JP4031226B2 - 熱可塑性重合体組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性重合体組成物に関する。本発明によって提供される熱可塑性重合体組成物は耐熱性、ゴム弾性、吸油性に優れており、かかる熱可塑性重合体組成物より得られる成形体は未溶融ゲルが少なく、かつ成形体表面のべとつきが少ないことから、例えば自動車内装部品、家電用部品、工業用品などの高温雰囲気下で使用される部材として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物である熱可塑性エラストマーの代表的なものは、スチレン−ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体またはその水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレン型ブロック共重合体またはその水素添加物などのスチレン系熱可塑性エラストマーである。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーは、用途に応じて、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などの他の重合体及びパラフィンオイルに代表される非芳香族系ゴム用軟化剤等を適宜組み合わせて配合した樹脂組成物として用いられる。かかる樹脂組成物は加硫工程が不要であってゴム弾性を有し、柔軟性に優れ、成形性が良好で、軽量であるなどの特徴を有しており、リサイクル性や環境汚染などの問題の観点から、近年、加硫ゴムやポリ塩化ビニルの代替として、自動車部品、工業用品、雑貨、スポーツ用品用途などの広範囲の分野において使用されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来知られているスチレン系熱可塑性エラストマーや同エラストマーを含んでなる樹脂組成物からなる成形体は、一般に、高温条件下ではゴム弾性が発揮されにくく、また成形体表面のべたつきが生じやすいという問題点を有しており、例えば、自動車内装部品や家電部品、工業用品など、高温に晒される雰囲気下で使用される用途では、その使用が制限される。
しかして、本発明の目的は、未溶融ゲル及びべたつきが少なく、高温に晒される雰囲気下であっても使用に適した成形体を得ることが可能な、高温においてもゴム弾性が保たれかつ吸油性に優れた、特定のスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する熱可塑性重合体組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の課題は、(1)(a)ビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAを2個以上、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを1個以上含有するブロック共重合体であって、該共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加され、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位の含有量が5〜75質量%であり、かつ重量平均分子量が40万以上であるブロック共重合体100質量部、(b)40℃における動粘度が30〜200mm2/sの範囲である非芳香族系ゴム用軟化剤50〜300質量部、(c)オレフィン系樹脂10〜100質量部を含有する熱可塑性重合体組成物、および(2)(1)の熱可塑性重合体組成物からなる成形体、を提供することによって解決される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性重合体組成物で(a)成分として使用されるブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAを2個以上、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを1個以上含有するブロック共重合体であって、該共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加され、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位の含有量が5〜75質量%であり、かつ重量平均分子量が40万以上のブロック共重合体である。
【0006】
ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。重合体ブロックAは、これらのビニル芳香族化合物の1種類から構成されていてもよいし、または2種類以上を併用して構成されていてもよい。これらの中でも、重合体ブロックAは、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンから構成されていることが好ましい。
【0007】
ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAの含有量は、ブロック共重合体(a)の質量に基づいて5〜75質量%の範囲内であることが必要であり、10〜60質量%の範囲内であることが好ましい。ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAの含有量が5質量%未満の場合には、熱可塑性重合体組成物から得られる成形体の機械的強度が不十分となり、一方75質量%を超えると、熱可塑性重合体組成物から得られる成形体の柔軟性が損なわれる。
【0008】
