JP4052766B2 - 顔料インキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サインペン、ボールペン等を含めた筆記具及びスタンプ台、朱肉台、連泡素材を使用した浸透印を含めた机上製品、更にはOAリボン、インクジェット等のオフィスサプライ関連商品に使用する顔料インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、顔料インキ組成物は、少なくとも顔料、分散剤、溶剤の3成分の相互関係とそのバランスから顔料インキを形成していた。また、顔料インキ組成物を使用する上で問題となるのが、長期的な顔料分散の安定性である。
【0003】
顔料分散の安定性が悪いインキ組成物は、顔料の沈降、主溶剤と分散体の分離、極端な粘度の増加、平均粒径の増大等様々な現象を引き起こしてしまうものである。
このような現象が生じ易いインキを筆記具や机上製品に使用してしまうと、色々な性能低下につながる欠点を引き起こしてしまっていた。
そのため、顔料インキ組成物では、長期分散安定性を必要とする製品では、溶剤の選択に関しては、使用する顔料に対して、初期及び長期的に、あるいは各環境条件下にて安定な分散をすることが大前提であった。また、その分散体が調製できない溶剤は使用することをあきらめていた。その結果、溶剤特性に起因するような製品性能は他の添加剤等で補うほかはなかったものである。
【0004】
一方、特公平8−22984号公報には、低揮発性溶剤と着色材と低揮発性溶剤に溶解する樹脂からなる組成物に、揮発性溶剤にブチラール樹脂及び/又はセルロース樹脂を溶解させた樹脂溶液を、前記低揮発性溶剤がインキ全量に対して10重量%以上となるように添加したことを特徴とする印判用インキが開示されている。
しかしながら、この公報に開示される技術は、多孔質印字体表面を常時ヌレた状態にし、更に、非吸収面に捺印すると速く乾燥する印判用インキを提供するものであり、本願発明のような筆記具及び机上製品に使用し得る一般的顔料インキ組成物における長期的な顔料分散の安定性について記載も示唆もないばかりでなく、染料の単独使用もよいものであり、本願発明とはその技術思想が全く異なるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆記具及び机上製品に使用する顔料インキ組成物に関して、従来において使用しないような2種類以上の溶剤を主溶剤として使用することを可能にし、長期的な顔料の保存安定性能を持たせることで、顔料の沈降、主溶剤と分散体の分離、極端な粘度の増加、平均粒径の増大等、様々な現象を抑制することを可能にし、かつ、顔料分散インキにおける溶剤選択の自由度を上げる顔料インキ組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、顔料インキ組成物において、従来において使用しないような2種類以上の特定の溶剤を主溶剤として使用することにより、上記目的の顔料インキ組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)に存する。
(1) 着色剤として顔料を使用し、その顔料を分散するための分散剤を含み、かつ、下記の溶剤A及び溶剤Bの混合溶剤を主溶剤として含有してなることを特徴とする顔料インキ組成物。
溶剤A:プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールより選んだ少なくとも1種。
溶剤B:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルより選んだ少なくとも1種。
(2) 分散剤がポリビニルブチラールである上記(2)記載の顔料インキ組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の顔料インキ組成物は、着色剤として顔料を使用し、その顔料を分散するための分散剤を含み、かつ、下記の溶剤A及び溶剤Bの混合溶剤を主溶剤として含有してなることを特徴とするものである。
溶剤A:分散剤に対し溶解性の高い溶媒を少なくとも1種含むこと。
溶剤B:分散剤に対し貧溶媒或いは不溶性溶媒を少なくとも1種含むこと。
【0008】
本発明における溶剤は、少なくとも溶剤Aと溶剤Bとからなるものを用いることが必要である。これらの溶剤A及び溶剤Bは、顔料分散インキ中における主溶剤となるものである。
本発明に用いる溶剤Aは、分散剤に対して溶解性が高い良溶媒であるが、単独で分散した場合には長期的な分散安定性は悪いものである。
溶剤Aとしては、分散剤に対して溶解性が高い溶媒を少なくとも1種含むものであれば、特に限定されるものでなく、例えば、分子内に水酸基を1つ以上持つアルコール類や多価アルコール類及び溶剤100gに対する水の溶解度が∞である水溶性のグリコールモノエーテル類やこれらの誘導体等が挙げられ、これらは分散剤としてポリビニルブチラールを使用した場合に特に好適に使用することができる。
【0009】
具体的に用いることができる上記分子内に水酸基を1つ以上持つアルコール類としては、例えば、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等、分子内に3個以上の炭素を有するアルコール類が挙げられる。
また、上記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3ブタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
