の点火時期遅角によってアイドル回転が不安定になるのを防止しながら排気熱量(触媒24に供給される熱量)を増大させて触媒24の暖機を促進する。
【0030】
ここで、エンジン11の排気熱量(触媒24に供給される熱量)は、排気温度と排気流量によって変化し、更に、図4に示すように、排気温度は空燃比によって変化し、排気流量は吸入空気量によって変化するため、エンジン11の排気熱量(触媒24に供給される熱量)は、吸入空気量や空燃比によって変化することになる。ここで、空燃比は、空燃比センサ23で検出できるが、冷間始動直後(触媒早期暖機制御開始直後)は、空燃比センサ23が活性化していないため、本実施形態(1)では、空燃比と相関関係のある燃料噴射量TAUを空燃比パラメータとして用いる。
【0031】
これらの事情を考慮して、ECU31は、ROMに記憶された図2の触媒早期暖機システム異常診断プログラムを実行することで、図3に示すように、触媒早期暖機制御中に吸入空気量GA(吸入空気量パラメータ)と燃料噴射量TAU(空燃比パラメータ)をそれぞれ積算し、吸入空気量積算値GASUMと燃料噴射量積算値TAUSUMが、それぞれ所定の正常範囲内か否かによって排気熱量が触媒24の早期暖機に必要な熱量となっているか否かを判定して、触媒早期暖機システムの異常の有無を診断する。
【0032】
以下、ECU31が実行する図2の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの具体的な処理内容を説明する。本プログラムは、所定時間毎又は所定クランク角毎に繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう異常診断手段に相当する役割を果たす。本プログラムが起動されると、まず、ステップ101で、触媒早期暖機実行条件が成立しているか否かを、例えば冷却水温が所定温度よりも低いか否か等によって判定する。もし、触媒早期暖機実行条件が成立していなければ、そのまま本プログラムを終了する。
【0033】
一方、触媒早期暖機実行条件が成立していれば、ステップ102に進み、アイドル運転状態か否かを判定する。もし、アイドル運転状態でなければ、以降の異常診断処理(ステップ103〜112)を実行することなく本プログラムを終了する。
【0034】
これに対して、触媒早期暖機実行条件が成立して触媒早期暖機制御が実行され、且つアイドル運転中であれば、ステップ103以降の異常診断処理を次のようにして実行する。まず、ステップ103に進み、エアフローメータ14で検出した吸入空気量GAを読み込んだ後、ステップ104に進み、燃料噴射制御プログラム(図示せず)で算出した燃料噴射量TAUを読み込む。
【0035】
この後、ステップ105に進み、前回までの吸入空気量積算値GASUMに今回の吸入空気量GAを加算して吸入空気量積算値GASUMを更新した後、ステップ106に進み、前回までの燃料噴射量積算値TAUSUMに今回の燃料噴射量TAUを加算して燃料噴射量積算値TAUSUMを更新する。この後、ステップ107に進み、カウンタCSUMのカウント値を「1」だけカウントアップする。
【0036】
この後、ステップ108に進み、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えたか否かを判定し、越えていなければ、ステップ101に戻る。これにより、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えるまで、吸入空気量積算値GASUMを算出する処理と、燃料噴射量積算値TAUSUMを算出する処理を繰り返す。
【0037】
その後、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えた時点で、ステップ109に進み、吸入空気量積算値GASUMが所定の正常範囲内(Gmin <GASUM<Gmax )であるか否かを判定し、更に、次のステップ110で、燃料噴射量積算値TAUSUMが所定の正常範囲内(Tmin <TAUSUM<Tmax )か否かを判定する。
【0038】
ステップ109とステップ110で共に「Yes」と判定された場合(つまり吸入空気量積算値GASUMが正常範囲内、且つ、燃料噴射量積算値TAUSUMが正常範囲内と判定された場合)には、排気熱量が触媒24の早期暖機に必要な熱量となっていると判断して、ステップ111に進み、触媒早期暖機システムが正常と判定して、本プログラムを終了する。