また、ブロック共重合体(a)における重合体ブロックBは共役ジエン化合物からなり、かつ共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加されている。重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。重合体ブロックBは、これらの共役ジエン化合物の1種または2種以上から構成されていることができる。これらの中でも、重合体ブロックBは、ブタジエン、イソプレンまたはイソプレンとブタジエンの混合物から構成されていることが好ましく、イソプレンとブタジエンの混合物から構成されていることが特に好ましい。重合体ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成されている場合において、その混合比に特に制限はない。
【0009】
重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物単位のミクロ構造については特に制限はないが、ブタジエンを単独で使用する場合は、通常、1,2−結合(ビニル結合)の含有量が5〜95モル%の範囲であり、ゴム弾性を重視する観点からは1,2−結合の含有量が20〜60モル%の範囲であるのが好ましく、35〜50モル%の範囲であるのがより好ましい。また、イソプレンを単独で使用する場合またはイソプレンとブタジエンを混合して使用する場合には、1,2−結合及び3,4−結合の合計量は、通常、5〜95モル%の範囲であり、ゴム弾性を重視する観点からは、1,2−結合及び3,4−結合(ビニル結合)の合計量が5〜40モル%の範囲であるのが好ましく、5〜20モル%の範囲であるのがより好ましい。
【0010】
重合体ブロックBは、熱可塑性重合体組成物からなる成形体の耐熱性、耐候性の観点から、共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加されており、75%以上が水素添加されていることが好ましく、95%以上が水素添加されていることがより好ましい。
【0011】
ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAを2個以上と重合体ブロックBを1個以上有していることが、耐熱性、ゴム弾性、力学的強度等の観点から必要である。重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合様式は、線状、分岐状あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよいが、重合体ブロックAをAで、重合体ブロックBをBで表したとき、A−B−Aで示されるトリブロック構造や、(A−B)n、(A−B)n−A、(ここでnは2以上の整数を表す)で示すマルチブロック共重合体などを挙げることができ、これらの中でも、A−B−Aで示されるトリブロック構造のものが、弾力性、力学的強度、溶融接着性、取り扱い性の点で特に好ましい。
【0012】
本発明で用いるブロック共重合体(a)の重量平均分子量は40万以上であることが必要である。ブロック共重合体(a)の重量平均分子量の上限は特に制限されないが、成形加工性の容易性の観点からは100万以下であるのが好ましく、80万以下であるのがより好ましく、50万以下であるのがさらに好ましい。ブロック共重合体(a)の重量平均分子量が40万未満の場合には、熱可塑性重合体組成物から得られる成形体の耐熱性が不十分となり、かつ該成形体の表面のべとつきが発生しやすい。
なお、本明細書でいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
【0013】
ブロック共重合体(a)は、本発明の趣旨を損なわない限り、分子鎖中に、または分子末端に、カルボキシル基、水酸基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。
【0014】
ブロック共重合体(a)は、例えば、次のような公知のアニオン重合法によって製造することができる。すなわち、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物等を開始剤として、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの不活性有機溶媒中で、ビニル芳香族化合物、共役ジエンを逐次重合させて重合体を形成し、得られた重合体を、公知の方法に従って、不活性有機溶媒中で、白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属を活性炭、シリカ、アルミナなどの担体に担持させた触媒;ラネーニッケル;有機ニッケル化合物、有機コバルト化合物あるいはこれらの化合物と他の有機金属化合物との複合触媒などのZiegler系触媒などの水素添加触媒の存在下に水素添加することにより、ブロック共重合体(a)を製造することができる。
なお、ブロック共重合体(a)における重合体ブロックBの水素添加率は、重合体ブロック中の共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の含有量を、ヨウ素価測定、赤外分光光度計、1H−NMRスペクトル等によって測定し、該測定値から求めることができる。
【0015】
本発明の熱可塑性重合体組成物で(b)成分として使用される非芳香族系ゴム用軟化剤としては、従来から公知の非芳香族系のゴム用軟化剤のいずれもが使用でき、そのなかでも非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤が適している。非芳香族系ゴム用軟化剤(b)は、1種のみを使用しても、または2種以上を併用してもよい。
一般に、ゴムの軟化、増容、加工性向上などのために用いられるプロセスオイルまたはエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の3者が組み合わさった混合物であって全炭素数中で、パラフィン鎖の炭素数が50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環の炭素数が30〜45%のものがナフテン系、また芳香族炭素数が30%より多いものが芳香族系と称されている。
