JP4048739B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、DL式焼結機を使用した焼結鉱の製造方法において、焼結鉱の品質および生産性を向上させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結原料は主原料である数種類の鉄鉱石と、CaO 源としての石灰石、SiO2およびMgO 源としての蛇紋粉、CaO およびMgO 源としてのドロマイト、燃料としての粉コークス等の副原料と、返鉱とから構成されている。通常、これらの原料はその銘柄毎に原料槽に貯蔵されており、使用時に目的とする配合量に応じて定量切り出されている。切り出された各銘柄の原料は原料搬送用のベルトコンベア上で合流し、原料混合物として造粒機まで搬送される。造粒機において、この原料混合物に水分が添加されて造粒が行われる。造粒後の焼結原料は必要によりその他の追加原料とともに焼結機に供給される。
【0003】
焼結機では、焼結原料が充填層を構成し、その最上部が点火される。その後、焼結原料から成る充填層へ大気が下方吸引されることによって焼結反応が充填層の上部から下部に進行する。充填層の下部まで焼結原料が焼結されて得られた塊状物 (焼結ケーキと称する) は、焼結機の排鉱部で排出され、粗破砕される。その後にクーラで冷却され、得られる焼結鉱が高炉原料として使用される。
【0004】
このように焼結鉱の製造プロセスは、粉コークス等の燃料を焼結原料中に内装し、含燃料の焼結原料充填層を上部から下部に通過する高温ガスからの伝熱によってその燃料を燃焼させることを大きな特徴としている。
【0005】
ここで、燃料の燃焼効率を上昇させること、換言すれば、燃料であるコークスを未燃焼状態で焼結ケーキ中に残存させずにCO2 にまで燃焼させることが焼結鉱の歩留改善や焼結鉱の冷間強度の向上そして還元粉化性の低減にとって重要である。また、燃料の燃焼を遅延させないことが焼結速度の上昇、つまり生産性改善にとって重要である。
【0006】
燃料であるコークスの粒径が小さいと焼結原料の造粒の際に焼結原料中に燃料が埋没してしまう。焼結原料中に埋没した燃料には焼結の際に、十分に酸素が供給されずに未燃焼の状態で残存したり、あるいはCOまでの燃焼にとどまってしまう。逆に燃料の粒径が大きいと燃料全体への伝熱が遅延し、その分だけ焼結速度が低下し、生産性が低下する。よって、焼結原料としての燃料の粒径には適正値が存在し、それは1〜3mmといわれている。
【0007】
従って、小粒径燃料の造粒による粗粒化が有効であり、特公平8−19485 号公報では粒度構成で粒径1.0mm 以下が70質量%以上の粉コークスや無煙炭を事前に予備造粒する方法が開示されている。
【0008】
しかし、コークスや無煙炭は通常の原料と比較して造粒性が悪いので、それらの原料の造粒にはドラム半円筒型の造粒機を高速回転させる遠心力を利用した造粒機を使用している。このように、粉コークスや無煙炭を造粒するには特殊な造粒機を必要とする。
【0009】
また、特開昭61−291926号公報では、平均粒径1mm未満の微粉コークスと製鉄所内で発生する微粉原料(所内発生ダスト)とを、微粉コークス/ 微粉原料=60/40 〜80/20 の比率で混合してペレタイザーで造粒する方法が開示されている。これは、所内発生ダストを核粒子として周囲に微粉コークスを配置・付着させることによって微粉コークスの燃焼性を向上させ、焼結原料の燃料比を低減させようとするものである。かかる方法によってそれなりの改善が実現された。
【0010】
しかし、現在、さらなる課題として、この小粒径燃料の燃焼性の問題が、焼結原料中のフリーカーボン含有率の低い場合に顕在化してきている。ここに、「フリーカーボン」とは、遊離状態の炭素である。
【0011】
前述の特公平8−19485 号公報および特開昭61−291926号公報に記載の発明が対象とするのはフリーカーボン100 %の微小燃料である。
すなわち、かかるフリーカーボンは造粒後に焼結される際に燃料として作用する。しかし、フリーカーボン含有率の低い小粒径原料は、造粒物の表層部に存在すると燃焼性が悪くなりやすい。これは、そのような小粒径原料が表層部に存在すると、造粒物を構成する他粒子への伝熱に時間を要する一方、焼結の進行はフリーカーボン含有率の高い燃料に律速され、よって、フリーカーボン含有率の低い原料が燃焼する前に焼結の高温帯が通過してしまい、そのような原料については燃焼の遅延や未燃焼状態で残存する可能性が高くなるからである。
【0012】