【0039】
これに対して、ステップ109で「No」と判定された場合(吸入空気量積算値GASUMが正常範囲外と判定された場合)、又は、ステップ110で「No」と判定された場合(燃料噴射量積算値TAUSUMが正常範囲外と判定された場合)には、排気熱量が触媒24の早期暖機に適正な熱量となっていない(排気熱量が不足又は過剰)と判断して、ステップ112に進み、触媒早期暖機システムが異常と判定して、警告ランプ(図示せず)を点灯して運転者に警告すると共に、異常コードをECU31のバックアップRAM(図示せず)に記憶した後、本プログラムを終了する。
【0040】
以上説明した本実施形態(1)では、触媒早期暖機制御中に吸入空気量GA(吸入空気量パラメータ)と燃料噴射量TAU(空燃比パラメータ)をそれぞれ積算し、吸入空気量積算値GASUMと燃料噴射量積算値TAUSUMが、それぞれ所定の正常範囲内か否かによって触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしたので、触媒早期暖機制御中の積算排気熱量(始動後に触媒24に供給される総熱量)を評価して、触媒早期暖機システムの異常の有無を精度良く診断することができる。しかも、触媒温度を検出するためのセンサを新たに設ける必要がないので、低コスト化の要求も満たすことができる。
【0041】
尚、本実施形態(1)では、吸入空気量GAと燃料噴射量TAUの両方を用いて触媒早期暖機システムの異常診断を行うようにしたが、吸入空気量GAと燃料噴射量TAUのうちのいずれか一方のみを用いて触媒早期暖機システムの異常診断を行うようにしても良い。
【0042】
ところで、車両の走行中は、エンジン運転条件の変化に応じて吸入空気量や燃料噴射量が変化し、それに応じて触媒早期暖機システムの異常診断パラメータ(吸入空気量パラメータや空燃比パラメータ)が変化するだけでなく、走行風による触媒24の放熱によって触媒24の暖機が遅れるため、車両の走行中は、運転条件の変化や走行風の影響を考慮しないと、媒早期暖機システムの異常診断を精度良く行うことは困難である。
【0043】
その点、本実施形態(1)では、エンジン運転条件(吸入空気量、燃料噴射量等)が比較的安定しているアイドル運転中に、触媒早期暖機システムの異常診断を実行するようにしたので、異常診断パラメータに及ぼすエンジン運転条件の影響を少なくできると共に、走行風による触媒24の暖機の遅れも発生しない。そのため、本実施形態(1)では、エンジン運転条件の変化や走行風の影響を考慮せずに、触媒早期暖機システムの異常診断を精度良く行うことができる。
【0044】
尚、本実施形態(1)では、吸入空気量パラメータとしてエアフローメータ14で検出した吸入空気量GAを用いたが、吸入空気量パラメータとしてスロットル開度や吸気圧を用いるようにしても良い。更に、可変バルブリフト機構によって吸気バルブのリフト量を可変して吸入空気量を調整するシステムでは、吸気バルブの可変リフト量を吸入空気量パラメータとして用いるようにしても良い。或は、スロットル開度、吸気圧、吸気バルブの可変リフト量等を用いて求めた推定吸入空気量を吸入空気量パラメータとして用いても良い。
【0045】
また、本実施形態(1)では、空燃比パラメータとして燃料噴射量TAUを用いたが、空燃比パラメータとして燃焼ラフネス値を用いるようにしても良い。或は、燃料噴射量、燃焼ラフネス値等を用いて求めた推定空燃比を空燃比パラメータとして用いても良い。尚、冷間始動時でも早期に活性化可能な空燃比センサを備えたシステムの場合には、空燃比パラメータとして空燃比センサで検出した空燃比を用いても良い。
【0046】
[実施形態(2)]
前記実施形態(1)では、触媒早期暖機制御中に吸入空気量GA(吸入空気量パラメータ)と燃料噴射量TAU(空燃比パラメータ)を積算し、その積算値に基づいて触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしたが、図5及び図6に示す本発明の実施形態(2)では、触媒早期暖機制御中に推定空燃比A/F(空燃比パラメータ)を監視し、その挙動に基づいて触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしている。
【0047】