本発明では、上記したプロセスオイルのうち、(b)成分として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルを用いることができる。そして、それら以外にも、ホワイトオイル、ミネラルオイル、エチレンとα−オレフィンの低分子量共重合体、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリブテン、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレンなどの共役ジエン系重合体またはそれらの水素添加物、液状ポリイソブチレンなどを用いることができる。これらの中でも、本発明では、パラフィン系プロセスオイルが好ましい。
【0016】
非芳香族系ゴム用軟化剤(b)は、ゴム弾性の観点から、40℃における動粘度が30〜200mm2/sの範囲内である。非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度が30mm2/sより小さい場合には耐熱性、特に高温における圧縮永久歪み性能が劣る傾向となる。なお、本明細書における非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の40℃における動粘度(mm2/s)とは、B型粘度計を使用して、温度40℃で測定した動粘度を、40℃における非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の密度で除した商の値をいう。
【0017】
非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の使用量は、ブロック共重合体(a)100質量部に対し、50〜300質量部の範囲内であることが必要であり、50〜250質量部の範囲内であることが好ましい。非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の使用量がブロック共重合体(a)100質量部に対して50質量部より少ないと、熱可塑性重合体組成物の成形性が損なわれ、一方、300質量部を超えると、熱可塑性重合体組成物から得られる成形体の耐熱性が低下し、しかも該成形体の表面がべとつきやすくなる。
【0018】
本発明の熱可塑性重合体組成物で(c)成分として使用されるオレフィン系樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂;ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなどのプロピレン系樹脂;エチレン−α−オレフィン共重合体、環状ポリオレフィンポリマー、ポリメチルペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの中でも、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなどのプロピレン系樹脂が特に好ましい。
オレフィン系樹脂(c)は、1種類を使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、オレフィン系樹脂(c)として、分子末端または側鎖に、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有するものを使用することも可能である。
【0019】
オレフィン系樹脂(c)の使用量は、ブロック共重合体(a)100質量部に対し10〜100質量部の範囲内であることが必要であり、15〜80質量部の範囲内であることが好ましい。オレフィン系樹脂(c)の使用量がブロック共重合体(a)100質量部に対し10質量部より少ないと、熱可塑性重合体組成物の成形性が損なわれ、一方、100質量部を超えると、熱可塑性重合体組成物から得られる成形体の柔軟性や高温での圧縮永久歪みが低下する。
【0020】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記(a)〜(c)の成分以外に、必要に応じて、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル系樹脂;エチレン−メタアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体又はそのアイオノマー、クロロスルフォン化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン三元共重合体(EPDM)、重量平均分子量が40万よりも小さく本発明の主旨を損なわない範囲の(a)成分とは異なるビニル芳香族化合物−共役ジエンブロック共重合体またはその水素添加物などの他の重合体をさらに含有していてもよい。
【0021】
また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じて、カーボンブラック、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維等の補強剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、マイカなどの充填材;滑剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、離型剤、粘着付与剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、香料等を含有していてもよい。
【0022】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、必要に応じて、有機パーオキサイドなどの架橋剤をさらに加えて架橋処理を行って使用することも可能である。また、その際に架橋助剤を併用してもよい。