【0010】
上記グリコールモノエーテル類としては、例えば、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル等が挙げられる。
更に、多価アルコール類誘導体も使用でき、例えば、ソルビタン脂肪酸系、ポリグリセリン高級脂肪酸系、ショ糖脂肪酸系、プロピレングリコール脂肪酸系等の誘導体も用いることができる。
【0011】
本発明に用いる溶剤Bは、分散剤に対し、貧溶媒あるいは不溶性溶媒であり、単独では長期的な分散安定性が悪いものである。
溶剤Bとしては、分散剤に対し、貧溶媒或いは不溶性溶媒を少なくとも1種含むものであれば、特に限定されるものでなく、例えば、低吸湿性エステル類や分子内に水酸基を持たないジエーテル類やジエステル類やその誘導体等が挙げられ、これらは分散剤としてポリビニルブチラールを使用した場合に特に好適に使用することができる。
【0012】
上記低吸湿性エステル類としては、例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート等、様々なエステル類が挙げられる。
【0013】
また、上記分子内に水酸基を持たないジエーテル類やジエステル類としては、例えば、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0014】
これらの溶剤A,Bは、必ず組み合わせて使用するが、上記溶剤A,Bのうちのそれぞれを2種以上を組み合わせて使用しても良い。また、安全性及び経口毒性等の点から、好ましくは、プロピレングリコール誘導体等の溶剤の使用が望ましい。
また、本発明に用いる上記条件を満足する溶剤A及び溶剤B(主溶剤)の合計使用量は、溶剤全体(溶剤全量中)の50重量%以上を占めなくてはならなず、好ましくは、70〜100重量%である。
主溶剤となる溶剤A,Bの合計使用量が溶剤全体(溶剤全量中)の50重量%未満では、本発明の効果を発揮することができものとなる。
なお、上記溶剤A及び溶剤B以外に用いることができる溶剤としては、例えば、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0015】
本発明において、上記溶剤A,Bの含有比率に関しては、重量比で溶剤A/溶剤Bが9.5/0.5〜0.5/9.5、好ましくは、8.5/1.5〜1.5/8.5である。
溶剤A,Bの比率を上記9.5/0.5〜0.5/9.5の範囲とすることにより、本発明の効果を効果的に発揮することができものとなる。
なお、溶剤A,Bが混在していないと経時的な顔料安定性が確保できないものとなり、また、溶剤A,Bの比率が上記9.5/0.5〜0.5/9.5の範囲外となる場合も本発明の効果を発揮できないものとなり、好ましくない。
【0016】
また、本発明において、上記溶剤A,Bを含む溶剤の合計含有量は、使用する溶剤種によって、その量は変動するものであり、インキ組成物全量に対し、20〜97重量%、好ましくは、30〜93重量%である。
溶剤A,Bを含む溶剤全体の含有量が20重量%未満であると、インキとしての流動性が乏しくなり、また、溶剤A,Bを含む溶剤全体の含有量が97重量%を超えると、着色剤や樹脂及びその他の添加剤の割合が少なくなり、製品の品質に大きく影響を及ぼすことになるので、好ましくない。
【0017】
本発明に用いる着色剤は、顔料(有機顔料、無機顔料等)であり、用いる上記溶剤A及びBを含む溶剤に溶解し難く、分散後の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。
顔料の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜25重量%、好ましくは、0.5〜20重量%である。
本発明に用いる顔料は、単独又は2種以上の混合で使用することができる。また、必要に応じて、無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度で添加することができる。
更に、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルジョンや、インキ中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルジョンまたは、これらのエマルジョン自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等も本発明における顔料として使用することができる。
【0018】
本発明の顔料インキ組成物には、更に樹脂を含有せしめることができる。
本発明に用いることができる樹脂としては、使用する用途によって異なり、分散剤、固着剤、分散安定化剤等としての樹脂であり、個々の目的に対する添加や2種以上の目的に対する添加等で含有するものとなる。
分散剤や固着剤に関しては、これらの目的を満足するものであればどのようなものでもよい。
また、本発明における分散剤の溶解性の評価に関しては、分散剤溶液と溶剤粘度との比、希薄溶液状態での広がり、溶剤に溶解させた分散剤溶液の外観及び溶液の透過度等から判断することができる。
【0019】
本発明に用いる分散剤は、顔料を分散できるものであれば、特に限定されず、界面活性剤やオリゴマー及び樹脂等の種類を問わない。
分散剤として、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン−マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体等の合成樹脂を挙げることができ、好ましくは、油性分散剤として好適なポリビニルブチラールが挙げられる。