以下、本実施形態(2)の触媒早期暖機システムの異常診断を行う図5の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの処理内容を説明する。本プログラムでは、触媒早期暖機制御中且つアイドル運転中のときに、吸入空気量GAと燃料噴射量TAUを読み込む(ステップ201〜204)。
【0048】
この後、ステップ205に進み、吸入空気量GAを燃料噴射量TAUで除算して推定空燃比A/Fを算出する。
A/F=GA/TAU
尚、図6に示すように、推定空燃比A/Fの算出は、空燃比A/Fが安定し始めるタイミング付近から開始するようにしても良い。
【0049】
この後、ステップ206に進み、カウンタCSUMのカウント値を「1」だけカウントアップした後、ステップ207に進み、推定空燃比A/Fが所定空燃比(例えば14)よりもリッチか否かを判定する。前述したように、排気温度は空燃比によって変化するため(図4参照)、推定空燃比A/Fが所定空燃比(例えば14)よりもリッチであるか否かによって触媒早期暖機制御中に排気温度が異常低下したか否かを判定することができる。推定空燃比A/Fが所定空燃比よりもリーンであれば、次のステップ208に進み、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えたか否かによって異常診断期間が終了したか否かを判定し、異常診断期間の終了前であれば、ステップ201に戻る。
【0050】
一方、上記ステップ207で推定空燃比A/Fが所定空燃比よりもリッチと判定された場合には、ステップ210に進み、リッチカウンタNのカウント値を「1」だけカウントアップする。このリッチカウンタNは、推定空燃比A/Fが所定空燃比よりもリッチとなった回数をカウントすることで、排気温度が異常低下した回数をカウントする。この後、ステップ211に進み、リッチカウンタNのカウント値が所定値Mを越えたか否かを判定し、越えていなければ、ステップ208に進む。
【0051】
上記ステップ211で、リッチカウンタNのカウント値が所定値Mを越えることなく、ステップ208で、異常診断期間が終了したと判定されれば、ステップ209に進み、触媒早期暖機システムが正常と判定して、本プログラムを終了する。
【0052】
これに対して、異常診断期間が終了する前に、ステップ211でリッチカウンタNのカウント値が所定値Mを越えたと判定された場合には、ステップ212に進み、触媒早期暖機システムが異常と判定して、警告ランプ(図示せず)を点灯して運転者に警告すると共に、異常コードをECU31のバックアップRAM(図示せず)に記憶した後、本プログラムを終了する。
【0053】
以上説明した本実施形態(2)では、触媒早期暖機制御中に推定空燃比A/F(空燃比パラメータ)を監視し、推定空燃比A/Fが所定空燃比よりもリッチになったか否かで、排気温度が異常低下したか否かを判定して触媒早期暖機システムの異常診断を行うようにしたので、触媒早期暖機制御中に一時的に異常状態となった場合でも、その異常を検出して触媒早期暖機システムの異常と診断することができる。
【0054】
尚、本実施形態(2)では、空燃比パラメータとして推定空燃比A/Fを用いたが、空燃比パラメータとして燃料噴射量や燃焼ラフネス値を用いるようにしても良い。また、冷間始動時でも早期に活性化可能な空燃比センサを備えたシステムの場合には、空燃比パラメータとして空燃比センサで検出した空燃比を用いても良い。
【0055】
また、本実施形態(2)では、空燃比パラメータ(推定空燃比A/F)の挙動に基づいて触媒早期暖機システムの異常診断を行うようにしたが、吸入空気量パラメータの挙動、或は、空燃比パラメータと吸入空気量パラメータの両方の挙動に基づいて触媒早期暖機システムの異常診断を行うようにしても良い。
【0056】
[実施形態(3)]
図7に示す本発明の実施形態(3)では、空燃比、点火時期遅角量、エンジン回転速度によって排気温度が変化することを考慮して、触媒早期暖機制御中に推定空燃比(空燃比パラメータ)、点火時期遅角量及びエンジン回転速度に基づいて推定排気温度を算出すると共に、この推定排気温度と吸入空気量(吸入空気量パラメータ)に基づいてエンジン11の推定排気熱量を算出し、これを積算して求めた推定排気熱量積算値QSUMを所定値Qmin と比較して触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしている。
【0057】