さらに、燃焼が遅延しない場合でもフリーカーボン含有量の低い小粒径原料は造粒物当たりの発生熱量が低いので、造粒物の溶融に必要な熱量確保が困難で溶融塊成化に貢献できない可能性が高い。
【0013】
ここで、「フリーカーボン含有率の低い小粒径原料」とは具体的には例えば焼結工場や高炉から発生するダストであって、それらは多くの商業用プラントにおいて焼結工程へリサイクルされているのが現状である。
【0014】
なお、特開昭61−291926号公報の開示する発明は、微粉コークスの燃焼性を改善するには有効であり、製鉄所内で発生する微粉ダストについては、微粉コークスとともに造粒することでその改善を図っているが、そのときの微粉ダストについてはフリーカーボンの含有量の制限がなく、単に造粒の核として利用しているにすぎない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
このように、焼結工場や高炉から発生するダスト等のフリーカーボン含有率の低い小粒径原料を使用すると、燃焼効率が低下する可能性が高い。燃焼効率の低下とは、フリーカーボンが未燃焼状態で残存したり燃焼が遅延することであり、その結果、焼結鉱の品質、歩留、生産性が悪化する。
【0016】
ここに、本発明の課題は、フリーカーボン含有率の低い小粒径原料の燃焼性向上およびそのような原料の発熱量の有効利用による焼結鉱の品質、歩留、生産性の改善を図ることができる焼結鉱の製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明者らは種々の検討を行い、フリーカーボン含有率の低い小粒径原料の燃焼性改善には、この原料に事前に造粒処理を行っておくか、あるいはフリーカーボン含有率が80質量%以上の燃料と共に造粒することによって対応できることを見い出した。
【0018】
前述のように、フリーカーボン含有率の低い小粒径原料の粒子が通常の鉄鉱石とともに造粒されると造粒物あたりの発生熱量が低くなり、この造粒物を焼結塊成化に必要な温度まで加熱することが困難となる。
【0019】
そこで、本発明にあっては、▲1▼このフリーカーボン含有率の低い小粒径原料同士で構成される造粒物ならば、この造粒物を溶融反応に必要な温度まで加熱することが可能である、また、▲2▼この原料とフリーカーボン80質量%以上含有する燃料と造粒しても同じ原理での効果が享受できる、との着想を得て、本発明を完成した。
【0020】
なお、前述の特開昭61−291926号公報記載の発明では、このようにフリーカーボン含有率の低い小粒径原料の燃焼性を改善するという課題については何ら言及がなく、その解決手段についても何ら開示することも示唆することもない。
【0021】
この点、本発明にあっては、要するに、フリーカーボン含有率の低い小粒径原料は、それ自体の発熱量が小さいので、焼結原料内に散在させると、焼結に際して燃焼性の低下や燃焼の遅延によって周囲の発熱量を十分に活用できない。よって、それ自体で造粒させるか、あるいは発熱原料の近傍に配置させることによって、そのような問題の解決を図るのである。
【0022】
さらに、このフリーカーボン含有率の低い小粒径原料とCaO 含有原料とを造粒しておくと、発熱原料の近傍に易溶融原料が配置されるので、焼結塊成化の際の融体流動性が確保される。また、FeO 含有原料と配合しておいても溶融が促進されて、焼結塊成化の際の融体流動性が確保される。
【0023】
さらに、造粒物の粒度は1mm以上にしておくと造粒物自身の他原料への埋没が著しく抑制され、そのための達成手段として高速攪拌羽根を内蔵する混合機を使用することが望ましい。
【0024】
したがって、本発明は次の通りである。
(1)DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法において、フリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の50質量%以上の原料、またはフリーカーボン含有量80質量%以上の燃料とフリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料とを合わせた原料に、揮発分を除くCaO換算組成を12質量%以上60質量%以下となるようにCaO含有原料の全量もしくは一部を配合し、造粒を行い、得られた造粒物と別途造粒された残りの原料を焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱製造方法。
【0025】