【0023】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、熱可塑性重合体の溶融混練に際して従来から利用されている方法、例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、オープンロール、ニーダーなどの混練機を用いて各構成成分を溶融状態で混練することによって調製することができる。また、混練に先立ち、各構成成分をヘンシェルミキサーやタンブラーのような混合機を用いて予めドライブレンドしておくと、均質な熱可塑性重合体組成物を容易に得ることができる。なお、混練は、通常170〜250℃の範囲の温度で実施される。
【0024】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、各種成形法、例えば、押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、カレンダー成形などの公知の方法を用いて、シート状、フィルム状、チューブ状などの任意の形状の成形体に成形することができる。また、本発明の熱可塑性重合体組成物は、二色成形法、インサート成形法、共押出などにより、プラスチック、布帛等の他の材料と複合化してなる複合成形体とすることも可能である。
【0025】
本発明の熱可塑性重合体組成物は、各種工業製品や工業部品の原料として使用することができる。具体的には、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー等の自動車内装部品;モール等の自動車外装部品;リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、テレビ、ステレオ、掃除機等の家電部品;水中眼鏡、水中カメラのカバー等の水中使用製品;各種カバー部品;密閉性、防水性、防音性、防振性等を目的とした各種パッキン付き工業部品;ラック&ピニオンブーツ、サスペンションブーツ、等速ジョイントブーツ等の自動車機能部品;電線被覆等の電気、電子部品;スポーツシューズ、ファッションサンダル等の履物用途;ベルト、ホース、チューブ;スポーツ用品;ドア、窓枠材などの建築用資材;各種継手;バルブ部品;医療用シリンジのガスケット等の医療用品等に使用することができる。
【0026】
特に、本発明の熱可塑性重合体組成物から得られる成形体は高温においてもゴム弾性が保たれ、未溶融ゲルが少なく、かつべたつきの少ないことから、例えば自動車内装部品、家電部品、工業用品などの高温に晒される雰囲気下で使用され、耐熱性が要求される用途に好適に使用することができる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例においては、熱可塑性重合体組成物から得られる成形体について、以下に示す方法によって、硬度、圧縮永久歪み、べとつき性及び未溶融ゲルの評価を行った。
【0028】
▲1▼硬度
プレス成形機(50トン)を使用して、下記の実施例及び比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を、220℃にて、縦150mm×横150mm×厚さ2mmのシート金型を用いて溶融成形後、金型よりシートを取り出し、直ちに水冷式の冷却プレスで冷却してシートを得た。得られたシートを用いてJIS K−6253に準じて、IRHDポケット硬度を測定した。
【0029】
▲2▼圧縮永久歪み
プレス成形機(50トン)を使用して、下記の実施例及び比較例で得られた熱可塑性重合体組成物を、220℃にて、圧縮永久歪みサンプル用金型を用いて直径29.0mm×厚さ12.5mmの円柱状の試験片を溶融成形後、金型より試験片を取り出し、直ちに水冷式の冷却プレスにて冷却して試験片を得た。得られた試験片を用い、JIS K−6262に準じて、温度120℃、圧縮変形量25%の条件下に22時間放置した時の圧縮永久歪みを測定し、ゴム弾性の指標とした。
【0030】
▲3▼成形体表面のべたつき性
硬度測定に用いた縦150mm×横150mm×厚さ2mmのシートを2枚の紙(ホワイトリサイクルPPCペーパー;キャノン販売製)で挟み、さらにこれをシートと同じサイズのポリプロピレンシート(厚さ2mm)2枚を用いて挟み、その上に100gの荷重を載せて、40℃雰囲気下で1週間放置した。荷重を解除しポリプロピレンシートを取り除いた後の紙の汚れの度合いを目視により観察し、下記のように評価した。
◎:非芳香族系ゴム用軟化剤による汚れがまったくなし
○:非芳香族系ゴム用軟化剤による汚れがわずかに見られる
△:非芳香族系ゴム用軟化剤による汚れが多い
×:非芳香族系ゴム用軟化剤による汚れが著しい
【0031】
▲4▼未溶融ゲル
硬度測定に用いた縦150mm×横150mm×厚さ2mmのシートについて、未溶融ゲルの有無を目視により観察し、下記のように評価した。
◎:未溶融ゲルが観察されず
○:未溶融ゲルがわずかに見られる
△:未溶融ゲルが多い
×:未溶融ゲルが著しい
【0032】
また、以下の例で用いた各成分の内容と略号は以下のとおりである。
[1]ブロック共重合体(a)
[製造方法:参考例]
s−ブチルリチウムを重合開始剤として用いて、シクロヘキサン中で、スチレンと、イソプレン、ブタジエン、またはイソプレンとブタジエンの混合物を逐次添加してアニオン重合することにより、共役ジエン化合物よりなる重合体ブロックの両端にスチレン重合体ブロックが結合したABA型のトリブロック共重合体又は片端にスチレン重合体ブロックが結合したAB型のジブロック共重合体をそれぞれ製造した。得られたトリブロック共重合体又はジブロック共重合体を、シクロヘキサン中、Ziegler系触媒を用いて、0.8MPaの水素圧力雰囲気下に75℃で水素添加反応を行って、下記の表1に示す物性を有するブロック共重合体(a)−1〜(a)−6を得た。