以下、本実施形態(3)の触媒早期暖機システムの異常診断を行う図7の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの処理内容を説明する。本プログラムでは、触媒早期暖機制御中且つアイドル運転中のときに、吸入空気量GAと燃料噴射量TAUを読み込む(ステップ301〜304)。
【0058】
この後、ステップ305に進み、吸入空気量GAを燃料噴射量TAUで除算して推定空燃比A/F(A/F=GA/TAU)を算出した後、ステップ306に進み、推定空燃比A/F、点火時期遅角量Δθ、エンジン回転速度NEを用いて推定排気温度Tを次式により算出する。
T=A/F×K1 +Δθ×K2 +NE×K3 +K4
ここで、K1 〜K4 は係数である。
【0059】
推定排気温度Tの算出後、ステップ307に進み、推定排気温度Tと吸入空気量GAとを用いて推定排気熱量Qを次式により算出する。
Q=T×GA×E
ここで、Eは排出ガスの比熱である。
【0060】
推定排気熱量Qの算出後、ステップ308に進み、前回までの推定排気熱量積算値QSUMに今回の推定排気熱量Qを加算して推定排気熱量積算値QSUMを更新する。この後、ステップ309に進み、タイマCSUMのカウント値を「1」だけカウントアップする。
【0061】
この後、ステップ310に進み、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えたか否かを判定し、越えていなければ、ステップ301に戻る。これにより、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えるまで、推定排気熱量積算値QSUMを更新する処理を繰り返す(図6参照)。
【0062】
その後、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えた時点で、ステップ311に進み、推定排気熱量積算値QSUMが所定値Qmin よりも大きいか否かを判定する。推定排気熱量積算値QSUMが所定値Qmin よりも大きいと判定された場合には、排気熱量が触媒24の早期暖機に必要な熱量となっていると判断して、ステップ312に進み、触媒早期暖機システムが正常と判定して、本プログラムを終了する。
【0063】
これに対して、ステップ311で推定排気熱量積算値QSUMが所定値Qmin 以下と判定された場合には、排気熱量が不足して、触媒24の早期暖機に必要な熱量が触媒24に供給されていないと判断して、ステップ313に進み、触媒早期暖機システムが異常と判定して、警告ランプ(図示せず)を点灯して運転者に警告すると共に、異常コードをECU31のバックアップRAM(図示せず)に記憶した後、本プログラムを終了する。
【0064】
以上説明した本実施形態(3)では、触媒早期暖機制御中に、推定空燃比(空燃比パラメータ)、点火時期遅角量及びエンジン回転速度に基づいて推定排気温度を算出すると共に、この推定排気温度と吸入空気量(吸入空気量パラメータ)に基づいてエンジン11の推定排気熱量を算出し、これを積算して求めた推定排気熱量積算値QSUMを所定値Qmin と比較して触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしたので、排気熱量が触媒24の早期暖機に必要な熱量となっているか否かをより精度良く判定することができる。
【0065】
尚、本実施形態(3)では、空燃比、点火時期遅角量、エンジン回転速度によって排気温度が変化することを考慮して、空燃比、点火時期遅角量、エンジン回転速度の全てを考慮して排気温度を精度良く推定するようにしたが、空燃比、点火時期遅角量、エンジン回転速度のうちのいずれか2つ又は1つのパラメータのみを用いて排気温度を推定するようにしても良い。
【0066】
また、本実施形態(3)では、吸入空気量パラメータとしてエアフローメータ14で検出した吸入空気量GAを用いたが、吸入空気量パラメータとしてスロットル開度、吸気圧、吸気バルブの可変リフト量のいずれかを用いるようにしても良い。或は、スロットル開度、吸気圧、吸気バルブの可変リフト量等を用いて求めた推定吸入空気量を吸入空気量パラメータとして用いても良い。
【0067】
また、本実施形態(3)では、空燃比パラメータとして推定空燃比A/Fを用いたが、空燃比パラメータとして燃料噴射量や燃焼ラフネス値を用いるようにしても良い。また、冷間始動時でも早期に活性化可能な空燃比センサを備えたシステムの場合には、空燃比パラメータとして空燃比センサで検出した空燃比を用いても良い。