(2)DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法において、フリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料、またはフリーカーボン含有量80質量%以上の燃料とフリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料とを合わせた原料に、FeO組成を12質量%以上60質量%以下となるようにFeO含有原料の全量もしくは一部を配合し、造粒を行い、得られた造粒物と別途造粒された残りの原料を焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱製造方法。
【0026】
(3)DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法において、フリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料、またはフリーカーボン含有量80質量%以上の燃料とフリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料とを合わせた原料に、揮発分を除くCaO換算組成を12質量%以上60質量%以下およびFeO組成を12質量%以上60質量%以下となるようにCaO含有原料の全量もしくは一部およびFeO含有原料の全量もしくは一部を配合し、造粒を行い、得られた造粒物と別途造粒された残りの原料を焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱製造方法。
【0027】
(4)造粒の際に、高速攪拌羽根を内蔵する混合機を用いることを特徴とする上記(1) ないし(3) 項のいずれかに記載の焼結鉱の製造方法。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について具体的に説明する。以下において、「%」は特にことわりがない限り、「質量%」である。
【0029】
図1は、本発明の方法において使用できる代表的な造粒工程を示す工程図である。図中、フリーカーボン含有量5%以上かつ70%以下で粒径1mm以下の比率50%以上の原料(1)と、フリーカーボン含有量80%以上の燃料(2)と、CaO含有原料(3)と、FeO含有原料(4)とは、それぞれホッパー(5)から切り出された後にベルトコンベアー(6)で造粒機にまで搬送され、造粒機を構成するミキサーもしくは高速攪拌羽根内蔵型混合機(以下、単に「ミキサー」と言う)(7)で造粒される。本明細書においては、図1で配合する原料全体を「ダスト等」と称する。これに対して追加添加されるこれ以外の原料を残原料と称し、この残原料としては、鉄鉱石、副原料、返鉱がある。これは図1の場合とは別に焼結原料に配合される。したがって、後述する図2における造粒αは図1のミキサー(7)による造粒に相当する。
【0030】
ここに、本発明の実施態様としては、原料(1) または原料(1) +燃料(2) の二つの配合例について、それぞれCaO 原料および/またはFeO 原料を配合することから、全部で次のような6つの配合例が考えられる。
【0031】
第1、2配合例: 原料(1) に原料(3) を配合した場合/ 原料(1) +燃料(2) に原料(3) を配合した場合。
第3、4配合例: 原料(1) に原料(4) を配合した場合/ 原料(1) +燃料(2) に原料(4) を配合した場合。
【0032】
第5、6配合例: 原料(1) に原料(3) +原料(4) を配合した場合/ 原料(1) +燃料(2) に原料(3) +原料(4) を配合した場合。
これらの配合例においては、図1に示すように、本発明にしたがって造粒を行ってから、それぞれの残原料を混合するだけでも、あるいはそのときの混合物をさらに造粒してもよく、さらには残原料を造粒して先の造粒物と単位に混合するだけでもよい。その他多くの変更例が考えられる。
【0033】
図2は、原料(1) と残原料との造粒の形態を説明する工程図である。
本発明にはすでに述べたように、原料(1) または原料(1) +(2) を造粒し、あるいは造粒せず、これに造粒したあるいは造粒しないCaO 含有原料またはFeO 含有原料を配合して必要によりさらに造粒を行い、場合によってそれに造粒したあるいは造粒しない残原料を配合して混合物として、焼結機に供給する態様が包含される。
【0034】
(ベース) 方法: これは焼結原料を全て配合し、造粒するのであり、従来法である。
方法 (ア):
ダスト等を造粒し、残原料も別途造粒し、両者を混合して焼結原料としてその他の原料とともに焼結機で焼結に供する。
【0035】
方法 (イ):
ダスト等を造粒し、残原料も別途造粒し、両者を混合して再び造粒して、そのとき得られた焼結原料をその他の原料とともに焼結機で焼結に供する。