分散剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜25重量%、好ましくは0.5〜20重量%である。
【0020】
また、分散剤以外に使用する固着剤や、分散安定化剤等については、溶剤A、溶剤B、顔料、分散剤等で形成される分散体に相溶し、長期的な経時安定性に悪影響を与えないものであれば、本発明の効果及び製品性能上問題が無い範囲で如何なるものを添加してもかまわない。
固着剤、分散安定化剤としては、例えば、にかわ、アラビアゴム、ロジン等の天然樹脂、ロジンマレイン酸やロジンフェノール樹脂等を含むロジン誘導体等の半合成樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの含有量は、顔料インキ組成物全量に対して、0.001〜45重量%の範囲であり、好ましくは、0.1〜43重量%、更に好ましくは、1.0〜40重量%である。
【0021】
更に、本発明では、必要に応じて、インキに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を含有せしめることができ、また、インキの安定性を損なうものでなければ、製品性能上、補助溶剤も含有することができ、更にまた、乾燥抑制用補助として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も含有することができる。
防腐剤もしくは防黴剤としては、例えば、フェノール、ナトリウムオマジン、ペンタクロロフェノールナトリウム、1,2−ベンズイソチアゾリン3−ワン、2,3,5,6−テトラクロロ−4(メチルスルフォニル)ピリジン、安息香酸ナトリウムなど安息香酸やソルビタン酸やデヒドロ酢酸のアルカリ金属塩、ベンズイミダゾール系化合物等が挙げられる。
【0022】
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウム−ナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、トリルトリアゾール等が挙げられる。
潤滑剤及び湿潤剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンのポリエチレングリコール付加物等のポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。また、これら以外の筆記具等用として常用される添加剤も、本発明の顔料インキ組成物の効果に悪影響を及ぼさない範囲内で顔料することができる。
【0023】
また、本発明の顔料インキ組成物の粘度は、使用する製品によって異なり、低粘度タイプのインキを使用する筆記具では、1〜100mPa.s、それ以外の粘度域を使用するような筆記具では、100〜300,000mPa.s(25℃、E型粘度計使用)までの範囲となる。
また、机上製品についても、その製品性能を発揮できる範囲で、同様な粘度域を使用することができる。
【0024】
本発明の顔料インキ組成物を製造するには、従来から公知の種々の方法が採用できる。
例えば、上記各成分を配合し、ディゾルバー等の撹拌機により、混合撹拌することによって、またボールミルやロールミル、ビーズミル、サンドミル等によって混合粉砕した後、遠心分離や濾過によって顔料の粗大粒子、及び未溶解物、混入固形物を取り除くことによって容易に得ることができる。
【0025】
このように構成される本発明の顔料インキ組成物では、従来の筆記具及び机上製品に使用する顔料インキに関して、従来において使用しないような2種類以上の溶剤を主溶剤として使用することを可能にし、長期的な保存安定性能を持つことで顔料の沈降、主溶剤と分散体の分離、極端な粘度の増加、平均粒径の増大等様々な現象を抑制することを可能とすることができる。
このような効果を発揮する理由としては、定かではないが、インキ組成に特徴があり、分散体を形成する顔料、分散剤、溶剤Aの組み合わせでは、三者間の相互作用によりエネルギー的に不安定になり、初期的な分散は可能であるが、長期的な経時安定性を保つことはできず、様々な不具合を生ずる。また、顔料、分散剤、溶剤Bの組み合わせの場合は、三者間の相互作用により、エネルギー的に不安定になり分散することができずゲル的な形態になってしまい、様々な不具合が生じる。
しかしながら、単独の溶剤を用いたこれらの分散体では、不安定であるのに対して、溶剤A,Bの混合溶剤として、少なくとも分散体を調製すると、長期的に経時安定性を持つ顔料インキ組成物となる。
溶剤として少なくとも混合溶剤を用いることで、顔料に対する吸着や分散剤の溶媒和の形態が緩和される作用を持つこととなる。その結果、従来は使用しないような2種類以上の溶剤を主溶剤として使用することを可能にし、長期的な保存安定性能を持つことで顔料の沈降、主溶剤と分散体との分離、極端な粘度の増加、平均粒径の増大等様々な、好ましくない現象を抑制することを可能にする顔料インキ組成物が提供されることとなる。
【0026】
本発明の顔料インキ組成物は、長期的な保存安定性能を持つことで顔料の沈降、主溶剤と分散体との分離、極端な粘度の増加、平均粒径の増大等様々な、好ましくない現象を抑制することができるので、サインペン、ボールペン等を含めた筆記具及びスタンプ台、朱肉台、連泡素材を使用した浸透印を含めた机上製品、更にはOAリボン、インクジェットプリンタ用等のオフィスサプライ関連商品に好適に使用することができ、特に、顔料の長期的な保存安定性能を効果的に発揮することができるため、筆記具用顔料インキ組成物、インクジェットプリンタ用顔料インキ組成物に好適に利用することができる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって何等限定されるものではない。なお、以下の「%」は重量%である。