【0068】
[実施形態(4)]
ところで、触媒24の暖機に関わる熱量には、エンジン11からの排気熱量の他に、触媒24の内部で排出ガス中のリーン成分(酸素等)とリッチ成分(HC等)とが反応して発生する反応熱量がある。触媒早期暖機制御中の空燃比によって触媒24で反応するリーン成分量(酸素量等)が変化して触媒24内部で発生する反応熱量が変化するため、触媒早期暖機制御中の空燃比よって触媒24の早期暖機に必要な排気熱量も異なってくる。
【0069】
そこで、図8乃至図11に示す本発明の実施形態(4)では、触媒早期暖機制御中(排気熱量算出中)の空燃比を推定し、排気熱量に基づいて触媒早期暖機システムの異常の有無を診断する際に、触媒早期暖機制御中の推定空燃比に基づいて異常診断条件[本実施形態(4)では排気熱量]を補正するようにしている。尚、本実施形態(4)では、空燃比の情報として空気過剰率λを用いるようにしている。
【0070】
以下、本実施形態(4)の触媒早期暖機システムの異常診断を行う図8の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの処理内容を説明する。本プログラムでは、触媒早期暖機制御中且つアイドル運転中のときに、吸入空気量GAを読み込む(ステップ401〜403)。
【0071】
この後、ステップ404に進み、点火時期遅角量Δθ、エンジン回転速度NEを用いて基準空燃比(例えば空気過剰率λ=1)における推定排気温度T0 を次式により算出する。
T0 =K0 +Δθ×K2 +NE×K3
ここで、K0 、K2 、K3 は係数である。
【0072】
この後、ステップ405に進み、推定排気温度T0 と吸入空気量GAと排出ガスの比熱Eを用いて推定排気熱量Q0 を次式により算出する。
Q0 =T0 ×GA×E
推定排気熱量Q0 の算出後、ステップ406に進み、前回までの推定排気熱量積算値QSUM0 に今回の推定排気熱量Q0 を加算して推定排気熱量積算値QSUM0 を更新する。この後、ステップ407に進み、タイマCSUMのカウント値を「1」だけカウントアップする。
【0073】
この後、ステップ408に進み、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えたか否かを判定し、越えていなければ、ステップ401に戻る。これにより、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えるまで、推定排気熱量積算値QSUM0 を更新する処理を繰り返す。
【0074】
その後、カウンタCSUMのカウント値が所定値Kを越えた時点で、ステップ409に進み、空燃比センサ23が活性状態になった時点t1 で空燃比センサ23で検出した空気過剰率λs とリーン化補正係数Ls とを用いて触媒早期暖機制御中(排気熱量算出中)の推定空気過剰率λg を次式により算出する。
λg =λs ×{1−(1−Ls )×KLMD}
ここで、リーン化補正係数Ls は、触媒早期暖機制御中にエンジン回転変動が大きくならない範囲で空燃比をリーン方向に補正するための補正係数である(図10参照)。また、KLMDは、触媒早期暖機制御中のリーン化補正の影響を平均化するための係数(例えば0.5)である。
【0075】
この後、ステップ410に進み、図9に示す異常診断補正係数KQのマップを検索して、触媒早期暖機制御中の推定空気過剰率λg に応じた異常診断補正係数KQを算出する。
【0076】
この図9の異常診断補正係数KQのマップは、触媒早期暖機制御中の推定空気過剰率λg が大きくなる(リーンになる)ほど、異常診断補正係数KQが大きくなるように設定されている。また、推定空気過剰率λg =1のときには、異常診断補正係数KQ=1に設定され、推定排気熱量積算値QSUM0 を補正しない。
【0077】
この後、ステップ411に進み、推定排気熱量積算値QSUM0 に異常診断補正係数KQを乗算して異常診断用の排気熱量積算値QQSUMを求める。
QQSUM=QSUM×KQ
この後、ステップ412に進み、異常診断用の排気熱量積算値QQSUMが異常判定値Qmin よりも大きいか否かを判定する。異常診断用の排気熱量積算値QQSUMが異常判定値Qmin よりも大きいと判定された場合には、排気熱量が触媒24の早期暖機に必要な熱量となっていると判断して、ステップ413に進み、触媒早期暖機システムが正常と判定して、本プログラムを終了する。
【0078】