【0036】
方法 (ウ):
ダスト等を造粒し、これに残原料を配合し、得られた混合物を造粒し、そのとき得られた焼結原料をその他の原料とともに焼結機で焼結に供する。
【0037】
方法 (エ):
CaO 原料およびFeO 原料を含まないダスト等を造粒し、これにCaO 原料またはFeO 原料を配合し、得られた混合物を造粒し、一方、残原料も別途造粒し、両者の造粒物を混合し、そのとき得られた焼結原料をその他の原料とともに焼結機で焼結に供する。
【0038】
なお、図2において、造粒α、造粒β、造粒γ、造粒δとするのは、造粒する原料が異なることからそれを区別するためである。すでに述べたように、造粒αはダスト等を造粒することから、図1のミキサー(7) による造粒に相当する。
【0039】
原料(1)としては、例えば焼結集塵機から回収されるダスト、高炉原料槽や炉頂部のダストキャッチャーダスト等が挙げられる。ダストは乾燥状態で回収されたもの、湿式処理後脱水されたもの等処理工程が製造所によって異なるがいずれの形態でも構わない。ただし、フリーカーボン含有率が70%超の場合には、後述する燃料(2)として用いてもよく、一方、フリーカーボン含有率が5%未満の場合には、残部がFeOを主体とするものであれば、後述する原料(4)として用いてもよい。さらにフリーカーボン含有率が5〜70%であっても、粒径1mm以下の比率50%未満というように粗大粒の場合には、後述する燃料(2)として用いてもよい。
【0040】
ここで、原料(1) のフリーカーボン含有量を5%以上かつ70%以下と制約した理由は次の通りである。
5%未満の場合には、得られる熱量が配合全燃料から得られる熱量に対して非常に小さくなり、造粒処理しても焼結品質等に目立った改善が得られがたい。一方、70%を超える場合には、通常の焼結製造プロセスで得られる熱量とほぼ同等の熱量が得られるので事前造粒の効果が小さくなる。
【0041】
また、粒度については、粒径1mm以下の比率50%以上と制限した。これが50%未満の場合には、造粒時に粒子の埋没が起こりにくく、フリーカーボンが未燃焼状態で残存する可能性が小さくなるから特段の工夫を要しないからである。
【0042】
このフリーカーボン含有率や粒度の制約は、造粒による燃焼性向上および該原料の発熱量の有効利用に対する効果が顕著になる条件設定を意味する。
燃料(2) としては、高炉用コークスの篩下である粉コークス、無煙炭、さらにはCDQ 集塵粉等が挙げられる。なお、燃料(2) の粒度については特に制限はないが、小粒径燃料を使用すると燃料(2) の燃焼性も改善され、原料(1) の燃焼性向上との相乗効果が得られる。
【0043】
原料(3) については、CaO 含有原料として、生石灰、石灰石、ドロマイト、高炉スラグ、製鋼スラグ等が挙げられ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、Caを含有する複合酸化物 (カルシウムフェライト、カルシウムシリケート等) が包含される。
【0044】
ここで、好適態様における原料(3) の焼結原料に対する配合量は、CaO 含有原料を配合し揮発分を除去した焼結原料においてCaO 濃度で12%以上60%以下に制限した。これは、CaO 12%未満では、1350℃の高温下でも造粒物が溶融しないからであり、一方、60%を超えると焼結原料全体のCaO 成分が偏り、高CaO ゾーンと低CaO ゾーンとの反応が十分に進行しない状態で焼結が完了し、焼成が不均一になるからである。このCaO 適正ゾーンにおいて、ヘミカルシウムフェライトとダイカルシウムフェライト組成間のCaO 組成 (20〜40%) は低融点領域であり、特に溶融が進行しやすくなる。
【0045】
原料(4) については、FeO 含有原料として、ミルスケール、HBI 粉(HotBriquette Iron) 、ダストを還元処理した産物 (例えば脱亜鉛処理粉、還元ペレット) 、焼結の返鉱、製鋼スラグ、磁鉄鉱等が挙げられる。また、赤鉄鉱やピソライト鉱、マラマンバ鉱もFeO を含有しているので対象となる。
【0046】
ここで、好適態様において原料(4) の焼結原料における配合量は、FeO 含有原料を配合した焼結原料におけるFeO 濃度で5%以上としたのは、5%未満ではどのような成分組成においても融液流動性が改善しないことを実験的に確認したからである。
【0047】
また、原料(3) および原料(4) の双方を配合する場合、焼結原料におけるCaO 濃度を造粒物としての成品換算で12%以上60%以下、FeO 濃度を10%以上とすると造粒物の溶融が著しく改善する。
【0048】