【0028】
〔実施例1〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 8%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 5%
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 47%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 40%
【0029】
〔実施例2〕
不溶性アゾ顔料#1010 (冨士色素社製) 8%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 5%
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 47%
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤B) 40%
【0030】
〔実施例3〕
フタロシアニングリーン#3830(大日精化社製) 7%
ポリビニルブチラール BL−1 (積水化学社製) 3%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 60%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 30%
【0031】
〔実施例4〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 7.5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
ケトン樹脂 ハイラック110H (日立化成社製) 8.5%
3−メチル,3−メトキシ,1−ブタノール(溶剤A) 50%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 30%
【0032】
〔実施例5〕
MazentaRY(大日本インキ化学工業社社製) 5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 40%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 20%
isoプロピルアルコール 31%
【0033】
〔実施例6〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 7.5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
ケトン樹脂 ハイラック110H (日立化成社製) 8.5%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 35%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 20%
ジプロピレングリコールモノブチルエーテル 25%
【0034】
〔実施例7〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 7.5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
ケトン樹脂 ハイラック110H (日立化成社製) 8.5%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 35%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 20%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 25%
【0035】
〔比較例1〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 8%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 5%
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 87%
【0036】
〔比較例2〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 8%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 5%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 87%
【0037】
〔比較例3〕
不溶性アゾ顔料#1010 (冨士色素社製) 8%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 5%
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 87%
【0038】
〔比較例4〕
不溶性アゾ顔料#1010 (冨士色素社製) 8%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 5%