これに対して、ステップ412で異常診断用の排気熱量積算値QQSUMが異常判定値Qmin 以下と判定された場合には、排気熱量が不足して、触媒24の早期暖機に必要な熱量が触媒24に供給されていないと判断して、ステップ414に進み、触媒早期暖機システムが異常と判定して、警告ランプ(図示せず)を点灯して運転者に警告すると共に、異常コードをECU31のバックアップRAM(図示せず)に記憶した後、本プログラムを終了する。
【0079】
以上説明した本実施形態(4)では、触媒早期暖機制御中(排気熱量算出中)の推定空気過剰率λg を算出し、この推定空気過剰率λg に基づいて補正した異常診断用の排気熱量積算値QQSUMを用いて触媒早期暖機システムの異常の有無を診断するようにしたので、触媒早期暖機制御中の空燃比(空気過剰率)によって触媒24内部で発生する反応熱量が変化するのに対応して排気熱量積算値を補正することができ、触媒早期暖機制御中の排気熱量積算値が触媒24の早期暖機に必要な熱量となっているか否かを精度良く判定することができる。
【0080】
一般に、触媒早期暖機制御中は、エンジン11の温度が低いため、燃料噴射弁20から噴射された燃料のうち吸気ポート壁面等に付着する燃料量(ウェット量)が比較的多くなっている。従って、触媒早期暖機制御中は、燃料噴射量TAUと吸入空気量GAからでは、触媒早期暖機制御中の空燃比(空気過剰率)を精度良く推定することができない。
【0081】
その点、本実施形態(4)では、図10のタイムチャートに示すように、空燃比センサ23が活性状態になった時点t1 で空燃比センサ23で検出した空気過剰率λs とリーン化補正係数Ls とを用いて触媒早期暖機制御中(排気熱量算出中)の推定空気過剰率λg を算出する。リーン化補正係数Ls は、触媒早期暖機制御中の空燃比の挙動(リーン方向への変化量)を表すパラメータとなるため、空燃比センサ23の活性時の検出空気過剰率λs とリーン化補正係数Ls とを用いれば、触媒早期暖機制御中にリーン化補正も考慮して、触媒早期暖機制御中の推定空気過剰率λg (推定空燃比)をより一層精度良く算出することができる。
【0082】
尚、本実施形態(4)では、推定空気過剰率λg に基づいて推定排気熱量積算値QSUM0 を補正するようにしたが、推定空気過剰率λg に基づいて異常判定値Qmin を補正するようにしても良く、この場合も、同様の効果が得られる。
【0083】
また、本実施形態(4)では、空燃比センサ23の活性時の検出空気過剰率λs とリーン化補正係数Ls とを用いて触媒早期暖機制御中の推定空気過剰率λg を算出するようにしたが、図11に示すように、空燃比センサ23が活性した時点t1 で空燃比センサ23で検出した空気過剰率λs (又は活性時点t1 付近の所定期間の空気過剰率λの平均値λav)を触媒早期暖機制御中の推定空気過剰率λg (推定空燃比)としても良い。
【0084】
また、図11に示すように、空燃比センサ23の活性時には、空燃比フィードバック制御が開始されて、空燃比センサ23で検出した空燃比を目標空燃比に補正するための空燃比フィードバック補正係数Fを算出するので、空燃比センサ23の活性直後の空燃比フィードバック補正係数Fs (又は活性直後の所定期間の空燃比フィードバック補正係数Fの平均値Fav)に基づいて触媒早期暖機制御中の推定空気過剰率λg (推定空燃比)を算出するようにしても良い。
【0085】
また、空燃比フィードバック補正係数Fs とリーン化補正係数Ls とを用いて触媒早期暖機制御中の推定空気過剰率λg (推定空燃比)を算出するようにしても良い。
また、上記各実施形態(1)〜(4)を適宜組み合わせて実施するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態(1)を示すエンジン制御システム全体の概略構成図
【図2】実施形態(1)の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図3】実施形態(1)の実行例を示すタイムチャート
【図4】空燃比と排気温度との関係を示す図
【図5】実施形態(2)の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図6】実施形態(2)及び実施形態(3)の実行例を示すタイムチャート
【図7】実施形態(3)の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図8】実施形態(4)の触媒早期暖機システム異常診断プログラムの処理の流れを示すフローチャート