さて、本発明において造粒を行う造粒機はドラムミキサー、高速攪拌羽根を内蔵した混合機、または高速攪拌羽根を内蔵した混合機とドラムミキサーを直列に組み合わせた装置を用いても構わない。高速攪拌羽根を内蔵した混合機を用いた場合、ドラムミキサーだけの造粒よりも効果が大きい。これは、ダストのような粒径の細かい原料を造粒するには、原料を水と共に攪拌することによって、水を原料全体に均一に配置させることが可能となり、擬似粒子径を均一に大きくすることが可能となるからである。
【0049】
ダスト等の造粒に続いて、この得られた造粒物に残りの焼結原料、つまり残原料( 鉄鉱石と、CaO 含有原料、FeO 含有原料、コークスなどの副原料と、返鉱) を配合し造粒するか、あるいは残原料を造粒してから先の造粒物と混合する。このときの配合および造粒方法の一例を図2に示す。
【0050】
そのような造粒法としては、図示例からも分かるように、ダスト等の造粒を行ってから、残原料を別の造粒機で造粒した後に合流させる方法(ア) 、さらに合流後に全原料を再び造粒する方法(イ) 、ダスト等の造粒物に残原料を加えて造粒する方法(ウ) 、ダスト等の造粒物に残原料の一部を配合して再び造粒した後に、造粒処理した残りの残原料に合流させる方法(エ) が挙げられる。
【0051】
次に、実施例に関連させて本発明の作用、効果を具体的に説明する。
【0052】
【実施例】
本例は、実験室規模の焼結機による生産性および歩留/品質の評価を行うものである。
【0053】
すなわち、その実施方法は、実験室規模の小型焼結試験機に焼結原料を装入した後に、バッチ焼成を実施するものである。
本例の実施条件は次の通りであった。
【0054】
(1)焼結原料の配合
試験に使用した銘柄の全体配合、粒度および化学成分を表1に示す。
配合比は新原料の質量比率で表示した。
【0055】
全体配合は一定で、造粒工程の評価を実施した。但し、ダストについては、ダストAおよびBの2種類の原料の合計量で2.0 %とし、その条件下でダスト間の置換配合を実施した。
【0056】
(2)造粒方法
造粒方法は図2に模式的に示す方法 (ア) 〜 (エ) であった。
さらに造粒機種として、ドラムミキサー (4分間処理) 、高速攪拌羽根を内蔵した混合機 (1分間処理) を使用した。
【0057】
この造粒方法/機種から造粒の態様をケース分けしてそれぞれを表2に示す。 (3)評価項目
焼結鉱の特性の評価は、生産率、成品歩留、還元粉化性指数(RDI) でもって行った。
【0058】
焼結時間は、焼結開始からウインドボックス内の熱電対で計測される排ガス温度がピークに達するまでに要した時間で定義した。焼結成品は、焼結ケーキをクラッシャーで粉砕後、SI試験機で4回落下後の+5mm産物と定義し、−5mm産物を返鉱と定義した。
【0059】
そして、生産率は、成品量を焼結時間および焼結ストランド面積で割って算出し、成品歩留は成品量を成品+返鉱の量で割って算出した。
還元粉化性指数は日本鉄鋼協会の製銑部会法に拠った。
【0060】
本例における上述の条件下での実施結果は次の通りであった。
[実施例1]
本例は、ダストA、B (または細粒コークス添加) に対して、CaO 含有原料( 石灰粉、生石灰、ドロマイト、製鋼スラグ) および/またはFeO 含有原料 (ミルスケール、還元ペレット篩下) を配合したダスト等を造粒する例である
造粒は表2のケース (ア)-1に準じて行った。
【0061】
ダスト等の配合は図3に示す通りであり、これを造粒し、残原料としては、表1に示す全体配合となるように、残りの原料を別途造粒したものを合流させた。なお、図3および図4における配合比はダスト等のそれを言うだけで、残原料については言及していない。
【0062】
得られた焼結鉱についての試験の結果を図3および図4に示す。
図3および図4に示す結果からも分かるように、ダスト等の造粒物におけるCaO 濃度が12〜60%、FeO 濃度が5%以上で生産性、歩留、RDI が改善した。特に、RDI の改善が大きかった。RDI の大幅な改善は、CaO やFeO 成分の傾斜 (ダスト系の造粒物と残原料間の濃度差) によって、ヘマタイトとカルシウムフェライトの共存が避けられたためである。
【0063】
[実施例2]
本例は、造粒に際しての造粒機/造粒方法の効果を示す例である。
それぞれの予備造粒配合条件に、表2に示す造粒方法を適用させた。
【0064】
図5における配合量は先の図3および図4と同様にダスト等のそれを指し、造粒αに供する原料である。但し、造粒法(エ)-1(□) および(エ)-2(◇) については、表1に示す原料L、A、Bを図2の造粒αを行って造粒し、次いでこの得られた造粒物に原料D、G、H、I、Oを配合し、造粒γを行った。