【0033】
【表1】
【0034】
[2]非芳香族系ゴム用軟化剤(b)
(b)−1:出光興産株式会社製「ダイアナプロセスPW−32」(パラフィン系プロセスオイル;動粘度=30.85mm2/s(40℃))
(b)−2:出光興産株式会社製「ダイアナプロセスPW−90」(パラフィン系プロセスオイル;動粘度=95.54mm2/s(40℃))
(b)−3:出光興産株式会社製「ダイアナプロセスPW−380」(パラフィン系プロセスオイル;動粘度=381.6mm2/s(40℃))
【0035】
[3]オレフィン系樹脂(c)
(c)−1:グランドポリマー株式会社製「J106W」(ホモポリプロピレン)MFR:15g/10分(230℃−2.16Kg)、破断点伸び:200%
ロックウェル硬度:100、引張降伏点強度:38MPa
曲げ初期弾性率:1600MPa
【0036】
[実施例1〜3および比較例1〜9]上記のブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)およびオレフィン系樹脂(c)を、表2及び表3に示す配合量で予めドライブレンドし、得られた混合物を二軸押出機を使用して、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練した後、ストランド状に押し出し、切断して、熱可塑性重合体組成物のペレットを製造した。得られたペレットを用いて、前記した方法で所定形状のシート及び試験片を作成し、前記の方法により各種物性を評価した。結果を表2及び表3に併せて示した。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
表2の結果より、実施例1〜3においては、ブロック共重合体(a)、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)およびオレフィン系樹脂(c)が本発明で規定した範囲をいずれも満足していることにより、耐熱性、特に高温(120℃)における圧縮永久歪みに優れ、かつ、成形体表面のべたつき性が良好で未溶融ゲルもない成形体を得ることができることが分かる。
【0040】
これに対し、比較例2〜4においてはブロック共重合体(a)の重量平均分子量が本発明で規定する範囲に満たないため、得られる成形体表面のべたつき性及び未溶融ゲルの量に関して実施例1〜3に比べて劣る結果となる。比較例5では、ブロック共重合体(a)の重量平均分子量が本発明で規定する範囲を満たさず、かつブロック共重合体(a)を構成する重合体ブロックAの含有量(スチレン含有量)が本発明で規定する範囲を超えているため、得られる成形体は硬度が非常に高いものとなり、かつ高温(120℃)における圧縮永久歪みの値、べたつき性及び未溶融ゲルの量に関しても実施例に比べて劣る結果となる。
【0041】
比較例6では、ブロック共重合体(a)の重量平均分子量は本発明で規定する範囲を満たしているものの、水素添加率が本発明で規定する値に満たないため、得られる成形体の高温(120℃)における圧縮永久歪みの値、べたつき性及び未溶融ゲルの量に関して実施例に比べて劣る結果となる。比較例7では、ジブロック共重合体を用いているために、得られる成形体の高温(120℃)における圧縮永久歪みは大きくなり、べたつき性及び未溶融ゲルの量に関しても実施例に比べて劣る結果となる。比較例8では、非芳香族系ゴム用軟化剤(b)の配合量が本発明で規定する範囲を越えているため、得られる成形体の高温(120℃)における圧縮永久歪みの値、べたつき性及び未溶融ゲルの量に関して実施例に比べて劣る結果となる。比較例9では、オレフィン系樹脂(c)の配合量が本発明で規定する範囲を越えているため、得られる成形体は硬度が高いものとなり、かつ成形体の高温(120℃)における圧縮永久歪みの値及び未溶融ゲルの量に関して実施例に比べて劣る結果となる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、未溶融ゲル及びべたつきが少なく、特に高温に晒される雰囲気下での使用に適した成形体を得ることが可能な、高温においてもゴム弾性が保たれ、かつ吸油性に優れた熱可塑性重合体組成物が提供される。
Claims (3)
- (a)ビニル芳香族化合物からなる重合体ブロックAを2個以上、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを1個以上含有するブロック共重合体であって、該共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の50%以上が水素添加され、ビニル芳香族化合物に由来する構成単位の含有量が5〜75質量%であり、かつ重量平均分子量が40万以上であるブロック共重合体100質量部、(b)40℃における動粘度が30〜200mm2/sの範囲である非芳香族系ゴム用軟化剤50〜300質量部および(c)オレフィン系樹脂10〜100質量部を含有する熱可塑性重合体組成物。
- ブロック共重合体(a)の共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBが、ブタジエン、イソプレン、またはイソプレンとブタジエンの混合物からなる請求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
- 請求項1または2に記載の熱可塑性重合体組成物からなる成形体。
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JP2001322143A JP4031226B2 (ja) | 2001-10-19 | 2001-10-19 | 熱可塑性重合体組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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