【図9】異常診断補正係数KQのマップを概念的に示す図
【図10】実施形態(4)の実行例を示すタイムチャート
【図11】実施形態(4)の変形例を説明するためのタイムチャート
【符号の説明】
11…エンジン(内燃機関)、14…エアフローメータ、15…スロットルバルブ、20…燃料噴射弁、21…点火プラグ、22…排気管、23…空燃比センサ、24…触媒、31…ECU(異常診断手段,排気熱量算出手段,空燃比推定手段)。
Claims (9)
- 内燃機関の排気熱量を増加させて排出ガス浄化用の触媒の暖機を促進する触媒早期暖機制御を行う触媒早期暖機システムにおいて、
前記触媒早期暖機制御中に内燃機関の運転状態に基づいて該内燃機関の排気熱量又は前記触媒に供給する熱量を推定する排気熱量算出手段と、
前記排気熱量算出手段で推定した熱量に基づいて前記触媒早期暖機システムの異常の有無を診断する異常診断手段と、
前記触媒早期暖機制御中の空燃比を推定する空燃比推定手段とを備え、
前記異常診断手段は、前記空燃比推定手段で推定した前記触媒早期暖機制御中の空燃比に基づいて異常診断条件を補正することを特徴とする触媒早期暖機システムの異常診断装置。 - 前記排気熱量算出手段は、吸入空気量又はこれと相関関係のあるパラメータ(以下「吸入空気量パラメータ」と総称する)と、空燃比又はこれと相関関係のあるパラメータ(以下「空燃比パラメータ」と総称する)のうちの少なくとも一方に基づいて内燃機関の排気熱量を求めることを特徴とする請求項1に記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
- 前記排気熱量算出手段は、内燃機関の排気熱量を求める際に機関回転速度、点火時期、前記空燃比パラメータのうちの少なくとも1つを用いて排気温度を推定し、この推定排気温度と前記吸入空気量パラメータとに基づいて排気熱量を算出することを特徴とする請求項2に記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
- 前記吸入空気量パラメータとしては、吸入空気量、スロットル開度、吸気バルブの可変リフト量、吸気圧のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
- 前記空燃比パラメータとしては、排気系の空燃比センサで検出した空燃比、燃料噴射量、燃焼ラフネス値のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項2又は3に記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
- 前記空燃比推定手段は、内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサが活性状態になった時に該空燃比センサで検出した空燃比に基づいて前記触媒早期暖機制御中の空燃比を推定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
- 前記空燃比推定手段は、内燃機関の排気通路に設けられた空燃比センサの活性後に該空燃比センサの検出空燃比に基づいて空燃比フィードバック制御を実行する際の空燃比フィードバック補正係数に基づいて前記触媒早期暖機制御中の空燃比を推定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
- 前記空燃比推定手段は、前記触媒早期暖機制御中の空燃比の推定に用いるパラメータとして、前記空燃比センサの活性時の検出空燃比又は前記空燃比フィードバック補正係数に加えて、前記触媒早期暖機制御中に内燃機関の回転挙動に基づいて空燃比をリーン方向に補正するためのリーン化補正係数も用いることを特徴とする請求項6又は7に記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
- 前記異常診断手段は、前記触媒早期暖機制御中且つ内燃機関のアイドル運転中に、前記触媒早期暖機システムの異常診断を実行することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の触媒早期暖機システムの異常診断装置。
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