【0065】
結果は、図5にまとめて示すが、これからも分かるように、ドラムミキサーのみの予備造粒方法 (ケース:(ア)-1) (図中、〇で示す) でもベース造粒法と比較すると生産率、成品歩留、RDI の改善が見られる。
【0066】
さらに、高速攪拌羽根を内蔵した混合機をダスト等の造粒に使用すると (ケース:(ア)-2 、(イ)-1 、(ウ)-1 、(エ)-1 、2)、さらに改善は大きくなった。それぞれ、◎、△、▽、□、◇に相当する。
【0067】
ただし、高速攪拌羽根を内蔵した混合機を使用した場合、ダスト類造粒物に残原料を造粒せずに配合して全原料造粒したとき (ケース (ウ)-1)(▽) には、ドラムミキサーのみの予備造粒方法 (ケース:(ア)-1)と比較して、生産率のみの改善に留まった。
【0068】
ケース(エ)-1 (□) および (エ)-2 (◇) については、CaO 傾斜 (ダスト系の造粒物と残原料間の濃度差) の造粒が強化されたので、改善が著しかった。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】
上述のように、フリーカーボン含有率の低い小粒径原料を予備造粒することによって、カーボンの燃焼性改善によって、歩留が改善され生産率が改善される一方、還元粉化性も改善される。
【0072】
特に、コークスのようなフリーカーボン含有率の高い燃料やCaO 含有原料、FeO 含有原料と併せて造粒すると、また高速攪拌羽根を内蔵した造粒機の使用によってさらに改善度合いがさらに大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において利用可能な代表的なダスト等の造粒方法の模式的工程図である。
【図2】本発明における焼結原料全体の造粒工程の系統図である。
【図3】実施例2における配合条件と製造された焼結鉱石の特性評価を示すグラフである。
【図4】実施例2における配合条件と製造された焼結鉱石の特性評価を示すグラフである。
【図5】実施例3における配合条件および造粒条件と製造された焼結鉱石の特性評価を示すグラフである。
Claims (3)
- DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法において、フリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料、またはフリーカーボン含有量80質量%以上の燃料とフリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料とを合わせた原料に、揮発分を除くCaO換算組成を12質量%以上60質量%以下となるようにCaO含有原料の全量もしくは一部を配合し、造粒を行い、得られた造粒物と別途造粒された残りの原料を焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱製造方法。
- DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法において、フリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料、またはフリーカーボン含有量80質量%以上の燃料とフリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料とを合わせた原料に、FeO組成を12質量%以上60質量%以下となるようにFeO含有原料の全量もしくは一部を配合し、造粒を行い、得られた造粒物と別途造粒された残りの原料を焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱製造方法。
- DL式焼結機を使用する焼結鉱の製造方法において、フリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料、またはフリーカーボン含有量80質量%以上の燃料とフリーカーボン含有量5質量%以上かつ70質量%以下で粒径1mm以下の比率50質量%以上の原料とを合わせた原料に、揮発分を除くCaO換算組成を12質量%以上60質量%以下およびFeO組成を12質量%以上60質量%以下となるようにCaO含有原料の全量もしくは一部およびFeO含有原料の全量もしくは一部を配合し、造粒を行い、得られた造粒物と別途造粒された残りの原料を焼結原料として使用することを特徴とする焼結鉱製造方法。
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