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤B) 87%
【0039】
〔比較例5〕
フタロシアニングリーン#3830(大日精化社製) 7%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 3%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 90%
【0040】
〔比較例6〕
フタロシアニングリーン#3830(大日精化社製) 7%
ポリビニルブチラール BL−1 (積水化学社製) 3%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 90%
【0041】
〔比較例7〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 7.5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
ケトン樹脂 ハイラック110H (日立化成社製) 8.5%
3−メチル,3−メトキシ,1−ブタノール(溶剤A) 80%
【0042】
〔比較例8〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 7.5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
ケトン樹脂 ハイラック110H (日立化成社製) 8.5%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 80%
【0043】
〔比較例9〕
MazentaRY(大日本インキ化学工業社社製) 5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤A) 91%
【0044】
〔比較例10〕
MazentaRY(大日本インキ化学工業社社製) 5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
ジプロピレングリコールジメチルエーテル(溶剤B) 91%
【0045】
〔比較例11〕
カーボンブラック#25 (三菱化学社製) 5%
ポリビニルブチラール BM−1 (積水化学社製) 4%
トリプロピレングリコールモノブチルエーテル 91%
(溶剤100gに対する水の溶解度が∞でない溶剤)
【0046】
上記実施例1〜7及び比較例1〜11の配合組成でビーズミルあるいはロールミルにて分散を行い浸透印用顔料インキ組成物を得た。
その後、ガラス瓶に入れ、室温で1週間放置することによりインキの分散エネルギーに関する平衡を整えた後、下記評価法によりインキの流動性を外観と粘度測定から評価した。
更に、その後、経時的な安定性確認として50℃条件下にて2週間放置後、粘度を測定し、その増加率を計算し、その値から下記評価法により経時的安定性を評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0047】
〔インキ外観の評価法〕
目視により、分散初期時と室温平衡時を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:流動性が良好なもの
△:流動性が少なくなったもの
×:流動性が無くなったもの
【0048】
〔分散安定性の評価法〕
下記方法により粘性増加率を測定し、下記評価基準により評価した。
インキ粘性増加率の測定は、下記式に従って測定した。
インキ粘性増加率=[(粘度値(i)−粘度値(ii))/粘度値(ii)〕×100
粘度値(i):50℃条件下2週間放置した粘度値
粘度値(ii):室温1週間放置した初期粘度値
なお、インキの粘性は、E型粘度計にて同一機種及び同一回転数にて測定した。
評価基準:
○:インキ粘性増加率が−20%以上〜+20%未満。
△:インキ粘性増加率が+20%以上〜+80%未満。
×:インキ粘性増加率が100%以上、または、粘度値(ii)を測定できないくらい流動性がない状態のもの。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜7のインキ組成物は、本発明の範囲外となる比較例1〜11のインキ組成物に較べてインキ流動性や経時的な分散安定性の点で非常に優れていることが判明した。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の筆記具及び机上製品に使用する顔料インキに関して従来は使用しないような2種類以上の溶剤を主溶剤として使用することを可能にし、長期的な保存安定性能を持つことで顔料の沈降、主溶剤と分散体の分離、極端な粘度の増加、平均粒径の増大等様々な現象を抑制することができる顔料インキ組成物が提供される。
Claims (2)
- 着色剤として顔料を使用し、その顔料を分散するための分散剤を含み、かつ、下記の溶剤A及び溶剤Bの混合溶剤を主溶剤として含有してなることを特徴とする顔料インキ組成物。
溶剤A:プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールより選んだ少なくとも1種。
溶剤B:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルより選んだ少なくとも1種。 - 分散剤がポリビニルブチラールである請求項1記載の顔料インキ組成物。
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